JP4972950B2 - 有機半導体素子に適したテトラセン化合物 - Google Patents
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- JAJONPMICMXBCJ-UHFFFAOYSA-N Nc(c(C(O1)=O)c2C1=O)ccc2N Chemical compound Nc(c(C(O1)=O)c2C1=O)ccc2N JAJONPMICMXBCJ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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気的にバイパスしたりする製造工程を簡略化することができる。そのうえ、有機半導体素子を可とう性のある高分子表面に形成すれば、折り曲げられる素子とすることができる。
[1]平面構造を有し、融点が200℃以下であるテトラセン化合物。
[2]式(1)で表される項[1]に記載のテトラセン化合物。
[4]式(1)中のR3およびR4が同一である、項[3]に記載のテトラセン化合物。
[5]式(1)中のR3およびR4が炭素数2〜10のアルキルである、項[2]に記載のテトラセン化合物。
[7]式(1)中のR1〜R4が同一である、項[6]に記載のテトラセン化合物。
[9]項[8]に記載の有機半導体薄膜および複数の電極で構成される有機半導体素子。
本発明のテトラセン化合物は、ベンゼン環が直線上に連なった平面構造を有し、ベンゼン環上の特定の位置に特定の置換基を有するものであり、分子間にパイ電子軌道の重なりがあり、融点が200℃以下である。より詳しくは、式(1)で表される。以下、式(1)で表される本発明のテトラセン化合物を「化合物(1)」ともいう。
のRa、または4位と7位のRaが同時にメチルであることはない。Raは互いに同一でも
異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
化合物(1a)および化合物(1b)は、いずれも極めて低い融点と有機溶媒への高い溶解性を示す。アルキルの鎖長を変化させることによって、融点および有機溶媒に対する溶解性を最適化できる。また、アルキルの変化に伴い分子同士の会合状態も変化するので、キャリア移動度が変動する。したがって、アルキルを最適化することにより、特定のキャリア移動度を有するテトラセン化合物を得ることができる。
る。したがって、この溶液を基板上に塗布または印刷することにより、有機半導体薄膜を作製することができる。有機半導体素子に使用する有機半導体薄膜層の厚さは、通常10〜1,000ナノメートルであり、溶液中の化合物の濃度は、0.1〜10重量%である。1,000ナノメートルより厚い有機半導体膜を作製するときには、融解した化合物をそのまま使用することが好ましい。
化合物(1)およびそれらの溶液を印刷する方法としては種々の方法が挙げられ、例えばスクリーン印刷、インクジェット印刷、平版印刷、凹版印刷、凸版印刷などが挙げられる。なかでも、化合物(1)の溶液をそのままインクとして用いたプリンタにより行うインクジェット印刷は、簡易な方法であり好ましい。
s以上、より好ましくは0.5cm2/V・s以上、特に好ましくは1.0cm2/V・s以上である。
[製造方法1]
2,5−二置換フラン(2)と化合物(3)から系中で発生させたビスアリーンとを反応させることで、ディールス・アルダー付加体(4)を得る。ビスアリーンは、化合物(3)にフェニルリチウムやn−ブチルリチウム等の塩基を作用させて発生させる。
2,5−二置換フラン(2)と無水マレイン酸(5)とから合成するディールス・アルダー付加体(6)に濃硫酸を作用させ、化合物(7)を合成する。化合物(7)を水素化リチウムアルミニウムで還元して得たアルコール(8)を、三臭化リンなどで臭素化して化合物(9)を得る。
有機半導体素子を製造する際、印刷によりパターニングを行うことが好ましく、さらに印刷には、化合物(1)の高濃度溶液または融解液を用いるのが好ましい。高濃度溶液または融解液を用いると、インクジェット印刷、マスク印刷、スクリーン印刷およびオフセット印刷を活用でき、便利である。また、印刷による有機半導体素子の製造は、回路の単純化、製造効率の向上および素子の低廉化・軽量化に寄与する。前述のとおり、加熱や真空プロセスの必要性がなく流れ作業によって製造できるので、低コスト化および工程変更
への対応性を増すことに寄与する。こういった観点から、有機溶媒への極めて高い溶解性を示す化合物(1)は優れている。
本発明の有機半導体素子は電力増幅素子や信号制御素子として用いられるが、その具体例として、図1に示すような断面構造を有する電界効果型トランジスタ(FET)がある。FETを作製するには、まず図1において、ガラス基板や高分子基板(6)の上に、金属のマスク蒸着または導電性インクの印刷により、ソース電極(1)およびドレイン電極(2)を形成する。必要に応じて絶縁層を積層してもよい。その上に、化合物(1)の溶液または融解液を印刷、塗布または滴下することによって有機半導体薄膜(5)を形成し、さらに必要に応じて絶縁膜(4)を形成し、その上にゲート電極(3)を形成すればよい。
移動度を求めることができる。さらに、ゲート電圧によるドレイン電流のon/off動作を観測することもできる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
融点は、ヤナコ機器開発研究所製の融点測定器(MP−J3)を用いて測定した。1H
−NMRおよび13C−NMRスペクトルは、ブルカー・バイオスピン(株)製の核磁気共鳴装置(DRX500)を用いて測定した。IRスペクトルは、(株)島津製作所製のフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR−8400S)を用いて、KBrペレットを用いて測定した。元素分析は、ヤナコ機器開発研究所製の有機元素分析装置(MT5 CHNレ
コーダー)を用いて測定した。蛍光スペクトルは、(株)日立ハイテクノロジー製の分光蛍光光度計(F−2500形)を用いて測定した。X線構造解析は、(株)リガク製のX線回折装置(MSC MercuryCCD)を用いて測定した。測定に用いた単結晶は
、再結晶または自然蒸発によって作製した。
第1段
窒素雰囲気下、300mL三つ口フラスコに3,6−ジブロモ−2,7−ビス(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン(3.11g、4.89mmol)、2,5−ジエチルフラン(1.50g、12.10mmol)のトルエン溶液(75mL)を入れた。この混合物を冷却した(0℃)。この混合物は薄い桃色の懸濁液であった。n−ブチルリチウム(9.5mL、1.54Mヘキサン溶液、14.6mmol相当)を30分かけて滴下した。反応混合物は茶色の懸濁液に変化した。反応混合物をゆっくりと(1.5時間)室温に戻し、更に3時間攪拌した。反応混合物に水を加え、分離した有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。水層をクロロホルムで抽出し、飽和食塩
水で洗浄した。先ほどの有機層とあわせてセライトでろ過し、溶媒を留去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/ヘキサン(1:1)〜クロロホルム)で精製して、664mg(1.77mmol、36%)の化合物(1a−1)を茶色粘性固体(シン体/アンチ体の混合物)として得た。
第2段
1H−NMR(CDCl3、500MH)δ(ppm);1.51(t,J=7.5Hz,12H)、3.28(q,J=7.5Hz,8H)、7.21(s,4H)、8.88(s,8H)。
13C−NMR(CDCl3、126MH)δ(ppm);138.0、130.8、12
9.1、123.1、123.0、26.0、14.5。
FT−IR(KBr);ν(cm-1)2966、2939、2875、1625、1456、1371、887。
元素分析; 分析値(%): C=91.71、H=8.29;
C26H28としての計算値(%): C=91.76、H=8.41。
(式(1)においてR1〜R4がすべてプロピルである化合物、およびヘキシルである化合物の製造)
実施例1における第1段と同様の方法で、2,5−ジエチルフランの代わりに、2,5−プロピルフランおよび2,5−ヘキシルフランを用いて、1,4:7,10−ジエポキシ−1,4,7,10−テトラプロピル−1,4,7,10−テトラヒドロテトラセン(黄色油状物、1.05g、34%、シン体/アンチ体の混合物)および1,4:7,10−ジエポキシ−1,4,7,10−テトラヘキシル−1,4,7,10−テトラヒドロテトラセン(黄色液体、854mg、5.61mmol、シン体/アンチ体の混合物)を得た。
実施例1における第2段と同様の方法で、1,4:7,10−ジエポキシ−1,4,7,10−テトラエチル−1,4,7,10−テトラヒドロテトラセンの代わりに、1,4:7,10−ジエポキシ−1,4,7,10−テトラプロピル−1,4,7,10−テトラヒドロテトラセンおよび1,4:7,10−ジエポキシ−1,4,7,10−テトラヘキシル−1,4,7,10−テトラヒドロテトラセンを用いて、融点が194〜196℃(再結晶溶媒:ヘキサン)の化合物(1a−2)(橙色固体、10mg、0.029mmol、5%)および融点が108〜109℃の化合物(1a−5)(赤色固体、96.5g、0.28mmol、48%)を得た。化合物(1a−2)の蛍光発光のピークは588nmであった。化合物(1a−5)の蛍光発光のピークは623nmであった。吸収は600nmまで延びており、融解すると黄色に変色した。
1H−NMR(CDCl3、500MH)δ(ppm);1.14(t,J=7.3Hz,12H)、1.90〜1.98(m,8H)、3.20(t,J=7.6Hz,8H)、7.18(s,4H)、8.85(s,4H)。
13C−NMR(CDCl3、126MH)δ(ppm);136.5、131.6、12
9.0、124.0、123.2、35.4、23.3、14.5。
FT−IR(KBr);ν(cm-1)2956、2927、2868、1620、1454、898、817。
元素分析; 分析値(%): C=90.85、H=9.15;
C30H36としての計算値(%): C=90.93、H=9.32。
1H−NMR(CDCl3、500MH)δ(ppm);0.93(t,J=7.0Hz,12H)、1.36〜1.44(m,16H)、1.51〜1.56(m,8H)、1.86〜1.92(m,8H)、3.22(t,J=7.7Hz,8H)、7.17(s,4H)、8.84(s,4H)。
13C−NMR(CDCl3、126MH)δ(ppm);136.7、131.0、12
9.0、123.9、123.2、33.2、31.8、30.1、29.6、22.7、14.1。
FT−IR(KBr);ν(cm-1)2950、2927、2856、1620、146
7、891。
元素分析; 分析値(%): C=89.29、H=10.71;
C42H60としての計算値(%): C=89.44、H=10.60。
(式(1)において、R1およびR2が水素、R3およびR4がプロピルである化合物の製造)
第1段
9g、53.14.mmol)、無水マレイン酸(5.21g、53.14mmol)、ジエチルエーテル(10mL)を入れて室温で20時間撹拌した。ヘキサン(60mL)を加えて固体を桐山漏斗(登録商標)で吸引ろ過し、6.54gの白色固体を得た。ろ液を溶媒留去し、ヘキサンを加えて993mgの白色固体を得た。あわせて、7.53g(30.10mmol、57%)の3,6−ジプロピル−3,6−エポキシフタル酸無水物を白色固体として得た。この化合物の融点は49〜51℃であった。
第2段
1H−NMR(CDCl3、500MH)δ(ppm);0.99(t,J=7.4Hz,6H)、1.67〜1.72(m,4H)、3.04(t,J=7.2Hz、4H)、7.54(s,2H)。
13C−NMR(CDCl3、126MH)δ(ppm);13.5、23.5、32.6
、127.8、136.9、142.5、162.8。
第3段
13C−NMR(CDCl3、126MH)δ(ppm);13.9、25.0、35.4
、58.4、129.4、137.6、139.3。
第4段
13C−NMR(CDCl3、126MH)δ(ppm);14.2、24.0、27.3
、34.7、130.1、134.5、140.3。
FT−IR(KBr);ν(cm-1)2827、1570、1155。
第5段
FT−IR(KBr);ν(cm-1)2959、1670、1589。
元素分析; 分析値(%): C=84.33、H=6.77;
C24H22O2としての計算値(%): C=84.18、H=6.48。
第6段
、123.2、124.2、124.9、126.3、128.2、131.0、131.4、136.5。
FT−IR(KBr);ν(cm-1)2962、1627。
元素分析; 分析値(%): C=92.46、H=7.96;
C24H24としての計算値(%): C=92.26、H=7.74。
化合物(1a−5)の薄膜を含むTOF測定セルを作製し、室温でそのキャリア移動度を求めた。まず、アルミを蒸着した一枚の基板(アルミ層の厚みは150nm)の上に径10μmのスペーサーを散布した。その上に、アルミを蒸着したもう一枚の基板(アルミ層の厚みは150nm)をかぶせて接着し、TOF測定用セルを作製した。セルを120℃となるように加熱し、2枚の基板間の間隙に化合物(1a−5)の結晶を接触させると溶融し、毛細管現象によってセル内部にすばやく拡散した。セルを室温に戻したところ、化合物(1a−5)がセル中で固化した。
Phys.Rev.B12(6),2455(1975)の方法を用いることにより、得られた波形から電荷が到達するまでの時間(t)を求めた。具体的には、得られた波形の両対数をとり、電荷が到達する前後の傾きの差を2本の直線で近似して、その2本の直線の交点を電荷が到達するまでの時間(t)とした(図5参照)。この波形から求めた電荷が到達するまでの時間(t)、印加電圧および電極間隔(10μm)からキャリア移動度を求めた。正孔移動度は印加電圧30Vにおいて、約0.038cm2/V秒であった。
[比較例1]
公知化合物1,4,7,10−テトラメチルテトラセン(R1)(以下「化合物(R1)」ともいう。)を、J.Org.Chem.,50,2934(1985)の方法にしたがって合成した。本発明のテトラセン化合物と、融点およびヘキサンへの溶解度を比較した。
無置換のテトラセン(R2)(以下「化合物(R2)」ともいう。)は、融点を測定することができず、加熱中365℃で分解すると記載されている(Netka Jill,J. Org.Chem.,1986年,Vol 51(8),P.1189−1199)。
ことがわかる。
実施例1で製造した化合物(1a−1)の結晶構造を、エックス線構造解析により同定した。パイ電子軌道が重なり合った状態で、テトラセンが互いに平行に存在する結晶構造を観察した。
実施例5と同様に、化合物(R1)の結晶構造を解析したところ、ヘリンボーン構造で配列していることがわかった。
一方、本発明の化合物(1a−1)はテトラセン分子が平行に配列するため、パイ電子軌道が重なっている。これは、高いキャリア移動度を誘起する上で有利である。この優れた特性は、化合物(1a−1)を合成して初めてわかった特性である。
2: ドレイン電極
3: ゲート電極
4: 絶縁膜
5: 有機半導体薄膜
6: ガラス基板
Claims (6)
- 式(1a)中のすべてのR a が同一である、請求項1に記載のテトラセン化合物。
- 式(1b)中の2つのR b が同一である、請求項1に記載のテトラセン化合物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のテトラセン化合物で構成される有機半導体薄膜。
- 請求項4に記載の有機半導体薄膜および複数の電極で構成される有機半導体素子。
- ゲート電極、誘電体層、ソース電極、ドレイン電極および半導体層を含むトランジスタであって、該半導体層が請求項4に記載の有機半導体薄膜で構成されるトランジスタ。
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