JP2006053538A - 反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

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薫明 大谷
Eiichi Kato
栄一 加藤
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Abstract

【課題】視角変化によるコントラスト低下、階調または黒白反転及び色相変化等がほとんど発生せず、色ムラ、耐傷性が向上した反射防止フィルム、その製造方法を提供する。
【解決手段】内部ヘイズが30乃至60%かつ表面ヘイズ値が1%以下であり、波長450nm〜650nmにおける平均反射率が2.5%以下の透明支持体上に光拡散性層と低屈折率層を有する反射防止フィルム。スロットダイ13のウェブW進行方向側の先端リップ17のウェブW走行方向におけるランド18長さが30μm以上100μm以下であるスロットダイ13を有し、前記スロットダイ13を塗布位置にセットしたときに、前記ウェブの進行方向とは逆側の先端リップ17とウェブWとを、両者の隙間が、前記ウェブWの進行方向側の先端リップ17とウェブWとの隙間よりも30μm以上120μm以下大きくなるように設置した塗布装置を用いる。
【選択図】図8

Description

この発明は、コンピュータ、ワードプロセッサ、テレビジョン等の画像表示に用いるCRT、液晶パネル等の高精細画像用ディスプレイに関する。特に、表示品位の向上を図り高精細な描画画像で大画面サイズの液晶表示装置、及びそれに用いる偏光板、反射防止フィルムに関する。
一般に液晶表示装置は、偏光板と液晶セルから構成されている。
液晶セルは、一般的な例として、棒状液晶分子、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶分子に電圧を加えるための電極からなりたっている。液晶セルは、棒状液晶分子の配向状態の違いにより、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super TwistedNematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、反射型については、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。
液晶表示装置の表示品位上の欠点は、視野角と外光の写り込みである。
視野角に関しては、現在主流であるTNモードTFT液晶表示装置において光学補償フィルムを偏光板と液晶セルの間に挿入し、極めて広視野角の液晶表示装置が実現されている(例えば、特許文献1、2、3)。しかしながら、上記液晶表示装置ではパネルの下方向の階調反転が生じるという問題が残っていた。
又、上記のような液晶表示装置において、主として内部から出射する光が表示装置表面で拡散することなく直進すると、液晶表示装置の画像表面を目視した場合に眩しいために、内部から出射する光をある程度拡散する、或は外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減する光拡散性をもつ光学機能フィルムを反射防止フィルムとして表示装置の最表面に配置する。最表面に配置されることから偏光膜の保護フィルムとしての機能を併せ持つものが提案されている。例えば安価、かつ大量生産可能な光拡散性をもつフィルムとしては、透明基材フィルム(以下、透明支持体とも称する。)の表面に二酸化ケイ素(シリカ)等のフィラーを含む樹脂を塗工して形成したもの(特許文献4、5等)、防眩層が透光性樹脂中に、透光性樹脂とは屈折率が所定の範囲で異なる透光性粒子を含み、その透光性微粒子が屈折率の差を有する2種類であるように構成するもの(特許文献6)、防眩層が、透光性樹脂中に透光性樹脂とは屈折率が所定の範囲で異なる粒子とマット粒子の各透光性粒子を含むように構成するもの(特許文献7)、防眩層が樹脂と屈折率差のある粒子を含み表面の凹凸形状のRa及びRzを規定し、明室での防眩性と面ギラの防止の両立を図ったもの(特許文献8)等が開示されている。
特開平8-50206号公報 特開平7-191217号公報 欧州特許出願公開第0911656号明細書 特開平6-18706号公報 特開平10-20103号公報 特開2000-180611号公報 特開2003-43218号公報 特開2000-338310号公報
しかしながら、これら明細書に記載の反射防止フィルムを上記の各液晶表示モードの表示装置に設けても、防眩性や反射防止性に有効性はみられるが、視認角度が変わるとコントラストの低下や画像の色味の変化等が起こる問題や、明室でフィルム表面が白くなる白ボケの問題は解消されなかった。
このように、これら従来の反射防止フィルムは上述のような視野角の問題を完全に解決しうるものではなく、外光の写り込みに優れ、白呆け無く、かつ視野角の問題を解決でき、最表面に配置しても耐傷性に優れた反射防止フィルムが望まれていた。
又、近年、液晶表示装置としての液晶表示モードとして、TNモードとともにIPSモード、OCBモード、VAモード等の描画画像の品位向上が強く望まれている。特に、表示画像が大型化された表示装置において、コントラストが大きくて色味の変化の無い高画像品位の実現が望まれている。
また、反射防止フィルム製造時の塗布方式としては、ディップコート法、マイクログラビア法、リバースロールコート法などが主に用いられてきた。ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であり、段状のムラが発生しやすい。リバースロールコート法、マイクログラビア法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすい。さらに、マイクログラビア法ではグラビアロールの製作精度や、ブレードとグラビアロールの当たりによるロールやブレードの経時変化により塗布量ムラを発生しやすい。また、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が比較的困難である。また前計量塗布方式として、ダイコート法により反射防止フィルムを塗布する方法が提案されているが、反射防止層のような薄層塗布では透明支持体の搬送方向と垂直及び並行な向きに発生する膜厚ムラが顕著に発生し、膜厚の安定性を保つことが難しかった。
これら反射防止層の膜厚ムラは、色ムラとして目視で検出されてしまい、品質を損なう大きな問題であり、この安定化が望まれていた。
本発明の目的は、液晶パネルの厚みを厚くすることなく、視野角(特に下方向視野角)が拡大し、そして視角変化による、コントラスト低下、階調または黒白反転、および色相変化等がほとんど発生することのなく、さらに色ムラ、耐傷性が向上した反射防止フィルム、反射防止フィルムの製造方法およびこれを用いた偏光板を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、コントラストが良好で広い視野角を有し、且つパネルの下方向の階調反転、色相変化および外光の写り込み防止を高度に実現できる液晶表示装置を提供することにある。
本発明の目的は下記の内容により達成された。
(1) 透明支持体上に光拡散性層と低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、光拡散性層の内部ヘイズが30乃至60%かつ表面ヘイズ値が2%以下であり、波長450nm〜650nmにおける平均反射率が2.5%以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
(2) 表面ヘイズ値が1%以下であることを特徴とする上記(1)に記載の反射防止フィルム。
(3) JISK5600-7-7:1999に基づく耐候性試験前後の反射光の色味変化ΔEがL***色度図上で15以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の反射防止フィルム。
(4) 前記低屈折率層の表面エネルギーが26mN/m以下で、且つ動摩擦係数が0.25以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(5) 前記光拡散性層が透光性樹脂と少なくとも2種類以上の透光性微粒子を含み、
該透光性樹脂と該透光性微粒子との屈折率の差が0.02以上、0.20以下であり、且つ、前記2種類以上の透光性微粒子が屈折率の差を有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(6) 前記低屈折率層が含フッ素化合物を含有する屈折率1.31以上1.48以下の低屈折率層であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(7) 前記低屈折率層が、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰り返し単位と側鎖にラジカル重合性基を有する繰り返し単位とを含んでなる共重合体からなる硬化皮膜であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(8) 前記反射防止フィルムが、さらに導電性層を有することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(9) バックアップロールによって支持されて連続走行するウェブの表面に、スロットダイの先端リップのランドを近接させて、前記先端リップのスロットから塗布液を塗布する塗布工程を具備し、
前記塗布工程において、塗布液の塗布は、前記スロットダイのウェブ進行方向側の先端リップのウェブ走行方向におけるランド長さが30μm以上100μm以下であるスロットダイを有し、前記スロットダイを塗布位置にセットしたときに、前記ウェブの進行方向とは逆側の先端リップとウェブとを、両者の隙間が、前記ウェブの進行方向側の先端リップとウェブとの隙間よりも30μm以上120μm以下大きくなるように設置した塗布装置を用いて、前記光拡散性層及び前記低屈折率層の少なくともいずれかの塗布液が塗布されることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
(10) 前記塗布液の塗布時における粘度が2.0[mPa・sec]以下であり、ウェブの表面に塗り付けられる塗布液の量が2.0〜5.0[ml/m2]であることを特徴
とする上記(9)に記載の反射防止フィルムの製造方法
(11) 前記塗布液を、連続走行するウェブの表面に25[m/min]以上の速度で塗設することを特徴とする上記(9)または(10)に記載の反射防止フィルムの製造方法
(12) 上記(1)〜(8)のいずれかに記載の反射防止フィルムあるいは上記(9)〜(11)のいずれかに記載の製造方法により作製した反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
(13) 上記(1)〜(8)のいずれかに記載の反射防止フィルムあるいは上記(9)〜(11)のいずれかに記載の製造方法により作製した反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いたことを特徴とする偏光板。
(14) 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該基板間に挟持された液晶層と、該液晶層の外側の視認側最表面に配置された偏光板とを有する液晶表示装置であって、前記偏光板が上記(12)または(13)に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
(15) 上記の液晶表示装置が、IPS(In-Plane Switching)液晶表示装置、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶表示装置またはVA(Vertically Aligned)液晶表示装置であることを特徴とする上記(14)に記載の液晶表示装置。
(16) 表示画像の大きさが20インチ以上であることを特徴とする上記(14)または(15)のいずれかに記載の液晶表示装置。
光拡散性層の内部ヘイズを30乃至60%かつ表面ヘイズ値が2%以下で、波長450nm〜650nmにおける平均反射率が2.5%以下にすることにより、画面が白っぽく
見えたり画像表示のボケを生じたりすることのない画像鮮明性と、視角変化による、コントラスト低下および色相変化等が充分に抑えられた、外光の写り込みや画面のギラツキの無い、反射防止性に優れた、高い画像表示品位を達成することができる。ヘイズ値および反射率の上記範囲への調節については、後記する<透光性微粒子>、<透光性樹脂>に詳述する。
また、JISK5600-7-7:1999に基づく耐候性試験前後の反射色見変化ΔEがL***色度図上で15以下であることにより、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、表示画像の品位が良好となる。
このようなニュートラルな色味の反射光を有し、且つ低反射率を有する反射防止フィルムは、低屈折率層の屈折率と光拡散性層の透光性樹脂の屈折率のバランスを最適化すること、光拡散性層の高屈折率金属酸化物超微粒子が単分散性良好で層中に均質に分散されるようにすること等により達成される。
更には、該保護膜の最表面が表面エネルギー26mN/m以下であり、且つ動摩擦係数が0.25以下であることが好ましい。好ましくは、表面エネルギー15〜25.8mN/mであり、且つ動摩擦係数が0.05〜0.15である。この範囲において、保護フィルムとしての防汚性が良好となる。表面エネルギーの調整は、<低屈折率層>に詳述する。
本明細書中に詳記した、反射防止フィルムおよび偏光板により、パネルの厚みを厚くすることなく、視野角(特に下方向視野角)が拡大し、そして視角変化による、コントラスト低下、階調または黒白反転、および色相変化等がほとんど発生することのなく、さらに耐傷性が向上した反射防止フィルムおよび偏光板を提供することができる。
また、本明細書中に詳記した、反射防止フィルムおよび偏光板により、コントラストが良好で広い視野角を有し、且つパネルの下方向の階調反転、色相変化および外光の写り込み防止を高度に実現した液晶表示装置を提供できる。
以下、本発明について、詳細に説明する。なお、本願明細書において、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
<反射防止フィルム>
本発明の反射防止フィルムは光拡散性層と低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、光拡散性層の内部ヘイズが30乃至60%であることを特徴とする。好ましくは、内部ヘイズは40乃至50%である。また、表面ヘイズが2%以下であり、好ましくは1%以下である。
ヘイズ値は、JIS-K-7105に準じヘイズメーター(例えば、日本電色工業(株)製MODEL 1001DP、村上色彩技術研究所製HR-100等)を用いて測定できる。
更に本発明の反射防止フィルムは、波長450nm〜650nmにおける平均反射率が2.5%以下である。
平均反射率は380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角-5度の鏡面反射率を分光光度測定装置で測定し、450〜650nmの平均反射率を算出する。
5度入射における鏡面反射率は、サンプルの法線方向+5度から入射した光に対する法線方向-5度で反射した光の強度の割合であり、背景の鏡面反射による映り込みの尺度になる。
反射防止フィルムの光学特性をこのような範囲に特定することで、画面が白っぽく見えたり画像表示のボケを生じたりすることのない画像鮮明性と、視野角変化による、コント
ラスト低下および色相変化等が充分に抑えられた、外光の写り込みや画面のギラツキの無い、反射防止性に優れた、高い画像表示品位を達成することができる。
更には、該反射防止フィルムの最表面が表面エネルギー26mN/m以下であり、且つ動摩擦係数が0.25以下であることが好ましい。好ましくは、表面エネルギー15〜25.8mN/mであり、且つ動摩擦係数が0.05〜0.15である。この範囲において、保護フィルムとしての防汚性が良好となる。
本発明の実施態様の例としては、図1に示すように、反射防止フィルムA10は、透明支持体フィルムA12と、透光性樹脂A14中に例えば第1の透光性微粒子A16及び第2の透光性微粒子A46とを含む光拡散性層A18と、最外層に含フッ素材料を含有する低屈折率層A19を積層してなることが好ましい。
前記透明支持体フィルムA12は、トリアセチルセルロースフィルム(以下、TACとも称する。)等の樹脂フィルムであり、透光性樹脂A14は、透明支持体フィルムA12へ塗布後に硬化することで形成される。
<光拡散性層>
光拡散性層は複数の層からなっていてもよい。ここでは2種類の異なる屈折率を有する透光性微粒子にて説明を行なうが、2種類以上の透光性微粒子を用いてもよい。
<透光性微粒子>
2種類の異なる屈折率を有する透光性微粒子は、単分散の有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなりヘイズ価の設計が容易となる。
前記透光性微粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、透光性樹脂との屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。
有機微粒子としては、ポリメチルメタクリレートビーズ(屈折率1.49)、アクリル-スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.54)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、スチレンビーズ(屈折率1.60)、架橋ポリスチレンビーズ(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン-メラミンホルムアルデヒドビーズ(屈折率1.68)等が挙げられる。
無機微粒子としては、シリカビーズ(屈折率1.44)、アルミナビーズ(屈折率1.63)等が挙げられる。
2種類の異なる屈折率を有する透光性微粒子と透光性樹脂との屈折率の差は0.02以上、0.20以下が好ましい。防眩性の関点から、屈折率差が0.02未満の場合は、両者の屈折率の差が小さすぎて、光拡散効果を得られず、又屈折率差が0.2よりも大きい場合は、光拡散性が高すぎて、フィルム全体が白化してしまう。なお、前記屈折率差は、0.02以上、0.11以下がより好ましく、0.03以上、0.09以下が最も良い。
前記透光性微粒子において、2種類以上の異なる屈折率を有する透光性微粒子を用い、それら透光性微粒子の混合を行なうことにより、透光性微粒子の屈折率を、それぞれの透光性微粒子の屈折率と比率とに応じた平均値として見なすことができ、透光性微粒子の混合比により細かい屈折率設定が可能となり、1種類の場合よりも充分制御が可能となり、様々な設計が容易となる。
2種類の異なる屈折率を有する透光性微粒子の粒径は1.0μm以上5.0μm以下が好ましい。1.0μm未満の場合、透光性樹脂に添加すべき透光性微粒子の添加量を非常に大きくしないと光拡散効果が得られなくなり、粒径が5.0μmを超えるときは、光拡散性層の表面形状が粗くなり、ヘイズ値が高くなってしまう。さらに好ましくは、透光性微粒子の直径は2.0μm以上、4.0μm以下である。
2種類の異なる屈折率を有する透光性微粒子の粒径は、前述のように1〜5μmのものを適宜選択して用いるとよく、透光性樹脂100質量部に対して5〜30質量部含有させるとよい。この場合、第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子の粒径を揃えることにより、第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子の比率を自由に選択して用いることができる。第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子との粒径を揃えるためには粒径が整っている単分散有機微粒子が好ましく用いられる。
上記のような透光性微粒子を添加する場合には、透光性樹脂中で透光性微粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性微粒子の沈降防止に有効であるが、光拡散性層の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、透光性樹脂に対して光拡散性層の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
<透光性樹脂>
前記光拡散性層を形成する透光性樹脂としては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、即ち、電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤を混合したもの、熱硬化型樹脂の3種類が好適に使用される。又、厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに2μm〜10μmが好ましい。透光性樹脂の屈折率は、好ましくは1.51〜2.00であり、より好ましくは1.51〜1.90であり、更に好ましくは1.51〜1.85であり、特に好ましくは1.51〜1.80である。なお、透光性樹脂の屈折率は、透光性微粒子を含まずに測定した値である。
電離放射線硬化型樹脂組成物は、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート(以下本明細書では、アクリレートとメタアクリレートとを(メタ)アクリレートと記載する。)などのオリゴマー又はプレポリマー、及び反応性希釈剤を比較的多量に含む電離放射線硬化型樹脂を含有して構成される。
上記反応性希釈剤としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、N-ビニルピロリドンなどの単官能モノマー、並びに多官能モノマー、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどがあげられる。
更に、上記の電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用するときは、これらの中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α-アミロキシムエステル、チオキサントン類や、光増感剤としてn-ブチルアミン、トリエチルアミン、トリn-ブチルホスフィンなどを混合して使用することができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
更に、上記光拡散性層を形成するための透光性樹脂として、上記のような電離放射線硬化型樹脂に対して熱可塑性樹脂を含ませてもよい。前記熱可塑性樹脂には、主として、熱
可塑性樹脂例えば、セノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂に添加する熱可塑性樹脂の種類は通常用いられるもののいずれも使用してもよいが、透明支持体フィルムとして特に前述のようなTAC等のセルロース系樹脂を用いるときには、電離放射線硬化型樹脂に含ませる熱可塑性樹脂には、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂が塗膜の密着性及び透明性の点で好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
熱硬化型樹脂に必要に応じて、架橋剤(エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、メラミン化合物等)、重合開始剤(アゾビス化合物、有機過酸化化合物、有機ハロゲン化合物、オニウム塩化合物等)等の硬化剤、重合促進剤(有機金属化合物、酸化合物、塩基性化合物等)等の従来公知の化合物(硬化剤、硬化促進剤)を加えて使用してもよい。具体的には、例えば、山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊)記載の化合物が挙げられる。これらの硬化剤は用いる熱硬化型樹脂に対して0.01〜30質量%を用いることが好ましい。
透光性樹脂は、上記組成物に加えて、これに高屈折率を有するモノマーおよび/または高屈折率を有する金属酸化物超微粒子等を含有することが好ましい。高屈折率モノマーの例としては、ビス(4-メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4-メタクリロキシフェニル-4'-メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。
高屈折率を有する金属酸化物超微粒子は、屈折率が1.70〜2.80、一次粒子の平均粒径が3〜150nmのもが好ましい。屈折率が1.70未満の粒子では、皮膜の屈折率を高める効果が小さく、屈折率が2.80を越える粒子は着色しているため好ましくない。また、一次粒子の平均粒径が150nmを越える粒子では光拡散性層を形成したときのヘイズ値が高くなり、光拡散性層の透明性を損なうので好ましくなく、3nm未満では高い屈折率の保持の点で好ましくない。本発明で、より好ましい金属酸化物超微粒子は屈折率が1.80〜2.80で、一次粒子の平均粒径が3〜100nmの粒子であり、更に好ましくは屈折率が1.80〜2.80で、一次粒子の平均粒径が5〜80nmの粒子である。
好ましい高屈折率金属酸化物超微粒子の具体例は、Ti、Zr、Ta、In、Nd、Sn、Sb、Zn,La、W、Ce、Nb、V、Sm、Y等の酸化物或は複合酸化物、硫化物を主成分とする粒子が挙げられる。ここで、主成分とは粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分をさす。本発明で好ましいのはTi、Zr、Ta、In、Snから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む酸化物若しくは複合酸化物を主成分とする粒子である。本発明で使用される金属酸化物超微粒子には、粒子の中に種々の元素が含有されていても構わない。例えば、Li、Si、Al、B、Ba、Co、Fe、Hg、Ag、Pt、Au、Cr、Bi、P、Sなどが挙げられる。
具体例としては、ZrO2、TiO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO等が挙げられる。これらの中でも、特にZrO2が好ましく用いられる。
本発明の金属酸化物超微粒子は、表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物及び/又は有機化合物を用いて該粒子表面の改質を実施し、金属酸化物超微粒子表面の濡れ性を
調製し有機溶媒中での微粒子化、光拡散性層形成用組成物中での分散性や分散安定性を向上する。粒子表面に物理化学的な吸着させる無機化合物としては、例えば、ケイ素を含有する無機化合物(SiO2など)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al23,Al(OH)3など)、コバルトを含有する無機化合物(CoO2,Co23,Co34など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO2,Zr(OH)4など)、鉄を含有する無機化合物(Fe23など)などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物の例としては、従来公知の金属酸化物や無機顔料等の無機フィラー類の表面改質剤が挙げられる。
例えば、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第一章(技術情報協会、2001年刊行)等に記載されている。
具体的には、該金属酸化物超微粒子表面と親和性を有する極性基を有する有機化合物、カップリング化合物があげられる。金属酸化物超微粒子表面と親和性を有する極性基としては、カルボキシ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、環状酸無水物基、アミノ基等があげられ、分子中に少なくとも1種を含有する化合物が好ましい。例えば、長鎖脂肪族カルボン酸(例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、ポリオール化合物(例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート等)、ホスホノ基含有化合物(例えばEO(エチレンオキサイド)変性リン酸トリアクリレート等)、アルカノールアミン(エチレンジアミンEO付加体(5モル)等)が挙げれる。カップリング化合物としては、従来公知の有機金属化合物が挙げられ、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。具体的には、例えば特開2002-9908号公報同2001-310423号公報明細書中の段落番号「0011」〜「0015」記載の化合物等が挙げられる。
高屈折率を有するモノマーおよび/または金属酸化物超微粒子の添加量は、透光性樹脂の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。
また前記光拡散性層は、界面結合剤として、下記一般式[A]で表される(メタ)アクリロイル基含有オルガノシランを含有することが好ましい。
一般式[A]
(R10)α-Si(X)4-α
式中、R10はラジカル重合性基またはカチオン重合性基を含む脂肪族基もしくはアリール基を表し、R10は(メタ)アクリロイル基を含む、脂肪族基もしくはアリール基が好ましい。
Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。
αは1〜3の整数を表す。
脂肪族基としては、好ましくは、置換もしくは無置換の炭素数1〜30脂肪族基、具体的には、炭素数1〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニ
ル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは1〜8のものである。
アリール基としては好ましくは、置換もしくは無置換の炭素数6〜14のアリール基、具体的にはフェニル、ナフチル、アントリル等の基が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
上記の脂肪族基もしくはアリール基は、(メタ)アクリロイル基以外の他の置換基を有してもよい。特に制限はないが、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、アルカンスルホニル基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14のアリール基(アリール環としては、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)、酸素原子、硫黄原子、窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式若しくは多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジイル基、ピラジニル基、ピリミデイニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
前記のアルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の脂肪族基もしくはアリール基に導入し得る基として例示したものと同様のものが挙げられる。
Xで表される加水分解可能な基としては、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、OR2基、OCOR2基を表す。但し、R2は置換もしくは無置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を表す。Xは好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
界面結合剤の添加により本発明の反射防止フィルムの耐擦傷性を向上させることができ好ましい。界面結合剤として具体的には、下記の化合物が挙げられる。
Figure 2006053538
Figure 2006053538
特に、KBM-5103(M-1)およびKBM-503(共に信越化学(株)製)等が
好ましい化合物として挙げられる。
更に、前記光拡散性層に界面活性剤を添加することにより、本発明の反射防止フィルムの面状均一性を向上させることができ、好ましい。界面活性剤としては、例えば炭素数6〜12のパーフルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート共重合体もしくは末端にHCF2-基を有する炭素数6〜12のフルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート共重合体、炭素数6〜12のパーフルオロビニルエーテル共重合体もしくは末端にHCF2-基を有する炭素数6〜12のフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
次に、透明支持体フィルムの面に、光拡散性層を形成する過程について説明する。
本発明において、光拡散性層の塗布溶媒は、水、有機溶媒から適宜選択して用いることができ、沸点が50℃以上の液体であることが好ましく、沸点が60℃〜180℃の範囲の有機溶媒であることがより好ましい。
分散媒体としては、アルコール類、ケトン類、エステル類アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。具体的には、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル、等)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n-メチルピロリドン等)、エーテル(例、ジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例、1-メトキシ-2-プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。単独でも2種以上を混合して使用してもよい。好ましい分散媒体としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノールが挙げられる。また、ケトン溶媒(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)を主にした塗布溶媒系も好ましく用いられる。
光拡散性層は、後述する透明支持体上に本発明の光拡散性層形成用組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し該第1の透光性微粒子及び第2の透光性微粒子による透光性樹脂表面の凹凸形状が充分に形成されるまで放置、乾燥、光及び/又は熱照射することにより作製することができる。好ましくは、光照射による硬化が、迅速硬化することから有利である。更には、光硬化処理の後半で加熱処理することも好ましい。乾燥は室温付近の低温で送風乾燥してもよく、加熱して乾燥してもよい。加熱する場合の温度は、40〜180℃であり、80〜150℃が好ましい。乾燥時間は0.5〜60分が好ましい。
光照射の光源は電子線、紫外線光域或いは近赤外線光のものであればいずれでもよい。
例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有する電子線等が挙げられ、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が挙げられる。紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長3
50〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、近赤外光光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行なうことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。照射する紫外線の照射強度は、0.1〜100mW/cm2程度が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程での塗布膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、塗布膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
このようにすると、第1の透光性微粒子及び第2の透光性微粒子による凹凸が形成された光拡散性層とすることができる。ここでは、そして図1では、凹凸が形成されたものを示したが、凹凸が形成されない光拡散性層であっても良い。
また、光拡散性層の表面に賦型加工或いは鏡面加工を施しても良い。
<低屈折率層>
低屈折率層は、反射防止性を付与する目的で、透明支持体上に光拡散性層を設けた側の最外層に設けられる。
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.35〜1.45である。
低屈折率層が後述の含フッ素化合物を含有する場合、屈折率1.31以上1.48以下であることが好ましい。
低屈折率層の屈折率は、下記数式(I)を満すことが好ましい。
数式(I)
(mλ/4)×0.7<n1d1<(mλ/4)×1.3
式中、mは正の奇数(一般に1)であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは可視光線の波長であり、450〜650(nm)の範囲の値である。
なお、上記数式(I)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(I)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
低屈折率層を設置する方法としては、従来公知のいずれの方法でもよいが、蒸着、スパッタ、CVDおよび塗布による方法が好ましく用いられる。塗布法にはゾル-ゲル法、および下記に示す硬化法があげられる。
本発明の低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適宜適用できる。含フッ素化合物を含有することが好ましい。特に、本発明の低屈折率層には、熱硬化性または電離放射線硬化型の架橋性含フッ素化合物を主体とする硬化した含フッ素樹脂が好ましく用いられる。
本発明において、「含フッ素化合物を主体とする」とは、最外層中に含まれる含フッ素化合物が最外層の全質量に対し、50質量%以上であることを意味し、60質量%以上含まれることがより好ましい。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは
1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含むことが好ましい。
含フッ素化合物には、含フッ素ポリマー、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテル、含フッ素シラン化合物等が挙げられる。具体的には、例えば特開平9-222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11-38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、同2001-40284号号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]等の記載の化合物等が挙げられる。
含フッ素ポリマーとしてフッ素原子を含む繰り返し構造単位、架橋性若しくは重合性の官能基を含む繰り返し構造単位、それ以外の置換基からなる繰り返し構造単位からなる共重合体が好ましい。すなわち、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーとの共重合体が好ましく、さらにその他のモノマーが共重合したポリマーを用いてもよい。
架橋性若しくは重合性の官能基としては従来公知の官能基の何れでも良い。
架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が挙げられる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。
ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有する化合物は塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
重合性の官能基としては、ラジカル重合性基、カチオン重合性基が挙げられる。
ラジカル重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニルオキシ基等が挙げられる。カチオン重合性基としては、例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
其の他の繰り返し構造単位としては、溶剤可溶化のために炭化水素系共重合成分が好ましく、50モル%以下導入したフッ素系ポリマーが好ましい。この際には、シリコーン化合物と組み合わせることが好ましい。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、上市品のサイラプレーン(チッソ(株)製等)等の反応性シリコーン、特開平11-258403号公報に記載のポリシロキサン構造の両末端にシラノール基含有の化合物等が挙げられる。
架橋又は重合性基を有する含フッ素ポリマーの架橋又は重合反応は、最外層を形成するための低屈折率用組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
重合開始剤、増感剤等が、前記光拡散性層用のものと同様のものが挙げられる。
共重合してもよいその他のモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2-エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N-tert-ブチルアクリルアミド、N-シクロヘキシルア
クリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
上記のポリマーに対しては特開平10-25388号および特開平10-147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーとしては、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体が挙げられる。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
本発明に用いられる共重合体の好ましい態様として前記一般式1で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006053538
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*‐(CH2)2-O-**、 *-(CH2)2-NH-**、 *-(CH2)4-O-**、 *-(CH2)6-O-**、 *-(CH2)2-O-(CH2)2-O-**、*-CONH-(CH2)3-O-**、*-CH2CH(OH)CH2-O-**、 *-CH2CH2OCONH(CH2)3-O-**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p-ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の
場合である。但し、x+y+z=100である。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい態様として下記一般式2で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006053538
一般式2においてX、x、yは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが挙げられる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。但し、x+y+z1+z2=100である。
一般式1又は2で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
以下に本発明で有用な共重合体の好ましい具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006053538
Figure 2006053538
Figure 2006053538
Figure 2006053538
Figure 2006053538
本発明に好ましく用いられる共重合体の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより行なうことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている方法が挙げられる。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニ
トリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
又、低屈折率層として、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58-142958号公報、同58-147483号公報、同58-147484号公報等記載の化合物)、特開平9-157582号公報記載のパーフルオロアルキル基含有シランカップリング剤、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000-117902号公報、同2001-48590号公報、同2002-53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
併用する触媒としては、従来公知の化合物が挙げられ、上記文献中に記載のものが好ましく挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤(ジメチルシリコンなどのシリコン化合物等)、界面活性剤等を含有することができる。特に、無機微粒子、シランカップリング剤、滑り剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては光拡散性層の説明で記載したものが好ましい。
無機微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の低屈折率化合物が好ましい。特に好ましいには二酸化珪素(シリカ)である。無機微粒子の一次粒子の重量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、より好ましくは3〜100nmである。無機微粒子は、より微細に分散されていることが好ましい。
又、有機微粒子としては、例えば、特開平11-3820号公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の化合物等があげられる。
無機或は有機の微粒子の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、あるいは不定形状であることが好ましい。
特に、低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましく、該中空シリカ微粒子は屈折率が1.17〜1.40、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(II)で表される空隙率w(%)は以下の数式(II)で計算される。
数式(II)
w={(4πa3/3)/(4πb3/3)}×100
好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は好ましくない。
該低屈折率層中の中空のシリカ粒子の平均粒径は、該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下にあることが好ましい。より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
なお、これら中空シリカ粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)等にて測定をおこなう。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができ、好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
シリカ微粒子は、分散液中あるいは低屈折率層用組成物溶液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング剤による処理が特に好ましい。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として低屈折率層用組成物溶液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
シリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
以上シリカ微粒子について述べたことは、他の無機粒子についても適用してもよい。
又、本発明の低屈折率層は、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。
ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロ
アルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X-22-174DX、X-22-2426、X-22-164B、X22-164C、X-22-170DX、X-22-176D、X-22-1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM-0725、FM-7725、DMS-U22、RMS-033、RMS-083、UMS-182(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば-CF2CF3、-CH2(CF2)4H、-CH2(CF28CF3、-CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば-CH(CF32、-CH2CF(CF32、-CH(CH3)CF2CF3、-CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば-CH2OCH2CF2CF3、-CH2CH2OCH248H、-CH2CH2OCH2CH2817、-CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はなく、用いられる。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R-2020、M-2020、R-3833、M-3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF-171、F-172、F-179A、ディフェンサMCF-300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF-150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH-3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されない。
又、低屈折率層は、ミクロボイドを内包してもよい。具体的には、例えば特開平9-222502号公報、同9-288201、同11-6902号公報等に記載の内容が挙げられる。
本発明の低屈折率層は、その表面エネルギーが26mN/m以下であることが好ましい。更に好ましくは18〜25.8mN/mである。表面エネルギーをこの範囲にすることが防汚性の点で好ましい。
本発明の低屈折率層を、含フッ素化合物を含有する、熱硬化性または電離放射線硬化型の架橋性含フッ素化合物を主体とする含フッ素硬化樹脂膜とすることにより発現される。
特に、最外層となる低屈折率層中に含まれる含フッ素化合物が最外層の全質量に対し、50質量%以上であることで膜表面全体がムラ無く安定した特性を示す。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液を偏光板保護膜面上に滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出出来る。
又、最表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
又、本発明の低屈折率層表面の動摩擦係数が0.25以下であることが好ましい。より好ましくは0.03〜0.15である。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で表面を移動させたときの、表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
低屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K6902に従うテーバー試験での摩耗量は小さいほど好ましい。
<反射防止フィルムの他の層>
さらに、本発明の反射防止フィルムは導電層(帯電防止層)、ハードコート層、プライマー層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
[導電層]
液晶モードがIPSモード、VAモードの表示装置に設ける視認側の偏光板の外側表面エネルギーに対する保護には導電層を設けることが好ましい。
導電層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、導電性高分子の硬化膜を形成する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。導電性層は、基材フイルムに直接又は基材フィルムとの接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、導電層を反射防止フィルムの一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。塗工方法は、特に限定されず、塗工液の特性や塗工量に応じて、例えば、ロールコート、グラビアコート、バーコート、押出しコート等の公知の方法より最適な方法を選択して行えばよい。
透明導電層としては、従来公知の導電層を適宜調整して用いることができる。導電層としては、例えば、(株)東レリサーチセンンター調査部門編集「透明導電膜の現状と展望」((株)東レリサーチセンンター、1997年刊行)、豊田 豊監修「透明導電膜の新展開」((株)シーエムシー、1999年刊行)等に記載の内容が挙げられる。
導電層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。導電層の表面抵抗は、105〜1012Ω/□であることが好ましく、105〜109Ω/□であることがさらに好ましく、105〜108Ω/□であることが最も好ましい。導電層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
導電層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、導電層のヘイズが、10
%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明の導電層は、強度が優れており、具体的な導電層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度(JIS-K-5400の規定)で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
(導電層の導電性無機微粒子)
導電性無機微粒子の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gである。
導電性微粒子としては、例えば、上記の「透明導電膜の現状と展望」第3章〜第4章、技術情報協会編集「導電性フィラーの開発と応用」(技術情報協会、1997年刊行)等に記載の無機化合物が挙げられる。
例えば、金属の酸化物または窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが挙げられる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。導電性無機微粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が挙げられる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
導電層に用いる導電性無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される導電層中の導電性無機微粒子の平均粒径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性無機微粒子の平均粒径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電性無機微粒子を表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナおよびシリカが挙げられる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
導電性無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。二種類以上の導電性無機微粒子を帯電防止層内で併用してもよい。
導電層中の導電性無機微粒子の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。
(導電層のバインダー)
導電層は、架橋しているポリマーをバインダーとして用いることができる。架橋してい
るポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有することが好ましい。アニオン性基は、導電性無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。架橋構造は、ポリマーに皮膜形成能を付与して、導電層を強化する機能を有する。
ポリマーの主鎖の例としては、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が挙げられる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
これらのポリマーの主鎖は、従来公知のいずれの方法によっても得ることができる。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなり、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(-O-)によって繰り返し単位が結合しており、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(-NH-CO-NH-)によって、繰り返し単位が結合しており、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(-NH-CO-O-)によって、繰り返し単位が結合しており、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N-メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(-CO-O-)によって、繰り返し単位が結合しており、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N-メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖は、イミノ結合(-NH-)によって、繰り返し単位が結合しており、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(-NH-CO-)によって、繰り返し単位が結合しており、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有し、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させてもよい。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、-CO-、-O-、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は、二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)し、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、-CO-、-O-、-S-、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、好ましい。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位は、アミノ基または四級アンモニウム基を、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させて得ることができる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、-CO-、-NH-、-O-、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
上記バインダーに対して、例えば特開2003-39586公報に記載の下記の反応性有機珪素化合物(1)〜(3)を併用することもできる。反応性有機珪素化合物は、電離放射線硬化型樹脂と反応性有機珪素化合物の合計に対して10〜100質量%の範囲で使用される。特に下記の(3)の電離放射線硬化性有機珪素化合物を使用する場合には、これだけを樹脂成分として導電層を形成することが可能である。
(1)珪素アルコキシド
11pSi(OR12)qで表せる化合物であり、ここでR11、R12は炭素数1〜10のアルキル基を表し、p及びqはそれぞれp+q=4となる整数である。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-iso-プロポキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ-iso-プロポキシシラン、テトラペンタ-n-プロキシシラン、テトラペンタ-n-ブトキシシラン、テトラペンタ-sec-ブトキシシラン、テトラペンタ-tert-ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(2)シランカップリング剤
例えば、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
(3)電離放射線硬化性珪素化合物
電離放射線によって反応架橋する複数の基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機珪素化合物が挙げられる。このような反応性有機珪素化合物は、具体的には、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
その他の化合物としては、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等が挙げられる。
[ハードコート層]
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理的強度を付与するために、透明支持体の表面に設けることが好ましい。特に、透明支持体と前記光拡散性層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。
硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、光拡散性層で例示したと同様のものが挙げられる。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002-144913号公報、同2000-9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
又、ハードコート層は、上記した導電性微粒子を含有し、導電性のハードコート層である態様も好ましい。
[透明支持体]
透明支持体の素材としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスが挙げられる。透明樹脂フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ジアセチレンセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。又、厚さは通常25μm〜1000μm程度とし、保護フィルムの軽量化からは、膜厚30〜200μmが好ましく、特に30〜100μmが好ましい。
本発明の透明支持体としては、偏光板の最表面に用いるため、偏光膜の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムを使用する事が好ましい。
以降、透明性が高く、表面が平滑であるという特徴をもつ、本発明の反射防止フィルムの透明支持体フィルムに特に好ましく使用出来る、セルロースアシレートフィルムに関し説明する。
(高透明度、高平滑なセルロースアシレートフィルム)
本発明において、セルロースアシレートとは、セルロースの脂肪酸エステルのことであり、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。
低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースエステルとしてはセルロースアセテートが好ましく、その例としては、ジアセチルセルロースおよびトリアセチルセルロースなどが挙げられる。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることも好ましい。
本発明では、酢化度が59.0乃至61.5%であるセルロースアシレートを使用することが好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D-817-91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアシル化度の測定および計算に従う。
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。
6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。
各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。
セルロースアシレートフィルムの具体的な内容は、発明協会公開技法、公技番号2001-1745号公報に記載の内容が挙げられる。
前記透明支持体フィルムとしては、複屈折がないセルロースアシレートフィルムが、光拡散性反射防止フィルムを偏光素子と積層して偏光板を作製することが可能(後述)であり、更にその偏光板を用いて表示品位の優れた液晶表示装置を得ることができるので、特に好ましい。
又、光拡散性層を、各種コーティング方法によって塗工する場合の耐熱、耐溶剤性や機械強度等の加工適性の面から、透明支持体フィルムとしては、PETが特に望ましい。
[反射防止フィルムの製造]
本発明の反射防止フィルムの各層は、各層形成用組成物を後述の塗布用分散媒に溶解して塗布液として、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ダイコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)等の塗布方法により形成することができ、ダイコート法で塗布することが好ましく、更には塗布工程において後述するダイコーターを用いて塗布工程を行うことがより好ましい。二層以上を同時に塗布してもよい
。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載の方法を特に制限無く用いて行うことができる。
本発明の反射防止フィルムにおいては、少なくとも光拡散性層と低屈折率層とを積層するので、ゴミ、ほこり等の異物が存在したとき、輝点欠陥が目立ちやすい。本発明における輝点欠陥とは、目視により、塗膜上の反射で見える欠陥のことで、塗布後の反射防止フィルムの裏面を黒塗りする等の操作により目視で検出できる。目視により見える輝点欠陥は、一般的に50μm以上である。
本発明の反射防止フィルムは、輝点欠陥の数が1平方メートル当たり好ましくは20個以下、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは5個以下、特に好ましくは1個以下である。上記の範囲内であれば、製造時の得率の観点から好ましく、大面積の反射防止フィルムの製造にも問題なく使用することができ、好ましい。
本発明の反射防止フィルムを連続的に製造するために、ロール状の透明支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布する工程、乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る工程が行われる。
ロール状の支持体フィルムから、支持体フィルムがクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、支持体フィルムに帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続き支持体フィルム上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液が支持体フィルム上に塗布され、塗布された支持体フィルムは乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有する支持体フィルムは乾燥室から放射線硬化室へ送り出され、放射線が照射されて塗布層に含有される硬化型樹脂が重合して硬化する。さらに、放射線により硬化した層を有する支持体フィルムは熱硬化部へ送られ、加熱されて硬化を完結させ、硬化が完結した層を有する支持体フィルムは巻き取られてロール状となる。
上記各工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−放射線硬化部−熱硬化室を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能であるが、生産性の観点から各層の形成を連続的に行う事が好ましい。
図7に示す本発明において好ましく用いられる製造装置の1実施形態を参照して具体的に説明する。
ここで、図7は本発明において用いられる製造装置の1実施形態を示す概略図である。
図7に示す製造装置は、上記の連続的に送り出す工程を行うためのウェブWおよびそのロール1並びに複数設けられたガイドローラー(図示せず)と、上記の巻き取る工程を行うための巻き取りロール2と、上記の塗布する工程、乾燥する工程及び塗膜を硬化する工程を行うための、製膜ユニット100,200,300,400を適宜必要な数だけ設置したものである。本実施形態においては、製膜ユニット100は、ハードコート層形成用であり、製膜ユニット200は、導電層形成用であり、製膜ユニット300は、光拡散性層形成用であり、製膜ユニット400は、低屈折率層形成用である。
各製膜ユニットは、同様の構造であるので、製膜ユニット100について説明する。製膜ユニット100は、上記の塗布液を塗布する工程を行うための塗布部101、及び上記の塗布された液を乾燥する工程を行うための乾燥部102と、上記の乾燥された塗布液を硬化する工程を行うための硬化装置103とからなる。
なお、図7で示される装置は4層を巻き取ることなく連続的に塗布する際の構成の一例だが、層構成に合わせて製膜ユニット数を変化させることはもちろん可能である。
製膜ユニットが3つ設置された装置を用いて、前記ハードコート層を塗設したロール状の支持体フィルムを連続的に送り出し、ハードコート層、光拡散性層、低屈折率層を各製膜ユニットで順次塗設した後に巻き取る事がより好ましく、製膜ユニットが4つ設置された、図7に示す装置を用いて、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り出し、ハードコ
ート層、導電層、光拡散性層、低屈折率層を各製膜ユニットで順次塗設した後に巻き取る事が更に好ましい。
上記の塗布方法の中でも、マイクログラビア法が一般的に好ましく用いられる。本発明の光拡散性層や低屈折率層もマイクログラビア法で製造することができる。幅方向の塗布量分布や各種の面状故障に対しても良好な面状が得られ、長手方向の塗布量分布も掻き落しに用いる金属ブレードの素材、形状等の最適化により、満足な性能が得られる。
一方、より高い生産速度の観点では、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。ダイコート法は、生産性と塗布ムラのない面状を高次元で両立できるため、好ましく用いられる。
本発明の反射防止フィルムの製造方法としては、このようなダイコート法を用いた以下の本発明の製造方法が好ましい。
すなわち、バックアップロールによって支持されて連続走行するウェブの表面に、スロットダイの先端リップのランドを近接させて、先端リップのスロットから塗布液を塗布する塗布工程を有し、該塗布工程は、スロットダイのウェブ進行方向側の先端リップのウェブ走行方向におけるランド長さが30μm以上100μm以下であるスロットダイを有し、スロットダイを塗布位置にセットしたときに、ウェブの進行方向とは逆側の先端リップとウェブとを、両者の隙間が、ウェブ進行方向側の先端リップとウェブとの隙間よりも30μm以上120μm以下(以下、この数値限定については「オーバーバイト長さ」と称する)大きくなるように設置した塗布装置を用いて、光拡散性層及び低屈折率層の何れか一方、または両方の層を塗布する反射防止フィルムの製造方法が好ましい。
特に、本発明の製造方法において好ましく用いることができるダイコーターについて、以下に図面を参照して説明する。該ダイコーターは、ウエット塗布量が少ない場合(20ml/m2以下)に用いることができ、好ましい。
<ダイコーターの構成>
図8は本発明を好適に実施できるスロットダイを用いたコーター(塗布装置)の断面図である。
コーター10は、バックアップロール11とスロットダイ13とからなり、バックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14がビード形状14aで吐出されて塗布されることにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部には、ポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向(ここで、スロットダイ13の幅方向とは、図8の記載された図面に向かって手前方向又は奥側の方向を指す。)にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている(図示せず)。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さになるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブW走行方向の接線とのなす角度は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状
に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの進行方向の上流側(進行方向すなわち図中の矢印方向とは逆側)を上流側リップランド18a、下流側(進行方向側)を下流側リップランド18bと称する。
上流側リップランド18aとウェブWとの隙間は、下流側リップランド18bとウェブWとの隙間よりも上述の範囲で大きい。また、下流側リップランドランド18bの長さは、上述の範囲である。
図9(A)を参照して上述した数値限定に関する部位について説明すると、ウェブの進行方向側のランド長さは、図9(A)のILOで示される部分であり、上記オーバーバイト長さは、図9のLOで示される部分である。
次に図9を参照して本発明の反射防止フィルムの製造方法の実施に用いられる塗布装置と従来の塗布装置とを比較して説明する。ここで、図9は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は本発明のスロットダイ13を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。
従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、本発明のスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは上述のように、30μm以上100μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上80μm以下、最も好ましくは30μm以上60μm以下である。下流側リップのランド長さILOが30μm以上であれば、先端リップのエッジあるいはランドが欠けにくく、塗膜へのスジの発生を抑えることができ好ましい。また、下流側の濡れ線位置の設定がしやすい。さらには、塗布液の下流側における広がりを抑えることができ、好ましい。下流側における塗布液の濡れによる広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くという問題につながる。一方、下流側リップのランド長さILOが100μm以下であれば、ビード14aを形成することができる。塗布液がビード14aを形成することにより、薄層塗布を行うことができる。
さらに、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成14aが可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブWの隙間GLとは、下流側リップランド18bとウェブWの隙間を示す。
次に、図10を参照して上記塗布工程全般について説明する。
図10は、本発明の製造方法を実施する塗布工程のスロットダイ13及びその周辺を示す斜視図である。スロットダイ13に対しウェブWの進行方向側とは反対側(すなわちビード14aより上流側)に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間には隙間GB 、サイドプレート40bとウェブWの間には隙間GS が存在する。
減圧チャンバー40とウェブWとの関係について図11及び図12を参照して説明する。図11及び図12は、近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。
サイドプレート40bとバックプレート40aは図11のようにチャンバー40本体と一体のものであってもよいし、例えば、図12のように適宜隙間GBを変えられるようにバックプレート40aをチャンバー40にネジ40cなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間GB 、GS と定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェブWとの隙間GB とは、減圧チャンバー40を図10のようにウェブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェブWまでの隙間を示す。
バックプレート40aとウェブWとの隙間GB をスロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GL(図9参照)よりも大きくして設置するのが好ましく、これによりバックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。例えば、スロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GL が30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェブWの間の隙間GB は100μm以上500μm以下が好ましい。
<材質、精度>
前記ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さ(図9(A)に示す下流側リップランド長さlLO)は、前述の範囲内とすることが好ましく、また、lLOのスロットダイ幅方向における変動幅を20μm以内とすることが好ましい。この範囲内であれば、かすかな外乱によってもビードが不安定になることがなく、好ましい。
スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまうため、好ましくない。ステンレス鋼などの場合、下流側リップランド長さlLOを前記の30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足することが困難である。高い加工精度を維持するには、特許第2817053号明細書に記載されているような超硬材質のものを用いることが好ましい。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布の実現には、前記下流側リップランド長さlLOが重要であり、さらに隙間GLのスロットダイ幅方向における変動幅を制御することが望ましい。前記バックアップロール11と前記先端リップ17とは、隙間GLのスロットダイ幅方向における変動幅を制御できる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、隙間GLのスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップ17とバックアップロール11の真直度とすることである。
輝点欠陥が上述の範囲である輝点欠陥の少ない反射防止フィルムを作成するためには、光拡散性層用塗布物中の高屈折率金属酸化物超微粒子および透光性微粒子の分散を精密に制御すること、および塗布液の精密濾過操作を行えばよい。これと同時に、反射防止層を形成する各層は上記の塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましい
。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行なう方法、特開2001−38306号公報に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、支持体フィルム上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後の支持体フィルムの帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
[塗布用分散媒]
上記塗布液に用いられる塗布用分散媒としては、特に限定されず、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。好ましい分散媒体は、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、オルトージクロルベンゼン等の塩化芳香族炭化水素類、モノクロルメタン等のメタン誘導体、モノクロルエタン等のエタン誘導体等を含む塩化脂肪族炭化水素類、メタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、エチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素類、脂肪族または芳香族炭化水素の混合物等が該当する。これら溶媒の中でもケトン類の単独あるいは2種以上の混合により作成される塗布用分散媒が特に好ましい。ダイコート法で塗布する場合には、塗布用分散媒は、各層形成用組成物の固形成分に対し、下記の液物性となるよう、用いることが好ましい。
[塗布液物性]
本発明の製造方法における塗布方式は、塗布する瞬間の液物性、特に粘度及び表面張力を制御することが好ましい。液物性を制御することで、塗布可能な上限の速度を上げることができ、好ましい。また、後述するようにウェブの表面に塗り付けられる塗布液の量を制御することでも塗布可能な上限の速度を上げることができ、好ましい。
前記塗布液の塗布時における粘度は2.0[mPa・sec]以下であるのが好ましく、更に好ましくは1.5[mPa・sec]以下、最も好ましくは1.0[mPa・sec]以下である。塗布液によってはせん断速度により粘度が変化するものもあるため、上記の値は塗布される瞬間のせん断速度における粘度を示している。塗布液にチキソトロピー剤を添加して、高せん断のかかる塗布時は粘度が低く、塗布液にせん断が殆どかからない乾燥時は粘度が高くなって、乾燥時のムラが発生しにくくなり、好ましい。
また、ウェブの表面に塗り付けられる塗布液の量は2.0〜5.0[ml/m2]であ
ることが好ましい。この範囲内であれば、塗布可能な上限の速度を上げることができ、また、乾燥にかかる負荷の軽減の観点からも好ましい。最適なウェブの表面に塗り付けられる塗布液の量は液処方・工程条件によって決めることが好ましい。
表面張力については、15〜36[mN/m]の範囲にあることが好ましい。この範囲であれば、乾燥時のムラが抑止されるため好ましい。さらに好ましくは17[mN/m]〜32[mN/m]の範囲であり、19[mN/m]〜26[mN/m]の範囲が特に好ましい。この範囲であれば、塗布可能な上限の速度を落とすことがなく好ましい。表面張力はレベリング剤を添加するなどして制御することができる。
また、本発明の製造方法においては、前記塗布液を、連続走行するウェブの表面に25[m/min]以上の速度で塗設するのが好ましい。
[濾過]
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜10μmのフィルターを用いることが好ましく、さらには絶対濾過精度が0.1〜5μmであるフィルタを用いることが好ましい。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は好ましくは1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
ろ過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
<反射防止フィルムの性能>
(光学特性)
本発明の反射防止フィルムは光拡散性層の内部ヘイズ値が30乃至60%であり、さらに表面ヘイズが1%以下であることを特徴とする。ヘイズ値は、JIS-K-7105に準じヘイズメーター(例えば、日本電色工業(株)製MODEL 1001DP、村上色彩技術研究所製HR-100等)を用いて測定できる。
へイズ(トータルヘイズht、表面ヘイズhs、内部へイズhi)は、光拡散性層まで塗布したフィルムに対して、ヘイズメーターMODEL1001DP(日本電色工業(株)製)を用いてトータルヘイズhtを測定する。更に、光拡散性層と同じ屈折率となる、光拡散性層塗布液から透光性微粒子のみを除去した液を、該光拡散性層塗布済みフィルムの表面凹凸が無くなるまで平滑に覆うようにオーバーコートしたフィルムに対して測定したヘイズ値をhi、htからhiを差し引いたヘイズをhsとする。
本発明の反射防止フィルムは、5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値(すなわち平均反射率)が2.5%以下であり、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.4%以下である。
上記の5度入射における鏡面反射率は、サンプルの法線方向+5度から入射した光に対する法線方向-5度で反射した光の強度の割合であり、背景の鏡面反射による映り込みの尺度になる。防眩性機能をもつ反射防止フィルムとして適用する場合には、防眩性付与のために設けた表面凹凸に起因する散乱光の分だけ、法線方向-5度で反射した光の強度は弱くなる。従って、鏡面反射率は防眩性と反射防止性の両方の寄与を反映する測定法といえる。
反射防止フィルムの5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値が2.5%を越えると、背景の映り込みが気になり、表示装置の表面フィルムに適用したときの視認性が低下する為、好ましくない。
更には反射光の色味がよりニュートラルであることを特徴とする。
反射光の色味は、反射光の380nm〜680nmの反射スペクトルにより求めることができ、L***色度図上で中心点からの距離ΔEが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。また、耐候性試験後の色味の変化についても小さいほうが良く、ΔEが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。特に耐光性試験後の色味の変化が上記の範囲となることが好ましい。
この範囲において、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、例えば液晶表示装置の最表面に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、表示画像の品位が良好と成り、好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、これらの光学特性及び膜の機械的特性が耐候性試験後も実質的に問題とならない範囲の変化に抑制されていることが特徴である。特に耐光性試験後に上記特性の変化が抑制されていることが特徴である。
本発明の耐候性試験とは、JISK5600-7-7:1999に基づく耐候性試験であり、サンシャインウエザーメーター(S-80、スガ試験機(株)製)、湿度50%、処理時間200時間)による耐候性試験を意味する。
このようなニュートラルな色味の反射光を有し、且つ低反射率を有する反射防止フィルムは、低屈折率層の屈折率と光拡散性層の透光性樹脂の屈折率のバランスを最適化することで得られる。
(導電性)
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置に設ける第一偏光板(最も外側の偏光板)の外側の保護フィルムとして用いる場合などにおいて、上記および後に詳述する液晶モードに関わらず以下のような導電性を有することが好ましい。
透明支持体に対して常温常湿で測定した垂直剥離帯電が−200pc(ピコクーロン)/cm2〜+200pc(ピコクーロン)/cm2であることが好ましい。より好ましくは−100pc/cm2〜+100pc/cm2であり、さらに好ましくは−50pc/cm2〜+50pc/cm2であり、最も好ましくは0pc/cm2である。ここで、単位のpc(ピコクーロン)は、10-12クーロンである。
さらに好ましくは、常温10%RHで測定した垂直剥離帯電が−100pc/cm2〜+100pc/cm2であり、さらに好ましくは−50pc/cm2〜+50pc/cm2であり、最も好ましくは0pc/cm2である。
垂直剥離帯電の測定方法は以下の通りである。
測定サンプルはあらかじめ測定温度湿度の環境下で2時間以上放置しておく。測定装置は測定サンプルを置く台と相手のフイルムを保持して測定サンプルに上から圧着と剥離を繰り返せるヘッドからなり、このヘッドに帯電量を測定するエレクトロメーターがつながっている。測定する反射防止フイルムを台に乗せ、ヘッドにTACあるいはPETを装着する。測定部分を除電したのち、ヘッドを測定サンプルに圧着させ剥離させることを繰り返し、1回目の剥離時と5回目の剥離時の帯電の値を読み、これを平均する。サンプルを変えて3サンプルでこれを繰り返し、全てを平均したものを垂直剥離帯電とする。
相手フイルムや測定サンプルの種類によってプラスに帯電する場合とマイナスに帯電する場合があるが、問題となるのは絶対値の大きさである。
また、一般的に低湿度の環境下の方が帯電の絶対値は大きくなる。本発明の反射防止フィルムはこの絶対値も小さいため、偏光板の保護フィルムとして好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、常温常湿及び常温10%RHでの垂直剥離帯電の絶対値を上記の範囲にすることにより、防塵性に優れ、好ましい。
垂直剥離帯電の値を上記の範囲とするには、反射防止フィルム表面の各種元素の割合を調節することによって行うことができる。
TN、OCB等の液晶モードの表示装置の視認側の偏光板としては、保護フィルムの表面抵抗値は、1×1011Ω/□以上とすることが好ましい。垂直剥離帯電の絶対値を小さくすることで防塵性を保持したまま、画像表示品位を低下させない。表面抵抗値の測定方法はJISに記載されている円電極法である。即ち、電圧印加後、1分後の電流値を読み、表面抵抗値(SR)を求める。
<偏光膜の保護フィルム>
本発明の偏光膜の保護フィルムは、上記の反射防止フィルムを偏光膜の表面保護フィルムとして用いることから、光拡散性層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良することが好ましい。
本発明における偏光膜の保護フィルムを作製する手法としては、(1)予め親水化処理した透明支持体の一方の面に上記の各層(例、光拡散性層、低屈折率層、ハードコート層等)を塗設する手法、(2)透明支持体の一方の面に上記の各層(例、光拡散性層、低屈折率層、ハードコート層等)を塗設した後、偏光膜と貼り合わせる側を親水化処理する手法、の2つが考えられるが、(1)は光拡散性層を塗設するべき面まで親水化されるため、支持体と光拡散性層との密着性の確保が困難となるため、(2)の手法が好ましい。
[親水化処理]
透明支持体の表面の親水化処理は、公知の方法で行うことが出来る。例えば、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等で該フィルム表面を改質する方法が挙げられる。これらについては、前記の公技番号2001-1745の30頁〜32頁に詳細に記載されている。
[鹸化処理]
これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
(1)浸漬法
アルカリ液の中に反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フイルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ鹸化処理液は、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は、0.1〜3.0モル/Lの範囲にあることが好ましい。更に、アルカリ処理液として、フイルムに対する濡れ性が良好な溶媒(例、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、メタノール、エタノール等)、界面活性剤、湿潤剤(例えば、ジオール類、グリセリン等)を含有することで、鹸化液の透明支持体に対する濡れ性、鹸化液の経時安定性等が良好となる。好ましいアルカリ液の液温は25〜70℃、特に好ましくは30〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の光拡散性層を有する主面と反対の主面が親水化される。偏光膜の保護フィルムは、通常、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、光拡散性層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に光拡散性
層を有する主面までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる反射防止層の受けるダメージの指標として、反対側の主面の支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは20度〜50度、より好ましくは30度〜50度となる。この範囲で、反射防止フィルムの受けるダメージに実害が無く、且つ偏光膜との接着性を保持でき、好ましい。
(2)アルカリ液塗布法
上述の浸漬法における反射防止フィルムへのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を反射防止フィルムを有する主面と反対側の主面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。アルカリ液及び処理は、特開2002-82226号公報、国際公開02/46809号パンフレットに記載の内容が挙げられる。
本発明の偏光板は、偏光膜の保護フイルム(偏光板用保護フイルム)の少なくとも一方に、本発明の反射防止フイルムを有することが好ましい。偏光膜の保護フイルムは、上記のように、光拡散性層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が20度〜50度の範囲にあることが好ましい。本発明の反射防止フィルムを偏光膜の保護フイルムとして用いることにより、物理強度、耐候性に優れた反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となり、好ましい。
<偏光板>
偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護膜として、前述の通り、上記の反射防止フイルムを用いることができる。他方の保護膜は、通常のセルロースアシレートフイルムを用いてもよい。本発明の反射防止フィルムを偏光膜の片側の保護フィルムとして使用し、更に液晶性化合物からなる光学異方性層をこの順で積層した偏光板も好ましい。液晶性化合物からなる光学異方性層は透明支持体上に設けて光学補償フィルム(以下、光学補償シートともいう。)とし、その透明支持体を偏光膜側に用いることが好ましい。反射防止フィルムと偏光膜、偏光膜と光学異方性層支持体の積層に際しては周知の粘着剤、接着剤(例えばポリビニルアルコール系)を用いたり、その前に前述の鹸化処理等を行ってもよい。
偏光膜には、一般に、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルム(反射防止フィルムを含む。以下同じ)は、通常、水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥される。一般に保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
偏光板の透湿性は、保護フィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100乃至1000g/m2・24hrsである事が好ましく、300乃至700g/m2・24hrsである事が更に好ましい。
保護フィルムの厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整する事が出来る。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
保護フィルムの自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することが出来る。この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
保護フィルムの親疎水性は、添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることが出来る。
上記透湿性を独立に制御することにより、偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
[液晶化合物からなる光学異方性層]
本発明の偏光板は、偏光膜の反射防止フィルムとは反対側の透明支持体側に液晶化合物からなる光学異方性層を有することが好ましい。光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するように設計することが好ましい。
黒表示における液晶セル中の液晶化合物の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物の配向状態に関しては、IDW'00、FMC7-2、P411〜414に記載されている。
[液晶性化合物]
光学異方性層に用いられる液晶化合物は、棒状液晶でも、ディスコティック液晶でも良く、またそれらが高分子液晶、もしくは低分子液晶、さらには、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含む。本発明の液晶性化合物として最も好ましいのは、ディスコティック液晶である。
棒状液晶の好ましい例としては、特開2000-304932号公報に記載のものがあ
げられる。
本発明のディスコティック液晶の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記ディスコティック液晶は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示す。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、本発明において、円盤状化合物から形成したとは、最終的にできた物質が前記化合物である必要はなく、例えば、低分子ディスコティック液晶が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。上記ディスコティック液晶の好ましい例は特開平8-50206号公報に記載のものが挙げられる。
本発明において光学異方性層は、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる層であって、そしてディスコティック構造単位の面が、透明支持体面に対して傾き、且つ該ディスコティック構造単位の面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向に変化していることが好ましい。
上記ディスコティック構造単位の面の角度(傾斜角)は、一般に、光学異方性層の深さ
方向でかつ光学異方性層の底面からの距離の増加と共に増加または減少している。上記傾斜角は、距離の増加と共に増加することが好ましい。更に、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、及び増加及び減少を含む間欠的変化等を挙げることができる。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。傾斜角は、変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していることが好ましい。更に、傾斜角は全体として増加していることが好ましく、特に連続的に変化することが好ましい。
上記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、上記光学異方性層は、ディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、さらに冷却することにより得られる。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相-固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
例えば、支持体側のディスコティック単位の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック単位の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコティック化合物とともに使用する他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマー)を選択することにより調整することができる。更に、傾斜角の変化の程度も上記選択により調整することができる。
上記可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)が好ましい。上記化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に1〜50質量%(好ましくは5〜30質量%)の量にて使用される。
更に、好ましい重合性モノマーの例としては、多官能アクリレートが挙げられる。官能基の数は3官能以上が好ましく、4官能以上が更に好ましい。最も好ましいのは6官能モノマーである。6官能モノマーの好ましい例としては、ジペンタエリストリトールヘキサアクリレートが挙げられる。また、これら官能基数の異なる多官能モノマーを混合して使用することも可能である。
上記ポリマーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物に傾斜角の変化を与えられる限り、どのようなポリマーでも使用することができる。ポリマー例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。上記ポリマーは、液晶性ディスコティック化合物の配向を阻害しないように、ディスコティック化合物に対して一般に0.1〜10質量%(好ましくは0.1〜8質量%、特に0.1〜5質量%)の量にて使用される。本発明では、セルロースアセテートフィルム、その上に設けられた配向膜及び配向膜上に形成されたディスコティック液晶からなり、配向膜が架橋されたポリマーからなるラビング処理された膜であることが好ましい。
[配向膜]
配向膜は、液晶分子の配向方向を規定する機能を有する為に通常必要であるが、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素として必ずしも必須のものではない。例えば、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。
ポリマーの例としては、例えば特開平8-338913号公報明細書中段落番号[00
22]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が挙げられる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
液晶分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶分子の種類および必要とする配向状態に応じて決定することができる。
例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例としては、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000-155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002-62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶分
子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができ、好ましい。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000-155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
架橋剤としては、アルデヒド、N-メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002-62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られ、好ましい。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方性層の層表面の欠陥が著しく減少し、好ましい。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコート法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にダイコート法、ロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1乃至10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上又は配向膜の下塗り層上に設けてもよい。透明支持体上に直接設ける場合は、前記の表面親水化処理を行うことが好ましい。
又、下塗り層としては、例えば特開平7-333433号公報記載の下塗り層、或は疎水性基と親水性基との両方を含有するゼラチン等の樹脂層を一層のみ塗布する単層法、第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着するゼラチン等の親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と
略す)を塗布する所謂重層法(例えば、特開平11-248940号公報記載)の内容が挙げられる。
配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
次に、配向膜を機能させて、配向膜の上に設けられる光学異方性層の液晶分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。配向膜の膜厚は、0.1乃至10μmの範囲にあることが好ましい。
<液晶化合物からなる光学異方性層を塗設する透明支持体>
該透明支持体は、高透過率なプラスティックフィルムであれば特に制限はないが、偏光板の保護フィルムであるセルロースアセテートを用いることが好ましい。
光学異方性層を塗設する透明支持体は、それ自身が光学的に重要な役割を果たすため、本発明の透明支持体のReレターデーション値を0〜200nmであり、そして、Rthレターデーション値が40〜400nmに調節される事が好ましい。
液晶表示装置に二枚の光学的異方性セルロースアセテートフイルムを使用する場合、フイルムのRthレターデーション値は50乃至250nmであることが好ましい。
液晶表示装置に一枚の光学的異方性セルロースアセテートフイルムを使用する場合、フイルムのRthレターデーション値は100乃至400nmであることが好ましい。
なお、セルロースアセテートフイルムの複屈折率(Δn:nx-ny)は、0.00乃至0.002であることが好ましい。また、セルロースアセテートフイルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2-nz}は、0.001乃至0.04であることが好ましい。
レターデーション値(Re)は、下記式に従って算出する。
レターデーション値(Re)=(nx-ny)×d
式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり;nyは、位相差板の面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率である。
(II) Rth={(nx+ny)/2-nz}×d
式(II)には、フイルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率である。nyは、フイルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率である。nzは、フイルムの厚み方向の屈折率である。dは、単位をnmとするフイルムの厚さである。
更には、本発明の光学補償シートに用いるセルロースアシレートフイルムの吸湿膨張係数を30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。
吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、光学補償シートの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇(歪みによる光漏れ)を防止することができる。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したポリマーフイルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げる。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L
0)を測定する。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定する。吸湿膨張係数は下式により算出する。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1-L0)/L0}/(R1-R0)
ポリマーフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、疎水基を有する化合物或は微粒子等を添加することが好ましい。疎水基を有する化合物としては、分子中に脂肪族基や芳香族基のような疎水基を有する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これらの化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01乃至10質量%の範囲にあることが好ましい。又、ポリマーフイルム中の自由体積を小さくすればよく、具体的には、ソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少ない方が自由堆積が小さくなる。セルロースアシレートフイルムに対する残留溶剤量が、0.01乃至1.00質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。
ポリマーフイルムに添加する上記した添加剤或は種々の目的に応じて添加できる添加剤(例えば、紫外線防止剤、剥離剤、帯電防止剤、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)及び赤外吸収剤等が挙げられる。)は、固体でもよく油状物でもよい。また、フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。これらの詳細は、前記の公技番号 2001-1745号技法の16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されないが、ポリマーフィルム全組成物中、0.001〜25質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
<液晶表示装置>
以下に、本発明の液晶表示装置について説明する。本発明の液晶表示装置は従来公知の何れも用いることができる。例えば、内田龍雄監修「反射型カラーLCD総合技術」((株)シーエムシー、1999年刊)、「フラットパネルディスプレイの新展開」((株)東レリサーチセンター調査部門、1996年刊)、「液晶関連市場の現状と将来展望(上巻)、(下巻)」(富士キメラ総研(株)、2003年刊)等に記載されているものが挙げられる。
本発明の反射防止フィルムおよび/または偏光板を付設の液晶表示装置としては、TNモード、VAモード、IPSモード、OCBモードおよび半透過ECBモードが好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムおよび/または偏光板は、付設する液晶表示装置表示画像の大きさが20インチ以上であっても、コントラストが良好で広い視野角を有し、かつ色相変化及び外光の移りこみ防止を実現でき、好ましい。
(TNモード)
以下、本発明のTNモード液晶表示装置の一実施形態の構成部材について順次説明する。
図2は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。
図2に示す液晶表示装置は、液晶セル(TN5〜9)、および液晶セル(TN5〜9)を挟持して配置された上偏光板TN1と下偏光板TN12とを有する。偏光板は偏光膜および一対の透明保護フィルムによって挟持されているが、図2中では一体化された偏光板として示し、詳細構造は省略する。液晶セルは、上電極基板TN5および下電極基板TN8と、これらに挟持される液晶層TN7から形成される液晶層からなる。上電極基板TN5および下電極基板TN8の液晶層TN7に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(図示せず。)が形成されていて、配向膜上に施されたラビング処理等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶層TN7の液晶分子の配向が制御されている。また、
上電極基板TN5および下電極基板TN8の内面には、液晶分子からなる液晶層TN7に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。
液晶層TN7には誘電異方性が正で、屈折率異方性、Δn=0.0854(589nm、20°C)、Δε=+8.5程度の液晶(例えばメルク社製のMLC-9100)を使用
できる。液晶層の配向制御は配向膜とラビングにより制御する。ここでは、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、ラビング約3°で作成した例とした。ラビング方向は上下基板と互いに直交する方向に施し、その強さとラビング回数などでチルト角の大きさが制御できる。配向膜はポリイミド膜を塗布後焼成して形成する。液晶層のねじれ角(ツイスト角)の大きさは、上下基板のラビング方向の交差角と液晶材料に添加するカイラル材により決まる。ここではツイスト角が90°になるようにするためピッチ60μm程度のカイラル材を添加した例とした。なお、ツイスト角は、ノートパソコンやパソコンモニタ、テレビ用の液晶表示装置の場合は90°近傍(85から95°)に、携帯電話などの反射型表示装置として使用する場合は0から70°に設定する。液晶層の厚さdは5μmに設定してある。ここで厚さdと屈折率異方性Δnの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るために0.2から0.5μmの範囲になるように設定する。
また、液晶材料LCは、ネマチック液晶であれば、特に限定されるものではない。誘電率異方性△εは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性△nは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。
上偏光板TN1の吸収軸TN2と下偏光板TN12の吸収軸TN13は概略直交に積層し、さらに液晶セルの上偏光板TN1の吸収軸TN2と上電極基板TN5のラビング方向(配向制御方向)TN6は平行に、下偏光板TN12の吸収軸TN13と下基板TN8のラビング方向(配向制御方向)TN9はそれぞれ平行になるように積層する。上電極基板TN5および下電極基板TN8のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず。)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層TN7の液晶分子は基板面に対して略平行に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態は液晶分子のねじれ構造に沿って伝播し、偏光面が90°回転して出射する。すなわち、液晶表示装置では非駆動状態において白表示を実現する。これに対し、駆動状態では液晶分子は基板面に概略垂直に配向するため、液晶パネルを通過する光は偏光状態を変化させずに通過する。換言すると、液晶表示装置では駆動状態において理想的黒表示が得られる。
本発明のTNモード液晶表示装置は、図2に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、後述する様に、液晶セルと偏光板との間に、別途光学補償フィルム(図2における上光学異方性層TN3、下光学異方性層TN10。以下、光学補償シートとも称する)を配置することが好ましい。
また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置するのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
(VAモード)
次に本発明のVAモード液晶表示装置の一実施形態の構成部材について順次説明する。
図3は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。
図3に示す液晶表示装置は、液晶セル(VA5〜9)、および液晶セルを挟持して配置された上偏光板VA1と下偏光板VA14とを有する。偏光板は偏光膜および一対の透明保護フィルムによって挟持されているが、図3中では一体化された偏光板として示し、詳細構造は省略する。VAモードでは上下電極基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=-4.6程度の液晶(例えばメルク社製のMLC-6608)をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆる基板面に対するチルト角を、約89°で作成する。液晶層VA7の厚さdは3.5μmに設定する。ここで厚さdと屈折率異方性Δnの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るために0.2から0.5μmの範囲に、好ましくは0.25から0.35μmの範囲になるように設定する。
液晶セルの上偏光板VA1の吸収軸VA2と下偏光板VA14の吸収軸VA15は概略直交に積層する。上電極基板VA5および下電極基板VA8のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず。)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層中の液晶分子は、液晶層VA7のように基板面に対して略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は電極基板面に略平行に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。
ここでは上下電極基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用した例とした。また電極を一方の電極基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用する。またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル材の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化する課題がある。黒表示時に液晶分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。これを解決するには光学補償シート(図3における上光学異方性層VA3、下光学異方性層1VA10、下光学異方性層2VA12。)を配置することが好ましい。また白表示時には液晶分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にする。
(OCBモード)
次に本発明のOCBモード液晶表示装置の一実施形態の構成部材について順次説明する。
図4は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。
図4に示す液晶表示装置は、ベンド配向した液晶セル(OCB5〜9)、および液晶セルを挟持して配置された上偏光板OCB1と下偏光板OCB12、液晶セルの両側に配置された一対の光学異方性層(OCB3、OCB10)およびバックライト(図示せず。)からなる。偏光板は偏光膜および一対の透明保護フィルムによって挟持されているが、図4中では一体化された偏光板として示し、詳細構造は省略する。
液晶セル(OCB5〜9)の上電極基板OCB5のラビング方向(配向制御方向)OCB6と下電極基板OCB8のラビング方向(配向制御方向)OCB11は、同一方向(平行)である。光学異方性層OCB3、OCB10を配向させるためのラビング方向(配向制御方向)OCB4とOCB11は、対面する液晶セルのラビング方向(配向制御方向)OCB6、OCB9とは平行の関係にある。偏光板OCB1、OCB12の吸収軸OCB2、OCB13は、光学異方性層の配向方向OCB4、OCB11と同一平面では実質的に45゜の角度になる。そして、二枚の偏光板(OCB1、OCB12)は、面内吸収軸(OCB2、OCB13)が互いに直交するよう(クロスニコル)に配置されている。
ベンド配向液晶セルは、上電極基板OCB5と下電極基板OCB8の間に、誘電異方性が正で、Δn=0.0813、Δε=4.6程度の液晶層OCB7をラビング配向(配向制御方向)により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約8°で作成する。ここでラビング方向(配向制御方向)OCB 6、OCB 9は概略平行で同じ方向とする。これにより液晶層OCB7中の液晶分子の配向はセル断面方向でスプレー配向となる。ここで液晶層にカイラル剤を添加しねじれ成分を付与すると配向が安定する。この時電界無印加状態ではねじれ角が180度になる。またラビング方向を直交させて、ねじれ角を90、あるいは270度近傍に設定してもよい。
液晶層の厚さdは7μmに設定する。ここで厚さdと屈折率異方性Δnの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るために0.6から0.9μmの範囲になるように設定する。
液晶セルの上電極基板OCB5と下電極基板OCB8は、それぞれ、配向膜(図示せず。)と電極層(図示せず。)を有する。配向膜は液晶層OCB7の液晶分子を配向させる機能を有する。電極層は液晶層OCB7に電圧を印加する機能を有する。
ベンド配向液晶セルの印加電圧が低い時、液晶セルの上電極基板OCB5側の液晶分子と下電極基板OCB8側の液晶分子とは、実質的に逆の向きに(上下対称に)配向する。また、電極基板(OCB5、8)近傍の液晶分子は、ほぼ水平方向に配向し、液晶セル中央部の棒状液晶分子は、ほぼ垂直方向に配向する。印加電圧が高いと、基板の近傍の液晶分子は、ほぼ水平に配向したままである。また、液晶セル中央部の棒状液晶分子は、ほぼ垂直に配向したままである。電圧の増加により配向が変化するのは、基板と液晶セル中央部との中間に位置する液晶分子であり、これらはoffの状態よりも垂直に配向する。しかし、液晶セルの上電極基板OCB5側の液晶分子と下電極基板OCB8側の液晶分子とが、実質的に逆の向きに(上下対称に)に配向することは、offの状態と同様である。
OCB(ベンド配向)モードの液晶表示装置における光学補償の概念は、ベンド配向液晶セル(OCB5〜9)を、ディスコティック液晶分子から形成した光学異方性層(OCB3、10)と光学異方性を有する透明支持体が協調して、光学的に補償する。光学異方性層(OCB3、10)のディスコティック液晶分子を配向させるための方向(OCB4、OCB11)を、液晶セルのラビング方向、すなわち配向制御方向(OCB6、OCB9)とは反平行の関係に設定すると、ベンド配向液晶セルの液晶分子と光学異方性層(OCB3、OCB10)のディスコティック液晶分子とが対応して、光学的に補償する。そして、ベンド配向液晶セル中央部の実質的に垂直に配向している液晶分子には、透明支持体の光学異方性が対応するように設計する。
(半透過ECBモード)
次に本発明の半透過ECB液晶表示装置の一実施形態の構成部材について順次説明する。
図5は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。
図5に示す液晶表示装置は、半透過型平行配向液晶セル(ECB7〜13)、および液晶セル(ECB7〜13)を挟持して配置された上偏光板ECB1と下偏光板ECB 18、液晶セル
の両側に配置された光学異方性層(ECB 3、5、14、16)およびバックライト(図示せず。)からなる。偏光板は偏光膜および一対の透明保護フィルムによって挟持されているが、図5中では一体化された偏光板として示し、詳細構造は省略する。
液晶表示装置はCRT(ブラウン管)とは異なり自ら発光しないため、例陰極蛍光灯等からなるバックライトをパネルの背面に設置して照明を行う透過型表示装置として使用されてきた。しかし最近液晶表示装置の小型薄形化が進み、屋外や常時携帯して用いるモバイル用途としても使われるようになった。この時、特に屋外での使用では外光の影響が強くバックライトが有効に機能せず、表示品質が大きく低下する問題があった。そこで液晶セル内面に凹凸構造を有する金属性反射膜を設けた反射モードが提案されている。さらに透過と反射のモードの両立をはかるため、表示装置の1画素の中で反射部と透過部を設けた半透過ECBが提案されている。
図5は1画素の液晶セルの模式図である。液晶セル(ECB7〜13)の上電極基板ECB 7のラビング方向(配向制御方向)ECB 8と下電極基板ECB 13のラビング方向(配向制御方向)ECB12は、反平行に設定してあり、液晶層はツイスト構造を持たない平行配向となっている。
透過部、反射部ともに上電極基板ECB7と下電極基板ECB13は、それぞれ、配向膜(図示せず。)と電極層(図示せず。)を有する。
配向膜は液晶層ECB9中の液晶分子を配向させる機能を有する。電極層は液晶層ECB9に電圧を印加する機能を有する。電極層は通常透明なインヂウムチンオキサイド(ITO)からなるが、反射部(図示せず。)では透明電極上に不透明な層間絶縁膜ECB11を配置しその上に金属アルミなどからなる反射電極を形成し、コンタクトスルーホールを介して下層の透明電極層と導通をとる。
平行モードでは上下電極基板間に誘電異方性が正で、屈折率異方性、Δn=0.0854(589nm、20°C)、Δε=+8.5程度の液晶(例えばメルク社製のMLC-9100)を使用できる。透過部の液晶層の厚さdは3.5μmに設定してある。ここで厚さdと屈折率異方性Δnの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るために0.2から0.4μmの範囲になるように設定する。また反射部は反射電極により見かけ上厚さが2倍になるため、厚さは理想的には透過部の半分、1.75μmでよい。しかし層間絶縁膜のプロセス制約などの要因もあり、必ずしもこの関係に設定する必要はない。
半透過ECBの液晶表示装置における光学補償の概念は、液晶セルと光学異方性層(ECB3、5、14、16)による偏光状態で説明できる。
図5の反射部において、電圧無印加状態では液晶層ECB9の液晶分子は電極基板ECB7、13に対して平行に配向している。この液晶層の厚さdと屈折率異方性Δnの積は、光の波長の1/4に、たとえば可視光λ=550nmではレターデーションを138nm近傍に設定する。この値はλ/4板と呼ばれる値であり、直線偏光を円偏光に変換する性質を有する。一方、光学異方性層ECB3、5のレターデーション値も同じように光の波長の1/4に設置する。
液晶セルに電圧が印加されていない状態では、偏光板を通過した直線偏光は光学異方性層ECB3、5のレターデーション値がλ/4板に相当するため、円偏光となる。次に液晶セルを通過すると、同じくレターデーションがλ/4板でかつ、円偏光の向きが逆になるように液晶セルのラビング方向(配向制御方向)ECB8と光学異方性層ECB5の遅相軸方向ECB6を調整すると、再び直線偏光に戻る。さらに反射板により偏光はもどされ、同じ偏光変換を行い直線偏光で偏光状態を変化させることなく上偏光板ECB1を通過し、実質的に明状態の白表示となる。
一方、電圧印加状態では、液晶層ECB9中の液晶分子が基板面に垂直に配向するため液晶セルのレターデーションは0に近くなる。偏光板を通過した光は光学異方性を通過することで円偏光となるが、反射膜で反射することにより円偏光の向きが逆となる。再び光学異方性層を通過すると偏光面が90°回転した直線偏光となり、偏光板を通過することができず、これにより電圧印加状態では暗状態の黒表示となる。
ここで、光学異方性層のレターデーション値をλ/4に設定するにあたり、高い表示品質を得るために、可視光線領域の全波長で設定する必要がある。そのため光学異方性層ECB3と5を2層用い、その遅相軸方向ECB4と6の交差角ならびに各光学異方性層のレターデーション値、さらに上偏光板ECB1の吸収軸ECB2との交差角を設定することにより、可視光波長領域の概略でλ/4になるように設計することが好ましい。本構成では、好ましい例として光学異方性層ECB3のレターデーション値をλ/2板に、光学異方性層ECB5のレターデーション値をλ/4板になるように設定し、遅相軸ECB4と6の交差角を60°、上偏光板ECB1の吸収軸ECB2と光学異方性層ECB3の遅相軸ECB4の交差角を15°、上偏光板ECB1の吸収軸ECB2と液晶セルラビング方向ECB8の交差角を45°に設定した例とした。
また、透過部は反射部と同じレターデーション値の光学異方性層ECB14、16を理想的には配置すればよく、光軸の角なす角度も対称に配置すればよい。もちろん透過部の液晶層の厚さによって、個々の値を調整してもよい。
(IPSモード)
次に本発明のIPSモード液晶表示装置の一実施形態の構成部材について順次説明する。図6はIPSモード液晶セルを示す模式側断面図である。通常はマトリクス状の電極により複数の画素を有するが、その一画素の一部分を示した。
透明な一対の基板IPS5、IPS8の内側に線状電極IPS14が形成され、その上に配向制御膜(図示せず。)が形成されている。基板IPS5、IPS8間に挟持されている棒状の液晶分子IPS7は電界無印加時には線状電極IPS14の長手方向に対して若干の角度を持つように配向されている。なおこの場合の液晶の誘電異方性は正を想定している。電界を印加すると電界方向に液晶分子IPS7はその向きを変える。偏光板IPS1、IPS13を所定角度に配置することで光透過率を変えることが可能となる。偏光板は偏光膜および一対の透明保護フィルムによって挟持されているが、図6中では一体化された偏光板として示し、詳細構造は省略する。なお、基板IPS8の表面に対する電界方向のなす角は実際は20度以下で、実質的に平行であることが望ましい。以下、本発明では20度以下のものを総称して平行電界と表現する。また、電極IPS14を上下基板に分けて形成しても、一方の基板にのみ形成してもその効果は変わらない。
液晶材料LCとしては、誘電率異方性△εが正のネマチック液晶を用いる。液晶層の厚み(ギャップ)は、2.8μm超4.5μm未満とする。これは、レタデーションΔn・dは0.25μm超0.32μm未満の時、可視光の範囲内で波長依存性が殆どない透過率特性が得られる。後述の配向膜と偏光板の組み合わせにより、液晶分子がラビング方向から電界方向に45°回転したとき最大透過率を得ることができる。尚、液晶層の厚み(ギャップ)はポリマビーズで制御している。もちろんガラスビーズやファイバー、樹脂製の柱状スペーサでも同様のギャップを得ることができる。また液晶材料LCは、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性△εは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性△nは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。
以下本発明の実施例について、比較例と対照して説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
[実施例1]
<反射防止フィルム(HK-01)の作製>
{光拡散性フィルム(HKF-01)の作製}
光拡散性層を構成する透光性樹脂は、紫外線硬化型樹脂(日本化薬(株)製KAYARAD PET−30、屈折率1.51)を50質量部とし、硬化開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュアー184)を2質量部、第1の透光性微粒子としては、アクリル-スチレンビーズ(粒径3.5μm、屈折率1.55)を5質量部、第2の透光性微粒子としては、架橋スチレンビーズ(綜研化学(株)製SXS-350、粒径3.5μm、屈折率1.61)を5.2質量部、シランカップリング剤KBM-5103(信越化学(株)製)を10質量部、下記のフッ素系ポリマー(f1)を0.03質量部、これらをトルエン50質量部と混合して塗布液として調整したものを、セルロースアシレートフィルム(富士写真フイルム(株)製、TD80UF)上に、乾燥膜厚6.0μmになるように塗工、溶剤乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ光拡散性フィルム(HKF-01)を作製した。
Figure 2006053538
JIS-K-7105に従いヘイズメーターMODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて、HKF-01のヘイズ(曇価)を測定したところ、42%であった。
{反射防止フィルム(HK-01)の作製}
上記の光拡散性層上に、下記低屈折率層用塗布液(LL-1)をグラビアコーターを用いて塗布した。80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cmの紫外線を照射し、低屈折率層(屈折率1.43、膜厚86nm)を形成した。このようにして、本発明の反射防止フィルム(HK-01)を作製した。
(低屈折率層用塗布液(LL-1)の調製)
下記構造のフッ素系共重合体(FP-1)をメチルイソブチルケトンに30質量%の濃度になるように溶解し、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X-22-164C(信越化学(株)製)を固形分に対して3質量%、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を固形分に対して5質量%添加し、低屈折率層用塗布液(LL-1)を調製した。
Figure 2006053538
{反射防止フィルム(HK−01)の評価}
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。尚、ヘイズについては、光拡散性フィルムを測定した。結果を表1に示した。
(1)平均反射率
分光光度計V-550(日本分光(株)製)にアダプターARV-474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角-5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
(2)ヘイズ
光拡散性フィルムのヘイズをヘイズメーターMODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
(3)表面エネルギー
表面の耐汚染性(指紋付着性)の指標として、光学材料を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、前記に記載の方法により測定した。
(4)動摩擦係数測定
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、HEIDON-14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。
(5)密着性評価
反射防止フィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。反射防止フィルムの光拡散性層を有する側の表面において、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(No.31B)における密着試験を同じ場所で繰り返し3回行った。剥がれの有無を目視で観察し、下記の4段階評価を行った。
◎:100升において剥がれが全く認められなかったもの
○:100升において剥がれが認められたものが2升以内のもの
△:100升において剥がれが認められたものが10〜3升のもの
×:100升において剥がれが認められたものが10升をこえたもの
(6)スチールウール擦り耐性の評価
前記露光前後の反射防止フィルムにおいて、#0000のスチールウールに500g/cm2の荷重をかけ、60往復したときの傷の状態を観察して、以下の3段階で評価した。
A:傷が全く付かない。
B:少し傷が付くが見えにくい。
C:顕著に傷が付く。
(7)表面抵抗値
全てのサンプルについて表面抵抗値を円電極法で測定し、1×1012Ω/□ 以上であることを確認した。
(8)ゴミ付着防止性(防塵性)
測定フイルムを硝子板に貼り、除電した後、東レ(株)のトレシーを用いて往復10回擦り、その後微細な発泡スチロールの粉を擬似ゴミとし、フイルム全体にかけた後フイルムを立て、疑似ゴミの落下の様子を観察し、下記の4段階評価を行った。
◎:擬似ゴミがほとんど全て落下する。
○:擬似ゴミが80%以上落下する。
△:擬似ゴミが50%以上落下する。
×:擬似ゴミが50%以上フイルム表面に残存している。
(9)耐候性の評価
サンシャインウエザーメーター(S-80、スガ試験機(株)製)、湿度50%)を用いて、露光時間200時間の水準の耐候性試験を行った。
(反射率測定、反射光スペクトル)
耐候性試験前後の偏光板について、傾斜角5°の入射光の反射スペクトルを鏡面反射率の測定方法と同様にして測定し、更に波長380nm〜780nmの波長領域における反射率とCIE色度図反射光の色味を計算することにより、耐候性試験前後の平均反射率変化と色味変化を求め、下記の4段階評価を行った。
(反射光の色味変化ΔE)
◎:ΔEが5以下、
○:ΔEが5〜10、
△:ΔEが10〜15、
×:ΔEが15以上
Figure 2006053538
<偏光板保護フィルム(HF-01)の作製>
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。HK-01に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、HK-01の透明支持体フィルム(セルロースアシレート)面が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。
<光学補償シート(WV−01)の作製>
{支持体の作製}
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱撹拌して、セルロースアシレート溶液を調製した。
(セルロースアシレート溶液組成)
酢化度60.7%(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート
100質量部
トリフェニルホスフェート 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 3.9質量部
下記構造のUV剤 UV−1 1.0質量部
下記構造のUV剤 UV−2 1.0質量部
メチレンクロライド 300質量部
メタノール 54質量部
1−ブタノール 11質量部
Figure 2006053538
(レターデーション調整剤溶液)
別のミキシングタンクに、下記の成分を投入し、加熱撹拌して、レターデーション調整剤溶液を調製した。
(レターデーション調整剤溶液組成)
下記のレターデーション調整剤 160質量部
メチレンクロライド 80質量部
メタノール 190質量部
Figure 2006053538
セルロースアシレート溶液477質量部に、レターデーション調整剤溶液52質量部を添加し、十分に撹拌して、ドープを調製した。セルロースアシレート100質量部に対するレターデーション調整剤の量は3質量部である。
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、130℃の条件でテンターを用いて延伸し残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアシレートフィルムCA-1(厚さ80μm)を製造した。
作成したセルロースアシレートフィルム(CA-01)について、レターデーションを測定(測定波長したところ、厚み方向のレターデーションRthは175nm、面内のレターデーションReは40nmであった。
{アルカリ鹸化処理}
フィルム試料の片面を、以下のアルカリ鹸化処理を行った。
フィルムの上に、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液(S-1)をロッドコーターを用いて塗布量12ml/m2で塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に8秒滞留させた。後に、同じくロッドコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。この時のフイルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥した。
(アルカリ溶液(S−1)組成)
水酸化カリウム 5.6質量%
水 25.0質量%
イソプロパノール 58.4質量%
界面活性剤(K−1:C1429O(CH2CH2O)20H) 1.0質量%
プロピレングリコール 10.0質量%
消泡剤サーフィノールDF110D(日信化学工業(株)製) 0.010質量%
{水との接触角}
(20℃/65%RH)の条件下で、接触角計(協和界面科学(株)製、CA-X型接触角計)を用いて測定した水との接触角は、35度であった。
{配向膜の形成}
この親水化表面処理したフィルム上に、下記の組成の配向膜塗布液をロッドコーターで28ml/m2の塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
乾燥後の塗布面のpHを測定した所、その値は4.1であった。又、塗布幅方向での中央と左右両端の位置のpH値は4.00〜4.20の範囲であった。
次に、親水化表面処理したフィルムの長手方向にラビング処理を実施した。
(配向膜塗布液組成)
下記変性ポリビニルアルコール 20質量部
カルボン酸化合物(A−1) 0.07質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
Figure 2006053538
{光学異方性層の形成}
下記の組成のディスコティック液晶塗布液(DA-1)を#4のワイヤーバーコーターで塗布し、125℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶を配向させた後、高圧水銀灯を用いてUVを500mJ/cm照射し、室温まで放冷して光学補償シート(WV-01)を作成した。フィルムの光学異方性層の厚さは、1.7μmであった。
(ディスコティック液晶塗布液(DA−1)組成)
下記のディスコティック液晶DLC−A 9.1質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)) 0.9質量部
下記のフッ素化合物(F) 1.4質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2 イーストマンケミカル) 0.2質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1 イ−ストマンケミカル) 0.05質量部
イルガキュアー907 3.0質量部
カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製) 0.1質量部
メチルエチルケトン 30.0質量部
Figure 2006053538
<光学補償シート付き偏光板>
{視認側偏光板 SHB-01の作製}
液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償シート(WV-01)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、WV-01の透明支持体フィルムが、上記の偏光板保護フィルム(HF-01)の偏光膜側となるように反対側に貼り付けた。このようにして視認側偏光板(SHB-01)を作製した。
{バックライト側偏光板 BHB-01の作製}
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。市販のトリアセチルセルロースフィルムフジタックTD80UF(富士写真フィルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片側に貼り付けた。また、上記の液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償シート(WV-01)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、WV-01の透明支持体フィルムが偏光膜側となるように反対側に貼り付けた。このようにしてバックライト側偏光板(BHB-01)を作製した。
<液晶表示装置>
{ベンド配向液晶セルの作製}
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを6μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。
{液晶表示装置の作製}
作製したベンド配向セルを挟むように、偏光板(SHB-01)を、光学補償シートが液晶セル側となるように粘着剤を介して、セルの視認側に貼り付けた。またバックライト側には、光学異方性層側が液晶セル側となるように粘着剤を介してバックライト側偏光板(BHB-01)を貼り付けた。視認側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
[比較例1-1]
実施例1における液晶表示装置の作製において、ベンド配向セルを挟む偏光板として両方ともに偏光板(BHB-01)を用いた他は、実施例1と同様にして液晶表示装置(即ち、視認側偏光板が本発明の反射防止フィルムを有しないもの)を作製した。BHB-01を視認側偏光板として使用した場合には、SHB-R1と呼ぶ。
[比較例1-2]〜[比較例1-4]
実施例1の反射防止フィルムの光拡散性フィルム(HKF-01)において、透光性樹脂と透光性微粒子の配合比を代えて表2のヘイズとなるように調整して、比較例1-2〜1-4の光拡散性フィルム(HKF-R1)〜(HKF-R3)を作製した。これらの各フィルムを実施例1の光拡散性フィルム(HKF-01)の代わりに用いた他は実施例1と同様にしてOCBモードの液晶表示装置を作製した。
Figure 2006053538
[実施例1A]〜[実施例1C]、[比較例1−5]
実施例1の反射防止フィルムの光拡散性フィルム(HKF-01)において、透光性樹脂と透光性微粒子の配合比を代えて表3のヘイズとなるように調整して、実施例1A〜1C及び比較例1−5の光拡散性フィルム(HKF-01A)〜(HKF-01C)、(HKF−R4)を作製した。これらの各フィルムを実施例1の光拡散性フィルム(HKF-01)の代わりに用いた他は実施例1と同様にしてOCBモードの液晶表示装置を作製した。
Figure 2006053538
{表示装置の性能評価}
作製した液晶表示装置の描画性能について、下記の内容の特性を評価した。その結果を、表4及び表5に記載する。
(描画画像のムラ評価)
測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)時の描画ムラを目視で観察した。
○:全く発生しない(10人が評価し、1人も認識できないレベル)
△:弱く発生する(10人が評価し、1〜5人が認識するレベル)
×:強く発生する(10人が評価し、6人以上が認識するレベル)
(外光の写り込み評価)
外光の映り込みの評価を蛍光灯を用いて行い、目視にて下記4段階評価を行った。
◎:映り込みの変化はあるが全く気にならない
○:映り込みの変化はあるが殆ど気にならない
△:映り込みの変化は気になるが、許容できる
×:映り込みの変化が気になる
(コントラスト、及び視野角)
液晶表示装置の液晶セルに、白表示電圧2V、黒表示電圧6Vを印加し、測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、コントラスト比及び左右方向(セルのラビング方向と直交方向)の視野角(コントラスト比が10以上となる角度範囲の広さ、及び階調反転の無い範囲の広さ)を調べた。
◎:全く気にならない
○:変化はあるが殆ど気にならない
△:変化は気になるが、許容できる
×:変化が気になる
(色味変化)
(コントラスト、視野角)の評価方法と同様の装置を用いて、視野角が正面から60度の範囲内における色調の変化の度合いを目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:全く気にならない
○:変化はあるが殆ど気にならない
△:変化は気になるが、許容できる
×:変化が気になる
(白呆け)
1000luxの明室にて、液晶表示装置を黒表示にして、種々の視角から目視により下記の基準で評価した。
◎:白呆けが全くない
○:白呆けがほとんどない
△:弱い白呆けがある
×:強い白呆けがある
Figure 2006053538
Figure 2006053538
実施例1の表示装置の描画画像は、全面のムラ及び外光の写り込みの無い鮮明画像であり、コントラストが上/下側でより向上し且つ色味の変化が軽減し、視認性が向上した。
本発明の反射防止フィルムを設けていない比較例1-1は、外光の写り込みが激しく、又色味変化が生じた。又、内部ヘイズが小さい比較例1-2と1-3は、外光の写りこみや画面のギラツキが大きくなった。
一方、内部ヘイズが大きくなった比較例1-4は、画面が白っぽくなり描画画像での黒表示の鮮鋭さが低下した。
以上のように、本発明のみが、画像の鮮明性、見る方向が変わってもコントラスト及び画像の色味が変わらない視認性の良好なものであった。
[実施例2および比較例2]
<反射防止フィルム(HK-02)の作製>
{導電層の形成}
フジタックTD80UL(富士写真フィルム(株)製)上に、シントロン4456-S7(ATOを分散したハードコート剤(固形分45%):神東塗料(株)製商品名)を塗工、乾燥後、紫外線を照射して硬化し、厚み1μmの導電層を形成した。このフイルムの表面抵抗は108Ω/□オーダーの導電性であった。
尚、表面抵抗率は、試料を(25℃/65%RH)の条件下に1時間放置した後、同条件下で三菱化学製 抵抗率計MCP-HT260を用いて測定した。
この上に下記のようにしての光拡散性層を設けたフィルム(HKF-02)を作製した。
{光拡散性フィルム(HKF-02)の作製}
光拡散性層を構成する透光性樹脂は、酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ7404の無機微粒子および溶剤組成変更品、JSR(株)製、屈折率1.64)を100部、硬化開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュアー184)を6質量部、シランカップリング剤KBM-5103(信越化学(株)製)を6質量部、前記のフッ素系ポリマー(f1)を0.04質量部、これらをエアディスパで攪拌しながら混合してメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(3/7質量比)溶液に溶解した後、塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
この溶液に透光性微粒子として、架橋型スチレンビーズ(綜研化学(株)製SXS-300、粒径3μm、屈折率1.61)を4質量部、および架橋型スチレンビーズ(綜研化
学(株)製SXS-500、粒径5μm、屈折率1.61)を 5.3質量部、これらを混合してメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(3/7質量比)により固形分30%になるように調整したものを、上記の導電層を設けたセルロースアシレートフィルム上に、乾燥膜厚4.0μmになるように塗工、溶剤乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ光拡散性フィルム(HKF-02)を作製した。(HKF-02)のヘイズは35%、表面へイズは0.7%であった

{反射防止フィルム(HK-02)の作製}
更に実施例1の反射防止フィルム作製と同様にして、低屈折率層用塗布液(LL-1)を膜厚85nmとなるように塗布し、反射防止フィルム(HK-02)を作製した。
{反射防止フィルム(HK-02)の評価}
得られたフィルムの特性について、実施例1と同様にして評価し、その結果を表6に記載する。
Figure 2006053538
得られたフィルム(HK-02)の光学特性は、前記の反射防止フィルム(HK-01)と同等の良好な結果を示した。
<偏光板保護フィルム(HF-02)の作製>
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。反射防止フィルム(HK-02)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、反射防止フィルム(HK-02)の透明支持体フィルム(セルロースアシレート)面が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。
<光学補償シート(WV−02)の作製>
{支持体の作製}
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱撹拌して、セルロースアシレート溶液を調製した。
(セルロースアシレート溶液組成)
酢化度59.9%(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート
100質量部
トリフェニルホスフェート 6.8質量部
ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.08質量部
UV剤:UV-1 1.0質量部
UV剤:UV-2 1.0質量部
メチル基変性シリカ(「AEROSIL(登録商標)972
(一次粒径16nm:日本アエロジル(株)) 0.15質量部
酢酸メチル 290質量部
メタノール 25質量部
アセトン 25質量部
エタノール 25質量部
1−ブタノール 25質量部
(レターデーション調整剤溶液の調製)
下記のレターデーション調整剤16質量部、酢酸メチル74.4質量部、メタノール6.4質量部、アセトン6.4質量部、エタノール6.4質量部及びi-ブタノール6.4
質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション調整剤溶液を調製した。
Figure 2006053538
セルロースアシレート溶液475質量部にレターデーション調整剤溶液36質量部を混合し、充分に攪拌した後に室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌して完全に溶解したドープを得た。
次に得られたドープを50℃にて、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)で濾過し、さらに絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製、FH025)にてフィルター濾過及び脱泡を行ってドープを調製した。
回転ドラム流延機を用いて流延した。流延方法は実施例1記載のバンド流延と同様の条件で行った。ドラム面上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、残留溶剤量が50質量%のフィルムを剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、残留溶剤量が40質量%のフィルムをテンターを用いて流延方向(縦方向)及び横方向の2軸延伸し、残留溶剤量が0.25質量%のセルロースアシレートフィルム(CA-02)を、厚さ105μm、長さ1000m、幅1.34mの巻きロール形態で製造した。
得られたセルロースアシレートフィルム(CA-02)の波長590nmにおけるレターデーション値(Re)は100nm、レターデーション値(Rth)は50nmであった。
{鹸化処理}
セルロースアシレートフィルム(CA-02)上に、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液(S-2)をロッドコーターを用いて塗布量12ml/m2で塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に15秒滞留させた後に、同じくロッドコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。この時のフイルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥した。
(アルカリ溶液(S−2)組成)
水酸化カリウム 8.55質量%
水 23.235質量%
イソプロパノール 54.20質量%
界面活性剤(K−1:C1429O(CH2CH2O)20H) 1.0質量%
プロピレングリコール 13.0質量%
消泡剤サーフィノールDF110D(日信化学工業(株)製)
0.015質量%
得られたフィルム表面の水との接触角は37度、表面エネルギー63mN/mであった
{配向膜の形成}
この表面処理したフィルム上に、下記の組成の配向膜塗布液をロッドーコーターで28ml/m2の塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
乾燥後の塗布面のpHを測定した所、その値は3.95であった。又、塗布幅方向での中央と左右両端の位置のpH値は3.90〜4.05の範囲であった。
(配向膜塗布液組成)
下記変性ポリビニルアルコール 20質量部
クエン酸 0.05質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
Figure 2006053538
(配向膜面のラビング処理)
次に、環境条件(25℃/45%RH)のもとに、フィルムの長手方向に配向膜面に、市販のラビング布を貼り付けたラビングロールで搬送方向に対し平行にラビング処理を実施した。
{光学異方性層の形成}
配向膜上に、下記構造のディスコティック液晶性化合物(DB)41.01質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB551-0.2、イーストマンケミカル社製)0.90質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531-1、イーストマンケミカル社製)0.23質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1.35質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45質量部、下記構造のフッ素系界面活性剤(F-2)0.40質量部を、102質量部のメチルエチルケトンに溶解した溶液と塗布液とし、これを、#3.4のワイヤーバーで塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cmの高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、膜厚2.0μmの光学異方性層を形成し、光学補償シート(WV-02)を作製した。
Figure 2006053538
<光学補償シート付き偏光板>
{視認側偏光板(SHB-02)の作製}
液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償シート(WV-02)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、WV-02の透明支持体フィルムが、上記の偏光板保護フィルム(HF-02)の偏光膜側となるように反対側に貼り付けた。このようにして視認側偏光板(SHB-02)を作製した。
<液晶表示装置>
IPSモードで20インチの液晶表示装置:W20-lc3000型(日立製作所(株)製)に設けられている視認側の保護フィルムの代わりに本発明の偏光板(SHB-02)の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、視認側に一枚貼り付けた。
(比較例2)
上記の偏光板(SHB-02)の代わりに下記偏光板(BHB-02)を用いた他は、実施例2と同様にして、液晶表示装置を作製した。
{偏光板(BHB-02)の作製}
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。市販のトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム(株)製 フジタックTD80UL)
に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片側に貼り付けた。また、上記の液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償シート(WV-02)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、WV-02の透明支持体フィルムが偏光膜側となるように反対側に貼り付けた。このようにしてバックライト側偏光板(BHB-02)を作製した。
{表示装置の性能評価}
実施例2及び比較例2の表示装置について、実施例1と同様にして描画画像の画像品位を評価した。その結果を表7に記載する。
[実施例3及び比較例3]
(導電性超微粒子分散液(EL-2)の調製)
ITO(錫含有酸化インジウム、比表面積:40m2 /g、粉体比抵抗:0.1Ω・cm)20質量部、下記構造の分散剤6質量部、およびシクロヘキサノン74質量部を、粒径0.2mmのジルコニアビーズを用いてダイノミルにより分散した後に200メッシュのナイロン布でビーズを濾別した。得られた分散物の分散粒子の平均径は30nmで、100nm以上の粒子は0%であった。
Figure 2006053538
(導電層用塗布液の調製)
エチルセルソルブ82質量部、テトラエトキシシラン22質量部、メチルトリエトキシシラン20質量部、およびγ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン58質量部を加え、液温を5〜10℃に保ち、攪拌しながら0.01規定の塩酸37質量部を3時間で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、シリル化合物の部分加水分解物を得た。つぎに上記の上記の導電性超微粒子分散物224質量部を添加して、高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌した。この分散物にイルガキュア907(商品名)を固形分に対して5質量%、アルミニウムアセチルアセトネート2.6質量部、過塩素酸アンモニウム0.5質量部を加えて十分に攪拌した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して導電層用塗布液を調製した。
{導電層の形成}
前記のセルロースアシレートフィルム(TD80UF)上に、上記の導電層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射し、120℃で10分間加熱して塗布層を硬化させ、厚さ2μmの導電層を形成した。このフイルムの表面抵抗は108Ω/□オーダーの導電性であった。
{光拡散性フィルム(HKF-03)の作製}
光拡散性層を構成する透光性樹脂は、酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ-7404、JSR(株)製、屈折率1.64)を100質量部、透光性樹脂(日本化薬(株)製、DPHA)を43質量部、および硬化開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュアー184)を5質量部、これらをエアディスパで攪拌しながら混合してメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(20/80質量比)溶液に溶解した後、塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.62であった。
この溶液に透光性微粒子として、シリカビーズ(日本触媒(株)製、KEP-150、粒径1.5μm、屈折率1.46)を5.2質量部、およびポリメチルメタクリレート系
ビーズ(綜研化学(株)製、MX300、粒径3.0μm、屈折率1.49)を2.0質量部、これらを混合してメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(20/80質量比)により固形分53%になるように調整した。
上記の導電層付きフィルム上に、乾燥膜厚4.0μmになるように塗工、溶剤乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させて、(HKF-03)を作製した。(HKF-03)のヘイズは、45%であった。
<反射防止フィルム(HK-03)の作製>
(HKF-03)の上に、実施例1と同様の低屈折率層を、実施例1と同様にして塗設して反射防止フィルム(HK-03)を作製した。
得られたフィルムの特性を実施例1と同様に評価した。結果を前記の表6に記載した。
得られたフィルム(HK-03)の光学特性は、前記の反射防止フィルム(HK-01)と同等の良好な結果を示した。その結果は実施例1と同等で良好であった。
<偏光板保護フィルム(HF-03)の作製>
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。反射防止フィルム(HK-03)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、反射防止フィルム(HK-03)の透明支持体フィルム(セルロースアシレート)面が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。
<光学補償シート(WV−03)の作製>
{支持体の作製}
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱撹拌して、セルロースアシレート溶液を調製した。
(セルロースアシレート溶液組成)
酢化度59.9%(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート
100質量部
トリフェニルホスフェート 6.8質量部
ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.08質量部
UV剤:UV-1 1.0質量部
UV剤:UV-2 1.0質量部
メチル基変性シリカ(「AEROSIL(登録商標)972
(一次粒径16nm:日本アエロジル(株))) 0.15質量部
酢酸メチル 290質量部
メタノール 25質量部
アセトン 25質量部
エタノール 25質量部
1−ブタノール 25質量部
(レターデーション調整剤溶液の調製)
下記のレターデーション調整剤17質量部、酢酸メチル74.4質量部、メタノール6.4質量部、アセトン6.4質量部、エタノール6.4質量部及びi-ブタノール6.4質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション調整剤溶液を調製した。
Figure 2006053538
セルロースアシレート溶液464質量部にレターデーション調整剤溶液36質量部を混合し、充分に攪拌した後に室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶
液を、-70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌して完全に溶解したドープを得た。
次に得られたドープを実施例1と同様にしてフィルター濾過及び脱泡を行ってドープを調製した。
バンド流延方法により、実施例1記載と同様のして製膜し、残留溶剤量が0.25質量%のセルロースアシレートフィルム(CA-03)を、厚さ100μm、長さ1000m、幅1.34mの巻きロール形態で製造した。
得られたセルロースアシレートフィルム(CA-03)の波長590nmにおけるレターデーション値(Re)は50nm、レターデーション値(Rth)は92nmであった。
{光学補償シート(WV-03)の作製}
上記の支持体(CA-03)上に、実施例2と同様にして光学異方性層を設けて光学補償シート(WV-03)を作製した。
<光学補償シート付き偏光板>
{視認側偏光板 SHB-03の作製}
液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償シート(WV-03)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、(WV-03)の透明支持体フィルムが、上記の偏光板保護フィルム(HF-03)の偏光膜側となるように反対側に貼り付けた。このようにして視認側偏光板(SHB-03)を作製した。
<液晶表示装置>
VAモードで22インチの液晶表示装置:TH22-LH10型(松下電器(株)製)に設けられている視認側の偏光板の代わりに本発明の偏光板(SHB-03)の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、観察者側に一枚貼り付けた。
(比較例3)
上記の偏光板(SHB-03)の代わりに偏光板(BHB-02)を用いた他は、実施例3と同様にして、液晶表示装置を作製した。
{表示装置の性能評価}
実施例3及び比較例3の表示装置について、実施例1と同様にして描画画像の画像品位を評価した。その結果を表7に記載する。
[実施例4及び比較例4]
<光学補償シート(WV−04)の作製>
{支持体の作製}
酢酸メチル290質量部、アセトン25質量部、メタノール25質量部、エタノール25質量部、及びn-ブタノール25質量部を予め混合した溶液に、よく攪拌しつつ酢化度59.9%(6位置置換度0.90)のセルローストリアセテート粉体100質量部、トリフェニルホスフェート6.8質量部、ビフェニルジフェニルホスフェート4.9質量部、シリカ(粒径20nm)0.5質量部を投入し、加熱しながら攪拌して各成分を溶解した。
一方、酢酸メチル70質量部、アセトン6質量部、メタノール6質量部、エタノール6質量部、及びn-ブタノール6質量部を予め混合した溶液に、2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシベンゾフェノン12質量部、及び2,4-ベンジルオキシベンゾフェノン4質量部を投入し加熱して溶解してレターデーション調整剤溶液を調整した。
上記のセルローストリアセテート溶液474質量部に、攪拌しながら上記のレターデー
ション調整剤溶液22質量部を徐々に添加して加えた。その後は実施例1と同様の方法で製膜して、膜厚80μm、長さ1300m、幅1340mm)のセルローストリアシレートフイルム(CA-04)を作製した。
得られたセルロースアシレートフィルム(CA-04)の波長590nmにおけるレターデーション値(Re)は10nm、レターデーション値(Rth)は78nmであった。
{光学補償シート(WV-04)の作製}
上記の支持体(CA-04)上に、実施例1と同様にして光学異方性層を設けて光学補償シート(WV-04)を作製した。
<光学補償シート付き偏光板>
{視認側偏光板 SHB-04の作製}
上記の偏光板保護フィルム(HF-01)の偏光膜上に液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償シート(WV-04)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、(WV-04)の透明支持体フィルムが偏光膜側となるように反対側に貼り付けた。このようにして視認側偏光板(SHB-04)を作製した。
<液晶表示装置>
TNモードで20インチの液晶表示装置:TH-20TA3型(松下電器(株)製)に設けられている視認側の偏光板の代わりに本発明の偏光板(SHB-04)の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、観察者側に一枚貼り付けた。又、またバックライト側には、光学異方性層側が液晶セル側となるように粘着剤を介してバックライト側偏光板(BHB-02)を貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
(比較例4)
上記の偏光板(SHB-04)の代わりに偏光板(BHB-02)を用いた他は、実施例4と同様にして、液晶表示装置を作製した。
{表示装置の性能評価}
実施例4及び比較例4の表示装置について、実施例1と同様にして描画画像の画像品位を評価した。その結果を表7に記載する。
Figure 2006053538
IPSモードの表示装置の実施例2は、本発明の偏光板保護フィルムの無い比較例2に比べて、外光写りこみの解消のみならず、コントラストの黒表示時の漏れ光が実用上に問題の無い視認性に改善された。
VAモードの表示装置の実施例3は、本発明の偏光板保護フィルムの無い比較例3に比べて、外光写りこみの解消のみならず、斜め方向からのコントラストが実用上に問題の無い性能に達し、且つ色味変化性が解消されて視認性が向上した。
TNモードの表示装置の実施例4は、本発明の偏光板保護フィルムの無い比較例4に比べて、外光写りこみの解消のみならず、上下のコントラスト、視野角、色味変化性が著しく向上して良好な視認性が得られた。
[実施例5]
<反射防止フィルム(HK-05)の作製>
実施例1の光拡散性フィルム(HKF-01)上に下記低屈折率層塗布液(LL-5)を塗布し、反射防止フィルムを作成した。
(低屈折率層用塗布液(LL-5)の調製)
ポリシロキサンおよび水酸基含有熱架橋性含フッ素ポリマー(JSR製JN7228A、屈折率1.42、固形分濃度6%)を130部とし、無機フィラーとしてシリカゾルMEK−ST−L(日産化学製MEK-STの粒径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%)を13質量部、界面結合剤として下記(ゾル液a)を6質量部、これらをメチルエチルケトン50質量部、シクロヘキサノン6質量部と混合した後孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して塗工液として調整した。
(ゾル液a)
攪拌機、還流冷却機を備えた反応機、メチルエチルケトン120部、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、KBM−5103)を100部、ジイソプロピルアルミニウムアセテート(ホープ製薬製、ケロープ)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600で、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。またガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
{反射防止フィルム(HK-05)の作製}
光拡散性フィルム(HKF-01)上に、上記(LL-5)を乾燥膜厚100nmになるように塗工、120℃にて2分間溶剤乾燥後、紫外線を240mJ照射して、反射防止フィルム(HK-05)を作成した。
{反射防止フィルム(HK-05)の評価}
光拡散性フィルムのヘイズは、42%であった。又、反射防止フィルムの特性を前記の反射防止フィルムと同様に測定した。その結果を下記の表8に記載する。
得られたフィルム(HK-05)の光学特性は、前記の反射防止フィルム(HK-01)と同等の良好な結果を示した。
Figure 2006053538
(実施例5-1〜5-4)
実施例1〜実施例4において各々用いた光学補償シート付き偏光板において、外側保護膜の反射防止フィルム部分を上記の反射防止フィルム(HK-05)に代えた他は、各実施例1〜4のそれぞれと同様にして、表9記載の各液晶表示装置を作製した。
Figure 2006053538
{表示装置の性能評価}
表示装置の描画性能を、液晶モードが同じ前記の各実施例と同様にして評価した所、表9に記載のように各対応の実施例と同等の視認性に優れた性能を示した。
[実施例6]
<反射防止フィルム(HK-61)〜(HK−65)の作製>
実施例1の反射防止フィルム(HK−01)の作製において、低屈折率層塗布液(LL−1)を(LL−61)に変え、下記ダイコーター(スロットダイ)を用いて25mm/minの塗布速度で塗布した。その後90℃で30秒間乾燥した後、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層(屈折率1.45、膜厚83nm)を形
成した。このようにして、反射防止フィルム(HK−61)を作製した。
さらに、低屈折率層塗布液(LL−1)を(LL−62)〜(LL−65)に変えることで反射防止フィルム(HK−62)〜(HK−65)をそれぞれ作製した。
{ダイコーターの構成}
ダイコーターとしては図8、図9(A)、図10及び図11に示す構成のものを用いた。スロットダイ13は、上流側リップランド長IUPが0.5mm、下流側リップランド長ILOが50μmで、スロット16の開口部のウェブ走行方向における長さ(端部16aの幅)が150μm、スロット16の長さが50mmのものを使用した。上流側リップランド18aとウェブWの隙間を、下流側リップランド18bとウェブWの隙間よりも50μm長くし(以下、オーバーバイト長さ50μmと称する)、下流側リップランド18bとウェブWとの隙間GL を50μmに設定した。また、減圧チャンバーのサイドプレートとウェブとの隙間、及びバックプレートとウェブとの隙間はともに200μmとした。
(低屈折率層用塗布液(LL−61)の調製)
前記フッ素系共重合体FP−1をメチルエチルケトンに23.7質量%の濃度になるように溶解した溶液152.4質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)1.1質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1.8質量部、メチルエチルケトン815.9質量部、およびシクロヘキサノン28.8質量部を添加して攪拌した。孔径0.45μmのPTFE(ポリテトラエチレンフロライド)製フィルターで濾過して低屈折率層用塗布液(LL−61)を調製した。該塗布液の粘度は0.61[mPa・sec]、表面張力は24[mN/m]であり、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.8[ml/m2]とした。
(低屈折率層用塗布液(LL−62)の調製)
前記フッ素系共重合体FP−1をメチルエチルケトンに23.7質量%の濃度になるように溶解した溶液426.6質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)3.0質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)5.1質量部、メチルエチルケトン538.6質量部、およびシクロヘキサノン26.7質量部を添加して攪拌した。孔径0.45μmのPTFE製フィルターで濾過して低屈折率層用塗布液(LL−62)を調製した。該塗布液の粘度は1.0[mPa・sec]、表面張力は24[mN/m]であり、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は1.5[ml/m2]とした。
(低屈折率層用塗布液(LL−63)の調製)
前記フッ素系共重合体FP−1をメチルエチルケトンに23.7質量%の濃度になるように溶解した溶液213.3質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)1.5質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)2.5質量部、メチルエチルケトン754.3質量部、およびシクロヘキサノン28.4質量部を添加して攪拌した。孔径0.45μmのPTFE製フィルターで濾過して低屈折率層用塗布液(LL−63)を調製した。該塗布液の粘度は0.76[mPa・sec]、表面張力は24[mN/m]であり、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.0[ml/m2]とした。
(低屈折率層用塗布液(LL−64)の調製)
前記フッ素系共重合体FP−1をメチルエチルケトンに23.7質量%の濃度になるように溶解した溶液85.3質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)0.6質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1.0質量部、メチルエチルケトン883.
7質量部、およびシクロヘキサノン29.3質量部を添加して攪拌した。孔径0.45μmのPTFE製フィルターで濾過して低屈折率層用塗布液(LL−64)を調製した。該塗布液の粘度は0.49[mPa・sec]、表面張力は24[mN/m]であり、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は5.0[ml/m2]とした。
(低屈折率層用塗布液(LL−65)の調製)
前記フッ素系共重合体FP−1をメチルエチルケトンに23.7質量%の濃度になるように溶解した溶液71.1質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)0.5質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.8質量部、メチルエチルケトン898.1質量部、およびシクロヘキサノン29.5質量部を添加して攪拌した。孔径0.45μmのPTFE製フィルターで濾過して低屈折率層用塗布液(LL−65)を調製した。該塗布液の粘度は0.46[mPa・sec]、表面張力は24[mN/m]であり、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は6.0[ml/m2]とした。
{反射防止フィルム(HK-61)〜(HK-65)の評価}
得られた反射防止フィルムについて面状を評価した。また、実施例1と同様にして平均反射率を測定した。
(面状)
全層塗布した後のフィルム1m2の裏面をマジックインキで黒塗りした後、塗布面の濃淡の均一性を目視で評価した。
○:濃淡差が目立たない
×:濃淡差が目立つ
結果を表10に示す。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量が2ml/m2以上の(HK-61,HK-63,HK-64)では塗布液の塗り付けはできた(表10における評価の記載○)が、1.5ml/m2の(HK-62)では全面均一に塗り付けることが出来ず、反射防止フィルムとして使用に耐え得るものを作成することができなかった(表10における評価の記載×)。また、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量が6ml/m2の(HK-65)は、塗り付けは可能であるが、塗布液の量が多いため乾燥が間に合わず、風に起因する縦スジ状のムラが全面に発生した(表10における評価の記載×)。
得られた反射防止フィルム(HK-61)、(HK-63)、(HK-64)を実施例1と同様にして表示装置を作成したところ、グラビアコーターで作製した実施例1の表示装置よりも色ムラも少なく、高品位であった。
Figure 2006053538
[実施例7]
下流側リップランド長IL0を10μm、30μm、70μm、100μm、120μmにした他は反射防止フィルム(HK-61)と同様にして反射防止フィルム(HK-71)〜(HK-75)を作製した。得られた反射防止フィルム(HK-71)〜(HK-75)について、反射防止フィルム(HK-61)と同様に評価した。結果を表11に示す。下流側リップランド長が30μmから100μmの範囲で面状故障のない反射防止フィルムが得られた。反射防止フィルム(HK-71)ではベース長手方向にスジ状のムラが発生し、反射防止フィルム(HK-75)では反射防止フィルム(HK-61)と同じスピードでは塗布液14が図9のビード形状14aとならず、塗布することができなかった。塗布速度を半分(12.5m/min)に落とすことで塗布は可能となったが、ベース長手方向にスジ状のムラが発生した。反射防止フィルム(HK-72)、(HK-73)及び(HK-74)を実施例1と同様にして表示装置を作成したところ、背景の映りこみが極めて少なく、反射光の色味が著しく低減され、更に表示面内の均一性が確保された表示品位の非
常に高い表示装置が得られた。一方、反射防止フィルム(HK-71)及び(HK-75)で得られた反射防止フィルムを実施例1と同様の手順で表示装置を作成すると、表示装置内に色味ムラが視認され、高品位とは言えなかった。
Figure 2006053538
[実施例8]
ダイコーターのオーバーバイト長さLOを0μm、30μm、70μm、120μm、150μmとした他は、反射防止フィルム(HK-61)と同様に塗布を行い、反射防止フィルム(HK-81)〜(HK-85)を作成した。得られた反射防止フィルム(HK-81)〜(HK-85)について、反射防止フィルム(HK-61)と同様に評価した。結果を表12に示す。オーバーバイト長さが30μmから120μmまでの範囲で面状故障の発生しない反射防止フィルムが得られた。反射防止フィルム(HK-81)では塗布は可能であったが、面状を見るとベース幅方向に段状ムラが認められた。また、反射防止フィルム(HK-85)では(HK-61)と同様のスピードでは塗布液14が図9のビード形状14aの形状とならず、塗布することができなかった。塗布速度を半分(12.5m/min)に落とすことで塗布は可能となったが、ベース長手方向にスジ状のムラが発生した。反射防止フィルム(HK-82)、(HK-83)及び(HK-84)では実施例1と同様の手順で表示装置を作成したところ、背景の映りこみが極めて少なく、反射光の色味が著しく低減され、更に表示面内の均一性が確保された表示品位の非常に高い表示装置が得られた。一方、反射防止フィルム(HK-81)及び(HK-85)で実施例1と同様の手順で表示装置を作成すると、表示装置内に色味ムラが視認され、高品位とは言えなかった。
Figure 2006053538
[実施例9]
反射防止フィルム(HK−01)〜(HK−03)および(HK−05)と同様の組成で、光拡散性層の塗布方法を実施例6と同様の前記ダイコート法にかえて反射防止フィルムを製造した。得られた反射防止フィルムを実施例1と同様に評価したところ、光拡散性層の内部ヘイズは35〜45%の範囲であり、表面ヘイズは0.5〜1.0%の範囲であった。得られた反射防止フィルムの平均反射率は、2.3〜2.5%であった。得られた反射防止フィルムは色ムラが少なく高品位であった。
反射防止フィルムの一実施形態を示す断面図である。 TNモード液晶表示装置の一実施形態の模式図である。 VAモード液晶表示装置の一実施形態の模式図である。 OCBモード液晶表示装置の一実施形態の模式図である。 半透過ECBモード液晶表示装置の一実施形態の模式図である。 IPSモード液晶表示装置の一実施形態の模式図である。 本発明において用いられる塗布装置の1実施形態を示す概略図である。 本発明において好ましく用いられるダイコーターの1実施形態を示す概略断面図である。 (A)図2のダイコーターの拡大図である。(B)従来のスロットダイを示す概略断面図である。 本発明の製造方法を実施する塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。 図4の減圧チャンバーとウェブとの関係を模式的に示す断面図である。 図4の減圧チャンバーとウェブとの関係を模式的に示す断面図である。
符号の説明
A 10 反射防止フィルム
A 12 透明支持体フィルム
A 14 透光性樹脂
A 16 第1の透光性微粒子
A 46 第2の透光性微粒子
A 18 光拡散性層
A 19 低屈折率層
TN 1 上偏光板
TN 2 上偏光板吸収軸
TN 3 上光学異方性層
TN 4 上光学異方性層配向制御方向
TN 5 液晶セル上電極基板
TN 6 上基板配向制御方向
TN 7 液晶層
TN 8 液晶セル下電極基板
TN 9 下基板配向制御方向
TN 10 下光学異方性層
TN 11 下光学異方性層配向制御方向
TN 12 下偏光板
TN 13 下偏光板吸収軸
VA 1 上偏光板
VA 2 上偏光板吸収軸
VA 3 上光学異方性層
VA 4 上光学異方性層遅相軸方向
VA 5 液晶セル上電極基板
VA 6 上基板配向制御方向
VA 7 液晶層
VA 8 液晶セル下電極基板
VA 9 下基板配向制御方向
VA 10 下光学異方性層1
VA 11 下光学異方性層1遅相軸方向
VA 12 下光学異方性層2
VA 13 下光学異方性層2遅相軸方向
VA 14 下偏光板
VA 15 下偏光板吸収軸
OCB 1 上偏光板
OCB 2 上偏光板吸収軸
OCB 3 上光学異方性層
OCB 4 上光学異方性層配向制御方向
OCB 5 液晶セル上電極基板
OCB 6 上基板配向制御方向
OCB 7 液晶層
OCB 8 液晶セル下電極基板
OCB 9 下基板配向制御方向
OCB 10 下光学異方性層
OCB 11 下光学異方性層配向制御方向
OCB 12 下偏光板
OCB 13 下偏光板吸収軸
ECB 1 上偏光板
ECB 2 上偏光板吸収軸
ECB 3 上光学異方性層1
ECB 4 上光学異方性1層遅相軸方向
ECB 6 上光学異方性層2遅相軸方向
ECB 5 上光学異方性層2
ECB 7 液晶セル上電極基板
ECB 8 上基板配向制御方向
ECB 9 液晶層
ECB 10 反射部電極
ECB 11 層間絶縁膜
ECB 12 下基板配向制御方向
ECB 13 液晶セル下電極基板
ECB 14 下光学異方性層1
ECB 15 下光学異方性層1遅相軸方向
ECB 16 下光学異方性層2
ECB 17 下光学異方性層2遅相軸方向
ECB 18 下偏光板
ECB 19 下偏光板吸収軸
IPS 1 上側偏光板
IPS 5 液晶セル上側基板
IPS 7 液晶分子
IPS 8 液晶セル下側基板
IPS13 下側偏光板
IPS14 線状電極
W ウェブ
1 支持体フィルムのロール
2 巻き取りロール
100,200,300,400 製膜ユニット
101 塗布部
102 乾燥部
103 硬化装置
10 コーター
11 バックアップロール
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード形状
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド(平坦部)
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
UP 上流側リップランド18aのランド長さ
LO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ
L 先端リップ17とウェブWの隙間
30 スロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
B バックプレート40aとウェブWの間の隙間
S サイドプレート40bとウェブWの間の隙間

Claims (16)

  1. 透明支持体上に光拡散性層と低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、光拡散性層の内部ヘイズが30乃至60%かつ表面ヘイズ値が2%以下であり、波長450nm〜650nmにおける平均反射率が2.5%以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 表面ヘイズ値が1%以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. JISK5600−7−7:1999に基づく耐候性試験前後の反射光の色味変化ΔEがL***色度図上で15以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記低屈折率層の表面エネルギーが26mN/m以下で、且つ動摩擦係数が0.25以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 前記光拡散性層が透光性樹脂と少なくとも2種類以上の透光性微粒子を含み、該透光性樹脂と該透光性微粒子との屈折率の差が0.02以上、0.20以下であり、且つ、前記2種類以上の透光性微粒子が屈折率の差を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  6. 前記低屈折率層が含フッ素化合物を含有する屈折率1.31以上1.48以下の低屈折率層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  7. 前記低屈折率層が、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰り返し単位と側鎖にラジカル重合性基を有する繰り返し単位とを含んでなる共重合体からなる硬化皮膜であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  8. 前記反射防止フィルムが、さらに導電性層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  9. バックアップロールによって支持されて連続走行するウェブの表面に、スロットダイの先端リップのランドを近接させて、前記先端リップのスロットから塗布液を塗布する塗布工程を具備し、
    前記塗布工程において、塗布液の塗布は、前記スロットダイのウェブ進行方向側の先端リップのウェブ走行方向におけるランド長さが30μm以上100μm以下であるスロットダイを有し、前記スロットダイを塗布位置にセットしたときに、前記ウェブの進行方向とは逆側の先端リップとウェブとを、両者の隙間が、前記ウェブの進行方向側の先端リップとウェブとの隙間よりも30μm以上120μm以下大きくなるように設置した塗布装置を用いて、前記光拡散性層及び前記低屈折率層の少なくともいずれかの塗布液が塗布されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
  10. 前記塗布液の塗布時における粘度が2.0[mPa・sec]以下であり、ウェブの表面に塗り付けられる塗布液の量が2.0〜5.0[ml/m2]であることを特徴とする請求項9に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  11. 前記塗布液を、連続走行するウェブの表面に25[m/min]以上の速度で塗設することを特徴とする請求項9または10に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルムあるいは請求項9〜11のいずれか
    に記載の製造方法により作製した反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルムあるいは請求項9〜11のいずれかに記載の製造方法により作製した反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いたことを特徴とする偏光板。
  14. 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該基板間に挟持された液晶層と、該液晶層の外側の視認側最表面に配置された偏光板とを有する液晶表示装置であって、前記偏光板が請求項12または13に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
  15. 上記の液晶表示装置が、IPS(In-Plane Switching)液晶表示装置、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶表示装置またはVA(Vertically Aligned)液晶表示装置であることを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。
  16. 表示画像の大きさが20インチ以上であることを特徴とする請求項14または15のいずれかに記載の液晶表示装置。
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