JP2015197501A - 位相差フィルム、偏光板一体型位相差フィルム及び偏光板一体型位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

位相差フィルム、偏光板一体型位相差フィルム及び偏光板一体型位相差フィルムの製造方法 Download PDF

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【課題】高温高湿下においても配向層と位相差層との密着性に優れる位相差フィルム、当該位相差フィルムの少なくとも一方の面に、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物の硬化物からなる接着層と、偏光子とをこの順に備える、偏光板一体型位相差フィルム、及びその製造方法を提供する。【解決手段】アクリル樹脂基材の一面側に、前記アクリル樹脂基材側から、シンナメート系光配向性化合物を含む配向層と、混合領域と、液晶性化合物を含む位相差層とをこの順に有し、前記混合領域は、前記配向層に含まれる化合物及び前記位相差層に含まれる化合物を含み、平均厚さが25nm〜70nmであることを特徴とする、位相差フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、位相差フィルム、偏光板一体型位相差フィルム及びその製造方法に関するものである。
従来より液晶表示装置においては、視角依存性の問題を改善するために、様々な技術が開発されており、その1つとして、複屈折性を示す位相差層を有する位相差フィルムが液晶セルと偏光板との間に配置された液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献1〜2)。
上記位相差層を有する位相差フィルムとしては、樹脂基材上に、液晶性化合物を一定方向に配列させる配向規制力を有する配向層と、当該配向層上に形成され、一定方向に配列された液晶性化合物を含有する位相差層とを有するものが用いられている。
また、フラットパネルディスプレイとしては、従来、2次元表示のものが主流であったが、近年においては3次元表示可能なフラットパネルディスプレイが注目を集め始めている。そして、今後のフラットパネルディスプレイにおいては3次元表示可能であることが、その性能として当然に求められる傾向にあり、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイの検討が幅広い分野において進められている。
フラットパネルディスプレイにおいて3次元表示をするには、通常、視聴者に対して何らかの方式で右目用の映像と、左目用の映像とを別個に表示することが必要とされる。右目用の映像と左目用の映像とを別個に表示する方法としては、例えば、パッシブ方式というものが知られている。このようなパッシブ方式の3次元表示方式について図を参照しながら説明する。図3はパッシブ方式で3次元映像を表示可能な液晶表示装置の一例を示す概略図である。図3に示すように、この方式では、まず、フラットパネルディスプレイを構成する画素を、右目用映像表示画素と左目用映像表示画素の2種類の画素に分類し、ディスプレイ表示領域に右目用の画素と左目用の画素が隣接し合うようなパターン状に配列する。一方のグループの画素では右目用の映像を表示させ、他方のグループの画素では左目用の映像を表示させる。また、直線偏光板と当該画素の配列パターンに対応した、パターン状の位相差層が形成されたパターン位相差フィルム(以下、単にパターン位相差フィルムということがある。)とを用い、右目用の映像と、左目用の映像とをそれぞれ円偏光に変換する。さらに、視聴者には右目用レンズと左目用レンズを採用した円偏光メガネを装着させ、右目用の映像が右目用レンズのみを通過し、かつ左目用の映像が左目用のレンズのみを通過するようにする。このようにして右目用の映像が右目のみに届き、左目用の映像が左目のみに届くようにすることによって3次元表示が可能となる。
このようなパッシブ方式では、上記パターン位相差フィルムと、対応する円偏光メガネとを用いることにより容易に3次元表示が可能なものにできるという利点がある。
上記パターン位相差フィルムとして、例えば、特許文献3には、ガラス基板上に配向規制力がパターン状に制御された光配向層と、当該光配向層上に形成され、液晶性化合物の配列が上記光配向層のパターンに対応するようにパターニングされた位相差層(液晶層)とを有するパターン位相差板が開示されている。
また、位相差フィルムを備えた液晶表示装置においては、従来、位相差フィルムが熱や光等による環境変化によって劣化してしまうという問題があり、これを解消するために様々な試みが行われている。
例えば特許文献4には、TNモード液晶表示装置における、高温や高湿度環境で偏光板が収縮し、偏光板の周辺部で光漏れが生じる問題を解決するために、各々の透過軸を直交にして配置された一対の偏光板と、該一対の偏光板の間に配置された液晶パネル部とを有する液晶表示装置において、偏光板の収縮する傾向にある方向と、光漏れが最大となる方向とをずらすこと、すなわち、TNモードにおける偏光板吸収軸を画面左右方向に対して45°の方向で交差させる従来の配置から、画面左右方向に対して90°又は0°の方向で交差させる配置としたことが記載されている。
また、特許文献5には、位相差フィルムの支持体と配向膜(中間層)との密着性を向上し、さらに、当該位相差フィルムを用いて得られた偏光板の湿熱環境での耐久性を向上するために、低置換度セルロースアシレートと、特定の添加剤を含む支持体上に、特定の樹脂を含む中間層を設けその上に液晶層を設けた旨が記載されている。
一方で、特許文献6には、液晶層における配向の劣化を有効に回避して、配向膜と液晶層との密着性を向上するために、賦型により配向膜に特定の凹凸形状を形成した旨が記載されている。
特開平3−67219号公報 特開平4−322223号公報 特開2005−49865号公報 特開2007−256589号公報 特開2013−235232号公報 特開2013−242508号公報
従来、位相差フィルムと偏光板とを貼り合わせる際には、粘着フィルム等を用いて両者を貼合する方法が行われていた。一方、近年では、液晶表示装置の薄型化への要望により、位相差フィルムを偏光板に貼合する方法として、粘着フィルムに代えて、光硬化性の接着剤を製造ライン上で位相差フィルム又は偏光板に薄く塗布し、位相差フィルムと偏光板を重ね合わせた後、光照射して接着剤を硬化させる方法が検討されている。
枚葉化後の位相差フィルムと偏光板とを粘着フィルムを用いて貼合装置により貼合する場合には、当該貼合工程において光照射や温度湿度変化の負荷が位相差フィルムにかからないが、光硬化性の接着剤を用いて貼合する場合には、当該貼合工程において光照射や加熱等による温度や湿度等の環境変化の負荷が位相差フィルムにかかることになる。従来の位相差フィルムを用いた場合、製造ライン上で行われる光照射や加熱等による温度や湿度等の環境変化により、密着性が保たれないことがあり、特に位相差フィルムを構成する配向層と位相差層との間の浮きが生じやすいという問題があった。なおここで層間の浮きとは、各層の間で密着性が保たれず、剥離が生じ易くなっている状態をいう。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、高温高湿下においても配向層と位相差層との密着性に優れる位相差フィルム、当該位相差フィルムの少なくとも一方の面に、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物の硬化物からなる接着層と、偏光子とをこの順に備える、偏光板一体型位相差フィルム、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る位相差フィルムは、アクリル樹脂基材の一面側に、前記アクリル樹脂基材側から、シンナメート系光配向性化合物を含む配向層と、混合領域と、液晶性化合物を含む位相差層とをこの順に有し、
前記混合領域は、前記配向層に含まれる化合物及び前記位相差層に含まれる化合物を含み、平均厚さが25nm〜70nmであることを特徴とする。
本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムは、前記本発明に係る位相差フィルムの少なくとも一方の面に、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物の硬化物からなる接着層と、偏光子とをこの順に備えることを特徴とする。
本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムの製造方法は、以下の(i)〜(iii)の工程を有する位相差フィルム作製工程と、
(i)アクリル樹脂基材を準備する工程
(ii)シンナメート系光配向性化合物を含む配向層形成用組成物を、前記アクリル樹脂基材の一面側に塗布し、乾燥し、光照射することにより、配向層を形成する配向層形成工程
(iii)前記配向層上に、液晶性化合物を含む位相差層形成用組成物を塗布し、前記液晶性化合物を配向させることにより、位相差層を形成し、且つ、前記配向層と前記位相差層との間に、前記配向層に含まれる化合物及び前記位相差層に含まれる化合物を含み、平均厚さが25nm〜70nmである混合領域を形成する、位相差層及び混合領域形成工程
前記位相差フィルムの少なくとも一方の面に、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物を塗布する接着層形成用組成物塗布工程と、
前記塗布された接着層形成用組成物上に、偏光子を積層する、偏光子積層工程と、
電離放射線を照射し、前記接着層形成用組成物を硬化させることにより、接着層を形成する接着層形成工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、高温高湿下においても配向層と位相差層との密着性に優れる位相差フィルム、当該位相差フィルムの少なくとも一方の面に、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物の硬化物からなる接着層と、偏光子とをこの順に備える、偏光板一体型位相差フィルム、及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る位相差フィルムの一例を示す模式断面図である。 本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムの一例を示す模式断面図である。 パッシブ方式で3次元映像を表示可能な液晶表示装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係る位相差フィルム、偏光板一体型位相差フィルム及びその製造方法について順に説明する。
なお、本発明において、光軸とは、遅相軸を意味する。
本発明において、配向規制力とは、位相差層中の液晶性化合物を特定方向に配列させる相互作用を意味する。
本発明において、位相差フィルムとは、特に断りがない限りパターン位相差フィルムをも含むものである。
本発明において、硬化物とは固化したもののことをいう。
本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
本発明において、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
[位相差フィルム]
本発明に係る位相差フィルムは、アクリル樹脂基材の一面側に、前記アクリル樹脂基材側から、シンナメート系光配向性化合物を含む配向層と、混合領域と、液晶性化合物を含む位相差層とをこの順に有し、
前記混合領域は、前記配向層に含まれる化合物及び前記位相差層に含まれる化合物を含み、平均厚さが25nm〜70nmであることを特徴とする。
従来、基材、配向層及び位相差層をこの順に備える位相差フィルムにおいて、基材と配向層との間の層間密着性の向上に関しては、特許文献5に記載されるように様々な試みが行われている。一方で、配向層と位相差層との間の層間密着性は未だ不十分であり、従来の位相差フィルムを高温高湿条件下に置くと、配向層と位相差層との間で剥離が生じやすく、更なる密着性の向上が求められていた。
本発明者らは、位相差フィルムが備える配向層と位相差層との間に、配向層用の材料と位相差層用の材料とが混合する混合領域が形成されること及びその厚さが、配向層と位相差層との層間密着性に影響することを知見し、配向層と位相差層との密着性が特に優れたものとなる混合領域の厚さの特定範囲を見出したことにより、本発明を完成させるに至った。
本発明に係る位相差フィルムは、前記混合領域の厚さが前記特定の範囲内であることにより、配向層と位相差層との密着性に優れ、高温高湿下においても配向層と位相差層との剥離が生じにくく、製造ライン上での光照射や加熱による温度や湿度の環境変化に対しても充分な耐久性を有する。配向層用の材料と位相差層用の材料とが混合する混合領域においては、分子レベルでの絡み合いによるアンカー効果により、配向層と位相差層との密着性が向上すると考えられる。一方、混合領域の厚さが厚すぎると、混合領域中の組成物が硬化不足となり、密着性が低下すると推定される。本発明に係る位相差フィルムは、混合領域の厚さの範囲が、前記アンカー効果を発揮し且つ組成物の硬化不足による密着性の低下も抑制される範囲であることにより、配向層と位相差層との密着性に優れると考えられる。
このようにして本発明に係る位相差フィルムは、配向層と位相差層との密着性に優れるため、製造ライン上での光照射や加熱による温度や湿度の環境変化に対しても充分な耐久性を有する。そのため、本発明に係る位相差フィルムを偏光板に貼合する際には、製造ライン上で、位相差フィルム又は偏光板に光硬化性の接着剤を薄く塗布し、硬化前の接着剤を介して位相差フィルムと偏光板とを貼り合わせた状態で、光照射をして接着剤を硬化させることができる。このように、本発明に係る位相差フィルムを用いた偏光板一体型位相差フィルムは、偏光板と位相差フィルムとを貼合する接着層を薄くすることができるため、薄型化に好適である。
さらに、本発明に係る位相差フィルムは、従来一般的に用いられているTAC(トリアセチルセルロース)基材に代えて、アクリル樹脂基材を備える。アクリル樹脂基材は、TAC基材に比べ、湿気を通しにくく、寸法収縮が生じにくいため、本発明に係る位相差フィルムは、従来のTAC基材を用いた位相差フィルムに比べ、製造ライン上での光照射や加熱による温度や湿度の環境変化に曝した場合に、更に層間密着性に優れたものとなる。また、アクリル樹脂基材は、TAC基材に比べ、膜厚方向の位相差が小さいため、本発明に係る位相差フィルムは、優れた光学性能を発揮することができる。
本発明に係る位相差フィルムを、図を参照して説明する。図1は、本発明に係る位相差フィルムの一例を示す模式断面図である。図1に示す位相差フィルム10は、アクリル樹脂基材11の一面側に、前記アクリル樹脂基材11側から、配向層12と混合領域13と位相差層14とをこの順に有する。
以下、本発明に係る位相差フィルムの構成について説明する。
<アクリル樹脂基材>
本発明に用いられるアクリル樹脂基材としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸又はその誘導体等の単量体を重合して得られるアクリル樹脂から形成される基材が挙げられる。中でも、本発明に用いられるアクリル樹脂基材に用いられる樹脂としては、透明性及び耐候性の点で、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル単位を主構成成分とする共重合体、及びスチレン−メタクリル酸メチル共重合体が好ましい。
前記アクリル樹脂基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。前記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、前記アクリル樹脂基材はレターデーションが低いものであることが好ましい。より具体的には、アクリル樹脂基材の面内レターデーション値(Re値)が、0nm〜10nmの範囲内であることが好ましく、0nm〜5nmの範囲内であることがより好ましく、0nm〜3nmの範囲内であることがさらに好ましい。
前記アクリル樹脂基材の厚みは、位相差フィルムの用途等に応じて、当該位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できる範囲内で適宜設定すればよい。25μm〜125μmの範囲内が好ましく、中でも40μm〜100μmの範囲内がより好ましく、40μm〜60μmの範囲内であることが更により好ましい。前記下限値以上であれば、位相差フィルムの自己支持性に優れている。また前記上限値以下であれば、裁断等の加工が容易である。
<配向層>
本発明において、配向層は、シンナメート系光配向性化合物を含み、偏光紫外線の照射により、位相差層に含まれる屈折率異方性を有する液晶性化合物を、一定方向に配列させることができる配向規制力を有する層である。前記配向層は、少なくともシンナメート系光配向性化合物を含む配向層形成用組成物を塗布し、乾燥し、光照射することにより形成される。ここで、光配向性化合物とは、偏光紫外線照射により配向規制力を発現できる化合物を指す。
前記配向層としては、窒素原子を含む化合物を含有した配向層形成用組成物により形成された、窒素原子を含有する配向層が好ましい。通常位相差層には窒素原子を含む材料が用いられないことから、窒素原子を、本発明に係る位相差フィルムの形成に用いられる材料のうち配向層形成用組成物にのみ含まれる原子とすることができるため、1つの指標として、後述する混合領域の厚さのXPS分析により、混合領域の存在及び厚さを判断しやすくなる。但し、混合領域の存在及び厚さを判断する元素としては、窒素に限定されるものではなく、配向層に特有の元素、又は位相差層に特有の元素を用いて混合領域の存在及び厚さを判断することができる。
前記シンナメート系光配向性化合物としては、シンナメート(けい皮酸エステル)及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種のシンナメート系反応部位を有し、光二量化反応を生じることによって配向規制力を発現する光二量化型材料を挙げることができる。
上記シンナメートとしては、下記式Ia、Ibで表されるものが好適に用いられる。
上記式中、Aは、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、2,5−チオフェニレン、2,5−フラニレン、1,4−もしくは2,6−ナフチレンを表すか、非置換であるか、フッ素、塩素または炭素原子1〜18個の環式、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル残基(非置換であるか、フッ素、塩素によって一または多置換されており、1個以上の隣接しない−CH−基が独立してZによって置換されていてもよい)によって一または多置換されているフェニレンを表す。
前記Zは、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−CO−O−および−Si(CH−O−Si(CH−(Rは水素原子または低級アルキルを表す)から選択される基を表す。
上記式中、Bは、水素原子を表すか、第二の物質、たとえばポリマー、オリゴマー、モノマー、光活性ポリマー、光活性オリゴマー、光活性モノマー、もしくは表面と反応または相互作用することができる基を表す。
上記式中、SおよびSは、互いに独立して、単結合またはスペーサー単位、たとえば炭素原子1〜40個の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレン基(非置換であるか、フッ素、塩素によって一または多置換されており、1個以上の隣接しない−CH−基が独立してZによって置換されていてもよいが、酸素原子が互いに直接的には結合していない)を表す。
前記Zは、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−CO−O−および−Si(CH−O−Si(CH−(Rは水素原子または低級アルキルを表す)から選択される基、芳香族基または脂環式基を表す。
上記式中、Qは、酸素原子または−NR−(Rは水素原子または低級アルキルを表す)を表す。
上記式中、XおよびYは、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、炭素原子1〜12個のアルキル(場合によってはフッ素によって置換されており、場合によっては1個以上の隣接しないアルキル−CH−基が−O−、−CO−O−、−O−CO−および/または−CH=CH−によって置換されている)を表す。
なお、このような光二量化型材料としては、具体的には、WO08/031243号公報やWO08/130555号公報ではRolic社からROP−103(商品名)として市販されているものを用いることができる。
また、前記シンナメート系光配向性化合物は、ヒドロキシ基、カルボキシル基およびアミノ基から選ばれるいずれか1つの置換基を有することが、後述する架橋成分を含む場合に当該置換基が親水性の熱反応部となる点から好ましい。以下に例示を挙げるがこれらに限定されるものではなく、シンナメート系光配向性ポリマーにヒドロキシ基、カルボキシル基およびアミノ基から選ばれるいずれか1つの置換基を有していても良い。
前記シンナメート系反応部位とヒドロキシ基とを有するシンナメート系光配向性化合物としては、例えば、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)けい皮酸メチルエステル、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)けい皮酸エチルエステル、4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)けい皮酸フェニルエステル、4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)けい皮酸ビフェニルエステル、けい皮酸3−ヒドロキシプロピルエステル等を挙げることができる。
前記シンナメート系反応部位とカルボキシル基とを有するシンナメート系光配向性化合物としては、例えば、けい皮酸、フェルラ酸、4−ニトロけい皮酸、4−メトキシけい皮酸、3,4−ジメトキシけい皮酸、4−(N,N−ジメチルアミノ)けい皮酸等が挙げられる。
シンナメート系反応部位とアミノ基とを有する化合物の具体例としてはメチル−4−アミノけい皮酸、エチル−4−アミノけい皮酸、メチル−3−アミノけい皮酸、エチル−3−アミノけい皮酸等が挙げられる。
なお、前記シンナメート系光配向性化合物は、一分子中にシンナメート系反応部位を2個以上有していてもよく、ヒドロキシ基、カルボキシル基およびアミノ基から選ばれるいずれか1つの置換基を2個以上有していてもよい。
また、前記配向層形成用組成物は、前記シンナメート系光配向性化合物を1種単独で含むものであってもよいし、2種以上を混合して含んでいてもよい。
前記配向層形成用組成物は、さらに、前記シンナメート系光配向性化合物とは異なるその他の光配向性化合物を含有するものであってもよい。その他の光配向性化合物としては、例えば、カルコン基、クマリン基、アントラセン基等の光二量化構成部位を有する光二量化材料、並びに、光照射によりシス体とトランス体とに変わる光異性化構造部位、例えばアゾベンゼン構造、スチルベン構造等からなる部位を有する光異性化材料等を挙げることができる。
前記配向層形成用組成物は、さらに、層間密着性を向上する点から、ヒドロキシ基、カルボキシル基およびアミノ基から選ばれる1種または2種以上の置換基を有する親水性ポリマーを含有することが好ましい。
前記親水性ポリマーとしては、例えば、アクリル重合体、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルポリカルボン酸、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、セルロースまたはその誘導体(以下、セルロース類と称する場合がある)、フェノールノボラック樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、シクロデキストリン類等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレングリコールエステル基および炭素原子数2〜5のヒドロキシアルキルエステル基のうちの少なくとも一方と、カルボキシル基およびフェノール性ヒドロキシ基のうちの少なくとも一方とを有するアクリル重合体、アミノアルキル基を側鎖に有するアクリル重合体、ヒドロキシアルキル基を側鎖に有するアクリル重合体、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ヒドロキシアルキルシクロデキストリン類、セルロース類、及びメラミンホルムアルデヒド樹脂が好ましい。なお、前記親水性ポリマーは、これらのうち一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
前記アクリル重合体は、前記官能基を有しないモノマーを併用して重合されてなるものであっても良い。前記官能基を有しないモノマーとしては、例えば各種(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリルアミド化合物、ビニル化合物等が挙げられる。
ポリエチレングリコールエステル基を有するモノマーとしては、例えば、H−(OCHCH−OHのモノアクリレート、モノメタクリレート等が挙げられる。なお、nは2〜50が好ましく、2〜10がより好ましい。
炭素原子数2〜5のヒドロキシアルキルエステル基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸が挙げられる。
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレンが挙げられる。
アミノアルキル基を側鎖に有するアクリル重合体としては、例えば、アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルアクリレート及びアミノプロピルメタクリレート等のアミノアルキルエステルモノマーの重合体、または、当該アミノアルキルエステルモノマーを用いた共重合体が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基を側鎖に有するアクリル重合体としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシペンチルアクリレート及びヒドロキシペンチルメタクリレート等のヒドロキシアルキルエステルモノマーの重合体、または、当該ヒドロキシアルキルエステルモノマーを用いた共重合体が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びプロピレングリコールが挙げられ、また、ビスフェノールA、トリエチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコールにプロピレンオキサイドやポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を付加または縮合したものが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸等の多価カルボン酸にエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジオールを反応させたものが挙げられる。
ポリカプロラクトンポリオールとしては、トリメチロールプロパンやエチレングリコール等の多価アルコールを開始剤としてε−カプロラクタムを開環重合させたものが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、トリメチロールプロパンやエチレングリコール等の多価アルコールに炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、エチレンカーボネート等を反応させたものが挙げられる。
セルロース類としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース類およびセルロース等が挙げられる。
シクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン等のシクロデキストリン、メチル−α−シクロデキストリン等のメチル化シクロデキストリン、ヒドロキシメチル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシメチル−β−シクロデキストリン等のヒドロキシアルキルシクロデキストリン等が挙げられる。
メラミンホルムアルデヒド樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドを重縮合して得られる樹脂であり、保存安定性の点から、メラミンとホルムアルデヒドの重縮合の生成の際に生成したメチロール基がアルキル化されていることが好ましい。
前記配向層形成用組成物は、さらに、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド化合物またはN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド化合物を含むモノマーを重合したポリマー、及びアミノ基を有するアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することが、層間密着性を向上する点から好ましい。
N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド化合物またはN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド化合物を含むモノマーを重合したポリマーの具体例としては、N−アルコキシメチルアクリルアミドまたはN−ヒドロキシメチルアクリルアミド等のモノマーを単独または共重合可能なモノマーと共重合したポリマーが挙げられる。このようなポリマーとしては、例えば、ポリ(N−ブトキシメチルアクリルアミド)、ポリ(N−エトキシメチルアクリルアミド)、ポリ(N−メトキシメチルアクリルアミド)、ポリ(N−ヒドロキシメチルアクリルアミド)、N−ブトキシメチルアクリルアミドとスチレンとの共重合体、N−ブトキシメチルアクリルアミドとメチルメタクリレートとの共重合体、N−エトキシメチルメタクリルアミドとベンジルメタクリレートとの共重合体、及びN−ブトキシメチルアクリルアミドとベンジルメタクリレートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。
このようなポリマーの重量平均分子量は、1,000から500,000であり、好ましくは、2,000から200,000であり、より好ましくは3,000から150,000であり、更に好ましくは3,000から50,000である。なお、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、本発明において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準資料としてポリスチレンを用いて得られる値である。
アミノ基を有するアルコキシシラン化合物の具体例としては、N,N‘‐ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,2−エタンジアミン、N,N‘‐ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−1,2−エタンジアミン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,2−エタンジアミン、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−1,2−エタンジアミン、ビス−{3−(トリメトキシシリル)プロピル}アミン、ビス−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}アミン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリメトキシ{3−(メチルアミノ)プロピルシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ジエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(ジエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン等の化合物が挙げられる。なお、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記配向層形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、酸や熱酸発生剤等の架橋触媒、増感剤、シランカップリング剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤等の添加剤を含有することができる。
また、前記配向層形成用組成物は、塗布性を付与するために、必要に応じて溶剤を含有することができる。前記溶剤としては、前記配向層形成用組成物に含まれる固形分成分を溶解乃至分散できるものを適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、3−メチル−2−ペンタノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN−メチルピロリドン等が挙げられる。なお、これらの溶剤は、1種単独でまたは2種以上の組合せで使用することができる。
前記配向層形成用組成物中の各成分の配合は、特に限定はされないが、前記シンナメート系光配向性化合物及び前記その他の光配向性化合物の合計含有量と、前記親水性ポリマーの含有量との比が、5:95〜60:40であることが好ましい。
また、前記シンナメート系光配向性化合物、前記その他の光配向性化合物の及び前記親水性ポリマーの合計含有量100質量部に対し、前記アミノ基を有するアルコキシシラン化合物の含有量は、10〜100質量部であることが好ましく、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド化合物またはN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド化合物を含むモノマーを重合したポリマーの合計含有量は、10〜150質量部であることが好ましい。
前記配向層の厚みは、特に限定されないが、配向規制力の観点及び混合領域の厚みを好適な範囲に調整し易い点から、50nm〜300nmであることが好ましく、80nm〜250nmであることがより好ましく、80nm〜200nmであることが更により好ましい。
<混合領域>
本発明に係る位相差フィルムにおいて、混合領域は、少なくとも前記配向層形成用組成物に含まれる化合物と、後述する位相差層形成用組成物に含まれる化合物とを含む領域である。前記配向層形成用組成物に含まれる化合物とは、代表的にはシンナメート系光配向性化合物であり、前記位相差層形成用組成物に含まれる化合物とは、代表的には液晶性化合物である。前記混合領域は、配向層上に位相差層形成用組成物を塗布したときに当該配向層に浸透した位相差層形成用組成物が硬化することにより、形成される。当該混合領域は、配向層表面に微細凹凸形状を形成後、位相差層形成用組成物を塗布して微細凹凸の凹部に位相差層を形成させたものとは異なり、配向層に含まれる化合物と位相差層に含まれる化合物とが分子レベルで混合した領域をいう。
前記混合領域の存在は、例えば、X線光電子分光分析法(XPS分析)によって確認することができる。具体的には例えば、位相差フィルムの位相差層側からの厚み方向のXPS分析によって、本発明に係る位相差フィルムを構成する材料のうち、配向層に特有の元素、又は位相差層に特有の元素の濃度分布によって、混合領域の存在及び厚さを判断することができる。例えば、配向層形成用組成物にのみ特異的に含まれる成分が有する原子、例えば窒素原子の濃度分布によって判断することができる。前記XPS分析において、位相差層形成用組成物中に、配向層形成用組成物にのみ特異的に含まれる成分が有する原子が存在する領域を、本発明における混合領域と判断することができる。配向層表面に微細凹凸形状を形成後、位相差層形成用組成物を塗布して微細凹凸の凹部に位相差層を形成させた場合には、XPS分析において、配向層特有の成分が検出される領域と、位相差層特有の成分が検出される領域とがある地点を境に明確に異なった結果となるよう測定される。一方で、本発明の混合領域が存在する場合には、混合領域では、配向層特有成分と位相差層特有成分の双方が検出され、混合領域では配向層特有の成分の検出量が、配向層箇所とは異なる結果となるよう測定される。
また、前記混合領域の平均厚さは、例えば、10点で測定された混合領域の厚さの平均とすることができる。
なお、混合領域においては、配向層形成用組成物に特異的に含まれる任意の化合物の存在により、配向層に含まれる化合物を含むといえ、位相差層形成用組成物に特異的に含まれる任意の化合物の存在により、位相差層に含まれる化合物を含むといえる。
本発明においては、前記混合領域の平均厚さが25nm〜70nmであり、配向層と位相差層との密着性に優れる点から、好ましくは25nm〜40nmである。本発明に係る位相差フィルムは、前記範囲内の厚さの混合領域を有することにより、配向層と位相差層との密着性に優れ、高温高湿下に長時間保存した後においても、配向層と位相差層との間の浮きが抑制される。そのため、製造ライン上での光照射や加熱による温度や湿度の環境変化に曝した場合にも、密着性が保たれ、配向層と位相差層との間の浮きが抑制される。
なお、前記混合領域の厚さは、例えば、配向層の厚さ、位相差層形成用組成物に含まれる溶剤の種類及び溶剤の含有量、位相差層形成用組成物の塗膜の乾燥条件等を調整することによって適宜調整することができる。配向層を厚くするほど、混合領域も厚くなる傾向がある。また、位相差層形成用組成物に含まれる溶剤に対する配向層形成用組成物の溶解性が高いほど、また位相差層形成用組成物に含まれる溶剤量が多いほど、混合領域は厚くなる傾向がある。
<浸透層>
本発明においては、光照射をすることで、乾燥した配向層形成用組成物の塗膜が、光配向すると同時に硬化することにより、配向層が形成されると共に、アクリル樹脂基材に前記光配向性化合物が浸透した浸透層を形成してもよい。ここで浸透層とは、少なくとも、アクリル樹脂基材の成分と、光配向性化合物とが混合した層をいう。
本発明においては、アクリル樹脂基材と配向層との密着性を向上することができる点から、浸透層を有することが好ましい。
当該浸透層の存在は、例えば、位相差フィルムの断面の電子顕微鏡写真、断面の顕微IRによるマッピングやTOF−SIMS法によって、確認することができる。
<位相差層>
本発明において位相差層は、前記配向層が有する配向規制力により、液晶性化合物が規則的に配列し、位相差性が付与された層である。本発明において位相差層は、通常、位相差層形成用組成物又はその硬化物からなる。
位相差層形成用組成物は、通常、液晶性化合物を含有するものであり、通常、更に溶媒を含有する。また、液晶性化合物の配向を阻害しない範囲で、更に他の成分を含むものであってもよい。
液晶性化合物は、一般に、屈折率異方性が大きいため、位相差フィルムに所望の位相差性を付与しやすい。
液晶性化合物としては、例えば、ネマチック液晶性化合物、コレステリック液晶性化合物、カイラルネマチック液晶性化合物、スメクチック液晶性化合物、ディスコチック液晶性化合物を挙げることができる。また、液晶分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられる。重合性官能基を有するものであれば、光の照射によって光重合開始剤から発生したラジカル、または電子線等の作用により、液晶性化合物を架橋することができるため位相差フィルムの安定性が向上する。
本発明においては、位相差ムラや光軸ずれのない位相差層を形成しやすい点から、相転移温度が40〜115℃の液晶性化合物を用いることが好ましく、60〜90℃の液晶性化合物を用いることがより好ましい。なお本発明において液晶性化合物の相転移温度とは、液晶性化合物が光学的異方性を有するいわゆる液晶相から光学的異方性を有しない等方相へ変化する温度をいう。
本発明に用いられる液晶性化合物の具体例としては、下記式(1)〜(17)で表される化合物を例示することができる。
なお、本発明において上記液晶性化合物は、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記位相差層形成用組成物に含まれる溶剤は、特に限定されず、例えば、前記配向層形成用組成物に用いられる溶剤と同様のものを挙げることができる。前記溶剤は、配向層形成用組成物の組成等に応じて、後述する混合領域の厚みを本発明で特定する範囲とするために、適宜選択することができる。具体的には、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)及びメチルエチルケトン(MEK)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む配向層形成用組成物を用いる場合には、位相差層形成用組成物に含まれる溶剤としてメチルイソブチルケトン(MIBK)及び酢酸エチルから選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
また、前記位相差層形成用組成物に含まれる溶剤の含有量は、前記位相差層形成用組成物の塗布性及び混合領域の厚み等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、混合領域の厚みを本発明で特定する範囲とすることが容易な点から、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
前記位相差層の厚みと前記混合領域の厚みとの合計厚みは、所望の面内リタデーション値が得られるように、前記液晶性化合物の種類等に応じて適宜決定すればよい。中でも、位相差層の厚みと混合領域の厚みとの合計厚みは0.5μm〜4μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜3μmの範囲内であることがより好ましく、1μm〜2μmの範囲内であることがさらに好ましい。
また、パターン位相差フィルムの場合は、例えば、特開2012−14064号公報に記載の方法等を参考にして製造することができる。
[偏光板一体型位相差フィルム]
本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムは、前記本発明に係る位相差フィルムの少なくとも一方の面に、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物の硬化物からなる接着層と、偏光子とをこの順に備えることを特徴とする。
本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムの製造方法は、以下の(i)〜(iii)の工程を有する位相差フィルム作製工程と、
(i)アクリル樹脂基材を準備する工程
(ii)シンナメート系光配向性化合物を含む配向層形成用組成物を、前記アクリル樹脂基材の一面側に塗布し、乾燥し、光照射することにより、配向層を形成する配向層形成工程
(iii)前記配向層上に、液晶性化合物を含む位相差層形成用組成物を塗布し、前記液晶性化合物を配向させることにより、位相差層を形成し、且つ、前記配向層と前記位相差層との間に、前記配向層に含まれる化合物及び前記位相差層に含まれる化合物を含み、平均厚さが25nm〜70nmである混合領域を形成する、位相差層及び混合領域形成工程
前記位相差フィルムの少なくとも一方の面に、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物を塗布する接着層形成用組成物塗布工程と、
前記塗布された接着層形成用組成物上に、偏光子を積層する、偏光子積層工程と、
電離放射線を照射し、前記接着層形成用組成物を硬化させることにより、接着層を形成する接着層形成工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムは、前記本発明に係る位相差フィルムを用いるため、高温高湿下における耐久性に優れる。よって、製造ライン上で行われる光照射や加熱等による温度や湿度等の環境変化によっても密着性が悪化しない。そのため、位相差フィルムと偏光板とを貼合する接着層形成用組成物の硬化反応を開始するための電離放射線照射を、位相差フィルムと偏光板とが重ね合わされた状態で行うことができる。電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物により形成される接着層は、従来一般的に用いられている粘着フィルムに比べて膜厚を薄くすることができる。そのため、本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムは、薄型化にも好適である。
本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムを、図を参照して説明する。図2は、本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムの一例を示す模式断面図である。図2に示す偏光板一体型位相差フィルム20は、アクリル樹脂基材11の一面側に、前記アクリル樹脂基材11側から、配向層12と混合領域13と位相差層14とをこの順に有する位相差フィルム10の位相差層14側の面に、接着層21と、偏光子22とをこの順に備える。
なお、図示はしないが、本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムは、位相差フィルム10のアクリル樹脂基材11側の面に接着層21と、偏光子22とをこの順に備えるものであってもよい。
以下、本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムの各構成及び製造方法について説明する。
なお、位相差フィルムについての説明は、前述した本発明に係る位相差フィルムと同様であるので、ここでは省略する。
<接着層>
本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムが備える接着層は、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物の硬化物からなる。
前記電離放射線硬化性樹脂としては、特に限定はされないが、例えば、イソシアネート系、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤や、ゴム系接着剤等が挙げられる。
前記接着層の厚みは、特に限定されないが、薄型化の観点から、0.1〜2μmであることが好ましく、0.5〜1μmであることがより好ましい。
<偏光子>
本発明において偏光子は、従来公知の偏光子の中から適宜選択して用いることができる。例えば、沃素又は染料により染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を用いることができる。
本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムの厚みは、特に限定されないが、薄型化に好適であることから、好ましい態様においては85μm以下とすることができ、より好ましい態様においては70μm以下とすることができる。
<製造方法>
本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムの製造方法においては、まず、位相差フィルムを作製する。
位相差フィルム作製工程においては、まず、前記(i)の工程により、アクリル樹脂基材を準備する。アクリル樹脂基材としては、前述した本発明に係る位相差フィルムに用いることができるアクリル樹脂基材を用いることができ、市販品を用いてもよい。
前記(ii)の配向層形成工程において、前記配向層形成用組成物を前記アクリル樹脂基材の一面側に塗布する方法は、アクリル樹脂基材表面に配向層形成用組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法、マイクログラビアコート法、スプレーコート法、スピンコート法等の公知の方法が用いられる。
前記(ii)の工程において、アクリル樹脂基材上への配向層形成用組成物の塗工量は、得られる配向層が所望の配向規制力を発現するものであればよく、適宜調整すればよい。中でも、配向層形成後且つ位相差層形成前における配向層の厚さが50〜300nmとなることが好ましく、100〜200nmとなることがより好ましい。配向層の厚さが前記範囲内であれば、配向層は配向規制力に優れ、混合領域の厚みを容易に好適な厚みとすることができる点から、配向層と位相差層との密着性にも優れる。
前記(ii)の工程においては、前記塗布方法のいずれかで塗布した後、配向層形成用組成物中に含まれる溶剤を乾燥する。
具体的な乾燥方法としては、例えば、ホットプレート又はオーブン等を用いて加熱乾燥する方法、ブロアー等で空気を吹き付けながら乾燥する方法等が挙げられる。具体的な乾燥温度としては、例えば、60℃〜200℃が挙げられ、80〜110℃が好ましい。乾燥時間としては、例えば0.4分〜60分が挙げられ、好ましくは0.5分〜10分程度の範囲内で適宜調整することが好ましい。
なお、ここで配向層形成用組成物の固形分濃度、配向層形成用組成物の乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間等を選定することにより、前記浸透層の厚みを調整できる。特に、乾燥条件の選定によって浸透層の厚みを調整する方法が好ましい。
前記乾燥は、浸透層の厚みを厚くするために、空気を吹き付けず20〜30℃で自然乾燥してもよい。
前記(ii)の工程において、光照射は、配向層中に含まれるシンナメート系光配向性化合物の配向規制力を発現するために偏光を露光する偏光露光工程である。当該光照射法は、従来公知の偏光露光方法の中から適宜選択すればよい。照射光としては、例えば、紫外線、可視光、電子線等が使用される。紫外線を照射する場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用することができる。
照射量は、配向層形成用組成物中に含まれる光配向性化合物が配向できる露光量となるように適宜調整すればよい。
また、パターン化された配向層を形成する場合には、例えば、シンナメート系光配向性化合物を含む配向層形成用組成物の塗膜に、第一の偏光紫外線を所望のパターンを有するマスクを介して照射し、次いで、第一の偏光紫外線の偏光軸と異なる偏光軸を有する第二の偏光紫外線をマスクを介さずに照射して、パターン状に配向規制力を付与した配向層を形成する偏光露光工程としてもよい。このような偏光露光工程として、例えば、特開2012−14064号公報等に記載の方法を用いることができる。偏光露光工程に用いられる偏光露光装置としては、従来公知のものを適宜選択して用いればよく、パターン化された配向層を形成する場合には、例えば、上記特開2012−14064号に記載の装置を用いることができる。
前記(iii)の位相差層及び混合領域形成工程においては、前記配向層上に、液晶性化合物を含む位相差層形成用組成物を塗布し、前記液晶性化合物を配向させて、位相差層を形成し、同時に混合領域を形成する工程である。前記(iii)の工程は、所望の厚みの位相差層及び混合領域を精度良く形成できる方法であれば特に限定されるものではない。中でも、混合領域の厚みの調整が容易な点から、位相差層形成用組成物を塗布し、乾燥させる工程を含むことが好ましい。塗布、乾燥、硬化の方法については、上記配向層形成工程と同様の方法を用いることができる。
なお、ここで位相差層形成用組成物の固形分濃度、位相差層形成用組成物の乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間等を選定することにより、前記混合領域の厚みを調整できる。例えば、位相差層形成用組成物の固形分濃度としては、20〜30質量%であることが好ましい。また、位相差層形成用組成物に含まれる溶剤がMIBK又は酢酸エチルの場合には、位相差層形成用組成物の乾燥温度としては、60〜80℃、乾燥風の風速としては、2.5〜10m/s、乾燥時間としては、0.5〜1分とすることにより、前記混合領域の厚みを容易に前記範囲内とすることができる。
本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムの製造方法においては、前記位相差フィルム作製工程により得られた位相差フィルムの少なくとも一方の面に、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物を塗布する接着層形成用組成物塗布工程と、前記塗布された接着層形成用組成物上に、偏光子を積層する、偏光子積層工程と、電離放射線を照射し、前記接着層形成用組成物を硬化させることにより、接着層を形成する接着層形成工程とを有する。
接着層形成用組成物塗布工程において、接着層形成用組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、前記配向層形成工程と同様の方法が挙げられる。
本発明に係る偏光板一体型位相差フィルムは、前述した本発明に係る位相差フィルムを用いるため、配向層と位相差層との密着性に優れ、層間での浮きの発生が抑制されるため、接着層形成工程において、電離放射線の照射は、偏光板と位相差フィルムとが重ね合わされた状態で行うことができる。
また、接着層形成工程において、電離放射線の照射は、紫外線照射が好適に用いられ、電離放射線の照射量は、接着層形成用組成物を硬化させることができる露光量となるように適宜調整される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
なお、実施例において、位相差フィルムの混合領域の厚みは以下のようにして測定された。
切削により断面を切り出し、断面部分を下記条件によりXPS(X線光電子分光法)分析を行った。位相差フィルムの断面において位相差層領域から配向層領域まで、表面分析を行い、炭素原子、酸素原子、窒素原子の構成比率を求めた。その結果、位相差層では、炭素原子と酸素原子の構成比率が80:20で窒素原子を含まないのに対し、配向層では、窒素原子と炭素原子と酸素原子の構成比率が4:75:21であった。位相差層と配向層の間に存在し、窒素原子を含むが、窒素原子と炭素原子と酸素原子の構成比率が配向層の構成比率とは異なり、窒素原子の構成比率が少なくなっている領域を混合領域とし、当該領域に相当する厚みを求めた。
なお、XPS分析は、XPS測定装置を用いて行った。400Wの出力で対陰極にMgを使用し、10−6Pa以下の真空下で測定した。測定結果を元に、各元素で最も強度の強いピーク面積の比較により、表面元素の構成比率を導いた。詳細には、C(1s軌道)、O(1s軌道)、N(1s軌道)のピーク面積の比率から、表面元素の構成比率を導いた。
また、上記で混合領域として認定された箇所において、顕微IRにより分析を行ったところ、液晶化合物が存在することも確認できた。
(実施例1)
アクリル樹脂基材に、光二量化反応型のシンナメート系光配向材料、窒素原子を含む化合物及びPGMEを含有する配向層形成用組成物を塗布し、100℃で1分乾燥させて乾燥後の膜厚が105nmの塗膜とした。当該塗膜に、偏光紫外線を10mJ/cm照射して配向層を形成した。次いで、配向層上に、液晶性化合物と、溶剤(メチルイソブチルケトン:酢酸エチル=90:10(質量比))を含む位相差層形成用組成物(固形分25質量%)を塗布し、位相差層形成用組成物の乾燥温度としては、80℃、乾燥風の風速としては、5〜7.5m/s、乾燥時間としては、1分間の条件で乾燥した。
次に、紫外線を照射することにより硬化させて、位相差層と混合領域の合計膜厚が1μmの位相差層を形成することにより、実施例1の位相差フィルム1を得た。位相差フィルム1の混合領域の厚さは25nmであり、配向層の厚さは80nmであった。また、TOF−SIMSにより、位相差フィルム1のアクリル樹脂基材と配向層との間に20nm厚みの浸透層があることを確認した。
(実施例2)
実施例1において、配向層形成用組成物の塗膜を、乾燥後の膜厚が180nmとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の位相差フィルム2を得た。位相差フィルム2の混合領域の厚さは35nmであり、配向層の厚さは145nmであり、浸透層の厚さは20nmであった。
(実施例3)
実施例1において、配向層形成用組成物の塗膜を、乾燥後の膜厚が300nmとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の位相差フィルム3を得た。位相差フィルム3の混合領域の厚さは70nmであり、配向層の厚さは230nmであり、浸透層の厚さは30nmであった。
(比較例1)
実施例1において、配向層形成用組成物の塗膜を、乾燥後の膜厚が316nmとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の比較位相差フィルム1を得た。比較位相差フィルム1の混合領域の厚さは75nmであり、配向層の厚さは241nmであり、浸透層の厚みは30nmであった。
(比較例2)
アクリル樹脂基材に、光二量化反応型の光配向材料、窒素原子を含む化合物を含有する配向層用硬化性組成物を塗布し、100℃で乾燥させて乾燥後の膜厚が80nmの塗膜とした。当該塗膜に、偏光紫外線を照射して配向層を形成した。次いで、配向層上に、液晶性化合物とメチルイソブチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールを含む位相差層用硬化性組成物を塗布し、紫外線を照射することにより硬化させて、膜厚が1μmの位相差層を形成することにより、比較例2の比較位相差フィルム2を得た。比較位相差フィルム2には混合領域は形成されておらず、配向層の厚さは80nmであり、浸透層の厚さは20nmであった。
<位相差フィルム密着性評価>
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた位相差フィルムを、温度80℃、湿度90%の高温高湿条件にて保管し、JIS K5400に準拠したクロスカット試験により、位相差フィルムの配向層と位相差層との密着性を評価するために、配向層と位相差層との間に浮きが生じるまでの時間を測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例4〜6及び比較例3〜4)
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた位相差フィルムを用いて、下記手順により、実施例4〜6及び比較例3〜4の偏光板一体型位相差フィルムを得た。
まず、位相差フィルムの少なくとも一方の面に、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物を塗布した。前記塗布された接着層形成用組成物上に、偏光子を積層した。その後、電離放射線を照射し、前記接着層形成用組成物を硬化させることにより接着層を形成し、偏光板一体型位相差フィルムを得た。
<偏光板一体型位相差フィルム密着性評価>
実施例4〜6及び比較例3〜4で得られた偏光板一体型位相差フィルムを、条件1として温度60℃、湿度90%の条件、及び条件2として温度85℃、湿度85%の条件下で、各々1000時間保管した後の配向層と位相差層との間における端部の浮きの有無を確認し、下記評価基準に基づいて密着性を評価した。評価結果を表2に示す。
[評価基準]
A:条件1及び条件2で、浮きがないことを確認した。
B:条件1及び条件2で、浮きが発生することを確認した。
10 位相差フィルム
11 アクリル樹脂基材
12 配向層
13 混合領域
14 位相差層
20 偏光板一体型位相差フィルム
21 接着層
22 偏光子

Claims (3)

  1. アクリル樹脂基材の一面側に、前記アクリル樹脂基材側から、シンナメート系光配向性化合物を含む配向層と、混合領域と、液晶性化合物を含む位相差層とをこの順に有し、
    前記混合領域は、前記配向層に含まれる化合物及び前記位相差層に含まれる化合物を含み、平均厚さが25nm〜70nmであることを特徴とする、位相差フィルム。
  2. 請求項1に記載の位相差フィルムの少なくとも一方の面に、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物の硬化物からなる接着層と、偏光子とをこの順に備える、偏光板一体型位相差フィルム。
  3. 以下の(i)〜(iii)の工程を有する位相差フィルム作製工程と、
    (i)アクリル樹脂基材を準備する工程
    (ii)シンナメート系光配向性化合物を含む配向層形成用組成物を、前記アクリル樹脂基材の一面側に塗布し、乾燥し、光照射することにより、配向層を形成する配向層形成工程
    (iii)前記配向層上に、液晶性化合物を含む位相差層形成用組成物を塗布し、前記液晶性化合物を配向させることにより、位相差層を形成し、且つ、前記配向層と前記位相差層との間に、前記配向層に含まれる化合物及び前記位相差層に含まれる化合物を含み、平均厚さが25nm〜70nmである混合領域を形成する、位相差層及び混合領域形成工程
    前記位相差フィルムの少なくとも一方の面に、電離放射線硬化性樹脂を含む接着層形成用組成物を塗布する接着層形成用組成物塗布工程と、
    前記塗布された接着層形成用組成物上に、偏光子を積層する、偏光子積層工程と、
    電離放射線を照射し、前記接着層形成用組成物を硬化させることにより、接着層を形成する接着層形成工程とを有する、偏光板一体型位相差フィルムの製造方法。
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