JP2010054861A - 光学フィルム、その製造方法、偏光板および画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、その製造方法、偏光板および画像表示装置 Download PDF

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康裕 岡本
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Abstract

【課題】防眩性、耐久性、干渉縞、黒締り、コントラストに優れた光学フィルムを提供する。
【解決手段】硬化性組成物を基材上に塗布、乾燥、硬化して得られる光学フィルムであって、該硬化性組成物が(a)透光性バインダー、(b)樹脂粒子、(c)溶剤および(d)光重合開始剤を含有し、該(a)透光性バインダーの屈折率(nb)と該(b)樹脂粒子の屈折率(np)がnb>npの関係にあり、該(c)溶剤は全溶剤量に対してSP値が12以上の溶剤を25質量%以上80質量%以下含有しており、得られた光学フィルムの全ヘイズ(H)が5%≦(H)≦30%であり、かつ全ヘイズ(H)と内部ヘイズ(Hi)との差(H−Hi)が−5%≦(H−Hi)≦0%である、光学フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、その製造方法、偏光板および画像表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面には、防眩フィルムや防眩性反射防止フィルムが使用される。これらの表示装置はオフィスや家庭環境での使用が広がっており、室内の蛍光灯や視聴者の像がディスプレイ表面に映り込むことを防止する防眩性の向上が要求されている。
防眩性はフィルムの表面に凹凸を持たせることで達成できる。防眩性を付与する方法としては、シリカ粒子や樹脂粒子などのフィラーをバインダー中に添加し、表面凹凸を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。この場合、膜の厚みよりも粒子径の小さい粒子を用い、バインダー中で粒子を凝集させて表面凹凸を形成する方法が一般的である。
LCDを始めとした薄型ディスプレイの光学フィルムにおいては、長期間使用しても性能の変化がない、いわゆる耐久性が求められる。樹脂中に粒子を有する表面フィルムは、経時により表面凹凸が変化したり、バインダーの屈折率の僅かな変化等により、ヘイズ値の変化を生じる。このため、耐久性を向上させるには、表面凹凸による表面ヘイズや内部ヘイズの基となる粒子量が少ないことが好ましい。しかしながら、粒子量を少なくすると、パネル内部で発生する干渉縞の悪化を生じる。
一方、表面フィルムの粒子量を減少させた場合、防眩性が下がり、映り込みが悪化する。防眩性を上げるには、粒子とバインダーおよび/または溶剤の相溶性を下げることが必要となる。この手段として、粒子の組成をより疎水的(例えば、ポリメチルメタクリレートからポリスチレン)にする方法がある。ただし、この方法では粒子とバインダーの屈折率差が大きくなることによる、コントラストの低下を招いたり、ヘイズ上昇による黒締り悪化を生じてしまう。
他方、特許文献3には、バインダーに対する良溶媒と貧溶媒を併用することで、防眩性を持たせることが記載されている。しかしながら、この発明では、バインダーと粒子の屈折率差が大きく、前述のコントラストが悪化するだけでなく、樹脂よりも粒子のほうが屈折率が高くて、表面ヘイズも高いために耐久性が劣るという欠点があった。
また、特許文献4には、全ヘイズよりも内部ヘイズが高い防眩性ハードコートフィルムの記載がある。このハードコートフィルムは表面ヘイズが低いが、全ヘイズが40%以上と高い。そのため、フィルム全体が白っぽくなり黒締りが悪化する他、粒子とバインダーの屈折率を高くしたり、より多くの粒子量を用いる必要があるため、コントラストの低下や耐久性の悪化という欠点があった。
特開平6−18706号公報 特開平10−20103号公報 特許3515426号公報 特開2007−334294号公報
本発明の目的は、防眩性、耐久性、干渉縞、黒締り、コントラストに優れた光学フィルムおよびその製造方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、該光学フィルムを具備した偏光板および画像表示装置を提供することである。
すなわち、本発明者らは、以下の各構成により、上記目的を達成したものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、透光性バインダーの屈折率(nb)と該樹脂粒子の屈折率(np)がnb>npの関係にあり、全溶剤量に対してSP値が12以上の溶剤を25質量%以上80質量%以下含有した硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化させて得られる、全ヘイズ(H)が5%≦(H)≦30%であり、全ヘイズ(H)と内部ヘイズ(Hi)との差(H−Hi)が−5%≦(H−Hi)≦0%である光学フィルムにより、防眩性、耐久性、コントラストをすべて満足させることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち以下の手段により、前記課題を解決した。
1. 硬化性組成物を基材上に塗布、乾燥、硬化して得られる光学フィルムであって、
該硬化性組成物が(a)透光性バインダー、(b)樹脂粒子、(c)溶剤および(d)光重合開始剤を含有し、
該(a)透光性バインダーの屈折率(nb)と該(b)樹脂粒子の屈折率(np)がnb>npの関係にあり、
該(c)溶剤は全溶剤量に対してSP値が12以上の溶剤を25質量%以上80質量%以下含有しており、
得られた光学フィルムの全ヘイズ(H)が5%≦(H)≦30%であり、かつ
全ヘイズ(H)と内部ヘイズ(Hi)との差(H−Hi)が−5%≦(H−Hi)≦0%である、光学フィルム。
2. 前記SP値が12以上の溶剤が、メタノールおよびエタノールから選ばれる少なくとも1種の溶剤である上記1に記載の光学フィルム。
3. SP値が12以上の溶剤の蒸発速度が、SP値12未満の溶剤の蒸発速度よりも小さい上記1または2に記載の光学フィルム。
4. 前記(b)樹脂粒子が平均粒子径6〜15μmの樹脂粒子である上記1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
5. (a)透光性バインダー、(b)樹脂粒子、(c)溶剤、(d)光重合開始剤を含有する硬化性組成物を基材上に塗布、乾燥、硬化することにより、全ヘイズ(H)が5%≦(H)≦30%であり、全ヘイズ(H)と内部ヘイズ(Hi)との差(H−Hi)が−5%≦(H−Hi)≦0%である光学フィルムを得る製造方法であって、該(a)透光性バインダーの屈折率(nb)と該(b)樹脂粒子の屈折率(np)がnb>npの関係にあり、該(c)溶剤は全溶剤量に対してSP値が12以上の溶剤を25質量%以上80質量%以下含有する光学フィルムの製造方法。
6. SP値が12以上の溶剤が、メタノールおよびエタノールから選ばれる少なくとも1種の溶剤である上記5に記載の光学フィルムの製造方法。
7. SP値が12以上の溶剤の蒸発速度が、SP値12未満の溶剤の蒸発速度よりも小さい上記5または6に記載の光学フィルムの製造方法。
8. 前記(b)樹脂粒子が平均粒子径6〜15μmの樹脂粒子である上記5〜7のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
9. 偏光膜と該偏光膜の両面を保護する2枚の保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、上記1〜4のいずれかに記載の光学フィルムである偏光板。
10.上記1〜4のいずれかに記載の光学フィルム、または上記9に記載の偏光板を有する画像表示装置。
本発明によれば、防眩性、耐久性、干渉縞、黒締り、コントラストを満足する光学フィルム、その製造方法、偏光板および画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本発明の硬化性組成物を用いて形成される層は種々の層であってよい。以下では防眩層である場合を例として説明する。
まず、本発明の光学フィルムのヘイズについて説明する。
本発明の光学フィルムの光散乱による全ヘイズ(H)は5%≦(H)≦30%である。全ヘイズが5%より小さいと、内部散乱が小さすぎて干渉縞の悪化を生じる。また、全ヘイズが30%を超えると、黒締りの悪化を生じる。全ヘイズは好ましくは7%以上25%以下であり、より好ましくは9%以上20%以下である。
本発明の光学フィルムの光散乱による全ヘイズ(H)と内部散乱に起因する内部ヘイズとの関係は−5%≦(H−Hi)≦0%であり、好ましくは、−3%≦(H−Hi)≦−1%である。全ヘイズと内部ヘイズがこの関係にあることは、表面散乱に起因する表面ヘイズ(Hs)が小さいことを意味し、経時でのヘイズ変化を抑える一因である。表面ヘイズが小さすぎると防眩性が悪化し、大きすぎると黒締りが悪化する。
本発明の光学フィルムの内部ヘイズ(Hi)は5%〜35%であることがより好ましく、10%〜25%であることが特に好ましい。内部ヘイズが大きすぎると正面コントラストが低下し、白茶け感が増す。小さすぎると使用できる素材の組合せが限定され、防眩性その他の特性値の合わせこみが困難となる。
内部ヘイズは内部散乱によるものであることから、バインダーと粒子の屈折率差及び粒子量に依存する。よって、所望の内部ヘイズを得るためには、バインダーと粒子の屈折率差および粒子量を調整するとよい。バインダーと粒子の屈折率差が大きいほど内部ヘイズは大きくなる。また、粒子量を増やすほど内部ヘイズは大きくなる。
全ヘイズは、内部ヘイズと表面ヘイズの和であり、内部散乱と表面散乱に依存する。表面散乱は表面凹凸に起因する。よって、所望の表面ヘイズを得るためには、表面凹凸の大きさを調整すると良い。一般に、表面凹凸が大きいほど表面ヘイズは大きくなる。ただし、本発明の様に、バインダーの屈折率よりも粒子の屈折率が小さい場合、内部ヘイズよりも全ヘイズが小さくなる場合、すなわち、表面ヘイズがマイナスの値になる場合がある。これは、内部で散乱した光が表面で受光器側に散乱にするためと考えられる。
なお、全ヘイズ、内部ヘイズと表面ヘイズは以下の手順で測定することができる。
(1)JIS−K7136に準じてフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(2)フィルムの防眩層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出する。
(3)上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
次に、本発明の光学フィルムについて説明する。
本発明の光学フィルムに用いられる硬化性組成物は、(a)透光性バインダー成分として、反応性基を有する樹脂化合物を用いるのが好ましい。樹脂化合物は、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する、本業界で広範に用いられる高硬度の硬化物を形成するアクリレート系化合物を好適に使用することが可能である。
上記アクリレート系化合物としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル{例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類の具体化合物としては、日本化薬(株)製KAYARAD DPHA、同DPHA−2C、同PET−30、同TMPTA、同TPA−320、同TPA−330、同RP−1040、同T−1420、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同GPO−303、大阪有機化学工業(株)製V#400、V#36095D等のポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物を挙げることができる。また紫光UV−1400B、同UV−1700B、同UV−6300B、同UV−7550B、同UV−7600B、同UV−7605B、同UV−7610B、同UV−7620EA、同UV−7630B、同UV−7640B、同UV−6630B、同UV−7000B、同UV−7510B、同UV−7461TE、同UV−3000B、同UV−3200B、同UV−3210EA、同UV−3310EA、同UV−3310B、同UV−3500BA、同UV−3520TL、同UV−3700B、同UV−6100B、同UV−6640B、同UV−2000B、同UV−2010B、同UV−2250EA、同UV−2750B(日本合成化学(株)製)、UL−503LN(共栄社化学(株)製)、ユニディック17−806、同17−813、同V−4030、同V−4000BA(大日本インキ化学工業(株)製)、EB−1290K、EB−220、EB−5129、EB−1830,EB−4358(ダイセルUCB(株)製)、ハイコープAU−2010、同AU−2020((株)トクシキ製)、アロニックスM−1960(東亜合成(株)製)、アートレジンUN−3320HA,UN−3320HC,UN−3320HS、UN−904,HDP−4Tなどの3官能以上のウレタンアクリレート化合物、アロニックスM−8100,M−8030,M−9050(東亞合成(株)製、KBM−8307(ダイセルサイテック(株)製)の3官能以上のポリエステル化合物なども好適に使用することができる。
さらに、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等もあげられる。
(a)透光性バインダー成分の硬化性組成物中の含量は全固形分の10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がさらに好ましい。
他のモノマー(3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物等)を併用する場合、他のモノマーの含有量は、硬化性組成物中の透光性バインダー全量に対して、10〜70質量%が好ましく、20〜50質量%がさらに好ましい。
本発明で用いられる硬化性組成物は防眩性と内部散乱性をもたらすために、(b)樹脂粒子を含有する。用いられる(b)樹脂粒子の屈折率は(a)透光性バインダーの屈折率よりも低いことが必要である。これにより粒子凝集による表面凹凸を形成して防眩性を付与しても表面ヘイズが抑えられ、耐久性が向上する。屈折率差は0.005〜0.02が好適である。(b)樹脂粒子の屈折率は1.47〜1.55が好ましく、1.49〜1.53がさらに好ましい。(a)透光性バインダーの屈折率は1.50〜1.65が好ましく、1.52〜1.60がさらに好ましい。
本発明における(b)樹脂粒子の具体例としては、例えば架橋ポリメチルメタアクリレート(PMMA)粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋メチルメタアクリレート−メチルアクリレート共重合粒子、架橋アクリレート−スチレン共重合粒子、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。屈折率がバインダー樹脂との屈折率より低いこと、及びSP値が12以上の溶剤を用いた際の凝集のしやすさが必要であるため、なかでも架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子等が好ましい。さらにはこれらの樹脂粒子の表面にフッ素原子、シリコン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、燐酸基等を含む化合物を化学結合させた所謂表面修飾した粒子も好ましく挙げられる。
本発明における(b)樹脂粒子の大きさは平均粒子径で6〜15μmが好ましく、更に好ましくは7〜10μmである。粒子径が6μmよりも小さいと、コントラストの低下やモアレの悪化を招く傾向があり、粒子径が15μmより大きいと必要な表面形状を得るために膜厚が厚くなり、カールの悪化を生じる傾向がある。
(b)樹脂粒子の形状は、真球又は不定形のいずれも使用できる。粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御性、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子とした場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。粗大粒子が多すぎると表面のブツブツ感が悪化し、好ましくない。このような粒子径分布を持つ粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布の粒子を得ることができる。
粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。平均粒径は得られた粒子分布から算出する。
本発明における(b)樹脂粒子の添加量は、硬化性組成物の全固形分中の2〜15質量%が好ましく、3〜12質量%であることが更に好ましく、最も好ましくは4〜8質量%である。粒子は粒子径が異なる複数の粒子を用いても良い。
本発明における硬化性組成物には、上記の防眩性をもたらす粒子に加えて、屈折率の調整、膜強度の調整、硬化収縮減少、さらに低屈折率層を設けた場合の反射率低減の目的で、無機フィラーを使用することもできる。例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する酸化物からなり、一次粒子の平均粒径が、一般に0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下1nm以上である微細な高屈折率無機フィラーを含有することも好ましい。
また逆に、マトリックスの屈折率を低くする必要が生じた場合は、無機フィラーとして、シリカ微粒子、中空シリカ微粒子等の微細な低屈折率無機フィラーを用いることができる。好ましい粒径は前記の微細な高屈折率無機フィラーと同じである。
無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの微細無機フィラーの添加量は、硬化性組成物の全固形分の3〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは10〜20質量%である。
なお、微細無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分短いために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質の性質を有する。
本発明における硬化性組成物は、光重合開始剤により硬化される。本発明の光重合開始剤は、電離放射線の照射によりラジカル重合反応を開始可能なラジカルを発生する化合物で、「最新UV硬化技術」(p.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)や、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)のカタログ、特開2001−139663号公報、特開平5−83588号公報、特開平5−83588号公報、特開平1−304453号公報、米国特許第3,479,185号明細書、特開平5−239015号公報、特開平8−134404号公報、特開平11−217518号公報、特開2002−116539号公報、特開2002−116539号公報等に記載されている公知の各種の光重合開始剤を使用することができる。その中でも、感光波長が300nm〜430nmにある光開始能の高い光開始剤は、高圧水銀灯やメタルハライドランプ等の光源と感光波長がマッチングして高い感度を示すため、好適に使用される。フィルムの着色の観点から、300nm〜380nmに感光波長を有するものが更に好ましい。
これら重合開始剤は、重合させる化合物類に対応して用いることが好ましく、重合対象の化合物100質量部に対して、重合開始剤総量で0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量部の範囲がより好ましい。
以下に具体的な光重合開始剤を列挙するが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010054861
Figure 2010054861
上記化合物の中では、C−1〜C−6に記載のトリハロメチル−s−トリアジン系開始剤、C−13、C−14、C−16、C−17に記載のアシルホスホン系開始剤、C−18、C−23、C−22、C−29のα−解裂型開始剤、C−26、C−28のケトオキシム系開始剤の感度が高く着色等が少ないため好ましい。
本発明における硬化性組成物は、高分子化合物を含有してもよい。高分子化合物を添加することで、光学フィルムを形成するための塗布液の粘度調整ができるほか、光学フィルムの硬化収縮を小さくすることができる。
高分子化合物は、塗布液に添加する時点で既に重合体を形成しており、該高分子化合物としては、例えばセルロースエステル類(例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースナイトレート等)、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸メチル等)、ポリスチレン等の樹脂が好ましく用いられる。
高分子化合物は、粘度増加効果や光学フィルムでの硬化収縮への効果の観点から、(a)透光性バインダーに対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%の範囲で含有することが好ましい。また、高分子化合物の分子量は質量平均で0.3万〜40万が好ましく、0.5万〜30万がより好ましく、0.5万〜20万がさらに好ましい。
本発明における硬化性組成物には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の光学フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、例えば特開2007−188070号公報の段落番号0049〜0074に記載の化合物が挙げられる。
本発明における硬化性組成物に用いられる界面活性剤(フッ素系ポリマー等)の好ましい添加量は、硬化性組成物に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%以上で効果が十分であり、また5質量%以下とすることで、塗膜の乾燥が十分に行われ、塗膜としての良好な性能(例えば反射率、耐擦傷性)が得られる。
本発明における硬化性組成物は、SP値が12以上の溶剤を全溶剤に対し25質量%以上80質量%以下含有する。SP値が12以上の溶剤を用いることで、(b)樹脂粒子との相溶性が下がり、ポリメチルメタクリレート粒子のような凝集が起こり難い粒子でも凝集が促進される。SP値が12以上の溶剤としては、水(SP値:23.4)、エチレングリコール(同:14.6)、メタノール(同:14.5)、エタノール(同:12.7)などが挙げられるが、メタノール、エタノールが好ましい。SP値は12.5〜15.0が好ましい。
SP値が12以上の溶剤は全溶剤に対し25質量%以上含有することで、粒子凝集が顕著に起こり、防眩性をもたらす。一方、80質量%を超えて含有させると、硬化性組成物中で粒子が凝集してしまい、塗布面状が悪化する。SP値が12以上の溶剤の量は全溶剤に対し30質量%以上60質量%以下がより好ましい。
本発明における硬化性組成物において、固形分は、30〜65質量%が好ましい。
SP値が12以上の溶剤と併せて、SP値が12未満の溶剤も用いることができる。有機溶媒としては、例えばアルコール系では、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール等、ケトン系では、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等、エステル系では、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等、エーテルおよびアセタール系では、テトラヒドロフラン等、炭化水素系では、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン等、ハロゲン炭化水素系では、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン等、脂肪酸系では、酢酸等、が挙げられる。
SP値が12以上の溶剤は、SP値が12未満の溶剤よりも蒸発速度が小さいことが好ましい。これにより、乾燥中の粒子凝集が促進される。主な溶剤の蒸発速度は、酢酸ブチルを100とした時に、メタノール=250、エタノール=190、イソプロパノール=150、メチルエチルケトン=572、メチルイソブチルケトン=165、トルエン=240、アセトン=1156、イソブチルアルコール=70である。
本発明における硬化性組成物は、基材上に塗布されて、例えば防眩層を有する光学フィルムを形成する。防眩層は、本発明の硬化性組成物を基材上に塗布後、光照射、電子線ビーム照射、加熱処理などを実施して、架橋又は重合反応させて形成することが好ましい。紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。紫外線による硬化は、窒素パージ等で酸素濃度が4体積%以下、更に好ましくは2体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下の雰囲気下で硬化することが好ましい。
以下に、本発明の光学フィルム(防眩層等)について説明する。本発明の光学フィルムでは、本発明の光学フィルムを作成する硬化組成物を基材(透明支持体)上に塗布して防眩層を形成する。本発明の光学フィルムの防眩層は、1層でもよいし、複数層(2層乃至4層)で構成されていてもよい。
本発明の光学フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、フィルムで構成された支持体を指している。
・基材フィルム/防眩層
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層
・基材フィルム/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
本発明の光学フィルムでは、防眩層以外の層が塗設されていてもよく、これらの層としては、例えばハ−ドコート層、帯電防止層、低屈折率層、防汚層等が挙げられる。防眩層がハ−ドコート層、帯電防止層、防汚層等の機能を同時に有することがより好ましい。
本発明では、低反射化の点から、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層を含む構成の反射防止膜が好ましく、例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。製造が単純で生産性の高いという点では、本発明で最も好ましい形態は、支持体上に単一層の防眩層を有する光学フィルム、および、支持体上に単一層の防眩層と単一層の低屈折率層をこの順に有する反射防止フィルムである。
本発明の光学フィルムの防眩層の厚さは5μm〜20μmが好ましく、好ましくは6μm〜15μmであり、最も好ましくは8μm〜12μmである。5μm未満の場合には、本発明の構成成分である粒子を用いた場合に表面凹凸が大きくなりすぎ黒締りが悪化し、20μmを超えるとコスト、生産性、カール、脆性、ディスプレイの薄型化の観点から好ましくない。また、防眩層の厚みと粒子の平均粒子径の比である厚み/粒径比は0.9〜2.5が好ましく、より好ましくは1.05〜2.0である。厚み/粒径比がこれ以下であると、表面凹凸が大きくなりすぎ黒締りが悪化し、これ以上であると、所望の防眩効果を得ることが難しくなる。
本発明のフィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いることが好ましい。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.40であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
低屈折率層を形成するための好ましい硬化性組成物の態様としては、
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物、
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物、
が挙げられる。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物
架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性または重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。
これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基を含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記防眩層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
本発明における低屈折率層には、上記の防眩層の頁で述べた重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明における低屈折率層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
本発明における低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
本発明において、低屈折率層等を設けた反射防止性防眩フィルムの好ましい積分反射率は、3.0%以下が好ましく、更に好ましくは2.0%以下であり、最も好ましくは1.5%以下0.3%以上である。積分反射率を下げることで防眩フィルムの表面での光散乱を小さくしても十分な防眩性が得られるため、黒締まりに優れた防眩性反射防止フィルムが得られる。
本発明の光学フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士フイルム社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリペットVRL20A:商品名、三菱レイヨン社製、特開2004−70296号公報や特開2006−171464号公報記載の環構造含有アクリル系樹脂)などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
本発明の光学フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。また、本発明の光学フィルムと偏光板を組み合わせてもよい。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の光学フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の光学フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
〔表面形態〕
本発明の光学フィルムでは、良好な防眩性と黒締りを両立することが好ましい。防眩性に関しては、実用上では、様々な光源が様々な角度から映りこむ場合で良好な防眩性を示す必要がある。このような多様な映り込みは本発明者らが鋭意努力した結果、光源の映り込む場合の見こみ角を変えることで簡易的に評価できることが判り、大きなサイズの光源(例えば蛍光灯)と細い光源(例えば蛍光灯をカバーで覆って模擬的に作った線光源)の両方で良好な映り込みを示す必要がある。また、黒締りに関しても、明室環境下でディスプレイの垂直方向から視認した場合と45°程度の角度をつけて視認した場合の両方で良好な黒締りを達成する必要がある。本発明の光学フィルムの好ましい表面形態(表面凹凸)を下記に記す。
本発明の光学フィルムは、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.05〜0.30μmが好ましく、0.10〜0.25μmが更に好ましい。Raが大きすぎると黒締り、明室コントラストが悪化し、Raが小さすぎると防眩性が悪化する。10点平均粗さRzがRaの10倍以下であることが特に好ましい。
防眩性と黒締まりの両立に適した表面形態を得るためには、平均山谷距離Smも重要である。Smは60〜130μmが好ましく、60〜100μmがより好ましく、70〜90μmが特に好ましい。Smが大きすぎると面荒れが強く外観が良くないとともに、大きなサイズの光源の映り込みが見え易くなる。Smが小さすぎると黒締まりが悪化するとともに、細い光源(線光源)のエッジボケが弱くなり、好ましくない。
明室コントラストを良化するためには、平均傾斜角度も同時に特定の範囲に制御する必要がある。平均傾斜角度は好ましくは0.5度〜3.0度、より好ましくは0.7度〜2.0度である。平均傾斜角度が大きすぎると黒締まりが悪化するとともに、細い光源(線光源)のエッジボケがエッジボケが弱くなり好ましくない。平均傾斜角度が小さすぎると大きなサイズの光源の映り込みが見え易くなり好ましくない。
本発明の目的の優れた防眩性と黒締まりを達成するためには、傾斜角度分布の最大値(θp)も非常に重要である。θpが0.05°〜0.50°が好ましく、0.05°〜0.30°がより好ましい。θpが小さすぎると大きなサイズの光源の映り込みが見え易くなり好ましくなく、大きすぎると黒締まりが悪化するとともに、細い光源(線光源)のエッジボケが弱くなり好ましくない。
本発明の光学フィルムの平均傾斜角度は以下の方法で決定される。すなわち、面積が0.5乃至2平方マイクロメートルである三角形の頂点を透明フィルム基材面に仮定し、その点から鉛直上向きに伸ばした3つの垂線がフィルム表面と交わる3点によって形成される三角形の面の法線が、支持体から鉛直上向きに伸ばした垂線となす角を表面の傾斜角度とし、基材上で250000平方マイクロメートル(0.25平方ミリメートル)以上の面積を該三角形に分割して測定した時の全測定点の平均値を平均傾斜角度として算出する。
傾斜角度を測定する方法をさらに詳細に述べる。図1(a)のように面積が0.5〜2平方マイクロメートルとなるようなメッシュにフィルムを分割する。図1(b)は分割したメッシュのうちの3点を抽出した図である。この支持体上の3点から鉛直上向きに垂線を伸ばし、その3点が表面と交わった点をA、B、Cとする。三角形ABC面の法線DD’が、支持体から鉛直上向きに伸ばした垂線OO’と為す角度θを傾斜角度とする。図1(c)は点O’DD’を含む平面Pで切ったときのフィルムの断面図である。線分EFは三角形ABCと平面Pとの交線である。測定面積は支持体上で250000平方マイクロメートル(0.25平方ミリメートル)以上が好ましく、この面を支持体上で三角形に分割して測定し、傾斜角度を求める。測定する装置はいくつかあるが、一例を述べる。装置はマイクロマップ社(米国)製SXM520−AS150型を用いた場合を説明する。例えば対物レンズが10倍の時、傾斜角度の測定単位は0.8平方マイクロメートルであり、測定範囲は500000平方マイクロメートル(0.5平方ミリメートル)である。対物レンズの倍率を大きくすれば、それに合わせて測定単位と測定範囲は小さくなる。測定データはMAT−LAB等のソフトを用いて解析し、傾斜角度分布を算出することができ、そのデータをもとに平均傾斜角度を算出することができる。
本発明の光学フィルムは、JIS K7105に準じた像鮮明性が、光学くし幅0.5mmで測定した時に、好ましくは30%〜99%、より好ましくは40%〜95%、更に好ましくは50%〜90%、更に好ましくは60%〜80%である。像鮮明性が低いと明室コントラストが悪化し、高いと防眩性が悪化する。
〔塗布方式〕
本発明の光学フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。次に、諸機能層を形成するための塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号明細書参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
その後、光照射あるいは加熱して、機能層を形成するモノマーを重合して硬化する。これにより機能層が形成される。ここで必要であれば、機能層を複数層とすることができる。
次に、同様にして低屈折率層を形成するための塗布液を機能層上に塗布し、光照射あるいは加熱し(紫外線など電離放射線を照射、好ましくは加熱下で電離放射線を照射することにより硬化させ、)低屈折率層が形成される。このようにして本発明の光学フィルムが得られる。
偏光板は、偏光膜の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の光学フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の光学フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の光学フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
本発明の光学フィルムは表面を親水化処理した後に、ポリビニルアルコールを接着剤にして偏光膜と貼りあわせ、偏光板となる。親水化処理としては、特にケン化処理が好ましい。親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と光学フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
〔画像表示装置〕
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、表面電界ディスプレイ(SED)のような画像表示装置に適用することができる。特に好ましくは液晶表示装置(LCD)に用いられる。本発明の光学フィルムは透明支持体のような基材を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。また、液晶表示装置に用いる場合は、上記偏光板形態に加工した後、液晶セルの表面に、本発明の光学フィルムが最表面になるように設けて使用することができる。
本発明の光学フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔実施例1〕
(防眩層用塗布液A−1の調製)
下記組成からなる硬化性組成物である防眩層塗布液(A−1)を調製した。
防眩層用塗布液(A−1)の組成
PET−30 66.0g
DPHA 22.0g
イルガキュア127(IRG−127) 3.0g
8μm架橋PMMA粒子分散液(30%) 16.5g
SP−13 0.2g
MIBK 36.5g
MEK 48.1g
なお、粒子分散液は攪拌しているMIBK溶液中に粒子を分散液の固形分濃度が30質量%になるまで徐々に加え、30分攪拌して調製した。調製後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して塗布液とした。
(防眩層用塗布液A−2〜A−44の調製)
塗布液組成を表1に示す様に変えた以外は、塗布液A−1と同様にして塗布液A−2〜A−44を調製した。粒子とバインダーの屈折率差は、粒子の組成を変えることで変更した。粒子の組成に関しては、PMMAからPMMA−スチレン共重合体とし、PMMAとスチレンの重合比率を変えることで変化させた。なお、表1中の量は、溶剤は全溶剤量に対する質量%を、その他は塗布液中の全固形分に対する質量%を意味する。
Figure 2010054861
イルガキュア127:重合開始剤{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}
8μm架橋PMMA粒子:屈折率n=1.50{積水化成品工業(株)製}
SP−13:下記構造のフッ素系の界面活性剤(MEK溶媒に固形分濃度40質量%で溶解しているものを用いた。)
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
MIBK:メチルイソブチルケトン
MEK:メチルエチルケトン
Figure 2010054861
(低屈折率層用塗布液L−1の調製)
下記組成からなる低屈折率層用塗布液L−1を調製した。
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(A−1) 3.9g
下記シリカ分散液A(22%) 25.0g
イルガキュア127 0.2g
DPHA 0.4g
MEK 100.0g
MIBK 45.5g
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
イルガキュア127:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(A−1):特開2005−89536公報製造例3に記載のフッ素ポリマー(A−1)
(シリカ分散液A)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して調製)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)10g、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.0g加え混合した後に、イオン交換水を3gを加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.0gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し22質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.0%であった。
(光学フィルム試料101〜144の作製)
(防眩層の塗設)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、表1に示す防眩層用塗布液を使用し特開2006−122889号明細書実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ巻き取った。なお、各防眩層の膜厚は粒子の平均粒子径との比である厚み/粒径比が1.25になるように塗布量を調整した。
(低屈折率層の塗設)
上記防眩層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液を前記のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、90℃で75秒乾燥の後、窒素パージ下酸素濃度0.01〜0.1%で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量240mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、防眩性反射防止フィルムを作製した。
(光学フィルムの鹸化処理)
塗設後、前記試料について、以下の処理を行った。1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。 作製した光学フィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。 最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、防眩層用塗布液A−1〜A−44にぞれぞれ対応する鹸化処理済み光学フィルム試料101〜144を作製した。
(偏光板の作製)
ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の片面に、1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)貼り付け、他の面に前記光学フィルム試料(鹸化処理済み)の各々を貼り付けて、偏光子の両面を保護して偏光板を作製した。
(光学フィルムおよび偏光板の評価)
得られたこれらの光学フィルム試料について、以下の項目の評価を行った。結果は表2に示した。
(1)防眩性
得られたフィルムの塗設面の裏側全体を黒マジックインキで塗りつぶし、ルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を45度の角度から映し、−45度の方向から観察した場合の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
◎ : 蛍光灯の輪郭がほとんどわからない
○ : 蛍光灯の輪郭が少し明瞭にわかる
△ : 蛍光灯の輪郭が比較的明瞭にわかる。
× : 蛍光灯の輪郭がハッキリ見えるか、眩しい。
(2)ヘイズ
得られたフィルム試料をJIS−K7136に準じて全ヘイズ値(H)を測定した。続いて、フィルムの低屈折率領域側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)とした。
(3)耐久性
得られたフィルム試料を、60℃90%RHのもとで5日間保存し、保存前後でのヘイズ値の変化を測定した。ヘイズ値変化が小さいほど性能が変わらずに好ましい。へイズ値はJIS−K7136に準じて、光学フィルム試料の全ヘイズ値(H)を測定した。
(4)黒締り
視認側表面に光学フィルムを貼った偏光板を配置した液晶表示装置について黒締りを官能評価した。評価法はディスプレイを複数台並列に並べて同時に相対比較する方法で行い、真正面から電源off時の黒味、電源on時の黒味(黒い画像)をそれぞれのフィルムで比較し、以下の基準で評価した。黒味の強いほど画面のしまり感も強いという基準で表した。評価は明室環境下でディスプレイ表面に対して垂直の方向を0°とし、5°方向と45°方向の2方向から行った。
◎ : 黒味が強く、画面が非常に強くしまって見える。
○ : 黒味が強く、画面が強くしまって見える。
△ : 黒いがグレー味があって、画面のしまり感が弱い。
× : かなりグレー味が強く、画面のしまり感がない。
(5)干渉縞
得られたフィルム試料を、液晶テレビ(シャープ(株)製LC−32DS3)に実装し、中間調を表示して、様々な角度からパネルを観察し、干渉縞の様子を観察した。実装は、液晶テレビの表面フィルムを剥がした後、得られたフィルム試料を貼ることで行った。
◎:干渉縞は全く見えない。
○:干渉縞は弱く見えるが、実用上問題ないレベルである。
△:干渉縞が確認でき、実用上問題がある。
×:干渉縞が非常にはっきりと出ていて、容易に確認でき、問題がある。
(6)コントラスト
得られたフィルム試料を、液晶テレビ(シャープ(株)製LC−32DS3)に実装し、暗室にて正面コントラストを測定した。表面側(視認側)の偏光板を、表面の平滑な2枚のトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)を保護フィルムとして用いた偏光板に貼り替えたものの正面コントラストと比較して、以下の基準で評価した。
◎:コントラストの低下が1%未満
○:コントラストの低下が1%以上3%未満
△:コントラストの低下が3%以上6%未満
×:コントラストの低下が6%以上
Figure 2010054861
表2から明らかなように、本発明における硬化性組成物を用いて防眩層を形成した光学フィルムは防眩性、耐久性、黒締りに優れ、干渉縞が少なく、コントラストが高い。
〔実施例2〕
実施例1に記載の防眩性反射防止フィルムに低屈折率層を設けない以外は実施例1と同じ方法で防眩フィルムを作製した。この防眩フィルムは実施例1の防眩性反射防止フィルムと比較し、全体的に映り込みが強くなったものの、比較例の防眩フィルムと比べ、黒締まり、防眩性に優れる結果が得られた。
〔実施例3〕
ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の片面に、1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)を貼り付け、他の面に実施例1および2におけるフィルム試料(鹸化処理済み)の各々のフィルムを貼り付けて、偏光子の両面を保護して偏光板を作製した。
このようにして作製した偏光板を、防眩層あるいは低屈折率層が最表面となるように透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製のD−BEFをバックライトと液晶セルとの間に有する)の視認側の偏光板と貼り代えたところ、防眩性、黒締まりに優れ、背景の映りこみが極めて少なく、明室コントラストに優れる、表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
〔実施例4〕
実施例1および2における本発明試料の各々のフィルムを貼りつけた透過型TN液晶セルの視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルム、およびバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムとして、光学補償フィルム(ワイドビューフィルムエース、富士フイルム(株)製)を用いたところ、防眩性、黒締まりに優れ、背景の映りこみが極めて少なく、明室コントラストに優れ、且つ上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
〔実施例5〕
VA型液晶表示装置(LC−26GD3 シャープ製)に設けられている偏光板を位相差膜を残したまま剥がし、代わりに本発明の偏光板を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けたところ、防眩性、黒締まりに優れ、背景の映りこみが極めて少なく、明室コントラストに優れる、表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
また、本発明の偏光版を用いたディスプレイは、ギラツキ防止効果が高く、斜め方向のコントラストに優れる非常に良好な表示性能を示すことも確認できた。
〔実施例6〕
IPS型液晶表示装置(Th−26LX300 松下製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けたところ、防眩性、黒締まりに優れ、背景の映りこみが極めて少なく、明室コントラストに優れる、表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
〔実施例7〕
実施例1および2における本発明試料の各々のフィルムを、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。
〔実施例8〕
実施例1および2における本発明試料の各々のフィルムを用いて、片面に本発明の光学フィルムを有する偏光板を作製し、偏光板の本発明の光学フィルムを有している側の反対面にλ/4板を張り合わせ、本発明の光学フィルム側が最表面になるように、有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、表面反射および、表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性の高い表示が得られた。
本発明の光学フィルムの平均傾斜角度を測定する方法を説明する図である。

Claims (10)

  1. 硬化性組成物を基材上に塗布、乾燥、硬化して得られる光学フィルムであって、
    該硬化性組成物が(a)透光性バインダー、(b)樹脂粒子、(c)溶剤および(d)光重合開始剤を含有し、
    該(a)透光性バインダーの屈折率(nb)と該(b)樹脂粒子の屈折率(np)がnb>npの関係にあり、
    該(c)溶剤は全溶剤量に対してSP値が12以上の溶剤を25質量%以上80質量%以下含有しており、
    得られた光学フィルムの全ヘイズ(H)が5%≦(H)≦30%であり、かつ
    全ヘイズ(H)と内部ヘイズ(Hi)との差(H−Hi)が−5%≦(H−Hi)≦0%である、光学フィルム。
  2. 前記SP値が12以上の溶剤が、メタノールおよびエタノールから選ばれる少なくとも1種の溶剤である請求項1に記載の光学フィルム。
  3. SP値が12以上の溶剤の蒸発速度が、SP値12未満の溶剤の蒸発速度よりも小さい請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 前記(b)樹脂粒子が平均粒子径6〜15μmの樹脂粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
  5. (a)透光性バインダー、(b)樹脂粒子、(c)溶剤、(d)光重合開始剤を含有する硬化性組成物を基材上に塗布、乾燥、硬化することにより、全ヘイズ(H)が5%≦(H)≦30%であり、全ヘイズ(H)と内部ヘイズ(Hi)との差(H−Hi)が−5%≦(H−Hi)≦0%である光学フィルムを得る製造方法であって、該(a)透光性バインダーの屈折率(nb)と該(b)樹脂粒子の屈折率(np)がnb>npの関係にあり、該(c)溶剤は全溶剤量に対してSP値が12以上の溶剤を25質量%以上80質量%以下含有する光学フィルムの製造方法。
  6. SP値が12以上の溶剤が、メタノールおよびエタノールから選ばれる少なくとも1種の溶剤である請求項5に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. SP値が12以上の溶剤の蒸発速度が、SP値12未満の溶剤の蒸発速度よりも小さい請求項5または6に記載の光学フィルムの製造方法。
  8. 前記(b)樹脂粒子が平均粒子径6〜15μmの樹脂粒子である請求項5〜7のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
  9. 偏光膜と該偏光膜の両面を保護する2枚の保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルムである偏光板。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム、または請求項9に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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