JP6526585B2 - 縮合多環芳香族化合物及びその用途 - Google Patents
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Description
このような技術に利用される有機半導体材料には、良好な半導体特性(キャリア移動度など)を有することは言うまでもなく、印刷技術に使用される有機半導体溶液(インク)を形成するために、有機溶媒に可溶であることが求められる。
特許文献1には、下記式(x)で示されるBTBT誘導体(式(x)中、X1およびX2は硫黄原子を、R1およびR2はアルキル基を表す)は、有機溶媒に対する可溶性及び実用的な印刷適性を有し、しかもキャリア移動度などの半導体特性に優れることが記載されている。
しかしながら、非特許文献1には、特許文献1に記載されている材料は低温で相転移を起こしやすく(120℃以下)、それにより有機半導体デバイスの耐熱性が低下することが記載されている。また、特許文献2乃至4には、本発明の課題である耐熱性に関しては何ら記載されていない。
また、非特許文献1では、BTBTにアルキル基とフェニル基を非対称に置換した有機半導体材料が、より高次の液晶相を発現することにより耐熱性に優れた材料となることが報告されている。しかしながら、同文献に記載されている材料の高次の液晶相への相転移温度は150℃未満であって該温度を境に半導体特性が低下しており、その耐熱性は不充分である。
特許文献6および7では、縮環数がBTBTとDNTTの中間であるベンゾチエノナフトチオフェン(以下、適宜「BTNT」と略記する。)誘導体が報告されているが、キャリア移動度やオン/オフ比といった有機トランジスタの基本的な特性を示しているだけで耐熱性についての記載はない。
フレキシブルデバイス用途に用いられる安価な基板としては例えばPETフィルムやPENフィルムが挙げられるが、これらの基材のガラス転移温度は110〜150℃程度であり、これらの基板に形成される材料には該温度領域に物性低下につながる相転移温度や融点が無いことが求められるだけでなく、薄膜の状態で安定した特性を維持できることが重要となる。
すなわち本発明は、
[1]下記一般式(1)または一般式(2)
[2]R1及びR4が水素原子であり、R2が水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基、複素環基、またはアルキル基を有する複素環基であり、かつR3が一般式(3)で表される置換基である前項[1]に記載の有機化合物、
[3]R1が水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基、複素環基、またはアルキル基を有する複素環基であり、R2及びR3が水素原子であり、かつR4が一般式(3)で表される置換基である前項[1]に記載の有機化合物、
[4]前項[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の有機化合物を含有する有機半導体材料、
[5]前項[4]に記載の有機半導体材料からなる有機薄膜、
[6]前項[5]に記載の有機薄膜を含んでなる有機半導体デバイス、
[7]有機トランジスタである前項[6]に記載の有機半導体デバイス、
[8]有機溶媒を含有する前項[4]に記載の有機半導体材料を基板上に塗布あるいは印刷する工程、及び該基板上に塗布あるいは印刷した有機半導体材料から有機溶媒を除去する工程を含む有機薄膜の製造方法、
に関するものである。
本発明の有機化合物は、上記一般式(1)または一般式(2)で表される構造を有する。
一般式(1)及び一般式(2)中、R1及びR2のいずれか一方は水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基、または複素環基を、他方は水素原子を表し、該芳香族炭化水素基及び該複素環基はアルキル基を置換基として有していてもよい。
直鎖アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基及びn−エイコシル基等が挙げられる。
分岐鎖アルキル基の具体例としては、iso−プロピル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、iso−ペンチル基、t−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ヘキシル基、sec−ヘプチル基及びsec−ノニル基等が挙げられる。
脂環式のアルキル基の具体例としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基及びノルボルニル基等が挙げられる。
一般式(1)及び一般式(2)のR1またはR2が表すアルキル基としては直鎖または分岐鎖アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。また、アルキル基の炭素数は、4乃至12であることが好ましく、6乃至12であることがより好ましい。
一般式(1)及び一般式(2)のR1またはR2が表す複素環基の具体例としては、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピロリル基、インドレニル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、ピリドニル基、ベンゾキノリル基、アントラキノリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基及びチエノチエニル基等が挙げられ、ピリジル基、チエニル基、ベンゾチエニル基又はチエノチエニル基であることが好ましく、チエニル基又はベンゾチエニル基であることがより好ましく、チエニル基であることが更に好ましい。
一般式(1)及び一般式(2)のR1またはR2が表す芳香族炭化水素基及び複素環基が置換基として有するアルキル基の置換位置も特に限定されないが、一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物中のベンゾチエノナフトチオフェン骨格、芳香族炭化水素基または複素環基、及びアルキル基の3者が、より直線状に近い位置関係で配列する位置に置換することが好ましい。また、一般式(1)及び一般式(2)のR1またはR2が表す芳香族炭化水素基及び複素環基が置換基として有するアルキル基の数も特に限定されないが、前記の3者がより直線に近い位置関係で配列するという意味では、一つ又は二つであることが好ましく、一つであることがより好ましい。
一般式(1)及び一般式(2)におけるR1及びR2としては、一方がアルキル基。アルキル基を有する芳香族炭化水素基またはアルキル基を有する複素環基であって他方が水素原子であることが好ましく、一方がアルキル基であって他方が水素原子であることがより好ましく、一方が直鎖のアルキル基であって他方が水素原子であることがより好ましい。また、前記好ましいR1及びR2におけるアルキル基及び置換基としてのアルキル基は、炭素数4乃至12のアルキル基であることが好ましく、炭素数4乃至12の直鎖アルキル基であることがより好ましく、炭素数6乃至12の直鎖アルキル基であることが更に好ましい。
一般式(1)及び一般式(2)のR3またはR4が表す芳香族炭化水素基、複素環基及びこれらが置換基として有していてもよいアルキル基としては、一般式(1)及び一般式(2)のR1またはR2が表す芳香族炭化水素基、複素環基及びこれらが置換基として有していてもよいアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
一般式(1)及び一般式(2)におけるR3及びR4としては、一方がR5が芳香族炭化水素基又はアルキル基を有する芳香族炭化水素基の一般式(3)で表される置換基であって他方が水素原子であることが好ましく、一方がR5が芳香族炭化水素基の一般式(3)で表される置換基であって他方が水素原子であることがより好ましい。また、前記好ましいR3及びR4における置換基としてのアルキル基は、炭素数4乃至12のアルキル基であることが好ましく、炭素数4乃至12の直鎖アルキル基であることがより好ましく、炭素数6乃至12の直鎖アルキル基であることが更に好ましく、前記好ましいR3及びR4における芳香族炭化水素基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
本発明の一般式(1)または一般式(2)で表される有機化合物としては、上記した好ましいR1乃至R4(及びR5)とそれらの位置関係の組み合わせのものがより好ましく、より好ましいR1乃至R4(及びR5)とそれらの位置関係の組み合わせのものが更に好ましい。
有機溶媒を含有する有機半導体材料における一般式(1)または一般式(2)で表わされる有機化合物の含有量は溶媒の種類や作成する薄膜の膜厚により異なるが、溶媒に対して通常0.01〜5質量%であり、0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。また、本発明の有機半導体材料は上記の溶媒に溶解又は分散してさえすれば構わないが、均一な溶液として溶解していることが好ましい。
一般に、有機トランジスタデバイスはゲート電極が絶縁膜で絶縁されている構造(Metal−InsuIator−Semiconductor MIS構造)がよく用いられる。絶縁膜に金属酸化膜を用いるものはMOS構造と呼ばれる。他には、ショットキー障壁を介してゲート電極が形成されている構造(すなわちMES構造)もあるが、有機トランジスタの場合、MIS構造がよく用いられる。
図1における各態様例において、1がソース電極、2が半導体層、3がドレイン電極、4が絶縁体層、5がゲート電極、6が基板をそれぞれ表す。尚、各層や電極の配置は、デバイスの用途により適宜選択できる。A〜D、Fは基板と並行方向に電流が流れるので、横型トランジスタと呼ばれる。Aはボトムコンタクトボトムゲート構造、Bはトップコンタクトボトムゲート構造と呼ばれる。また、Cは半導体上にソース及びドレイン電極、絶縁体層を設け、さらにその上にゲート電極を形成しており、トップコンタクトトップゲート構造と呼ばれている。Dはトップ&ボトムコンタクトボトムゲート型トランジスタと呼ばれる構造である。Fはボトムコンタクトトップゲート構造である。Eは縦型の構造をもつトランジスタ、すなわち静電誘導トランジスタ(SIT)の模式図である。このSITは、電流の流れが平面状に広がるので一度に大量のキャリアが移動できる。またソース電極とドレイン電極が縦に配されているので電極間距離を小さくできるため応答が高速である。従って、大電流を流す、高速のスイッチングを行うなどの用途に好ましく適用できる。なお図1中のEには、基板を記載していないが、通常の場合、図1E中の1及び3で表されるソース又はドレイン電極の外側には基板が設けられる。
基板6は、その上に形成される各層が剥離することなく保持できることが必要である。例えば樹脂板やフィルム、紙、ガラス、石英、セラミックなどの絶縁性材料;金属や合金などの導電性基板上にコーティング等により絶縁層を形成した物;樹脂と無機材料など各種組合せからなる材料;等が使用できる。使用できる樹脂フィルムの例としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。樹脂フィルムや紙を用いると、デバイスに可撓性を持たせることができ、フレキシブルで、軽量となり、実用性が向上する。基板の厚さとしては、通常1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。
またソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)がデバイスの特性を決める重要なファクターであり、適正なチャネル長が必要である。チャネル長が短ければ取り出せる電流量は増えるが、コンタクト抵抗の影響などの短チャネル効果が生じ、半導体特性を低下させることがある。該チャネル長は、通常0.01〜300μm、好ましくは0.1〜100μmである。ソースとドレイン電極間の幅(チャネル幅)は通常10〜5000μm、好ましくは40〜2000μmとなる。またこのチャネル幅は、電極の構造をくし型構造とすることなどにより、さらに長いチャネル幅を形成することが可能で、必要な電流量やデバイスの構造などにより、適切な長さにする必要がある。
半導体層については複数の層を形成してもよいが、単層構造であることがより好ましい。半導体層2の膜厚は、必要な機能を失わない範囲で、薄いほど好ましい。A、B及びDに示すような横型の有機トランジスタにおいては、所定以上の膜厚があればデバイスの特性は膜厚に依存しないが、膜厚が厚くなると漏れ電流が増加してくることが多いためである。必要な機能を示すための半導体層の膜厚は、通常、1nm〜1μm、好ましくは5nm〜500nm、より好ましくは10nm〜300nmである。
上記保護層の材料としては特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂からなる膜;酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素等の無機酸化膜;及び窒化膜等の誘電体からなる膜;等が好ましく用いられ、特に、酸素や水分の透過率や吸水率の小さな樹脂(ポリマー)が好ましい。有機ELディスプレイ用に開発されているガスバリア性保護材料も使用が可能である。保護層の膜厚は、その目的に応じて任意の膜厚を選択できるが、通常100nm〜1mmである。
トラップ部位とは、未処理の基板に存在する例えば水酸基のような官能基をさし、このような官能基が存在すると、電子が該官能基に引き寄せられ、この結果としてキャリア移動度が低下する。従って、トラップ部位を低減することもキャリア移動度等の特性改良には有効な場合が多い。
これらの態様において、例えば基板層と絶縁膜層や絶縁膜層と有機半導体層等の各層を設ける方法としては、前記した真空プロセス、溶液プロセスが適宜採用できる。
本発明の有機トランジスタは、基板6上に必要な各種の層や電極を設けることで作製される(図2(1)参照)。基板としては上記で説明したものが使用できる。この基板上に前述の表面処理などを行うことも可能である。基板6の厚みは、必要な機能を妨げない範囲で薄い方が好ましい。材料によっても異なるが、通常1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。また、必要により、基板に電極の機能を持たせるようにする事も出来る。
基板6上にゲート電極5を形成する(図2(2)参照)。電極材料としては上記で説明したものが用いられる。電極膜を成膜する方法としては、各種の方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、熱転写法、印刷法、ゾルゲル法等が採用される。成膜時又は成膜後、所望の形状になるよう必要に応じてパターニングを行うのが好ましい。パターニングの方法としても各種の方法を用いうるが、例えばフォトレジストのパターニングとエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法等が挙げられる。また、シャドウマスクを用いた蒸着法やスパッタ法やインクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法、及びこれら手法を複数組み合わせた手法を利用し、パターニングすることも可能である。ゲート電極5の膜厚は、材料によっても異なるが、通常0.1nm〜10μmであり、好ましくは0.5nm〜5μmであり、より好ましくは1nm〜3μmである。また、ゲート電極と基板を兼ねるような場合は上記の膜厚より大きくてもよい。
ゲート電極5上に絶縁体層4を形成する(図2(3)参照)。絶縁体材料としては上記で説明した材料が用いられる。絶縁体層4を形成するにあたっては各種の方法を用いることができる。例えばスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、キャスト、バーコート、ブレードコーティングなどの塗布法、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット等の印刷法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法、CVD法などのドライプロセス法が挙げられる。その他、ゾルゲル法やアルミニウム上のアルマイト、シリコン上の酸化珪素のように金属上に熱酸化法などにより酸化物膜を形成する方法等が採用される。尚、絶縁体層と半導体層が接する部分においては、両層の界面で半導体を構成する分子、例えば上記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物の分子を良好に配向させるために、絶縁体層に所定の表面処理を行うこともできる。表面処理の手法は、基板の表面処理と同様のものを用いることができうる。絶縁体層4の膜厚は、その電気容量をあげることで取り出す電気量を増やすことが出来るため、出来るだけ薄い膜であることが好ましい。このときに薄い膜になるとリーク電流が増えるため、その機能を損なわない範囲で薄い方が好ましい。通常0.1nm〜100μmであり、好ましくは0.5nm〜50μmであり、より好ましくは5nm〜10μmである。
本発明の上記一般式(1)または一般式(2)で表される有機化合物を含む有機半導体材料は、有機半導体層の形成に使用される(図2(4)参照)。有機半導体層を成膜するにあたっては、各種の方法を用いることができる。具体的にはディップコート法、ダイコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法等の塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法などの溶液プロセスによる形成方法が挙げられる。
更に、塗布方法に類似した方法として水面上に上記の組成物を滴下することにより作製した有機半導体層の単分子膜を基板に移し積層するラングミュアプロジェクト法、液晶や融液状態の材料を2枚の基板で挟んで毛管現象で基板間に導入する方法等も採用できる。
この方法により作製される有機半導体層の膜厚は、機能を損なわない範囲で、薄い方が好ましい。膜厚が厚くなると漏れ電流が大きくなる懸念がある。有機半導体層の膜厚は、通常1nm〜1μm、好ましくは5nm〜500nm、より好ましくは10nm〜300nmである。
これらのドーピングの効果は、キャリア密度の増加あるいは減少による電気伝導度の変化、キャリアの極性の変化(p型、n型)、フェルミ準位の変化等が挙げられる。
ソース電極1及びドレイン電極3の形成方法等はゲート電極5の場合に準じて形成することができる(図2(5)参照)。また有機半導体層との接触抵抗を低減するために各種添加剤などを用いることが可能である。
有機半導体層上に保護層7を形成すると、外気の影響を最小限にでき、また、有機トランジスタの電気的特性を安定化できるという利点がある(図2(6)参照)。保護層の材料としては前記のものが使用される。保護層7の膜厚は、その目的に応じて任意の膜厚を採用できるが、通常100nm〜1mmである。
保護層を成膜するにあたっては各種の方法を採用しうるが、保護層が樹脂からなる場合は、例えば、樹脂溶液を塗布後、乾燥させて樹脂膜とする方法;樹脂モノマーを塗布あるいは蒸着したのち重合する方法;などが挙げられる。成膜後に架橋処理を行ってもよい。保護層が無機物からなる場合は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法等の溶液プロセスでの形成方法も用いることができる。
有機トランジスタにおいては有機半導体層上の他、各層の間にも必要に応じて保護層を設けることができる。それらの層は有機トランジスタの電気的特性の安定化に役立つ場合がある。
以下の操作において、不活性ガス下の反応や測定には無水蒸留した溶媒を用い、その他の反応や操作においては市販一級または特級の溶媒を用いた。また、試薬は必要に応じて無水蒸留等で精製し、その他は市販一級または特級の試薬を用いた。以下に、使用した分析機器および測定機器を示す。核磁気共鳴分光は、LAMBDA−NMR(395.75MHz、σ値、ppm、内部標準TMS)を用いて行った。示差走査熱量計はMETTLER−TOLED DSC1を用いて行った。
実施例1では、以下に記載した製造フローに準じて上記具体例において化合物No.1で表される本発明の有機化合物を合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)σ0.89(t,3H)、1.24−1.42(m,6H)、1.73(quint,2H)、2.81(t,2H)、7.36−7.39(m,4H)、7.55−7.58(m,2H)、7.61(dd,1H)、7.68(s,1H)、7.83(d,1H)、7.92(d,1H)、8.11(s,1H)、8.30(s,1H)、8.31(s,1H)
比較例1では、特許文献3に記載の方法で下記式No.39で表される比較用の有機化合物を合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)σ0.88(t,3H)、1.29−1.40(m,6H)、1.69(quint,2H)、2.76(t,2H)、7.28(dd,1H)、7.34−7.37(m,3H)、7.56(dd,2H)、7.59(dd,1H)、7.71(s,1H)、7.78(d,1H)、7.81(d,1H)、8.08(s,1H)
比較例2では、原料を下式のPrecursorとした以外は実施例1と同様の合成方法で下記式No.40で表される比較用の有機化合物を合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)σ0.89(m,6H)、1.28−1.40(m,12H)、1.71(m,4H)、2.78(m,4H)、7.25(d,1H)、7.35(d,1H)、7.70(s,1H)、7.76(s,1H)、7.82(d,1H)、7.84(d,1H)、8.26(s,1H)、8.33(s,1H)
実施例1、比較例1及び比較例2のそれぞれで得られた有機化合物について、以下の方法で示差走査熱量測定を行った。
有機化合物の粉末約2mgを量り取り、アルミパンの中に封入した。これらを示差走査熱量測定装置にセットし550℃まで加熱した。その際の吸熱ピークを観測することで転移点の観測を行った。結果を表1に示した。
実施例1で得られた有機化合物3を用いて有機トランジスタデバイスを作製し、トランジスタ特性を評価した。
実施例1で得られたNo.1で表される有機化合物のo−ジクロロベンゼン溶液を用い、SiO2熱酸化膜付きnドープシリコンウェハー上にドロップキャスト法により有機薄膜を作製した。次に、有機薄膜上にシャドウマスクを用いてAuを真空蒸着することでソース・ドレイン電極を作製した。今回作製した有機トランジスタデバイスの設定はチャネル長50μm、チャネル幅2.5mmである。このようにして作製した有機トランジスタデバイスデバイスはトップコンタクト型であり、図1Bは、その構造を示すものである。なお、本実施例における有機トランジスタデバイスにおいては、熱酸化膜付きnドープシリコンウェハーにおける熱酸化膜が絶縁層(4)の機能を有し、nドープシリコンウェハーが基板(6)及びゲート電極(5)の機能を兼ね備えている。
Id=ZμCi(Vg−Vt)2/2L・・・(a)
ここで、Idは飽和したソース・ドレイン電流値、Zはチャネル幅、Ciは絶縁体の電気容量、Vgはゲート電位、Vtはしきい電位、Lはチャネル長であり、μは決定する移動度(cm2/Vs)である。Ciは用いたSiO2絶縁膜の誘電率、Z,Lは有機トランジスタデバイスのデバイス構造よりに決まり、Id,Vgは有機トランジスタデバイスの電流値の測定時に決まり、VtはId,Vgから求めることができる。式(a)に各値を代入することで、それぞれのゲート電位での移動度を算出することができる。
実施例1で得られたNo.1で表される有機化合物、比較例1で得られたNo.39で表される有機化合物及び比較例2で得られたNo.40で表される有機化合物を用いて作成した薄膜の、加熱による経過観察を行い、薄膜の耐熱性試験を行った。結果を表2に、薄膜の顕微鏡観察結果を図3(実施例3、No.1の有機化合物)、図4(比較例3、No.39の有機化合物)及び図5(比較例4、No.40の有機化合物)に示した。
1 ソース電極
2 半導体層
3 ドレイン電極
4 絶縁体層
5 ゲート電極
6 基板
7 保護層
Claims (8)
- 下記一般式(1)または一般式(2)
で表される有機化合物。 - R1及びR4が水素原子であり、R2が水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基、複素環基、またはアルキル基を有する複素環基であり、かつR3が一般式(3)で表される置換基である請求項1に記載の有機化合物。
- R1が水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基、複素環基、またはアルキル基を有する複素環基であり、R2及びR3が水素原子であり、かつR4が一般式(3)で表される置換基である請求項1に記載の有機化合物。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機化合物を含有する有機半導体材料。
- 請求項4に記載の有機半導体材料からなる有機薄膜。
- 請求項5に記載の有機薄膜を含んでなる有機半導体デバイス。
- 有機トランジスタである請求項6に記載の有機半導体デバイス。
- 有機溶媒を含有する請求項4に記載の有機半導体材料を基板上に塗布あるいは印刷する工程、及び該基板上に塗布あるいは印刷した有機半導体材料から有機溶媒を除去する工程を含む有機薄膜の製造方法。
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