JP2007099861A - 複合組成物及び複合組成物を用いた成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、二種類の生分解性を有する有機高分子化合物と、ウィスカーと、前記生分解性を有する有機高分子化合物の加水分解抑制剤とを含有し、前記生分解性を有する有機高分子化合物のうちの少なくとも一の有機高分子化合物の、ガラス転移温度が、室温以下であるものとした複合組成物を作製する。
【選択図】なし
Description
しかし、焼却処理は二酸化炭素の排出を伴うために、地球温暖化の原因となる。
また、樹脂中に硫黄、窒素、ハロゲン等が含有されていると、焼却処理により有害ガスが排出され、大気汚染を引き起こす原因となる。
一方、樹脂を埋め立てると、現在汎用されている殆どの樹脂は化学的に極めて安定であるため長期間分解されずに残存し、土壌汚染の原因になる。
生分解性樹脂とは、微生物等により生化学的に二酸化炭素及び水等に分解される性質を有するものであり、自然環境へ廃棄された場合においても容易に分解して低分子量化し、最終的に無害な化合物に変化するものである。そのため、廃棄に伴う地球環境に対する悪影響を低減化させることができるという特長を有している。このような理由から、生分解性樹脂は、特に、日用雑貨品、衛生用品、遊戯用品等の使い捨て製品に実用化が進められている。
例えば、工業用・土木用・漁業資材、機械部品、医療用部材等に適用される材料は、特性として優れた耐熱性が要求されるが、従来公知の生分解性樹脂は、材料そのものとしては、耐熱性が比較的低いため、かかる観点において改善が要求されてきた。
その一つの方法として樹脂中にウィスカーを充填させる技術があり、具体的にポリ乳酸にウィスカーを配合する技術についての提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
更に、例えば小形のオーディオ商品では、実用上の使用性を考慮すれば、30℃、相対湿度80%の条件下で、少なくとも5〜7年は強度等の物性が維持されることが必要であると言えるが、上述したような従来提案されている各種技術においては、未だ充分な保存特性が実現できておらず、今後においては、この課題を解決するための耐久性(恒温恒湿環境下における耐久性)の向上を図ることが必要である。
本発明の複合組成物は、自然環境下において最終的に無害な物質に生分解され、環境への影響を効果的に低減化でき、また、例えば駆動源や電源等の熱源をもつ機器等の筐体として利用した場合においても、実用上充分な機械的強度、耐熱性、及び使用耐久性(保存特性)を発揮できた。
すなわち本発明の複合組成物は、生分解性樹脂、ウィスカー、加水分解抑制剤の三元系を有するものとしたため、生分解性、耐熱性、機械的強度、及び保存耐久性のいずれにおいても実用上満足できる特性を兼ね備えたものとなった。
本発明の複合組成物は、少なくとも二種類の生分解性を有する有機高分子化合物と、ウィスカーと、前記生分解性を有する有機高分子化合物の加水分解抑制剤とを含有するものであり、前記生分解性を有する有機高分子化合物のうちの少なくとも一の有機高分子化合物のガラス転移温度が室温以下であるものとする。
生分解性を有する有機高分子化合物(以下、「生分解性高分子化合物」という)は、使用後は自然界において微生物が関与して低分子化合物、最終的に水と二酸化炭素に分解する化合物(生分解性プラスチック研究会、ISO/TC−207/SC3)であるものとする。
本発明においては、少なくとも二種類の生分解性を有する有機高分子化合物を適用するが、脂肪族ポリエステルが混合性や量産性に優れていることから、本発明で用いる樹脂として好ましい。
ポリ乳酸は、植物原料よりなるものであるため、環境保全の観点から特に好ましい材料であり、強度が高く、低価格であるため、コスト低減化の観点からも好適である。
一般的なポリ乳酸は、融点が160〜170℃程度、ガラス転移温度が58℃程度の生分解性に優れた結晶性ポリマーであるが、本発明においては、かかるガラス転移温度よりも耐熱性を向上させ、耐久消費材として求められる保存性も合わせて併せて確保する複合組成物を得る。
また、本発明の複合組成物においては、後述するように、生分解性有機高分子化合物のうちの少なくとも一の有機高分子化合物は、ガラス転移温度が室温以下であるものを適用する。
なお、生分解性有機高分子化合物の分子量や、分子末端基については、特に制限されるものではない。
例えば、生分解性ポリエステルは、ラクチド法、多価アルコールと多塩基酸との重縮合、または、分子内に水酸基とカルボキシル基とを有するヒドロキシカルボン酸の分子間重縮合等の方法により作製することができる。
例えば天然ゴム、ポリカプロラクトン、ポリヒドキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリコハク酸エステル、ポリシュウ酸エステル、ポリジグリコール酸ブチレン、ポリジオキサノン、微生物合成ポリエステル等が挙げられる。
微生物合成ポリエステルとしては、3−ヒドロキシブチレート(3HB)、3−ヒドロキシバリレート(3HV)、またはその共重合体等が挙げられる。
これらの共重合体の例としては、ポリブチレンアジペート-ブチレンテレフタレート共重合体(商標名エコフレックス BASFジャパン(株))、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート(商標名バイオマックス デュポン社)、ポリカプロラクトン-サクシネート、ポリブチレンサクシネート-アジペート、ポリブチレンサクシネート-カーボネート等が挙げられる。
なお、上記のガラス転移点が室温以下の生分解性有機高分子化合物の含有量は、質量比で、ポリ乳酸が100に対し20〜50が好ましく、更には25〜45とすることが望ましい。
ウィスカーとは一般的に、針状の物質の総称であり、例えばヒゲ状結晶をウィスカーと称する。
ウィスカーの材料としては、金属、金属酸化物、金属窒化物等の無機化合物が適用でき、具体的には、アルミニウム、ニッケル、銅、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、チタン酸アルミン酸カリウム、二酸化チタン、珪酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸ニッケル、アルミナ、窒化ケイ素等が挙げられる。
ウィスカーは、一種類のみで用いてもよく、また二種類以上を併用しても良い。
また、ウィスカーは公知の方法で作製でき、市販品を適宜使用することもできる。
更には、ウィスカーと前述した生分解性高分子化合物との親和性や、ウィスカーの分散性を向上させるため、化学的な表面処理を施してもよい。
表面処理としては、アセチル化、ベンゾイル化等のアシル化処理や、シランカップリング処理等が挙げられる。これらは公知の方法で処理することができる。
ウィスカーの含有量が0.1重量%未満であると、最終的に得られる複合組成物において充分な耐熱性向上効果が得られず、一方において60重量%を超えると、機械的強度の低下を招来する。
加水分解抑制剤は、本発明において適用する二種以上の生分解性高分子化合物の加水分解を抑制する添加剤であり、例えば、生分解性高分子化合物の活性水素と反応性を有する化合物が挙げられる。これにより、生分解性高分子化合物中の活性水素量が低減し、活性水素が触媒的に生分解性高分子鎖を加水分解することが回避できる。
カルボジイミド化合物の合成方法としては、例えば、触媒として、O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)ホスホロチオエート、O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル)ホスホロチオエート、O,O−ジエチル−O−2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イルホスホロチオエート等(○は、任意の数)の有機リン系化合物、または、例えばロジウム錯体、チタン錯体、タングステン錯体、パラジウム錯体等の有機金属化合物を用い、各種ポリマーイソシアネートを約70℃以上の温度で、無溶媒または不活性溶媒(例えば、ヘキサン、ベンゼン、ジオキサン、クロロホルム等)中で脱炭酸重縮合により製造するという方法を挙げられる。
市販のポリイソシアナート化合物としては、コロネート(日本ポリウレタン製商品名:水添ジフェニルメタンジイソシアネート)、またはミリオネート(日本ポリウレタン製商品名)等の、芳香族イソシアネートアダクト体が適用可能である。
特に、液状より固形物、例えばイソシアネート基をマスク剤(多価脂肪族アルコール、芳香族ポリオール等)でブロックしたポリイソシアネート化合物が好ましい。
具体的には、加水分解抑制剤の添加量は、約7重量%以下とすることが好ましい。
また、加水分解抑制剤は、上述した各化合物を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
例えば、生分解性を有する有機高分子化合物に、上述したウィスカー、及び加水分解抑制剤を溶融混練する方法が挙げられる。
具体的には、生分解性を有する有機高分子化合物を溶融する前工程、あるいは溶融工程においてウィスカー及び加水分解抑制剤を添加し混合する。
なお、ウィスカー及び加水分解抑制剤は同時に添加してもよいし、個別に添加してもよい。個別に添加する場合、添加する順序は任意でよい。
また、生分解性を有する有機高分子化合物を溶融後、ウィスカー又は加水分解抑制剤のいずれかを添加し、混合した後、得られた複合組成物を再び溶融し、加水分解抑制剤又はウィスカーのいずれか一方を添加し、混合するようにしてもよい。
添加剤の含有量は、0.1重量%以上50重量%未満が好適である。0.1重量%未満であると、それぞれの添加効果が発現されにくく、60重量%を超えると、本発明の複合組成物が目的とする物性(生分解性、耐熱性、保存耐久性)を阻害するおそれがあるためである。
このような環境配慮の観点から、難燃系添加物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、若しくは水酸化カルシウム等の水酸化物系化合物や、上述したようなリン系化合物、特にリン酸アンモニウム、若しくはポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム系化合物や、二酸化ケイ素、低融点ガラス、若しくはオルガノシロキサン等のシリカ系化合物等が好ましい。
水酸化物系化合物の純度は、公知の方法で測定できる。例えば、水酸化物系化合物に含まれている不純物の含有量を公知の方法で測定し、全体量から前記不純物の含有量を減じれば、水酸化物系化合物の純度を得ることができる。具体的には、例えば水酸化アルミニウムの場合、不純物としてはFe2O3、SiO2、T−Na2O、S−Na2O等が挙げられる。Fe2O3の含有量は炭酸ナトリウム−ホウ酸液に融解後、O−フェナントロリン吸光光度法(JIS H 1901)により求められる。SiO2の含有量は炭酸ナトリウム−ホウ酸液に融解後、モリブテン青吸光光度法(JIS H 1901)により求められる。
T−Na2Oの含有量は硫酸に融解後、フレーム光度測定法で、S−Na2Oは温水抽出後、フレーム光度測定法で求められる。上記により求められた含有量を水酸化アルミニウムの重量より減じることにより水酸化物の純度を得ることができる。もちろん99.5%以上の純度があれば、異なる複数種の難燃系水酸化物系化合物を組み合わせて用いることができる。
例えば、難燃系添加物がSiO2やガラス等のシリカ系化合物である場合、レーザー回折法により求められる平均粒径が約50μm以下であることが好ましい。なお、粒度分布については特に限定されない。
また、難燃系添加物が、Al(OH)3、Mg(OH)2、Ca(OH)2等の水酸化物系化合物である場合、レーザー回折法により求められる平均粒子径が約100μm以下であることが好ましい。なお、この場合においても粒度分布は特に限定されない。
なお、組成物への充填率を向上させるため、平均粒子径の異なる複数種の難燃系添加剤を組み合わせてもよい。
なお、組成物への充填率を向上させるため、BET比表面積の異なる複数種の難燃系水酸化化合物を組み合わせて用いてもよい。
また、成形性について考慮しても、BET比表面積は、約5.0m2/g以下が好適であり、特に小さい方がより好ましい。
具体的には、難燃系添加物が、Al(OH)3、Mg(OH)2、Ca(OH)2等の水酸化物系化合物である場合には、約5〜50重量%程度、好ましくは約7.5〜45重量%程度、更には約10〜40重量%程度とすることが望ましい。
難燃系添加物が、(NH4)3(PhO3n+1)n+2(nは自然数)等の(ポリ)リン酸アンモニウム系化合物の場合は、約1〜25重量%程度、好ましくは約2〜20重量%程度、更には、約3〜15重量%程度とすることが望ましい。
難燃系添加物が、SiO2やガラス等のシリカ系化合物である場合は、約5〜40重量%程度、好ましくは約10〜35重量%程度、更には約15〜30重量%程度とすることが望ましい。
特に炭素、二酸化珪素、珪化物が好適である。上述した各種フィラーは、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
キノリン系酸化防止剤としては、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
上述した酸化防止剤は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
特に、アルカリまたはアルカリ土類金属含有化合物(特にマグネシウム化合物やカルシウム化合物等のアルカリ土類金属含有化合物)、ゼオライト、またはハイドロタルサイト等が好適である。
上述した熱安定剤は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
具体的には、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキメトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシオクトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシドデシロキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシベンジロキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシメトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、または[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシオクトキシベンゾフェノン)−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
上述した紫外線吸収剤は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
特に、シリコン共重合体(樹脂にシリコンをブロックやグラフトにより重合させたもの)が好適である。
シリコン共重合体としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブチラール系樹脂、メラミン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂またはポリビニルエーテル系樹脂等に、シリコンをブロックまたはグラフト重合させたものであればよく、シリコングラフト共重合体を用いることが好ましい。
上述した潤滑剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述したワックス類は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機顔料としては、例えばクロム系顔料、カドミウム系顔料、鉄系顔料、コバルト系顔料、群青、紺青等が挙げられる。
また、有機顔料や染料の具体例としては、カーボンブラック、例えばフタロシアニン銅等のフタロシアニン顔料、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド等のキナクリドン顔料、ハンザイエロー、ジスアゾイエロー、パーマネントイエロー、パーマネントレッド、ナフトールレッド等のアゾ顔料、スピリットブラックSB、ニグロシンベース、オイルブラックBW等のニグロシン染料、オイルブルー、ピグメントイエロー、ピグメントブルー、ピグメントレッド、アルカリブルー等が挙げられる。
上述した着色剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した結晶化促進剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、生分解性高分子化合物の加水分解を抑制するために、活性エネルギー線を照射させてもよい。この場合、活性エネルギー線源としては、例えば電磁波、電子線、または粒子線、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
電磁波としては、紫外線(UV)、エックス線等が挙げられ、粒子線としては、陽子、中性子等の素粒子の線が挙げられる。特に、電子加速器の使用による電子線照射処理を施すことが望ましい。
活性エネルギー線は、公知の装置を用いて照射することができる。例えば、UV照射装置、電子加速器等が挙げられる。照射線量、及び照射強度は、本発明の複合組成物において、効果的に生分解性高分子化合物の加水分解を遅延する範囲であれば、とくに限定されない。例えば、電子線の場合、加速電圧が、約100〜5000kV程度が好ましく、照射線量としては、約1kGy程度以上が好ましい。
例えば、DVD((Digital Versatile Discもしくは Digital VideoDisk))プレーヤー、CD(コンパクトディスク)プレーヤー、アンプ等の据置型のAV機器、スピーカー、車載用AV/IT機器、携帯電話端末、電子書籍等のPDA、ビデオデッキ、テレビ、プロジェクター、テレビ受信機器、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、プリンター、ラジオ、ラジカセ、システムステレオ、マイク、ヘッドフォン、TV、キーボード、ヘッドフォンステレオ等の携帯型音楽機、パソコン、及びパソコン周辺機器等の電気製品の筐体等の各種成形品のいずれにも適用可能である。
具体的には、押出成形は、常法に従い、例えば単軸押出機、多軸押出機、タンデム押出機等の公知の押出成形機を用いて行うことができる。
また、射出成形は、常法に従い、例えばインラインスクリュ式射出成形機、多層射出成形機、二頭式射出成形機等の公知の射出成形機にて行うことができる。
なお、本発明は、下記に示す例に限定されるものではない。
(試料の調製)
(A)生分解性樹脂:ポリ乳酸(レイシア(H100J、三井化学株式会社製)
(B)生分解性樹脂:ポリブチレンアジペート−ブチレンテレフタレート共重合体(エコフレックス:バスフ社製商品名)
(C)ウィスカー
・ホウ酸アルミニウム(アルボレックスY:四国化成製商品名、平均繊維径0.5〜1.0μm、平均繊維長10〜30μm)
・チタン酸カリウム(ティスモD:大塚化学製商品名、平均繊維径0.3〜0.6μm、平均繊維長10〜20μm)
・チタン酸カリウム(ティスモN:大塚化学製商品名、平均繊維径0.3〜0.6μm、平均繊維長10〜20μm)
(D)加水分解抑制剤 カルボジイミド化合物
混練機としてはミニマックス−ミックスルーダ(東洋精機株式会社製)を使用し、ノズル温度を170〜175℃、トルクを4〜6kg、滞留時間を3秒以内とし、さらに所定の添加剤を加え、混練処理を行った。
上記工程により得られた複合組成物を粉砕し、180℃で400kg/cm2のプレスをし、厚さ1.0mmの板状の成形品を作製した。その後、複合組成物の成形品を80℃の環境下で2時間熱処理してサンプルとした。
アイゾット衝撃強度試験を、JISK7207に規定されている試験方法により行った。
測定装置:東洋精機社製 HDT試験装置
サンプル片:上記表1に示す組成の複合組成物(長さ127mm×幅13mm×厚さ3mm)
試験方法:1.82MPaの高荷重下でエッジワイズ法にて行った。
測定開始温度:30℃
昇温速度:2℃/分
荷重たわみ試験の結果70℃以上であれば、実用上の耐熱性は充分である(○)とし、比較例3より良くなったものを効果が出たものの耐熱性は実用上不充分である(△)とし、比較例3とほぼ変わらず耐熱性は不充分である(×)として評価した。
これによるとウィスカーを含有した実施例のサンプルは、実用上充分な耐熱性が得られ、高温においても充分な機械的強度が得られたことが解った。
アイゾット衝撃強度試験を、JISK7110に規定されている試験方法により行った。試験条件はノッチ付き、試験温度23℃、持ち上げ角度135℃である。
評価結果を下記表2に示す。
表2に示すように、本発明に係る実施例1〜6のサンプルは、ポリ乳酸以外の生分解性有機高分子化合物として、室温条件下における曲げ弾性率が、1GPa以下である化合物を含有させたことにより、アイゾット衝撃強度が増加し、機械的物性の向上効果が得られたことが確かめられた。
保存性試験は、作製した複合組成物の分子量の変化を測定することにより行った。
各サンプルの分子量を初期分子量として、80℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽内で、100時間保管し、その後に測定したサンプルの分子量を保存後の分子量とする。
保存後の分子量を初期の分子量で除した値を分子量維持率とし、この分子量維持率が90%を上回った場合に、実用上の保存性は良好である(○)とし、分子量維持率が90%以下であった場合は、実用上の保存性は不充分である(×)と判断し、下記表3にその結果を示す。
なお、分子量の測定方法を以下に示す。
分子量は、重量平均分子量(ポリスチレン換算分子量)であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定する。
装置:MILLIPORE Waters600E system controller
検出器:UV (Waters484)、及びRI (Waters410)
標準サンプル:ポリスチレン
操作:濃度が0.15重量%となるように、試料をクロロホルムに溶解させ、二時間攪拌した後、この溶液をφ0.25μmのフィルターを通して上記装置の評価サンプルとした。
一方、加水分解抑制剤を含有させなかった比較例2、3のサンプルにおいては、実用充分な安定性が得られなかった。
Claims (6)
- 少なくとも、二種類の生分解性を有する有機高分子化合物と、
ウィスカーと、
前記生分解性を有する有機高分子化合物の加水分解抑制剤とを含有し、
前記生分解性を有する有機高分子化合物のうちの少なくとも一の有機高分子化合物の、ガラス転移温度が、室温以下であることを特徴とする複合組成物。 - 前記生分解性を有する有機高分子化合物のうちの一種類が、ポリ乳酸であることを特徴とする請求項1に記載の複合組成物。
- 前記生分解性を有する有機高分子化合物のうち、ポリ乳酸以外の少なくとも一種の有機高分子化合物の、室温条件下における曲げ弾性率が、1GPa以下であることを特徴とする請求項2に記載の複合組成物。
- 前記ウィスカーの平均繊維径が5.0μm以下、平均繊維長が100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合組成物。
- 前記加水分解抑制剤が、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキソゾリン化合物のうちの少なくともいずれかの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の複合組成物。
- 少なくとも、二種類の生分解性を有する有機高分子化合物と、
ウィスカーと、
前記生分解性を有する有機高分子化合物の加水分解抑制剤とを含有し、
前記生分解性を有する有機高分子化合物のうちの少なくとも一の有機高分子化合物の、ガラス転移温度が、室温以下であることを特徴とする複合組成物を用いて作製したことを特徴とする成形品。
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