JP2006063187A - 複合組成物及び複合組成物を用いた成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一の種類の生分解性を有する有機高分子化合物と、植物繊維と、生分解性を有する有機高分子化合物の加水分解抑制剤とを含有する複合組成物、及びこれを用いた成形品を作製する。
【選択図】図1
Description
しかし、焼却処理は二酸化炭素の排出を伴うために、地球温暖化の原因となる。
また、焼却樹脂中に硫黄、窒素、ハロゲン等が含有されている場合には、焼却処理すると有害ガスが排出し、大気汚染を引き起こす原因となる。
一方、樹脂を不適切に埋め立てると、現在汎用されている殆どの樹脂は化学的に極めて安定であるため長期間分解されずに残存し、土壌汚染の原因になっている。
生分解性樹脂とは、微生物等により生化学的に二酸化炭素及び水等に分解される性質を有するものであり、自然環境へ廃棄された場合においても容易に分解して低分子量化し、最終的に無害な化合物に変化するものである。そのため、廃棄に伴う地球環境に対する悪影響を低減化させることができるという特長を有している。このような理由から、生分解性樹脂は、特に、日用雑貨品、衛生用品、遊戯用品等の使い捨て製品に実用化が進められている。
例えば、電気製品の筐体や自動車用内装材等の材料においては、耐熱性が要求されるが、生分解性樹脂そのものは耐熱性が比較的低いため、これに木綿繊維や木材繊維や竹繊維等の有機繊維を配合する技術についての提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
本発明の複合組成物は、自然環境下において最終的に無害な物質に生分解され、環境への影響を効果的に低減化でき、また、例えば駆動源や電源等の熱源をもつ機器等の筐体として利用した場合においても、実用上充分な機械的強度、耐熱性、及び使用耐久性(保存特性)を発揮できた。
すなわち本発明の複合組成物は、生分解性樹脂、植物繊維、加水分解抑制剤の三元系を有するものであるため、生分解性、耐熱性、機械的強度、及び保存特性を兼ね備えたものとなった。
本発明の複合組成物は、少なくとも一の種類の生分解性を有する有機高分子化合物と、 植物繊維と、加水分解抑制剤とを含有しているものである。
生分解性を有する有機高分子化合物(以下、「生分解性高分子化合物」という)は、使用後は自然界において微生物が関与して低分子化合物、最終的に水と二酸化炭素に分解する化合物(生分解性プラスチック研究会、ISO/TC−207/SC3)であるものとする。
生分解性高分子化合物としては、生分解性樹脂が好ましく、具体的には、生分解性を有する、多糖類、ペプチド、脂肪族ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルアルコール、ポリアミド、若しくはポリアルキレングリコール等のいずれか、またはこれらの少なくともいずれかの一を含む共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ−L−乳酸(PLLA)、L−乳酸とD−乳酸とのランダム共重合体等のポリ乳酸、またはそれらの誘導体がより好適である。一般的なポリ乳酸は、融点が160〜170℃程度、ガラス転移温度が58℃程度の生分解性に優れた結晶性ポリマーであるが、後述するように本発明によれば、この温度よりも耐熱性を向上させ、耐久消費材として求められる保存性も合わせて併せて確保することができる。
これらの他、例えばポリカプロラクトン、ポリヒドキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリエチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリコハク酸エステル、ポリシュウ酸エステル、ポリジグリコール酸ブチレン、ポリジオキサノン、微生物合成ポリエステル等も適用でき、微生物合成ポリエステルとしては、例えば、3−ヒドロキシブチレート(3HB)、3−ヒドロキシバリレート(3HV)、またはその共重合体等が挙げられる。
分子量が30000未満であると、最終的に得られる複合組成物の強度が不充分となり、一方、200000を超えると、成形性や加工性が劣化してしまうためである。
上記ペプチドとしては、例えば、コラーゲン、カゼイン、フィブリン、ゼラチン等が挙げられる。
上記ポリアミドとしては、例えば、ナイロン4、ナイロン2/ナイロン6共重合体等が挙げられる。
さらに、低分子量では生分解性があるが、高分子量では生分解性の低い有機高分子化合物についても、生分解性高分子化合物とのグラフト共重合等により生分解性が得られるようになるものであれば、適用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリプロピレン、ポリウレタン等が挙げられる。
また、これらの樹脂の分子量や末端基については、重合により機械的な強度が得られればよく、特に制限されるものではない。
例えば、生分解性ポリエステルは、ラクチド法、多価アルコールと多塩基酸との重縮合、または、分子内に水酸基とカルボキシル基とを有するヒドロキシカルボン酸の分子間重縮合等の方法により作製することができる。
植物繊維は、特に限定されるものではないが、綿繊維と紙繊維が好適である。
綿繊維は平均繊維径が100μm以下のものが好ましい。平均繊維径が100μmを超えると、生分解性高分子化合物中における分散性が低下し、最終的に目的とする複合組成物の剛性と耐熱性の向上効果が不充分となるためである。また平均繊維径の下限については、特に技術上の制限はない。
このような表面処理を施すことにより、上述した生分解性高分子化合物、例えば脂肪族ポリエステルとの表面密着性が向上し、樹脂と繊維との界面剥離による強度低下の抑制が図られる。
植物繊維の含有量が5重量%未満であると、充分な耐熱性向上効果が得られず、一方において60重量%を超えると、最終的に得られる複合組成物の強度低下等、実用的な材料としての課題を招来する。
加水分解抑制剤は、生分解性高分子化合物の加水分解を抑制する添加剤であり、例えば、生分解性高分子化合物の活性水素と反応性を有する化合物が挙げられる。これにより、生分解性高分子化合物中の活性水素量が低減し、活性水素が触媒的に生分解性高分子鎖を加水分解することが回避できる。
カルボジイミド化合物の合成方法としては、例えば、触媒として、○,○−ジメチル−○−(3−メチル−4−ニトロフェニル)ホスホロチオエート、○,○−ジメチル−○−(3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル)ホスホロチオエート、○,○−ジエチル−○−2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イルホスホロチオエート等(○は、任意の数)の有機リン系化合物、または、例えばロジウム錯体、チタン錯体、タングステン錯体、パラジウム錯体等の有機金属化合物を用い、各種ポリマーイソシアネートを約70℃以上の温度で、無溶媒または不活性溶媒(例えば、ヘキサン、ベンゼン、ジオキサン、クロロホルム等)中で脱炭酸重縮合により製造するという方法が挙げられる。
市販のポリイソシアナート化合物としては、コロネート(日本ポリウレタン製商品名:水添ジフェニルメタンジイソシアネート)、またはミリオネート(日本ポリウレタン製商品名)等の、芳香族イソシアネートアダクト体が適用可能である。
特に、液状より固形物、例えばイソシアネート基をマスク剤(多価脂肪族アルコール、芳香族ポリオール等)でブロックしたポリイソシアネート化合物が好ましい。
具体的には、加水分解抑制剤の添加量は、約7重量%以下とすることが好ましい。
また、加水分解抑制剤は、上述した各化合物を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
例えば、生分解性を有する有機高分子化合物に、上述した植物繊維、及び加水分解抑制剤を溶融混練することにより製造することができる。
具体的には、生分解性を有する有機高分子化合物を溶融する前工程、あるいは溶融工程において植物繊維及び加水分解抑制剤を添加し混合する。
なお、植物繊維及び加水分解抑制剤は同時に添加してもよいし、個別に添加してもよい。個別に添加する場合、添加する順序は任意でよい。
また、生分解性を有する有機高分子化合物を溶融後、植物繊維又は加水分解抑制剤のいずれかを添加し、混合した後、得られた複合組成物を再び溶融し、加水分解抑制剤又は植物繊維のいずれか一方を添加し、混合するようにしてもよい。
添加剤の含有量は、0.1以上50重量%未満とすることが好適である。0.1重量%未満であると、それぞれの機能が発現されにくく、50重量%以上とすると、本発明の複合組成物が目的とする物性(生分解性、耐熱性、保存耐久性)を阻害するおそれがあるためである。
このような環境配慮の観点から、難燃系添加物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、若しくは水酸化カルシウム等の水酸化物系化合物や、上述したようなリン系化合物、特にリン酸アンモニウム、若しくはポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム系化合物や、二酸化ケイ素、低融点ガラス、若しくはオルガノシロキサン等のシリカ系化合物等が好ましい。
水酸化物系化合物の純度は、公知の方法で測定できる。例えば、水酸化物系化合物に含まれている不純物の含有量を公知の方法で測定し、全体量から前記不純物の含有量を減じれば、水酸化物系化合物の純度を得ることができる。具体的には、例えば水酸化アルミニウムの場合、不純物としてはFe2O3、SiO2、T−Na2O、S−Na2O等が挙げられる。Fe2O3の含有量は炭酸ナトリウム−ホウ酸液に融解後、O−フェナントロリン吸光光度法(JIS H 1901)により求められる。SiO2の含有量は炭酸ナトリウム−ホウ酸液に融解後、モリブテン青吸光光度法(JIS H 1901)により求められる。T−Na2Oの含有量は硫酸に融解後、フレーム光度測定法で、S−Na2Oは温水抽出後、フレーム光度測定法で求められる。上記により求められた含有量を水酸化アルミニウムの重量より減じることにより水酸化物の純度を得ることができる。もちろん99.5%以上の純度があれば、異なる複数種の難燃系水酸化物系化合物を組み合わせて用いることができる。
例えば、難燃系添加物がSiO2やガラス等のシリカ系化合物である場合、レーザー回折法により求められる平均粒径が約50μm以下であることが好ましい。なお、この場合において、粒度分布については特に限定されない。
また、難燃系添加物が、Al(OH)3、Mg(OH)2、Ca(OH)2等の水酸化物系化合物である場合、レーザー回折法により求められる平均粒子径が約100μm以下であることが好ましい。なお、この場合においても粒度分布は特に限定されない。
なお、組成物への充填率を向上させるため、平均粒子径の異なる複数種の難燃系添加剤を組み合わせて用いてもよい。
なお、組成物への充填率を向上させるため、BET比表面積の異なる複数種の難燃系水酸化化合物を組み合わせて用いてもよい。
また、成形性について考慮しても、BET比表面積は、約5.0m2/g以下が好適であり、特に小さい方がより好ましい。
具体的には、難燃系添加物が、Al(OH)3、Mg(OH)2、Ca(OH)2等の水酸化物系化合物である場合には、約5〜50重量%程度、好ましくは約7.5〜45重量%程度、更には約10〜40重量%程度とすることが望ましい。
難燃系添加物が、(NH4)3(PhO3n+1)n+2(nは自然数)等の(ポリ)リン酸アンモニウム系化合物の場合は、約1〜25重量%程度、好ましくは約2〜20重量%程度、更には、約3〜15重量%程度とすることが望ましい。
難燃系添加物が、SiO2やガラス等のシリカ系化合物である場合は、約5〜40重量%程度、好ましくは約10〜35重量%程度、更には約15〜30重量%程度とすることが望ましい。
無機フィラーとしては、例えば、炭素、二酸化珪素の他、アルミナ、シリカ、マグネシア、またはフェライト等の金属酸化微粒子、タルク、マイカ、カオリン、ゼオライト等の珪酸塩類、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、窒化珪素、炭化珪素などの珪化物、またはフラーレン等の微粒子等が挙げられる。
有機フィラーとしては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、またはテフロン(登録商標)樹脂が挙げられる。
特に炭素、二酸化珪素、珪化物が好適である。上述した各種フィラーは、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
キノリン系酸化防止剤としては、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
上述した酸化防止剤は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
特に、アルカリまたはアルカリ土類金属含有化合物(特にマグネシウム化合物やカルシウム化合物等のアルカリ土類金属含有化合物)、ゼオライト、またはハイドロタルサイト等が好適である。
上述した熱安定剤は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
具体的には、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキメトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシオクトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシドデシロキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシベンジロキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシメトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、または[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシオクトキシベンゾフェノン)−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
上述した紫外線吸収剤は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
特に、シリコン共重合体(樹脂にシリコンをブロックやグラフトにより重合させたもの)が好適である。
シリコン共重合体としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブチラール系樹脂、メラミン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂またはポリビニルエーテル系樹脂等に、シリコンをブロックまたはグラフト重合させたものであればよく、シリコングラフト共重合体を用いることが好ましい。
上述した潤滑剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述したワックス類は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機顔料としては、例えばクロム系顔料、カドミウム系顔料、鉄系顔料、コバルト系顔料、群青、紺青等が挙げられる。
また、有機顔料や染料の具体例としては、カーボンブラック、例えばフタロシアニン銅等のフタロシアニン顔料、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド等のキナクリドン顔料、ハンザイエロー、ジスアゾイエロー、パーマネントイエロー、パーマネントレッド、ナフトールレッド等のアゾ顔料、スピリットブラックSB、ニグロシンベース、オイルブラックBW等のニグロシン染料、オイルブルー、ピグメントイエロー、ピグメントブルー、ピグメントレッド、アルカリブルー等が挙げられる。
上述した着色剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した結晶化促進剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、生分解性高分子化合物の加水分解を抑制するために、活性エネルギー線を照射させてもよい。この場合、活性エネルギー線源としては、例えば電磁波、電子線、または粒子線、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
電磁波としては、紫外線(UV)、エックス線等が挙げられ、粒子線としては、陽子、中性子等の素粒子の線が挙げられる。特に、電子加速器の使用による電子線照射処理を施すことが望ましい。
活性エネルギー線は、公知の装置を用いて照射することができる。例えば、UV照射装置、電子加速器等が挙げられる。照射線量、及び照射強度は、本発明の複合組成物において、効果的に生分解性高分子化合物の加水分解を遅延する範囲であれば、とくに限定されない。例えば、電子線の場合、加速電圧が、約100〜5000kV程度が好ましく、照射線量としては、約1kGy程度以上が好ましい。
例えば、DVD(デジタルビデオディスク)プレーヤー、CD(コンパクトディスク)プレーヤー、アンプ等の据置型のAV機器、スピーカー、車載用AV/IT機器、携帯電話端末、電子書籍等のPDA、ビデオデッキ、テレビ、プロジェクター、テレビ受信機器、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、プリンター、ラジオ、ラジカセ、システムステレオ、マイク、ヘッドフォン、TV、キーボード、ヘッドフォンステレオ等の携帯型音楽機、パソコン、及びパソコン周辺機器等の電気製品の筐体等の各種成形品のいずれにも適用可能である。
具体的には、押出成形は、常法に従い、例えば単軸押出機、多軸押出機、タンデム押出機等の公知の押出成形機を用いて行うことができる。
また、射出成形は、常法に従い、例えばインラインスクリュ式射出成形機、多層射出成形機、二頭式射出成形機等の公知の射出成形機にて行うことができる。
なお、本発明は、下記に示す例に限定されるものではない。
(試料の調製)
(A)生分解性樹脂:ポリ乳酸(レイシア(H100J、三井化学株式会社製)
(B)植物繊維
(C)加水分解抑制剤
下記表1に示すように、上記(A)〜(C)を、表中に記載した量で、溶融混練法により混合した。
混練機としてはミニマックス−ミックスルーダ(東洋精機株式会社製)を使用し、ノズル温度を170〜175℃、トルクを4〜6kg、滞留時間を3秒以内とし、さらに所定の添加剤を加え、混練処理を行った。
上記工程により得られた複合組成物を粉砕し、その後、170℃で300kg/cm2のプレスをし、厚さ1.0mmの板状の成形品を作製した。
測定装置:レオメトリック社製粘弾性アナライザー
サンプル片:上記表1に示す組成の複合組成物(長さ50mm×幅7mm×厚さ1mm)
周波数:6.28(rad/s)
測定開始温度:0℃
測定最終温度:160℃
昇温速度:5℃/分
歪:0.05%
保存性の評価は、作製した複合組成物の分子量の変化を測定することで行った。
各サンプルの分子量を初期分子量として、80℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽内で、100時間保管し、その後に測定したサンプルの分子量を保存後の分子量とする。
保存後の分子量を初期の分子量で除した値を分子量維持率とし、この分子量維持率が90%を上回った場合に、実用上の保存性は良好である(○)とし、分子量維持率が90%以下であった場合は、実用上の保存性は不充分である(×)と判断し、下記表2にその結果を示した。
なお、分子量の測定方法を以下に示す。
分子量は、重量平均分子量(ポリスチレン換算分子量)であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定する。
装置:MILLIPORE Waters600E system controller
検出器:UV (Waters484)、及びRI (Waters410)
標準サンプル:ポリスチレン
操作:濃度が0.15重量%となるように、試料をクロロホルムに溶解させ、二時間攪拌した後、この溶液をφ0.25μmのフィルターを通して上記装置の評価サンプルとした。
図1に、実施例1〜5、及び比較例1のサンプルの、それぞれの粘弾性試験結果を示し、その評価を下記表2に示した。
図1に示すように、本発明の複合組成物により作製した実施例1〜5のサンプルは、生分解性樹脂(ポリ乳酸)のガラス転移温度(58℃程度)よりも高い温度範囲においても優れた強度を維持しており、植物繊維を含有しない比較例1のサンプルに比較して、極めて優れた耐熱性の向上効果が得られたことが分った。
下記表2に、実施例1〜5及び比較例1〜3のサンプルの、それぞれの保存性の評価得結果を示す。
すなわち、本発明の複合組成物は、高い耐熱性、安定性を有し、実用的な各種成形品に利用でき、かつ廃棄時には、最終的に生体や地球環境に対して安全な成分、例えば、水と二酸化炭素等も分解される、環境への影響が極めて少ない材料であり、これを各種電気製品の筐体や梱包材等の成形品に利用することで、廃棄による環境汚染を低減化することができる。
Claims (6)
- 少なくとも一の種類の生分解性を有する有機高分子化合物と、植物繊維と、前記生分解性を有する有機高分子化合物の加水分解抑制剤とを含有することを特徴とする複合組成物。
- 前記生分解性を有する有機高分子化合物が、多糖類、脂肪族ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコールのうちの少なくともいずれか、または、少なくともこれらのいずれかを含む共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の複合組成物。
- 前記脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリエチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリリンゴ酸、微生物合成ポリエステルのうちの少なくともいずれか、又は、少なくともこれらのいずれかを含む共重合体であることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
- 前記植物繊維が、綿繊維、または紙繊維であることを特徴とする請求項1に記載の複合組成物。
- 前記加水分解抑制剤が、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキソゾリン化合物のうちの少なくともいずれかの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の複合組成物。
- 少なくとも一の種類の生分解性を有する有機高分子化合物と、植物繊維と、前記生分解性を有する有機高分子化合物の加水分解抑制剤とを含有する複合組成物を用いて作製したことを特徴とする成形品。
Priority Applications (6)
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