JP2007233014A - 光学異方性層及び光拡散層を用いた液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】視野角コントラスト及び視野角色味変化の改善に寄与する光学異方性層及び光拡散層を用いた液晶表示装置、更に反射防止性を高め、特に明室での視認性を向上できる液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】IPSモード液晶セルと、液晶セルを挟んで対向し吸収軸が相互に直交する二枚の偏光層からなるIPSモード液晶表示装置において、液晶セルといずれかの偏光層の間に少なくとも一つの光学異方性層を有し、且つ視認側偏光層の視認側に光拡散層を有し、光拡散層が透光性樹脂と、透光性樹脂の屈折率とは異なる屈折率を有する透光性微粒子を含み、内部ヘイズが45%以上80%以下であることを特徴とするIPSモード液晶表示装置。
【選択図】なし

Description

本発明は液晶表示装置の技術分野に関し、特に水平方向に配向した液晶性化合物に横方向の電界を印加することにより表示を行う、インプレーンスイッチング(IPS)モードやFFSモードの液晶表示装置等に関する。また、本発明は、IPSモード等の液晶表示装置の表示品位の向上、特に斜め方向から見た時の色味変化を改善する光学異方性層及び光拡散層を用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置としては、2枚の直交した偏光板の間に、ネマチック液晶をツイスト配列させた液晶層を挟み、電界を基板に対して垂直な方向にかける方式、いわゆるTNモードが広く用いられている。この方式では、黒表示時に液晶が基板に対して立ち上がるために、斜めから見ると液晶性化合物による複屈折が発生し、光漏れが起こる。この問題に対して、液晶性化合物がハイブリッド配向したフィルムを用いることで、液晶セルを光学的に補償し、この光漏れを防止する方式が実用化されている。しかし、液晶性化合物を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しく、画面下方向での階調反転が抑えきれないという問題を生じていた。
かかる問題を解決するため、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるIPSモードやFFSモードによる液晶表示装置や、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向してパネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割した垂直配向(VA)モードが提案され、実用化されている。近年、これらのパネルはモニター用途に留まらず、テレビ用途として開発が進められており、それに伴って画面の輝度が大きく向上してきている。このため、これらの動作モードで従来問題とされていなっかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品質の低下の原因として顕在化してきた。
この色調や黒表示の視野角を改善する手段の一つとして、液晶層と偏光板の間に複屈折特性を有する光学補償材料を配置することがIPSやFFSモードにおいても検討されている。例えば、傾斜時の液晶層のレターデーションの増減を補償する作用を有する光軸を互いに直交した複屈折媒体を基板と偏光板との間に配置することで、白表示または中間調表示を斜め方向から直視した場合の色付きが改善できることが開示されている(特許文献1参照)。また、負の固有複屈折を有するスチレン系ポリマーやディスコティック液晶性化合物からなる光学補償フィルムを使用した方法(特許文献2、3、4参照)や光学補償フィルムとして複屈折が正で光学軸がフィルムの面内にある膜と複屈折が正で光学軸がフィルムの法線方向にある膜とを組み合わせる方法(特許文献5参照)、レターデーションが二分の一波長の二軸性の光学補償シートを使用する方法(特許文献6参照)、偏光板の保護膜として負のレターデーションを有する膜を使い、この表面に正のレターデーションを有する光学補償層を設ける方式(特許文献7参照)が提案されている。
特開平9−80424号公報 特開平10−54982号公報 特開平11−202323号公報 特開平9−292522号公報 特開平11−133408号公報 特開平11−305217号公報 特開平10−307291号公報
しかし、提案されている光学補償方式は、液晶セル中の液晶の複屈折の異方性を打ち消して視野角を改善する方式や、直交偏光板を斜めから見た場合の偏光軸交差角度の直交からのズレに基づく光漏れを補償できるとされる方式であり、これらは斜め方向からのコントラスト改善には、ある程度の効果はあるものの、白表示、黒表示及び中間調の表示において、斜め方向からの色味変化改善に対しては、全く不充分な特性しか得られていない。
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、視野角コントラストに加えて、視野角色味変化が著しく改善されたIPSモードやFFSモードの液晶表示装置を提供することを目的とする。 更に反射防止性を高め、特に明室での視認性を向上できる液晶表示装置を提供することを目的とする。
本願発明の目的は、下記の(1)〜(12)の液晶表示装置により達成された。
(1)IPSモード液晶セルと、液晶セルを挟んで対向し吸収軸が相互に直交する二枚の偏光層からなるIPSモード液晶表示装置において、液晶セルといずれかの偏光層の間に少なくとも一つの光学異方性層を有し、且つ視認側偏光層の視認側に光拡散層を有し、光拡散層が透光性樹脂と、透光性樹脂の屈折率とは異なる屈折率を有する透光性微粒子を含む層であり、内部ヘイズが45%以上80%以下であることを特徴とするIPSモード液晶表示装置。
(2)前記光拡散層が、0.05乃至0.3%の範囲に、ゴニオフォトメータの散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度を有することを特徴とする(1)に記載のIPSモード液晶表示装置。
(3)前記光学異方性層の正面レターデーションRe(λ)が60nm〜330nmであり、且つ、Nz=Rth/Re+0.5で定義されるNz値が0〜1.0であることを特徴とする(1)または(2)に記載のIPSモード液晶表示装置。(ここで、Rth(λ)は厚さ方向のレターデーション、λはレターデーションの測定波長)
(4)前記光学異方性層が二層からなり、第一の光学異方性層のRe(λ)が20nm〜200nmであり、且つ、Nz値が0.8〜7.0であり、第二の光学異方性層のRe(λ)が0nm〜20nmであり、且つ、Rth(λ)が−400nm〜−50nmであることを特徴とする(1)または(2)に記載のIPSモード液晶表示装置。
(5)前記第一の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルム又はノルボルネン系フィルムであることを特徴とする(4)に記載のIPSモード液晶表示装置。
(6)前記第二の光学異方性層が、重合性基を有する棒状液晶性化合物を含むことを特徴とする(4)または(5)に記載のIPSモード液晶表示装置。
(7)前記光学異方性層が二層からなり、第一の光学異方性層のRe(λ)が50nm〜200nmであり、且つ、Nz値が−0.2〜0.2であり、第二の光学異方性層のRe(λ)が0nm〜20nmであり、且つ、Rth(λ)が20nm〜120nmであることを特徴とする(1)または(2)に記載のIPSモード液晶表示装置。
(8)前記液晶セルを挟んで、光学異方性層と対向する側の液晶セルと偏光層の間に、偏光層の保護膜を有し、保護膜のRth(λ)が−40〜40nmの範囲であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のIPSモード液晶表示装置。
(9)前記偏光層の保護膜がセルロースアシレートフィルム又はノルボルネン系フィルムである(8)に記載のIPSモード液晶表示装置。
(10)前記光拡散層の上に、光拡散層より屈折率の低い低屈折率層を有することを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載のIPSモード液晶表示装置。
(11)前記光拡散層および/または前記低屈折率層が、(a)水酸基または加水分解可能な基がケイ素に直接結合しているオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含んでいることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載のIPSモード液晶表示装置。
(12)前記低屈折率層が、平均粒径が5〜200nmであり且つ屈折率が1.17〜1.40である中空シリカ微粒子を含有していることを特徴とする(10)または(11)のいずれかに記載のIPSモード液晶表示装置。
本発明によれば、液晶表示装置、特にIPSモードの液晶表示装置の視野角コントラスト及び視野角色味変化の改善に寄与する光学異方性層及び光拡散層を用いた液晶表示装置を提供することができる。 更に反射防止性を高め、特に明室での視認性を向上できる液晶表示装置を提供することができる。
以下において、本発明の液晶表示装置の一実施形態およびその構成部材について順次説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10°未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5°未満であることが好ましく、±2°未満であることがより好ましい。また、「実質的に」とは、厳密な角度よりも±20°未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±15°未満であることが好ましく、±10°未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。
本願明細書において、「光学異方性層」とは、支持体自身が光学異方性を有しても良いし、何らかの支持体上に光学異方性層が設けられた膜であってもよいし、該膜から支持体を剥がした膜であってもよい。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板および液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」および「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光層」および「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光層」の少なくとも片面に該偏光層を保護する透明保護膜を有する積層体を意味するものとする。
本明細書において、Re(λ)およびRth(λ)の「λ」は、該レターデーションの測定波長を示す。また、Reは面内のレターデーションを、Rthは厚み方向のレターデーションをそれぞれ示す。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフイルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフイルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)、(2)よりRthを算出することもできる。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
式(1)
Figure 2007233014
注記:上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレタデーション値をあらわす。
式(2)
Rth=((nx+ny)/2−nz)xd
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す模式図である。図2〜図8は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。
[液晶表示装置]
図2に示す液晶表示装置は、偏光膜8および偏光層14と、光学異方性層10と、更に視認側に配置された光拡散層7と、二枚の基板に挟持された液晶層からなる液晶セル12から構成される。
図2の液晶表示装置において、液晶セルの液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは透過モードにおいて、ねじれ構造を持たないIPS型では0.2〜0.4μmの範囲が最適値となる。この範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。液晶セルを構成する二枚の基板の液晶層に接触する表面には、配向膜が形成されていてもよく、液晶性化合物を二枚の基板の表面に対して略平行に配向させるとともに配向膜上に施されたラビング処理等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶性化合物配向方向(液晶層の遅相軸方向13)が制御されている。また、二枚の基板のうち、どちらか一方の基板の内面には、液晶性化合物に電圧印加可能な電極が形成されている。
図1に、液晶層の1画素領域中の液晶性化合物の配向を模式的に示す。図1は、液晶層の1画素に相当する程度の極めて小さい面積の領域中の液晶性化合物の配向を、基板の内面に形成された配向膜のラビング方向4、および基板の内面に形成された液晶性化合物に電圧印加可能な画素電極2および表示電極3とともに示した模式図である。電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った場合の、電圧無印加状態若しくは低印加状態での液晶性化合物配向方向は5aおよび5bであり、この時に黒表示が得られる。電極2・3間に印加されると、電圧に応じて液晶性化合物は6a・6b方向へとその配向方向を変える。通常、この状態で明表示(白表示)を行なう。
再び図2において、偏光層8の偏光吸収軸9と、偏光層14の偏光吸収軸15は直交して配置され、液晶セルの液晶層の遅相軸12は、偏光層8の偏光吸収軸9に直交して配置されている。液晶セルの液晶層の遅相軸は、偏光層14の偏光吸収軸15に直交して配置されてもよい。光学異方性層10は、偏光層8と液晶セル12の間、もしくは偏光層14と液晶セルの間、またはその両方に配置され、図2では、偏光層8と液晶セル12の間に配置した場合を示している。また、光学異方性層10の遅相軸方向11は、液晶層の遅相軸12に直交してもよいし、平行でもよい。光拡散層7は、偏光層8よりも視認側に配置される。
本発明の他の実施形態を図3及び図4に示す。偏光層8は、保護フィルム16と光学異方性層10に挟持され、偏光層14は、保護フィルム17と保護フィルム18に挟持されている。
更に本発明の他の実施形態を図5及び図6及び図7に示す。偏光層8と液晶セル12の間には、2層の光学異方性層20と21、あるいは23と24が配置される。この場合、光学異方性層21及び24は少なくとも面内に屈折率異方性を有する光学異方性層であり、光学異方性層20及び23は厚さ方向に屈折率異方性を有する一軸の光学異方性層であり、それらの組合わせとして、好ましく用いられる。
更に本発明の他の実施形態を図8に示す。光学異方性層10は、液晶セル12と偏光層14の間に配置される。
以上、模式図により、本発明の液晶表示装置を説明したが、図2〜図8に示した構成に限定されず、適宜、これらの組合わせの構成にて用いられる。
なお、図2〜図8には、上側偏光層および下側偏光層を備えた透過モードの表示装置の態様を示したが、本発明は一枚の偏光板のみを備える反射モードの態様であってもよく、かかる場合は、液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δn・dの値は上記の1/2程度の値になる。
さらに本発明の液晶表示装置は、図2〜図8に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶層と偏光層との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、光拡散層の表面に反射防止処理やハードコートを施してもよい。また、構成部材に導電性を付与したものを使用してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、または発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。この場合、バックライトの配置は図2〜図8の下側に配置される。また、液晶層とバックライトとの間に、反射型偏光板や拡散板、プリズムシートや導光板を配置することもできる。また、上記した様に、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を配置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、薄膜トランジスタ(TFT)やMetal Insulator Metal(MIM)のような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材の好ましい光学特性や部材に用られる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。
[光拡散層]
光拡散層は、透光性粒子と透光性樹脂からなる。透光性粒子と透光性樹脂により散乱光プロファイル及びヘイズ値を調整する。本発明では、1種類の粒子を用いるほかに、2種類以上の粒径およびまたは材質の透光性微粒子を用いることが好ましい。
透光性微粒子の屈折率と、光拡散層全体を構成する透光性樹脂の屈折率(後述する、層の屈折率調整のために無機微粒子、等を透光性樹脂に添加した場合は、その光学的な平均屈折率)との差が0.03乃至0.30であることが好ましい。屈折率差が0.03未満の場合は、両者の屈折率の差が小さすぎて、光拡散効果を得にくく、屈折率差が0.30よりも大きい場合は、光拡散性が大きすぎて、フイルム全体が白化する。屈折率差は、0.06乃至0.25がより好ましく、0.09乃至0.20が最も好ましい。
本発明における、表示品位を上げる(視角特性改善)ための透光性微粒子(第1の透光性微粒子)の粒子径は、0.5μm乃至3.5μmであり、0.5μm乃至2.0μmであることがより好ましい。粒子径と屈折率差の調整により、所望の光散乱の角度分布を得ることができる。
本発明に好適な光拡散層は、前記透光性粒子と光拡散層全体を構成する透光性樹脂との屈折率差と透光性微粒子の粒径との適切な組み合わせにして調整することが、視角特性と白化(ボケ)を両立させる点で特に好ましい。
拡散効果が大きければ大きい程、視角特性は向上する。しかし、表示品位という点で正面の明るさを維持するためには、出来る限り透過率を高めることも必要である。前記粒子径を0.5μm以下とした場合、散乱の効果が大きく、視角特性は向上するが、後方散乱が大きくなり明るさの減少が大きい。一方、2.0μm以上とした場合は、散乱効果が小さくなり、視角特性の向上は小さくなっていく。従って、前記粒子径は、0.6μm乃至1.8μmが好ましく、0.7μm乃至1.6μmが最も好ましい。
また、拡散効果付与を主目的としない透光性微粒子(第2の透光性微粒子)をさらに添加することも好ましい。拡散フィルムの表面に凹凸を設け、映り込み防止機能を設ける等に用いられる。第2の透光性微粒子の粒子径は第1の透光性粒子の粒子径より大きいことが好ましく、2.5μm乃至10.0μmであることが更に好ましい。これにより、好適な表面散乱を付与することができる。良好な表示品位を達成するには、外光の写り込みを防止する事も必要である。表面のヘイズ値が低いほど外光による白ちゃけ感が小さくなり、明瞭なディスプレイ表示を得ることができるが、表面ヘイズ値が低すぎると、映り込みが大きくなるため、最外層に光拡散層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を設け、低反射率化する等が必要になる。表面ヘイズ値を制御するには、第2の透光性微粒子により樹脂層表面に適度な凹凸を設けることが好ましいが、この限りではない。粒子径を2.5μm以下にした場合、所望の表面凹凸を設ける場合に、層の厚みを薄くせざるを得ず、膜硬度の点で好ましくなく、一方、10μm以上にした場合、粒子1個1個の重量が大きくなるため、塗布液中の粒子沈降安定性の点で必ずしも好ましくない。従って、第2の透光性微粒子の粒子径は、2.7μm乃至9μmが好ましく、3μm乃至8μmが最も好ましい。
第2の透光性粒子の屈折率は光拡散層全体を構成する透光性樹脂の屈折率との差が第1の透光性粒子より小さいことが好ましい。
表面凸凹は、表面粗さRaが0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることが更に好ましく、最も好ましくは、0.2μm以下である。表面粗さRa(中心線平均粗さ)の測定は、JIS−B0601に準じて行える。
光拡散層のヘイズ値、特に透過光の拡散に寄与が大きい内部散乱へイズ(内部ヘイズ)は、視角特性改良効果と強い相関関係がある。バックライトから出射された光が視認側の偏光板表面に設置された光拡散層で拡散されることにより、視角特性が改善される。しかし、拡散されすぎると正面輝度が減少するため、光拡散層の内部ヘイズは、45%以上80%以下が好ましく、45%以上70%以下がより好ましく、45%以上60%以下が特に好ましい。内部散乱へイズを上昇させる方法として、拡散性付与を目的とする透光性微粒子の粒子濃度を上げる、もしくは、塗布膜厚を上げる、さらには、粒子と樹脂の屈折率差を大きくするなどの方法がある。
本発明における、表示品位を上げる(視角特性改善)ためには、ゴニオフォトメータの散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度を特定の範囲内にするのが特に好ましい。ゴニオフォトメータの散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度は、視覚特性の点から0.05%以上が好ましく、正面輝度をあまり下げない点からは0.3%以下が好ましい。従って、本発明の光散乱層は0.05〜0.3%であることが好ましく、0.05〜0.2%であることがより好ましく、0.05〜0.15%であることが特に好ましい。上記の内部ヘイズの好ましい範囲と同時に満たすことが更に好ましい。
本発明の偏光板の表面散乱起因のヘイズ(表面ヘイズ)は、映り込み低減と白茶け感低減の両立の観点から、0.1〜30%であり、10%以下が好ましく、5%以下が特に好ましい。外光による白茶け感低減を重視するのであれば、4%以下が好ましく、2%以下が更に好ましい。表面ヘイズを低減すると映り込みが大きくなるため、低屈折率層を設け、5度入射における積分反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値を3.0%以下にすることが好ましく、2.0%以下がより好ましく、最も好ましくは1.0%以下である。本発明における、表示品位を上げる(視角特性改善)ことに関しては、前述の内部散乱性の調整が必要であるが、同時に表面ヘイズおよび/または反射率を好適な範囲にすることで、明室下でのコントラストが改善され、最も好ましい効果を発現できる。
前記透光性微粒子は、単分散の有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、曇価の設計が容易となる。前記透光性微粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、透光性樹脂との屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。有機微粒子としては、ポリメチルメタクリレートビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.54)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、スチレンビーズ(屈折率1.60)、架橋ポリスチレンビーズ(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ(屈折率1.68)等が用いられる。無機微粒子としては、シリカビーズ(屈折率1.44〜1.46)、アルミナビーズ(屈折率1.63)等が用いられる。透光性微粒子は、透光性樹脂100質量部に対して5〜30質量部含有させるとよい。
上記のような透光性微粒子の場合には、樹脂組成物(透光性樹脂)中で透光性微粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性微粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、透光性樹脂に対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性樹脂としては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、即ち、電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤を混合したもの、熱硬化型樹脂の3種類が使用される。ハードコート性を付与するためには、電離放射線硬化型樹脂が主成分であることが好ましい。光拡散層の厚さは通常1.5μm〜30μm、好ましくは3μm〜20μmとすると良い。光拡散層がハードコート層としての機能を兼ねる場合が一般的であるが、光拡散層の厚さが1.5μmよりも薄くなると、ハードコート性が十分でなくなる方向であり、一方、30μmよりも厚くなると、カールや脆性の点で好ましくない方向である。透光性樹脂の屈折率は、低屈折率層を設ける場合は、好ましくは1.46〜2.00であり、より好ましくは1.48〜1.90であり、更に好ましくは1.50〜1.80である。なお、透光性樹脂の屈折率は、透光性微粒子を含まずに測定した光拡散層平均の値である。光拡散層の屈折率が小さすぎると反射防止性が低下する。大きすぎると、反射光の色味が強くなり、好ましくない方向である。この点から上記範囲が好ましい。光拡散層の屈折率の設定は、反射防止性と反射光色味の点から所望の値に設定する。
該透光性樹脂に用いるバインダーは、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーを得るためには、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,3,5−シクロヘキサントリオールトリメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンの誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。これらのなかでも、少なくとも3つの官能基を有するアクリレートもしくはメタアクリレートモノマー、さらには少なくとも5つの官能基を有するアクリレートモノマーが、膜硬度、即ち耐傷性の観点で好ましい。ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物が市販されており、特に好ましく用いられる。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーは、各種の重合開始剤その他添加剤と共に溶剤に溶解、塗布、乾燥後、電離放射線または熱による重合反応により硬化することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有するバインダーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
透光性樹脂は、上記バインダポリマーに加えて、これに高屈折率を有するモノマーおよび/または高屈折率を有する金属酸化物超微粒子等から形成されることが好ましい。高屈折率モノマーの例には、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4‘−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。高屈折率を有する金属酸化物超微粒子の例には、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる粒径100nm以下、好ましくは50nm以下の微粒子を含有することが好ましい。高屈折率を有する金属酸化物超微粒子としてはAl、Zr、Zn、Ti、InおよびSnから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物超微粒子が好ましく、具体例としては、ZrO2、TiO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO等が挙げられる。これらの中でも、特にZrO2が好ましく用いられる。高屈折率のモノマーや金属酸化物超微粒子の添加量は、透光性樹脂の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。
光拡散層は、セルロースアセテートフィルムの上に塗布することにより形成することが好ましい。光拡散層を形成するための塗布液の溶剤は、透明基材フィルムへの拡散層成分の過剰な染み込み防止と、拡散層と透明基材フィルムとの密着性確保の両立を図るために、透明基材フイルム(例えばトリアセチルセルロース支持体)を溶解する少なくとも一種類以上の溶剤と、透明基材フイルムを溶解しない少なくとも一種類以上の溶剤から構成する。より好ましくは、透明基材フイルムを溶解する溶剤のうちの少なくとも一種類が、透明基材フイルムを溶解しない溶剤のうちの少なくとも一種類よりも高沸点であることが好ましい。さらに好ましくは、透明基材フイルムを溶解する溶剤のうち最も沸点の高い溶剤と、透明基材フイルムを溶解しない溶剤のうち、最も沸点の高い溶剤との沸点温度差が30℃以上であることであり、最も好ましくは40℃以上であることである。
透明基材フイルム(好ましくはトリアセチルセルロース)を溶解する溶剤として、炭素子数が3〜12のエーテル類:具体的には、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等、炭素数が3〜12のケトン類:具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等、炭素数が3〜12のエステル類:具体的には、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等、2種類以上の官能基を有する有機溶媒:具体的には、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、およびアセト酢酸エチル等が挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。透明基材を溶解する溶剤としてはケトン系溶剤が好ましい。
透明基材フイルム(好ましくはトリアセチルセルロース)を溶解しない溶剤として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ペンタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、トルエンが挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
透明基材フイルムを溶解する溶剤の総量(A)と透明基材フイルムを溶解しない溶剤の総量(B)の質量割合(A/B)は、5/95〜50/50が好ましく、より好ましくは10/90〜40/60であり、さらに好ましく15/85〜30/70である。
上記のような電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、前記電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、即ち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。
例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
[光開始剤]
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
上記活性ハロゲン類の具体例は以下の通りである。
Figure 2007233014
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これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
[低屈折率層]
本発明では、前記に記載した範囲の光拡散層を少なくとも1層設けることで、本発明の目的を達成することができるが、さらに最外層にこれに隣接する層の屈折率よりも低い屈折率の層を適切な膜厚で塗設することにより、反射防止性能が得られ、外光の映り込みが抑えられ、明室環境下でのコントラストを上げることができるため、画像表示装置としてはより好ましいものとなる。
低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
本発明の低屈折率層は、含フッ素化合物を主成分としてなる硬化性組成物、又は分子内に複数個の結合性基を有するモノマーと低屈折率の粒子を含有する硬化組成物を塗布硬化して、屈折率が1.20〜1.50の範囲に調節したものである。1.25〜1.45が好ましく。1.30〜1.40が更に好ましい。
好ましい硬化物組成の態様としては、(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素ポリマーを含有する組成物、(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物、これにより、フッ化マグネシウムやフッ化カルシウムを用いた低屈折率層に比べ、最外層として用いても耐擦傷性に優れた光学フイルムが得られる。硬化した低屈折率層表面の動摩擦係数は、好ましくは0.03〜0.15、水に対する接触角は好ましくは90〜120度である。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物
架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性または重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。含フッ素モノマーとしては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等である。
架橋性基付与のためのモノマーとしては、1つの態様としては、グリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。又別の態様としては、水酸基等の官能基を有するモノマーを用い含フッ素共重合体を合成後、さらにそれら置換基を修飾して架橋性若しくは重合性の官能基を導入するモノマーを使用する方法である。これらモノマーとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者の態様は特開平10−25388号公報および特開平10−147739号公報により開示されている。
上記含フッ素共重合体には、溶解性、分散性、塗布性、防汚性、帯電防止性などの観点から、適宜共重合可能な成分を含むことができる。特に防汚性・滑り性付与のためには、シリコーンを導入することが好ましく、主鎖にも側鎖にも導入することができる。
主鎖へのポリシロキサン部分構造導入方法は、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド(市販のものではVPS-0501、1001(商品名;ワコー純薬工業(株)社製))等のポリマー型開始剤を用いる方法が挙げられる。また、側鎖に導入する方法は、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、反応性基を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。
これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記光拡散層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
本発明の低屈折率層には、上記の光散乱層の頁で述べた重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明の低屈折層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
本発明の低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
本発明の光拡散層を有するフイルムは、トリアセチルセルロース(TAC)あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)のいずれかに対して常温常湿で測定した垂直剥離帯電が−200pc(ピコクーロン)/cm2〜+200pc(ピコクーロン)/cm2であることが好ましい。より好ましくは−100pc/cm〜+100pc/cm2であり、さらに好ましくは−50pc/cm2〜+50pc/cm2であり、最も好ましくは0pc/cm2である。ここで、単位のpc(ピコクーロン)は、10-12クーロンである。さらに好ましくは、常温10%RHで測定した垂直剥離帯電が−200pc/cm2〜+200pc/cm2であり、さらに好ましくは−50pc/cm2〜+50pc/cm2であり、最も好ましくは0pc/cm2である。
垂直剥離帯電の測定方法は以下の通りである。測定サンプルはあらかじめ測定温度湿度の環境下で2時間以上放置しておく。測定装置は測定サンプルを置く台と相手のフイルムを保持して測定サンプルに上から圧着と剥離を繰り返せるヘッドからなり、このヘッドに帯電量を測定するエレクトロメーターがつながっている。測定する防眩性反射防止フイルムを台に乗せ、ヘッドにTACあるいはPETを装着する。測定部分を除電したのち、ヘッドを測定サンプルに圧着させ剥離させることを繰り返し、1回目の剥離時と5回目の剥離時の帯電の値を読み、これを平均する。サンプルを変えて3サンプルでこれを繰り返し、全てを平均したものを垂直剥離帯電とする。
本発明の拡散層を有するフイルムの表面抵抗値は、1×10Ω/□以上1×1015Ω/□以下が好ましく、1×10Ω/□以上1×1014Ω/□以下がより好ましく、1×10Ω/□以上1×1013Ω/□以下が最も好ましい。
表面抵抗値の測定方法はJISに記載されている円電極法である。即ち、電圧印加後、1分後の電流値を読み、表面抵抗値(SR)を求める。
表面抵抗値を下げるには、帯電防止層を設けることが好ましい。好ましい層構成を以下に示す。
・基材フィルム/光拡散層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/帯電防止層/光拡散層/低屈折率層
・基材フィルム/光拡散層(帯電防止層)/低屈折率層
・基材フィルム/光拡散層/中屈折率層(帯電防止層)/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/光拡散層(帯電防止層)/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/光拡散層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/光散乱層/中屈折率層/高屈折率層(帯電防止層)/低屈折率層
なお、低屈折率層がなくても構わないし、また、上記構成に限るものではない。帯電防止層は導電性ポリマー粒子又は金属酸化物微粒子(例えば、ATO、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布又は大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。防汚層を設ける場合は、上記構成の最上層に設けることができる。
また、フィルム硬度を高めるために(耐傷性付与のために)、本発明で記載のハードコート性を持たせた光拡散層を厚くする以外に、さらに、別層として、ハードコート層(本発明の光拡散性があっても、なくても構わない)を少なくとも1層設けることも好ましい。好ましい層構成としては以下の通りである。
・基材フィルム/ハードコート層/光拡散層/低屈折率層
・基材フィルム/光拡散層/ハードコート層/低屈折率層
なお、低屈折率層がなくても構わないし、また、上記構成に限るものではない。さらに、上記帯電防止層を組み合わせることも好ましい
本発明の拡散層を有するフイルムの、5度入射における積分反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値は3.0%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましく、最も好ましくは1.0%以下である。
[透明基材]
透明基材の素材としては、透明樹脂フイルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスがある。透明樹脂フイルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)フイルム(屈折率1.48)、ポリエチレンテレフタレート(PET)フイルム、ジアセチレンセルロースフイルム、アセテートブチレートセルロースフイルム、ポリエーテルサルホンフイルム、ポリアクリル系樹脂フイルム、ポリウレタン系樹脂フイルム、ポリエステルフイルム、ポリカーボネートフイルム、ポリスルホンフイルム、ポリエーテルフイルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリエーテルケトンフイルム、(メタ)アクリルニトリルフイルム等が使用できる。又、厚さは通常25μm〜200μm程度とする。好ましくは、30μm〜100μm、より好ましくは、40μm〜80μmである。透明基材は、偏光板の最表面に用いるため、偏光板の保護フイルムとして一般に用いられているセルロースアセテートフイルムを使用する事が好ましい。光散乱フイルムの透明基材フイルムとしては、透明性が高く、表面が平滑なセルロースアセテートフイルムが好ましい。
本発明では透明基材フイルムに、酢化度が59.0乃至61.5%であるセルロースアセテートを使用することが特に好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ましく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。本発明のセルロースアシレートとして、特開平11−5851号に記載の「0043」〜「0044」「実施例」[合成例1]、「0048」〜「0049」[合成例2]、「0051」〜「0052」[合成例3]の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフイルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースアセテートフイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアセテートフイルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
セルロースアセテートフイルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号明細書に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。フイルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアセテートフイルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。表面エネルギーは55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましい。また、セルロースアセテートフィルム上に均一に塗工するために、塗工前に加熱処理を行い、セルロースアセテートフィルムの平面性を改善することも好ましい。
[光学異方性層]
光学異方性層は、2枚の偏光層の間に少なくとも1枚配置される。光学異方性層の光学特性によっては、液晶セルの片側に2枚以上配置される場合もあれば、液晶セルの両側に配置される場合もある。
以下に光学異方性層の光学特性とその態様について具体例を挙げて説明するが、IPSモード液晶表示装置において、光学補償原理により視野角改善可能な光学異方性層であれば、これらに限定されない。
第一の具体例として、例えば図2〜図4に示すように少なくとも一枚の光学異方性層を有する場合について説明する。光学異方性フィルムは、光学二軸性を有し、正面レターデーションRe(λ)が60nm〜330nmであり、且つ、Nz=Rth/Re+0.5で定義されるNz値が0〜1.0であることが好ましい。正面レターデーションRe(λ)は、90nm〜310nmが更に好ましく、110nm〜290nmが特に好ましい。Nz値は、0.2〜0.8が更に好ましく、0.3〜0.7が特に好ましい。光学異方性層の遅相軸は、液晶セルの液晶層の遅相軸と直交あるいは平行に配置され、視認側の偏光層と液晶セルの間でも、バックライト側の偏光層と液晶セルの間に配置されてもよい。
また、視認側の偏光層と液晶セルの間、あるいはバックライト側の偏光層と液晶セルの間には、その他の光学異方性層を一つ以上配置してもよいが、好ましくは、複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。具体的には、面内のReが0〜30nmであることが好ましく、0〜15nmであることがより好ましく、0〜5nmであることが最も好ましい。さらに、厚み方向のレターデーションRthは−40〜40nmの範囲であり、−20〜20nmであることが好ましく、−10〜10nmであることがより好ましく、−5〜5nmであることが最も好ましい。
前記光学異方性層は、偏光層の保護フィルムとして機能してもよいし、他の光学異方性層や前記複屈折性の小さいフィルムや偏光板と貼り合せて用いてもよい。
第二の具体例として、例えば図5及び図6に示すように少なくとも二枚の光学異方性層を有する場合について説明する。第一の光学異方性層は、Re(λ)が20nm〜200nmであり、且つ、Nz値が0.8〜7.0であり、第二の光学異方性層は、Re(λ)が0nm〜20nmであり、且つ、Rth(λ)が−400nm〜−50nmである。つまり、第一の光学異方性層は、二軸性あるいは一軸性の正のAプレートの特性を有し、第二の光学異方性層は、一軸性の正のCプレートの特性を有する。第一の光学異方性層のRe(λ)は、30nm〜180nmが更に好ましく、40nm〜160nmが特に好ましい。第一の光学異方性層のNz値は、0.8〜6.0が更に好ましく、0.9〜5.0が特に好ましい。第二の光学異方性層のRe(λ)は、0nm〜10nmが更に好ましく、0nm〜5nmが特に好ましい。第二の光学異方性層のRth(λ)は、−350nm〜−55nmが更に好ましく、−300nm〜−60nmが特に好ましい。
第一の光学異方性層の遅相軸は、液晶セルの液晶層の遅相軸と直交あるいは平行に配置され、視認側の偏光層と液晶セルの間でも、バックライト側の偏光層と液晶セルの間に配置されてもよい。図5に示すように第一の光学異方性層の遅相軸22が液晶セルの液晶層の遅相軸13と直交する場合は、正のCプレートである第二の光学異方性層20は、偏光層8と第一の光学異方性層21の間に配置されることが好ましい。一方、図6に示すように第一の光学異方性層の遅相軸22が液晶セルの液晶層の遅相軸13と平行な場合は、正のCプレートである第二の光学異方性層20は、液晶セル12と第一の光学異方性層21の間に配置されることが好ましい。
また、視認側の偏光層と液晶セルの間、あるいはバックライト側の偏光層と液晶セルの間には、その他の光学異方性層を一つ以上配置してもよいが、好ましくは、複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。
第一の光学異方性層あるいは第二の光学異方性層は、偏光層の保護フィルムとして機能してもよいし、他の光学異方性層や前記複屈折性の小さいフィルムや偏光板と貼り合せて用いてもよい。
第三の具体例として、例えば図7に示すように少なくとも二枚の光学異方性層を有する場合について説明する。第一の光学異方性層は、Re(λ)が50nm〜200nmであり、且つ、Nz値が−0.2〜0.2であり、第二の光学異方性層は、Re(λ)が0nm〜20nmであり、且つ、Rth(λ)が20nm〜120nmである。つまり、第一の光学異方性層は、一軸性の負のAプレートの特性を有し、第二の光学異方性層は、一軸性の負のCプレートの特性を有する。第一の光学異方性層のRe(λ)は、55nm〜180nmが更に好ましく、60nm〜160nmが特に好ましい。第一の光学異方性層のNz値は、−0.18〜0.18が更に好ましく、−0.16〜0.16が特に好ましい。第二の光学異方性層のRe(λ)は、0nm〜10nmが更に好ましく、0nm〜5nmが特に好ましい。第二の光学異方性層のRth(λ)は、30nm〜110nmが更に好ましく、40nm〜100nmが特に好ましい。
第一の光学異方性層の遅相軸は、液晶セルの液晶層の遅相軸と直交あるいは平行に配置され、視認側の偏光層と液晶セルの間でも、バックライト側の偏光層と液晶セルの間に配置されてもよい。図7示すように第一の光学異方性層の遅相軸25が液晶セルの液晶層の遅相軸13と平行な場合は、負のCプレートである第二の光学異方性層23は、偏光層8と第一の光学異方性層24の間に配置されることが好ましい。一方、第一の光学異方性層の遅相軸25が液晶セルの液晶層の遅相軸13と直交する場合は、負のCプレートである第二の光学異方性層23は、液晶セル12と第一の光学異方性層24の間に配置されることが好ましい。
また、視認側の偏光層と液晶セルの間、あるいはバックライト側の偏光層と液晶セルの間には、その他の光学異方性層を一つ以上配置してもよいが、好ましくは、複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。
その他、少なくとも二枚の光学異方性層を有する具体例については、二軸性の光学異方性層と負のCプレートの組合わせ、負のAプレートと正のAプレートの組合わせ、負のAプレートと正のCプレートの組合わせ、正のAプレートと負のCプレートの組合わせなどが挙げられる。
前記光学異方性層は、前記光学特性を有する限り、基本的にその材料および形態については特に制限されない。例えば、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜、支持体上に高分子化合物を塗布後に加熱延伸した膜、および支持体上に低分子若しくは高分子液晶性化合物を塗布または転写することによって形成された位相差層を有する位相差膜など、いずれも使用することができる。また、それぞれを積層して使用することもできる。
一軸性あるいは二軸性の光学異方性層として、複屈折ポリマーフィルムを用いる場合、複屈折特性の制御性や透明性、耐熱性に優れるものが好ましい。この場合、用いる高分子材料としては均一な一軸配向あるいは二軸配向が達成できる高分子であれば特に制限はないが、従来公知のもので溶液流延法や押出し成形方式で製膜できるもの好ましく、ノルボルネン系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリサルフォン等の芳香族系高分子、セルロースアシレート、または、それらポリマーの2種または3種以上を混合したポリマーなどがあげられる。
フィルムの一軸配向あるいは二軸配向は、押出し成形方式や流延製膜方式等の適宜な方式で製造した当該熱可塑性樹脂からなるフィルムを、例えばロールによる縦延伸方式、テンターによる横延伸方式や二軸延伸方式などにより、延伸処理することにより達成することができる。前記のロールによる縦延伸方式では加熱ロールを用いる方法や雰囲気を加熱する方法、それらを併用する方法等の加熱方法を採ることができる。またテンターによる二軸延伸方式では全テンター方式による同時二軸延伸方法や、ロール・テンター法による逐次二軸延伸方法などの方法を採ることができる。
また、配向ムラや位相差ムラの少ないものが好ましい。その厚さは、位相差等により決定しうるが、一般には薄型化の点より1〜300μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましく、20〜150μmであることがさらに好ましい。
ノルボルネン系高分子としては、ノルボルネンおよびその誘導体、テトラシクロドデセンおよびその誘導体、ジシクロペンタジエンおよびその誘導体、メタノテトラヒドロフルオレンおよびその誘導体などのノルボルネン系モノマーの主成分とするモノマーの重合体であり、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体、およびの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体または環状共役ジエンの重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは8,000〜200,000、さらに好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、フイルム(A)の機械的強度、および成形加工性とが高度にバランスされて好適である。代表的なポリマーとして、特開2003−327800号公報、特開2004−233604号公報に記載されたポリマーが挙げられる。
セルロースアシレートのアシル基としては、脂肪族基でも芳香族基でもよく、特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよく、総炭素数が22以下のエステル基が好ましい。これらの好ましいセルロースアシレートとしては、エステル部の総炭素数が22以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、バレル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基など)、アリールカルボニル基(アクリル、メタクリルなど)、アリルカルボニルキ(ベンゾイル、ナフタロイルなど)、シンナモイル基を挙げることができる。これらの中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートなどであり、混合エステルの場合はその比率は特に限定されないが、好ましくはアセテートが総エステルの30モル%以上であることが好ましい。
セルロースアシレートとしては、市販の写真用グレードのものは粘度平均重合度、置換度等の品質を満足して入手することができる。写真用グレードのセルローストリアセテートのメーカーとしては、ダイセル化学工業(株)(例えばLT−20,30,40,50,70,35,55,105など)、イーストマンケミカル社(例えば、CAB−551−0.01、CAB−551−0.02、CAB−500−5、CAB−381−0.5、CAB−381−02、CAB−381−20、CAB−321−0.2、CAP−504−0.2、CAP−482−20、CA−398−3など)、コートルズ社、ヘキスト社等があり、何れも写真用グレードのセルロースアシレートを使用できる。
透明樹脂をシートまたはフィルム状に成形する方法は、例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも用いることができる。加熱溶融成形法は、さらに詳細に、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できるが、これらの方法の中でも、機械的強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押出成形法、インフレーション成形法、およびプレス成形法が好ましく、押出成形法が最も好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜400℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。上記シートまたはフィルムの厚みは、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
上記シートまたはフィルムの延伸は、該透明樹脂のガラス転移温度をTgとするとき、好ましくはTg−30℃からTg+60℃の温度範囲、より好ましくはTg−10℃からTg+50℃の温度範囲にて、少なくとも一方向に好ましくは1.01〜2倍の延伸倍率で行う。延伸方向は少なくとも一方向であればよいが、その方向は、シートが押出成形で得られたものである場合には、樹脂の機械的流れ方向(押出方向)であることが好ましく、延伸方法は自由収縮一軸延伸法、幅固定一軸延伸法、二軸延伸法などが好ましい。光学特性の制御はこの延伸倍率と加熱温度を制御することによって行なうことができる。
一軸性の光学異方性層としては、前記複屈折ポリマーフィルムを用いる方法の他、棒状あるいは円盤状の液晶化合物を配向して固定化する方法も好ましい。キラル構造単位を含んだコレステリックディスコチック液晶化合物や組成物を、その螺旋軸を基板に略垂直に配向させたのち固定化して形成した層、または円盤面を垂直に配向させたのち固定化して形成した層、屈折率異方性が正の棒状液晶化合物や組成物を基板に略垂直に配向させたのち固定化して形成した層、または基盤に略水平に配向させたのち固定化して形成した層などを例示することができる(例えば、特開平6−331826号公報や特許第2853064号等参照)。棒状液晶化合物は低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。用いる棒状液晶化合物としては、配向固定させる温度範囲で、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、リオトロピック液晶相状態をとるものが好適に用いられる。揺らぎの無い均一な垂直配向が得られるスメクチックA相、B相を示す液晶が好ましい。特にまた、添加剤の存在下において、適切な配向温度範囲で、上記液晶状態となる棒状液晶性化合物については、該添加剤と棒状液晶性化合物を含有する組成物を用いて層を形成するのも好ましい。
次に一軸性を有する光学異方性層の具体例として、棒状液晶化合物を垂直に配向させ固定化した正のCプレートについて説明する。
本光学異方性層は、以下の液晶組成物から形成される。
(本発明の棒状液晶組成物)
本発明の棒状液晶組成物は、配向膜界面での垂直配向を促進する添加剤としてオニウム塩の少なくとも一種、棒状液晶性化合物の少なくとも一種、および棒状液晶化合物の空気界面での垂直配向を促進する添加剤の少なくとも一種を含有する。
《オニウム塩》
本発明の組成物はオニウム塩の少なくとも一種を含有する。本発明においてオニウム塩は配向膜界面側において棒状液晶化合物の分子を垂直配向させるのに寄与する。前記オニウム塩の例には、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が含まれる。好ましくは、4級オニウム塩であり、より好ましくは第4級アンモニウム塩である。
第4級アンモニウム塩は、一般に、第3級アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなど)あるいは含窒素複素環(ピリジン環、ピコリン環、2,2’−ビピリジル環、4,4’−ビピリジル環、1,10−フェナントロリン環、キノリン環、オキサゾール環、チアゾール環、N−メチルイミダゾール環、ピラジン環、テトラゾール環など)をアルキル化(メンシュトキン反応)、アルケニル化、アルキニル化あるいはアリール化して得られる。
第4級アンモニウム塩としては、含窒素複素環からなる第4級アンモニウム塩が好ましく、特に好ましくは第4級ピリジニウム塩である。
より具体的には、前記第4級アンモニウム塩は、下記一般式(3a)または後述する一般式(3b)で表される第4級ピリジニウム塩から選ばれるのが好ましい。
Figure 2007233014
式(3a)中、R8は置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基または複素環基を表し、Dは水素結合性基を表し、mは1〜3の整数を表し、X-はアニオンを表す。
まず、前記一般式(3a)について説明する。
上記R8で表されるアルキル基は、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜8の置換もしくは無置換のアルキル基である。これらは、直鎖状、分岐鎖状、あるいは環状であってもよい。これらの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基およびシクロプロピル基等が挙げられる。
アルキル基の置換基の例としては、以下のものを挙げることができる。炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルケニル基(例えば、ビニル基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルキニル基(例えば、エチニル基);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基);ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ビフェニルオキシ基、p−メトキシフェノキシ基);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールチオ基(例えば、フェニ
ルチオ基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基);
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基);炭素数7〜11の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、ナフトキシカルボニル基);無置換のアミノ基、もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換アミノ基(例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基、メトキシフェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、n−ブトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、エチルチオカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ基、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、エチルチオカルバモイルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、クロロアセチルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基);
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のカルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n−ブチルカルバモイル基、tert−ブチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルバモイル基、ピロリジノカルバモイル基);無置換のスルファモイル基、もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換スルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基);シアノ基;ニトロ基;カルボキシ基;水酸基;ヘテロ環基(例えば、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、ピロール環、クロマン環、クマリン環)。アルキル基の置換基としては、特に好ましくは、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基である。
上記R8で表されるアルケニル基は、炭素数2〜18の置換もしくは無置換のアルケニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜8の置換もしくは無置換のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1,3−ブタジエニル基等が挙げられる。
アルケニル基の置換基としては、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。
上記R8で表されるアルキニル基は、炭素数2〜18の置換もしくは無置換のアルキニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜8の置換もしくは無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル基、2−プロピニル等が挙げられる。アルキニル基の置換基は、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。
上記R8で表されるアラルキル基は、炭素数7〜18の置換もしくは無置換のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、メチルベンジル基、ビフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が好ましい。アラルキル基の置換基は前記アルキル基の置換基として挙げたものが挙げられる。
上記R8で表されるアリール基は、炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基等が挙げられる。アリール基の置換基は前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。またこれらの他に、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アルキニル基、ベンゾイル基も好ましい。
上記R8で表される複素環基は、炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子から構成される5〜6員環の飽和または不飽和の複素環であり、これらの例としては、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、ピロール環、クロマン環、およびクマリン環が挙げられる。複素環基は置換されていてもよく、その場合の置換基としては、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。R8で表される複素環基としては、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環が特に好ましい。
上記R8は好ましくは、置換もしくは無置換の、アルキル基、アラルキル基、アリール基または複素環基である。
Dは水素結合性基を表す。水素結合は、電気的に陰性な原子(例えば、O,N,F,Cl)と、同じように電気的に陰性な原子に共有結合した水素原子間に存在する。水素結合の理論的な解釈としては、例えば、H. Uneyama and K.Morokuma、Jounal of American Chemical Society、第99巻、第1316〜1332頁、1977年に報告がある。具体的な水素結合の様式としては、例えば、J.N.イスラエスアチヴィリ著、近藤保、大島広行訳、分子間力と表面力、マグロウヒル社、1991年の第98頁、図17に記載の様式が挙げられる。具体的な水素結合の例としては、例えば、G.R.Desiraju、Angewante Chemistry International Edition English、第34巻、第2311頁、1995年に記載のものが挙げられる。
好ましい水素結合性基としては、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、酸アミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、含窒素複素環基(例えば、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、1,3,5−トリアジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、キノリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、コハクイミド基、フタルイミド基、マレイミド基、ウラシル基、チオウラシル基、バルビツール酸基、ヒダントイン基、マレイン酸ヒドラジド基、イサチン基、ウラミル基などが挙げられる)を挙げることができる。更に好ましい水素結合性基としては、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、ピリジル基を挙げることができ、特に好ましくは、アミノ基、カルバモイル基、ピリジル基を挙げることができる。
-で表されるアニオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなど)、スルホネートイオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオンなど)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロほう酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン(例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン)、水酸イオンなどが挙げられる。
-は、好ましくは、ハロゲン陰イオン、スルホネートイオン、水酸イオンである。なおX-は1価のアニオンである必要はなく、2価以上のアニオンであってもよく、かかる場合は、前記化合物中のカチオンとアニオンとの比率も1:1である必要はなく、適宜決定される。
前記一般式(3a)中、mは好ましくは1である。
次に、前記一般式(3b)について説明する。
Figure 2007233014
式(3b)中、R9およびR10は各々置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基または複素環基を表し、X-はアニオンを表す。
9およびR10で各々表される置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基または複素環基は、前記一般式(3a)中、R8で表される基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。X-で表されるアニオンは、前記一般式(3a)中、X-で表されるアニオンと同義であり、その好ましい範囲も同一である。上述した様に、X-は1価のアニオンである必要はなく、2価以上のアニオンであってもよく、かかる場合は、前記化合物中のカチオンとアニオンとの比率も1:2である必要はなく、適宜決定される。
以下に、一般式(3a)または(3b)で表される第4級ピリジニウム塩、その他本発明で好ましく用いられるオニウム塩の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるオニウム塩はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007233014
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本発明の組成物中のオニウム塩の含有量は、その種類によって好ましい含有量が変動するが、通常は、併用される棒状液晶性化合物の含有量に対して、0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.05〜7質量%であるのがより好ましく、0.05〜5質量%であるのがさらに好ましい。オニウム塩は二種類以上用いてもよいが、かかる場合は、使用する全種類のオニウム塩の含有量の合計が前記範囲であるのが好ましい。
《棒状液晶性化合物》
本発明の液晶性組成物は棒状液晶性化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。本発明で採用する棒状液晶性化合物は、正の屈折率異方性を有する液晶性化合物として用いることができる。本発明に用いる棒状液晶性化合物は、高分子化合物であっても低分子化合物であってもよい。また、棒状液晶性化合物は、光学異方性層中において固定された状態では、もはや液晶性を失っていてもよい。前記棒状液晶性化合物の好ましい例としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が挙げられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。液晶性化合物には活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる部分構造を有するものが好適に用いられる。その部分構造の個数は好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。本発明で採用する棒状液晶性化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有する重合性棒状液晶性化合物であるのが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基またはカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報中の段落番号[0064]〜[0086]記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
《空気界面垂直配向剤》
本発明の液晶性組成物は、棒状液晶化合物の空気界面での垂直配向を促進する添加剤(以下、「空気界面垂直配向剤」という場合がある)の少なくとも一種を含有する。棒状液晶性化合物は、空気界面側では傾斜して配向する性質を有するので、均一に垂直配向した状態を得るために、空気界面側において液晶性化合物を垂直に配向制御することが必要である。この目的のために、空気界面側に偏在して、その排除体積効果や静電気的な効果によって液晶性化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物を液晶組成物に含有させて、光学異方性層を形成するのが好ましい。
空気界面垂直配向剤としては、特開2002−20363号公報、特開2002−129162号公報に記載されている化合物を用いることができる。また、特開2004−53981号明細書の段落番号[0072]〜[0075]、特開2004−4688号明細書の段落番号[0071]〜[0078]、特開2004−139015号明細書の段落番号[0052]〜[0054]、[0065]〜[0066]、[0092]〜[0094]、に記載される事項も本発明に適宜適用することができる。また、空気界面垂直配向剤の例には、以下の化合物B−1〜B−33、および化合物C−1〜C−45が含まれる。
Figure 2007233014
Figure 2007233014
Figure 2007233014
Figure 2007233014
Figure 2007233014
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空気界面垂直配向剤は、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、スルファト基(−OSO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}およびそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含む化合物から選ばれるのが好ましい。かかる構造の化合物は、棒状液晶性化合物の空気界面側のダイレクターの傾斜角度を大きくさせるとともに、液晶組成物の塗布性を改善させ、ムラ、弾きの発生の低減にも寄与する。なお、前記フルオロ脂肪族基および親水性基の少なくとも一種を有する化合物(高分子化合物および低分子化合物を含む)は、重合性基を有していてもよく、かかる場合は、併用される液晶性化合物の配向の固定化にも寄与する。
本発明に用いられる空気界面垂直配向剤は、フルオロ脂肪族基および親水性基をそれぞれ少なくとも一種有するポリマー(以下、「フッ素系ポリマー」という場合がある);または下記一般式(2)で表される化合物であるのが好ましい。
まず、本発明の液晶組成物に使用可能なフッ素系ポリマーについて説明する。
《フッ素系ポリマー》
フッ素系ポリマーとしては、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}およびそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを有するものが挙げられる。ポリマーの種類としては、「改訂 高分子合成の化学」(大津隆行著、発行:株式会社化学同人、1968)1〜4ページに記載があり、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミ
ド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類、ポリカーボナート類、ポリエーテル類、ポリアセタール類、ポリケトン類、ポリフェニレンオキシド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリアリレート類、PTFE類、ポリビニリデンフロライド類、セルロース誘導体などが挙げられる。前記フッ素系ポリマーは、ポリオレフィン類であることが好ましい。
前記フッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基を側鎖に有するポリマーである。前記フルオロ脂肪族基は、炭素数1〜12であるのが好ましく、炭素数6〜10であるのがより好ましい。脂肪族基は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状である場合は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。中でも、直鎖状の炭素数6〜10のフルオロ脂肪族基が好ましい。フッ素原子による置換の程度については特に制限はないが、脂肪族基中の50%以上の水素原子がフッ素原子に置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましい。フルオロ脂肪族基は、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族環などを介してポリマー主鎖と結合した側鎖に含まれる。フルオロ脂肪族基の一つは、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)またはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものである。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747−752ページに記載されている。テロメリゼーション法とは、ヨウ化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(Scheme−1に例を示した)。
Figure 2007233014
得られた、末端ヨウ素化テロマーは通常、例えば[Scheme2]のごとき適切な末端化学修飾を施され、フルオロ脂肪族化合物へと導かれる。これらの化合物は必要に応じ、さらに所望のモノマー構造へと変換され、フルオロ脂肪族基含有ポリマーの製造に使用される。
Figure 2007233014
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーの製造に利用可能なフルオロ脂肪族基含有モノマーの具体例を以下に挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2007233014
Figure 2007233014
Figure 2007233014
Figure 2007233014
Figure 2007233014
Figure 2007233014
Figure 2007233014
前記フッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と、下記一般式(1)で表される親水性基を含有する繰り返し単位とを有する共重合体から選ばれるのが好ましい。
Figure 2007233014
上記一般式(1)において、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。Qはカルボキシル基(−COOH)またはその塩、スルホ基(−SO3H)またはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}またはその塩を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基およびアリーレン基(アリーレン基の組み合わせには、縮環しているものを含む趣旨である。)
1、R2およびR3の置換基には、下記置換基群Yが含まれる。
(置換基群Y)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8の
アルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、
無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、または後述する−L−Qで表される基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、塩素原子、−L−Qで表される基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましく、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基であることが最も好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、適当な置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基などが挙げられる。なお、上記のアルキル基の炭素数には、置換基の炭素原子を含まない。以下、他の基の炭素数についても同様である。
Lは、上記連結基群から選ばれる2価の連結基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。上記連結基群中、−NR4−のR4は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、好ましくは水素原子またはアルキル基である。また、−PO(OR5)−のR5はアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。R4およびR5がアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す場合の炭素数の好ましい範囲は、「置換基群Y」中で説明したものと同じである。Lとしては、単結合、−O−、−CO−、−NR4−、−S−、−SO2−、アルキレン基またはアリーレン基を含むことが好ましく、−CO−、−O−、−NR4−、アルキレン基またはアリーレン基を含んでいるものがより好ましい。Lがアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラブチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Lが、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン基、ナフタレン基等が挙げられる。Lが、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Lとして挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては置換基群Yとして挙げた置換基と同様のものを挙げることができる。
以下にLの具体的構造を例示するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2007233014
Figure 2007233014
前記式(1)中、Qはカルボキシル基、カルボキシル基の塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(例えば、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウムなど)、ピリジニウム塩など)、スルホ基、スルホ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、ホスホノキシ基、ホスホノキシ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)を表す。より好ましくはカルボキシル基、スルホ基、ホスホ基であり、特に好ましいのはカルボキシル基またはスルホ基である。
前記フッ素系ポリマーは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、前記フッ素系ポリマーは、上記各繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を1種または2種以上有していてもよい。前記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。以下、他の繰り返し単位を誘導するモノマーの具体例を挙げる。前記フッ素系ポリマーは、下記モノマー群から選ばれる1種または2種以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含有していてもよい。
モノマー群
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエンおよび2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
(3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2〜100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
(3b)アルキルメタクリレート類
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリ
レート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2〜100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
(3c)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
(3d)α、β−不飽和カルボン酸のアミド類
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
(4)不飽和ニトリル類
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレンおよびその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
(7)ビニルエーテル類
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;および
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
前記フッ素系ポリマー中、フルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該ポリマーの構成モノマー総量の5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ましく、30質量%以上であるのがさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーにおいて、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の量は、該フッ素ポリマーの構成モノマー総量の0.5質量%以上であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましく、1〜10質量%であるのがさらに好ましい。上記の質量百分率は使用するモノマーの分子量によって、好ましい範囲が変動し易いため、ポリマーの単位質量当たりの官能基モル数で表す方が、一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量を正確に規定できる。該表記を用いた場合、前記フッ素系ポリマー中に含有される親水性基(式(1)中のQ)の好ましい量は、0.1mmol/g〜10mmol/gであり、より好ましい量は0.2mmol/g〜8mmol/gである。
本発明に用いる前記フッ素系ポリマーの質量平均分子量は、1,000,000以下であるのが好ましく、500,000以下であるのがより好ましく、100,000以下であるのがさらに好ましく、2,000〜50,000が最も好ましい。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
前記フッ素系ポリマーの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知慣用の方法で製造することができる。例えば先に挙げたフルオロ脂肪族基を有するモノマー、水素結合性基を有するモノマー等を含む有機溶媒中に、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造できる。また、場合によりその他の付加重合性不飽和化合物を、さらに添加して上記と同じ方法にて製造することができる。各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。例えば、ビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、あるいは、アニオン重合等の重合方法を採ることができ、これらの中ではラジカル重合が汎用に利用できる点で特に好ましい。ラジカル重合の重合開始剤としては、ラジカル熱重合開始剤や、ラジカル光重合開始剤等の公知の化合物を使用することができるが、特に、ラジカル熱重合開始剤を使用することが好ましい。ここで、ラジカル熱重合開始剤は、例えば、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、tert−ブチルハイドパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等)、パーオキシエステル類(tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)、過硫酸塩類(過硫酸アンモ
ニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等)が挙げられる。このようなラジカル熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ラジカル重合方法は、特に制限されるものでなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等を採ることが可能である。典型的なラジカル重合方法である溶液重合についてさらに具体的に説明する。他の重合方法についても概要は同等であり、その詳細は例えば「高分子科学実験法」高分子学会編(東京化学同人、1981年)等に記載されている。
溶液重合を行うためには有機溶媒を使用する。これらの有機溶媒は本発明の目的、効果を損なわない範囲で任意に選択可能である。これらの有機溶媒は通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有する有機化合物であり、各構成成分を均一に溶解させる有機化合物が好ましい。好ましい有機溶媒の例を示すと、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることが可能である。さらに、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から上記有機溶媒に水を併用した水混合有機溶媒も適用可能である。
また、溶液重合条件も特に制限されるものではないが、例えば、50〜200℃の温度範囲内で、10分〜30時間加熱することが好ましい。さらに、発生したラジカルが失活しないように、溶液重合中はもちろんのこと、溶液重合開始前にも、不活性ガスパージを行うことが好ましい。不活性ガスとしては通常窒素ガスが好適に用いられる。
前記フッ素系ポリマーを好ましい分子量範囲で得るためには、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法が特に有効である。連鎖移動剤としてはメルカプタン類(例えば、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、チオフェノール、p−ノニルチオフェノール等)、ポリハロゲン化アルキル(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1−トリブロモオクタンなど)、低活性モノマー類(α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等)のいずれも用いることができるが、好ましくは炭素数4〜16のメルカプタン類である。これらの連鎖移動剤の使用量は、連鎖移動剤の活性やモノマーの組み合わせ、重合条件などにより著しく影響され精密な制御が必要であるが、使用するモノマーの全モル数に対して、好ましくは0.01モル%〜50モル%程度であり、より好ましくは0.05モル%〜30モル%であり、さらに好ましくは0.08モル%〜25モル%である。これらの連鎖移動剤は、重合過程において重合度を制御するべき対象のモノマーと同時に系内に存在させればよく、その添加方法については特に問わない。モノマーに溶解して添加してもよいし、モノマーと別途に添加することも可能である。
尚、前記した様に、前記フッ素系ポリマーは、棒状液晶性化合物の分子の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
以下に、フッ素系ポリマーとして本発明に好ましく用いられるフルオロ脂肪族基含有共重合体の具体例を示すが、本発明はこれらの具体例によってなんら限定されるものではない。ここで式中の数値(a、b、c、d等の数値)は、それぞれ各モノマーの組成比を示す質量百分率であり、MwはGPCにより測定されたPS換算の質量平均分子量である。
Figure 2007233014
Figure 2007233014
Figure 2007233014
Figure 2007233014
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液晶組成物中における前記フッ素系ポリマーの含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、光学異方性層の形成に用いる場合は、液晶組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた液晶組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーの添加量を0.005質量%以上とするとより効果的であり、また8質量%以下とすることにより、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、光学フィルムとしての性能(例えばレターデーションの均一性等)に悪影響を及ぼしたりするのをより効果的に抑止できる。
次に、一般式(2)で表される含フッ素化合物について説明する。
《一般式(2)で表される含フッ素化合物》
一般式(2)
(R0mo−L0−(W)no
式中、R0はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、または末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、moは1以上の整数を表す。複数個のR0は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基またはCF2H基を有するアルキル基を表す。
0は(mo+no)価の連結基を表し、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、またはホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩であることが好ましい。noは1以上の整数を表す。
式(2)中、R0で表されるアルキル基は置換もしくは無置換のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは4〜16のアルキル基であり、特に好ましくは6〜16のアルキル基である。該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。
0で表される末端にCF3基を有するアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20であり、更に好ましくは4〜16であり、特に好ましくは4〜8である。前記末端にCF3基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上が置換されているのが特に好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。R0で表される末端にCF2H基を有するアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20であり、更に好ましくは4〜16であり、特に好ましくは4〜8である。前記末端にCF2H基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上が置換されているのが特に好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。R0で表される末端にCF3基を有するアルキル基、または末端にCF2H基を有するアルキル基の例を以下に示す。
R1:n−C817
R2:n−C613
R3:n−C49
R4:n−C817−(CH22
R5:n−C613−(CH22
R6:n−C49−(CH22
R7:H−(CF28
R8:H−(CF26
R9:H−(CF24
R10:H−(CF28−(CH2)−
R11:H−(CF26−(CH2)−
R12:H−(CF24−(CH2)−
式(2)において、L0で表される(mo+no)価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、芳香族基、ヘテロ環基、−CO−、−NR−(Rは炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−およびSO2−からなる群より選ばれる基を少なくとも二種を組み合わせた連結基であることが好ましい。
式(2)において、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、またはホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。Wの好ましい範囲は、一般式(1)におけるQと同一である。
前記一般式(2)で表される含フッ素化合物の中でも、下記一般式(2a)または後述する一般式(2b)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007233014
式(2a)中、R5およびR6は各々アルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、または末端にCF2H基を有するアルキル基を表すが、R5およびR6が同時にアルキル基であることはない。W1およびW2は各々水素原子、カルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、または置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有する、アルキル基、アルコキシ基またはアルキルアミノ基を表すが、W1およびW2が同時に水素原子であることはない。
5およびR6は前記一般式(2)におけるR0と同義であり、その好ましい範囲も同一である。W1およびW2で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩は前記一般式(2)におけるWと同義でありその好ましい範囲も同一である。W1およびW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは1〜8のアルキル基であり、特に好ましくは1〜3のアルキル基である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくは
ホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、スルファト基およびホスホノキシ基としては、前記一般式(2)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、スルファト基およびホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。W1およびW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、更に好ましくは1〜8のアルコキシ基であり、特に好ましくは1〜4のアルコキシ基である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、スルファト基およびホスホノキシ基としては、前記一般式(2)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、スルファト基およびホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記カルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。W1およびW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキルアミノ基であり、更に好ましくは1〜8のアルキルアミノ基であり、特に好ましくは1〜4のアルキルアミノ基である。前記カルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、スルファト基およびホスホノキシ基としては、前記一般式(2)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、スルファト基およびホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記カルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。
1およびW2は、特に好ましくはそれぞれ水素原子または(CH2n1SO3M(n1は0または1を表す。)である。Mはカチオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合はMはなくてもよい。Mで表されるカチオンとしては、例えばプロトニウムイオン、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが好ましく適用される。このうち、特に好ましくはプロトニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
次に、下記一般式(2b)について説明する。
一般式(2b)
(R7−L1−)m2(Ar1)−W3
一般式(2b)中、R7はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、または末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、m2は1以上の整数を表し、複数個のR7は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基またはCF2H基を有するアルキル基を表す。L1は、アルキレン基、芳香族基、−CO−、−NR−(Rは炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、複数個のL1は同一でも異なっていてもよい。Ar1は芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表し、W3はカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、または置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、またはアルキルアミノ基を表す。
Ar1が表す芳香族炭化水素環は、炭素数6〜12の芳香族炭化水素環が好ましい。また、Ar1が表す芳香族へテロ環は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子の少なくとも1種および炭素原子を環構成原子とする芳香族へテロ環であるのが好ましく、例えば、ピリジン環、チオフェン環、フラン環、ピリミジン環等が好ましい。Ar1としては芳香族炭化水素環が好ましく、中でもベンゼン環およびナフタレン環がより好ましく、ベンゼン環がさらに好ましい。
7は前記一般式(2)におけるR0と同義であり、その好ましい範囲も同一である。L1は、好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12の芳香族基、−CO−、−NR−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる総炭素数0〜40の連結基を表し、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキレン基、フェニル基、−CO−、−NR−、−O−、−S−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる総炭素数0〜20の連結基を表す。W3で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、または置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、またはアルキルアミノ基は、前記一般式(2a)におけるW1およびW2で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、または置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、またはアルキルアミノ基と同義でありその好ましい範囲も同一である。
3は、好ましくはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、または置換基としてカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩またはスルホ基(−SO3H)もしくはその塩を有するアルキルアミノ基であり、特に好ましくはSO3M、またはCO2Mである。Mはカチオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合はMはなくてもよい。Mで表されるカチオンとしては、例えばプロトニウムイオン、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが好ましく適用される。このうち、特に好ましくはプロトニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
本明細書において、置換基群Dには、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数
1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12アシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例え
ば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、前記含フッ素化合物は棒状液晶性化合物の分子の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
本発明に使用可能な前記一般式(2)で表される含フッ素化合物、その他の化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる含フッ素化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007233014
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本発明の液晶組成物中における前記含フッ素化合物の含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、光学異方性層の形成に用いる場合は、液晶組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた液晶組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。
《液晶組成物中の他の材料》
本発明の液晶組成物は、棒状液晶性化合物、オニウム塩、および空気界面垂直配向剤と共に、重合開始剤、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を含有していてもよい。これらの材料は、種々の目的、例えば、配向の固定化、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性の向上等を目的として添加される。これらの材料は、併用する棒状液晶性化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
重合開始剤としては、熱重合開始剤および光重合開始剤のいずれを用いてもよく、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、棒状液晶性化合物に対して、好ましくは1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることがより好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]に記載の化合物が挙げられる。また、本発明に利用可能な界面活性剤の例には、下記化合物P−1〜P−71が含まれる。
Figure 2007233014
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棒状液晶性化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]に記載のものが挙げられる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
《光学異方性層の作製方法》
前記光学異方性層は、本発明の液晶組成物を塗布液として調製し、該塗布液を、支持体等の表面に塗布して、棒状液晶性化合物の分子を垂直配向させ、該配向状態を固定することで形成することができる。仮支持体上に光学異方性層を形成した場合は、形成された光学異方性層は、支持体上に転写される。さらに、1層の光学異方性層のみならず複数の光学異方性層を積層して、上記光学特性を示す第2位相差領域を構成することもできる。また、支持体と光学異方性層との積層体全体で上記光学特性を満たすようにして、第2位相差領域を作製してもよい。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
棒状液晶性化合物の分子を垂直配向させた後、その配向状態に分子を固定するのが好ましい。固定化は、棒状液晶性化合物が重合性基を有する場合は棒状液晶性化合物および/または別途重合性モノマーを添加した場合は重合性モノマーの重合反応により実施することが好ましい。固定化のために実施する重合反応には、光重合開始剤を用いた光重合反応を利用するのが好ましい。棒状液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
光重合時の加熱温度は、高過ぎると、液晶性化合物が等方相になってしまったり、ネマチック液晶相が乱れる問題が生じる。一方、加熱温度が低過ぎると、液晶化合物が結晶化して配向が乱れたり、重合率が低く光学異方性層と配向膜との密着が不足する、或いは光学異方層の機械的強度が不足する。
上記のような問題から、光重合時の温度を制御することが重要であり、上記問題が発生しない温度範囲であれば特に制限は無いが、具体的には、40〜80℃の範囲が好ましく、更に好ましくは、50〜70℃である。
前記光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1〜5μmであることが最も好ましい。
(配向膜)
前記光学異方性層の作製には、配向膜を利用してもよい。配向膜は、棒状液晶性化合物の配向方向を規定する機能を有する。しかし、棒状液晶性化合物の分子をホメオトロピック配向させる場合は、面内の配向方向はないため、配向膜は本発明において必須ではない。
また、本発明の液晶組成物は、オニウム塩および空気界面垂直配向剤を含有するので、垂直配向膜を用いなくても、棒状液晶性化合物の分子を安定的に垂直配向させることができるので、光学異方性層を形成するのに垂直配向膜は必須ではない。しかし、配向膜は液晶性組成物の配向の均一性を向上させたり、ポリマー基材と光学異方性層との間の密着性を向上させることができるために、必要であれば用いることができる。また、棒状液晶性化合物の分子を配向させ、その配向状態に固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、除去することも可能である。例えば、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを、偏光子上に転写して光学異方性層を有する偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、必要であればラビング処理することができる。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性化合物を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶性化合物を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例えば、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性化合物を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。
ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系重合体、スチレン系重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
液晶性化合物を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。
具体的な官能基の種類は、液晶性化合物の種類および必要とする配向状態に応じて決定する。
例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性化合物を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、必要であればラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、支持体上に塗布した後、任意の時期に行なってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例えば、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で、水:メタノールが0より大きく99以下:100未満1以上が好ましく、0より大きく91以下:100未満9以上であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20度〜110度で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60度〜100度が好ましく、特に80度〜100度が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、支持体上または上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、必要であれば表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
配向膜上で液晶性化合物を配向させた後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させてもよい。配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性化合物を均一配向させるには、配向膜により配向方向を制御するのが好ましい。なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフィルム(または支持体)上に転写してもよい。即ち、光学異方性層の作製時に配向膜を用いたとしても、配向膜は必ずしも本発明の位相差膜の構成部材となるわけではない。
[支持体]
本発明では、前記光学異方性層を、支持体上に形成してもよい。支持体は透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。支持体は、波長分散が小さいのが好ましく、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。中でも、ポリマーフィルムが好ましい。前記光学異方性層の支持体は、第2位相差領域の一部であってもよく、また、第1位相差領域の一部または全部であってもよい。また、前記光学異方性層の支持体は、偏光膜の保護膜としても機能していてもよい。
支持体の光学異方性は小さいのが好ましく、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましく、5nm以下であることが最も好ましい。また、第1位相差領域を兼ねる場合は、Reが20nm〜150nmであることが好ましく、40nm〜115nmであるのがより好ましく、60nm〜95nmであるのがさらに好ましい。また、Nzが1.5〜7であって、2.0〜5.5であるのがより好ましく、2.5〜4.5であるのがさらに好ましい。
支持体となるポリマーフィルムの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートのフィルムが含まれる。セルロースエステルフィルムが好ましく、アセチルセルロースフィルムがさらに好ましく、トリアセチルセルロースフィルムが最も好ましい。ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜200μmであることがさらに好ましい。支持体とその上に設けられる層(接着層、垂直配向膜あるいは位相差層)との接着を改善するため、支持体に表面処理(例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、支持体や長尺の支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止するために、平均粒子サイズが10〜100nm程度の無機粒子を固形分重量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
次に一軸性を有する光学異方性層の他の具体例として、ディスコチック液晶化合物を垂直に配向させ固定化した負のAプレートについて説明する。
本光学異方性層は、以下の液晶組成物から形成される。
(本発明のディスコチック状液晶組成物)
本発明のディスコチック液晶組成物は、配向膜界面での垂直配向を促進する添加剤としてオニウム塩の少なくとも一種、ディスコチック液晶性化合物の少なくとも一種、およびディスコチック液晶化合物の空気界面での垂直配向を促進する添加剤の少なくとも一種を含有する。
《ディスコチック液晶性化合物》
本発明には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されているディスコチック液晶性化合物を用いることができる。ディスコチック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
ディスコチック液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有するのが好ましい。例えば、ディスコチック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、但し、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有するディスコチック液晶性化合物は、下記式で表わされる化合物であることが好ましい。
D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。前記式中の円盤状コア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。
《ディスコチック液晶性化合物の垂直配向膜の形成方法》
ディスコチック液晶性化合物の垂直配向膜は、上記棒状液晶化合物の垂直配向膜と同様に、垂直配向剤、添加剤、配向膜、支持体等使用でき、液晶組成物の調製方法、塗布方法、乾燥方法、配向及び固定化方法など同様に方法が使用できる。
[偏光層用保護膜]
偏光層用保護膜としては、可視光領域に吸収が無く、光透過率が80%以上であり、複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。具体的には、面内のReが0〜30nmであることが好ましく、0〜15nmであることがより好ましく、0〜5nmであることが最も好ましい。さらに、厚み方向のレターデーションRthは−40〜40nmの範囲であり、−20〜20nmであることが好ましく、−10〜10nmであることがより好ましく、−5〜5nmであることが最も好ましい。この特性を有するフィルムであれば好適に用いることができるが、偏光層の耐久性の観点からはセルロースアシレートやノルボルネン系のフィルムがより好ましい。より好ましくは、光学異方性層の複屈折ポリマーのところで例示したセルロースアシレートおよびノルボルネン系高分子である。セルロースアシレートフィルムのRthを小さくする方法として、特開平11−246704号公報、特開2001−247717号公報、特願2003−379975号明細書に記載の方法などが挙げられる。また、偏光層用保護膜の厚みを小さくすることによっても、Rthを小さくすることができる。偏光層用保護膜の厚みは10〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであるのがより好ましく、20〜45μmであることがさらに好ましい。このような特性の偏光層用保護膜を使用することによって、液晶パネルの黒表示時において、極角方向60°から観察した時の輝度を低く抑えてコントラストを高くすることができる。また、極角方向60°で方位角方向を振った時の色味変化を抑えることができる。
[保護膜]
また、本発明の光学異方性層にはその片側(または両側に)保護膜として、透明なポリマーフィルムが用いられることが好ましい。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
[偏光板]
本発明の光学異方性層に、直線偏光膜を貼り合せ、偏光板とした後に、液晶表示装置に用いてもよい。一般的に、偏光層の両面には保護膜が貼り合わせてあるが、一方の保護膜の代わりに、本発明の光学異方性層の支持体あるいは光拡散層の支持体を利用すると、液晶表示装置の薄型化にも寄与するため好ましい。
[偏光層]
偏光層には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の透過軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。ディスコティック液晶性化合物を光学異方性層に用いた場合には、偏光層の透過軸は、配向膜側のディスコティック液晶性化合物の面に対し、実質的に平行となるように配置される。また、棒状液晶性化合物を用いた場合、偏光膜に垂直に棒状液晶が配向していることが好ましい。偏光膜は、本発明の位相差膜の支持体側に貼り合せるのが好ましいが、必要によっては、光学異方性層側と貼り合せてもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<光拡散層の作製>
[光拡散フィルムHC−01]
光拡散層を構成する透光性樹脂は、酸化ジルコニウム超微粒子分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ7404 JSR(株)製)100部、透光性樹脂DPHA(日本化薬製;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)57質量部を攪拌混合してメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(20/80質量比)溶液に溶解した後、塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。この溶液に透光性微粒子として、架橋ポリメチルメタクリレート系ビーズ(綜研化学製 MX150、粒径1.5μm、屈折率1.49)17質量部、および架橋ポリメチルメタクリレート系ビーズ(綜研化学製、MX300 粒径3.0μm、屈折率1.49)7質量部を混合してメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(20/80質量比)により固形分50%になるように調整したものを、トリアセチルセルロースフイルム(富士写真フイルム(株)製、TD−80U)上に、1.5μmポリメチルメタクリレート系ビーズの塗布量が0.42g/m2になるように塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下(酸素濃度100ppm)で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量50mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ光拡散フィルムHC−01を作製した。このフィルムの光拡散層乾燥膜厚は3.0μmであった。
[光拡散フィルムHC−02〜07]
光拡散フィルムHC−01の光拡散層の1.5μm架橋ポリメチルメタクリレート系ビーズの塗布量を変更した以外は光拡散フィルムHC−01と同様に光拡散フィルムHC−02〜HC−07を作製した。1.5μmポリメチルメタクリレート系ビーズの塗布量はそれぞれ、HC−02が0.20g/m2、HC−03が0.36g/m2、HC−04が0.81g/m2、HC−05が1.9g/m2、HC−06が3.4g/m2、HC−07が4.5g/m2とした。
[光拡散フィルムHC−08]
光拡散層を構成する透光性樹脂として、DPHA(日本化薬製)14.79質量部、PET-30(日本化薬製;ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物)133.11重量部を使用し(これら2種の樹脂を溶剤で希釈した後、塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.53であった)、これらの樹脂に、透光性微粒子として、高架橋ポリスチレン系ビーズ(積水化成製SBX−8、粒径8μm、屈折率1.62)をシクロヘキサノンでビーズ固形分30%になるように調整したビーズ分散液7.7質量部、および、架橋ポリスチレン系ビーズ(綜研化学製、SX130H、 粒径1.3μm、屈折率1.61)をシクロヘキサノンでビーズ固形分30%になるように調整したビーズ分散液17.97質量部、イルガキュア184(重合開始剤;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)6質量部、イルガキュア907(重合開始剤;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1.06質量部、FZ2191(シリコーンレベリング剤、日本ユニカー製)0.22質量部、トルエン133.5質量部、シクロヘキサノン39.2質量部を混合し、固形分46%になるように調整したものを、トリアセチルセルロースフイルム(富士写真フイルム(株)製、TD−80U)上に、層厚が20μmになるように塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下(酸素濃度100ppm)で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量50mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ光拡散フィルムHC−08を作製した。1.3μm架橋ポリスチレン系ビーズの塗布量は1.1g/m2であった。
[光拡散フィルムHC−09]
光拡散層を構成する透光性樹脂はシリカ超微粒子分散物含有ハードコート液(デソライトZ7526 JSR(株)製、屈折率1.51)100質量部、透光性微粒子として架橋ポリスチレン系ビーズ(綜研化学製 SX130H、粒径1.3μm、屈折率1.61)25質量部、架橋ポリスチレン系ビーズ(綜研化学製 SX350H、粒径3.5μm、屈折率1.61)6質量部、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランKBM−5103(シランカップリング剤;信越化学工業(株)製)10質量部、これらを混合してメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(20/80質量比)により固形分45%になるように調整したものを、トリアセチルセルロースフイルム(富士写真フイルム(株)製、TD−80U)上に、1.3μm架橋ポリスチレン系ビーズの塗布量が0.9g/m2になるように塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下(酸素濃度100ppm)で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量50mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ光拡散フィルムHC−09を作製した。このフィルムの光拡散層乾燥膜厚は3.0μmであった。
[光拡散フィルムHC−10]
前記光拡散フィルムHC−08において、<1>高架橋ポリスチレン系ビーズ(積水化成製SBX−8、粒径8μm、屈折率1.62)を、高架橋ポリスチレン系ビーズ(積水化成製SBX−6、粒径6μm、屈折率1.62)に置き換え、<2>光拡散層の乾燥膜厚を20μmから5.5μmに変える以外は、光拡散フィルムHC−08と全く同様に調整したものを光拡散フィルムHC−10とした。
(低屈折率層の塗設)
[ゾル液(a)の調製]
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器内において、メチルエチルケトン119質量部、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}101質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を加え混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液(a)を得た。ゾル液(a)の質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100質量%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。最終的にはメチルエチルケトン溶液で作製し、固形分濃度29質量%であった。
[低屈折率層塗布液の調製]
低屈折率層塗布液LN-A〜LN-Cについては、下記の表1に従って調整した。表1中の数字は質量部の表記になっている。
Figure 2007233014
上記の各々の塗布液を、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して低屈折率層塗布液(LN−A〜C)を完成させた。
上記の各々の塗布液の作製に使用した化合物を以下に示す
“JTA−113”:熱架橋性の、シリコーン部位含有の含フッ素ポリマー溶液、屈折率1.44、固形分濃度6質量%、溶剤メチルエチルケトン、JSR(株)製、“P−3”:特開平2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体(P−3)、質量平均分子量約50000、固形分濃度23.8質量%、溶剤メチルエチルケトン、“MEK−ST−L”:シリカ粒子分散液、平均粒径45nm、固形分濃度30質量%、分散溶剤メチルエチルケトン、日産化学(株)製、“PM980M溶液”:重合開始剤PM980M、和光純薬製を固形分濃度2質量%になるように溶剤メチルエチルケトンで希釈した溶液、“MP−トリアジン”:光重合開始剤、(株)三和ケミカル製、“RMS−033”:反応性シリコーン樹脂、Gelest社製、“中空シリカ分散液”:CS−60、分散溶剤イソプロピルアルコール、触媒化成工業(製)、屈折率1.31、平均粒径60nm、シェル厚み10nm、の中空シリカ粒子に「KBM−5103(信越化学(株)製シランカップリング剤)」を表面修飾した中空シリカ粒子分散液(表面修飾率:対中空シリカ30質量%)であり、固形分濃度18.2質量%の分散液である。
(低屈折率層Aの塗設)
本発明の光拡散層フィルムHC−01の光拡散層の上に、さらに、上記低屈折率層用塗布液LN−Aをバーコーターにて、低屈折率層の乾燥膜厚が95nmになるようにウエット塗布し、続いて、120℃で150秒間乾燥の後、更に100℃で8分間乾燥させてから、窒素パージにより、酸素濃度100ppmの雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量110mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層を形成させて巻き取り、光拡散フィルムHC−01Aとした。低屈折率層の屈折率は、1.45であった。
(低屈折率層Bの塗設)
本発明の光拡散層フィルムHC−01の光拡散層の上に、さらに、上記低屈折率層用塗布液LN−Bを、低屈折率Aの塗設と同様にして、低屈折率層を形成させて巻き取り、光拡散フィルムHC−01Bとした。低屈折率層の屈折率は、1.41であった。
(低屈折率層Cの塗設)
本発明の光拡散層フィルムHC−01〜10の光拡散層の上に、さらに、上記低屈折率層用塗布液LN−Cを、ダイコーターにて、低屈折率層の乾燥膜厚が95nmになるようにウエット塗布し、続いて、120℃で70秒間乾燥の後、さらに窒素パージにより、酸素濃度100ppmの雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層を形成させて巻き取り、光拡散フィルムHC−01C〜HC−01〜10Cとした。低屈折率層の屈折率は1.38であった。
(光拡散フィルムの評価)
得られた光拡散フイルムについて、以下の項目の評価を行い、その結果を表2に示す。
(1)積分反射率
積分反射率の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ILV−471”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、450〜650nmの平均の積分反射率を算出した。
(2)内部ヘイズ
[1]JIS−K7136に準じて、得られた光拡散フィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
[2]光拡散フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られた光学フィルムを密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
(3)散乱光プロファイルの評価
自動変角光度計GP−5型((株)村上色彩技術研究所製)を用いて、入射光に対して光拡散フイルムを垂直に配置し、全方位に渡って散乱光プロファイルを測定した。出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度を求めた。
<光学異方性層の作製> [光学異方性フィルムR−01]
厚さ80μm、Reが230nmの一軸延伸したポリカーボネートフィルムの両面に、一軸延伸ポリエステルフィルム製の熱収縮性フィルムをその遅相軸が直交するようにアクリル系粘着層を介して接着し、これを160℃に加熱して熱収縮性フィルムを収縮させながら延伸処理をしたのち、熱収縮性のフィルムを剥がして、光学異方性フィルムR−01を作製した。
光学異方性フィルムR−01について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定し、これらの光学特性を算出したところ、Reが270nm、Rthが0nmで、Nzが0であることを確認した。
[光学異方性フィルムR−02]
下記のセルロースアセテート溶液組成の各成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
(セルロースアセテート溶液Aの組成)
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 318質量部
メタノール(第2溶媒) 47質量部
ミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド87質量部およびメタノール13質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
上記セルロースアセテート溶液Aの組成物 474質量部に上記レターデーション制御剤溶液43質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、6.0質量部であった。
レターデーション上昇剤
Figure 2007233014
上記ドープをバンド上に流延した後、残留溶剤量32%で剥ぎ取った後、テンター延伸機で横延伸した。延伸倍率は25%とし、延伸温度は140℃とした。その後、130℃の温風で乾燥させセルロースアセテートフィルムを作成した。乾燥後のフィルムの膜厚は85μmであった。得られたセルロースアセテートフィルムの光学特性について評価したところ、Reが65nm、Rthが200nmであり、Nzが3.6であることを確認した。
作製したセルロースアセテートフィルム表面のケン化処理を行い、このフィルム上に、下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成し、配向膜を得た。
配向膜塗布液の組成
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
Figure 2007233014
次に、下記棒状液晶化合物2.0g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02g、下記のオニウム塩0.02g、下記の空気界面側垂直配向剤0.004g、UV硬化性樹脂(KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製)0.1gを3.9gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を調製した。この塗布液を前記配向膜の表面に、ワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、70℃の恒温槽中で1分30秒間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、70℃に保温したまま、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射し、棒状液晶化合物を架橋して、その後、室温まで放冷し、光学異方性フィルムR−02を作製した。棒状液晶化合物を架橋した塗布層の光学特性を調べたところ、Reが0nm、Rthが−256nmであり、棒状液晶化合物がフィルム面に対して垂直に配向し、固定化されていることを確認した。
Figure 2007233014
Figure 2007233014
オニウム塩
空気界面垂直配向剤
Figure 2007233014
[光学異方性フィルムR−03]
厚さ100μmのノルボルネン系フイルム(ゼオノア、日本ゼオン(株)製)を一軸延伸(温度180℃、連続延伸)した。得られたノルボルネン系フィルムの光学特性について評価したところ、Reが140nm、Rthが70nmであり、Nzが1.0であることを確認した。
上記作製したロール状のノルボルネン系フイルムの表面に連続してコロナ放電処理を施し、その上に、光学異方性フィルムR−02で液晶化合物の垂直配向膜を形成したときと同様にして、配向膜を形成し、さらに棒状液晶化合物の塗布厚みを調整して、棒状液晶からなる光学異方性層を形成した。棒状液晶化合物を架橋した塗布層の光学特性を調べたところ、Reが0nm、Rthが−100nmであり、棒状液晶化合物がフィルム面に対して垂直に配向し、固定化されていることを確認した。
[光学異方性フィルムR−04]
市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=45nm)の表面をケン化後、このフィルム上に下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にフィルムの遅相軸方向と平行の方向にラビング処理を施して配向膜を形成した。
配向膜塗布液の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
化合物B 0.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2007233014
Figure 2007233014
次に、ラビングした配向膜上に、下記の組成の塗布液を、ワイヤーバーで塗布した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ディスコティック液晶性化合物 1.8g
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 0.2g
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 0.06g
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.02g
空気界面側配向剤(下記の化合物A) 0.01g
メチルエチルケトン 3.9g
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
これを金属の枠に貼り付けて、125℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射しディスコティック液晶化合物を架橋した。UV硬化時の温度を80℃として、位相差膜を得た。その後、室温まで放冷して、光学異方性フィルムR−04とした。
Figure 2007233014
ディスコティック液晶性位相差層のみの光学特性を評価したところ、Reは120nm、Rthは−60nmであり、Nzが0であり、ディスコティック液晶性化合物がフィルム面に対して光学軸が基板と平行に配向に配向していることが確認した。なお遅相軸の方向は配向膜のラビング方向と平行であった。
<偏光板保護膜1の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Bを調製した。
セルロースアセテート溶液Bの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.94のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液の調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
マット剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート溶液D 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液を調製した。
添加剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――
下記のレターデーション低下剤 49.3質量部

下記の波長分散調整剤 4.9質量部

メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部

メタノール(第2溶媒) 8.7質量部

セルロースアセテート溶液B 12.8質量部

――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2007233014
Figure 2007233014
(セルロースアセテートフィルムの作製)
上記セルロースアセテート溶液Bを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、添加剤溶液4.1質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成でレターデーション低下剤及び波長分散調整剤のセルロースアセテートに対する質量比はそれぞれ12%、1.2%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、140℃で40分間乾燥させ、厚さ80μmの長尺状のセルロースアセテートフィルムを製造した。得られたフィルムの面内レターデーション(Re)は1nm、厚み方向のレターデーション(Rth)は3nmであった。
<偏光板Aの作製>
同様にして偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして前記製作の偏光板保護膜1を偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Aを形成した。
<実装評価用IPSモード液晶セル>
市販のIPSモード液晶TV(CR−L26WA、LG電子製)の液晶セルを取り出し、視認者側及びバックライト側に貼られてあった偏光板を剥した。この液晶セルは、電圧無印加状態及び黒表示時では液晶分子はガラス基板間で実質的に平行配向しており、その遅相軸方向は画面に対して水平方向であった。
[実施例1]
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、上記により作製した光拡散フィルムHC−01Cにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして前記製作の偏光板保護膜1を偏光膜のもう片面に貼り付け、視認側偏光板を形成した。
前記で作製したIPSモード液晶セルの視認側に、光学異方性フィルムR−01を、その遅相軸が液晶セルの液晶層遅相軸方向に垂直になるように貼り付けた。更に光学異方性フィルムR−01の上に、前記視認側偏光板を、その吸収軸が液晶セルの液晶層遅相軸方向に垂直になるように貼り付けた。液晶セルのバックライト側には、偏光板Cを、偏光板保護膜1がセル側になるように、且つ、偏光板吸収軸が液晶セルの液晶層遅相軸方向に平行になるように貼り付け、実施例1の液晶表示装置とした。
[実施例2〜12]
視認側偏光板に用いる光拡散フィルムとして、光拡散フィルムHC−01Cの代わりにHC−01A、HC−01B、HC−02C〜10Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜12の液晶表示装置をそれぞれ作製した。
[実施例13]
視認側偏光板に用いる光拡散フィルムとして、光拡散フィルムHC−10Cの代わりに低屈折率を塗布していないHC−10を用いた以外は、実施例12と同様にして、実施例13の液晶表示装置を作製した。
[実施例14]
光学異方性フィルムR−01を液晶セルに貼り付けないで、直接、視認側偏光板を液晶セルに貼り付けた以外は、実施例1と同様にして、実施例14の液晶表示装置を作製した。
[実施例15]
光学異方性フィルムR−01の遅相軸を、液晶セルの液晶層遅相軸方向に平行になるように貼り付けた以外は、実施例1と同様にして、実施例15の液晶表示装置を作製した
以上のようにして作製した液晶表示装置において、装置正面からの方位角方向45度、極角方向60度における黒表示時の光漏れ及び正面からの色味変化を目視により以下の基準で評価した。
(光漏れの判定基準)
A:光漏れを感じない
B:微かに光漏れする
C:弱く光漏れする
D:強く光漏れする
(色味変化の判定基準)
A:着色を感じない
B:微かに着色する
C:弱く着色する
D:強く着色する
また、作製した液晶表示装置において、画像を表示させ、画像の呆けを評価した。呆けの判定は、目視により以下の基準で評価した。
(呆けの判定基準)
A:呆けを感じない
B:微かに呆ける
C:弱く呆ける
D:強く呆ける
表2に評価のまとめを示す。
Figure 2007233014
表2の評価結果より、光学異方性層のみでも、IPS液晶表示装置の斜め方向からの光漏れは改善されるが、光学異方性層の波長分散がずれていると思われる原因から、斜め方向の色味変化は悪化している。表2から明らかなように、本発明の内部ヘイズが45%以上80%以下の光拡散層と、光学異方性層を組合わせることにより、初めて、黒表示の斜め方向の光漏れと色味変化が達成されている。
さらに光拡散層と低屈折層とを組合わせることにより、積分反射率が低減され、明室での視認性も優れている。
[実施例16]
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、上記により作製した光拡散フィルムHC−01Cにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして前記製作の光学異方性フィルムR−02を偏光膜のもう片面に、セルロースアセテートフィルム側が偏光膜側になるように、且つセルロースアセテートフィルムの遅相軸が偏光膜の吸収軸と直交するように貼り付け、視認側偏光板を形成した。
前記で作製したIPSモード液晶セルの視認側に、上記偏光板を、その吸収軸が液晶セルの液晶層遅相軸方向に垂直になるように貼り付けた。液晶セルのバックライト側には、偏光板Cを、偏光板保護膜1がセル側になるように、且つ、偏光板吸収軸が液晶セルの液晶層遅相軸方向に平行になるように貼り付け、実施例16の液晶表示装置とした。
このように作製した液晶表示装置は、黒表示における斜め方向からの光漏れと色味変化がともに抑制され、優れた表示特性を示した。
[実施例17]
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、上記により作製した光拡散フィルムHC−01Cにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして前記製作の偏光板保護膜1を偏光膜のもう片面に貼り付け、視認側偏光板を形成した。
前記で作製したIPSモード液晶セルの視認側に、光学異方性フィルムR−03を、ノルボルネン系フィルムを液晶セル側にして、且つ、その遅相軸が液晶セルの液晶層遅相軸方向に垂直になるように貼り付けた。更に光学異方性フィルムR−03の上に、前記視認側偏光板を、その吸収軸が液晶セルの液晶層遅相軸方向に垂直になるように貼り付けた。液晶セルのバックライト側には、偏光板Aを、偏光板保護膜1がセル側になるように、且つ、偏光板吸収軸が液晶セルの液晶層遅相軸方向に平行になるように貼り付け、実施例17の液晶表示装置とした。
このように作製した液晶表示装置は、黒表示における斜め方向からの光漏れと色味変化がともに抑制され、優れた表示特性を示した。
[実施例18]
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、上記により作製した光拡散フィルムHC−01Cにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして前記製作の光学異方性フィルムR−04を偏光膜のもう片面に、セルロースアセテートフィルム側が偏光膜側になるように、且つディスコティック液晶性位相差層の光学軸が偏光膜の吸収軸と直交するように貼り付け、視認側偏光板を形成した。
前記で作製したIPSモード液晶セルの視認側に、上記偏光板を、その吸収軸が液晶セルの液晶層遅相軸方向に垂直になるように貼り付けた。液晶セルのバックライト側には、偏光板Cを、偏光板保護膜1がセル側になるように、且つ、偏光板吸収軸が液晶セルの液晶層遅相軸方向に平行になるように貼り付け、実施例18の液晶表示装置とした。
このように作製した液晶表示装置は、黒表示における斜め方向からの光漏れと色味変化がともに抑制され、優れた表示特性を示した。
本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
符号の説明
1 液晶素子画素領域
2 画素電極
3 表示電極
4 ラビング方向
5a、5b 黒表示時の液晶化合物のダイレクター
6a、6b 白表示時の液晶化合物のダイレクター
7 光拡散層
8、14 偏光層
9、15 偏光層の吸収軸方向
10 光学異方性層
11 光学異方性層の遅相軸方向
12 液晶セル
13 液晶セルの液晶層の遅相軸方向
16、17、18、19 偏光層の保護フィルム
20 第二の光学異方性層
21 第一の光学異方性層
22 第一の光学異方性層の遅相軸方向
23 第二の光学異方性層
24 第一の光学異方性層
25 第一の光学異方性層の遅相軸方向

Claims (12)

  1. IPSモード液晶セルと、液晶セルを挟んで対向し吸収軸が相互に直交する二枚の偏光層からなるIPSモード液晶表示装置において、液晶セルといずれかの偏光層の間に少なくとも一つの光学異方性層を有し、且つ視認側偏光層の視認側に光拡散層を有し、光拡散層が透光性樹脂と、透光性樹脂の屈折率とは異なる屈折率を有する透光性微粒子を含み、内部ヘイズが45%以上80%以下であることを特徴とするIPSモード液晶表示装置。
  2. 前記光拡散層が、0.05乃至0.3%の範囲に、ゴニオフォトメータの散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度を有することを特徴とする請求項1に記載のIPSモード液晶表示装置。
  3. 前記光学異方性層の正面レターデーションRe(λ)が60nm〜330nmであり、且つ、Nz=Rth/Re+0.5で定義されるNz値が0〜1.0であることを特徴とする請求項1または2に記載のIPSモード液晶表示装置。(ここで、Rth(λ)は厚さ方向のレターデーション、λはレターデーションの測定波長)
  4. 前記光学異方性層が二層からなり、第一の光学異方性層のRe(λ)が20nm〜200nmであり、且つ、Nz値が0.8〜7.0であり、第二の光学異方性層のRe(λ)が0nm〜20nmであり、且つ、Rth(λ)が−400nm〜−50nmであることを特徴とする請求項1または2に記載のIPSモード液晶表示装置。
  5. 前記第一の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルム又はノルボルネン系フィルムであることを特徴とする請求項4に記載のIPSモード液晶表示装置。
  6. 前記第二の光学異方性層が、重合性基を有する棒状液晶性化合物を含むことを特徴とする請求項4または5に記載のIPSモード液晶表示装置。
  7. 前記光学異方性層が二層からなり、第一の光学異方性層のRe(λ)が50nm〜200nmであり、且つ、Nz値が−0.2〜0.2であり、第二の光学異方性層のRe(λ)が0nm〜20nmであり、且つ、Rth(λ)が20nm〜120nmであることを特徴とする請求項1または2に記載のIPSモード液晶表示装置。
  8. 前記液晶セルを挟んで、光学異方性層と対向する側の液晶セルと偏光層の間に、偏光層の保護膜を有し、保護膜のRth(λ)が−40〜40nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のIPSモード液晶表示装置。
  9. 前記偏光層の保護膜がセルロースアシレートフィルム又はノルボルネン系フィルムである請求項8に記載のIPSモード液晶表示装置。
  10. 前記光拡散層の上に、光拡散層より屈折率の低い低屈折率層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のIPSモード液晶表示装置。
  11. 前記光拡散層および/または前記低屈折率層が、(a)水酸基または加水分解可能な基がケイ素に直接結合しているオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含んでいることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のIPSモード液晶表示装置。
  12. 前記低屈折率層が、平均粒径が5〜200nmであり且つ屈折率が1.17〜1.40である中空シリカ微粒子を含有していることを特徴とする請求項10または11のいずれかに記載のIPSモード液晶表示装置。
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