JP5364413B2 - 反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、反射防止フィルム、該反射防止フィルムを有する偏光板および画像表示装置に関する。
一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、フォトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)、電界効果ディスプレイ(FED)、表面伝導型電子放出ディスプレイ(SED)のような電子ディスプレイ装置において、外光の表面および内部の反射、散乱により、黒色の締り(黒色が黒色に見える程度)が低下することがある。
従来の反射防止フィルムでは、外光の反射を防ぐために表面反射光を拡散させて、外光の正反射を抑えて外部環境の映り込みを防ぐ、防眩性の反射防止フィルムがある。例えば、ハードコート層に適当な微粒子を含有し、かつ表面に凹凸を付与させて外光を拡散させて画面の眩しさを和らげる反射防止フィルムが開示されている(特許文献1)。
また、表面微細凹凸形状を有する防眩性ハードコート層上に低屈折率層を1層設けて、表面における外光の拡散に加えて、光干渉の原理を利用して反射率を抑えた反射防止フィルムが開示されている(特許文献2および3)。更に、低屈折率層の下に高屈折率層を設けて、光干渉を有効に利用して外光反射を低減させる反射防止フィルムが開示されている(特許文献4)。
防眩性の反射防止フィルムは、表面の微細凹凸で外光を拡散させると同時に、表示画面が白くなる(白呆け)、画像の鮮明性が低下する(画像の呆け)、更には微細凹凸構造のレンズ効果に起因するギラツキ現象が起きることがある。ギラツキ現象の改良手段として、表面散乱に加えて従来以上に高い内部散乱性を有する防眩性フィルムに関する技術が開示されているが(特許文献5)、高い内部散乱性は暗室でのコントラストの低下を引き起こすことがあった。
一方、防眩性を有さない表面ヘイズが1%未満の反射防止フィルムが提案されているが、画像表示装置に適用した際、内部反射を抑えるために内部ヘイズを15〜60%の範囲まで内部散乱性を大きくすると、コントラストが低下してしまうことがあった(特許文献6)。
特開2000−338310号公報 特開2002−196117号公報 特開2003−161816号公報 特開2003−121620号公報 特開2000−314875号公報 特開2005−77860号公報
本発明は、カールが小さく、コントラストを低減せずに、表示装置画面部における外光の反射を抑えた黒締りの良い反射防止フィルムを提供し、更に前記反射防止フィルムを表面保護フィルムとして用いた偏光板、前記反射防止フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、透明支持体上に少なくとも光拡散層を有する反射防止フィルムにおいて、前記光拡散層が透光性樹脂と透光性粒子とを有し、前記光学フィルムの内部ヘイズが15〜60%かつ表面ヘイズ値が1%以下であり、ゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度が0.03%以下であることを特徴とする反射防止フィルムによって、コントラストを低減せずに、表示装置画面部における黒の締りの良い反射防止フィルムを再現性良く作成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。一般に、内部散乱量の増加はコントラストの低減を引き起こすが、本発明では、コントラストは広角側(出射角30°)での散乱強度のみと相関することを見出し、低角側(出射角3°)での散乱量が大きく、広角側(出射角30°)での散乱量が小さい設計にすることによって、高い内部散乱量を有しながら、コントラスト低減を抑えることに成功した。
すなわち、本発明者らは、以下の各構成により、上記目的を達成した。
〔1〕
透明支持体上に少なくとも光拡散層を有する反射防止フィルムであって、前記光拡散層が透光性樹脂と透光性粒子とを含有し、前記光拡散層において、粒子凝集率(100−(1mm 辺りの粒子占有面積)/(1mm 辺りの粒子数×π×(平均粒子径/2) )×100)が7%以下であり、前記反射防止フィルムの内部ヘイズ値が15〜60%かつ表面ヘイズ値が1%以下であり、ゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度が0.03%以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
〔2〕
透明支持体上に少なくとも光拡散層を有する反射防止フィルムであって、前記光拡散層が、粒子分散剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、亜リン酸エステル、亜リン酸の部分エステルの少なくとも一種類と、透光性樹脂と透光性粒子とを含有し、前記反射防止フィルムの内部ヘイズ値が15〜60%かつ表面ヘイズ値が1%以下であり、ゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度が0.03%以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
〔3〕
前記表面ヘイズ値が0.4%以下であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の反射防止フィルム。
〔4〕
前記透光性粒子の平均粒径が7〜16μm、前記透光性粒子の前記光拡散層中の全固形分に対する含有量が10〜30質量%であり、前記透光性粒子と前記透光性樹脂の屈折率差の絶対値が0.005〜0.05であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
〔5〕
前記光拡散層の厚みが9〜30μmであり、膜厚を平均粒径で割った値が1.15〜4.50であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
〔6〕
前記光拡散層が、少なくとも屈折率が1.50±0.02の架橋(ポリ(メタ)アクリレート)粒子と(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした樹脂からなることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
〔7〕
前記光拡散層の上に、膜厚1〜10μmの表面調整層を有することを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
〔8〕
前記表面調整層が帯電防止性を有することを特徴とする〔7〕に記載の反射防止フィルム。
〔9〕
前記光拡散層より屈折率が低い反射防止層をさらに有することを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
〔10〕
偏光膜と該偏光膜の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムと有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
〔11〕
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、または〔10〕に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
本発明は、前記〔1〕〜〔11〕に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記1〜12)についても記載している。
1. 透明支持体上に少なくとも光拡散層を有する反射防止フィルムであって、前記光拡散層が透光性樹脂と透光性粒子とを含有し、前記反射防止フィルムの内部ヘイズ値が15〜60%かつ表面ヘイズ値が1%以下であり、ゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度が0.03%以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
2. 前記表面ヘイズ値が0.4%以下であることを特徴とする上記1に記載の反射防止フィルム。
3. 前記透光性粒子の平均粒径が7〜16μm、前記透光性粒子の前記光拡散層中の全固形分に対する含有量が10〜30質量%であり、前記透光性粒子と前記透光性樹脂の屈折率差の絶対値が0.005〜0.05であることを特徴とする上記1又は2に記載の反射防止フィルム。
4. 前記光拡散層の厚みが9〜30μmであり、膜厚を平均粒径で割った値が1.15〜4.50であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
5. 前記光拡散層において、粒子凝集率(100−(1mm辺りの粒子占有面積)/(1mm辺りの粒子数×π×(平均粒子径/2))×100)が7%以下であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
6. 前記光拡散層が、少なくとも屈折率が1.50±0.02の架橋(ポリ(メタ)アクリレート)粒子と(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした樹脂からなることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
7. 前記光拡散層が、粒子分散剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、亜リン酸エステル、亜リン酸の部分エステルの少なくとも一種類を含むことを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の反射防止フィルム。
8. 前記光拡散層の上に、膜厚1〜10μmの表面調整層を有することを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム。
9. 前記表面調整層が帯電防止性を有することを特徴とする上記8に記載の反射防止フィルム。
10.前記光拡散層より屈折率が低い反射防止層をさらに有することを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルム。
11.偏光膜と該偏光膜の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムと有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、上記1〜10のいずれかに記載の反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
12.上記1〜10のいずれかに記載の反射防止フィルム、または上記11に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、カールが小さく、コントラストを低減せずに、外光の反射を抑え、且つ黒の締りの良い反射防止フィルムが得られる。また前記反射防止フィルムを表面保護フィルムとして用いた偏光板、前記反射防止フィルムを用いた画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
<反射防止フィルムの層構成>
本発明の反射防止フィルムは、透明支持体上に少なくとも光拡散層を有する反射防止フィルムであって、前記光拡散層が透光性樹脂と透光性粒子とを有し、前記光学フィルムの内部ヘイズが15〜60%かつ表面ヘイズ値が1%以下であり、ゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度が0.03%以下であることを特徴とする反射防止フィルムである。
本発明では、光拡散層以外に、低屈折率層、及び、中屈折率層および/または高屈折率層を有することができる。例えば、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を積層することができるが、支持体上に単一層の光拡散層と単一層の低屈折率層をこの順に有する反射防止フィルムの形態が好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、表面ヘイズ(表面散乱に起因するヘイズ)値は1%以下であり、0.7%以下であることが好ましく、0.4%以下であることがより好ましい。表面ヘイズ値が1%より大きいと、外光の表面反射によって白呆けが起こり、黒締りが悪化してしまうため好ましくない。そのため、表面ヘイズ値を1%以下にし、外光の表面反射は光拡散層上に設けた低屈折率層によって抑制することが好ましい。
内部散乱に起因する(透光性樹脂層に内部散乱性を付与する)ヘイズ値(内部ヘイズ値)は、15〜60%であり、18〜40%が好ましい。内部へイズ値をこの範囲にすることで、外光の内部反射やパネルで発生する干渉縞等を防ぐことができる。内部ヘイズが15%よりも小さいと、内部反射の低減効果が十分では無いため好ましくない。内部ヘイズが60%よりも大きいと、正面コントラストが悪化して好ましくない。
本発明の反射防止フィルムを電子ディスプレイ等の画像表示装置に適用した際に、内部反射を抑え、且つ正面コントラストを低減させないためには、上記ヘイズ値を調整することに加えて、光拡散層のゴニオフォトメータで測定される散乱光の強度分布(散乱光プロファイル)を調整することが必須である。例えば、電子ディスプレイ内部で反射された外光は、視認側の偏光板表面に設置された反射防止フィルムで拡散されればされるほど、目立ち難くなる。
しかし、あまり拡散されすぎると、広角側での散乱が大きくなり、正面コントラストが低下する問題が生じてしまう。そこで、光拡散層の散乱光強度分布をある範囲に制御することが必要となる。正面コントラストは、出射角30°の散乱光強度と相関し、出射角30°の散乱光強度が大きくなるほどコントラストは低下する。そこで、正面コントラストを低下させずに、内部反射を低減するためには、広角側での散乱強度を抑えつつ、前方での散乱強度を大きくする必要がある。具体的には、散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度を0.03%以下、より好ましくは、0.02%以下、さらに好ましくは0.01%以下とする。散乱光プロファイルは、(株)村上色彩技術研究所製の自動変角光度計GP−5型を用いて測定できる。
ゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度を0.03%以下にするためには、平均粒径が7〜16μmの透光性粒子を、光拡散層中の全固形分に対する含有量で10〜30質量%添加し、かつ前記透光性粒子と前記透光性樹脂の屈折率差の絶対値を0.005〜0.05にすることが好ましい。
前記粒子の平均粒径は、7.5μm〜14μmがより好ましく、9.5μm〜12.5μmがさらに好ましい。平均粒径が7μm以上であれば、散乱角度が大きくならず、前述した散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度が低くなるため、好ましい。平均粒径が16μm以下であれば、粒子添加量に対する粒子表面積が小さくならず、内部ヘイズが十分に向上するため好ましい。
また、透光性粒子と透光性樹脂の屈折率差の絶対値は0.005〜0.05が好ましく、0.01〜0.04が更に好ましい。屈折率の絶対値が0.005以上であれば、所望の内部ヘイズ値が得られ、内部反射の低減効果が十分となり、好ましい。また、屈折率差の絶対値が0.05以下であれば、散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度を0.03%以下にすることができ、コントラストが低減せず、好ましい。
粒子添加量は光拡散層における全固形分に対して10〜30質量%が好ましく、12〜30質量%がより好ましく、15〜25%が更に好ましい。透光性粒子の添加量が10質量%以上であれば、内部ヘイズが十分に向上するため、本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に適用した際に、内部反射の低減効果が十分であり、好ましい。少ない粒子量で内部ヘイズを向上させるために、透光性粒子と透光性樹脂との屈折率差を大きくすると、光の散乱角度が大きくなり、コントラストが低下してしまう。従って、透光性粒子と透光性樹脂との屈折率差をできるだけ小さくし、粒子量を多くすることが、内部散乱性の設計としては最も好ましい。また、粒子量が30質量%以下であれば表面の平滑性が失われず、外光の表面反射によって黒締りが悪化しないため、好ましい。
光拡散層の厚さは9μm〜30μmが好ましく、更に好ましくは11μm〜25μmである。膜厚が9μm以上であれば、上述した透光性粒子によって表面に凹凸が発生することがないため、表面ヘイズ値が1%以下になり、本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に適用した際に、画像が白呆けてしまうことがなく、好ましい。また、厚みが30μm以下であれば、フィルムのカールが大きくならず、素材コストも高くならないため、好ましい。
膜厚と使用する透光性粒子の平均粒径との関係は、膜厚を平均粒径で割った値が1.15以上4.50以下であることが好ましい。膜厚を平均粒径で割った値が1.15以上であれば、表面ヘイズ値が1%以下となり、白呆けが発生せず、好ましい。4.50以下であれば、カール、素材コストの点で好ましい。
また、表面ヘイズ値を1%以下にするためには、前記光拡散層において、粒子凝集率を7%以下にすることが好ましく、5%以下が更に好ましい。粒子凝集率の測定は、透過型の光学顕微鏡によって1mmの領域でフィルムを観察し、計算式(100−(1mm辺りの粒子占有面積)/(1mm辺りの粒子数×π×(平均粒子径/2))×100)によって算出することができる。粒子凝集率が7%以下であれば、凝集した粒子が表面の凹凸を発生させず、表面ヘイズ値が大きくならず、白呆けが発生しないため、好ましい。
<光拡散層の構成>
本発明の光拡散層は、好ましくは、平均粒径が7μm〜16μmの透光性粒子、マトリックス形成成分(バインダー用モノマー類等)及び有機溶媒を含有する塗布液を塗布・乾燥し硬化してなる層である。
光拡散層を形成する塗布液は、例えば、電離放射線等で硬化されて形成する透光性樹脂の原料となる主たるマトリックス形成バインダー用モノマー類、特定粒径の透光性粒子、重合開始剤、好ましくは、塗布液の粘度を調整するための高分子化合物、カール低減や屈折率調節等のための無機微粒フィラー、塗布助剤等を含む。
<光拡散層の透光性粒子>
透光性粒子の形状は、真球又は不定形のいずれも使用できる。粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御性、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも33%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子とした場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8%以下であり、さらに好ましくは、0.4%以下である。このような粒子径分布を持つ粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布の粒子を得ることができる。
また、例えば平均粒子径よりも16%以上粒子径が小さな粒子を微小粒子とした場合、この微小粒子の割合は全粒子数の10%以下であることが好ましく、より好ましくは6%以下であり、さらに好ましくは、4%以下である。このような粒子径分布を持つ粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布の粒子を得ることができる。
粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。平均粒径は得られた粒子分布から算出する。透光性粒子の平均粒径は、塗膜中で2つ以上の粒子が隣接して存在している場合も、独立して存在している場合も、平均粒径は一次粒径を指す。但し、一次粒子径が0.1μm程度の凝集性の無機粒子が二次粒子として、本発明の粒子サイズを満たす大きさで塗布液中に分散され、その後塗布されている場合には二次粒子の大きさとする。
透光性粒子の種類は、ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも、本発明では、後述する理由から、屈性率が1.50±0.02の架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子が好ましく用いられ、透光性微粒子の屈折率にあわせて透光性樹脂の屈折率を調整することにより、内部ヘイズ、表面ヘイズを所望の範囲にすることができる。
具体的には、光拡散層に好ましく用いられる後述する3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした透光性樹脂(硬化後の屈折率が1.50〜1.54)とアクリル含率20〜100質量%である架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性微粒子(屈折率1.50±0.02)を組み合せることが好ましい。これは、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした透光性樹脂とポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組み合わせた場合には、粒子の粒子の凝集率が低下し、表面ヘイズが1%以下の黒締りのよい反射防止フィルムを得ることができる。ここで、粒子の凝集率は、用いる粒子、樹脂、溶媒の種類や乾燥条件によって大きく変化するが、構成するポリマーのSP値が近い粒子と樹脂を用いる程、粒子凝集率が低下し、平滑で黒締りの良い表面を得ることができると推察している。
ここで、「3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした透光性樹脂」とは、透光性樹脂中に3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーからなる繰り返し単位が、50〜100質量%含まれていることを意味する。3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーからなる繰り返し単位の含有量は好ましくは60〜100質量%である。
<透光性粒子の分散剤>
表面の平滑性を上げ、黒締りを良くするために粒子凝集率を低下させるためには、前記光拡散層中にラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、亜リン酸エステル、亜リン酸の部分エステルの中から選ばれる粒子分散剤を少なくとも1種類添加することが好ましい。上記化合物以外には、変性アクリル共重合体であるDISPERBYK(登録商標)−2000、DISPERBYK(登録商標)−2001、DISPERBYK(登録商標)−2009、DISPERBYK(登録商標)−2020、DISPERBYK(登録商標)−2025(ビックケミージャパン株式会社製)等も好ましく用いることができる。粒子分散剤の好ましい添加量は粒子の質量に対して、0.1〜10質量%である。添加量が0.1質量%以下であれば、粒子の凝集を防止できる効果が大きいため、好ましい。また、添加量が10質量%以下であれば光拡散層のゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度が大きくならないため、好ましい。上述した亜リン酸エステルの好適な例は、ジブチルハイドロジエンホスファイトであり、亜リン酸の部分エステルの好適な例は、カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート、モノイソデシルホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート等である。
<光拡散層のマトリックス形成用バインダー>
光拡散層を形成するマトリックス形成用バインダーとしては、電離放射線等による硬化後に飽和炭化水素鎖を主鎖として有する透光性ポリマーであることが好ましい。また、硬化後の主たるバインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
硬化後に飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、下記に述べるエチレン性不飽和モノマーから得られるものが好ましい。さらにこれらのモノマー類の混合物、及び重合体も好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、且つ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。ポリマーを高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
光拡散層を形成するためのバインダーポリマーを形成するために用いられる、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル{例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート}、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、(メタ)アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)等が挙げられる。
なかでも、表面硬度、カール低減、脆性改良の観点から、(A)分子量が210〜500の範囲にあり、分子中に脂環、芳香環、複素環構造の少なくともいずれかを有する2官能(メタ)アクリレート系化合物、(B)3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物を併用する事が好ましい。また、分子量が800〜2000の範囲にあり、分子中に2個以上のウレタン結合を有する8〜15官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を用いることもカール低減と表面硬度の観点から好ましい。
(A)の2官能(メタ)アクリレート系化合物は、分子量が210〜500の範囲にあり、分子中に脂環、芳香環、複素環構造の少なくともいずれかを有する(メタ)アクリレート系化合物である。具体的な脂環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロへキセン環、シクロヘプタジエン環、ノルボルナン環等の炭素数5〜20の範囲の飽和、または不飽和環を、芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ジフェニルメタン環、トリフェニルメタン環等炭素数6〜20の芳香環を、複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピラン環、チオピラン環、ピリジン環、チアゾール環、イミダゾール環、ピリミジン環、インドール環、キノリン環、プリン環、イソシアヌル環等の元素数5〜20の硫黄原子、窒素原子、酸素原子等の複素環を挙げることができる。これらの環の中では、脂環、複素環が好ましく、脂環がより好ましい。分子量としては230〜400の範囲の2官能(メタ)アクリレート化合物が好適に使用される。これらの2官能のアクリレート化合物は、光照射により光重合、架橋して生成する膜物性(表面硬度、脆性、カール)へ影響を与える。分子量が500より大きい2官能アクリレート化合物は、架橋密度は低下するために十分な表面硬度が得られないことから推定すれば、本発明の2官能アクリレート化合物は、架橋構造および架橋密度の調整剤として働いていることが推定される。
(B)3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、本業界で広範に用いられる高硬度の硬化物を形成するアクリレート系化合物が挙げられる。このような化合物としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル{例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類の具体化合物としては、日本化薬(株)製KAYARAD DPHA、同DPHA−2C、同PET−30、同TMPTA、同TPA−320、同TPA−330、同RP−1040、同T−1420、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同GPO−303、大阪有機化学工業(株)製V#400、V#36095D等のポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物を挙げることができる。また紫光UV−1400B、同UV−1700B、同UV−6300B、同UV−7550B、同UV−7600B、同UV−7605B、同UV−7610B、同UV−7620EA、同UV−7630B、同UV−7640B、同UV−6630B、同UV−7000B、同UV−7510B、同UV−7461TE、同UV−3000B、同UV−3200B、同UV−3210EA、同UV−3310EA、同UV−3310B、同UV−3500BA、同UV−3520TL、同UV−3700B、同UV−6100B、同UV−6640B、同UV−2000B、同UV−2010B、同UV−2250EA、同UV−2750B(日本合成化学(株)製)、UL−503LN(共栄社化学(株)製)、ユニディック17−806、同17−813、同V−4030、同V−4000BA(大日本インキ化学工業(株)製)、EB−1290K、EB−220、EB−5129、EB−1830,EB−4358(ダイセルUCB(株)製)、ハイコープAU−2010、同AU−2020((株)トクシキ製)、アロニックスM−1960(東亜合成(株)製)、アートレジンUN−3320HA,UN−3320HC,UN−3320HS、UN−904,HDP−4Tなどの3官能以上のウレタンアクリレート化合物、アロニックスM−8100,M−8030,M−9050(東亞合成(株)製、KBM−8307(ダイセルサイテック(株)製)の3官能以上のポリエステル化合物なども好適に使用することができる。
さらに、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等もあげられる。
(A)脂環、芳香環、複素環構造の少なくともいずれかを有する2官能(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、バインダー全量に対して5〜70質量%含有することが好ましく、10〜50質量%含有することがより好ましく、20〜40質量%含有することがさらに好ましい。
(B)3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、バインダー全量に対して、30〜95質量%含有することが好ましく、40〜90質量%含有することがより好ましい。
(A)と(B)の比率は質量比で5:95〜70:30が好ましく、10:90〜50:50がより好ましい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤、および透光性粒子、必要に応じて無機フィラー、塗布助剤、その他の添加剤、有機溶媒等を含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明支持体上に塗布後、電離放射線又は熱による重合反応により硬化して光拡散層を形成する。電離放射線硬化と熱硬化を合わせて行うことも好ましい。光及び熱重合開始剤としては市販の化合物を利用することができ、それらは、「最新UV硬化技術」(p.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)や、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)のカタログに記載されている。
重合開始剤は、上記エチレン性不飽和基を有するモノマー100質量部に対して、重合開始剤総量で0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量部の範囲がより好ましい。
<光拡散層の高分子化合物>
本発明の光拡散層は、高分子化合物を含有してもよい。高分子化合物を添加することで、硬化収縮を小さくしたり、塗布液の粘度調整を行うことができる。
高分子化合物は、塗布液に添加する時点で既に重合体を形成しており、該高分子化合物としては、例えばセルロースエステル類(例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースナイトレート等)、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸メチル等)、ポリスチレン等の樹脂が好ましく用いられる。
高分子化合物は、硬化収縮への効果や塗布液の粘度増加効果の観点から、高分子化合物を含有する層に含む全バインダーに対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%の範囲で含有することが好ましい。また、高分子化合物の分子量は質量平均で0.3万〜40万が好ましく、0.5万〜30万がより好ましく、0.5万〜20万がさらに好ましい。
<光拡散層の無機フィラー>
本発明の光拡散層には、上記の透光性粒子に加えて、屈折率の調整、膜強度の調整、硬化収縮減少、さらに低屈折率層を設けた場合の反射率低減の目的に応じて、無機フィラー使用することもできる。例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する酸化物からなり、一次粒子の平均粒径が、一般に0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下1nm以上である微細な高屈折率無機フィラーを含有することも好ましい。
透光性粒子との屈折率差を調整するために、マトリックスの屈折率を低くする必要が生じた場合は、無機フィラーとして、シリカ微粒子、中空シリカ微粒子等の微細な低屈折率無機フィラーを用いることができる。好ましい粒径は、前記の微細な高屈折率無機フィラーと同じである。
無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
無機フィラーの添加量は、光拡散層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分短いために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質の性質を有する。
<光拡散層の界面活性剤>
本発明の光拡散層では、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を光拡散層用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特に、フッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、例えば、特開2007−188070号公報の段落番号0049〜0074に記載の化合物が挙げられる。
本発明の光拡散層で用いられる界面活性剤(特に、フッ素系ポリマー)の好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。界面活性剤の添加量が0.001質量%以上で効果が十分であり、また5質量%以下とすることで、塗膜の乾燥が十分に行われ、塗膜としての良好な性能(例えば反射率、耐擦傷性)が得られる。
<光拡散層用塗布液の有機溶媒>
光拡散層を形成する塗布組成物には、有機溶媒を添加することができる。
有機溶媒としては、例えばアルコール系では、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、イソアミルアルコール、1−ペンタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール等、ケトン系では、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等、エステル系では、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸n−アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル等、エーテル、アセタール系では、1,4ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルアセタール等、炭化水素系では、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、リグロイン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ジビニルベンゼン等、ハロゲン炭化水素系では、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン、1,1,1,2−テトラクロルエタン等、多価アルコールおよびその誘導体系では、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール、グリセリンモノアセテート、グリセリンエーテル類、1,2,6−ヘキサントリオール等、脂肪酸系では、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、絡酸、イソ絡酸、イソ吉草酸、乳酸等、窒素化合物系では、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリル等、イオウ化合物系では、ジメチルスルホキシド等、が挙げられる。
上記有機溶媒の中において、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、1−ペンタノール等が特に好ましい。また、有機溶媒には、凝集性制御の目的でアルコール、多価アルコール系の溶媒を適宜混合して用いてもよい。これらの有機溶媒は、単独でも混合して用いてもよく、塗布組成物中に有機溶媒総量として、20質量%〜90質量%含有することが好ましく、30質量%〜80質量%含有することがより好ましく、40質量%〜70質量%含有することが最も好ましい。光拡散層の表面形状の安定化のためには、沸点が100℃未満の溶媒と沸点が100℃以上の溶媒を併用することが好ましい。
<光拡散層の硬化>
光拡散層は、塗布液を支持体に塗布後、光照射、電子線ビーム照射、加熱処理などを実施して、架橋又は重合反応させて形成できる。紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。紫外線による硬化は、窒素パージ等で酸素濃度が4体積%以下、更に好ましくは2体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下の雰囲気下で硬化することが好ましい。
<光拡散層の表面調整層>
光拡散層の平滑性を向上させ、黒締りを良化するために、該光拡散層上に厚み1〜10μmの表面調整層を設けることもできる。表面調整層の厚みが1μm以上であれば、表面平滑化の効果が十分得られるため好ましい。厚みが10μm以下であれば、フィルムのカールやコスト高を抑えられるので好ましい。
表面調整層は、光拡散層の凹凸形状を目止めして、スムージングを掛けてより滑らかな表面を形成させることが可能となる。表面調整層を形成する樹脂としては、透明性の高いものが好ましい。その具体例としては、紫外線または電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂との混合物、または熱硬化型樹脂の三種類が挙げられ、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂の具体例としては、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマー又はプレポリマー、反応性希釈剤が挙げられ、これらの具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
また、電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤または光重合促進剤を添加することができる。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部である。
熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
表面調整層を形成する際に、光重合開始剤を用いることができ、その具体例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンが挙げられる。この化合物は市場入手可能であり、例えば商品名イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製)が挙げられる。
表面調整層を形成するには、上記成分を溶剤ともに混合した表面調整層用組成物を利用する。溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;またはこれらの混合物が挙げられ、好ましくは、ケトン類、エステル類が挙げられる。
表面調整層用組成物を塗布する方法としては、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。表面調整層用組成物の塗布後に、乾燥と紫外線硬化を行う。紫外線源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、または直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
該表面調整層には、帯電防止機能(帯電防止性)を付与することが好ましい。これによって塵埃(埃など)が付着するのを防止する、すなわち優れた防塵性を発現させることができる。防塵性は、導電性ハードコートフィルム表面の表面抵抗値を下げることで発現され、帯電防止層の導電性が高いほど高い効果が得られる。帯電防止性を有する表面調整層は、表面抵抗が、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜1011Ω/sqであることがさらに好ましく、10〜1010Ω/sqであることが最も好ましい。表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止機能付き表面調整層を塗設する場合、導電材(電子伝導型の有機化合物や導電性粒子、イオン伝導型の有機化合物など)を結着剤(バインダーなど)に含有させて、帯電防止層を作製することが好ましい。特に、電子伝導型の導電材は、環境の変化を受け難く導電性能が安定し、特に低湿環境下でも良好な導電性能を発現する点で好ましい。
以下、塗布法で帯電防止層を作製する好ましい方法について記載する。
〈導電材〉
帯電防止層に用いられる好ましい導電材としては、π共役系導電性有機化合物、導電性微粒子などの電子伝導型の導電材が好ましい。
π共役系導電性有機化合物としては、脂肪族共役系のポリアセチレン、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)等が挙げられる。
導電性微粒子としては、カーボン系、金属系、金属酸化物系、導電被覆系微粒子等が挙げられる。
カーボン系微粒子としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボン粉末、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等のカーボン繊維、膨張化黒鉛粉砕品のカーボンフレーク等が挙げられる。
金属系微粒子としては、アルミニウム、銅、金、銀、ニッケル、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル等の金属、及び、それらの金属を含有する合金の粉末や、金属フレーク、鉄、銅、ステンレス、銀メッキ銅、黄銅等の金属繊維等が挙げられる。
金属酸化物系微粒子としては、酸化錫、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化インジウム、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、五酸化アンチモンなどが挙げられる。
導電被覆系微粒子としては、例えば、酸化チタン(球状、針状)、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、マイカ、シリカ等の各種微粒子表面を、酸化錫、ATO、ITO等の導電材で被覆した導電性微粒子、金及び/又はニッケルなどの金属で表面処理されたポリスチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂ビーズが好ましい。
帯電防止層の導電材としては、π共役系導電性有機化合物(特に、ポリチオフェン系導電性ポリマー)が好ましい。
導電性微粒子としては金属系微粒子(特に、金、銀、銀/パラジウム合金、銅、ニッケル、アルミニウム)や金属酸化物系微粒子(特に、酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛)が好ましい。特に、金属や金属酸化物などの電子伝導型の導電材が好ましく、なかでも金属酸化物系微粒子が特に好ましく、上記に挙げた金属酸化物系微粒子のうち少なくとも1種以上用いることが好ましい。
導電材の一次粒子の質量平均粒径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。導電材の平均粒径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電材の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
導電材の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、鱗片状、針状あるいは不定形状であることが好ましく、特に好ましくは、不定形状、針状、鱗片状である。
〈帯電防止機能付き表面調整層の形成法〉
帯電防止層を塗布法で作製する場合、導電材は、分散物の状態で帯電防止層の形成に使用することが好ましい。
導電材の分散においては、分散剤の存在下で、分散媒体中に分散することが好ましい。
分散剤を用いて分散することにより、導電材は極めて微細に分散することができ、透明な帯電防止層の作製を可能にする。
本発明に係る導電材の分散には、アニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましい。アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ基)、リン酸基(ホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上が含有されていればよい。導電材の分散性をさらに改良する目的で分散材にはアニオン性基が1分子当たり複数個含有されていてもよい。1分子当たり平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
アニオン性の極性基を有する分散剤としては、ホスファノール(PE−510、PE−610、LB−400、EC−6103、RE−410など;東邦化学工業(株)製)、Disperbyk(−110、−111、−116、−140、−161、−162、−163、−164、−164、−170、−171など;ビックケミー・ジャパン社製)、アロニックスM5300など;東亞合成(株)製、KAYAMER(PM−21、PM−2など;日本化薬(株)製)などが挙げられる。
分散剤は、さらに架橋又は重合性の官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性の官能基としては、ラジカル種による架橋反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
本発明に係る帯電防止層に用いる導電材の分散に用いる分散剤は、アニオン性基、及び、架橋又は重合性の官能基を有し、かつ該架橋又は重合性の官能基を側鎖に有する分散剤であることが特に好ましい。
アニオン性基、及び、架橋又は重合性の官能基を有し、かつ、該架橋又は重合性の官能基を側鎖に有する分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。該分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
分散剤の導電材に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
導電材は分散剤の存在下で、分散媒体中に分散することが好ましい。
分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
導電材は、分散機を用いて分散することが好ましい。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、ダイノミル、高速インペラーミル、アイガーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルなどが含まれる。サンドグラインダーミル、ダイノミルなどのメディア分散機が特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
導電材を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない帯電防止層を作製できる。
本発明において、帯電防止層は、上記導電材以外に有機化合物のバインダーを含有することが好ましく、該バインダーにより層のマトリックスを形成し、導電材を分散させることが好ましい。このため帯電防止層は、分散媒体中に導電材を分散した分散液に、好ましくは、バインダーまたはバインダー前駆体を添加して作製することが好ましい。バインダーまたはバインダー前駆体としては、非硬化系の熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のような硬化系樹脂等を用いることができる。
バインダーまたはバインダー前駆体の軟化温度又はガラス転移点は、50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。
分散液にバインダー前駆体(架橋又は重合性の官能基を有する化合物)に、光重合開始剤等を加えて帯電防止層形成用の塗料とし、透明支持体上に該帯電防止層形成用の塗料を塗布して、バインダー前駆体の架橋又は重合反応により硬化させて作製することが特に好ましい。バインダー前駆体である架橋又は重合性の官能基を有する化合物としては、電離放射線硬化性化合物が好ましく、例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなどが好ましい。
上記作製法において帯電防止層のバインダーは、架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物として形成される。さらに、帯電防止層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させて硬化させて形成することが好ましい。
このようにして作製した帯電防止層のバインダーは、例えば、上記の分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となり、アニオン性基が導電材の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、導電材を含有する帯電防止層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良できるので好ましい。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類、等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S、BP−100、BDMK、CTX、BMS、2−EAQ、ABQ、CPTX、EPD、ITX、QTX、BTC、MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651、184、500、907、369、1173、2959、4265、4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F、KB1、EB3、BP、X33、KT046、KT37、KIP150、TZT)等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、高薄一弘著「最新UV硬化技術」((株)技術情報協会、159頁、1991年)に記載されている。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651、184、907)等が挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI、EPA)などが挙げられる。
光重合反応は、帯電防止層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
紫外線照射には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
帯電防止層の架橋又は重合しているバインダーは、ポリマーの主鎖が架橋又は重合している構造を有することが好ましい。ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋又は重合構造を有する。
アニオン性基は、連結基を介してバインダーの側鎖として、主鎖に結合していることが好ましい。
アニオン性基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋又は重合構造は、二つ以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)する。架橋又は重合構造は、三つ以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋又は重合構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
バインダーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋又は重合構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96モル%であることが好ましく、4〜94モル%であることがさらに好ましく、6〜92モル%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二つ以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋又は重合構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98モル%であることが好ましく、6〜96モル%であることがさらに好ましく、8〜94モル%であることが最も好ましい。
バインダーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋又は重合構造の双方を有していてもよい。バインダーには、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋又は重合構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
架橋又は重合しているバインダーは、帯電防止層形成用の塗料を透明支持体上に塗布して、塗布と同時または塗布後に、架橋又は重合反応によって作製することが好ましい。
帯電防止層における導電材の含有量は、帯電防止層の質量に対し0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。導電材は帯電防止層内で二種類以上を併用してもよい。
帯電防止層の好ましい塗布溶媒としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
特に好ましい塗布溶媒としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、又は、エステル類であり、最も好ましい溶媒としては、ケトン類である。ケトン類の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
塗布溶媒は、その他の溶媒を含んでいてもよい。例えば、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。
塗布溶媒は、ケトン系溶媒の含有量が塗料に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
帯電防止層の形成は、特に帯電防止層を電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成する場合には、酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。
帯電防止層を酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で作製することにより、帯電防止層の物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性、耐候性、更には、帯電防止層と帯電防止層と隣接する層との接着性を改良することができる。
好ましくは酸素濃度が3体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により作製することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。
酸素濃度を4体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
<低屈折率層>
本発明の反射防止フィルムでは、反射率を低減するため、光拡散層よりも屈折率の低い低屈折率層(反射防止層)を有することが好ましい。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.40であることが特に好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
低屈折率層を形成するための好ましい硬化物組成の態様としては、
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物、
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物、が挙げられる。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物
架橋性または重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性または重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、特開2002−317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記光拡散層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
低屈折率層には、上記の光拡散層の頁で述べた重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明の低屈折層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
本発明の低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
本発明において、低屈折率層等を設けた反射防止性防眩フィルムの好ましい積分反射率は、3.0%以下が好ましく、更に好ましくは2.0%以下であり、最も好ましくは1.5%以下0.3%以上である。積分反射率を下げることで防眩フィルムの表面での光散乱を小さくしても十分な防眩性が得られるため、黒締りに優れた防眩性反射防止フィルムが得られる。
<透明支持体>
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士フイルム社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリペットVRL20A:商品名、三菱レイヨン社製、特開2004−70296号公報や特開2006−171464号公報記載の環構造含有アクリル系樹脂)などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。また、本発明の反射防止フィルムと偏光板を組み合わせてもよい。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
<塗布方式>
本発明の反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。次に、諸機能層を形成するための塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号明細書参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
その後、光照射あるいは加熱して、機能層を形成するモノマーを重合して硬化する。これにより機能層が形成される。ここで必要であれば、機能層を複数層とすることができる。
次に、同様にして低屈折率層を形成するための塗布液を機能層上に塗布し、光照射あるいは加熱し(紫外線など電離放射線を照射、好ましくは加熱下で電離放射線を照射することにより硬化させ、)低屈折率層が形成される。このようにして本発明の反射防止フィルムが得られる。
<偏光板>
偏光板は、偏光膜の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の反射防止フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
<画像表示装置>
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、表面電界ディスプレイ(SED)のような画像表示装置に適用することができる。特に好ましくは液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)に用いられる。本発明の反射防止フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
本発明の反射防止フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<反射防止フィルムの作製>
〔各層用塗布液の作製〕
[光拡散層用塗布液]
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Figure 0005364413
上記光拡散層用塗布液各々について孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して塗布液を調製した。
透光性粒子を除く光拡散層の膜の屈折率はアッベ屈折計で直接測定した。また、透光性粒子の屈折率は、ヨウ化メチレン、1,2−ジブロモプロパン、n―ヘキサンから選ばれる任意の屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定した。
硬化後の樹脂の屈折率、粒子の屈折率は下記の通りであった。
PET−30 1.530
ビスコート360 1.500
6μm架橋アクリル粒子 1.500
8μm架橋アクリル粒子 1.500
10μm架橋アクリル粒子 1.500
12μm架橋アクリル粒子 1.500
6μm架橋アクリル・スチレン粒子 1.555
8μm架橋アクリル・スチレン粒子 1.555
10μm架橋アクリル・スチレン粒子 1.555
8μm架橋アクリル・スチレン粒子(2) 1.570
[低屈折率層用塗布液]
低屈折率層用塗布液(L−1)の組成
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(A−1) 3.9g
シリカ分散液A(22%) 25.0g
イルガキュア127 0.2g
DPHA 0.4g
MEK 100.0g
MIBK 45.5g
上記で使用した化合物を以下に示す。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製];
ビスコート360:トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート[大阪有機化学工業(株)社製];
6μm架橋アクリル粒子(30%):平均粒径6.0μm[積水化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散したMIBK分散液);
8μm架橋アクリル粒子(30%):平均粒径6.0μm[積水化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散したMIBK分散液);
10μm架橋アクリル粒子(30%):平均粒径6.0μm[積水化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散したMIBK分散液);
12μm架橋アクリル粒子(30%):平均粒径6.0μm[積水化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散したMIBK分散液);
6μm架橋スチレン・アクリル粒子(30%):平均粒径6.0μm[積水化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散したMIBK分散液);
8μm架橋スチレン・アクリル粒子(30%):平均粒径6.0μm[積水化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散したMIBK分散液);
イルガキュア127:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製];
CAB:セルロースアセテートブチレート;
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(A−1):特開2005−89536号公報製造例3に記載のフッ素ポリマー(A−1);
FP−13:フッ素系の界面活性剤(MEKの10質量%溶液として溶解した後に使用した。)
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
DISPER2000;変性アクリル共重合体[ビックケミージャパン(株)製]
ELCoat UVH515;導電性コート剤[出光テクノファイン(株)製]
ペルトロンC−4456−S7;市販のATO分散ハードコート剤 固形分:45%[日本ぺルノックス(株)製]
Figure 0005364413
上記低屈折率層用塗布液(L−1)は孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して塗布液を調製した。上記塗布液を塗布硬化してなる低屈折率層の硬化後の屈折率は1.360であった。
(シリカ分散液A)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616号公報の調製例4に準じサイズを変更して作成)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)10g、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.0g加え混合した後に、イオン交換水を3gを加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.0gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し22質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.0%であった。
以降、実施例4、5、7、8、10は、それぞれ、参考例4、5、7、8、10に読み替えるものとする。以降の表においても同様である。
[実施例1〜16、比較例1〜8]
実施例1〜16、及び比較例1〜8の反射防止フィルムの作製
(1)光拡散層の塗設
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、表1に示す光拡散層用塗布液を使用し特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量100mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ巻き取った。各光拡散層の膜厚は表1の値になるように塗布量を調整した。
(2)表面調整層の塗設
実施例7、9、10、12〜16において、上記の様にして作製した光拡散層の上に、塗布液B−1〜B−3を用いて、乾燥後の膜厚が表1に示した値になる様に、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量100mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ巻き取った。
(3)低屈折率層の塗設
上記光拡散層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液を前記のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、90℃で75秒乾燥の後、窒素パージ下酸素濃度0.01〜0.1%で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量240mJ/cmの紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、実施例1〜5、実施例7〜9、実施例11〜16、及び比較例1〜9の反射防止フィルムを作製した。
(反射防止フィルムの鹸化処理)
塗設後、前記試料について、以下の処理を行った。
1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、鹸化処理済み反射防止フィルム(実施例1〜16、及び比較例1〜9)を作製した。
(反射防止フィルムの評価)
(1)へイズ
[1]JIS−K7136に準じて、得られた反射防止フィルムの全ヘイズ値(H)を測定した。
[2]反射防止フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られた反射防止フィルムを密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
(2)カール度
反射防止フィルム試料を20cm×20cmのサイズに切り取り、4隅が浮き上がっている面を上向きにして、25℃、60%RHの環境下で水平な机上に置いた。24時間経過後に各4隅の机面からの浮き上がり距離を定規で測定し、4隅の平均をとった。平均値を以下の基準でクラス分けして評価した。
◎:5mm未満。
○:5mm以上10mm未満。
○△:10mm以上20mm未満。
△:20mm以上40mm未満。
×:40mm以上。
(3)散乱光プロファイル
(株)村上色材研究所社製の「ゴニオフォトメータ」機を用いて、入射角を0°として受光器を90°〜180°〜−90°まで0.1°刻みで測定し、ゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度を算出した。
(4)粒子凝集率
粒子凝集率の測定は、透過型の光学顕微鏡によってフィルムを観察し、計算式(100−(1mm辺りの粒子占有面積)/(1mm辺りの粒子数×π×(平均粒子径/2))×100)によって算出した。
(5)表面抵抗値の評価
作製したフィルム表面抵抗値(Ω/sq)を、超絶縁抵抗/微小電流計TR8601((株)アドバンテスト製)を用いて、25℃、相対湿度60%の条件下で測定した。表には表面抵抗値の常用対数をとった値を示した。
(6)ゴミ付着防止性(防塵性)
作製したフィルムを硝子板に貼り、除電した後、東レ(株)のトレシーを用いて往復10回擦り、その後微細な発泡スチロールの粉を擬似ゴミとし、フイルム全体にかけた後フイルムを立て、疑似ゴミの落下の様子を観察し、下記の4段階評価を行った。
◎:擬似ゴミがほとんど全て落下する。
○:擬似ゴミが80%以上落下する。
△:擬似ゴミが50%以上落下する。
×:擬似ゴミが50%以上フイルム表面に残存している。
(7)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止フィ
ルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重にて評価した。
○:n=5の評価において傷が全く認められない
△:n=5の評価において傷が1または2つ
×:n=5の評価において傷が3つ以上
以降、実施例20、21、23、24、26は、それぞれ、参考例20、21、23、24、26に読み替えるものとする。以降の表においても同様である。
[実施例17〜32、比較例10〜18]
(偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)と、実施例1〜5、及び比較例1〜5における試料(鹸化処理済み)の各々のフィルムに、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光膜の両面を接着、保護して偏光板を作製した。
(液晶表示装置の作製)
VA型液晶表示装置(LC−37GS10、シャープ(株)製)に設けられている偏光板及び位相差膜を剥がし、代わりに上記で作製した偏光板を透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けて、実施例17〜32、及び比較例10〜18の液晶表示装置を作製した。
(液晶表示装置での評価)
(1)黒締り
視認側表面に反射防止フィルムを貼った偏光板を配置した液晶表示装置について黒しまり感を官能評価した。評価法はディスプレイを複数台並列に並べて同時に相対比較する方法で行い、真正面から電源off時の黒味、電源on時の黒味(黒い画像)をそれぞれのフィルムで比較し、以下の基準で評価した。黒味の強いほど画面のしまり感も強いという基準で表した。
◎:黒味が非常に強くグレー味が全く無いため、画面が非常に強くしまって見える。
○’:黒味が強くグレー味が全く無いため、画面が強くしまって見える。
○:黒味が強くグレー味が殆ど無いため、画面がしまって見える。
△:黒いがグレー味があって、画面のしまり感が弱い。
×:グレー味が強く、画面のしまり感がない。
(2)正面コントラスト
上記で作製した液晶表示装置を用いて、暗室にて正面コントラストを測定した。ここで、正面コントラストの値は、TACフィルムを用いた際のコントラスト値を100%として、液晶表示装置のコントラストを算出した。
◎:90%〜100%
○:80%〜89%
△:70%〜79%
×:〜69%
(3)画像表示装置のムラ
上記で作製した表示装置を中間調で表示し、様々な角度からパネルを観察し、干渉縞の様子を観察した。
◎:干渉縞は全く見えない。
○:干渉縞は弱く見えるが、実用上問題ないレベルである。
△:干渉縞が確認でき、実用上問題がある。
×:干渉縞が非常にはっきりと出ていて、容易に確認でき、問題がある。
以降、実施例36、37、39、40、42は、それぞれ、参考例36、37、39、40、42に読み替えるものとする。以降の表においても同様である。
[実施例33〜48、比較例19〜27]
(エレクトロルミネッセンス表示装置での評価)
実施例1〜16、及び比較例1〜9の反射防止フィルムを有機エレクトロルミネッセンス表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせ、実施例33〜48、及び比較例19〜27のエレクトロルミネッセンス表示装置を作製した。その後、上記と同様にして黒締り、及び正面コントラストを測定した。
各試料の評価結果を下記表1〜3に示す。
Figure 0005364413
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Figure 0005364413
表1〜3に示される結果より、本発明の反射防止フィルムはカールが小さく、また、該反射防止フィルムを適用した画像表示装置は、黒締りが良く、正面コントラストが高く、また、画像表示装置に起因する干渉縞等が見え難くい高品位の画像表示装置であることがわかる。

Claims (11)

  1. 透明支持体上に少なくとも光拡散層を有する反射防止フィルムであって、前記光拡散層が透光性樹脂と透光性粒子とを含有し、前記光拡散層において、粒子凝集率(100−(1mm 辺りの粒子占有面積)/(1mm 辺りの粒子数×π×(平均粒子径/2) )×100)が7%以下であり、前記反射防止フィルムの内部ヘイズ値が15〜60%かつ表面ヘイズ値が1%以下であり、ゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度が0.03%以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 透明支持体上に少なくとも光拡散層を有する反射防止フィルムであって、前記光拡散層が、粒子分散剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、亜リン酸エステル、亜リン酸の部分エステルの少なくとも一種類と、透光性樹脂と透光性粒子とを含有し、前記反射防止フィルムの内部ヘイズ値が15〜60%かつ表面ヘイズ値が1%以下であり、ゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角3°の散乱光強度に対する出射角30°の散乱光強度が0.03%以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
  3. 前記表面ヘイズ値が0.4%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記透光性粒子の平均粒径が7〜16μm、前記透光性粒子の前記光拡散層中の全固形分に対する含有量が10〜30質量%であり、前記透光性粒子と前記透光性樹脂の屈折率差の絶対値が0.005〜0.05であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  5. 前記光拡散層の厚みが9〜30μmであり、膜厚を平均粒径で割った値が1.15〜4.50であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  6. 前記光拡散層が、少なくとも屈折率が1.50±0.02の架橋(ポリ(メタ)アクリレート)粒子と(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした樹脂からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  7. 前記光拡散層の上に、膜厚1〜10μmの表面調整層を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  8. 前記表面調整層が帯電防止性を有することを特徴とする請求項に記載の反射防止フィルム。
  9. 前記光拡散層より屈折率が低い反射防止層をさらに有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  10. 偏光膜と該偏光膜の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムと有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、請求項1〜のいずれか1項に記載の反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載の反射防止フィルムまたは請求項1に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
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