JP2015197459A - 位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】防眩性及び優れた光学性能を有しながら、光学欠点及び光軸ずれが抑制された位相差フィルム及びその製造方法、並びに当該位相差フィルムを備え、外光の映り込み及び光漏れが抑制された偏光板、及び当該位相差フィルムを備え、外光の映り込みが抑制され、表示品質に優れた画像表示装置を提供する。【解決手段】アクリル樹脂基材11の一面側に、防眩層12を有し、前記アクリル樹脂基材11の前記防眩層12とは反対側の面に、前記アクリル樹脂基材11側から、光配向層13と位相差層14とをこの順に有する位相差フィルム10であって、前記防眩層12が、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、偏光板及び画像表示装置に関するものである。
従来より液晶表示装置においては、視角依存性の問題を改善するために、様々な技術が開発されており、その1つとして、複屈折性を示す位相差層を有する位相差フィルムが液晶セルと偏光板との間に配置された液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献1〜2)。
上記位相差層を有する位相差フィルムとしては、樹脂基材上に、液晶性化合物を一定方向に配列させる配向規制力を有する配向層と、当該配向層上に形成され、一定方向に配列された液晶性化合物を含有する位相差層とを有するものが用いられている。
また、フラットパネルディスプレイとしては、従来、2次元表示のものが主流であったが、近年においては3次元表示可能なフラットパネルディスプレイが注目を集め始めている。そして、今後のフラットパネルディスプレイにおいては3次元表示可能であることが、その性能として当然に求められる傾向にあり、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイの検討が幅広い分野において進められている。
フラットパネルディスプレイにおいて3次元表示をするには、通常、視聴者に対して何らかの方式で右目用の映像と、左目用の映像とを別個に表示することが必要とされる。右目用の映像と左目用の映像とを別個に表示する方法としては、例えば、パッシブ方式というものが知られている。このようなパッシブ方式の3次元表示方式について図を参照しながら説明する。図4はパッシブ方式で3次元映像を表示可能な液晶表示装置の一例を示す概略図である。図4に示すように、この方式では、まず、フラットパネルディスプレイを構成する画素を、右目用映像表示画素と左目用映像表示画素の2種類の画素に分類し、ディスプレイ表示領域に右目用の画素と左目用の画素が隣接し合うようなパターン状に配列する。一方のグループの画素では右目用の映像を表示させ、他方のグループの画素では左目用の映像を表示させる。また、直線偏光板と当該画素の配列パターンに対応した、パターン状の位相差層が形成されたパターン位相差フィルム(以下、単にパターン位相差フィルムということがある。)とを用い、右目用の映像と、左目用の映像とをそれぞれ円偏光に変換する。さらに、視聴者には右目用レンズと左目用レンズを採用した円偏光メガネを装着させ、右目用の映像が右目用レンズのみを通過し、かつ左目用の映像が左目用のレンズのみを通過するようにする。このようにして右目用の映像が右目のみに届き、左目用の映像が左目のみに届くようにすることによって3次元表示が可能となる。
このようなパッシブ方式では、上記パターン位相差フィルムと、対応する円偏光メガネとを用いることにより容易に3次元表示が可能なものにできるという利点がある。
上記パターン位相差フィルムとして、例えば、特許文献3には、ガラス基板上に配向規制力がパターン状に制御された光配向層と、当該光配向層上に形成され、液晶性化合物の配列が上記光配向層のパターンに対応するようにパターニングされた位相差層(液晶層)とを有するパターン位相差板が開示されている。
このように、上記位相差フィルム及び上記パターン位相差フィルムは、いずれも液晶化合物が配向層によって一定方向に配列され、位相差フィルム全体で、或いは各パターン内で、光軸が一定であることが求められる。
液晶化合物を含有する位相差層は、通常、配向層上に位相差層形成用組成物を塗工し、少なくとも乾燥工程を経て形成される。位相差層形成用組成物やその塗膜は、位相差フィルムの製造工程で帯電することがあり、当該帯電した位相差層形成用組成物やその塗膜は、放電時に光軸がずれる場合がある(特許文献4)。
特開平3−67219号公報 特開平4−322223号公報 特開2005−49865号公報 特開2013−210329号公報
位相差フィルムの光学性能をより向上するために、位相差フィルムに用いる樹脂基材として、従来一般的に用いられているTAC(トリアセチルセルロース)基材に代えて、より膜厚方向の位相差が小さいアクリル樹脂基材を用いて、光学性能を向上させることが検討されている。
一方、画像表示装置における外光の映り込みによる視認性の悪化を低減することを目的として、画像表示装置に用いられる位相差フィルムの樹脂基材に防眩層を設ける試みが行われている。
しかしながら、本発明者らは、アクリル樹脂基材を用いて得られた位相差フィルムは、TAC基材を用いて得られた位相差フィルムに比べて帯電し易く、さらに、一面側に防眩層を有するアクリル樹脂基材を用いて得られた位相差フィルムは、防眩層を有しないアクリル樹脂基材を用いて得られた位相差フィルムに比べてより帯電し易いことを知見した。
また、本発明者らは、防眩層を備えたアクリル樹脂基材は、帯電し易いことによって、位相差フィルムの製造ライン中に滞留している環境異物や粉塵等の異物を寄せ付けやすく、厚みの薄い光配向方式では特に、配向層形成用組成物を塗工する際に異物が塗工液を弾いてしまうことが多く、その上に塗工される位相差層形成用組成物も弾いてしまうため、得られる位相差フィルムに光学欠点が発生しやすいことを知見した。光学欠点とは、フィルム中を通過した光やフィルム表面を反射した光の光路が部分的に乱れ、該欠点部分が周囲と比較し明るくなったり暗くなったりする欠陥のことであり、ディスプレイ用途としては重大な欠点となる。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、防眩性及び優れた光学性能を有しながら、光学欠点及び光軸ずれが抑制された位相差フィルム及びその製造方法、並びに当該位相差フィルムを備え、外光の映り込み及び光漏れが抑制された偏光板、及び当該位相差フィルムを備え、外光の映り込みが抑制され、表示品質に優れた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る位相差フィルムは、アクリル樹脂基材の一面側に、防眩層を有し、前記アクリル樹脂基材の前記防眩層とは反対側の面に、前記アクリル樹脂基材側から、光配向層と位相差層とをこの順に有する位相差フィルムであって、前記防眩層が、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有することを特徴とする。
本発明に係る位相差フィルムの製造方法は、アクリル樹脂基材を準備する工程と、
前記アクリル樹脂基材の一面側に、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有する防眩層を形成する防眩層形成工程と、
前記アクリル樹脂基材の防眩層とは反対側の面に光配向層を形成する光配向層形成工程と、
前記光配向層上に位相差層を形成する位相差層形成工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に、前記本発明に係る位相差フィルムを備えることを特徴とする。
本発明に係る画像表示装置は、前記本発明に係る位相差フィルムを備えることを特徴とする。
本発明によれば、防眩性及び優れた光学性能を有しながら、光学欠点及び光軸ずれが抑制された位相差フィルム及びその製造方法、並びに当該位相差フィルムを備え、外光の映り込み及び光漏れが抑制された偏光板、及び当該位相差フィルムを備え、外光の映り込みが抑制され、表示品質に優れた画像表示装置を提供することができる。
本発明に係る位相差フィルムの一例を示す模式断面図である。 本発明に係る偏光板の一例を示す模式断面図である。 本発明に係る偏光板の別の一例を示す模式断面図である。 パッシブ方式で3次元映像を表示可能な液晶表示装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係る位相差フィルム及びその製造方法、偏光板、並びに画像表示装置について順に説明する。
なお、本発明において、光軸とは、遅相軸を意味する。
本発明において、配向規制力とは、位相差層中の液晶性化合物を特定方向に配列させる相互作用を意味する。
本発明において、位相差フィルムとは、特に断りがない限りパターン位相差フィルムをも含むものである。
本発明において、硬化物とは固化したもののことをいう。
本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
本発明において、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
[位相差フィルム]
本発明に係る位相差フィルムは、アクリル樹脂基材の一面側に、防眩層を有し、前記アクリル樹脂基材の前記防眩層とは反対側の面に、前記アクリル樹脂基材側から、光配向層と位相差層とをこの順に有する位相差フィルムであって、前記防眩層が、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有することを特徴とする。
本発明者らは、位相差フィルムの樹脂基材としてアクリル樹脂基材を用い、且つ当該アクリル樹脂機材の一面側に防眩層を設けた場合に、防眩層の表面抵抗を1012Ω/cm以下とすることにより、アクリル樹脂基材のもう一方の面に光配向層を設けても光学欠点や光軸ずれの発生が有効に抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明に係る位相差フィルムは、アクリル樹脂基材が用いられ、防眩層を有しながらも、防眩層が1012Ω/cm以下の表面抵抗を有することにより、位相差フィルムの製造ライン中に滞留している環境異物や粉塵等の異物を寄せ付け難い。そのため、本発明に係る位相差フィルムは、防眩性及び優れた光学性能を有しながら、光学欠点及び光軸ずれの発生が抑制される。また、本発明に係る位相差フィルムは、防眩層付き位相差フィルムであって、防眩フィルムを別途必要とせず更に帯電防止層を設けずに帯電量を低減していることから、薄膜化にも対応可能である。
本発明に係る位相差フィルムを、図を参照して説明する。図1は、本発明に係る位相差フィルムの一例を示す模式断面図である。図1に示す位相差フィルム10は、アクリル樹脂基材11の一面側に、防眩層12を有し、前記アクリル樹脂基材11の前記防眩層12とは反対側の面に、前記アクリル樹脂基材11側から、光配向層13と位相差層14とをこの順に有する。
以下、本発明に係る位相差フィルムの構成について説明する。
<アクリル樹脂基材>
本発明に用いられるアクリル樹脂基材としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸又はその誘導体等の単量体を重合して得られるアクリル樹脂から形成される基材が挙げられる。中でも、本発明に用いられるアクリル樹脂基材に用いられる樹脂としては、透明性及び耐候性の点で、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル単位を主構成成分とする共重合体、及びスチレン−メタクリル酸メチル共重合体が好ましい。
前記アクリル樹脂基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。前記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、前記アクリル樹脂基材はレターデーションが低いものであることが好ましい。より具体的には、アクリル樹脂基材の面内レターデーション値(Re値)が、0nm〜10nmの範囲内であることが好ましく、0nm〜5nmの範囲内であることがより好ましく、0nm〜3nmの範囲内であることがさらに好ましい。
前記アクリル樹脂基材の厚みは、位相差フィルムの用途等に応じて、当該位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できる範囲内で適宜設定すればよい。25μm〜125μmの範囲内が好ましく、中でも40μm〜100μmの範囲内がより好ましく、40μm〜60μmの範囲内であることが更により好ましい。前記下限値以上であれば、位相差フィルムの自己支持性に優れている。また前記上限値以下であれば、裁断等の加工が容易である。
<防眩層>
本発明に係る位相差フィルムは、アクリル樹脂基材の一面側に、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有する防眩層を有する。
なお、本発明において表面抵抗値は、22℃、相対湿度40%の条件で、印加電圧1000Vで測定された値をいい、測定装置としては、例えば、三菱化学社製の抵抗率計 ハイレスタUPを用いることができる。
前記防眩層は、光の入射面を粗面化することにより、外来光を散乱もしくは拡散させる層であり、少なくとも透明性樹脂を含む防眩層用組成物を乾燥又は硬化させてなる。
前記防眩層の光の入射面を粗面化する方法は、特に限定はされず、従来公知の方法を適宜用いることができる。例えば、(i)サンドブラスト法やエンボス法等により基体表面に微細凹凸を形成して粗面化する方法、(ii)基体表面に電離放射線若しくは熱の何れか又はこれらの組み合わせにより硬化する透明樹脂中にフィラーを含有させることにより、当該フィラーに起因する微細凹凸を形成して粗面化する方法、(iii)賦型フィルムを用い、賦型フィルムの形状を転写によって基体の表面形状を形成する方法、及び(iv)基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法等を挙げることができる。
前記防眩層用組成物に含まれる透明性樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。防眩層の耐擦傷性をより向上させるためには、前記透明性樹脂として、熱硬化性樹脂及び/又は電離放射線硬化性樹脂等を使用することが好ましい。また、前記防眩層の表面形状を賦型フィルムを用いて形成する場合は、賦型性の観点から、電離放射線硬化性樹脂を使用することが特に好ましい。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
前記電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線により架橋重合反応等を起こし固体化するポリマー、プレポリマー、或いはモノマーが用いられる。具体的には例えば、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリロイル基をもつ化合物からなるラジカル重合系、エポキシ、環状エーテル、環状アセタール、ラクトン、ビニルモノマー、環状シロキサンとアリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩等との組合せからなるカチオン重合系、チオール基を有する化合物、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコールとポリエン化合物からなるポリエン−チオール系等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等が挙げられる。
前記透明性樹脂の含有量は、防眩層の表面抵抗を1012Ω/cm以下とすることができれば特に限定はされず、適宜調整して用いられれば良い。通常、前記防眩層用組成物に含まれる全固形分に対して、15質量%以上であることが、実使用の点から好ましい。
前記防眩層用組成物は、防眩層の表面抵抗を1012Ω/cm以下とすることが容易な点から、帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤としては、従来公知のものを使用することができ、特に限定はされないが、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、又は金属キレート部を有し、且つ、電離放射線により重合可能なモノマー又はオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な官能基を有し、且つ、カップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。また、導電性ポリマー等を用いてもよい。
本発明の防眩層に用いられる帯電防止剤としては、中でも、光学特性の点から導電性ポリマーが好ましい。導電性ポリマーの具体例としては、脂肪族共役系のポリアセチレン、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)が挙げられ、これら以外に、分子中に複数の共役鎖を持つ共役系である複鎖型共役系、前述の共役高分子鎖を飽和高分子にグラフトまたはブロック共重した高分子である導電性複合体等を挙げられる。
前記帯電防止剤の含有量は、防眩層の表面抵抗を1012Ω/cm以下にすることができれば特に限定ず、適宜調整して用いられれば良い。通常、前記防眩層用組成物に含まれる全固形分に対して、15質量%以上であることが、実使用の点から好ましい。
前記防眩層用組成物は、さらにフィラーを含有しても良い。前記フィラーとしては、各種微粒子が好適に用いられ、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、ガラスバルーン、シラスバルーン等の無機系微粒子、並びに、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等のプラスチックビーズ等の有機系微粒子が挙げられる。
また、特に限定はされないが、前記防眩層の粗面化を前記(ii)の方法により行う場合は、前記フィラーは、平均粒径が0.05〜5μmの範囲内ものであることが、防眩性に優れる点から好ましい。なお、前記平均粒径は、溶液中の粒子を動的光散乱方法により測定し、粒径分布を体積累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。当該平均粒径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計又はNanotrac粒度分析計を用いて測定することができる。
前記防眩層が前記フィラーを含有する場合、前記フィラーの含有量は、その目的に応じて適宜調整して用いられれば良い。フィラーを防眩層の粗面化のために用いる場合には、通常、前記防眩層用組成物に含まれる全固形分に対して、15質量%以上であることが、実使用の点から好ましい。
前記防眩層用組成物は、必要に応じて、さらに各種添加剤を含有するものであってもよい。前記添加剤としては、例えば、前記熱硬化性樹脂に必要に応じて添加される架橋剤、重合開始剤、重合促進剤及び粘度調整剤等、並びに前記電離放射線硬化性樹脂に必要に応じて添加されるラジカル発生剤や脱酸素剤等の反応促進剤及び光反応開始剤等が挙げられる。紫外線による硬化の場合の光反応開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等が挙げられる。光反応開始剤としては、これらのうち1種を単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。また、光反応開始剤の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
前記防眩層用組成物が含有することができる添加剤としては、その他にも減粘剤、レベリング剤、着色剤、光輝性顔料、ワックス、シリコーン、並びにフッ素系化合物、シリコンアクリレート及びフッ化アクリレート等の反応性化合物等を挙げることもできる。
また、前記防眩層用組成物は、塗布性を付与することを目的として、組成物中の各成分を溶解乃至分散できる溶媒を含有してもよい。
前記防眩層の厚みは、防眩層の表面抵抗を1012Ω/cm以下にするために適宜調整することができ、特に限定はされないが、耐擦傷性に優れる点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、前記防眩層の厚みは、特に限定はされないが、光学特性の点から、10μm以下であることが好ましい。
前記防眩層の表面形状は、特に限定はされないが、防眩性の観点から、凹凸面の凹凸の平均間隔(Sm)が、5〜200μmであることが好ましく、30〜180μmであることがより好ましい。
なお、前記Smは、例えば、本発明に係る位相差フィルムの縦断面(深さ方向の切断面)を、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡等により観察することで表される防眩層表面の凹凸プロファイルから、下記条件において測定及び評価することができる。なお、前記Sm値は、評価長さごとにプロファイルを測定し、それに基づいて算出される。
基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):4μm
評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):20μm
また、前記防眩層の表面形状は、特に限定はされないが、防眩性の観点から、凹凸面の中心線平均粗さ(Ra)が0.05〜0.4μmであることが好ましく、0.1〜0.3μmであることがより好ましい。
前記Raは、JISB−0601に準じ、例えば、(株)小坂研究所製のサーフコーダ等の表面粗さ測定機を用いて測定することができる。
<光配向層>
光配向層は、前記アクリル樹脂基材の前記防眩層とは反対側の面に設けられ、後述する位相差層に含まれる液晶性化合物を一定方向に配列させるために、光照射により配向能を生じさせた層である。本発明において光配向層は、光配向層形成用組成物又はその硬化物からなる。本発明に用いられる防眩層を備えたアクリル樹脂基材は、上述のように位相差フィルムの製造ライン中に滞留している環境異物や粉塵等の異物を寄せ付け難くなっているため、通常薄膜で設けられる光配向層形成時にも、異物の影響を受けることなく均一な光配向層を形成することができ、光学欠点を抑制できる。
本発明に用いられる光配向層形成用組成物は、偏光を照射することにより配向規制力を発現する光配向性材料を含有する。光配向性材料としては、光二量化型材料であっても、光異性化型材料であってもよい。具体的には、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、または、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等が挙げられ、中でも、シンナメート、または、クマリンの少なくとも一方を有するポリマー、シンナメートおよびクマリンを有するポリマー、並びにこれらの誘導体が好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例として、例えば、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、および、WO2010/150748号公報に記載された化合物を挙げることができる。
前記光配向性組成物は、必要に応じて光配向性材料以外の化合物を含むものであっても良い。このような化合物としては、光配向層の配向規制力を損なわないものであればよく、例えば、重合性基を有するモノマー又はオリゴマー(以下単に、重合性モノマー、重合性オリゴマーという場合がある。)が好適に用いられる。
前記重合性モノマー又は重合性オリゴマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート基を1つ有する単官能モノマー(例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン)及び(メタ)アクリレート基を2つ以上有する多官能モノマー(例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ポリ(メタ)アクリレート(例えば、イソシアヌル酸EOジアクリレート等))や、ビスフェノールフルオレン誘導体(例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジエポキシ(メタ)アクリレート)等が挙げられ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記光配向層形成用組成物は、通常、溶媒を含有する。前記溶媒としては、光配向層形成用組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散できる溶媒の中から適宜選択して用いることができる。光配向層形成用組成物に用いられる溶媒の具体例としては、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶媒等が挙げられるが、これらに限られるものではない。なお溶媒は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶媒の混合溶媒としてもよい。
光配向層形成用組成物は、必要に応じて、重合開始剤、重合禁止剤、酸素に対する変化を抑制するための酸化防止剤、光に対する変化を抑制するための光安定化剤、紫外性を吸収する紫外線吸収剤、粘度を調整するための粘度調節剤、屈折率を調整するための屈折率調整剤、賦型性を向上させるためのフッ素系またはシリコン系潤滑剤等を含むものであっても良い。これらは従来公知の材料を適宜選択して用いればよい。
光配向層の厚さは、後述する位相差層における液晶性化合物を一定方向に配列できればよく、適宜設定すればよい。光配向層の厚さは、通常、1nm〜1000nmの範囲内であり、60nm〜300nmの範囲内が好ましい。
<位相差層>
本発明において位相差層は、前記光配向層が有する配向規制力により、液晶性化合物が規則的に配列し、位相差性が付与された層である。本発明において位相差層は、通常、位相差層形成用組成物又はその硬化物からなる。本発明に用いられる防眩層を備えたアクリル樹脂基材は、上述のように位相差フィルムの製造ライン中に、位相差層形成時にも帯電及び放電し難くなっているため、光軸ずれが抑制される。
位相差層形成用組成物は、通常、液晶性化合物を含有するものであり、通常、更に溶媒を含有する。また、液晶性化合物の配向を阻害しない範囲で、更に他の成分を含むものであってもよい。
液晶性化合物は、一般に、屈折率異方性が大きいため、位相差フィルムに所望の位相差性を付与しやすい。
液晶性化合物としては、例えば、ネマチック液晶性化合物、コレステリック液晶性化合物、カイラルネマチック液晶性化合物、スメクチック液晶性化合物、ディスコチック液晶性化合物を挙げることができる。また、液晶分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられる。重合性官能基を有するものであれば、光の照射によって光重合開始剤から発生したラジカル、または電子線等の作用により、液晶性化合物を架橋することができるため位相差フィルムの安定性が向上する。
本発明においては、位相差ムラや光軸ずれのない位相差層を形成しやすい点から、相転移温度が40〜115℃の液晶性化合物を用いることが好ましく、60〜90℃の液晶性化合物を用いることがより好ましい。なお本発明において液晶性化合物の相転移温度とは、液晶化合物が光学的異方性有するいわゆる液晶相から光学的異方性を有しない等方相へ変化する温度をいう。
本発明に用いられる液晶性化合物の具体例としては、下記式(1)〜(17)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2015197459
なお、本発明において上記液晶性化合物は、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
位相差層形成用組成物は、通常、溶媒を含有する。位相差層形成用組成物に用いられる溶媒は、位相差層形成組成物に用いられる各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散できる溶媒の中から適宜選択して用いることができる。具体的には、前記光配向層形成用組成物において用いられる溶媒と同様のものが挙げられる。
また、位相差層形成用組成物は、必要に応じて、更に他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、シランカップリング剤等を挙げることができる。
位相差層形成用組成物中の前記液晶性化合物の含有量は、塗布性を損なわない範囲で適宜調整すればよい。中でも、上記位相差層形成用組成物全体に対する液晶性化合物の含有割合が、5質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、10質量%〜30質量%の範囲内であることがより好ましい。
位相差層の厚さは、所望の面内リタデーション値が得られるように、前記液晶性化合物の種類等に応じて適宜決定すればよい。中でも、0.5μm〜4μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜3μmの範囲内であることがより好ましく、1μm〜2μmの範囲内であることがさらに好ましい。
<その他の層>
本発明に係る位相差フィルムは、前述のアクリル樹脂基材、防眩層、光配向層及び位相差層の他に、必要に応じて更にその他の層を有していても良い。その他の層としては、例えば、ハードコート層及び反射防止層等の機能層、プライマー層(接着層)、保護層等が挙げられる。前記機能層は、例えば、前記アクリル樹脂基材の前記防眩層を有する側の面に設けることができる。前記プライマー層(接着層)及び前記保護層は、例えば、前記アクリル樹脂基材と前記光配向層との間に設けても良い。
前記機能層の厚みは、特に限定はされないが、位相差ムラや光軸ずれを抑制する点から、前記防眩層の厚みと合わせた合計厚みの平均が、1.0〜100.0μmであることが好ましく、3.0〜10.0μmであることがより好ましい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、位相差フィルムの表面を高硬度化して保護する機能を有する層である。ハードコート層は従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。ハードコート層としては、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層であることが好ましい。ハードコート層としても適用可能な硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
ハードコート層は、上記硬化性樹脂を含むハードコート層用樹脂組成物を、アクリル樹脂基材に塗工し、硬化することにより得られる。
(反射防止層)
反射防止層は、外来光の鏡面反射による背景の映り込みを防止する層である。本発明において反射防止層は、従来公知の反射防止層の中から適宜選択して用いることができる。反射防止層としては、例えば、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層し、最表面が低屈折率層となる様に多層化(マルチコート)した樹脂層や、微細凹凸形状等のナノ構造が形成された反射防止層等が挙げられる。
上記高屈折率層としては、チタン、タンタル、ジルコニウム、インジウム等の金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層形成用樹脂組成物及びその硬化物等が挙げられる。また、上記低屈折率層としては、フッ素系の樹脂や、中空シリカ微粒子等を含有する低屈折率層形成用樹脂組成物及びその硬化物等が挙げられる。
これらの反射防止層を用いることにより、層界面での反射光を干渉によって相殺することで、表面の反射を抑え、良好な反射防止効果を得る反射防止層等とすることができる。
<位相差フィルムの製造方法>
本発明に係る位相差フィルムの製造方法は、アクリル樹脂基材を準備する工程と、
前記アクリル樹脂基材の一面側に、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有する防眩層を形成する防眩層形成工程と、
前記アクリル樹脂基材の防眩層とは反対側の面に光配向層を形成する光配向層形成工程と、
前記光配向層上に位相差層を形成する位相差層形成工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る位相差フィルムの製造方法によれば、防眩層形成工程において、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有する防眩層を形成することにより、光配向層及び位相差層を形成する際に帯電量を低減することができる。そのため、防眩性及び優れた光学性能を有しながら、光学欠点及び光軸ずれが抑制された位相差フィルムを得ることができる。
本発明に係る位相差フィルムの製造方法においては、まず、アクリル樹脂基材を準備する。アクリル樹脂基材としては、前述した本発明に係る位相差フィルムに用いることができるアクリル樹脂基材を用いることができ、市販品を用いてもよい。
本発明における前記防眩層形成工程は、前記アクリル樹脂基材の一面側に、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有する防眩層を形成することができる方法であれば特に限定はされず、適宜、公知の防眩層の形成方法を用いて形成することができる。前記防眩層形成工程としては、例えば、防眩層用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて、当該塗膜を乾燥及び/又は硬化し、並びに表面に微細凹凸を形成するための粗面化処理を行う方法が挙げられる。
前記防眩層用組成物としては、前述した本発明に係る位相差フィルムに用いられるものと同様のものが挙げられる。
前記防眩層用組成物を塗工する方法としては、アクリル樹脂基材上に防眩層用組成物を均一に塗布できる方法であれば特に限定されず、従来公知の塗工機構の中から適宜選択すればよい。例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などに用いられる各種塗工機構が挙げられる。
前記防眩層用組成物の塗工時の粘度は、特に限定はされないが、1000cps以下とすることが、塗布性の観点から好ましい。
防眩層形成工程は、防眩層用組成物からなる塗膜中の溶媒を除去するための乾燥工程を有していてもよい。塗膜の乾燥工程は、加熱乾燥機構、減圧乾燥機構、ギャップ乾燥機構等、公知の乾燥機構を用いて乾燥すればよく、それぞれの乾燥機構に合わせ、乾燥温度、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶媒雰囲気濃度等を適宜調整すればよい。
また、前記乾燥工程における乾燥条件は、防眩層の表面抵抗を1012Ω/cm以下とするために適宜設定することができ、特に限定はされないが、例えば、60〜90℃で0.5〜2分間乾燥させることが好ましい。
防眩層形成工程は防眩層用組成物を硬化させるための硬化工程を有していてもよい。硬化工程における硬化方法は、防眩層用組成物に含まれる樹脂の硬化方法に応じて適宜選択される。例えば、防眩層用組成物が熱硬化性樹脂を含む場合は加熱処理を行い、電離放射線硬化性樹脂を含む場合は電離放射線照射を行う。
電離放射線照射装置としては、例えば紫外線を照射する場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源を用いることができる。また、電子線を照射する場合には、コックロフトワルト型、バンデラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器等を用いることができる。電子線を照射する場合は、特に限定はされないが、通常100〜1000KeV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を0.1〜30Mrad程度の照射量で照射する。
前記防眩層の表面の粗面化処理としては、例えば、本発明に係る位相差フィルムの防眩層を粗面化する方法として前述した、前記(i)〜(iv)の方法等を挙げることができる。具体的には例えば、特開2012−103701号公報、特開平9−193333号公報、国際公開第95/31737号パンフレットに記載される方法を適宜用いることができる。
本発明においては、中でも、前記(ii)の方法による粗面化処理が光学特性の点から好ましい。
(光配向層形成工程)
前記光配向層形成工程は、前記アクリル樹脂基材の防眩層とは反対側の面に光配向層を形成する工程であり、必要に応じて、光配向層形成用組成物の塗膜を乾燥する工程や、光配向層形成用組成物を硬化する工程、更には光配向層形成用組成物を賦型する工程等、その他の工程を有していてもよい。
光配向層形成工程における、光配向層形成用組成物の塗工方法及び塗膜の乾燥方法については、上記防眩層形成工程と同様の方法とすることができる。
前記光配向層形成工程は、光配向性組成物の配向規制力を発現するために、通常、偏光を露光する偏光露光工程を有する。当該偏光露光工程は、通常、乾燥工程後に行われる。また、パターン化された光配向層を形成する場合には、例えば、光配向性材料を含有する光配向層形成用組成物の塗膜に、第一の偏光紫外線を所望のパターンを有するマスクを介して照射し、次いで、第一の偏光紫外線の偏光軸と異なる偏光軸を有する第二の偏光紫外線をマスクを介さずに照射して、パターン状に配向規制力を付与した光配向層を形成する偏光露光工程としてもよい。このような偏光露光工程として、例えば、特開2012−14064号公報等に記載の方法を用いることができる。偏光露光工程に用いられる偏光露光装置としては、従来公知のものを適宜選択して用いればよく、パターン化された光配向層を形成する場合には、例えば、上記特開2012−14064号に記載の装置を用いることができる。
上記偏光露光工程は、上記搬送機構と組み合わせて用いることが好ましい。
(位相差層形成工程)
位相差層形成工程は、前記光配向層形成工程により形成された光配向層上に上述した位相差層形成用組成物を塗工して、位相差層を連続的に形成する工程である。
位相差層形成用組成物を塗布する方法は、所望の厚みの位相差層を精度良く塗布できる方法であればよく、前記光配向層形成用樹脂組成物を塗布する方法と同様の方法とすることができる。
次いで、位相差層形成用組成物中の液晶性化合物を特定方向に配列させながら溶媒を除去するために、通常、乾燥工程を有する。
乾燥工程は、位相差層形成用塗膜中の液晶性化合物を配向させる点から、加熱乾燥であることが好ましい。加熱温度は、用いる液晶性化合物によっても異なるが、液晶性化合物の相転移温度より0〜10℃高いことが好ましい。
光重合性官能基を有する液晶性化合物を含有する位相差層形成用組成物を用いる場合には、当該位相差層形成用塗膜に紫外線等を照射する露光工程を有していてもよい。当該露光工程は、通常、乾燥工程後に行われる。当該露光工程により、液晶性化合物を架橋することができるため位相差フィルムの安定性が向上する。上記露光工程に用いられる露光装置としては従来公知の露光装置を適宜選択して用いればよく、例えば、紫外線照射装置等が挙げられる。
[偏光板]
本発明に係る偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に、前記本発明に係る位相差フィルムを備えることを特徴とする。
本発明の偏光板について、図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、本発明の偏光フィルム20の一例を示す模式断面図である。図2及び図3の例に示されるように、本発明の偏光フィルム20は、偏光子21の少なくとも一面側に、前記本発明の位相差フィルム10を有している。図2の例に示されるように、位相差フィルム10の防眩層12側表面と、偏光子21とが接するものであってもよく、図3の例に示されるように位相差フィルム10の位相差層14側表面と偏光子21とが接するものであってもよい。また、図示はしないが、偏光子21と位相差フィルム10との間に粘着層等を有していてもよい。
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一面側に、防眩性を有し、且つ光学欠点及び光軸ずれが抑制された前記本発明に係る位相差フィルムを光学補償フィルムとして有するため、外光の映り込み及び光漏れが抑制された偏光板とすることができる。
本発明において偏光子は、従来公知の偏光子の中から適宜選択して用いることができる。例えば、沃素又は染料により染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を用いることができる。
[画像表示装置]
本発明に係る画像表示装置は、前記本発明に係る位相差フィルムを備えることを特徴とする。
本発明の画像表示装置としては、(1)従来公知の液晶表示装置において用いられる偏光板に代えて、前記本発明に係る位相差フィルムを備える偏光板を用いたもの、(2)従来公知のパッシブ方式の3次元表示方式の画像表示において用いられるパターン位相差フィルムに代えて、本発明に係る位相差フィルムをパターン位相差フィルムとして用いたもの、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
上記(1)の画像表示装置は、防眩性を有し、且つ光学欠点及び光軸ずれが抑制された前記本発明に係る位相差フィルムを備えた偏光板を用いることにより、外光の映り込みが抑制され、且つ光漏れを抑制し、表示品質に優れた画像表示装置とすることができる。また、上記(2)の画像表示装置は、光軸ずれのないパターン位相差フィルムを用いることにより、右目用の映像が左目用のレンズを透過することや、左目用の映像が右目用のレンズを透過すること(いわゆるクロストーク)を抑制することができ、表示品質に優れた画像表示装置とすることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(実施例1)
アクリル樹脂基材の一面に、防眩層の表面抵抗値が表1に示す値となるように、フィラー(有機微粒子、平均粒径4μm)と、導電性ポリマー(ポリチオフェンインキ)と、透明性樹脂(ウレタンアクリレート及びアクリルエステル)とを含有させ、塗布性を付与するために溶剤(メチルエチルケトン)を含有させた防眩層用組成物Aを、乾燥後の平均厚みが7μmとなるように、グラビア印刷方式で塗布し、70℃で0.5分間乾燥させて、防眩層を形成した。
次に、アクリル樹脂基材の防眩層とは反対側の面に、光二量化反応型の光配向材料を含有する光配向層用組成物を塗布し、100℃で乾燥させて乾燥後の膜厚が150nmの塗膜とした。当該塗膜に、偏光紫外線を照射して光配向層を形成した。
次いで、光配向層上に、重合性液晶化合物とメチルイソブチルケトンを含む位相差層用組成物を塗布し、紫外線を照射することにより硬化させて、膜厚が1μmの位相差層を形成することにより、実施例1の位相差フィルムを得た。
(実施例2)
実施例1において、防眩層用組成物Aに代えて、防眩層の表面抵抗値が表1に示す値となるように、防眩層用組成物A中の導電性ポリマーを変更した防眩層用組成物Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の位相差フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1において、防眩層用組成物Aに代えて、防眩層の表面抵抗値が表1に示す値となるように、防眩層用組成物A中の導電性ポリマーを変更した防眩層用組成物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の位相差フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1において、防眩層用組成物Aに代えて、防眩層用組成物A中の導電性ポリマーを含まない組成に変更した比較防眩層用組成物Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の位相差フィルムを得た。
(評価)
<防眩層の表面抵抗の測定>
実施例1〜3及び比較例1で得られた各位相差フィルムの防眩層側表面について、ハイレスタUP(三菱化学社製)を用いて、22℃、相対湿度が40%の条件で、印加電圧1000Vにて表面抵抗を測定した。測定結果を表1に示す。
<光学欠点の検出>
実施例1〜3及び比較例1で得られた各位相差フィルム表面の1300mm×500mの範囲における光学欠点を、外観検査装置を用いて検出し、下記評価基準に基づいて評価した。前記外観検査装置は、走行フィルム面に対して、距離100mmに設置した三波調蛍光灯により防眩層側から照射し、その正反射光を検出するCCDカメラを、フィルムからの距離500mmに設置することにより作製した。なお、光学欠点の大きさを計測し、100μm以上の欠点を、光学欠点として検出した。評価結果を表1に示す。
[評価基準]
A:光学欠点の数が0.5個/m以下
B:光学欠点の数が0.5個/m超過1.0個/m未満
C:光学欠点の数が1.0個/m以上
<光軸ずれの検出>
2枚の偏光板をクロスニコルに配置し、実施例1〜3及び比較例1で得られた位相差フィルムをそれぞれ、前記2枚の偏光板の間に入れて回転させ、黒輝度の濃淡ムラを目視で観察した。黒輝度に濃淡ムラがなければ、光軸ずれがないものと評価される。評価結果を表1に示す。
[評価基準]
A:黒輝度の濃淡ムラを観察することができず、光軸ずれがなかった。
B:黒輝度の濃淡ムラを観察することができ、光軸ずれがあった。
<防眩性評価>
実施例1〜3及び比較例1で得られた各位相差フィルムの基材側の面に、黒のアクリル板を、粘着剤ではり、水平な机にサンプルをおいて、机より2.5m上方にある白色蛍光灯管(32ワット×2本)のエッジ部分の映りこみを目視観察し、評価した。
[評価基準]
A:エッジが映り込まず、良好な防眩性を有した。
B:エッジが映り込み、防眩性に劣った。
Figure 2015197459
(結果のまとめ)
実施例1〜3で得られた位相差フィルムは、防眩層が1012Ω/cm以下の表面抵抗を有するものであったため、光学欠点及び光軸ずれが抑制されたものであり、防眩性にも優れていた。そのため、実施例1〜3で得られた位相差フィルムは、外光の映り込み及び光漏れが抑制された偏光板、及び外光の映り込みが抑制され、表示品質に優れた画像表示装置の作製に用いることができるものであった。
一方、比較例1で得られた位相差フィルムは、防眩層の表面抵抗値が1012Ω/cmよりも大きかったため、実施例1〜3で得られた位相差フィルムよりも多くの光学欠点が発生し、光軸ずれが生じた。
10 位相差フィルム
11 アクリル樹脂基材
12 防眩層
13 光配向層
14 位相差層
20 偏光板
21 偏光子

Claims (4)

  1. アクリル樹脂基材の一面側に、防眩層を有し、前記アクリル樹脂基材の前記防眩層とは反対側の面に、前記アクリル樹脂基材側から、光配向層と位相差層とをこの順に有する位相差フィルムであって、
    前記防眩層が、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有することを特徴とする、位相差フィルム。
  2. アクリル樹脂基材を準備する工程と、
    前記アクリル樹脂基材の一面側に、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有する防眩層を形成する防眩層形成工程と、
    前記アクリル樹脂基材の防眩層とは反対側の面に光配向層を形成する光配向層形成工程と、
    前記光配向層上に位相差層を形成する位相差層形成工程とを有する、位相差フィルムの製造方法。
  3. 偏光子の少なくとも一方の面に、請求項1に記載の位相差フィルムを備える、偏光板。
  4. 請求項1に記載の位相差フィルムを備える、画像表示装置。
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