JP2015197459A - 位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
上記位相差層を有する位相差フィルムとしては、樹脂基材上に、液晶性化合物を一定方向に配列させる配向規制力を有する配向層と、当該配向層上に形成され、一定方向に配列された液晶性化合物を含有する位相差層とを有するものが用いられている。
このようなパッシブ方式では、上記パターン位相差フィルムと、対応する円偏光メガネとを用いることにより容易に3次元表示が可能なものにできるという利点がある。
一方、画像表示装置における外光の映り込みによる視認性の悪化を低減することを目的として、画像表示装置に用いられる位相差フィルムの樹脂基材に防眩層を設ける試みが行われている。
しかしながら、本発明者らは、アクリル樹脂基材を用いて得られた位相差フィルムは、TAC基材を用いて得られた位相差フィルムに比べて帯電し易く、さらに、一面側に防眩層を有するアクリル樹脂基材を用いて得られた位相差フィルムは、防眩層を有しないアクリル樹脂基材を用いて得られた位相差フィルムに比べてより帯電し易いことを知見した。
また、本発明者らは、防眩層を備えたアクリル樹脂基材は、帯電し易いことによって、位相差フィルムの製造ライン中に滞留している環境異物や粉塵等の異物を寄せ付けやすく、厚みの薄い光配向方式では特に、配向層形成用組成物を塗工する際に異物が塗工液を弾いてしまうことが多く、その上に塗工される位相差層形成用組成物も弾いてしまうため、得られる位相差フィルムに光学欠点が発生しやすいことを知見した。光学欠点とは、フィルム中を通過した光やフィルム表面を反射した光の光路が部分的に乱れ、該欠点部分が周囲と比較し明るくなったり暗くなったりする欠陥のことであり、ディスプレイ用途としては重大な欠点となる。
前記アクリル樹脂基材の一面側に、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有する防眩層を形成する防眩層形成工程と、
前記アクリル樹脂基材の防眩層とは反対側の面に光配向層を形成する光配向層形成工程と、
前記光配向層上に位相差層を形成する位相差層形成工程とを有することを特徴とする。
なお、本発明において、光軸とは、遅相軸を意味する。
本発明において、配向規制力とは、位相差層中の液晶性化合物を特定方向に配列させる相互作用を意味する。
本発明において、位相差フィルムとは、特に断りがない限りパターン位相差フィルムをも含むものである。
本発明において、硬化物とは固化したもののことをいう。
本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
本発明において、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
本発明に係る位相差フィルムは、アクリル樹脂基材の一面側に、防眩層を有し、前記アクリル樹脂基材の前記防眩層とは反対側の面に、前記アクリル樹脂基材側から、光配向層と位相差層とをこの順に有する位相差フィルムであって、前記防眩層が、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有することを特徴とする。
本発明に係る位相差フィルムを、図を参照して説明する。図1は、本発明に係る位相差フィルムの一例を示す模式断面図である。図1に示す位相差フィルム10は、アクリル樹脂基材11の一面側に、防眩層12を有し、前記アクリル樹脂基材11の前記防眩層12とは反対側の面に、前記アクリル樹脂基材11側から、光配向層13と位相差層14とをこの順に有する。
以下、本発明に係る位相差フィルムの構成について説明する。
本発明に用いられるアクリル樹脂基材としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸又はその誘導体等の単量体を重合して得られるアクリル樹脂から形成される基材が挙げられる。中でも、本発明に用いられるアクリル樹脂基材に用いられる樹脂としては、透明性及び耐候性の点で、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル単位を主構成成分とする共重合体、及びスチレン−メタクリル酸メチル共重合体が好ましい。
また、前記アクリル樹脂基材はレターデーションが低いものであることが好ましい。より具体的には、アクリル樹脂基材の面内レターデーション値(Re値)が、0nm〜10nmの範囲内であることが好ましく、0nm〜5nmの範囲内であることがより好ましく、0nm〜3nmの範囲内であることがさらに好ましい。
本発明に係る位相差フィルムは、アクリル樹脂基材の一面側に、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有する防眩層を有する。
なお、本発明において表面抵抗値は、22℃、相対湿度40%の条件で、印加電圧1000Vで測定された値をいい、測定装置としては、例えば、三菱化学社製の抵抗率計 ハイレスタUPを用いることができる。
前記防眩層は、光の入射面を粗面化することにより、外来光を散乱もしくは拡散させる層であり、少なくとも透明性樹脂を含む防眩層用組成物を乾燥又は硬化させてなる。
前記防眩層の光の入射面を粗面化する方法は、特に限定はされず、従来公知の方法を適宜用いることができる。例えば、(i)サンドブラスト法やエンボス法等により基体表面に微細凹凸を形成して粗面化する方法、(ii)基体表面に電離放射線若しくは熱の何れか又はこれらの組み合わせにより硬化する透明樹脂中にフィラーを含有させることにより、当該フィラーに起因する微細凹凸を形成して粗面化する方法、(iii)賦型フィルムを用い、賦型フィルムの形状を転写によって基体の表面形状を形成する方法、及び(iv)基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法等を挙げることができる。
本発明の防眩層に用いられる帯電防止剤としては、中でも、光学特性の点から導電性ポリマーが好ましい。導電性ポリマーの具体例としては、脂肪族共役系のポリアセチレン、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)が挙げられ、これら以外に、分子中に複数の共役鎖を持つ共役系である複鎖型共役系、前述の共役高分子鎖を飽和高分子にグラフトまたはブロック共重した高分子である導電性複合体等を挙げられる。
また、特に限定はされないが、前記防眩層の粗面化を前記(ii)の方法により行う場合は、前記フィラーは、平均粒径が0.05〜5μmの範囲内ものであることが、防眩性に優れる点から好ましい。なお、前記平均粒径は、溶液中の粒子を動的光散乱方法により測定し、粒径分布を体積累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。当該平均粒径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計又はNanotrac粒度分析計を用いて測定することができる。
前記防眩層用組成物が含有することができる添加剤としては、その他にも減粘剤、レベリング剤、着色剤、光輝性顔料、ワックス、シリコーン、並びにフッ素系化合物、シリコンアクリレート及びフッ化アクリレート等の反応性化合物等を挙げることもできる。
また、前記防眩層用組成物は、塗布性を付与することを目的として、組成物中の各成分を溶解乃至分散できる溶媒を含有してもよい。
なお、前記Smは、例えば、本発明に係る位相差フィルムの縦断面(深さ方向の切断面)を、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡等により観察することで表される防眩層表面の凹凸プロファイルから、下記条件において測定及び評価することができる。なお、前記Sm値は、評価長さごとにプロファイルを測定し、それに基づいて算出される。
基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):4μm
評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):20μm
前記Raは、JISB−0601に準じ、例えば、(株)小坂研究所製のサーフコーダ等の表面粗さ測定機を用いて測定することができる。
光配向層は、前記アクリル樹脂基材の前記防眩層とは反対側の面に設けられ、後述する位相差層に含まれる液晶性化合物を一定方向に配列させるために、光照射により配向能を生じさせた層である。本発明において光配向層は、光配向層形成用組成物又はその硬化物からなる。本発明に用いられる防眩層を備えたアクリル樹脂基材は、上述のように位相差フィルムの製造ライン中に滞留している環境異物や粉塵等の異物を寄せ付け難くなっているため、通常薄膜で設けられる光配向層形成時にも、異物の影響を受けることなく均一な光配向層を形成することができ、光学欠点を抑制できる。
前記重合性モノマー又は重合性オリゴマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート基を1つ有する単官能モノマー(例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン)及び(メタ)アクリレート基を2つ以上有する多官能モノマー(例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ポリ(メタ)アクリレート(例えば、イソシアヌル酸EOジアクリレート等))や、ビスフェノールフルオレン誘導体(例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジエポキシ(メタ)アクリレート)等が挙げられ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において位相差層は、前記光配向層が有する配向規制力により、液晶性化合物が規則的に配列し、位相差性が付与された層である。本発明において位相差層は、通常、位相差層形成用組成物又はその硬化物からなる。本発明に用いられる防眩層を備えたアクリル樹脂基材は、上述のように位相差フィルムの製造ライン中に、位相差層形成時にも帯電及び放電し難くなっているため、光軸ずれが抑制される。
位相差層形成用組成物は、通常、液晶性化合物を含有するものであり、通常、更に溶媒を含有する。また、液晶性化合物の配向を阻害しない範囲で、更に他の成分を含むものであってもよい。
液晶性化合物は、一般に、屈折率異方性が大きいため、位相差フィルムに所望の位相差性を付与しやすい。
本発明に係る位相差フィルムは、前述のアクリル樹脂基材、防眩層、光配向層及び位相差層の他に、必要に応じて更にその他の層を有していても良い。その他の層としては、例えば、ハードコート層及び反射防止層等の機能層、プライマー層(接着層)、保護層等が挙げられる。前記機能層は、例えば、前記アクリル樹脂基材の前記防眩層を有する側の面に設けることができる。前記プライマー層(接着層)及び前記保護層は、例えば、前記アクリル樹脂基材と前記光配向層との間に設けても良い。
ハードコート層は、位相差フィルムの表面を高硬度化して保護する機能を有する層である。ハードコート層は従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。ハードコート層としては、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層であることが好ましい。ハードコート層としても適用可能な硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
ハードコート層は、上記硬化性樹脂を含むハードコート層用樹脂組成物を、アクリル樹脂基材に塗工し、硬化することにより得られる。
反射防止層は、外来光の鏡面反射による背景の映り込みを防止する層である。本発明において反射防止層は、従来公知の反射防止層の中から適宜選択して用いることができる。反射防止層としては、例えば、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層し、最表面が低屈折率層となる様に多層化(マルチコート)した樹脂層や、微細凹凸形状等のナノ構造が形成された反射防止層等が挙げられる。
上記高屈折率層としては、チタン、タンタル、ジルコニウム、インジウム等の金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層形成用樹脂組成物及びその硬化物等が挙げられる。また、上記低屈折率層としては、フッ素系の樹脂や、中空シリカ微粒子等を含有する低屈折率層形成用樹脂組成物及びその硬化物等が挙げられる。
これらの反射防止層を用いることにより、層界面での反射光を干渉によって相殺することで、表面の反射を抑え、良好な反射防止効果を得る反射防止層等とすることができる。
本発明に係る位相差フィルムの製造方法は、アクリル樹脂基材を準備する工程と、
前記アクリル樹脂基材の一面側に、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有する防眩層を形成する防眩層形成工程と、
前記アクリル樹脂基材の防眩層とは反対側の面に光配向層を形成する光配向層形成工程と、
前記光配向層上に位相差層を形成する位相差層形成工程とを有することを特徴とする。
前記防眩層用組成物としては、前述した本発明に係る位相差フィルムに用いられるものと同様のものが挙げられる。
前記防眩層用組成物の塗工時の粘度は、特に限定はされないが、1000cps以下とすることが、塗布性の観点から好ましい。
また、前記乾燥工程における乾燥条件は、防眩層の表面抵抗を1012Ω/cm以下とするために適宜設定することができ、特に限定はされないが、例えば、60〜90℃で0.5〜2分間乾燥させることが好ましい。
電離放射線照射装置としては、例えば紫外線を照射する場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源を用いることができる。また、電子線を照射する場合には、コックロフトワルト型、バンデラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器等を用いることができる。電子線を照射する場合は、特に限定はされないが、通常100〜1000KeV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を0.1〜30Mrad程度の照射量で照射する。
本発明においては、中でも、前記(ii)の方法による粗面化処理が光学特性の点から好ましい。
前記光配向層形成工程は、前記アクリル樹脂基材の防眩層とは反対側の面に光配向層を形成する工程であり、必要に応じて、光配向層形成用組成物の塗膜を乾燥する工程や、光配向層形成用組成物を硬化する工程、更には光配向層形成用組成物を賦型する工程等、その他の工程を有していてもよい。
光配向層形成工程における、光配向層形成用組成物の塗工方法及び塗膜の乾燥方法については、上記防眩層形成工程と同様の方法とすることができる。
上記偏光露光工程は、上記搬送機構と組み合わせて用いることが好ましい。
位相差層形成工程は、前記光配向層形成工程により形成された光配向層上に上述した位相差層形成用組成物を塗工して、位相差層を連続的に形成する工程である。
位相差層形成用組成物を塗布する方法は、所望の厚みの位相差層を精度良く塗布できる方法であればよく、前記光配向層形成用樹脂組成物を塗布する方法と同様の方法とすることができる。
乾燥工程は、位相差層形成用塗膜中の液晶性化合物を配向させる点から、加熱乾燥であることが好ましい。加熱温度は、用いる液晶性化合物によっても異なるが、液晶性化合物の相転移温度より0〜10℃高いことが好ましい。
本発明に係る偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に、前記本発明に係る位相差フィルムを備えることを特徴とする。
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一面側に、防眩性を有し、且つ光学欠点及び光軸ずれが抑制された前記本発明に係る位相差フィルムを光学補償フィルムとして有するため、外光の映り込み及び光漏れが抑制された偏光板とすることができる。
本発明に係る画像表示装置は、前記本発明に係る位相差フィルムを備えることを特徴とする。
本発明の画像表示装置としては、(1)従来公知の液晶表示装置において用いられる偏光板に代えて、前記本発明に係る位相差フィルムを備える偏光板を用いたもの、(2)従来公知のパッシブ方式の3次元表示方式の画像表示において用いられるパターン位相差フィルムに代えて、本発明に係る位相差フィルムをパターン位相差フィルムとして用いたもの、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
(実施例1)
アクリル樹脂基材の一面に、防眩層の表面抵抗値が表1に示す値となるように、フィラー(有機微粒子、平均粒径4μm)と、導電性ポリマー(ポリチオフェンインキ)と、透明性樹脂(ウレタンアクリレート及びアクリルエステル)とを含有させ、塗布性を付与するために溶剤(メチルエチルケトン)を含有させた防眩層用組成物Aを、乾燥後の平均厚みが7μmとなるように、グラビア印刷方式で塗布し、70℃で0.5分間乾燥させて、防眩層を形成した。
次いで、光配向層上に、重合性液晶化合物とメチルイソブチルケトンを含む位相差層用組成物を塗布し、紫外線を照射することにより硬化させて、膜厚が1μmの位相差層を形成することにより、実施例1の位相差フィルムを得た。
実施例1において、防眩層用組成物Aに代えて、防眩層の表面抵抗値が表1に示す値となるように、防眩層用組成物A中の導電性ポリマーを変更した防眩層用組成物Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の位相差フィルムを得た。
実施例1において、防眩層用組成物Aに代えて、防眩層の表面抵抗値が表1に示す値となるように、防眩層用組成物A中の導電性ポリマーを変更した防眩層用組成物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の位相差フィルムを得た。
実施例1において、防眩層用組成物Aに代えて、防眩層用組成物A中の導電性ポリマーを含まない組成に変更した比較防眩層用組成物Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の位相差フィルムを得た。
<防眩層の表面抵抗の測定>
実施例1〜3及び比較例1で得られた各位相差フィルムの防眩層側表面について、ハイレスタUP(三菱化学社製)を用いて、22℃、相対湿度が40%の条件で、印加電圧1000Vにて表面抵抗を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1で得られた各位相差フィルム表面の1300mm×500mの範囲における光学欠点を、外観検査装置を用いて検出し、下記評価基準に基づいて評価した。前記外観検査装置は、走行フィルム面に対して、距離100mmに設置した三波調蛍光灯により防眩層側から照射し、その正反射光を検出するCCDカメラを、フィルムからの距離500mmに設置することにより作製した。なお、光学欠点の大きさを計測し、100μm以上の欠点を、光学欠点として検出した。評価結果を表1に示す。
[評価基準]
A:光学欠点の数が0.5個/m2以下
B:光学欠点の数が0.5個/m2超過1.0個/m2未満
C:光学欠点の数が1.0個/m2以上
2枚の偏光板をクロスニコルに配置し、実施例1〜3及び比較例1で得られた位相差フィルムをそれぞれ、前記2枚の偏光板の間に入れて回転させ、黒輝度の濃淡ムラを目視で観察した。黒輝度に濃淡ムラがなければ、光軸ずれがないものと評価される。評価結果を表1に示す。
[評価基準]
A:黒輝度の濃淡ムラを観察することができず、光軸ずれがなかった。
B:黒輝度の濃淡ムラを観察することができ、光軸ずれがあった。
実施例1〜3及び比較例1で得られた各位相差フィルムの基材側の面に、黒のアクリル板を、粘着剤ではり、水平な机にサンプルをおいて、机より2.5m上方にある白色蛍光灯管(32ワット×2本)のエッジ部分の映りこみを目視観察し、評価した。
[評価基準]
A:エッジが映り込まず、良好な防眩性を有した。
B:エッジが映り込み、防眩性に劣った。
実施例1〜3で得られた位相差フィルムは、防眩層が1012Ω/cm以下の表面抵抗を有するものであったため、光学欠点及び光軸ずれが抑制されたものであり、防眩性にも優れていた。そのため、実施例1〜3で得られた位相差フィルムは、外光の映り込み及び光漏れが抑制された偏光板、及び外光の映り込みが抑制され、表示品質に優れた画像表示装置の作製に用いることができるものであった。
一方、比較例1で得られた位相差フィルムは、防眩層の表面抵抗値が1012Ω/cmよりも大きかったため、実施例1〜3で得られた位相差フィルムよりも多くの光学欠点が発生し、光軸ずれが生じた。
11 アクリル樹脂基材
12 防眩層
13 光配向層
14 位相差層
20 偏光板
21 偏光子
Claims (4)
- アクリル樹脂基材の一面側に、防眩層を有し、前記アクリル樹脂基材の前記防眩層とは反対側の面に、前記アクリル樹脂基材側から、光配向層と位相差層とをこの順に有する位相差フィルムであって、
前記防眩層が、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有することを特徴とする、位相差フィルム。 - アクリル樹脂基材を準備する工程と、
前記アクリル樹脂基材の一面側に、1012Ω/cm以下の表面抵抗を有する防眩層を形成する防眩層形成工程と、
前記アクリル樹脂基材の防眩層とは反対側の面に光配向層を形成する光配向層形成工程と、
前記光配向層上に位相差層を形成する位相差層形成工程とを有する、位相差フィルムの製造方法。 - 偏光子の少なくとも一方の面に、請求項1に記載の位相差フィルムを備える、偏光板。
- 請求項1に記載の位相差フィルムを備える、画像表示装置。
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