JP2004359763A - 生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生分解性を有する有機高分子化合物を含有する生分解性樹脂組成物に対し、赤外線を照射して熱処理する。例えば、生分解性樹脂組成物を射出成型等により成形してなる成形品に対し、赤外線を照射して熱処理する。上記赤外線は遠赤外線であることが好ましい。また、上記生分解性樹脂組成物は、さらに上記生分解性樹脂組成物の加水分解を調整する加水分解調整剤を含有することが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する有機高分子化合物を含有する生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法に関するものであり、極めて短時間に物性改善を行うことが可能な新規な生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物の減量や再生資源の有効利用の観点から家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)が制定され、2001年4月より施行されている。ところが、テレビ等の大型の電気製品を除く小型の廃棄物については、リサイクルのシステムはほとんど普及しておらず、また、法的な規制も存在しない。このため、ほとんどの小型電気製品は、廃棄時に不燃ゴミとして廃棄されているのが現状であり、たとえ小型であっても、販売数が多い場合には多量の廃棄物を発生する結果となる。このことは、廃棄物処分場が不足している昨今、深刻な問題となっている。
【0003】
そこで、廃棄物処分場の不足対策として、廃棄物をシュレッダー処理する方法が一般的に行われている。しかしながら、このシュレッダー処理は、廃棄物の容積を減少させる方法としては有効であるが、廃棄物の大部分を自然環境では容易に分解されない合成樹脂が占めるため、埋め立て後、半永久的に廃棄物処分場に残存することになり、処分場不足問題の根本的解決とはなり得ない。また、埋め立て後の廃棄物が半永久的に残存することによって、生態系に影響を及ぼす恐れがある。仮に、シュレッダーされた廃棄物をマテリアルリサイクルする場合も、廃棄物を構成する全ての部品が一括して細かく粉砕されているため、例えば、銅等の有価値の素材と他の価値の低い素材とが混合されているため分離が困難であり、その結果回収される有価値の素材は低純度のものしか得られず、回収効果が悪化してしまう等の不都合がある。
【0004】
このような現状のもと、微生物の作用によって容易に分解されて低分子量化し、最終的には水と二酸化炭素とに分解する、いわゆる生分解性プラスチックが注目されている。生分解性プラスチックは、微生物等によって生化学的に分解されるので、自然環境に廃棄された場合であっても環境に対して無害な化合物に変化する。このため、各種電気製品に使用される既存の合成樹脂を生分解性プラスチックで置き換えることで、電気製品の廃棄に伴う地球環境への悪影響を低減させることができる。このような利点を有することから、生分解性プラスチックは、これまでに脂肪族ポリエステル樹脂を中心に、農林水産用資材(フィルム、植栽ポット、釣り糸、魚網等)、土木工事資材(保水シート、植物ネット等)、包装・容器分野(土、食品等が付着してリサイクルが難しいもの)、日用雑貨品、衛生用品、遊戯用品等を主とした使い捨て製品に対して実用化が進められている。
【0005】
また、生分解性プラスチックを電気製品に適用する場合には、例えば、電気製品の体積の大部分を占める筐体や構造体部分を生分解性プラスチックで構成し、電子部品、基板等の非生分解性からなる部品を、例えばビス止めや嵌めこみ構造等の解体が容易な構造としておく。これにより、簡単な解体処理で、リサイクルすべき部分とそのまま廃棄できる部分とを分離でき、これらをそれぞれの最適な処理に供することができる。
【0006】
また、人体に接触する機会の多い電気製品(例えば、ラジオ、マイク、首掛けテレビ、キーボード、ウォークマン、携帯電話、ラジカセ、イヤホン等)であっても、筐体の最表面を生分解性プラスチック素材で作製しておくことで、合成樹脂よりも高い安全性を実現することができる。
【0007】
ところで、生分解性プラスチックに対しては、自然界に存在する微生物によって速やかに分解されることの他に、特に電気製品の筐体や構造体として用いられるときには、従来の合成樹脂と同様に、ある程度の強度、耐水性、成型加工性、耐熱性等の物性が要求される。
【0008】
現在開発されている生分解性プラスチックは、分子骨格として脂肪族系ポリエステルを有するもの、ポリビニルアルコールを有するもの、多糖類を有するもの等に大別される。この中でも脂肪族系ポリエステル樹脂は、一般的に融点が低く、実用的な製品に適した物性、特に耐熱性が不充分であることから、脂肪族ポリエステル樹脂単独で家電製品や電子機器の筐体等に利用されることは困難とされていた。
【0009】
例えば、脂肪族ポリエステル樹脂の一種であるポリ乳酸は、極めて耐熱性に乏しい生分解性プラスチックとして知られており、ガラス転移温度(Tg)である60℃近辺を超えると貯蔵弾性率が例えば109Paから108Pa程度にまで急激に低下してしまう。このため、ポリ乳酸を単独で使用して成形品を成形し、この成形品を所望の形状の筐体に機械加工すると、摩擦熱等によって筐体が昇温した状態で機械加工のための外力が作用することによって変形を生じ、正確な仕上げが困難であるという問題がある。また、ポリ乳酸は、機械加工時に変形を起こさなかったとしても、ポリ乳酸を用いた成形品を例えば高温下で保存した場合(例えば、85℃で100時間エージングした場合)、変形をきたすという問題もある。したがって、例えば電気製品の筐体や構造材等へ、ポリ乳酸等の生分解性プラスチックの適用範囲を拡大する上で、耐熱性の向上は必須の課題であるといえる。
【0010】
そこで、脂肪族ポリエステル樹脂をはじめとする生分解性プラスチック全般の耐熱性を向上させる対策が、これまでに数多く提案されている。例えば、リン酸系、ソルビトール系等の結晶核剤の添加によって結晶化速度を向上させて、耐熱性(弾性率)を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、生分解性ポリエステルにタルクやマイカ等の無機フィラーを添加する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、生分解性プラスチックの耐熱性向上のため、生分解性プラスチックからなる成形品を温風乾燥機でアニールする方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0011】
【特許文献1】
特開平7−278374号公報
【0012】
【特許文献2】
特開2002−173583号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平9−268991号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、ポリプロピレンに対しては効果的であるが、生分解性ポリエステル等の生分解性プラスチックにおいては満足する結果が得られていない。
【0015】
また、特許文献2に記載の方法は、補強効果により耐熱性を向上させることができるが、この方法単独では電気製品の筐体材料に要求される物性スペックを完全に満足させるには不充分である。
【0016】
また、特許文献3に記載の方法の温風乾燥機でのアニールは、所望の耐熱性を得るために長時間の処理が必要となり、生産性の低下を引き起こすという不都合がある。
【0017】
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、例えば電気製品の筐体材料に要求されるような高い物性(弾性率)を実現するとともに、処理に要する時間を大幅に短縮することが可能な生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の目的を達成するために、長期に亘り種々の検討を重ねてきた。その結果、生分解性樹脂組成物からなる電子機器等の筐体が加熱時に変形を起こすのを防止する技術を検討する過程で、例えばポリ乳酸組成物製の筐体に赤外線、特に遠赤外線を照射することにより、ガラス転移点温度60℃以上の温度における貯蔵弾性率が約108Paから109Pa付近まで向上することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0019】
すなわち、本発明に係る生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法は、生分解性を有する有機高分子化合物を含有する生分解性樹脂組成物に対し、赤外線を照射することを特徴とする。
【0020】
以上のような構成の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法では、樹脂組成物に対して赤外線照射を行うことによって、生分解性樹脂組成物の結晶化を進行させ、弾性率を向上させ、耐熱性を向上させる。本発明の熱処理方法においては、熱処理に赤外線を利用するため、例えば従来のアニール処理に用いられる温風処理等と比較して、所望の耐熱性を得るための処理時間が飛躍的に短縮される。
【0021】
なお、上記赤外線は遠赤外線であることが好ましい。特定の波長範囲の赤外線を照射することによって、生分解性樹脂組成物の分子自体が振動し、生分解性樹脂組成物に対する物性改善のための処理が効果的に行われる。
【0022】
一般に、生分解性樹脂組成物をそのまま射出成形等で成形して作製した電気製品の筐体や構造材では、機械的強度が低いため、これを機械加工する際に変形が起こりやすく、所望の形状・構造を有する筐体等を歩留まり良く製造することは難しい。また、たとえ機械加工時に変形が生じなくても、高温下に所蔵した場合、高温下での使用時に変形が発生しやすいという難点がある。
【0023】
これに対し、本発明に係る弾性率向上方法により処理した生分解性樹脂組成物からなる筐体や構造体では、高温貯蔵時の寸法・形状安定性が向上し、反りが発生し難くなり、寸法が変化し難くなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
生分解性プラスチック(生分解性を有する有機高分子化合物)とは、通常のプラスチック製品と同じように使えて、しかも使用後は自然界において微生物が関与して低分子化合物、最終的には水と二酸化炭素に分解するプラスチックであると定義されている(生分解性プラスチック研究会、ISO/TC−207/SC3)。このように、生分解性プラスチックは、微生物の作用によって容易に分解されて低分子量化し、最終的には水と二酸化炭素とに分解されることから、環境負荷の小さい材料として注目されている。
【0026】
生分解性プラスチックは、様々な利点を有するが、機械的強度や耐熱性に乏しいという欠点があるため、生分解性プラスチック単独での電気製品の筐体や構造材等への適用が困難であるという不都合がある。
【0027】
そこで、生分解性プラスチックを含有する樹脂組成物を成形してなる成形品に対してアニール処理、すなわち熱処理を行うことによって、生分解性プラスチックの結晶化を進行させ、成形品の機械的強度(貯蔵弾性率E’)や耐熱性を向上させることが行われている。
【0028】
ただし、生分解性プラスチック成形品の耐熱性を向上させるうえで、熱処理は極めて有効な手法であるが、例えば温風加熱等の従来の方法で高い耐熱性を得るためには極めて長時間の熱処理が必要となり、生産性の低下を引き起こす原因となっていた。
【0029】
本発明においては、生分解性プラスチックを含有する成形品に対して赤外線を照射することによって、生分解性プラスチックの分子を振動・発熱させて熱処理を行う。これにより、従来の熱処理方法に比べて処理時間を飛躍的に短縮しつつ、所望の高い耐熱性を確保することができる。特に赤外線のうち遠赤外線領域の波長を使用することで、耐熱性向上のための熱処理を効果的に行うことができる。成形品を構成する有機高分子化合物の吸収特性は、短い波長の近赤外線領域の一部(3.5μm〜4μm)と、遠赤外線領域(5.5μm〜15μm)とに集中している。本発明では特に、上記波長範囲の遠赤外線を照射することによって分子運動(振動や振幅等)を活発にし、生分解性プラスチックを含有する樹脂組成物又は樹脂組成物の成形品を発熱させる。
【0030】
例えば、生分解性プラスチックの一種であるポリ乳酸を含有する樹脂組成物を所定の形状に成形してなる筐体に対して、遠赤外線を5分間〜10分間程度と極めて僅かな時間照射することによって、同様の筐体に対して温度70℃で2時間熱処理することにより得られる弾性率と同等の弾性率、すなわち耐熱性を得ることができる。すなわち、遠赤外線照射を採用することによって、耐熱性を得るための処理時間を従来手法に比べて飛躍的に短縮することができる。
【0031】
生分解性プラスチックを含有する成形品に対する赤外線の照射量は、例えばこれらの表面温度で規定することができる。例えば、赤外線照射中の生分解性プラスチックを含有する成形品の表面温度を、50℃〜100℃の範囲内とすることが好ましく、70℃〜85℃の範囲内とすることがより好ましい。表面温度を上記範囲内とすることによって、熱によるダメージを受けることなく、耐熱性の向上効果を確実に得ることができる。表面温度が上記範囲を下回ると、耐熱性向上効果が不十分となり、逆に上記範囲を上回ると成形品が熱変形を起こすおそれがある。成形品の表面温度は、成形品の表面にセンサを接触させることによって測定することができる。
【0032】
また、生分解性プラスチックを含有する成形品に対して赤外線を照射する際の赤外線の照射時間には最適範囲が存在し、具体的には1分〜30分の範囲内とすることが好ましく、2分〜15分の範囲内とすることがより好ましい。照射時間が上記範囲を下回ると、耐熱性向上効果が不十分となり、逆に、照射時間が上記範囲を上回ると、成形品が過剰に発熱して、熱分解や熱劣化を起こすおそれがある。
【0033】
生分解性プラスチックを含有する成形品に対して赤外線を照射する方法としては、極めて簡単な装置で多数の成形品に対して連続して赤外線照射可能であり、生産性を高められるといった利点を有することから、例えば、赤外線照射源が設けられた赤外線照射炉と、複数の成形品を保持した状態で赤外線照射炉内を連続的に搬送可能な成形品搬送手段とを有するコンベア式赤外線アニール装置を用いて行うことができる。勿論、赤外線を照射する方法がこの方法に限定されるわけではない。
【0034】
コンベア式赤外線アニール装置を用いて赤外線を照射する場合、通常は、生分解性樹脂組成物を金型内に射出して射出成型物とし、次いでコンベア式赤外線アニール装置により上記成形品に対して赤外線を照射する。このとき、生分解性プラスチックを含有する樹脂組成物を成形する方法としては、特に限定されず、溶融押出し機による射出成形等、公知の成形方法をいずれも利用できる。
【0035】
本発明で処理対象とする生分解性プラスチック(生分解性を有する有機高分子化合物)としては、例えば、微生物によって代謝されるポリエステル系のものを挙げることができ、中でも成形性、耐熱性、対衝撃性等のバランスしている脂肪族ポリエステル、又はそれを含む共重合体を用いることが好ましい。
【0036】
脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂、具体的には、乳酸、りんご酸、グルコース酸等のオキシ酸の重合体またはこれらの共重合体、特にポリ乳酸に代表されるヒドロキシカルボン酸系脂肪族系ポリエステル樹脂を挙げることができる。
【0037】
上記ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステル樹脂は、通常、環状ジエステルであるラクチド及び対応するラクトン類の開環重合による方法(いわゆるラクチド法)や、乳酸通接脱水縮合法等により得ることができる。
【0038】
また、上記ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステル樹脂を製造するための触媒としては、錫、アンチモン、亜鉛、チタン、鉄、アルミニウム化合物を例示することができ、中でも錫系触媒、アルミニウム系触媒が好ましく、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセテートが特に好適である。
【0039】
上記ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステル樹脂の中でも、ラクチド開環重合により得られるポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂は、ポリL体−乳酸に加水分解されて、最終的に、人体等に対しての安全性が確認されているL体−乳酸になる。したがって、本発明では、ラクチド開環重合により得られるポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。しかし、ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステル樹脂はこれに限定されることはなく、したがって、その製造に使用するラクチドについても、L体に限定されない。
【0040】
もちろんその他のポリエステルに分類される、例えばポリカプロラクトン、ポリヒドキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリエチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリコハク酸エステル、ポリシュウ酸エステル、ポリジグリコール酸ブチレン、ポリジオキサノン、微生物合成ポリエステルなども使用可能である。ここで、微生物合成ポリエステルとしては、3−ヒドロキシブチレート(3HB)、3−ヒドロキシバリレート(3HV)、またはその共重合体などが挙げられる。
また、生分解性プラスチックとしての多糖類としては、セルロース、デンプン、キトサン、デキストランもしくはそれら誘導体のいずれか、またはそれら一つを含む共重合体を挙げることができる。また、生分解性プラスチックとしては、例えばコラーゲン、カゼイン、フィブリン、ゼラチン等のポリペプチドや、例えばナイロン4、ナイロン2/ナイロン6共重合体等のポリアミド等を使用することもできる。
【0041】
さらに、低分子量では生分解性があるが、高分子量では生分解性の低い有機高分子化合物であっても、上記に例示した生分解性高分子化合物とのグラフト共重合などにより生分解性が得られるようになるものであれば、生分解性プラスチックとして本発明においてこれを用いることができる。そのような高分子量では生分解性の低い有機高分子化合物として、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリプロピレン、ポリウレタンなどが挙げられる。また、これらの樹脂の分子量や末端基については、機械的な強度が得られれば、特に制限はない。
【0042】
また、生分解性プラスチックとしては、上述したような化合物を単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0043】
本発明で用いられる生分解性高分子化合物は、公知の方法に従って製造することができる。例えば、生分解性ポリエステルは、▲1▼ラクチド法、▲2▼多価アルコールと多塩基酸との重縮合、または▲3▼分子内に水酸基とカルボキシル基とを有するヒドロキシカルボン酸の分子間重縮合などの方法により製造することができる。
【0044】
本発明に用いられる樹脂組成物は、上記のような生分解性プラスチックの他に、さらに生分解性プラスチックの加水分解を調整するための加水分解調整剤を含有することが好ましい。これにより、微生物等による生分解性プラスチックの生分解速度を使用目的に応じて調節することができる。加水分解調整剤としては、ポリエステル樹脂の末端官能基であるカルボン酸及び水酸基と反応性を有する化合物、例えば、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキソゾリン系化合物などが適用可能であるが、特に、カルボジイミド化合物がポリエステルと溶融混練でき、少量添加で加水分解性を調整できるため好適である。
【0045】
カルボジイミド化合物は、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)であり、例えば、触媒として有機リン系化合物または有機金属化合物を用い、各種ポリマーイソシアネートを約70℃以上の温度で、無溶媒または不活性溶媒中で脱炭酸縮合反応に付することにより合成することができるものを挙げることができる。
【0046】
上記カルボジイミド化合物に含まれるモノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ナフチルカルボジイミド等を例示することができ、これらの中では、特に工業的に入手が容易であるという面から、ジシクロヘキシルカルボジイミド或いは、ジイソプロピルカルボジイミドが好適である。本発明にて、上記カルボジイミド化合物の生分解性プラスチックへの混合は、押出機による溶融混練による方法を使用することができる。
【0047】
上記イソシアネート化合物は、公知の方法で容易に製造することができ、また市販品を適宜使用することができる。市販のポリイソシアナート化合物としては、コロネート(日本ポリウレタン製;水添ジフェニルメタンジイソシアネート)またはミリオネート(日本ポリウレタン製)等の芳香族イソシアネートアダクト体が適用可能である。なかでも、本発明にかかる組成物を溶融混練で製造する場合は、液状より固形物、例えばイソシアネート基をマスク剤(多価脂肪族アルコール、芳香族ポリオール等)でブロックしたポリイソシアネート化合物の使用が好ましい。
【0048】
なお、本発明の生分解性プラスチックの生分解速度は、加水分解調整剤の種類及び配合量によりその遅延を調節することができるので、目的に応じて配合するカルボジイミド化合物の種類、及び配合量を適宜決定すればよい。
【0049】
また、生分解性プラスチックを含有する樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、公知の他の添加剤が含有されていてもよい。前記公知の他の添加剤としては、補強材、無機または有機フィラー、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等の他、滑剤、ワックス類、着色剤、結晶化促進剤、デンプンのような分解性を有する有機物等が挙げられる。これらは、単独で用いても、複数の組み合わせて用いてもかまわない。
【0050】
前記補強材としては、例えばガラスマイクロビーズ、炭素繊維、チョーク、例えばノボキュライト(novoculite)のような石英、アスベスト、長石、雲母、タルク、ウォラストナイトのようなケイ酸塩、カオリン等が挙げられる。また、無機フィラーとしては例えば炭素、二酸化珪素の他、アルミナ、シリカ、マグネシア、またはフェライト等の金属酸化微粒子、例えばタルク、マイカ、カオリン、ゼオライト等の珪酸塩類、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、またはフラーレン等の微粒子等が、また、有機フィラーとしては例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、またはポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン)が挙げられる。中でも、炭素、二酸化珪素が好ましい。上記フィラーは1種または2種以上を混合して使用してもかまわない。
【0051】
難燃系添加物においては、使用できる化合物に特に制限はない。前記難燃系添加物としては、例えば、各種のホウ酸系難燃化合物、リン系難燃化合物、無機系難燃化合物、チッソ系難燃化合物、ハロゲン系難燃化合物、有機系難燃化合物、コロイド系難燃化合物等が挙げられる。以下に示す難燃系添加物は、一種あるいは二種以上用いても構わない。
【0052】
ホウ酸系難燃化合物としては、例えば、ホウ酸亜鉛水和物、メタホウ酸バリウム、ほう砂などのホウ酸を含有する化合物等が挙げられる。リン系難燃化合物としては、例えば、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、赤燐、リン酸エステル、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(モノクロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリアリルフォスフェート、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス−β−クロロプロピルホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、テトラキス(2−クロロエチル)エチレン・ジフォスフェート、ジメチルメチルフォスフェート、トリス(2−クロロエチル)オルトリン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合有機リン酸エステル、エチレン・ビス・トリス(2−シアノエチル)ホスフォニウム・ブロミド、ポリリン酸アンモニウム、β−クロロエチルアッシドフォスフェート、ブチルピロフォスフェート、ブチルアッシドフォスフェート、ブトキシエチルアッシドフォスフェート、2−エチルヘキシルアッシドフォスフェート、メラミンリン酸塩、含ハロゲンフォスホネート、またはフェニル・フォスフォン酸等のリンを含有する化合物が挙げられる。
【0053】
無機系難燃化合物としては、例えば、硫酸亜鉛、硫酸水素カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンチモン、硫酸エステル、硫酸カリウム、硫酸コバルト、硫酸水素ナトリウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸ナトリウム、硫酸ニッケル、硫酸バリウム、硫酸マグネシウムなどの硫酸金属化合物、硫酸アンモニウムなどのアンモン系難燃化合物、フェロセンなどの酸化鉄系燃焼触媒、硝酸銅などの硝酸金属化合物、酸化チタンなどのチタンを含有する化合物、スルファミン酸グアニジンなどのグアニジン系化合物、その他、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、錫系化合物、炭酸カリウムなどの炭酸塩化合物、水酸化アルミニウム、または水酸化マグネシウム等の水酸化金属およびそれらの変性物が挙げられる。
【0054】
チッソ系難燃化合物としては、例えば、トリアジン環を有するシアヌレート化合物等が挙げられる。ハロゲン系難燃化合物としては、例えば、塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス・ジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、エチレンビス・テトラブロモフタルイミド、ジブロモエチル・ジブロモシクロヘキサン、ジブロモネオペンチルグリコール、2,4,6−トリブロモフェノール、トリブロモフェニルアリルエーテル、テトラブロモ・ビスフェノールA誘導体、テトラブロモ・ビスフェノールS誘導体、テトラデカブロモ・ジフェノキシベンゼン、トリス−(2,3−ジブロモプロピル)−イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、トリブロモスチレン、トリブロモフェニルマレイニド、トリブロモネオペンチル・アルコール、テトラブロモジペンタエリスリトール、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモフェノール、ペンタブロモトルエン、ペンタブロモジフェニルオキシド、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモフェノールエーテル、オクタジブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルオキシド、マグネシウムヒドロキシド、ジブロモネオペンチルグリコールテトラカルボナート、ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド、N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン、臭化スチレン、またはジアリルクロレンデート等のハロゲンを含有する難燃化合物が挙げられる。
【0055】
有機系難燃化合物としては、例えば、無水クロレンド酸、無水フタル酸、ビスフェノールAを含有する化合物、グリシジルエーテルなどのグリシジル化合物、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、変性カルバミド、シリコーンオイル、または二酸化ケイ素、低融点ガラス、オルガノシロキサン等のシリカ系化合物が挙げられる。
【0056】
コロイド系難燃化合物としては、例えば、従来から使用されている難燃性を持つ水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物、アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂、カオリンクレーなどの水和物、硝酸ナトリウムなどの硝酸化合物、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物、アンチモン化合物、ドーソナイト、またはプロゴパイト等の難燃性化合物のコロイド等が挙げられる。
【0057】
前記酸化防止剤としては、例えばフェノール系、アミン系、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、またはキノリン系酸化防止剤等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のC2−10アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6 アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のジまたはトリオキシC2−4 アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6 アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばグリセリントリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のC3−8 アルカントリオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6 アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のC4−8 アルカンテトラオールテトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6 アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばn−オクタデシル−3−(4’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、ステアリル−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンムアミド)、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、または1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン等が挙げられる。
【0058】
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、またはN−フェニル−N’−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミン等が挙げられる。
【0059】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、トリス[2−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス[2,4−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファト、トリス(2−t−ブチル−4−フェニルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物;トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルフェニル−p−アニシルホスフィン、p−アニシルジフェニルホスフィン、p−トリルジフェニルホスフィン、ジ−p−アニシルフェニルホスフィン、ジ−p−トリルフェニルホスフィン、トリ−m−アミノフェニルホスフィン、トリ−2,4−ジメチルフェニルホスフィン、トリ−2,4,6―トリメチルフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−o―アニシルホスフィン、トリ−p−アニシルホスフィン、または1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン等のホスフィン化合物等が挙げられる。
【0060】
ヒドロキノン系酸化防止剤としては、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン等が挙げられ、キノリン系酸化防止剤としては、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等が挙げられ、イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。中でも、好ましい酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤(特に、ヒンダードフェノール類)、例えば、ポリオール−ポリ[(分岐C3−6 アルキル基およびヒドロキシ基置換フェニル)プロピオネート]等が挙げられる。また酸化防止剤は単独でまたは二種以上使用してもかまわない。
【0061】
前記熱安定剤としては、例えばポリアミド、ポリ−β−アラニン共重合体、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、メラミン、シアノグアニジン、メラミン−ホルムアルデヒド縮合体等の塩基性窒素含有化合物等の窒素含有化合物;有機カルボン酸金属塩(ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等)、金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等)、金属炭酸塩等のアルカリまたはアルカリ土類金属含有化合物;ゼオライト;またはハイドロタルサイト等が挙げられる。特に、アルカリまたはアルカリ土類金属含有化合物(特にマグネシウム化合物やカルシウム化合物等のアルカリ土類金属含有化合物)、ゼオライト、またはハイドロタルサイト等が好ましい。また熱安定剤は単独でまたは二種以上使用してもかまわない。
【0062】
上記紫外線吸収剤としては、従来公知のベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリチレート系またはシュウ酸アニリド系等が挙げられる。例えば、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキメトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシオクトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシドデシロキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシベンジロキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシメトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、または[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシオクトキシベンゾフェノン)−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。また紫外線吸収剤は単独でまたは二種以上使用してもかまわない。
【0063】
前記滑剤としては、例えば、流動パラフィン等の石油系潤滑油;ハロゲン化炭化水素、ジエステル油、シリコン油、フッ素シリコン等の合成潤滑油;各種変性シリコン油(エポキシ変性、アミノ変性、アルキル変性、ポリエーテル変性等);ポリオキシアルキレングリコール等の有機化合物とシリコンとの共重合体等のシリコン系潤滑性物質;シリコン共重合体;フルオロアルキル化合物等の各種フッ素系界面活性剤;トリフルオロ塩化メチレン低重合物等のフッ素系潤滑物質;パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類;高級脂肪族アルコール、高級脂肪族アミド、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸塩、または二硫化モリブデン等が挙げられる。これらの中でも、特に、シリコン共重合体(樹脂にシリコンをブロックやグラフトにより重合させたもの)の使用が好ましい。シリコン共重合体としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブチラール系樹脂、メラミン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂またはポリビニルエーテル系樹脂等に、シリコンをブロックまたはグラフト重合させたものであればよく、シリコングラフト共重合体を用いるのが好ましい。これらの潤滑物質は、1種でもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0064】
上記ワックス類としては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックスやパラフィンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ミクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、脂肪酸アミド系ワックス、高級脂肪族アルコール系ワックス、高級脂肪酸系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス等が挙げられる。これらのワックス類は単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて併用されてもよい。
【0065】
前記着色剤としては、無機顔料、有機顔料または染料等が挙げられる。無機顔料としては、例えばクロム系顔料、カドミウム系顔料、鉄系顔料、コバルト系顔料、群青、または紺青等が挙げられる。また、有機顔料や染料の具体的な例としては、例えばカーボンブラック;例えばフタロシアニン銅のようなフタロシアニン顔料;例えばキナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッドのようなキナクリドン顔料;例えばハンザイエロー、ジスアゾイエロー、パーマネントイエロー、パーマネントレッド、ナフトールレッドのようなアゾ顔料;例えばスピリットブラックSB、ニグロシンベース、オイルブラックBWのようなニグロシン染料、オイルブルー、またはアルカリブルー等が挙げられる。また着色剤は単独でまたは二種以上使用してもかまわない。
【0066】
前記結晶化促進剤としては、例えば、p−t−ブチル安息香酸ナトリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム等の有機酸塩類;例えば炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク等の無機塩類;例えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸化物等が挙げられる。これらの結晶化促進剤は、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
また、耐熱性を向上させるために、成形品を例えば相対湿度80%の高湿環境下で保存してもよい。
【0068】
以上のように本発明の熱処理方法によれば、赤外線を照射して熱処理を行うため、生分解性プラスチック成形品の物性を高めるための熱処理を行うための時間を従来の方法に比べて飛躍的に短縮することができ、生産性の向上に貢献することができる。また、本発明によれば、熱処理を施された成形品を機械加工する際の熱変形によって、成形品の外形寸法が変化するおそれがなくなり、所望の形状の製品を歩留まり良く製造することができる。また、本発明によれば、生分解性プラスチック成形品又は成形品を機械加工した後の製品を高温下で貯蔵した場合であっても、反りや寸法変化を生じにくく、高い寸法安定性を実現することができる。
【0069】
また、本発明の熱処理方法を施された生分解性プラスチック成形品は、弾性率が大幅に向上し、例えば温度85℃、相対湿度80%の条件下で100時間のエージングテストを行った場合であっても変形を起こさない。したがって、本発明は、例えば電気製品の筐体や構造材等の厳しい耐熱性が要求される製品の製造方法に適用して好適であり、生分解性プラスチックの用途を拡大することができる。本発明により製造された生分解性プラスチックからなる筐体等の成形品は、そのまま廃棄しても微生物によって分解されるため半永久的に処分場に残留するようなことがなく、また、通常の樹脂と同様にマテリアルリサイクルに供してもよいので、廃棄時の処理方法を幅広い選択肢から選ぶことができる。また、生分解性プラスチックは、重金属、有機塩素化合物等の有害物質を含有していないので、本発明により製造された生分解性プラスチックからなる筐体等の成形品は、そのまま廃棄又は焼却されても有害物を発生するおそれがなく、さらに、生分解性プラスチック組成物を構成する生分解性樹脂が穀物資源を原料とする場合には、石油等の枯渇資源を使用する必要がないという利点もある。
【0070】
なお、上述の説明では、生分解性プラスチックを含有する樹脂組成物の成形品を取り出した後、赤外線照射によって熱処理をする方法を例に挙げて説明したが、本発明は、例えば生分解性プラスチックを含有する樹脂組成物の成形時(成形直後等)に、例えば金型内等で赤外線照射による熱処理を行ってもよく、この場合も、上述の成形品と同様の効果を得ることができる。
【0071】
【実施例】
次に、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
【0072】
〈比較例1〉
比較例1では、赤外線照射等の熱処理を全く行わない場合の、生分解性プラスチックの耐熱性について検討した。すなわち、ポリ乳酸であるネーチャーワークス・4000グレード(カーギル・ダウ社製)、カルボジイミド化合物、タルク、ポリブチレンサクシネート、その他添加剤より構成される生分解性プラスチック組成物を金型内に射出して射出成形品を作製した。そして、この成形品について、貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を図1に示す。図1から明らかなように、貯蔵弾性率(E’)は、ガラス転移点温度(Tg)付近(60℃)から急激に減少し、75℃付近で最小値108Paを示した。その後、貯蔵弾性率(E’)は急激に上昇し、120℃付近から160℃までほぼ一定の値を示した。
【0073】
〈比較例2〉
比較例2では、比較例1と同様の組成の生分解性プラスチック成形品に対して、従来の熱処理方法として温風加熱処理を行った場合の耐熱性について検討した。すなわち、ポリ乳酸であるネーチャーワークス・4000グレード(カーギル・ダウ社製)、カルボジイミド化合物、タルク、ポリブチレンサクシネート、その他添加剤より構成される生分解性プラスチック組成物を金型内に射出して射出成形品を作製した。そして、この成形品に対して、公知の手法である温風乾燥機を用いて80℃、5時間の熱処理を行った。そして、この熱処理後の成形品について比較例1と同様に貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を図1に示す。貯蔵弾性率(E’)は、70℃付近で109Pa付近まで向上していた。したがって、比較例2は、比較例1に比べて耐熱性の向上が観察された。
【0074】
〈比較例3〉
比較例3では、比較例1及び比較例2とは樹脂組成物の組成を変更して成形品を作製し、比較例1と同様に、赤外線照射等の熱処理を全く行わない場合の、生分解性プラスチックの耐熱性について検討した。すなわち、ポリ乳酸であるネーチャーワークス・4000グレード(カーギル・ダウ社製)、カルボジイミド化合物、タルク、ポリブチレンサクシネート、生分解性プラスチックの一種であるエコフレックス(BASFジャパン社製)、その他添加剤より構成される生分解性プラスチック組成物を金型内に射出して射出成形品を作製した。そして、この成形品について比較例1と同様に貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を図2に示す。貯蔵弾性率(E’)は、ガラス転移点温度(60℃)付近から減少し、75℃付近で最小値109Paを示した。その後、貯蔵弾性率(E’)は、急激に上昇し、120℃付近から160℃までほぼ一定の値を示した。
【0075】
〈比較例4〉
比較例4では、比較例3と同様の組成の生分解性プラスチック成形品に対して、従来の熱処理方法として温風加熱処理を行った場合の耐熱性について検討した。すなわち、ポリ乳酸であるネーチャーワークス・4000グレード(カーギル・ダウ社製)、カルボジイミド化合物、タルク、ポリブチレンサクシネート、生分解性プラスチックの一種であるエコフレックス(BASFジャパン社製)、その他添加剤より構成される生分解性プラスチック組成物を金型内に射出して射出成形品を作製した。そして、この成形品に対して、公知の手法である循環熱風乾燥機を用いて70℃2時間の熱処理を行った。そして、この熱処理後の成形品について比較例3と同様に貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を図2に示す。貯蔵弾性率(E’)は、70℃付近で109Pa付近まで向上していた。したがって、比較例4は、比較例3に比べて耐熱性の向上が観察された。
【0076】
〈実施例1〉
実施例1では、成形品に対して遠赤外線を照射した場合の耐熱性について検討した。すなわち、ポリ乳酸であるネーチャーワークス・4000グレード(カーギル・ダウ社製)、カルボジイミド化合物、タルク、ポリブチレンサクシネート、及びその他添加剤より構成される生分解性プラスチック組成物を金型内に射出して射出成形品を作製した。そして、この成形品に対して波長6.00〜6.85μmの遠赤外線を照射して熱処理を行った。このときの熱処理条件は、成形品の表面温度を85℃、遠赤外線の照射時間を5分間とした。表面温度は、成形品の表面にセンサを接触させることによって測定した。結果を図1に示す。この結果、実施例1においては、比較例1で観察されたガラス転移点温度付近における貯蔵弾性率(E’)の急激な減少が解消され、温風乾燥機内での70℃2時間アニールを行った場合(比較例2)とほぼ同じ程度にまで、70℃付近の貯蔵弾性率(E’)の向上が観察された。
【0077】
〈実施例2〉
実施例2では、遠赤外線の照射による熱処理条件を実施例1とは変化させて、耐熱性について検討した。すなわち、ポリ乳酸であるネーチャーワークス・4000グレード(カーギル・ダウ社製)、カルボジイミド化合物、タルク、ポリブチレンサクシネート、その他添加剤より構成される生分解性プラスチック組成物を金型内に射出して射出成形品を作製した。そして、この成形品に対して波長6.39〜7.18μmの遠赤外線を照射して熱処理を行った。このときの熱処理条件は、成形品の表面温度を80℃、遠赤外線の照射時間を7分間とした。結果を図1に示す。実施例2においては、実施例1と同様に、比較例1で観察されたガラス転移点温度付近における貯蔵弾性率(E’)の急激な減少が解消され、温風乾燥機内での70℃2時間アニールを行った場合(比較例2)とほぼ同じ程度にまで70℃付近の貯蔵弾性率(E’)の向上が観察された。
【0078】
〈実施例3〉
実施例3では、比較例3と同様の樹脂組成物で成形品を作製し、実施例1と同様の条件で熱処理を行った場合の耐熱性について検討した。すなわち、ポリ乳酸であるネーチャーワークス・4000グレード(カーギル・ダウ社製)、カルボジイミド化合物、タルク、ポリブチレンサクシネート、生分解性プラスチックの一種であるエコフレックス(BASFジャパン社製)、その他添加剤より構成される生分解性プラスチック組成物を金型内に射出して射出成形品を作製した。そして、この成形品に対して波長6.29〜7.01μmの遠赤外線を照射して熱処理を行った。このときの熱処理条件は、成形品の表面温度を85℃、遠赤外線の照射時間を7分間とした。結果を図2に示す。この結果、実施例3においては、比較例3で観察されたガラス転移点温度付近における貯蔵弾性率(E’)の急激な減少が解消され、70℃付近における貯蔵弾性率(E’)が109Pa程度まで大幅に向上したことが確認された。
【0079】
〈実施例4〉
実施例4では、比較例3と同様の樹脂組成物で成形品を作製し、下記の条件で遠赤外線の照射を行った場合の耐熱性について検討した。すなわち、ポリ乳酸であるネーチャーワークス・4000グレード(カーギル・ダウ社製)、カルボジイミド化合物、タルク、ポリブチレンサクシネート、生分解性プラスチックとしてエコフレックス(BASFジャパン社製)エコフレックス、その他添加剤より構成される生分解性プラスチック組成物を金型内に射出して射出成形品を作製した。そして、この成形品に対して波長7.01〜7.56μmの遠赤外線を照射して熱処理を行った。このときの熱処理条件は、成形品の表面温度を80℃、遠赤外線の照射時間を10分間とした。結果を図2に示す。この結果、実施例4においては、実施例3と同様に、比較例3で観察されたガラス転移点温度付近における貯蔵弾性率(E’)の急激な減少が解消され、70℃付近における貯蔵弾性率(E’)が109Pa程度まで大幅に向上したことが確認された。
【0080】
以上の実験結果から、生分解性プラスチックを含有する樹脂を成形してなる成形品に対して赤外線、特に遠赤外線を照射して熱処理を行うことによって、ガラス転移温度付近の貯蔵弾性率(E’)の急激な低下が改善されており、したがって、耐熱性を向上させることができることがあきらかとなった。このとき、熱処理に必要とする処理時間は、1分〜30分の範囲内、特に好ましくは2分〜15分の範囲内と極めて短時間で済み、熱処理時間を従来に比べて大幅に短縮することができる。
【0081】
なお、本実験では以下のような仕様の遠赤外線照射装置を用いて、生分解性プラスチックに対する熱処理を行った。
測定装置:二葉科学社製、コンベヤー式アニール機(FR−24 413型、プラスチック成形品・押出し成形用)
装置仕様:(寸法)全長2400mm、炉長1500mm、赤外線照射部1250mm
コンベアm/m:材質SUSワイヤーベルト、幅寸法(W)400mm〜450mm、搬送速度0〜800/min
アニール方式:遠赤外線照射、熱風併用
遠赤外線ヒーター:MBP−EX(A)600〔高分子材料用〕
電源:AC3 200V 50/60Hz
電気容量:19.5kW/h
温度制御区分:赤外線特性温度:6系統、空気温度:1系統
温度制御方式:PID制御 SSR駆動
温度制御モード:高温・低温
吸気・排気:強制吸気・排気 排気ダクト径φ98m/m
安全機構・警報:非常停止、各動作インターロック、過昇温度警報、温度異常検出
【0082】
また、貯蔵弾性率(E’)及びガラス転移温度(Tg)は、以下の測定装置を用いて測定した。
測定装置:レオメトリック社製、粘弾性アナライザー
サンプル片:長さ50mm×幅7mm×厚さ1mm
周波数:6.28(rad/s)
測定開始温度:25℃(室温付近)
測定最終温度:160℃
昇温速度:5(℃/min)
歪:0.05%
【0083】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法によれば、赤外線を照射することで、生分解性プラスチックの弾性率を極めて短時間に向上させることができ、機械的強度及び耐熱性の大幅な向上を図ることができる。したがって、本発明に係る弾性率向上方法にしたがって処理することにより、高温貯蔵時の寸法・形状安定性に優れ、反りや寸法変化が生じ難い生分解性プラスチックの成形体を得ることが可能である。また、このとき、成形体の処理に長時間を要することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2についての、ポリ乳酸を主成分とする生分解性樹脂組成物の温度と貯蔵弾性率との関係を示すグラフである。
【図2】実施例3、実施例4、比較例3及び比較例4についての、ポリ乳酸を主成分とする生分解性樹脂組成物の温度と貯蔵弾性率との関係を示すグラフである。
Claims (14)
- 生分解性を有する有機高分子化合物を含有する生分解性樹脂組成物に対し、赤外線を照射することを特徴とする生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- 生分解性を有する有機高分子化合物を含有する生分解性樹脂組成物を成形してなる成形品に対し、赤外線を照射することを特徴とする請求項1記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- 上記赤外線は遠赤外線であることを特徴とする請求項1記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- 上記生分解性樹脂組成物は、さらに当該生分解性樹脂組成物の加水分解を調整する加水分解調整剤を含有することを特徴とする請求項1記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- 上記成形品の表面温度が50℃〜100℃の範囲内となるように、上記成形品に対して赤外線を照射することを特徴とする請求項2記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- 上記成形品の表面温度が70℃〜85℃の範囲内となるように、上記成形品に対して赤外線を照射することを特徴とする請求項5記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- 上記成形品に対する赤外線の照射時間を、1分〜30分の範囲内とすることを特徴とする請求項2記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- 上記成形品に対する赤外線の照射時間を、2分〜15分の範囲内とすることを特徴とする請求項7記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- 上記生分解性樹脂組成物は、生分解性を有する有機高分子化合物として、脂肪族ポリエステル、多糖類、ポリアミノ酸、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール又はこれらのうち少なくとも1種を含む共重合体から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- 上記脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリエチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリリンゴ酸、微生物合成ポリエステル又はこれらのうち少なくとも一種を含む共重合体であることを特徴とする請求項9記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- 上記加水分解調整剤は、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物又はオキソゾリン化合物であることを特徴とする請求項4記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- コンベア式赤外線アニール装置により上記成形品に対して赤外線を照射することを特徴とする請求項2記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- 生分解性樹脂組成物を金型内に射出して射出成型物とし、次いでコンベア式赤外線アニール装置により上記成形品に対して赤外線を照射することを特徴とする請求項12記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
- コンベア式赤外線アニール装置は、赤外線照射源が設けられた赤外線照射炉と、複数の上記成形品を保持した状態でこの赤外線照射室炉内を連続して搬送する成形品搬送手段とを有することを特徴とする請求項12記載の生分解性樹脂組成物の弾性率向上方法。
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