JP2006038182A - 遮断弁装置 - Google Patents

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健一郎 湯浅
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Abstract

【課題】 消費電力量の低減を実現しつつ、固着状態を脱出して正常な弁動作を行うことを可能とする、遮断弁装置を提供する。
【解決手段】 駆動制御回路5は、弁体2の位置が所定期間Δtth1-2以上の期間に亘って一定状態に保たれていた後に、その弁体2の移動を行う場合には、弁体2の位置が所定期間tth1-2未満の期間に亘って一定状態に保たれていた後に弁体2の移動を行う場合に設定された通常トルクTp0よりも大きな値に設定された大トルクTpMを出力するように、ステッピングモータ3の駆動制御を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばガスメータに内蔵されて、都市ガスのような可燃性ガスなどの緊急遮断や、その逆に復帰などを行うための、遮断弁装置に関する。
例えば都市ガスやLPガス用などの、いわゆるガスメータでは、ガス漏洩や種火の不慮の消失などに起因した種々の危険事態の発生を防止するために、遮断弁装置が利用されている。
具体的には、いわゆるマイコン内蔵式ガスメータ(マイコンメータとも呼ばれる)には、流量計測装置と、マイクロコンピュータと、遮断弁装置と、感震装置とが内蔵されており、流量計測装置によって計測されるガスの流量を、マイクロコンピュータによって監視する。そしてマイクロコンピュータが、ガスの流量やその継続時間等の情報に基づいて、ガス漏洩などの異常が発生したと判定した場合や、地震が発生したと判定した場合には、遮断弁装置を駆動して弁体を開放状態から遮断状態にすることで、ガスメータから下流側へのガスの供給を遮断する。あるいは、例えばユーザが長期間に亘って住居を留守にする場合などには、ガスの使用も長期間に亘って使用中断状態となるので、その間の安全確保のために、強制的に遮断実行命令を入力することで、弁体が開放状態から遮断状態にされる。
そして異常事態が解消された場合、あるいは長期継続されていた使用中断状態からガスの使用を再開する場合には、安全確認の後、ユーザまたはガス管理会社の担当者等が弁体移動命令入力手段を押して強制的に遮断解除(開放)実行命令を入力することで、マイクロコンピュータが遮断弁装置を駆動して、弁体を遮断状態から開放状態にする。
上記のような遮断弁装置の駆動方式としては、電磁式ソレノイドを動力源として用いた、いわゆる電磁弁方式が、主に用いられてきた。しかし近年では、フィードバック制御系が不要で比較的簡易な駆動制御回路によって実用上十分な回転精度を得ることができ、かつ比較的強力な軸出力トルクを得ることが可能な、ステッピングモータを動力源として用いる方式のものが提案されている。このステッピングモータ方式の遮断弁装置では、ステッピングモータの出力軸の回転運動を、ウォーム歯車機構またはカム機構などのような運動変換機構によって直線運動に変換し、その運動変換機構によって駆動される弁体を導通口(の弁座)に対して遠近方向に直線的に移動させることで、ガス供給の開放・遮断を行う。より具体的には、弁体を弁座に押し付けることで遮断状態とし、弁体を弁座から十分に引き離すことで開放状態とするように設定している(特許文献1)。
特開2003-194252号公報
ところが、遮断弁装置では一般に、長期間に亘って弁体が開放状態または遮断状態に固定されている場合が多いので、弁体のゴム部材と弁座との間や運動変換機構などに固着が発生する虞がある。このため、上記のようなステッピングモータ方式の遮断弁装置では、弁体を遮断状態から開放状態へと移動させようとする場合や、逆に開放状態から遮断状態へと移動させようとする場合に、固着に起因した大きな抗力に対してステッピングモータの出力トルクが負けてしまい、弁体を移動させることができなくなるという問題がある。
このような問題を解消するために、遮断状態や開放状態で弁体に加えられる応力を、若干緩和するという手法が提案されている。すなわち、弁体を遮断状態から開放状態へと移動する場合、または開放状態から遮断状態へと移動する場合に、弁体を最大限の距離に亘って移動させた後、ステッピングモータに若干の逆回転を行わせることで、例えば弁体と弁座との間の応力を緩和させるという手法である。
しかしながら、このような手法をステッピングモータ方式の遮断弁装置に適用したとしてもなお、例えば遮断状態では弁体と弁座とが接触した状態にあるので、それら同士の固着を免れることはできない。すなわち、ガスメータは一般に戸外に設置されるので、その環境下での温度や湿度に因って弁体のゴム部材などに劣化が生じ、それが弁体と弁座とを固着させる要因となる。このような固着を上記の手法によって防ぐためには、弁体の位置(押し付け応力)を弁座と接触しなくなるまで緩めなければならないことになるが、それでは安全な遮断状態ではなくなるので、現実的ではない。
また、開放状態から遮断状態へと移動させる場合には、弁体と弁座との固着については発生する虞はないが、しかし、例えば長期に亘って開放状態に保っているうちに運動変換機構が内部的に固着するなどして、遮断状態へと移動させることができなくなる虞がある。このような開放状態での固着についても、上記の手法によって防ぐことは不可能である。何故なら、弁体の位置を最大限まで開放状態にした後にステッピングモータを若干逆回転して停止させても、停止以降はその状態を保ったままなのであるから、その状態で運動変換機構が内部的に固着することについては、回避することができないからである。
このように、従来提案されている上記のような手法では、遮断弁装置における固着の問題を解決することは極めて困難あるいは不可能であった。
ここで、弁体を遮断状態から開放状態へと移動させる場合の方が、開放状態から遮断状態へと移動させる場合よりも固着の発生確率が高く、それに起因した不都合が発生しやすい傾向にあるが、ガス供給上の危険度は低い。他方、弁体を開放状態から遮断状態へと移動させる場合は、固着の発生確率は低いが、しかし、いざというときに遮断ができないことになるので、ガス供給上の危険度が高い。従って、これら両方の場合のいずれでも、固着に起因した弁体の移動不能の問題を解消することが要請される。
また、マイコン内蔵式ガスメータには一般に、電源としてリチウム電池のような一次電池が内蔵されて用いられる。このような一次電池は、例えば7年から10年の間という長期間に亘って安定的に電力をマイコン等に供給しなければならない。このため、ガスメータの内部消費電力量を可能な限り節約することが要請される。この要請に対応するためには、遮断弁装置に用いられているステッピングモータでの消費電力量を、できるだけ低減することが必要となる。
ところが、ステッピングモータを用いた従来の遮断弁装置の技術では、上記のように固着が生じた場合に、その固着状態を脱出しなければならないので、そのための多大なトルクが必要となる。換言すれば、予め固着状態を脱出することが可能であるような大トルクを出力するように設定しておくと、固着が生じていない場合には、弁体を移動させる毎に、無駄な(過大な)トルクに見合った多大な電力が消費され、上記の消費電力量を低減するという要請に反することとなってしまう。
あるいは、そのような固着から脱出するために要するトルクは考慮することなしに、固着していない場合に必要であると想定される程度の通常トルクを常にステッピングモータから出力させるように設定した場合には、それほど多大な電力を消費しないので、消費電力量の低減の要請に適うという点では都合がよいようにも考えられる。
しかし、固着が発生している場合には、そのような通常トルクで弁体を移動させようとしても、固着状態を脱出することができないという致命的な問題が残る。また、固着が発生している場合には、甚だしくはステッピングモータがストールしてしまうので、ステッピングモータの動作特性上、ストール時の多大なインダクタンス等に起因して、消費電流が大きくなり、延いては消費電力量の低減の要請に反する結果となってしまう虞もある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、消費電力量の低減を実現しつつ、固着状態を脱出して正常な弁動作を行うことを可能とする、遮断弁装置を提供することにある。
本発明による第1の遮断弁装置は、弁体と、前記弁体によって塞がれることで流体の流れを遮断するように設けてなる導通口と、ステッピングモータと、前記ステッピングモータの出力軸の回転運動を直線運動に変換して前記弁体の前記導通口に対する移動運動を行う運動変換機構と、前記ステッピングモータに駆動電圧を入力して当該ステッピングモータの駆動制御を行う駆動制御回路とを有する遮断弁装置であって、前記駆動制御回路が、前記弁体の位置が所定期間以上の期間に亘って一定状態に保たれていた後に前記弁体の移動運動を行う場合には、前記弁体の位置が前記所定期間未満の期間に亘って一定状態に保たれていた後に前記弁体の移動運動を行う場合の通常トルクよりも大きなトルクで前記ステッピングモータを回転させるように駆動制御を行う。
すなわち、第1の遮断弁装置では、弁体の位置が所定期間以上の期間に亘って一定状態に保たれていた後に弁体の移動運動(例えば開放状態から遮断状態へ、あるいは逆に、遮断状態から開放状態へ)を行う場合には、弁体や運動変換機構等が固着状態になっている確率が高いので、駆動制御回路は、通常トルクよりも大きなトルクでステッピングモータを回転させるように駆動制御を行うことで、弁体や運動変換機構等を固着状態から脱出させる。
また、弁体の位置が所定期間未満の期間に亘って一定状態に保たれていた後に弁体の移動運動を行う場合には、弁体や運動変換機構が固着状態になっている確率は上記の場合ほど高くないので、駆動制御回路は、上記のような大きなトルクよりも小さな通常トルクでステッピングモータを回転させるように駆動制御を行うことで、不必要な電力消費を回避して消費電力量の低減を図る。
本発明による第2の遮断弁装置は、弁体と、前記弁体によって塞がれることで流体の流れを遮断するように設けてなる導通口と、ステッピングモータと、前記ステッピングモータの出力軸の回転運動を直線運動に変換して前記弁体の前記導通口に対する移動運動を行う運動変換機構と、弁体移動命令入力手段と、前記ステッピングモータに駆動電圧を入力して当該ステッピングモータの駆動制御を行う機能および前記弁体移動命令入力手段によって移動命令信号が入力されるとそれに対応して前記弁体を移動させる駆動制御を行う機能とを有する駆動制御回路と、を備えた遮断弁装置であって、前記駆動制御回路は、前記弁体移動命令入力手段によって移動命令信号が入力されると前記ステッピングモータを通常トルクで回転させ、それ以降、所定時間以内に再び前記弁体移動命令入力手段によって移動命令信号が入力された場合には、前記通常トルクよりも大きなトルクで前記ステッピングモータが回転するように駆動制御を行う。
すなわち、第2の遮断弁装置では、例えばいわゆる復帰ボタンのような弁体移動命令入力手段によって移動命令信号が入力されると、ステッピングモータの出力トルクを通常トルクとし、それ以降、所定時間以内に再び移動命令信号が入力された場合には、そのとき固着が発生していたことに起因して弁体が十分に移動しなかったのでユーザ等によって弁体移動命令が再度入力されたものと見做して、通常トルクよりも大きなトルクでステッピングモータを回転させる。これにより、弁体や運動変換機構等を固着状態から脱出させる。また、弁体移動命令入力手段によって移動命令信号が入力されてから所定時間以内に弁体移動命令が再度入力されなかった場合には、そのとき固着は発生しておらず弁体が十分に移動することができたのでユーザ等は弁体移動命令を再度入力しなかったものと見做して、通常トルクでステッピングモータを回転させる。これにより、不必要な電力消費を回避して消費電力量の低減を図る。
ここで、さらに詳細には、前記駆動制御回路が、ステッピングモータの出力トルクを、起動時に最大トルクとし、以降、段階的または連続的に漸次低減して行くように制御することは、望ましい一態様である。
すなわち、固着が発生している場合に最も大きなトルクが必要となる起動時のステッピングモータの出力トルクを最大トルクとすることで、固着からの脱出を図る。そしてそれ以降の弁体の移動については、出力トルクを段階的または連続的に漸次低減して行くことで、不必要な電力消費を回避して消費電力量の低減を図る。
あるいは、前記駆動制御回路が、前記ステッピングモータのトルクを、当該ステッピングモータの起動時から所定時間内では前記大きなトルクで一定とし、前記所定時間経過後は前記通常トルクで一定とするように駆動制御を行ってもよい。
すなわち、固着が発生している場合に最も大きなトルクが必要となる起動時から所定時間内では、ステッピングモータの出力トルクを上記のような大きなトルクとして一定に保つことで、固着からの脱出を図り、その固着から脱出した以降の弁体の移動については通常トルクとして一定に保つことで、不必要な電力消費を回避して消費電力量の低減を図る。
あるいは、前記弁体が移動したことを検知する弁体移動検知手段を、さらに備えており、前記駆動制御回路が、前記弁体を移動する制御を行うにあたり、前記ステッピングモータのトルクを、前記通常トルク以上に設定された起動時トルクから漸次増大させて行き、前記弁体が移動したことが前記弁体移動検知手段によって検知されると、それ以降は、前記通常トルクにするように駆動制御を行うようにしてもよい。
すなわち、起動時には、通常トルクあるいは若干それ以上に大きなトルクでステッピングモータを回転開始させ、弁体の移動が検知されるまで、徐々にその出力トルクを増大させて行くことで、固着を脱するために必要十分なトルクをステッピングモータから出力させる。このようにして、無駄に過大なトルクを出力することを回避して消費電力量の低減を図りつつ、必要十分な大きさの出力トルクで固着からの脱出を図ることが可能となる。
あるいは、前記弁体が移動したことを検知する弁体移動検知手段を、さらに備えており、前記駆動制御回路が、前記ステッピングモータのトルクを、当該ステッピングモータの起動時から前記大きなトルクで一定に保ち続け、前記弁体が移動したことが前記弁体移動検知手段によって検知されると、それ以降は、前記通常トルクにするように駆動制御を行うようにしてもよい。
このようにすることによっても、無駄に過大なトルクを出力することを回避して消費電力量の低減を図りつつ、必要十分な大きさの出力トルクで固着からの脱出を図ることが可能である。
ここで、さらに詳細には、上記の駆動制御回路が、駆動電圧の周波数の高低を変化させることで、ステッピングモータの出力トルクの大小を制御するようにしてもよい。
あるいは、上記の駆動制御回路が、駆動電圧の波形のデューティ比を変化させることによってステッピングモータの出力トルクの大小を制御するようにしてもよい。
あるいは、上記の駆動制御回路が、駆動電圧の波形実効値または波形平均値を変化させることによってステッピングモータの出力トルクの大小を制御するようにしてもよい。
このような駆動電圧波形による出力トルクの制御の態様は、上記のステッピングモータの詳細な種類や動作特性等に対応して適宜に選択して設定することが望ましいことは勿論である。
なお、上記の流体が、可燃性のガスであり、上記の弁体と、導通口と、ステッピングモータと、運動変換機構と、駆動制御回路とを、ガスメータに内蔵して用いるようにすることは、望ましい一態様である。すなわち、上記の第1または第2の遮断弁装置は、例えば都市ガスやLPガスのガスメータなどに好適に利用可能である。
本発明の遮断弁装置によれば、消費電力量の低減を実現しつつ、固着状態を脱出して正常な弁動作を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、発明の一実施の形態に係る遮断弁装置を内蔵してなるガスメータの概要構成を表す模式図であり、図2は、それに用いられるステッピングモータおよび運動変換機構ならびに弁体を部分的に抽出して表した一部省略断面図である。なお、図1は、内部構造を明確に表示するために、導通路の容器の正面部分を一部カットオフして示してある。
このガスメータにおける遮断弁装置は、導通口1と、弁体2と、ステッピングモータ3と、運動変換機構4と、駆動制御回路5と、弁体移動命令入力手段としての復帰ボタン装置6および遮断キー装置7と、弁体移動検知手段としての流量変化検知回路8とから、その主要部が構成されている。この遮断弁装置は、都市ガスやLPガスのような可燃性ガス用のガスメータに内蔵される。
導通口1は、ガスを導通させる導通路容器9に設けられている。導通口1の周囲は弁座10となっており、その弁座10にゴム部材からなる弁体2の周縁部を押し付けて密着させることで、ガスの流れを遮断するように設定されている。
弁体2は、運動変換機構本体12のフランジ板部11の表面(図2では下面)に貼り付けられていて、運動変換機構本体12が直線運動すると、その運動変換機構4と共に、導通口1に対して遠近方向に直線的に移動するように設定されている。この弁体2は弁座10に押し付けられてガスの導通を確実に遮断することができるようにするために、合成ゴムのような柔軟性および弾力性の高い部材からなる。
運動変換機構4は、運動変換機構本体12と、ウォーム歯13と、ガイド切欠き15と、ガイド板16とからなる。運動変換機構本体12は、その筒状の側壁14の内側に、ステッピングモータ3が所定の寸法的遊びを有して収容され、その筒状の側壁14に沿って移動することが可能に設定されている。また、その側壁14には、ガイド切欠き15が設けられており、ステッピングモータ3の側面に突出するように設けられたガイド板16が所定の寸法的遊びを有して挿通される。そしてその底部のほぼ中央には、雌ネジ状のウォーム歯受け溝17を刻設してなる受け孔18が設けられている。他方、ウォーム歯13は、ステッピングモータ3の出力軸19の先端寄りに設けられており、運動変換機構本体12の受け孔18と噛み合わされる。
この運動変換機構4では、上記のような構成により、ステッピングモータ3の出力軸19の回転に伴って、ウォーム歯13が受け孔18に対して相対的にその軸方向に移動することで、運動変換機構本体12がステッピングモータ3に対して相対的に移動して、運動変換機構本体12のフランジ板部11の表面に貼り付けられている弁体2が、導通口1(弁座10)に対してその遠近方向に移動することとなる。このようにして、この運動変換機構4では、ステッピングモータ3の出力軸19の回転運動が弁体2の直線運動に変換される。
ステッピングモータ3は、例えば駆動電圧波形の周波数に対応して出力トルクが変化する一般的なものである。すなわち、周波数を高くすると低トルクとなり、周波数を低くすると高トルクとなる。または、駆動電圧波形のデューティ比や実効電圧値もしくは平均電圧値(波形平均値)に対応して出力トルクが変化する特性を有する。また、それらを組み合わせることで、さらに多様な駆動制御のバリエーションが可能であることは勿論である。また、極数やモータサイズについても、消費電力量ができるだけ低くて所望のトルクを出力することが可能なものであれば、どのようなものでも構わないことは言うまでもない。
復帰ボタン装置6および遮断キー装置7は、弁体2を移動させる命令(弁体移動命令とも呼ぶ)を入力するための手段である。復帰ボタン装置6は、ユーザやガス管理担当者等によってボタン61が押下されると、弁体2を遮断状態から開放状態へと移動させる命令信号を駆動制御回路5へと入力する。また、遮断キー装置7は、例えばガスメータの外部に保管されている電磁キー71を遮断キー装置7に近付けると、その遮断キー装置7に内蔵されているリードスイッチ72がオン状態になって、弁体2を開放状態から遮断状態へと移動させる命令信号を駆動制御回路5に入力する。これら復帰ボタン装置6および遮断キー装置7それ自体については、一般的なもので構わないことは勿論である。
流量変化検知回路8は、弁体2が移動したことを検知する。具体的には、遮断弁を開放状態から遮断状態に移動させた際、または逆に、遮断状態から開放状態に移動させた際には、一般に、そのときの弁体2の状態の変化に伴って、ガスの流量や圧力に変化が生じるので、その流量変化に基づいて、弁体2が正常に移動したか否かを判定する。例えば、遮断状態にあった弁体2が正常に移動して開放状態になると、そのときまで遮断状態であったことに起因して、弁体2の上流側と下流側とではガスの圧力が互いに異なった状態になっている場合が多い。このため、弁体2が遮断状態から開放状態へと正常に移動した場合には、それまで弁体2の上流側と下流側との間で生じていた圧力差等に起因して、導通口1を通るガスの流れが生じる。しかし、固着等に起因して弁体2が移動できない場合には、ガスの流れが生じる確率は極めて低い。従って、このような弁体2の移動に伴って検知される流量変化に基づいて、弁体2が正常に移動したか否かを判定することができる。
駆動制御回路5は、駆動電圧を入力してステッピングモータ3を駆動するものである。そのステッピングモータ3に入力する駆動電圧の周波数(またはデューティ比もしくは平均電圧値あるいはそれらの組み合わせ)を変化させることで、ステッピングモータ3の出力トルクを制御する機能を備えている。そして、ステッピングモータ3に入力する駆動電圧パルスの合計パルス数によって、そのステッピングモータ3の回転数N(または回転角度θ)を実用上十分な精度で制御して、弁体2の直線運動を実用上十分な精度で制御することができるように設定されている。
また、この駆動制御回路5は、復帰ボタン装置6または遮断キー装置7によって弁体移動命令が入力されると、それに対応して弁体2を移動させる制御を実行するという機能を備えている。
この駆動制御回路5は、いわゆるマイコン(マイクロコンピュータ,あるいはMPU;マイクロプロセッシングユニット)をハードウェアとして用いてソフトウェア的に構築してもよく、あるいはディスクリートな電子部品をプリント配線基板上に実装することで構築してもよいことは勿論である。
この駆動制御回路5では、基本的に、弁体2の位置が所定期間Δtth1-2以上の長期間に亘って一定状態に保たれていた場合には、ステッピングモータ3の出力トルクを、通常トルクよりも大きな所定のトルク値に設定してなる大トルクにする。また、弁体2の位置が上記の所定期間Δtth1-2未満の短期間に亘って一定状態に保たれていた場合には、ステッピングモータ3の出力トルクを、上記の大トルクよりも小さな所定の通常トルクにする。
ここで、通常トルクとは、固着が発生していない状態で、ガスの流体的な力や圧力等に抗して弁体2を移動できる程度の大きさに設定されたトルクを意味している。また、大トルクとは、固着が発生している状態で、その固着力とガスの流体的な力や圧力等との合力に抗して弁体2を移動させることで、そのときの固着状態を脱して弁体2を移動させることが可能な程度の大きさに設定されたトルクを意味している。
ステッピングモータ3の出力トルクを制御するための手法としては、主に下記の3種類((1)〜(3))およびそれらの組み合わせ((4))が可能である。すなわち、
(1) 駆動電圧波形の周波数を高くすることで、ステッピングモータ3の出力トルクを小さくする。逆に、駆動電圧波形の周波数を低くすることで、ステッピングモータ3の出力トルクを大きくする。
(2) 駆動電圧波形のデューティ比を高くすることで、ステッピングモータ3の出力トルクを大きくする。逆に、駆動電圧波形のデューティ比を低くすることで、ステッピングモータ3の出力トルクを小さくする。
(3) 駆動電圧の波形実効値または波形平均値を大きくすることで、ステッピングモータ3の出力トルクを大きくする。逆に、駆動電圧の波形実効値または波形平均値を小さくすることで、ステッピングモータ3の出力トルクを小さくする。
(4) 上記の(1)〜(3)を組み合わせてステッピングモータ3の出力トルクの大小を制御する。
この駆動制御回路5によるステッピングモータ3の具体的な駆動制御パターン(出力トルクの時間的推移パターン)は、下記の(A)〜(E)あるいはさらにそれらの組み合わせが可能である。すなわち、図3〜図8に示すように、
(A) ステッピングモータ3の出力トルクTpを、起動時から所定時間Δt1内には最大トルクまたは大トルクTpMとし、それ以降の所定時間Δt2には、段階的または連続的に漸次低減して行くようにする(図3(a),図4(a))。
(B) ステッピングモータ3の出力トルクTpを、起動時から所定時間Δt1内では大トルクTpMで一定とし、その所定時間Δt1の経過後は、所定時間Δt2の間、通常トルクTp0で一定とする(図5(a))。
(C) ステッピングモータ3の出力トルクTpを、通常トルクTp0以上に設定された起動時トルクTpsから、漸次増大させて行き、弁体2が移動したことが流量変化検知回路8によって検知されると、それ以降は、通常トルクTp0に戻す(図6(a))。この場合、従って、弁体2が移動したときに最大トルクとなるがこれが大トルクTpMということになる。この点では、この制御則については、純粋なシーケンシャル制御則ではなく、むしろ数値制御(ニューメリックコントロール)則的であると言える。
(D) ステッピングモータ3の出力トルクTpを、起動時から一定に大トルクTpMに保ち続け、弁体2が移動したことが流量変化検知回路8によって検知されると、それ以降は、通常トルクTp0にする(図7(a))。この制御則も、(C)と同様の意味で、数値制御則的なものであると言える。
(E) ステッピングモータ3の出力トルクTpを、復帰ボタン装置6または遮断キー装置7によって第1回目の弁体移動命令が入力されると、まず通常トルクTp0とし、それ以降、所定時間Δtth以内に再び(第2回目の)弁体移動命令が入力された場合には、大トルクTpMとする。しかし、第1回目の弁体移動命令が入力されて通常トルクTp0とした後、所定時間Δtth以内に第2回目の弁体移動命令が入力されなかった場合には、それ以上ステッピングモータ3を回転させることなく、そのままの状態を保つ(図8(a))。
次に、この遮断弁装置の作用について説明する。
図11は、ステッピングモータの一般的な負荷特性の一例を表した表図である。弁体2や運動変換機構4などに固着が生じている場合、その固着状態を脱出するためには、例えばTpMという大きさのトルクが必要であるとする。
一般のガスメータにおける遮断弁装置では、固着が発生していない状態を想定して設定してなる通常トルクTp0を、ステッピングモータ3から出力させ、その通常トルクTp0を直線運動の力に変換して駆動力とし、弁体2を移動させている。また、この場合、弁体2や運動変換機構4がスムースに動作することを前提としているので、この場合のステッピングモータ3の動作特性としては、プルアウトトルクカーブを用いて、出力トルクTpの大きさをパルス周波数等によって制御すると共に、回転角度(合計回転数)を合計入力パルス数によって制御している。具体的には、要求される通常トルクTp0の出力に適合するために、ステッピングモータ3に入力する駆動電圧波形のパルス周波数(単位時間当りのパルス数)をfp0に設定している。このfp0に対応した出力トルクが通常トルクTp0として弁体2の移動に利用される。
ところが、弁体2や運動変換機構4に固着が生じていると、ステッピングモータ3は起動時からほぼストールに近い状態に陥るか、または完全にストールするので、プルアウトトルクカーブではなくプルイントルクカーブに従った特性となる。しかも、その固着状態を脱出するためには、通常トルクTp0よりも大きな大トルクTpMが必要となる。このため、ステッピングモータ3に入力する駆動電圧波形のパルス周波数を一般的なfp0に設定していると、そのパルス周波数fp0とプルイントルクカーブとに従って、そのときステッピングモータ3は通常トルクTp0にも達しない小さなトルクしか出力できないことになり、固着状態からの脱出は、ますます困難になる。
そこで、本実施の形態では、長時間に亘って弁体2が一定状態を保ち続けていた場合には、弁体2や運動変換機構4に固着が発生している確率が高いと見做して、その固着状態を脱出するために必要な大トルクTpM以上の大きさのトルクをステッピングモータ3から出力させるために、ステッピングモータ3に入力する駆動電圧波形のパルス周波数を、プルイントルクカーブに従って大トルクTpMに対応した低いfpMあるいはさらにそれ以下の値にシフトさせる。
このようにすることにより、大トルクTpM(あるいはそれ以上の大きさのトルク)をステッピングモータ3から出力させ、その大トルクTpMを運動変換機構4によって弁体2の直線移動力に変換し、その強力な力によって、弁体2や運動変換機構4を固着から脱出させることができる。
そして、一旦、固着から脱出した後には、それまでのような大きな力で弁体2を移動させる必要はないので、その脱出以降から所定の距離(位置)まで弁体2を移動させるための駆動力としては、通常トルクTp0を用いる。その通常トルクTp0をステッピングモータ3から出力させるためには、ステッピングモータ3に入力する駆動電圧波形のパルス周波数をfp0にする。
このような弁体2の駆動方法は、さらに具体的には、図9に簡易フローチャートとして示したような手順となる。
まず、例えば弁体移動命令がユーザ等によって復帰ボタン装置6または遮断キー装置7を介して入力されると(S1)、その(今回の)入力よりも一回前(前回)に弁体移動命令が入力された時点(t1)から今回の弁体移動命令が入力された時点(t2)までに経過した期間(時間)Δt1-2が、所定期間Δtth1-2以上である場合には(S2のY)、そのように長期間に亘って弁体2が一定状態に置かれていたことに起因して固着が発生している確率が高いので、通常トルクTp0よりも大きな値に設定された大トルクTpMをステッピングモータ3から出力させるという大トルクモードによる弁体移動制御を選択し、その一連の制御動作を実行する(S3)。しかしここで、期間Δt1-2が、所定期間Δtth1-2未満である場合には(S2のN)、長時間に亘って弁体2が一定状態に置かれていたのではなかったので、固着が発生している確率が低いものとして(極論すれば固着は発生していないものと見做して)、通常トルクTp0でステッピングモータ3を回転駆動させるという通常トルクTp0モードによる弁体移動制御を選択し、その制御動作を実行する(S4)。
ここで、時刻t1,t2 の情報は、マイコンに付属した情報記憶素子などへ順次に上書き保存すればよい。具体的には、今回の弁体移動命令が入力された時点の時刻t2 の情報を取得した際に、その時刻t2 の情報を、それまで保存されていた時刻t1 の情報の上に書き込む(いわゆる上書きする)。そしてそれ以降、その新たに書き込まれた時刻t2 の情報を、さらに次回(時刻t0から見て次々回)の弁体移動命令が入力される時点まで保存しておくようにすればよい(S5)。
上記の大トルクモードを含んだ弁体移動制御方法については、さらに詳細には、次のような変形が可能である。
(A) 図3(a)に示したように、ステッピングモータ3からの出力トルクTpを、起動時に最大トルク(大トルクTpM)とし、それ以降、段階的に漸次低減して行くようにする。あるいは、図4(a)に示したように、出力トルクTpを、起動時に最大トルクとし、それ以降、連続的に(傾斜的に)漸次低減して行くようにする。このステッピングモータ3からの出力トルクTpを運動変換機構4で直線運動に変換することで、弁体2が駆動される。このとき、ステッピングモータ3の起動時から所定時間Δt1に亘っては、固着が発生していない通常トルクTp0よりも大きなトルクに設定してなる大トルクTpMが出力され、それが運動変換機構4によって直線運動の力に変換されて、弁体2を駆動することになるので、その大きな力によって弁体2が固着力に抗して動かされて、固着状態から脱出することができる。このようにして弁体2を固着状態から脱出させた後、弁体2が十分な距離を移動するまでの所定時間Δt2では、消費電力量を抑制するために、ステッピングモータ3からの出力トルクTpを漸次に低減させて行く。
このようにして、固着から脱出するまでは、その固着脱出に必要な大トルクTpMを運動変換機構4によって変換してなる強力な直線運動の力によって弁体2を駆動することで、確実に弁体2を移動させることができ、かつ固着から脱出した後は、大トルクTpMによる力よりも小さな通常トルクTp0による力によって弁体2を十分な距離まで移動させることで、その間の消費電力量を低減することができる。
このような駆動制御を行うためには、ステッピングモータ3に入力する駆動電圧波形のパルス周波数fpを、例えば図3(b),図4(b)に示したように、fpM→漸次増大して→fp0という時間的パターンに設定する。
(B) 図5(a)に示したように、ステッピングモータ3からの出力トルクTpを、起動時から所定時間Δt1の間は大トルクTpMで一定とし、その所定時間Δt1の経過後の所定時間Δt2 の間は通常トルクTp0で一定とする。このようなステッピングモータ3からの出力トルクTpを、運動変換機構4で直線運動に変換することで、直線運動の力とし、それによって弁体2が駆動される。このとき、ステッピングモータ3の起動時から所定時間Δt1の間は、固着が発生していない場合の通常トルクTp0よりも大きなトルクに設定してなる大トルクTpMがステッピングモータ3から出力され、その大トルクTpMを運動変換機構4で変換してなる直線運動の力によって弁体2が動かされるので、弁体2は固着状態から脱出することができる。そして弁体2を固着状態から脱出させて以降、所定時間Δt2 の間は、弁体2をさらに所定の距離に亘って(所定の位置まで)移動させることになるが、この間は固着力に抗して弁体2を運動させる必要はないので、消費電力量を抑制するために、ステッピングモータ3からの出力トルクTpを、固着が生じていない通常の状態でガスの流体力や圧力に抗して移動可能な程度の大きさに設定してなる通常トルクTp0にする。
このようにして、所定時間Δt1の間は一定の大トルクTpMによって弁体2を駆動して、固着状態を確実に脱出することができ、かつ固着から脱出した後は、大トルクTpMよりも小さな通常トルクTp0による直線運動の力によって、弁体2を所定の距離に亘って(所定の位置まで)移動させることにより、その間の消費電力量を低減することができる。
このような駆動制御を行うためには、ステッピングモータ3に入力する駆動電圧波形のパルス周波数fpを、例えば図5(b)に示したように、fpMで所定時間Δt1に亘って一定→fp0で所定時間Δt2に亘って一定という時間的パターンに設定する。
(C) 図6(a)に示したように、ステッピングモータ3からの出力トルクTpを、通常トルクTp0と同等またはそれ以上に設定された起動時トルクTpSから漸次増大させて行く。このようにして徐々に弁体2の移動のために加えられる力(トルクTp)を大きくして行くと、弁体2を固着力に抗して脱出させることができる程の大きさに至ったときには(このときのトルクが大トルクTpMということになる)、弁体2は固着状態を脱して移動を開始する。すると、その弁体2が移動したことが流量変化検知回路8によって検知される。このようにして弁体2が固着状態から脱出したことが検知されると、それ以降は、無駄な電力消費を抑えるために、ステッピングモータ3からの出力トルクTpを通常トルクTp0にして、弁体2を所定位置まで(所定距離に亘って)移動させる。
このようにすることで、弁体2が固着状態から脱出できる必要最小限の大トルクTpMを探りながら、弁体2を固着から脱出させることができるので、無駄に大きな電力の消費が回避される。また、固着を脱出して以降は通常トルクTp0に見合った消費電力量で済むので、固着脱出後についても無駄な電力消費を回避することができる。
このような駆動制御を行うためには、ステッピングモータ3に入力する駆動電圧波形のパルス周波数fpは、例えば図6(b)に示したような時間的パターンとなる。
(D) 図7(a)に示したように、ステッピングモータ3からの出力トルクTpを、起動時から一定の大トルクTpMに保ち続ける。この大トルクTpMによって強力な直線移動の力が与えられ続けた弁体2は、固着状態を脱して、正常な移動を開始する。すると、その弁体2が移動したことが流量変化検知回路8によって検知される。弁体2が移動したことが流量変化検知回路8によって検知されると、それ以降は、ステッピングモータ3からの出力トルクTpを、通常トルクTp0にして一定に保ち、所定距離に亘って移動を完了させる。
このようにして、弁体2が固着状態から脱出できるまで大トルクTpMを出力することで、その大トルクTpMを直線運動に変換してなる強い力で弁体2を継続的に駆動し続けて、確実に固着状態から脱出させることができる。また、弁体2が固着状態を脱出して以降は、通常トルクTp0で弁体2を駆動するので、その間の無駄に大きな電力の消費を回避することができる。
このような駆動制御を行うためには、ステッピングモータ3に入力する駆動電圧波形のパルス周波数fpは、例えば図7(b)に示したような時間的パターンとなる。
(E) 図10の簡易フローチャート、および図8(a)に示したように、復帰ボタン装置6または遮断キー装置7によって第1回目の弁体移動命令が入力されると(S11)、まず、ステッピングモータ3からの出力トルクTpを、通常トルクTp0の大きさにする(S12)。また、このとき、時間Δtを計測開始する(S13)。そしてそれ以降、再び第2回目の弁体移動命令が入力される(S14のY)までの時間Δtを読み取る(S15)。その時間Δtが、例えば3分間のような比較的短時間に設定してなる所定時間Δtth以内の場合には(S16のY)、そのような短時間内に第2回目の弁体移動命令が再入力されたということは、固着に起因して弁体2が移動しなかったのでユーザ等が弁体移動命令を再入力したものと見做して、その固着状態を脱出するために、ステッピングモータ3からの出力トルクTpを大トルクTpMにして弁体2を駆動するという大トルクモードを選択・実行する(S17)。これにより、弁体2は固着状態から脱出することができる。あるいはここで、Δtが所定時間Δtth以内ではない場合、つまり所定時間Δtthを超過していた場合には(S16のN)、長期間に亘って第2回目の弁体移動命令が再入力されなかったということであるから、その第1回目の弁体移動命令で弁体2が正常に移動したのでユーザ等が短時間に引き続き弁体移動命令を再入力しなかったものと見做して、そのまま、さらに次回の弁体移動命令の入力待ち状態に戻る(S16N〜S11)。
このようにすることで、極めて簡易な手法によって、ユーザによる弁体移動命令の入力の時間的パターンに応じて、弁体2が正常に移動したか否かを判定することができる。そして、弁体2が正常に移動しなかったと判定された場合には、大トルクTpMを変換してなる強い移動力によって弁体2を確実に固着状態から脱出させることができる。また、弁体2が正常に移動したと判定された場合には、通常トルクTp0を変換してなる通常の移動力によって弁体2を通常の低い電力消費量で移動させることができる。
このような駆動制御では、ステッピングモータ3に入力する駆動電圧波形のパルス周波数fpは、例えば図8(b)に示したような時間的パターンとなる。
なお、本実施の形態に係るガスメータの積算流量計測器としての構成および動作・作用等については、本発明の要部との関係性が薄いので、以上の説明では省略したが、それら積算流量計測器としての構成および動作・作用等は通常のガスメータと同様のものであることは言うまでもない。
また、上記の実施の形態では、弁体移動命令を、ユーザ等が復帰ボタン装置6または遮断キー装置7によって入力する場合について説明したが、弁体移動命令の入力は、この他にも、例えばガス漏洩の発生をガス漏洩検知回路(図示省略)によって検知した場合、そのガス漏洩検知回路がいわゆる緊急遮断として弁体2を開放状態から遮断状態へと移動させるように、弁体移動命令を駆動制御回路5に入力することなども可能であることは勿論である。
また、上記実施の形態では詳述は省略したが、所定期間Δtth1-2以上の長期間に亘って弁体2が一定状態を継続していた場合には、ステッピングモータ3から一定の大トルクTpMを出力させて弁体2を所定の距離に亘って(弁体2の移動の1ストローク最後まで)移動させ、所定期間Δtth1-2以上の長期間に亘って弁体2が一定状態を継続していなかった場合には、ステッピングモータ3から一定の通常トルクTp0を出力させて弁体2を所定の距離に亘って移動させるようにしてもよいことは勿論である。
以上のように、本実施の形態に係るガスメータに内蔵された遮断弁装置によれば、消費電力量の低減を実現しつつ、固着状態を脱出して正常な弁動作を行うことができる。
本発明に係る遮断弁装置は、都市ガスやLPガスのような可燃性のガスの漏洩等の防止のためにガスメータに内蔵されて利用されることが可能である。あるいはその他にも、液体燃料や液化燃料のような液体用の遮断弁装置としても適用可能である。
本発明の一実施の形態に係る遮断弁装置を内蔵してなるガスメータの概要構成を表す模式図である。 遮断弁装置に用いられるステッピングモータおよび運動変換機構ならびに弁体を部分的に抽出して表した一部省略断面図である。 駆動制御回路によるステッピングモータの具体的な駆動制御パターンの一態様を示す図である。 駆動制御パターンの、他の一態様を表す図である。 駆動制御パターンの、さらに他の一態様を表す図である。 駆動制御パターンの、さらに他の一態様を表す図である。 駆動制御パターンの、さらに他の一態様を表す図である。 駆動制御パターンの、さらに他の一態様を表す図である。 駆動制御回路による駆動制御則の主要な流れを示すフローチャートである。 駆動制御回路による、他の駆動制御則の主要な流れを示すフローチャートである。 ステッピングモータの一般的な負荷特性の一例を表した図である。
符号の説明
1…導通口、2…弁体、3…ステッピングモータ、4…運動変換機構、5…駆動制御回路、6…復帰ボタン装置、7…遮断キー装置、8…流量変化検知回路、9…導通路容器、10…弁座、11…フランジ板部、12…運動変換機構本体、13…ウォーム歯、15…ガイド切欠き、16…ガイド板、17…ウォーム歯受け溝、18…受け孔、19…出力軸

Claims (10)

  1. 弁体と、前記弁体によって塞がれることで流体の流れを遮断するように設けてなる導通口と、ステッピングモータと、前記ステッピングモータの出力軸の回転運動を直線運動に変換して前記弁体の前記導通口に対する移動運動を行う運動変換機構と、前記ステッピングモータに駆動電圧を入力して当該ステッピングモータの駆動制御を行う駆動制御回路とを備えた遮断弁装置であって、
    前記駆動制御回路は、前記弁体の位置が所定期間以上の期間に亘って一定状態に保たれていた後に前記弁体の移動運動を行う場合には、前記弁体の位置が前記所定期間未満の期間に亘って一定状態に保たれていた後に前記弁体の移動運動を行う場合に設定された通常トルクよりも大きなトルクで前記ステッピングモータが回転するように駆動制御を行う
    ことを特徴とする遮断弁装置。
  2. 弁体と、前記弁体によって塞がれることで流体の流れを遮断するように設けてなる導通口と、ステッピングモータと、前記ステッピングモータの出力軸の回転運動を直線運動に変換して前記弁体の前記導通口に対する移動運動を行う運動変換機構と、弁体移動命令入力手段と、前記ステッピングモータに駆動電圧を入力して当該ステッピングモータの駆動制御を行う機能および前記弁体移動命令入力手段によって移動命令信号が入力されるとそれに対応して前記弁体を移動させる駆動制御を行う機能とを有する駆動制御回路と、を備えた遮断弁装置であって、
    前記駆動制御回路は、前記弁体移動命令入力手段によって移動命令信号が入力されると前記ステッピングモータを通常トルクで回転させ、それ以降、所定時間以内に再び前記弁体移動命令入力手段によって移動命令信号が入力された場合には、前記通常トルクよりも大きなトルクで前記ステッピングモータが回転するように駆動制御を行う
    ことを特徴とする遮断弁装置。
  3. 前記駆動制御回路は、前記ステッピングモータのトルクが、起動時に最大トルクとなり、以降、段階的または連続的に漸次低減して行くように、前記駆動制御を行う
    ことを特徴とする請求項1または2記載の遮断弁装置。
  4. 前記駆動制御回路は、前記ステッピングモータのトルクが、当該ステッピングモータの起動時から所定時間内では前記大きなトルクで一定となり、前記所定時間経過後は前記通常トルクで一定となるように駆動制御を行う
    ことを特徴とする請求項1または2記載の遮断弁装置。
  5. 前記弁体が移動したことを検知する弁体移動検知手段を、さらに備えており、
    前記駆動制御回路は、前記弁体を移動する制御を行うにあたり、前記ステッピングモータのトルクを、前記通常トルク以上に設定された起動時トルクから漸次増大させて行き、前記弁体が移動したことが前記弁体移動検知手段によって検知されると、それ以降は、前記通常トルクにするように駆動制御を行う
    ことを特徴とする請求項1または2記載の遮断弁装置。
  6. 前記弁体が移動したことを検知する弁体移動検知手段を、さらに備えており、
    前記駆動制御回路は、前記ステッピングモータのトルクを、当該ステッピングモータの起動時から前記大きなトルクにして一定に保ち続け、前記弁体が移動したことが前記弁体移動検知手段によって検知されると、それ以降は、前記通常トルクにするように駆動制御を行う
    ことを特徴とする請求項1または2記載の遮断弁装置。
  7. 前記駆動制御回路は、前記駆動電圧の周波数の高低を変化させることによって前記トルクの大小を制御する
    ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項に記載の遮断弁装置。
  8. 前記駆動制御回路は、前記駆動電圧の波形のデューティ比を変化させることによって前記トルクの大小を制御する
    ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項に記載の遮断弁装置。
  9. 前記駆動制御回路は、前記駆動電圧の波形実効値または波形平均値を変化させることによって前記トルクの大小を制御する
    ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項に記載の遮断弁装置。
  10. 前記流体が、可燃性のガスであり、
    前記弁体と、前記導通口と、前記ステッピングモータと、前記運動変換機構と、前記駆動制御回路とが、ガスメータに内蔵して用いられるものである
    ことを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項に記載の遮断弁装置。
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