JP2009249482A - 液晶フィルムおよび該フィルムからなる光学フィルムを搭載した液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】長尺の基板上に形成される液晶性化合物層にしばしば発生するリング状欠点の発生を防止した液晶フィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも液晶性化合物および該液晶性化合物に対して0.01〜10質量%のパーフルオロアルキル基を有する界面活性剤を含有する液晶性組成物を含む溶液を基板上に塗布した後、液晶性組成物を配向させ、該配向を固定化して得られる、直径50μm以上の欠陥部が3個/m2以下である液晶フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は液晶フィルムに関する。詳しくは、液晶性組成物を液晶配向させた際の配向不良を抑制する処方を用いて作製された液晶フィルム及び当該フィルムを用いた光学フィルムを搭載した表示素子に関する。
位相差フィルムは、液晶表示装置の色補償用途や視野角拡大用途など画質向上に用いられるなど工業的に重要な役割を担っている。位相差フィルムとしては、プラスチックフィルムの延伸によるものと、液晶を配向させたものとに大別できる。後者は、多様な屈折率構造を実現できるポテンシャルをもっているため、より注目に値する。
これら光学素子には補償板面内の膜厚の高度の均一性、言い替えれば面内に膜厚むらの少ないことが要求される。この液晶表示素子用補償板の製造法として、液晶性化合物を基板上に均一に塗布するために、0.01〜10wt%の界面活性剤を液晶性化合物に対して添加し、配向基板上に形成せしめた液晶性化合物層を、透光性基板上に転写することよりなる製造法が提案されている(特許文献1)。しかし、界面活性剤の添加により液晶性化合物の膜厚の均一性は付与できるものの、配向基板上に微小な異物や凹凸等が存在すると、液晶性化合物の塗布時には発生しないものの、その後の乾燥、熱処理工程にて、液晶相を形成する温度に設定した際、異物や凹凸を中心として液晶性化合物のハジキが発生し、直径数十μm〜数mm程度のサイズでリング状に液晶性化合物が欠落した領域が形成されてしまう場合がしばしば見受けられる(このような欠点をリング状欠点と称する)。通常、液晶性化合物層は長尺の基板上に形成される。このためリング状欠点が発生すると歩留まりの低下が著しくなり、改善が要望されていた。
特開平05−333313号公報
本発明は、上記課題を解決した液晶フィルム、および該フィルムからなる光学フィルムを搭載した液晶表示素子を提供するものである。
本発明者らは、前記のリング状欠点の発生を抑止もしくは防止する手法の確立を検討した結果、特定の界面活性剤を特定量添加することにより前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 少なくとも液晶性化合物および該液晶性化合物に対して0.01〜10質量%のパーフルオロアルキル基を有する界面活性剤を含有する液晶性組成物を含む溶液を基板上に塗布した後、液晶性組成物を配向させ、該配向を固定化して得られる、直径50μm以上の欠陥部が3個/m2以下である液晶フィルム。
〔2〕 前記基板が配向層を有することを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶フィルム。
〔3〕 前記界面活性剤のパーフルオロアルキル基の炭素数が8未満であることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕に記載の液晶フィルム。
〔4〕 式(1)、式(2)または式(3)のいずれかで表されるオキセタン基を有する(メタ)アクリル化合物と、オキセタン基を有する液晶性化合物とからなる液晶性組成物により製造されることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の液晶フィルム。
Figure 2009249482
(式(1)、式(2)および式(3)において、Rは、それぞれ独立に、水素またはメチル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Lは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表し、mは、それぞれ独立に、1から10までの整数であり、nは、それぞれ独立に、0から10までの整数である。)
〔5〕 オキセタン基を有する液晶性化合物が、主鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする上記〔4〕に記載の液晶フィルム。
〔6〕 オキセタン基を有する液晶性化合物が、側鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする上記〔4〕に記載の液晶フィルム。
〔7〕 オキセタン基を有する液晶性化合物が、式(4)で表される側鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする〔4〕に記載の液晶フィルム。
Figure 2009249482
(式(4)において、Rは、それぞれ独立に、水素またはメチル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シアノ基、ブロモ基、クロロ基、フルオロ基またはカルボキシル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Rは、炭素数1から24までの炭化水素基を表し、Lは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、pは、1から10までの整数を表し、qは0から10までの整数を表し、a、b、c、d、eおよびfは、ポリマー中の各ユニットのモル比(a+b+c+d+e+f=1.0、ただし、c+d+e=0ではない。)を表す。)
〔8〕 液晶性組成物が、式(5)で表されるジオキセタン化合物を含有することを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の液晶フィルム。
Figure 2009249482
(式(5)において、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Lは、それぞれ独立に、−(CH−(nは1〜12の整数)を表し、Xは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表し、Mは、式(6)または式(7)で表されるいずれかであり、式(6)および式(7)中のPは、それぞれ独立に式(8)から選ばれる基を表し、Pは式(9)から選ばれる基を表し、Lは、それぞれ独立に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。)
−P−L−P−L−P− (6)
−P−L−P− (7)
Figure 2009249482
Figure 2009249482
(式(8)および式(9)において、Et、iPr、nBuおよびtBuは、それぞれエチル基、イソプロピル基、ノルマル−ブチル基およびターシャリー−ブチル基を表す。)
〔9〕 液晶性組成物の組成(質量比)が、式(1)〜(3)で表されるいずれかのオキセタン基を有する化合物:オキセタン基を有する液晶性化合物:式(5)で表されるジオキセタン化合物=1〜30:100:0〜40であることを特徴とする上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の液晶フィルム。
〔10〕 液晶性組成物が光カチオン発生剤および/または熱カチオン発生剤を含むことを特徴とする上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の液晶フィルム。
〔11〕 液晶性組成物の液晶相がネマチック相、ねじれネマチック相、スメクチック相、コレステリック相のいずれかであることを特徴とする上記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の液晶フィルム。
〔12〕 液晶性組成物の配向がホモジニアス配向、チルト配向、ハイブリッド配向、ホメオトロピック配向のいずれかであることを特徴とする上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の液晶フィルム。
〔13〕 上記〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の液晶フィルムを配向基板とは異なる基板へ転写して得られる光学フィルム。
〔14〕 上記〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の液晶フィルムを配向基板とは異なる基板へ転写した後、配向基板とは異なる基板を剥離して得られる光学フィルム。
〔15〕 液晶セルの少なくとも片側の面に上記〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の液晶フィルムまたは上記〔13〕若しくは〔14〕に記載の光学フィルムを配置した液晶表示装置。
本発明の液晶フィルムや光学フィルムは、製造時に発生する配向欠点を極めて少なくでき、最終製品とする場合の歩留まりが高く、液晶表示装置の視角拡大や色補償用のフィルムとして好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液晶フィルムは、少なくとも液晶性化合物および該液晶性化合物に対して0.01〜10質量%のパーフルオロアルキル基を有する界面活性剤を含有する液晶性組成物を含有する溶液を基板上に塗布した後、液晶性組成物を配向させ、該配向を固定化して得られる。
液晶性化合物として使用される材料は、後述するような液晶相挙動をとる材料であればよく、低分子液晶化合物、液晶性高分子化合物やこれらの混合物からなる材料であってもよい。
前記の低分子液晶化合物は光や熱により反応する反応性基を結合した化合物が配向を容易に固定化できるので好ましい。反応性基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、オキシラン基、オキセタン基、アジリジニル基等が好ましいが、他の反応性基、例えばイソシアナート基、水酸基、アミノ基、酸無水物基、カルボキシル基なども反応条件等によっては使用することができる。
前記の液晶性高分子化合物には主鎖型液晶性高分子化合物と側鎖型液晶性高分子化合物とがあるがいずれも使用することができる。
主鎖型液晶性高分子化合物としては、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリカーボネート等が挙げられる。なかでも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点などの面から液晶性ポリエステルが好ましく、カチオン重合性基を結合した主鎖型液晶性ポリエステルが特に好ましい。
側鎖型液晶性高分子化合物としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリマロネート、ポリシロキサン等を挙げることができる。これらの液晶性高分子化合物は前記の反応性基を結合したものが好ましい。
本発明で用いる液晶性組成物は、前記の液晶性化合物を含むものであり、かかる液晶性組成物としては、式(1)、式(2)または式(3)のいずれかで表されるオキセタン基を有する(メタ)アクリル化合物と、オキセタン基を有する液晶性化合物とからなるものが好適に用いられる。
Figure 2009249482
式(1)、式(2)および式(3)において、Rは、それぞれ独立に、水素またはメチル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Lは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表し、mは、それぞれ独立に、1から10までの整数であり、nは、それぞれ独立に、0から10までの整数である。
これらの式(1)、(2)および(3)に該当する化合物は種々挙げることができるが、必ずしも液晶性を有する必要はない。より具体的には、下記化合物を好ましい例として挙げることができる。
Figure 2009249482
これらのオキセタン基を有する(メタ)アクリル化合物の合成法は特に制限されるものではなく、通常の有機化学の合成法で用いられる方法を適用することによって合成することができる。
例えば、ウィリアムソンのエーテル合成や、縮合剤を用いたエステル合成などの手段でオキセタン基を持つ部位と(メタ)アクリル基を持つ部位をつなげることで、オキセタン基と(メタ)アクリル基との全く異なる2つの反応性基を持つオキセタン基を有する(メタ)アクリル化合物を合成することができる。
合成にあたっては、オキセタン基がカチオン重合性を有するため、強い酸性条件下では、重合や開環などの副反応を起こすことを考慮して、反応条件を選ぶ必要がある。これらの反応条件は後記する一般式(5)で表される化合物の合成のところで詳述する。
本発明において用いられるオキセタン基を有する液晶性化合物は、オキセタン基を有する主鎖型高分子液晶性化合物でも、オキセタン基を有する側鎖型高分子液晶性化合物でもよい。
オキセタン基を有する主鎖型高分子液晶性化合物としては、オキセタン基を有し液晶性を示すポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等を挙げることができるが、配向性や合成の容易さ等からポリエステルが好ましい。
本発明で用いるオキセタン基を有する主鎖型液晶性ポリエステルとは、芳香族ジオール単位(以下、構造単位(A)という。)、芳香族ジカルボン酸単位(以下、構造単位(B)という。)および芳香族ヒドロキシカルボン酸単位(以下、構造単位(C)という。)のうち少なくとも2種を必須単位として含み、かつ主鎖末端の少なくとも一方にカチオン重合性基であるオキセタン基を有する構造単位を含む主鎖型液晶性ポリエステル、である。
以下に、構造単位(A)、(B)および(C)について順次説明する。
構造単位(A)を導入するための化合物としては下記一般式で表される化合物が好ましく、具体的には、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等若しくはそれらの置換体、4,4’―ビフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,6−ナフタレンジーオールなどが挙げられ、特に、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等若しくはそれらの置換体が好ましい。
Figure 2009249482
ただし、式中の−Xは、−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CNのいずれかの基であり、特に下記式で表される化合物が好ましい。
Figure 2009249482
構造単位(B)を導入するための化合物としては下記一般式で表される化合物が好ましく、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等若しくはそれらの置換体、4,4'−スチルベンジカルボン酸若しくはその置換体、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等若しくはそれらの置換体が好ましい。
Figure 2009249482
ただし、式中の−Xは、−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CNのいずれかの基を表す。
構造単位(C)を導入するための化合物としては下記一般式で表される化合物が好ましく、具体的には、ヒドロキシ安息香酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−スチルベンカルボン酸若しくはその置換体、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ桂皮酸などが挙げられ、特に、ヒドロキシ安息香酸およびその置換体、4'−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−スチルベンカルボン酸若しくはその置換体が好ましい。
Figure 2009249482
ただし、式中の−X、−X1、−X2は、それぞれ個別に、−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CNのいずれかの基を表す。
前記の主鎖型液晶性ポリエステルは、構造単位として、(A)芳香族ジオール単位、(B)芳香族ジカルボン酸単位、および(C)芳香族ヒドロキシカルボン酸単位のうちから少なくとも2種と、さらに主鎖末端の少なくとも一方にオキセタン基を有する構造単位(以下、構造単位(D)という。)を必須の構造単位として含み、かつサーモトロピック液晶性を示すものであればよく、他の構造単位はこれら条件を満足する限り特に限定されるものではない。
主鎖型液晶性ポリエステルを構成する構造単位(A)、(B)および(C)の全構造単位に占める割合は、構造単位(A)、(B)および(C)がジオールあるいはジカルボン酸あるいはヒドロキシカルボン酸として全モノマーの仕込み量に対して占める重量和の比率で表した場合、通常20〜99%、好ましくは30〜95%、特に好ましくは40〜90%の範囲である。20%より少ない場合には、液晶性を発現する温度領域が極端に狭くなるおそれがあり、また99%を越える場合には、本発明の主鎖型液晶性ポリエステルに必須なカチオン重合性基を有する単位が相対的に少なくなり、配向保持能、機械的強度の向上が得られない恐れがあり、どちらの場合も好ましくない。
次にオキセタン基を有する構造単位(D)について説明する。構造単位(D)を導入するための化合物としては、下記の一般式に示すようなフェノール性水酸基あるいはカルボキシル基を有する芳香族化合物に、オキセタン基が結合した化合物が挙げられる。また、芳香環とオキセタン基との間には、適当なスペーサー部分を有していても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲で、オキセタン基以外のカチオン重合性基、例えば、エポキシ基、ビニルオキシ基等を併用してもよい。
Figure 2009249482
ただし、式中の−X、−X1、−X2、−Y、−Zは、各構造単位毎にそれぞれ独立に以下に示すいずれかの基を表す。
(1)−X、−X、−X:−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CN
(2)−Y:単結合、−(CH−、−O−、−O−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−(CH−、−CO−O−(CH−、−(CH−O−CO−、−(CH−CO−O−、−O−(CH−O−CO−、−O−(CH−CO−O−、−O−CO−(CH−O−、−CO−O−(CH−O−、−O−CO−(CH−O−CO−、−O−CO−(CH−CO−O−、−CO−O−(CH−O−CO−、または−CO−O−(CH−CO−O−(ただし、nは1〜12の整数を示す。)
(3)Z:
Figure 2009249482
構造単位(D)の中では、オキセタン基を含む置換基とフェノール性水酸基あるいはカルボキシル基の結合位置は、これらの基が結合する骨格がベンゼン環の場合は1,4−の位置関係を、ナフタレン環の場合は2,6−の位置関係を、ビフェニル骨格、スチルベン骨格の場合は4,4'−の位置関係にあるものが液晶性の点から好ましい。より具体的には、4−ビニルオキシ安息香酸、4−ビニルオキシフェノール、4−ビニルオキシエトキシ安息香酸、4−ビニルオキシエトキシフェノール、4−グリシジルオキシ安息香酸、4−グリシジルオキシフェノール、4−(オキセタニルメトキシ)安息香酸、4−(オキセタニルメトキシ)フェノール、4'−ビニルオキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−ビニルオキシ−4−ヒドロキシビフェニル、4'−ビニルオキシエトキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−ビニルオキシエトキシ−4−ヒドロキシビフェニル、4'−グリシジルオキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−グリシジルオキシ−4−ヒドロキシビフェニル、4'−オキセタニルメトキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−4−ヒドロキシビフェニル、6−ビニルオキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−ビニルオキシ−2−ヒドロキシナフタレン、6−ビニルオキシエトキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−ビニルオキシエトキシ−2−ヒドロキシナフタレン、6−グリシジルオキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシナフタレン、6−オキセタニルメトキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−オキセタニルメトキシ−2−ヒドロキシナフタレン、4−ビニルオキシ桂皮酸、4−ビニルオキシエトキシ桂皮酸、4−グリシジルオキシ桂皮酸、4−オキセタニルメトキシ桂皮酸、4'−ビニルオキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシ−4−ヒドロキシスチルベン、4'−ビニルオキシエトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシエトキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシエトキシ−4−ヒドロキシスチルベン、4'−グリシジルオキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−グリシジルオキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−グリシジルオキシ−4−ヒドロキシスチルベン、4'−オキセタニルメトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−4−ヒドロキシスチルベンなどが好ましい。
オキセタン基を有する構造単位(D)の主鎖型液晶性ポリエステルを構成する全構造単位に占める割合は、同様に構造単位(D)をカルボン酸あるいはフェノールとして仕込み組成中の重量割合で表した場合、通常1〜60%、好ましくは5〜50%の範囲である。1%よりも少ない場合には、配向保持能、機械的強度の向上が得られない恐れがあり、また60%を越える場合には、結晶性が上がることにより液晶温度範囲が狭まり、どちらの場合も好ましくない。
(A)〜(D)の各構造単位は、それぞれ1つまたは2つのカルボキシル基あるいはフェノール性水酸基を有しているが、(A)〜(D)の有するカルボキシル基、フェノール性水酸基は、仕込みの段階においてそれぞれの官能基の当量数の総和を概ねそろえることが望ましい。すなわち、構造単位(D)が遊離のカルボキシル基を有する単位である場合には、((A)のモル数×2)=((B)のモル数×2)+((D)のモル数)、構造単位(D)が遊離のフェノール性水酸基を有する単位である場合には、((A)のモル数×2)+((D)のモル数)=((B)のモル数×2)なる関係を概ね満たすことが望ましい。この関係式から大きく外れる仕込み組成の場合には、カチオン重合に関わる単位以外のカルボン酸あるいはフェノール、もしくはそれらの誘導体が分子末端となることになり、十分なカチオン重合性が得られないばかりか、これら酸性の残基が存在することにより、プロセス上の望む段階以外で重合反応や分解反応が起きてしまうおそれがあり好ましくない。
主鎖型液晶性ポリエステルは、(A)、(B)、(C)および(D)以外の構造単位を含有することができる。含有することができる他の構造単位としては、特に限定はなく当該分野で公知の化合物(モノマー)を使用することができる。例えば、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸およびこれら化合物にハロゲン基やアルキル基を導入した化合物や、ビフェノール、ナフタレンジオール、脂肪族ジオールおよびこれら化合物にハロゲン基やアルキル基を導入した化合物等を挙げることができる。また、主鎖型液晶性ポリエステルを構成する単位の原料として光学活性な化合物を用いた場合、該主鎖型液晶性ポリエステルにカイラルな相を付与せしめることが可能となる。かかる光学活性な化合物としては特に制限はないが、例えば、光学活性な脂肪族アルコール(C2n+1OH、たただしnは4から14の整数を表す。)、光学活性な脂肪族基を結合したアルコキシ安息香酸(C2n+1O−Ph−COOH、ただしnは4から14の整数、Phはフェニル基を表す。)、メントール、カンファー酸、ナプロキセン誘導体、ビナフトール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチルブタンジオール、2−クロロブタンジオール、酒石酸、メチルコハク酸、3−メチルアジピン酸、イソソルビド、イソマンニドなどを挙げることができる。
前記の主鎖型液晶性ポリエステルの分子量は、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(質量比60/40)中、30℃で測定した対数粘度ηが0.03〜0.50dl/gが好ましく、より好ましくは0.05〜0.15dl/gである。ηが0.03dl/gより小さい場合には、主鎖型液晶性ポリエステルの溶液粘度が低く、フィルム化する際に均一な塗膜が得られない恐れがある。また、0.50dl/gより大きい場合には、液晶配向時に要する配向処理温度が高くなり、配向と重合が同時に起きやすく配向性を低下させる危険性がある。
主鎖型液晶性ポリエステルの分子量制御は専ら仕込み組成により決定される。具体的には分子両末端を封印する形で反応する1官能性モノマー、すなわち前記した構造単位(D)を導入するための化合物の、全仕込み組成における相対的な含有量により、得られる主鎖型液晶性ポリエステルの平均的な重合度(構造単位(A)〜(D)の平均結合数)が決定される。したがって、所望の対数粘度を有する主鎖型液晶性ポリエステルを得るためには、仕込みモノマーの種類に応じて仕込み組成を調整する必要がある。
主鎖型液晶性ポリエステルの合成方法としては、通常のポリエステルを合成する際に用いられる方法を採ることができ、特に限定されるものではない。例えば、カルボン酸単位を酸クロリドやスルホン酸無水物などに活性化し、それを塩基の存在下でフェノール単位と反応させる方法(酸クロリド法)や、カルボン酸単位とフェノール単位をDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)などの縮合剤を用いて直接縮合させる方法、フェノール単位をアセチル化して、これとカルボン酸単位とを溶融条件下で脱酢酸重合する方法などを用いることが出来る。ただし、溶融条件下での脱酢酸重合を用いる場合には、オキセタン基を有するモノマー単位が反応条件下で重合や分解反応を起こすおそれがあるため、反応条件を厳密に制御する必要がある場合が多く、場合によっては適当な保護基を用いたり、あるいは一度別な官能基を有する化合物を反応させておいてから、後でオキセタン基を導入するなどの方法を採ることが望ましい場合もある。また、重合反応により得られた粗主鎖型液晶性ポリエステルを、再結晶、再沈などの方法により精製してもよい。
このようにして得られた主鎖型液晶性ポリエステルは、NMR(核磁気共鳴法)などの分析手段により、それぞれのモノマーがどのような比率で主鎖型液晶性ポリエステル中に存在するかを同定することができる。特に、オキセタン基の量比から、主鎖型液晶性ポリエステルの平均結合数を算出する事ができる。
また、前記主鎖型高分子液晶性化合物に替えて側鎖型高分子液晶性化合物を用いてもよく、かかる側鎖型高分子液晶性化合物としては、下記式(4)で表される高分子液晶性化合物を挙げることができる。
Figure 2009249482
式(4)において、Rは、それぞれ独立に、水素またはメチル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シアノ基、ブロモ基、クロロ基、フルオロ基またはカルボキシル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Rは、炭素数1から24までの炭化水素基を表し、Lは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、pは、1から10までの整数を表し、qは0から10までの整数を表し、a、b、c、d、eおよびfは、ポリマー中の各ユニットのモル比(a+b+c+d+e+f=1.0、ただし、c+d+e=0ではない。)を表す。
式(4)で表される側鎖型高分子液晶性化合物を構成する各成分のモル比は、a+b+c+d+e+f=1.0であり、c+d+e=0ではなく、かつ、液晶性を示すことが必要である。この要件を満たせば各成分のモル比は任意でよいが、以下のとおりであることが好ましい。
a:好ましくは0〜0.80、より好ましくは0.05〜0.50
b:好ましくは0〜0.90、より好ましくは0.10〜0.70
c:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
d:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
e:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
f:好ましくは0〜0.30、より好ましくは0.01〜0.10
は、好ましくは、水素、メチル基、ブチル基、メトキシ基、シアノ基、ブロモ基、フルオロ基であり、特に好ましくは、水素、メトキシ基、またはシアノ基であり、また、Lは、好ましくは、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−である。さらに、Rは、好ましくは、炭素数2、3、4、6、8または18の炭化水素基である。
前記の側鎖型高分子液晶性化合物は、各成分a〜fの比や配向形態により複屈折率が変化するが、ネマチック配向をとった場合の複屈折率は0.001〜0.300であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.25 である。
前記の側鎖型高分子液晶性化合物は、各成分に該当するそれぞれの(メタ)アクリル化合物の(メタ)アクリル基をラジカル重合またはアニオン重合により共重合することにより容易に合成することができる。重合条件は特に限定されるものではなく、通常の条件を採用することができる。
ラジカル重合の例としては、各成分に該当する(メタ)アクリル化合物をジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの溶媒に溶かし、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や過酸化ベンゾイル(BPO)などを開始剤として、60〜120℃で数時間反応させる方法が挙げられる。また、液晶相を安定に出現させるために、臭化銅(I)/2,2’−ビピリジル系や2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ・フリーラジカル(TEMPO)系などを開始剤としたリビングラジカル重合を行い、分子量分布を制御する方法も有効である。これらのラジカル重合は脱酸素条件下に行う必要がある。
アニオン重合の例としては、各成分に該当する(メタ)アクリル化合物をテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒に溶かし、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、グリニャール試薬などの強塩基を開始剤として、反応させる方法が挙げられる。また、開始剤や反応温度を最適化することでリビングアニオン重合とし、分子量分布を制御することもできる。これらのアニオン重合は、脱水かつ脱酸素条件で行う必要がある。
側鎖型高分子液晶性化合物は、重量平均分子量が1,000〜200,000であるものが好ましく、3,000〜50,000のものが特に好ましい。
本発明の液晶性組成物は、さらに下記一般式(5)で表されるジオキセタン化合物を含有することが好ましい。一般式(5)で表されるジオキセタン化合物は、液晶性の有無を問わず使用できるが、液晶性を示すものが好ましい。
Figure 2009249482
式(5)において、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Lは、それぞれ独立に、−(CH−(nは1〜12の整数)を表し、Xは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表し、Mは、式(6)または式(7)で表されるいずれかであり、式(6)および式(7)中のPは、それぞれ独立に、式(8)から選ばれる基を表し、Pは式(9)から選ばれる基を表し、Lは、それぞれ独立に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。
−P−L−P−L−P− (6)
−P−L−P− (7)
Figure 2009249482
Figure 2009249482
式(8)および式(9)において、Et、iPr、nBuおよびtBuは、それぞれエチル基、イソプロピル基、ノルマル−ブチル基およびターシャリー−ブチル基を表す。
より具体的には、M基から見て左右のオキセタン基を結合している連結基は異なっても(非対称型)、同一でも(対称型)よく、液晶性は構造により異なるが示さなくともよい。
一般式(5)で表される化合物は、L、XおよびMの組み合わせから多くの化合物が例示されるが、好ましくは、下記の化合物を挙げることができる。
Figure 2009249482
これらの化合物は有機化学における通常の合成方法に従って合成することができ、合成方法は特に限定されるものではない。
合成にあたっては、オキセタン基がカチオン重合性を有するため、強い酸性条件下では、重合や開環などの副反応を起こすことを考慮して、反応条件を選ぶ必要がある。なお、オキセタン基は類似のカチオン重合性官能基であるオキシラン基などと比べて、副反応を起こす可能性が低い。さらに、類似したアルコール、フェノール、カルボン酸などの各種化合物をつぎつぎに反応させることもあり、適宜保護基の活用を考慮してもよい。
より具体的な合成方法としては、例えば、ヒドロキシ安息香酸を出発化合物として、ウィリアムソンのエーテル合成法等によりオキセタン基を結合させ、次いで得られた化合物と本発明に適したジオールとを、酸クロリド法やカルボジイミドによる縮合法等を用いて結合させる方法や、逆に予めヒドロキシ安息香酸の水酸基を適当な保護基で保護し、本発明に適したジオールと縮合後、保護基を脱離させ、適当なオキセタン化合物、例えばハロアルキルオキセタン等と水酸基とを反応させる方法などが挙げられる。
オキセタン化合物と水酸基との反応は、用いられる化合物の形態や反応性により適した反応条件を選定すればよいが、通常、反応温度は−20℃〜180℃、好ましくは10℃〜150℃が選ばれ、反応時間は10分〜48時間、好ましくは30分〜24時間である。これらの範囲外では反応が充分に進行しなかったり、副反応が生じたりして好ましくない。また、両者の混合割合は、水酸基1当量につき、オキセタン化合物0.8〜1.2当量が好ましい。
反応は、無溶媒でも可能であるが、通常は適当な溶媒下で行われる。使用される溶媒は目的とする反応を妨害しなければ特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、安息香酸エチル等のエステル類やこれらの混合物が挙げられる。
なお、一般式(1)〜(3)および一般式(5)で表される化合物は合成後、必要に応じて再結晶やクロマトグラフィーなどによって精製を行ってもよい。特に結晶性がある程度高いものについては、再結晶は有効な手段であり、常温で再結晶が不可能な化合物についても、−20℃などの低温に冷却することで再結晶が可能になることもある。
本発明で用いる液晶性組成物においては、前記の低分子液晶化合物や高分子液晶性化合物の他に、液晶性を損なわずに混和し得る種々の化合物を含有することができる。含有することができる化合物としては、オキセタニル基、オキシラン基、ビニルオキシ基などのカチオン重合性官能基を有する化合物、フィルム形成能を有する各種の高分子物質、液晶性を示す各種の低分子液晶性化合物や高分子液晶性化合物などが挙げられる。前記の側鎖型液晶性高分子化合物を組成物として用いる場合、組成物全体に占める前記の側鎖型液晶性高分子化合物の割合は、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。側鎖型液晶性高分子化合物の含有量が10質量%未満ではフィルム形成能が不足したり組成物中に占める重合性基の濃度が低くなり、重合後の機械的強度が不十分となるため好ましくない。
本発明の液晶性組成物において、式(1)〜(3)で表されるいずれかのオキセタン基を有する化合物と、オキセタン基を有する液晶性化合物と、必要に応じて添加される式(5)で表されるジオキセタン化合物の各成分の組成(質量比)は、式(1)〜(3)で表されるオキセタン基を有する化合物:オキセタン基を有する液晶性化合物:式(5)で表されるジオキセタン化合物=1〜30:100:0〜40、好ましくは、3〜20:100:5〜30である。この範囲外では、液晶性組成物層と粘着剤や接着剤との接着性が不十分になったり、液晶フィルムが脆くなったりして好ましくない。
前記液晶性組成物は配向処理された後、当該組成物に含まれるカチオン重合性基を重合させて架橋することにより、当該液晶状態が固定化される。これにより、液晶フィルムの耐熱性が向上する。従って、カチオン重合を容易に速やかに進行させるため、液晶組成物中に、光や熱などの外部刺激でカチオンを発生する光カチオン発生剤および/または熱カチオン発生剤を含有させておくことが好ましい。また必要によっては各種の増感剤を併用してもよい。
光カチオン発生剤とは、適当な波長の光を照射することによりカチオンを発生できる化合物を意味し、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系などを例示することが出来る。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェート、ボレートなどが好ましく用いられる。具体的な化合物としては、ArSbF 、ArBF 、ArPF (ただし、Arはフェニル基または置換フェニル基を示す。)などが挙げられる。また、スルホン酸エステル類、トリアジン類、ジアゾメタン類、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、ベンゾインスルホナートなども用いることができる。
熱カチオン発生剤とは、適当な温度に加熱されることによりカチオンを発生できる化合物であり、例えば、ベンジルスルホニウム塩類、ベンジルアンモニウム塩類、ベンジルピリジニウム塩類、ベンジルホスホニウム塩類、ヒドラジニウム塩類、カルボン酸エステル類、スルホン酸エステル類、アミンイミド類、五塩化アンチモン−塩化アセチル錯体、ジアリールヨードニウム塩−ジベンジルオキシ銅、ハロゲン化ホウ素−三級アミン付加物などを挙げることができる。
これらのカチオン発生剤の液晶性組成物中への添加量は、用いる主鎖型または側鎖型液晶性高分子化合物を構成するメソゲン部分やスペーサ部分の構造や、オキセタン基当量、液晶性組成物の配向条件などにより異なるため一概には言えないが、主鎖型または側鎖型液晶性高分子化合物に対し、通常100質量ppm〜20質量%、好ましくは1000質量ppm〜10質量%、より好ましくは0.5質量%〜8質量%、最も好ましくは1質量%〜6質量%の範囲である。100質量ppmよりも少ない場合には、発生するカチオンの量が十分でなく重合が進行しないおそれがあり、また20質量%よりも多い場合には、液晶フィルム中に残存するカチオン発生剤の分解残存物等が多くなり耐光性などが悪化するおそれがあるため好ましくない。
本発明で用いる液晶性組成物においては、前記の主鎖型または側鎖型高分子液晶性化合物の他に、液晶性を損なわずに混和し得る種々の化合物を含有することができる。含有することができる化合物としては、オキセタン基、エポキシ基、ビニルオキシ基などのカチオン重合性官能基を有する化合物、フィルム形成能を有する各種の高分子物質などが挙げられる。
次に、本発明で用いるパーフルオロアルキル基を含有する界面活性剤について説明する。
本発明で用いるパーフルオロアルキル基を含有する界面活性剤は、液晶性化合物を溶解するための溶媒および液晶性化合物自身に対する相溶性が高く、また所定量の添加で自在に溶液の表面張力を制御することができる。さらに、パーフルオロアルキル基を含有する界面活性剤を特定量用いることにより、塗膜形成後、希釈に用いた溶媒を乾燥させる時点では発生せず、液晶性組成物が液晶配向する温度で発生するリング状欠点の発生を抑制することが可能となる。
ここでパーフルオロアルキル基を含有する界面活性剤とは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基あるいはアルキル基中の水素原子の一部または全部をフッソ原子で置換したタイプのフッソ含有界面活性剤を指す。パーフルオロアルキル基含有の界面活性剤の種類としては、低分子化合物、高分子化合物を問わず、パーフルオロアルキルカルボン酸金属塩(カリウム塩等)、パーフルオロアルキルリン酸カリウム、ポリエチレングリコールパーフルオロアルキル脂肪酸エステル、パーフルオロアルキルアルコキシレート、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートオリゴマーなどが、相溶性、安定性、表面張力低下能などの観点から好ましく用いられる。
近年、環境や人体への影響への懸念から、炭素数の多いパーフルオロアルキル基材の使用量削減が呼びかけられている。特にパーフロロオクタン酸(PFOA)、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)類縁物質及びこれらの前駆体物質については米国環境保護庁(USEPA)より、環境中への排出削減と製品中の含有量削減が求められており、生体蓄積性の観点からパーフルオロアルキル基の炭素数が8未満であることが望ましい。
本発明で用いるパーフルオロアルキル基を含有する界面活性剤としては、具体的には、3M社製FC−430、FC−4430、FC−4432、AGCセイミケミカル社製S−141、S−145、S−381、S−383、S−386、S−393、SC−101、KH−40、SA−100、オムノバ社製PF−652、PF−6520、日進化成社製DS−401、DS−403、大日本インキ化学工業社製F−443、F−444、F−445、F−446等が挙げられる。
用いる界面活性剤の量は、液晶性化合物の種類、溶媒の種類などによって異なってくるが、一般的には液晶性化合物に対して0.01質量%から10質量%の範囲が好ましく、特に0.05質量%から5質量%の範囲が好ましい。0.01質量%より少ない量の時は、液晶配向時のリング状欠点の抑制効果が乏しく、また塗膜の均一性向上効果が得られない。また10質量%より多いときは液晶性組成物中で相分離を起こし易くなり好ましくない。
ここでいうリング状欠点とは、液晶性組成物を溶解させた溶液の塗膜形成後、希釈に用いた溶媒を乾燥させる工程では発生せず、液晶性組成物が液晶配向する温度にて、配向基板上に存在する微小な異物、突起、くぼみ等を基点として直径50μm以上の領域で液晶性組成物が存在しない領域が発生する配向欠点のことである。直径が50μm以上の欠点は、液晶表示装置等の補償板に用いた場合、欠点として容易に視認され最終製品として好ましくない。
リング状欠点の存在する部分は液晶性組成物が存在せず、また欠点の輪郭部では液晶性組成物の配向が乱れているため、正常に配向が保たれている領域とは異なる位相差が発生する。したがってリング状欠点が存在する領域を含む液晶フィルムや光学フィルムを液晶ディスプレイ上に積層させると、リング状欠点そのものが視認できるだけでなく、リング状欠点だけでなくその周辺部を含む部分では光学設計通りのコントラスト、視野角等、所望の光学特性が得られず、製品として不具合が発生する。
したがって生産性の観点から極力リング状欠点の数を極力削減する必要があり、製品としてはリング状欠点の発生数は3個/m以下とすることが好ましく、これ以上のリング状欠点が液晶フィルムの製造工程において発生すると、製品の取り効率が低下し、歩留まりが悪化し好ましくない。
次に、本発明の液晶性組成物を用いた液晶フィルムの製造方法について説明する。
液晶フィルムの製造方法としてはこれらに限定されるものではないが、液晶性組成物を含む溶液を配向基板上に展開し、当該液晶性組成物を配向させた後、光照射および/または加熱処理することにより当該配向状態を固定化することにより製造することができる。
配向基板としては、まず平滑な平面を有するものが好ましく、有機高分子材料からなるフィルムやシート、ガラス板、金属板などを挙げることができる。コストや連続生産性の観点からは有機高分子からなる材料を用いることが好ましい。有機高分子材料の例としては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー類、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムが挙げられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。これらはブレンド物であってもよい。また前記ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物、具体的には、下記式(10)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
Figure 2009249482
前記式(10)中、R〜Rは、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R〜Rは、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。Zは、例えば、C20の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または、下記式(11)で表される基である。
Figure 2009249482
前記式(11)中、Z’は、例えば、共有結合、C(R基、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(C基、または、NR基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。また、wは、1から10までの整数を表す。Rは、それぞれ独立に、水素またはC(Rである。Rは、水素、炭素原子数1〜約20のアルキル基、またはC20アリール基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。Rは、それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素である。
これらのフィルムは製造方法によっては、液晶性組成物に対して充分な配向能を示し、そのまま配向基板として用いることができるものもあるが、多くはラビング、延伸、偏光照射、斜め光照射などの操作を行うことで配向能を発現もしくは強化させて用いる。延伸したフィルムを用いる場合は、位相差フィルムとして使用されているものを用いることもできる。
またこれらの基板フィルム上に、ポリイミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルシンナメート、ポリビニルアルコールなどの公知の配向膜を設けて、ラビング、延伸、偏光照射、斜め光照射などの操作を行うことで配向能を発現することもできる。さらに、酸化ケイ素の斜方蒸着処理による方法や配向基板上へのシランカップリング剤等による処理も例示できる。これらの操作や処理は適宜組み合わせて行うこともできる。
液晶の分野においては、基板に対して布等で一定方向に擦るラビング処理を行うことが一般的であり、液晶材料を塗布したときのはじき抑制の観点からは弱いラビング処理を施すことがより好ましい。しかし、面内に配向規制力を必要としない液晶配向を実現させる場合は必ずしもラビングを必要としない。
配向膜を形成する材料は溶液状態にしての塗布が、配向膜厚や表面性の制御から好ましい。当該溶液は、当該材料を溶解できる溶媒を用いて適宜行うことができる。例えばアルキル基変性ポリビニルアルコール(PVA)の溶液を調製する溶媒は、当該PVAを溶解できる溶媒であれば特に制限はなく、通常は水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールやこれらの混合物が使用される。
なお、溶解に当たっては塗布や液晶の配向に悪影響を及ぼさない各種の添加剤を添加してもよい。また、溶解を促進するために加温してもよい。
基材上に配向膜を形成するために使用される塗布方式は特に制限はなく、特に大面積の配向膜の塗布方法は、フレキソ印刷方式、ディスペンサー方式、グラビアコート方式、マイクログラビア方式、スクリーン印刷方式、リップコート方式、ダイコート方式など挙げることができる。これらの中でグラビアコート方式、リップコート方式やダイコート方式が好ましい。
塗布された配向膜は、必要により乾燥を行う。乾燥温度は、通常、PVAの場合はその耐熱性から限定されるが、目的によってはそれ以上であってもよい。一般には、50℃〜180℃、好ましくは80℃〜160℃である。また乾燥時間も特に制限はないが、通常は、10秒〜60分、好ましくは1分〜30分がよい。被乾燥膜と乾燥風との相対的な移動速度は相対風速で60m/min〜1200m/minが好ましい。
本発明において、液晶性組成物を配向基板上に展開して液晶性組成物層を形成する方法としては、液晶性組成物を含有する溶液を配向基板上に展開して塗膜を形成し、次いで乾燥して溶媒を留去させる方法が挙げられる。
液晶性組成物を含有する溶液の調製に用いる溶媒に関しては、本発明の液晶性組成物を構成する成分である液晶性化合物およびパーフルオロアルキル基を有する界面活性剤や、適宜添加してもよい各種化合物を溶解でき適当な条件で留去できる溶媒であれば特に制限はなく、一般的にアセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ブトキシエチルアルコール、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノールなどのエーテルアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系などやこれらの混合系が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単一でもよいし、また複数種類を混合して用いてもかまわない。また、前述の適宜添加してもよい各種化合物としては配向基板上に均一な塗膜を形成するために用いられる界面活性剤(前記のパーフルオロアルキル基を有する界面活性剤を除く)、消泡剤、レベリング剤などが挙げられる。これらの各種化合物の添加量は本発明の液晶性組成物の構成成分の構造やそれらの組成比により変化するため一概には決定できないが、通常は、0.01質量%から10質量%程度である。
液晶性組成物を含む溶液を配向基板上に塗布する方法については、塗膜の均一性が確保される方法であれば、特に限定されることはなく公知の方法を採用することができる。例えば、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ディップコート法、ロールコート法などが挙げられる。
液晶性組成物層は1枚の配向基板表面上に塗布された形態、すなわち液晶性組成物層はその表面が空気に曝された状態であってもよく、また溶媒を除去した後にもう1枚の別の基板で表面を覆い液晶性組成物層を2枚の基板でサンドウィッチ状とした形態でもよい。このときもう1枚の別の基板は当初の配向基板と必ずしも同一である必要はない。
液晶性組成物の溶液を塗布する方法では、塗布後に溶媒を除去するための乾燥工程を入れることが好ましい。この乾燥工程は、塗膜の均一性が維持される方法であれば、特に限定されることなく公知の方法を採用することができる。例えば、ヒーター(炉)、温風吹きつけなどの方法が挙げられる。
続いて、配向基板上に形成された液晶性組成物層を、熱処理などの方法で液晶配向を形成し、光照射および/または加熱処理で硬化を行い固定化する。最初の熱処理では、液晶性組成物層を液晶相発現温度範囲に加熱することで、該液晶性組成物が本来有する自己配向能により液晶を配向させる。熱処理の条件としては、用いる液晶性組成物の液晶相挙動温度(転移温度)により最適条件や限界値が異なるため一概には言えないが、通常10〜250℃、好ましくは30℃〜160℃の範囲であり、該液晶性組成物のガラス転移点(Tg)以上の温度、さらに好ましくはTgより10℃以上高い温度で熱処理するのが好ましい。あまり低温では、液晶配向が充分に進行しないおそれがあり、また高温では液晶性組成物中のカチオン重合性反応基や配向基板に悪影響を与えるおそれがある。また、熱処理時間については、通常3秒〜30分、好ましくは10秒〜10分の範囲である。3秒より短い熱処理時間では、液晶配向が充分に完成しないおそれがあり、また30分を超える熱処理時間では、生産性が悪くなるため、どちらの場合も好ましくない。
熱処理により発現できる液晶相としては、スメクチック相、ネマチック相、ねじれネマチック相、コレステリック相などがあり、配向形態として、ホモジニアス配向、チルト配向、ハイブリッド配向、ホメオトロピック配向等があり、ねじれネマチック相およびコレステリック相を形成させる場合は光学活性な化合物を必要とする。光学活性な化合物は、別途添加する形態でも、主鎖型または側鎖型液晶性高分子化合物中に共重(縮)合成分として組み込まれた形態でもよく、光学活性な化合物としては特に制限はないが、例えば、光学活性な脂肪族アルコール(C2n+1OH、たただしnは4から14の整数を表す。)、光学活性な脂肪族基を結合したアルコキシ安息香酸(C2n+1O−Ph−COOH、ただしnは4から14の整数、Phはフェニル基を表す。)、メントール、カンファー酸、ナプロキセン誘導体、ビナフトール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチルブタンジオール、2−クロロブタンジオール、酒石酸、メチルコハク酸、3−メチルアジピン酸、イソソルビド、イソマンニドなどを挙げることができる。
これらのなかでも少ない量で効果の大きいビナフトール、イソソルビド、イソマンニド等が好ましい。
液晶組成物層の配向を固定化する手段には、所望の液晶相と液晶の配向形態を形成したのち、液晶配向形態を保ったまま液晶性組成物層を急冷し、ガラス転移温度以下にする手法や、組成物中のカチオン重合性反応基の重合反応により硬化させる手法が好適に用いられる。硬化工程は、完成した液晶配向を硬化(架橋)反応により液晶配向状態を固定化し、より強固な膜に変性することを目的にしている。
本発明の液晶性組成物においてカチオン重合性反応基を有するものに関しては、その反応基の重合(架橋)には、カチオン重合開始剤(カチオン発生剤)を用いるのが好ましい。また重合開始剤としては、熱カチオン発生剤より光カチオン発生剤の使用が好ましい。
光カチオン発生剤を用いた場合、光カチオン発生剤の添加後、液晶配向のための熱処理までの工程を暗条件(光カチオン発生剤が解離しない程度の光遮断条件)で行えば、液晶性組成物は配向段階までは硬化することなく、充分な流動性をもって液晶配向することができる。この後、適当な波長の光を発する光源からの光を照射することによりカチオンを発生させ、液晶性組成物層を硬化させる。
光照射の方法としては、用いる光カチオン発生剤の吸収波長領域にスペクトルを有するようなメタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザーなどの光源からの光を照射し、光カチオン発生剤を開裂させる。1平方センチメートルあたりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、光カチオン発生剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、液晶性組成物自身に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、吸収波長の異なる2種以上の光カチオン発生剤を混合して用いるなどの方法を採ることもできる。
光照射時の温度は、該液晶性組成物が液晶配向をとる温度範囲である必要がある。また、硬化の効果を充分にあげるためには、該液晶性組成物のTg以上の温度で光照射を行うのが好ましい。
かくして得られる本発明の液晶フィルム単体の膜厚は、組み合わせる液晶セルの駆動方式や種々の光学パラメーターに依存することから一概には言えないが、通常0.2μm〜10μm、好ましくは0.3μm〜5μm、さらに好ましくは0.5μm〜2μmである。膜厚が0.2μmより薄い場合、十分な視野角改良あるいは輝度向上効果を得ることができない恐れがある。また10μmを越えると、液晶表示装置が不必要に色付く等の恐れがある。
なお、配向基板として、光学的に等方でない、あるいは得られる液晶フィルム層が最終的に目的とする使用波長領域において不透明である、もしくは配向基板の膜厚が厚すぎて実際の使用に支障を生じるなどの問題がある場合、配向基板上に形成された形態から、目的とする使用波長領域で障害とならないような基板(配向基板とは異なる基板:以下、第2の基板という)や位相差機能を有する延伸フィルム、偏光板に転写した形態も使用しうる。転写方法としては公知の方法を採用することができる。例えば、特開平4−57017号公報や特開平5−333313号公報に記載されているように液晶層を粘着剤もしくは接着剤を介して、第2の基板を積層した後に、該積層体から配向基板を剥離することで液晶フィルム層のみを転写する方法等を挙げることができる。
かくして、本発明の光学フィルムを得ることができる。
前記の転写に用いる粘着剤もしくは接着剤(以下、粘・接着剤ということがある)は光学的に等方性で透明なものであれば特に制限されない。例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。また、光や電子線、熱などの外部刺激により反応し重合や架橋するような反応性のものも用いることができる。これらの中でも特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性や接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また、接着剤に適宜表面改質剤等の添加剤を添加することで、第2の基板と液晶フィルム層との貼着の際の両者の密着力を低減させ、かつ第2の基板と接着剤層との密着力を維持させることで第2の基板側に接着剤層が貼着したまま剥離することもできる。その際に用いられる表面改質剤として作用する例えば界面活性剤等は製品の光学的欠陥の検査性や剥離性に悪影響を及ぼさない範囲であれば種類、添加量に特に制限はない。
粘・接着剤層の形成は、適宜な方式で行うことができる。その例としては、例えば、トルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40質量%程度の粘・接着剤の溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で第2の基板上や液晶フィルム層上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘・接着剤層を形成してそれを第2の基板上や液晶フィルム層上に移着する方式などが挙げられる。また、粘・接着剤層には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘・接着剤に添加されることのある添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘・接着剤層などであってもよい。
粘・接着剤層の厚さは、貼着する部材を貼着しかつ十分な密着力を維持できる限り特に膜厚に制限はなく、粘・接着剤の特性や粘・接着される部材により適宜選定することができる。光学フィルムの総厚の低減要求の強いことから、粘・接着剤の厚さは薄いほうが好ましいが、通常は2〜80μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは5〜40μmである。この範囲外では、接着力が不足したり、積層時や光学フィルムの保存時に端部から滲み出すなどして好ましくない。
本発明に使用される第2の基板としては、まず以下に挙げるプラスチックフィルムが好適に用いられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1樹脂等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリケトンサルファイド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセタール、一軸延伸ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂等のフィルムが使用できる。
とりわけ、光学的欠陥の検査性に優れる透明性で光学的に等方性のフィルムとしては、4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂などの各フィルムが例示できる。
これらのプラスチックフィルムには、適度な再剥離性を持たせるために、予めその表面にシリコーンをコートしておくことができ、あるいは有機薄膜又は無機薄膜を形成しておくことができる。また、同様な目的で、プラスチックフィルムの表面にけん化処理などの化学処理を施すか、あるいはコロナ処理のような物理的処理を施しておくこともできる。
さらに、第2の基板として、偏光素子、偏光板や前記のプラスチックフィルムを延伸して得られる位相差フィルムを用いることもできる。この場合は、第2の基板と積層したのち、配向基板を剥離することにより、所望の楕円偏光板や光学補償板とすることができる。
また、第2の基板の剥離性を調整するために、上記のプラスチックフィルムに滑剤や表面改質剤を含有させることもできる。前記滑剤としては、光学的欠陥の検査性や剥離性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、種類、添加量に特に制限は無い。滑剤の具体例としては、微細シリカ、微細アルミナ等が挙げられ、添加量の指標としては、再剥離性基板のヘイズ値が通常50%以下、好ましくは30%以下となるようにすればよい。添加量が少なすぎると添加効果が認められず、一方、多すぎる場合には、光学的欠陥の検査性が悪化し好ましくない。また、必要に応じてその他の公知の各種添加剤、例えば、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤などを含有させてもよい。
第2の基板の剥離力に関しては、同一材料から製造される基板であっても製造方法、表面状態や使用される接着剤との濡れ性などにより変化するため一概には決定できないが、接着剤との界面での剥離力(180゜剥離、剥離速度30cm/分、室温下測定)は、通常0.38〜12N/m、好ましくは0.38〜8.0N/mであることが望ましい。剥離力がこの値より低い場合には第2の基板に浮きが見られたりして所望する界面での良好な剥離状態が得られず、第2の基板への液晶フィルム層の転写が不十分になる、また剥離力が高すぎる場合には、第2の基板を剥離する際、液晶フィルム層の破壊、あるいは、所望する層との界面で剥離ができないなどして好ましくない。
また、第2の基板の厚みも剥離性に影響する場合があり、望ましくは16〜100μm、特に望ましくは25〜50μmがよい。厚みが厚すぎると剥離ポイントが安定せず剥離性が悪化する恐れがあり、一方薄すぎるとフィルムの機械強度が保てなくなるため、製造中に引き裂かれるなどのトラブルが生じる恐れがある。
前記偏光板としては、通常、偏光子の片側または両側に保護フィルムを有するものが使用される。偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用でき、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。偏光子の厚さも特に制限されないが、5〜80μm程度が一般的である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片側または両側に設けられている保護フィルムには、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。前記保護フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、シクロオレフィンポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物などが保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。その他、アクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型樹脂などをフィルム化したものなどが挙げられる。保護フィルムの厚さは、一般には500μm以下であり、1〜300μmが好ましい。特に5〜200μmとするのが好ましい。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーやシクロオレフィンポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と保護フィルムとは通常、粘着剤等を介して密着している。
接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
前記保護フィルムには、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものを用いることができる。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えば、サンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
また液晶フィルム層を粘・接着剤層を介して、前記偏光板、位相差フィルムに転写する際には、液晶フィルム層表面を表面処理して粘・接着剤層との密着性を向上することができる。表面処理の手段は、特に制限されないが、前記液晶フィルム層表面の透明性を維持できるコロナ放電処理、スパッタ処理、低圧UV照射、プラズマ処理などの表面処理法を好適に採用できる。これら表面処理法のなかでもコロナ放電処理が良好である。
本発明の液晶フィルムに貼着することができる前記位相差フィルムは、所望の位相差機能を有すればよく、例えば、ポリマーフィルムを一軸延伸または二軸延伸したもの、厚さ方向(Z軸)への配向処理したものや液晶性を示す材料を塗工・配向させた配向フィルム、等が挙げられる。
前記位相差フィルムとしては、適宜なポリマーからなるフィルムを一軸あるいは二軸延伸処理する手法や特開平5−157911号公報に示されるような熱収縮フィルムにより長尺フィルムの幅方向を熱収縮させて厚み方向に位相差を大きくする手法により製造した複屈折フィルムが好ましく、上記原料としては例えば、有機高分子材料からなるフィルムやシートを挙げることができる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムが挙げられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。さらに塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなども挙げられる。これらのなかでも、光学フィルムとして用いられるトリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン等のプラスチックフィルムが賞用される。有機高分子材料のフィルムとしては、特に、ゼオノア(商品名,日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(商品名,日本ゼオン(株)製)、アートン(商品名,JSR(株)製)などのノルボルネン構造を有するポリマー物質からなるプラスチックフィルムが好適に用いられる。
延伸等により得られる位相差フィルムの膜厚は、通常5μm〜100μm、好ましくは10μm〜80μmである。
液晶ポリマーなどの液晶性を示す材料を塗工・配向させた配向フィルムとしては、均一でモノドメインなネマチック配向性を示し、かつその配向状態を容易に固定化できる液晶性高分子を基板上、もしくは配向膜を塗布した基板上で熱処理し、均一、モノドメインなネマチック構造を形成させたのち冷却することによって液晶状態における配向を損なうことなく固定化して製造される配向フィルムや、前記液晶性高分子に光重合性液晶化合物を配合して液晶性組成物とし基板上もしくは配向膜を塗布した基板上に塗布・配向し重合させた配向フィルムを挙げることができる。
前記の位相差フィルムは、正の1軸光学異方性層でも負の1軸光学異方性層であってもよく、さらに2軸光学異方性層であってもよい。
面内方向にx方向、y方向を取り、厚さ方向をz方向とする場合、正の1軸性光学異方素子は、屈折率としてnx>ny=nzの関係を有する。また、正の2軸性光学異方素子は、屈折率としてnx>nz>nyの関係を有する。負の1軸性光学異方素子は、屈折率としてnx=ny>nzの関係を有する。負の2軸性光学異方素子は、屈折率としてnx>ny>nzの関係を有する。
2軸性をNZ係数=(nx−nz)/(nx−ny)で定義した場合、NZ>1が負の2軸、NZ=1が正の1軸、NZ<1が正の2軸と分類できる。
正の1軸光学異方性層としては上述の位相差機能を有する位相差フィルムからリターデーション値が下記の範囲のものを適宜選定すればよい。
当該フィルムの面内のリターデーションReは、20nm〜500nm、好ましくは50nm〜300nmである。この範囲外では液晶表示装置に適用したときの視野角改良等の効果が乏しくなるので好ましくない。なお、Reは前述の位相差機能を有する位相差フィルムで定義した式と同様である。
また、上記の負の1軸光学異方性層を有する光学フィルムの厚さをd3、該光学異方性層面内の主屈折率をNx3およびNy3、厚さ方向の主屈折率をNz3、かつ、Nx3≧Ny3>Nz3とした場合に、面内のリターデーション値(Re3=(Nx3−Ny3)×d3[nm])が0nm〜20nm、厚さ方向のリターデーション値(Rth3=(Nx3−Nz3)×d3[nm])が50nm〜500nmであることが好ましい。
負の1軸光学異方性を有する光学フィルムの光学パラメータであるRe3値、Rth3値は、液晶表示装置の方式や種々の光学パラメータに依存することから一概には言えないが、550nmの単色光に対して面内のリターデーション値(Re3)は、通常0nm〜20nm、好ましくは0nm〜10nm、さらに好ましくは0nm〜5nmの範囲であり、かつ、厚さ方向のリターデーション値(Rth3)は、通常50nm〜500nm、好ましくは80nm〜400nm、さらに好ましくは100nm〜300nmに制御されたものである。
前記Re3値及びRth3値を上記範囲にすることにより、液晶表示装置の視野角改良フィルムとしては、液晶表示の色調補正を行いながら視野角を広げることが可能となる。Re3値が20nmより大きい場合、大きい正面位相差値の影響で、液晶表示素子の正面特性を悪化させる恐れがある。また、Rth3値が50nmより小さいあるいは500nmより大きい場合には、十分な視野角改良効果が得られないかあるいは、斜めから見たときに不必要な色付きが生じる恐れがある。
本発明に使用される液晶セルとしては、特に制限はないが、透過型、反射型、半透過型の各種液晶セルを挙げることができる。液晶セルにおける液晶配向によるモードとして例を挙げると、TN型、STN型、VA(vertical alignment)型、MVA(multi-domain vertical alignment)型、OCB(optically compensated bend)型、ECB(electrically controlled biriefringence)型、HAN(hybrid-aligned nematic)型、IPS(in-plane switching)、双安定ネマチック(Bistable Nematic)型、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)型、ハーフトーングレイスケール型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶を利用した表示方式等を挙げることができる。
液晶セルを構成する透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有している透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、ITO等の公知のものが使用できる。電極は通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。
当該液晶配向については、セルの面内で単一の方向性を持つものでも良いし、配向が分割された液晶表示素子等にも用いることができる。さらに液晶セルに電圧を印加する方法で言えば、例えば、ITO電極などを用いるパッシブ方式、TFT(薄膜トランジスター)電極やTFD(薄膜ダイオード)電極などを用いるアクティブ方式等で駆動する液晶表示素子を挙げることができる。
液晶セルの片側又は両側に偏光板、光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に、偏光板、光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
また、前記液晶セルの一方の基板を反射機能を有する領域と透過機能を有する領域とを有する基板とすることにより半透過反射型の液晶表示素子とすることができる。
半透過反射型の液晶表示素子に使用する半透過反射性電極に含まれる反射機能を有する領域(以下、反射層ということがある。)としては、特に制限されず、アルミニウム、銀、金、クロム、白金等の金属やそれらを含む合金、酸化マグネシウム等の酸化物、誘電体の多層膜、選択反射を示す液晶又は、これらの組み合わせ等を例示することができる。これら反射層は平面であっても良く、また曲面であっても良い。さらに反射層は、凹凸形状など表面形状に加工を施して拡散反射性を持たせたもの、液晶セルの観察者側と反対側の該電極基板上の電極を兼備させたもの、またそれらを組み合わせたものであっても良い。
本発明の液晶表示装置は、前記した構成部材以外にも他の構成部材を付設することができる。例えば、カラーフィルターを本発明の液晶表示装置に付設することにより、色純度の高いマルチカラー又はフルカラー表示を行うことができるカラー液晶表示装置を作製することができる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で用いた各測定方法は以下の通りである。
(1)H−NMRの測定
化合物を重水素化クロロホルムに溶解し、400MHzのH−NMR(Variant社製INOVA−400)で測定した。
(2)GPCの測定
化合物をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー社製8020GPCシステムで、TSK−GEL SuperH1000、SuperH2000、SuperH3000、SuperH4000を直列につなぎ、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて測定した。分子量の較正にはポリスチレンスタンダードを用いた。
(3)顕微鏡観察
オリンパス光学社製BH2偏光顕微鏡で液晶の配向状態を観察した。
(4)液晶フィルムのパラメータ測定
王子計測機器社製自動複屈折計KOBRA21ADHを用いた。
(5)DSCの測定(ガラス転移点(Tg)の測定)
液晶層をかきとった後、示差走査型熱量計(DSC、Perkin Elmer社製 DSC−7)を用い、昇温速度20℃/minで測定した。
(6)膜厚測定法
日本真空技術株式会社製 段差測定器DEKTAK 3030を用いた。
(6)リング状欠点の計測
得られた光学フィルムから200mm×200mmの正方形フィルムを10枚切り出し、透過軸を直交に配置した偏光板の間に挿入し、バックライト照明下にリング状欠点数を目視で数えた。10枚の合計値をm当たりに換算し、小数点以下は四捨五入して欠点数とした。
(6)視野角測定
ELDIM社製EzContrastにより液晶表示装置の視野角測定を実施し等コントラスト曲線を得た。
[参考例1]
式(12)で示されるアクリル化合物1と式(13)で表されるアクリル化合物2とを用い、ラジカル共重合により、下記式(14)で示される側鎖型液晶性高分子化合物1(ポリマー1)を合成した。GPCによる分子量はポリスチレン換算で、数平均分子量Mn=8000、重量平均分子量Mw=15000であった。なお、式(14)はブロック重合体の構造で表記しているがモノマーの構成比を表すものである。
Figure 2009249482
Figure 2009249482
Figure 2009249482
[参考例2]
3−クロロメチル−3−エチルオキセタン97.188g(722mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成(株)製、試薬)9.70g(30.1mmol)および4−ヒドロキシ安息香酸エチル(東京化成(株)製、試薬)100.00g(602mmol)をN−メチルピロリドン溶媒中120℃で3時間攪拌混合して反応させ、得られた反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、溶剤を留去する事により粗4−(3−エチルオキセタン−1−イル−メトキシ)安息香酸エチルを得た。ついで該エステルに純度85%の水酸化カリウム43.69g(662mmol)の水溶液を加え100℃で4時間反応させ加水分解し、さらに91.40g(662mmol)の硫酸水素ナトリウム1水和物の水溶液で希釈・析出させることにより、4−(3−エチルオキセタン−1−イル−メトキシ)安息香酸の粗結晶を得た。該粗結晶をアセトニトリルに溶解させ再結晶し、4−(3−エチルオキセタン−1−イル−メトキシ)安息香酸の結晶を得た。
該4−(3−エチルオキセタン−1−イル−メトキシ)安息香酸12.00g(50.8mmol)およびN,N−ジイソブチルエチルアミン6.56g(50.8mmol)の混合物を蒸留精製したテトラヒドロフランに溶解し、この溶液を、蒸留したメタンスルホニルクロリドのテトラヒドロフラン溶液中に0℃で滴下し、4−(3−エチルオキセタン−1−イル−メトキシ)安息香酸のメタンスルホン酸無水物を得た。ここに、テレフタル酸クロリド9.37g(46.2mmol)、メチルヒドロキノン4.30g(34.6mmol)およびカテコール3.81g(34.6mmol)を溶解させ、ついでトリエチルアミン15.18g(150.0mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン1.41g(11.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、0℃で2時間、次いで60℃に昇温してさらに4時間反応させた。その後、反応液を室温で過剰量のメタノール中に注ぎ込み、反応生成物を再沈により析出させ、洗浄、乾燥させ、オキセタン基を有する液晶性ポリエステル2を得た。得られた液晶性ポリエステル2は、対数粘度が0.090dL/gであり、ホットステージ上での偏光顕微鏡観察より、結晶−ネマチック相転移温度が68℃、ネマチック−等方相転移温度は268℃であった。
[実施例1]
10.0gのポリマー1を90mlのシクロヘキサノンに溶かし、パーフルオロアルキル基を有する界面活性剤(オムノバ社製PF652)を0.003g(0.03質量%相当)加えた後、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)1.0gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して液晶性組成物の溶液を調製した。
配向基板は以下のようにして調製した。
650mm幅、厚さ38μmの長尺のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製)上に連続的に、アルキル変性ポリビニルアルコール(PVA、(株)クラレ製、MP−203)の5質量%溶液(溶媒は、水とイソプロピルアルコールの質量比1:1の混合溶媒)をダイコーターを用いて塗布・乾燥し、130℃で加熱処理してPVA層厚1.2μmの配向基板フィルム1を得た。
次いで、PVA層をレーヨンのラビング布でラビングした。ラビング時の周速比(ラビング布の移動速度/基板フィルムの移動速度)は4とした。
このようにして得られた配向基板に、上記で得た液晶性組成物の溶液を、ダイコーターを用いて連続的に塗布・乾燥した後、130℃×10分間加熱処理をして液晶性組成物層をホメオトロピック配向させた。次いで、60℃に加熱した金属ドラムに密着させながら、その上から、高圧水銀灯ランプにより600mJ/cmの紫外光(UV)(ただし365nmで測定した光量)を照射して、液晶性組成物を硬化させて、積層体1(液晶フィルム;PETフィルム/PVA層/ホメオトロピック配向液晶層)を得た。
基板として用いたPETフィルムは複屈折を持ち、光学用フィルムとして好ましくないため、得られたフィルムを市販の紫外線硬化型アクリル系接着剤UV−3400(東亜合成社製品)を介して、TACフィルムに転写して光学フィルムを得た。すなわち、PETフィルム上の硬化した液晶性組成物層の上に、UV−3400を5μm厚となるように塗布し、TACフィルムでラミネートし、TACフィルム側から400mJ/cmの紫外線光を照射して接着剤を硬化させた後、PETフィルムを剥離した。得られた光学フィルムは剥離不良部がなく、モノドメインのホメオトロピック配向した液晶フィルムであった。液晶性組成物層の膜厚は0.85μmであった。配向状態の観察によりリング状欠点は認められなかった。
[実施例2〜7および比較例1〜4]
実施例2〜6においては、オムノバ社製PF652の添加量を変えて実施例1と同様にして光学フィルムを得た。また実施例7においては、界面活性剤の種類を変えて実施例2と同様にして光学フィルムを得た。
また比較例1〜4においては、界面活性剤の添加量や種類を変えて実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
それらの結果を実施例1の結果と併せて表1に示す。
Figure 2009249482
なお、表1の比較例3および4に使用したジェムコ社製の界面活性剤は、同社のホームページの記載によると、ペルフルオロオクタンスルホンアミド系である。
[実施例8]
前記の式(12)で表されるアクリル化合物1を0.10g、参考例2で得た液晶性ポリエステル2の0.90gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、オムノバ社製PF652を0.04g(0.4質量%相当)加えた後、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.10gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物の溶液を調製した。
この溶液を、表面をレーヨン布によりラビング処理した厚み50μmのPENフィルム「テオネックスQ−51」(帝人(株)製)上にスピンコート法を用いて塗布し、塗布後約60℃の温風を緩やかに吹き付けることにより溶剤を除去し、ついでオーブン中で150℃で3分加熱することにより、まず均一な液晶配向を形成させた。その後、空気雰囲気下、60℃で高圧水銀ランプにより積算照射量300mJ/cmの紫外線光を照射した後、冷却して硬化した液晶性組成物層を有する液晶フィルムを得た。
基板として用いたPENフィルムは複屈折を持ち、光学用フィルムとして好ましくないため、得られたフィルムを市販の紫外線硬化型アクリル系接着剤UV−3400(東亜合成社製品)を介して、TACフィルムに転写して光学フィルムを得た。すなわち、PENフィルム上の硬化した液晶性組成物層の上に、紫外線硬化型アクリル系接着剤UV−3400を5μm厚となるように塗布し、TACフィルムでラミネートし、TACフィルム側から400mJ/cmの紫外線光を照射して接着剤を硬化させた後、PENフィルムを剥離した。得られた光学フィルムは剥離不良部がなく、モノドメインのネマチック配向した液晶フィルムであった。液晶性組成物層の膜厚は0.85μm、正面Δndは112nmであった。
[実施例9]
前記の式(12)で表されるアクリル化合物1を0.5g、参考例1で得たポリマー1の7.5gと、下記式(15)で表されるジオキセタン化合物の2.0gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、オムノバ社製PF651を0.04g(0.4質量%相当)を加えた後、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.10gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物の溶液を調製した。
この溶液を用いた以外は実施例1と同様に行い、液晶フィルムを得、また、同様にして光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムは剥離不良部がなく、偏光顕微鏡下で観察すると、ディスクリネーションなどがないモノドメインの均一な液晶配向が観察された。正面から見たときのリタデーション(Δnd)は120nmであった。また、ラビング軸に沿って鉛直から40°傾いた場所から見たときのΔndは153nm、その反対の−40°傾いた場所から見たときのΔndは61nmと非対称であり、どの角度でもΔndが0nmになる点が存在しなかったことから、液晶性組成物層はネマチックハイブリッド配向構造をとっていることがわかった。平均チルト角は28度であった。また、この液晶性組成物層の膜厚は、0.84μmであった。
Figure 2009249482
[実施例10]
積層体1のホメオトロピック配向液晶層上に市販のUV硬化型接着剤(UV−3400、東亞合成(株)製)を接着剤層1として5μm厚となるように塗布し、PETフィルム(東レ(株)製))でラミネートして、接着剤層と隣接するPETフィルム側から紫外線を照射して接着剤層を硬化させた後、PVA層と隣接するPETフィルムとを剥離して、積層体2(PETフィルム/接着剤層1/ホメオトロピック配向液晶層)を得た。
さらに積層体2のホメオトロピック配向液晶層上にUV−3400を接着剤層2として5μm厚となるように塗布し、TACフィルム(富士フィルム(株)製)でラミネートして、TACフィルム側から紫外線を照射して接着剤層を硬化させた後、PETフィルムを剥離して積層体3(接着剤層1/ホメオトロピック配向液晶層/接着剤層2/TACフィルム)を得た。
さらに得られた積層体3の接着剤層1側に市販のノンキャリア糊をセパレートフィルム付きの状態で貼合した後、セパレートフィルムを剥離し面内位相差140nm、膜厚方向の位相差0nmの位相差フィルム(ゼオノアフィルム、日本ゼオン(株)製)と貼着した後TACフィルムを剥離して積層体4(ゼオノアフィルム/粘着剤層/接着剤層1/ホメオトロピック配向液晶層/接着剤層2)を得た。
積層体4のゼオノアフィルム側にコロナ放電処理(250W・min/m)を施し、粘着剤を介して直線偏光板を貼着し積層体5(直線偏光板/粘着剤層/ゼオノアフィルム/粘着剤層/接着剤層1/ホメオトロピック配向液晶層/接着剤層2)を得た。
[実施例11]
(IPS型液晶表示装置の作製)
バックライト、バックライト側偏光板、IPS型液晶セル、視認側偏光板の順で配置された市販のIPS型の液晶テレビに対し、図1に示すように、視認側偏光板の替わりに積層体5の接着剤層2側が液晶セル側になるように配置した。すると積層体5を用いない場合に比べ、視野角が拡大し、斜めから見ても良好な画像が得られることが分かった。図2に本実施例の等コントラスト図を、図3に市販品の等コントラスト図を示す。
図2および3において、同心円は視野角20度ごとを表す。したがって最外円は視野角80度を表す。また図中の実線はコントラスト比100の範囲を表す。
実施例11で作製したIPS型液晶表示装置の層構成を示す略図である。 実施例11で作製したIPS型液晶表示装置の等コントラスト図である。 市販のIPS型液晶表示装置の等コントラスト図である。

Claims (15)

  1. 少なくとも液晶性化合物および該液晶性化合物に対して0.01〜10質量%のパーフルオロアルキル基を有する界面活性剤を含有する液晶性組成物を含む溶液を基板上に塗布した後、液晶性組成物を配向させ、該配向を固定化して得られる、直径50μm以上の欠陥部が3個/m2以下である液晶フィルム。
  2. 前記基板が配向層を有することを特徴とする請求項1記載の液晶フィルム。
  3. 前記界面活性剤のパーフルオロアルキル基の炭素数が8未満であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶フィルム。
  4. 式(1)、式(2)または式(3)のいずれかで表されるオキセタン基を有する(メタ)アクリル化合物と、オキセタン基を有する液晶性化合物とからなる液晶性組成物により製造されることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の液晶フィルム。
    Figure 2009249482
    (式(1)、式(2)および式(3)において、Rは、それぞれ独立に、水素またはメチル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Lは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表し、mは、それぞれ独立に、1から10までの整数であり、nは、それぞれ独立に、0から10までの整数である。)
  5. オキセタン基を有する液晶性化合物が、主鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする請求項4に記載の液晶フィルム。
  6. オキセタン基を有する液晶性化合物が、側鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする請求項4に記載の液晶フィルム。
  7. オキセタン基を有する液晶性化合物が、式(4)で表される側鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする請求項4に記載の液晶フィルム。
    Figure 2009249482
    (式(4)において、Rは、それぞれ独立に、水素またはメチル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シアノ基、ブロモ基、クロロ基、フルオロ基またはカルボキシル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Rは、炭素数1から24までの炭化水素基を表し、Lは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、pは、1から10までの整数を表し、qは0から10までの整数を表し、a、b、c、d、eおよびfは、ポリマー中の各ユニットのモル比(a+b+c+d+e+f=1.0、ただし、c+d+e=0ではない。)を表す。)
  8. 液晶性組成物が、式(5)で表されるジオキセタン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液晶フィルム。
    Figure 2009249482
    (式(5)において、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Lは、それぞれ独立に、−(CH−(nは1〜12の整数)を表し、Xは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表し、Mは、式(6)または式(7)で表されるいずれかであり、式(6)および式(7)中のPは、それぞれ独立に式(8)から選ばれる基を表し、Pは式(9)から選ばれる基を表し、Lは、それぞれ独立に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。)
    −P−L−P−L−P− (6)
    −P−L−P− (7)
    Figure 2009249482
    Figure 2009249482
    (式(8)および式(9)において、Et、iPr、nBuおよびtBuは、それぞれエチル基、イソプロピル基、ノルマル−ブチル基およびターシャリー−ブチル基を表す。)
  9. 液晶性組成物の組成(質量比)が、式(1)〜(3)で表されるいずれかのオキセタン基を有する化合物:オキセタン基を有する液晶性化合物:式(5)で表されるジオキセタン化合物=1〜30:100:0〜40であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の液晶フィルム。
  10. 液晶性組成物が光カチオン発生剤および/または熱カチオン発生剤を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の液晶フィルム。
  11. 液晶性組成物の液晶相がネマチック相、ねじれネマチック相、スメクチック相、コレステリック相のいずれかであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の液晶フィルム。
  12. 液晶性組成物の配向がホモジニアス配向、チルト配向、ハイブリッド配向、ホメオトロピック配向のいずれかであることを特徴とする請求項1〜11いずれかに記載の液晶フィルム。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の液晶フィルムを配向基板とは異なる基板へ転写して得られる光学フィルム。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の液晶フィルムを配向基板とは異なる基板へ転写した後、配向基板とは異なる基板を剥離して得られる光学フィルム。
  15. 液晶セルの少なくとも片側の面に請求項1〜12のいずれかに記載の液晶フィルムまたは請求項13若しくは14に記載の光学フィルムを配置した液晶表示装置。
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