本発明は、配線に用いる導電層間の耐圧を確保して、配線の微細化、高集積化を容易にする半導体装置の製造方法に関するものである。
半導体装置の微細化、高集積化に伴い、配線の時定数に起因する電気信号の遅れが深刻な問題となる。このため、多層配線工程で用いられる導電層は、アルミニウム(Al)系合金を用いた配線に代わり、銅(Cu)配線が導入されるようになっている。銅はアルミニウムなど従来の多層配線構造に使われていた金属材料と違って、ドライエッチングによるパターニングが困難であるため、層間に配線溝を形成しておき、銅を埋め込むことにより配線パターンを形成する、いわゆる溝配線技術(例えばダマシン法)が一般に使われている。特に接続孔と配線溝とを形成しておき、銅の埋め込みを同時に行う方法(例えばデュアルダマシン法)は、工程数の削減に有効である(例えば、特許文献1参照)。
また、配線容量の増加がデバイスの速度低下につながるため、低誘電率膜を層間絶縁膜に用いた微細な多層配線が不可欠となっている。低誘電率層間絶縁膜の材料としては、従来より比較的実績のある比誘電率3.5程度のフッ素含有酸化シリコン(FSG)のみならず、ポリアリールエーテル(PAE)に代表される有機シリコン系のポリマーや、ハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)、メチルシルセスキオキサン(MSQ)に代表される無機系材料などの比誘電率2.7前後の低誘電率膜が挙げられ、近年ではそれらを多孔質化させて比誘電率を2.2前後とした材料まで導入が試みられている。
デュアルダマシン法を低誘電率層間絶縁膜に適用する場合、以下の技術的な制限を克服できるプロセスである必要がある。
まず、低誘電率膜の組成がパターニングに用いられるレジストの組成に近いため、レジスト除去プロセスの際に低誘電率膜も損傷を受けやすいことが挙げられる。具体的にはレジストマスクを用いたエッチングを行った後のレジスト剥離処理や、処理済みのレジストパターンが製品規格を満たさない場合のレジスト再生処理を低誘電率膜への損傷無く行えることが不可欠となる。
次に、配線と接続孔が合わせ余裕を持たない、いわゆるボーダレス構造への適用である。半導体装置の微細化に伴い、少なくとも0.18μm世代以降の多層配線ではボーダーレス構造に対応できる加工プロセスであることが大前提となっている。したがって、低誘電率膜を含む層間絶縁膜にデュアルダマシン法による配線溝と接続孔の同時形成を行う場合においても、合わせずれによるヴィア抵抗の変動が少ないプロセスであることが不可欠となる。
また、配線溝の形成を深さ制御性良く行うには、配線溝の底部近くにエッチング阻止膜の存在が必要となるが、比誘電率の比較的高いエッチング阻止膜を中間層に挿入することは、層間容量の増加を招くことになる。したがって、配線溝の形成を制御しつつも容量増加を抑えることが出来る低誘電率膜層間構造のデュアルダマシンプロセスが望まれる。
上記に示した技術的な制限に着目したデュアルダマシン法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照。)。また、本願発明者らは、65nm世代以降の高性能デバイスに対応可能な低誘電率膜層間構造のデュアルダマシンプロセスとして、3層ハードマスクを用いた有機膜を含む低誘電率膜層間構造のデュアルダマシンプロセスを考案した(例えば、非特許文献1参照。)。
上記考案のデュアルダマシンプロセスによれば、接続孔のレジストパターニングを行うハードマスク段差を低減しつつ、炭素含有酸化シリコン膜から成る接続孔層間の開口を容易に行うことが可能であり、65nm世代の100nmハーフピッチの微細多層配線においても、配線深さや接続孔形状が制御された良好なデュアルダマシン配線の形成を行うことができる。
しかしながら、上記考案のデュアルダマシンプロセスを用いて、さらなる微細化と低誘電率化が要求される次世代の多層配線を形成する場合、いくつかの技術的障壁が存在する。この場合の問題点を、図9および図10を参照して説明する。
図9(1)に示すように、基板(図示せず)に堆積された下地絶縁膜111上に層間絶縁膜112を形成する。この層間絶縁膜112は例えば有機膜113と酸化シリコン(SiO2)膜114からなる積層膜で形成する。この層間絶縁膜112には、配線溝115に密着層、バリアメタル層等を介して銅(Cu)膜を埋め込んだ第1配線116を形成する。また、第1配線116上には例えば炭化シリコン(SiC)膜で酸化防止層117を形成する。この酸化防止層117は、形成する。
続いて、接続孔層間の第1絶縁膜118を形成する。この第1絶縁膜118としては、炭素含有酸化シリコン(SiOC)膜を成膜した。次に、上記第1絶縁膜118上に第2絶縁膜119を形成する。この第2絶縁膜119としては、比誘電率2.6程度の有機ポリマーを成膜する。本実施例では一例としてポリアリールエーテル(PAE)膜を形成した。
続いて、第2絶縁膜119上に、第1マスク層131、第2マスク層132、第3マスク層133を順次形成する。ここでは第1、第2、第3マスク層131、132、133は光透過性を有する材料で形成され、一例として、上記第1マスク層131は炭素含有酸化シリコン(SiOC)膜で形成し、上記第2マスク層132は窒化シリコン(SiN)膜で形成し、さらには第3マスク層133は酸化シリコン(SiO2)膜で形成した。その後、第3マスク層133上に配線溝形成のためのレジストマスク141を形成する。このレジストマスク141には配線溝パターンを形成するための開口部142が形成されている。
次に、図9(2)に示すように、上記レジストマスク141〔前記図9(1)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチングを行うことにより、第3マスク層133に配線溝パターン134を形成する。また、第3マスク層133のエッチング後は、例えば酸素(O2)プラズマをベースとしたアッシング処理と有機アミン系の薬液処理を行うことにより、上記レジストマスク141とエッチング処理での残留付着物を完全に除去することができる。
次に、接続孔パターンを形成のためのレジストマスク143を形成する。このレジストマスク143には接続孔を形成するための開口部144が形成されている。またレジストマスク143は、上記第3マスク層133の配線溝パターン134に少なくとも一部が重なるように形成されることになる。この接続孔のレジストマスク143は、第1配線116もしくは配線溝パターン134に対してアライメントされるように形成されるが、リソグラフィープロセス上発生し得る合わせずれや各層の寸法ばらつきにより、配線溝パターン134に対してボーダーレス構造となる領域122が発生することになる。
次に、図9(3)に示すように、接続孔パターンのレジストマスク143〔前記図9(2)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、第3マスク層133、第2マスク層132、第1マスク層131に接続孔パターン135を形成する。さらに、第2絶縁膜119に接続孔136を形成する。ここで、レジストマスク143は、ポリアリールエーテル膜からなる第2絶縁膜119のエッチング処理で同時に除去することができる。また、ポリアリールエーテル膜からなる第2絶縁膜119の開口中にレジストマスク143は後退していくが、SiN膜からなる第2マスク132があることにより、良好な開口形状を得ることができる。
次に、図9(4)に示すように、配線溝パターン134が形成された第3マスク層133をエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、第2マスク層132のSiN膜に配線溝パターン134を延長形成する。その際、第1マスク層131の上部もエッチングされる。また、上記第3マスク層133を用いた、第2マスク層132のエッチング工程において、接続孔136底部に露出する有機膜からなる第2絶縁膜119を貫通しSiOC膜からなる第1絶縁膜118の途中まで延長形成することができる。すなわち、上記エッチングでは第2マスク層132の窒化シリコン膜のSiOC膜に対するエッチング選択比(SiN/SiOC)は1弱にすることができるため、例えば50nm厚のSiN膜をエッチングする場合、必要なオーバーエッチング量を含めてSiOC膜に接続孔136を80nm程度の深さに形成することができる。
次に、図9(5)に示すように、SiOC膜からなる第1絶縁膜118に接続孔136を完全に形成する。ここで、配線溝領域に残存するSiO2膜からなる第1マスク層131は、配線溝パターン134が形成されたSiN膜からなる第2マスク層132をエッチングマスクに用いて、同時に除去されることとなる。ただし、このエッチング工程では、幅広配線となる配線溝パターン134において、第1マスク層131のSiOC膜からの炭素がエッチング雰囲気中に過剰に供給される結果、SiOC膜のエッチングストップが発生しやすくなる制限がある。このため、このエッチング条件におけるSiN膜に対するエッチング選択比(SiOC/SiN)は10弱程度の抜け性を向上した条件に設定する必要があり、第1のマスク131のSiOC膜に形成された配線溝パターン134は、いわゆる肩落ちが大きい形状となる。また、先述した接続孔136と配線溝パターン134とがボーダーレス構造となる領域で、且つ隣接する配線溝パターン134が最小スペースで配置された領域では、配線間スペースが局所的に狭くなり、さらに肩落ちが加速する傾向にある。
その後、図9(6)に示すように、配線溝パターン134底部に残存する第2絶縁膜119のポリアリールエーテル膜をエッチングして配線溝137を形成するとともに、接続孔136底部にある酸化防止層117のSiC膜をエッチングすることにより接続孔136をさらに延長形成する。これによって接続孔136は第1配線116に達する。このようにして、所定のいわゆるデュアルダマシン加工が完了する。先述した接続孔パターニングの合わせずれや寸法ばらつき起因で発生した狭スペース領域は、さらに肩落ちが増えてスペースが狭くなることはあっても、広がることはない。なお、配線溝領域外に残存した第2マスク層132のSiN膜は、接続孔136底部の酸化防止層117のSiC膜をエッチングする過程で除去されることになる。
次に、しかるべき薬液を用いた後処理と、水素アニール処理により、配線溝や接続孔の側壁に残留するエッチング付着物や、接続孔底部のCu変質層を清浄にした後、図10(7)に示すように、配線溝137および接続孔136の内面に、例えばバリアメタル層151としてTa膜をスパッタリング法により成膜し、さらに図示はしないが、銅のシード層を形成した後に電解めっき法により銅膜152を堆積する、もしくはスパッタリング法により銅膜152を堆積する。これにより、配線溝137と接続孔136へ銅による導電膜の埋め込みが行える。導電膜としては、銅以外の金属材料を用いることもできる。
さらに堆積した銅膜152、バリアメタル層151のうち、第2配線として不要な部分を化学機械研磨(CMP)法により除去することにより、図10(8)に示すように、上記配線溝137に第2配線153が完成し、その一部は接続孔136に通じて第1配線116に接続される。これによって、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。また、下層配線の第1配線116と同様に、第2配線153を被覆する酸化防止層154を、例えばSiC膜で形成する。しかし、先述した接続孔パターニングの合わせずれや寸法ばらつき起因で発生した狭スペース部では、配線間の分離が不十分な領域125が形成された。
このようにして形成されたデュアルダマシン法による多層配線は、局所的に配線間の分離が不十分な領域125が発生することにより、隣接する異電位配線とのショート不良に起因する歩留まりの低下が確認された。また、半導体装置が動作する範囲内で異電位配線間が分離されている場合でも、25nm以下の分離幅である場合、その後の使用環境下において、絶縁耐圧不足に起因する初期不良や磨耗故障が発生する場合があることがわかっている。
このような接続孔136を介した配線間のショート不良の防止、絶縁耐圧の確保は微細化が進むにつれ深刻な課題となっている。
その理由として、第1に配線間スペースの縮小が挙げられる。例えば、配線間スペースは65nm世代のデザインルールでは最小100nm、45nm世代では70nm程度まで縮小されるが、リソグラフィープロセスにおける合わせずれは、スペースを縮小した分まで改善することは原理的に困難である。
第2に接続孔136の開口寸法の縮小が非常に高いことが挙げられる。接続孔136の開口寸法は、通常のリソグラフィープロセスでは120nm以下になると安定形成することが著しく困難となる。また、その後の金属埋め込みプロセスや接続孔136の低抵抗化、およびストレスマイグレーション等の配線信頼性確保の難易度も高くなる。このため、最終開口寸法は、配線間スペースの縮小率よりも大きい側に留まりやすい傾向にあり、さらに必要配線間スペースの確保を困難にさせている。
第3に配線の微細化に伴い、配線容量を低減すべく絶縁膜の低誘電率化が進むため、膜自体の絶縁耐圧が低下していくことが挙げられる。このため、耐圧限界幅はむしろ大きくなる傾向にあり、やはり必要配線間スペースの確保を困難にさせている。
特開平11-045887号公報
特開2000-150519号公報
特開2001-44189号公報
R.Kanamura他著 「Integration of Cu/low-k Dual-Damascene Interconnects with a Porous PAE/SiOC Hybrid Structure for 65nm-node High Performance eDRAM」2003 Symposium on VSI Technology Digest of Technial Papers p.107-108 2003年
解決しようとする問題点は、接続孔を介した配線間のショート不良の防止、絶縁耐圧の確保は微細化が進むにつれ、必要な配線間スペースの確保を困難にさせている点である。
その理由として、第一に、配線間スペースの縮小が挙げられる。例えば、配線間スペースは65nm世代のデザインルールでは最小100nm、45nm世代では70nm程度まで縮小されるが、リソグラフィープロセスにおける合わせずれは、スペースを縮小した分まで改善することは原理的に困難である。
第二に、接続孔の開口寸法の縮小が非常に高いことが挙げられる。接続孔の開口寸法は、通常のリソグラフィープロセスでは120nm以下になると安定形成することが著しく困難となる。また、その後の金属埋め込みプロセスや接続孔の低抵抗化、およびストレスマイグレーション等の配線信頼性確保の難易度も高くなる。このため、最終開口寸法は、配線間スペースの縮小率よりも大きい側に留まりやすい傾向にあり、さらに必要な配線間スペースの確保を困難にさせている。
第三に、配線の微細化に伴い、配線容量を低減すべく絶縁膜の低誘電率化が進むため、膜自体の絶縁耐圧が低下していくことが挙げられる。このため、耐圧限界幅はむしろ大きくなる傾向にあり、やはり必要な配線間スペースの確保を困難にさせている。
本発明の半導体装置の第1製造方法は、基板上に第1絶縁膜と有機絶縁膜を含む第2絶縁膜とを積層して形成する工程と、前記第2絶縁膜上に有機犠牲層、第1マスク層および第2マスク層を順に積層して形成する工程と、前記第2マスク層に配線溝を加工するための配線溝パターンを形成する工程と、前記第2マスク層、第1マスク層および有機犠牲層に接続孔を形成するための接続孔パターンを形成する工程と、前記第2マスク層および前記第1マスク層をエッチングマスクに用いたエッチングにより前記第1マスク層および前記有機犠牲層に配線溝パターンを形成するとともに、前記第2絶縁膜に接続孔を形成する工程と、前記第1マスク層および前記有機犠牲層をマスクに用いて、前記第2絶縁膜に配線溝を形成するとともに前記第2絶縁膜および前記第1絶縁膜に接続孔を形成する工程と
を備えている。
本発明の半導体装置の各製造方法は、第2絶縁膜上に有機犠牲層、第1マスク層および第2マスク層を順に積層して形成するため、すなわち、第2絶縁膜と第1マスク層との間に有機犠牲層を設けているため、従来方法では加工形状制御が困難であったSiOC膜からなる第2絶縁膜への配線溝の形成が容易となり、第2絶縁膜に適用される低誘電率膜の材質に影響されることなく、低容量かつ高性能を有する多層配線の形成が実現できるので、低誘電率膜を含む層間絶縁膜へのデュアルダマシン構造の多層配線の形成において、肩落ち形状の少ない加工変換差の制御されたデュアルダマシン加工を容易に行うことが可能となるという利点がある。それによって、配線間ショートによる製品歩留まり低下の抑制や、耐圧不足による初期不良、もしくは配線間TDDB(Time Dependence Dielectric Breakdown)等の配線信頼性の劣化を抑制することが可能となる。また、65nm世代以降の微細化への対応という観点からも、制御性よく配線間スペースを確保することができる本発明では、上記と同様な効果が期待できる。さらには、配線溝に対して自己整合的な接続孔を形成する製法を組み合わせることにより、十分な分離マージンを有した半導体装置の製造を行うことが可能となる。
65nm世代以降の低誘電率膜を用いた微細多層配線においても、接続孔の開口性や信頼性を犠牲にすること無く、接続孔に隣接する異電位配線とのショート不良を防止することにより、高性能且つ高歩留まり、高信頼性の多層配線を有した半導体装置の製造方法を提供するという目的を、第2絶縁膜上に有機犠牲層、第1マスク層および第2マスク層を順に積層して形成することで、第1マスク層の厚さ方向のマージンが有機犠牲層により大きくできるので、第2絶縁膜への配線溝および接続孔の開口精度を高めることができ、それによって隣接する異電位配線とのショート不良を防止することで実現した。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を、図1および図2の製造工程断面図によって説明する。
図1(1)に示すように、基板(図示せず)に堆積された下地絶縁膜11上に層間絶縁膜12を形成する。この層間絶縁膜12は例えば有機膜13と酸化シリコン(SiO2)膜14からなる積層膜で形成する。この層間絶縁膜12には、配線溝15に密着層、バリアメタル層等を介して第1配線16を形成する。第1配線16は、例えば、銅(Cu)膜を埋め込んで約150nmの配線厚となるように形成される。また、第1配線16上には酸化防止層17を形成する。この酸化防止層17は、例えば炭化シリコン(SiC)膜を35nmの厚さに成膜して形成する。
続いて、接続孔層間の第1絶縁膜18を形成する。この第1絶縁膜18としては、炭素含有酸化シリコン(SiOC)膜を135nmの厚さに成膜した。上記SiC膜、SiOC膜を成膜するには、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用する原料ガスとしては、どちらもシリコン源としてメチルシランを用いた。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。膜の比誘電率はSiC膜が3.8、SiOC膜が2.6程度で形成することができた。
次に、上記第1絶縁膜18上に第2絶縁膜19を形成する。この第2絶縁膜19としては、比誘電率2.6程度の有機膜20と、その上部に有機膜20の保護膜21としてSiOC膜を成膜する。本実施例では一例として、ポリアリールエーテル(PAE)膜を110nmの厚さに形成して有機膜20とした。上記ポリアリールエーテルは、前駆体をスピンコート法により堆積した後、350℃〜450℃のキュア処理を行って形成することができる。その他には、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド膜、アモルファスカーボン膜などを用いることも可能である。また、保護膜21となるSiOC膜は、接続孔層間の上記第1絶縁膜18と同様のCVD装置にて、比誘電率3.0程度となる条件で145nmの厚さに成膜した。また保護膜21を形成する際には、特に後工程においてエッチングにおけるいわゆる抜け性が問題となる場合には、化学量論より酸素が多いSiOC膜を形成することが好ましい。
続いて、第2絶縁膜19上に、有機犠牲層30、第1マスク層31、第2マスク層32を順次形成する。一例として、上記有機犠牲層30はポリアリールエーテル膜で形成し、その厚さは例えば150nmとした。この有機犠牲層30には、ポリアリールエーテル膜の他に、BCB膜、ポリイミド膜、アモルファスカーボン膜、もしくは耐熱性の高いノボラック樹脂等のレジスト膜を用いることも可能である。また、有機犠牲層30の膜厚は、後工程でのエッチングマスクとして適用でき、かつ上層のハードマスクである第1、第2マスク層をマスクに用いてエッチング可能であるならば、150nmの厚さに限定はされない。上記第1マスク層31は窒化シリコン(SiN)膜で形成し、その厚さは50nmとした。さらに第2マスク層32はSiO2膜で形成し、その厚さは35nmとした。その後、第2マスク層32上に配線溝形成のためのレジストマスク41を形成する。このレジストマスク41には配線溝パターンを形成するための開口部42が形成されている。
第2マスク層32を形成するSiO2膜の成膜は、プラズマCVD法により、その原料ガスのシリコン源としてモノシラン(SiH4)を用い、酸化剤として一酸化二窒素(N2O)ガスを用いることができる。また第1マスク層31となるSiO2膜を形成する際に、特に下層PAE膜からなる有機犠牲層30の酸化が問題となる場合には、化学量論よりシリコンが多い酸化シリコン膜を形成することが好ましい。また、第1マスク層31となるSiN膜は、SiO2膜と同様のプラズマCVD装置により、原料ガスのシリコン源としてモノシラン(SiH4)を、窒化剤としてアンモニア(NH3)ガスを用い、酸化剤として一酸化二窒素(N2O)ガスを用い、不活性ガスをキャリアガスとして、成膜を行うことができる。
次に、図1(2)に示すように、上記レジストマスク41〔前記図1(1)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチングを行うことにより、第2マスク層32に配線溝パターン33を形成する。このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)を用い、それらのガス流量比(C4F8:CO:Ar)は1:5:20とし、バイアスパワーは1200W、基板温度は20℃に設定する。このエッチング条件におけるSiN膜に対するエッチング選択比(SiO2/SiN)は10以上得ることができるため、下地の第1マスク層31となるSiN膜はほとんど掘れることはない。また、第2マスク層32のエッチング後は、例えば酸素(O2)プラズマをベースとしたアッシング処理と有機アミン系の薬液処理を行うことにより、上記レジストマスク41とエッチング処理での残留付着物を完全に除去することができる。
次に、接続孔パターンを形成のためのレジストマスク43を形成する。このレジストマスク43には接続孔を形成するための開口部44が形成されている。またレジストマスク43は、上記第2マスク層32の配線溝パターン33に少なくとも一部が重なるように形成されることになる。また、上記第2マスク層32の配線溝パターン33で発生した段差は、概ね第2マスク層32の成膜膜厚の35nm程度に抑えられるため、平坦部にパターニングする場合とほぼ同等のリソグラフィー特性にて、良好な接続孔のレジストマスク形状を得ることが可能となる。また、塗布系の反射防止膜(例えばBARC)を併用する場合でも、第2マスク層32の寸法や疎密具合により、反射防止膜の埋め込み形状の変動は微少に抑えられ、露光処理時のレジスト形状の悪化や、寸法変動の原因となる焦点深度ばらつきが低減できる。
この接続孔のレジストマスク43は、第1配線16もしくは配線溝パターン33に対してアライメントされるように形成されるが、リソグラフィープロセス上発生し得る合わせずれや各層の寸法ばらつきにより、配線溝パターン33に対してボーダーレス構造となる領域22が発生することになる。
次に、図1(3)に示すように、上記レジストマスク43〔前記図1(2)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、第2マスク層32、第1マスク層31に接続孔パターン34を形成する。さらに、この接続孔パターン34を有機犠牲層30まで延長形成する。ここで、レジストマスク43は、有機犠牲層30のエッチング処理で同時に除去することができる。
積層ハードマスクまでの接続孔パターン34の形成は、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比(C4F8:Ar)は1:4とし、基板温度は20℃に設定した。上記エッチング条件でのエッチング選択比(SiO2/SiN)は1前後となり、1ステップで積層マスクに接続孔パターン34を形成できるが、レジスト選択比やエッチング変換差等が問題になる場合は2ステップエッチングにより、下地絶縁膜に対し選択的に対象マスク材を順次除去していくことも可能である。
有機犠牲層30への接続孔パターン34の形成は、通常の高密度プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスにはアンモニア(NH3)を用いた。RFパワーは150W、基板温度は20℃に設定した。このエッチング条件でのレジスト膜43のエッチングレートは有機犠牲層30のエッチングレートとほぼ同等であるため、有機犠牲層30のエッチング中にレジストマスク43は後退していくが、積層ハードマスクの第2マスク層32もしくは第1マスク層31があるため、良好な接続孔パターン34の開口形状を得ることができる。ちなみに、上記有機犠牲層30のエッチング条件におけるSiN膜やSiO2膜、SiOC膜に対するエッチング選択比は100以上を得ることができる。
次に、図1(4)に示すように、配線溝パターン33が形成された第2マスク層32〔前記図1(2)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、第1マスク層31のSiN膜に配線溝パターン33を延長形成する。このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてジフルオルメタン(CH2F2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)は2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。このエッチング条件におけるSiO2膜に対する選択比(SiN/SiO2)は3程度得ることができるため、第2マスク層32のSiO2膜は例えば25nm程度あれば、第1マスク層31を50nmの厚さは余裕を持って形成することができる。
また、上記エッチング条件におけるSiOC膜に対するエッチング選択比(SiN/SiOC)は約1程度であるため、50nm厚のSiN膜からなる第1マスク層31をエッチングする場合、必要なオーバーエッチング量を含めて、SiOC膜からなる保護膜21には接続孔35が深さ80nmまで形成されることになる。したがって、ハードマスクである第2マスク層32、第1マスク層31の膜厚構成を変えて完全開口させるか、第1マスク層31を用いた保護膜21の完全開口のエッチングを追加する必要がある。本実施例では、追加エッチングとして、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)は1:10:5:1とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定し、保護膜21の完全開口を行った。また、ポリアリールエーテル膜である有機膜20への接続孔35および有機犠牲層30への配線溝パターン33の形成は、有機犠牲層30への接続孔パターン34の形成と同様に、高密度プラズマエッチング装置によるアンモニア(NH3)ガスを用いた異方性エッチングによって行った。
次に、図1(5)に示すように、SiOC膜からなる第1絶縁膜18に接続孔35を形成する。ここで、配線溝領域に残存するSiOC膜からなる保護膜21は、配線溝パターン33が形成されたSiN膜からなる第1マスク層31〔前記図1(4)参照〕をエッチングマスクに用いて、同時に除去加工され、配線溝36が形成される。このエッチングは、例えば一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)は1:10:5:5とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定する。ここでは、幅広開口部となる配線溝36を保護膜21に形成するために、抜け性の良いエッチング条件に設定しているが、第1マスク層31下に厚い有機犠牲層30が存在するため、いわゆる肩落ちが非常に少ない形状に制御できた配線溝36と接続孔35とを形成することができた。
その後、図1(6)に示すように、配線溝36底部に残存する第2絶縁膜19の有機膜20をエッチングして配線溝36を完成するとともに、接続孔35底部にある酸化防止層17のSiC膜をエッチングすることにより接続孔35をさらに延長形成する。これによって接続孔35は第1配線16に達する。このようにして、所定のいわゆるデュアルダマシン加工が完了する。なお、SiN膜からなる第1マスク層31〔前記図1(4)参照〕は、接続孔35底部の酸化防止層17のSiC膜をエッチングする過程で除去される。また、配線溝36の領域外に残存した有機犠牲層30〔前記図1(5)参照〕は、配線層間の有機膜20をエッチングする過程で除去される。また、有機膜20上にSiOC膜からなる保護膜21が形成されているので、有機膜20への配線溝36の形成時に有機犠牲層30がエッチングされても有機膜20表面がエッチングされることない。
上記第2絶縁膜19の有機膜20への配線溝36の形成は、通常の高密度プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスには例えばアンモニア(NH3)を用いた。RFパワーは150W、基板温度は20℃に設定した。このエッチング条件における第1絶縁膜18のSiOC膜に対するエッチング選択比は100以上得られるため、配線溝36は深さばらつきが無く、制御性良く行うことができる。
上記接続孔35底部にある酸化防止層17のSiC膜のエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてジフルオルメタン(CH2F2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)は2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。ただし、上記エッチング条件ではSiOC膜に対する選択比は1前後であるため、配線溝36底部のSiOC膜の掘れが問題になるならば、第2絶縁膜19のPAE膜への配線溝36の形成前に酸化防止層17のSiC膜のエッチングを行うこともできる。また、層間膜(第1、第2絶縁膜18、19)上部に残存する第2マスク層32のSiN膜は、酸化防止層17のSiC膜のエッチング中に完全に除去することができる。
次に、しかるべき薬液を用いた後処理と、水素アニール処理により、配線溝36や接続孔35の側壁に残留するエッチング付着物や、接続孔35底部のCu変質層を清浄にした後、図2(7)に示すように、配線溝36および接続孔35の内面に、例えばバリアメタル層51としてTa膜をスパッタリング法により成膜し、さらに図示はしないが、銅のシード層を形成した後に電解めっき法により銅膜52を堆積する、もしくはスパッタリング法により銅膜52を堆積する。これにより、配線溝36と接続孔35へ銅による導電膜の埋め込みが行える。導電膜としては、銅以外の金属材料を用いることもできる。
さらに堆積した銅膜52、バリアメタル層51のうち、第2配線として不要な部分を化学機械研磨(CMP)法により除去することにより、図2(8)に示すように、上記配線溝36に第2配線53が完成し、その一部は接続孔35に通じて第1配線16に接続される。これによって、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。最終的な上層配線となる第2配線53の膜厚は例えば170nm程度となるよう調整された。また、下層配線の第1配線16と同様に、第2配線53を被覆する酸化防止層54を、例えばSiC膜で形成する。
上記説明した第1実施例の製造工程を経て形成された、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線は、配線・接続孔のでき上がり寸法のばらつきや合わせずれに応じて、配線溝36および接続孔35がいわゆる肩落ちした形状に形成されることがないので、隣接する異電位配線とのショート不良の防止や絶縁耐圧の確保が可能となる。例えば、配線53、53間の領域23が、配線間ショートを起こすことなく、かつ耐圧が確保される十分な間隔に保持される。よって、少なくとも前記各工程を含む多層配線プロセスを経て形成された半導体装置は、高い歩留まりを得ることができた。
なお、上記記載の各種層間絶縁膜は、表記された膜種、膜厚、製法に限定されることはない。Cu膜の酸化防止層17、54は、CVD法により形成されるSiN膜としてもよく、SiC膜中に窒素(N)や水素(H)等の軽元素が含有した膜を用いることも可能である。
接続孔35の層間膜となる第1絶縁膜18のSiOC膜、および配線溝36が形成される層間膜となるポリアリールエーテルからなる有機膜20の保護膜21となるSiOC膜の代わりに、CVD法により成膜されたSiOF膜やSiO2膜、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜でもよく、上記ポリアリールエーテルからなる有機膜20の代わりに、ポリアリレンエーテル膜、アモルファスカーボン膜、ポリテトラトラフロロエチレン膜の適用が可能である。さらに、キセロゲル膜、多孔質構造を有する比誘電率≦2.2のMSQ膜や有機ポリマー等の適用や、これらの組み合わせでも可能である。
また、上記有機犠牲層30、第1マスク層31、第2マスク層32は、それぞれ下からポリアリールエーテル膜(150nm)、SiN膜(50nm)、SiO2膜(35nm)としたが、上層マスクを用いて下層マスクをエッチングできる組み合わせの膜種、膜厚、製法であり、積層したときの密着性や耐熱性がその後のエッチング工程に耐えられる構造であれば、記載の内容には限定されない。例えば、第1マスク層31のSiN膜をCVD法で成膜したSiC膜やSiCN膜としてもよく、エッチング選択比が許す限り薄膜化することも可能である。同様に最上層の第2マスク層32をスパッタリング法により形成したアモルファスシリコン膜とすることもできる。さらに、有機犠牲層30には、ノボラック系樹脂等のレジスト材料を適用して、第1、第2マスク層32、23のCVD膜を200℃〜350℃の低温成膜としたり、第1、第2マスク層32、23自体を塗布系の材料とすることも可能である。
第2絶縁膜19の保護膜21となるSiOC膜は、本実施例では最終的に配線層間の絶縁膜として残存(例えば厚さ50nmを残存)させているが、バリアメタルとの密着性や銅のCMP工程における機械的強度、もしくは銅の酸化防止層54を成膜する前に行われる銅酸化物の還元処理時の損傷が問題にならなければ、銅のCMP工程にて除去することも可能である。
上記第1実施例で説明した製造方法では、第2絶縁膜19上に有機犠牲層30、第1マスク層31および第2マスク層32を順に積層して形成するため、すなわち、第2絶縁膜19と第1マスク層31との間に有機犠牲層30を設けているため、従来方法では加工形状制御が困難であったSiOC膜からなる第2絶縁膜19への配線溝36の形成が容易となり、第2絶縁膜19に適用される低誘電率膜(例えば有機膜20)の材質に影響されることなく、低容量かつ高性能を有する多層配線の形成が実現できるので、低誘電率膜(例えば有機膜20)を含む層間絶縁膜へのデュアルダマシン構造の多層配線の形成において、肩落ち形状の少ない加工変換差の制御されたデュアルダマシン加工を容易に行うことが可能となるという利点がある。
つまり、第2絶縁膜19上に有機犠牲層30を形成し、その上に第1マスク層31を形成することによって、第1マスク層31のマスク形状を有機犠牲層30に転写することができる。そのため、たとえ製造工程中に第1マスク層31が除去されて有機犠牲層30に形成された配線溝パターン33や接続孔パターン34の開口側の形状がテーパ形状になっても、有機犠牲層30の第2絶縁膜19側の配線溝パターン33や接続孔パターン34の形状は保持することができるため、第2絶縁膜19には接続孔35および配線溝36を所望の形状に加工でき、かつそれらを形成した後に有機犠牲層30は除去されるので、上部側形状が悪化した有機犠牲層30の影響は受けない。
それによって、配線間ショートによる製品歩留まり低下の抑制や、耐圧不足による初期不良、もしくは配線間TDDB(Time Dependence Dielectric Breakdown)等の配線信頼性の劣化を抑制することが可能となる。また、65nm世代以降の微細化への対応という観点からも、制御性よく配線間スペースを確保することができる本発明では、上記と同様な効果が期待できる。さらには、配線溝36に対して自己整合的な接続孔35を形成する製法を組み合わせることにより、十分な分離マージンを有した半導体装置の製造を行うことが可能となる。よって、高い歩留まりと良好な配線信頼性を得ることができた。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施例を、図3および図4の製造工程断面図によって説明する。前記実施例1では、有機犠牲層を含む積層エッチングマスク構造とすることにより、配線溝の肩落ち形状を改善して、配線と接続孔間のショート不良の防止、絶縁耐圧の確保を実現したが、32nm世代以降ではhalf−pitch≦60nmの微細化と、比誘電率≦2.2の低誘電率化が要求される。そこで、この第2実施例では、前記実施例1の製法を基本として、微細ピッチの配線形成に適用可能な溝配線構造による多層配線の製造方法の一例を以下に説明する。
図3(1)に示すように、基板(図示せず)に堆積された下地絶縁膜11上に層間絶縁膜12を形成する。この層間絶縁膜12は例えば有機膜13と酸化シリコン(SiO2)膜14からなる積層膜で形成する。この層間絶縁膜12には、配線溝15に密着層、バリアメタル層等を介して第1配線16を形成する。第1配線16は、例えば、銅(Cu)膜を埋め込んで約150nmの配線厚となるように形成される。また、第1配線16上には酸化防止層17を形成する。この酸化防止層17は、例えば炭化シリコン(SiC)膜を35nmの厚さに成膜して形成する。
続いて、接続孔層間の第1絶縁膜18を形成する。この第1絶縁膜18としては、炭素含有酸化シリコン(SiOC)膜を135nmの厚さに成膜した。上記SiC膜、SiOC膜を成膜するには、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用する原料ガスとしては、どちらもシリコン源としてメチルシランを用いた。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。膜の比誘電率はSiC膜が3.8、SiOC膜が2.6程度で形成することができた。
次に、上記第1絶縁膜18上に第2絶縁膜19を形成する。この第2絶縁膜19としては、比誘電率2.6程度の有機膜20と、その上部に有機膜20の保護膜21としてSiOC膜を成膜する。本実施例では一例として、ポリアリールエーテル(PAE)膜を110nmの厚さに形成して有機膜20とした。上記ポリアリールエーテルは、前駆体をスピンコート法により堆積した後、350℃〜450℃のキュア処理を行って形成することができる。その他には、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド膜、アモルファスカーボン膜などを用いることも可能である。また、保護膜21となるSiOC膜は、接続孔層間の上記第1絶縁膜18と同様のCVD装置にて、比誘電率3.0程度となる条件で145nmの厚さに成膜した。また保護膜21を形成する際には、特に後工程においてエッチングにおけるいわゆる抜け性が問題となる場合には、化学量論より酸素が多いSiOC膜を形成することが好ましい。
続いて、第2絶縁膜19上に、有機犠牲層30、第1マスク層31、第2マスク層32を順次形成する。一例として、上記有機犠牲層30はポリアリールエーテル膜で形成し、その厚さは例えば150nmとした。この有機犠牲層30には、ポリアリールエーテル膜の他に、BCB膜、ポリイミド膜、アモルファスカーボン膜、もしくは耐熱性の高いノボラック樹脂等のレジスト膜を用いることも可能である。また、有機犠牲層30の膜厚は、後工程でのエッチングマスクとして適用でき、かつ上層のハードマスクである第1、第2マスク層31、32をマスクに用いてエッチング可能であるならば、150nmの厚さに限定はされない。上記第1マスク層31は窒化シリコン(SiN)膜で形成し、その厚さは50nmとした。さらに第2マスク層32はSiO2膜で形成し、その厚さは35nmとした。その後、第2マスク層32上に配線溝形成のためのレジストマスク41を形成する。このレジストマスク41には配線溝パターンを形成するための開口部42が形成されている。
第2マスク層32を形成するSiO2膜の成膜は、プラズマCVD法により、その原料ガスのシリコン源としてモノシラン(SiH4)を用い、酸化剤として一酸化二窒素(N2O)ガスを用いることができる。また第1マスク層31となるSiO2膜を形成する際に、特にポリアリールエーテル膜からなる有機犠牲層30の酸化が問題となる場合には、化学量論よりシリコンが多い酸化シリコン膜を形成することが好ましい。また、第1マスク層31となるSiN膜は、SiO2膜と同様のプラズマCVD装置により、原料ガスのシリコン源としてモノシラン(SiH4)を、窒化剤としてアンモニア(NH3)ガスを用い、酸化剤として一酸化二窒素(N2O)ガスを用い、不活性ガスをキャリアガスとして、成膜を行うことができる。
次に、図3(2)に示すように、上記レジストマスク41〔前記図3(1)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチングを行うことにより、第2マスク層32に配線溝パターン33を形成する。このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)を用い、それらのガス流量比(C4F8:CO:Ar)は1:5:20とし、バイアスパワーは1200W、基板温度は20℃に設定する。このエッチング条件におけるSiN膜に対するエッチング選択比(SiO2/SiN)は10以上得ることができるため、下地の第1マスク層31となるSiN膜はほとんど掘れることはない。また、第2マスク層32のエッチング後は、例えば酸素(O2)プラズマをベースとしたアッシング処理と有機アミン系の薬液処理を行うことにより、上記レジストマスク41とエッチング処理での残留付着物を完全に除去することができる。
次に、接続孔パターンを形成のためのレジストマスク43を形成する。このレジストマスク43には接続孔を形成するための開口部44が形成されている。
ここで、上記開口部44は、配線溝パターン33に対し、開口部44の直径が、最小寸法の配線幅以上被覆されるように開口寸法を調整する。図面中、破線で示す部分が誤差の範囲である。例えば、100nmのハーフピッチの配線溝に対しφ100nmの接続孔を形成したい場合、配線溝パターン33から最終配線寸法の変換差が約20nm、合わせずれが最大30nmであるならば、配線最小線幅100nm−変換差20nm+最大合わせずれ30nm×2=140nmの寸法に配線溝パターン33を設定する。また、50nmのハーフピッチの配線溝に対しφ50nmの接続孔を形成したい場合、配線溝パターン33から最終配線寸法の変換差が約15nm、合わせずれが最大20nmであるならば、配線最小線幅50nm−変換差15nm+最大合わせずれ20nm×2=75nmの寸法に配線溝パターン33を設定する。本実施例では前者のディメンジョンにおける試作例を示す。
また、上記第2マスク層32の配線溝パターン33で発生した段差は、概ね第2マスク層32の成膜膜厚の35nm程度に抑えられるため、平坦部にパターニングする場合とほぼ同等のリソグラフィー特性にて、良好な接続孔のレジストマスク形状を得ることが可能となる。また、塗布系の反射防止膜(例えばBARC)を併用する場合でも、第2マスク層32の寸法や疎密具合により、反射防止膜の埋め込み形状の変動は微少に抑えられ、露光処理時のレジスト形状の悪化や、寸法変動の原因となる焦点深度ばらつきが低減できる。
この接続孔のレジストマスク43は、第1配線16もしくは配線溝パターン33に対してアライメントされるように形成されるが、リソグラフィープロセス上発生し得る合わせずれや各層の寸法ばらつきにより、配線溝パターン33に対してボーダーレス構造となる領域22が発生することになる。
次に、図3(3)に示すように、接続孔パターンを形成するレジストマスク43〔前記図3(2)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、第2マスク層32、第1マスク層31に接続孔パターン34を形成する。さらに、この接続孔パターン34を有機犠牲層30まで延長形成する。ここで、レジストマスク43は、有機犠牲層30のエッチング処理で同時に除去することができる。
このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてジフルオルメタン (CH2F2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)は2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。このエッチング条件におけるSiO2膜に対するエッチング選択比(SiN/SiO2)は3程度得ることができるため、50nmのSiN膜からなる第1マスク層31に接続孔パターン34を、余裕を持って形成することができる。
また、有機犠牲層30への接続孔パターン34の形成は、通常の高密度プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスにはアンモニア(NH3)を用いた。RFパワーは150W、基板温度は20℃に設定した。このエッチング条件でのレジスト膜43のエッチングレートは有機犠牲層30のエッチングレートとほぼ同等であるため、有機犠牲層30のエッチング中にレジストマスク43は後退していくが、積層ハードマスクの第2マスク層32もしくは第1マスク層31があるため、良好な接続孔パターン34の開口形状を得ることができる。ちなみに、上記有機犠牲層30のエッチング条件におけるSiN膜やSiO2膜、SiOC膜に対するエッチング選択比は100以上を得ることができる。本工程を経て形成された有機犠牲層30の接続孔パターン34は、配線溝パターン33に対して自己整合的な配置とすることができる。
次に、図3(4)に示すように、配線溝パターン33が形成された第2マスク層32〔前記図3(3)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、第1マスク層31のSiN膜に配線溝パターン33を延長形成する。このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてジフルオルメタン(CH2F2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)は2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。このエッチング条件におけるSiO2膜に対する選択比(SiN/SiO2)は3程度得ることができるため、第2マスク層32のSiO2膜は例えば25nm程度あれば、第1マスク層31を50nmの厚さは余裕を持って形成することができる。
また、上記エッチング条件におけるSiOC膜に対するエッチング選択比(SiN/SiOC)は約1程度であるため、50nm厚のSiN膜からなる第1マスク層31をエッチングする場合、必要なオーバーエッチング量を含めて、SiOC膜からなる保護膜21には接続孔35が深さ80nmまで形成されることになる。したがって、ハードマスクである第2マスク層32、第1マスク層31の膜厚構成を変えて完全開口させるか、第1マスク層31を用いた保護膜21の完全開口のエッチングを追加する必要がある。本実施例では、追加エッチングとして、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)は1:10:5:1とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定し、保護膜21の完全開口を行った。また、有機膜20への接続孔35の形成、および有機犠牲層30への配線溝パターン33の形成は、有機犠牲層30への接続孔35の形成と同様に、高密度プラズマエッチング装置によるアンモニア(NH3)ガスを用いた異方性エッチングによって行った。
次に、図3(5)に示すように、SiOC膜からなる第1絶縁膜18に接続孔35を形成する。ここで、配線溝領域に残存するSiOC膜からなる保護膜21は、配線溝パターン33が形成されたSiN膜からなる第1マスク層31と有機犠牲層30とをエッチングマスクに用いて、同時に除去され、配線溝36が形成される。このエッチングは、例えば一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)は1:10:5:5とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定する。ここでは、幅広開口部となる配線溝36を保護膜21に形成するために、抜け性の良いエッチング条件に設定しているが、第1マスク層31下に厚い有機犠牲層30が存在するため、いわゆる肩落ちが非常に少ない形状に制御できた配線溝36と接続孔35とを形成することができた。また、寸法の調整された開口部44を有するレジストマスク43と、SiO2膜からなる第2マスク層32を用いた自己整合的な接続孔の形成を行うことにより、合わせずれによる配線間スペースのばらつきを劇的に抑制することが可能となった。
その後、図3(6)に示すように、配線溝36底部に残存する第2絶縁膜19の有機膜20をエッチングして配線溝36を完成するとともに、接続孔35底部にある酸化防止層17のSiC膜をエッチングすることにより接続孔35をさらに延長形成する。これによって接続孔35は第1配線16に達する。このようにして、所定のいわゆるデュアルダマシン加工が完了する。なお、SiN膜からなる第1マスク層31は、接続孔35底部の第1絶縁膜18のSiOC膜をエッチングする過程で除去される。また、配線溝36の領域外に残存した有機犠牲層30は、第2絶縁膜19のポリアリールエーテル膜からなる有機膜20をエッチングする過程で除去される。また、有機膜20上にSiOC膜からなる保護膜21が形成されているので、有機膜20への配線溝36の形成時に有機犠牲層30がエッチングされても有機膜20表面がエッチングされることない。
上記第2絶縁膜19の有機膜20への配線溝36の形成は、通常の高密度プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスには例えばアンモニア(NH3)を用いた。RFパワーは150W、基板温度は20℃に設定した。このエッチング条件における第1絶縁膜18のSiOC膜に対するエッチング選択比は100以上得られるため、配線溝36は深さのばらつきが無く、制御性良く形成することができる。
上記接続孔35底部にある酸化防止層17のSiC膜のエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてジフルオルメタン(CH2F2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)は2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。ただし、上記エッチング条件ではSiOC膜に対する選択比は1前後であるため、配線溝36底部のSiOC膜の掘れが問題になるならば、第2絶縁膜19の有機膜20への配線溝36の形成前に酸化防止層17のSiC膜のエッチングを行うこともできる。また、層間膜(第1、第2絶縁膜18、19)上部に残存する第2マスク層32のSiN膜は、酸化防止層17のSiC膜のエッチング中に完全に除去することができる。
次に、しかるべき薬液を用いた後処理と、水素アニール処理により、配線溝36や接続孔35の側壁に残留するエッチング付着物や、接続孔底部のCu変質層を清浄にした後、図4(7)に示すように、配線溝36および接続孔35の内面に、例えばバリアメタル層51としてTa膜をスパッタリング法により成膜し、さらに図示はしないが、銅のシード層を形成した後に電解めっき法により銅膜52を堆積する、もしくはスパッタリング法により銅膜52を堆積する。これにより、配線溝36と接続孔35へ銅による導電膜の埋め込みが行える。導電膜としては、銅以外の金属材料を用いることもできる。
さらに堆積した銅膜52、バリアメタル層51のうち、第2配線として不要な部分を化学機械研磨(CMP)法により除去することにより、図4(8)に示すように、上記配線溝36に第2配線53が完成し、その一部は接続孔35に通じて第1配線16に接続される。これによって、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。最終的な上層配線となる第2配線53の膜厚は例えば170nm程度となるよう調整された。また、下層配線の第1配線16と同様に、第2配線53を被覆する酸化防止層54を、例えばSiC膜で形成する。
上記説明した第2実施例の製造工程を経て形成された、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線は、有機犠牲層30を含む第1、第2マスク層32、23による配線溝36の形成と自己整合的な接続孔35の形成の組み合わせにより、配線溝36と接続孔35間の分離スペースを非常にばらつきが小さい状態で十分確保することが可能となったため、隣接する異電位配線とのショート不良の防止や絶縁耐圧の確保が可能となる。例えば、配線53、53間の領域23が、配線間ショートを起こすことなく、かつ耐圧が確保される十分な間隔に保持される。よって、少なくとも前記各工程を含む多層配線プロセスを経て形成された半導体装置は、高い歩留まりと良好な配線信頼性を得ることができた。
なお、上記記載の各種層間絶縁膜は、表記された膜種、膜厚、製法に限定されることはない。Cu膜の酸化防止層17、54は、CVD法により形成されるSiN膜としてもよく、SiC膜中に窒素(N)や水素(H)等の軽元素が含有した膜を用いることも可能である。
接続孔35の層間膜となる第1絶縁膜18のSiOC膜、および配線溝36が形成される層間膜となるポリアリールエーテルからなる有機膜20の保護膜21となるSiOC膜の代わりに、CVD法により成膜されたSiOF膜やSiO2膜、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜でもよく、上記ポリアリールエーテルからなる有機膜20の代わりに、ポリアリレンエーテル膜、アモルファスカーボン膜、ポリテトラトラフロロエチレン膜の適用が可能である。さらに、キセロゲル膜、多孔質構造を有する比誘電率≦2.2のMSQ膜や有機ポリマー等の適用や、これらの組み合わせでも可能である。
また、上記有機犠牲膜30、第1マスク層31、第2マスク層32は、それぞれ下からポリアリールエーテル膜(150nm)、SiN膜(50nm)、SiO2膜(35nm)としたが、上層マスクを用いて下層マスクをエッチングできる組み合わせの膜種、膜厚、製法であり、積層したときの密着性や耐熱性がその後のエッチング工程に耐えられる構造であれば、記載の内容には限定されない。例えば、第1マスク層31のSiN膜をCVD法で成膜したSiC膜やSiCN膜としてもよく、エッチング選択比が許す限り薄膜化することも可能である。同様に最上層の第2マスク層32をスパッタリング法により形成したアモルファスシリコン膜とすることもできる。さらに、有機犠牲層30には、ノボラック系樹脂等のレジスト材料を適用して、第1、第2マスク層32、23のCVD膜を200℃〜350℃の低温成膜としたり、第1、第2マスク層32、23自体を塗布系の材料とすることも可能である。
接続孔パターン34の寸法は、本実施例に限定する必要はないが、小さくしすぎると合わせずれによる接続孔パターン34のサイズの縮小とそれに伴う銅埋め込み特性や信頼性劣化等の特性変動が起こる。また接続孔パターン34の寸法は、大きくしすぎると密な接続孔パターン34での寸法制御性劣化が起こる。したがって、接続孔パターン34は、これらを満足できる寸法設定であることが好ましい。また、幅広配線部に配置された接続孔35においては、最小寸法配線部の接続孔に比べて大きな開口寸法となるが、特に下層隣接配線との分離スペース確保が問題となる場合には、上層配線幅に応じた接続孔と異電位下層配線のスペース規制等のレイアウトルールを設定する必要がある。
第2絶縁膜19の有機膜20の保護膜21となるSiOC膜は、本実施例では最終的に配線層間の絶縁膜として残存(例えば厚さ50nmを残存)させているが、バリアメタルとの密着性や銅のCMP工程における機械的強度、もしくは銅の酸化防止層54を成膜する前に行われる銅酸化物の還元処理時の損傷が問題にならなければ、銅のCMP工程にて除去することも可能である。
上記第2実施例で説明した製造方法では、前記第1実施例と同様なる作用、効果を得ることができる。それとともに、有機犠牲層30を含む第1、第2マスク層32、23のエッチングマスク構造とすることにより、配線溝36の肩落ち形状をさらに改善して、32nm世代以降におけるハーフピッチ≦60nmの微細化と、比誘電率≦2.2の低誘電率化の要求を満たし、配線溝36と接続孔35間のショート不良の防止、絶縁耐圧の確保を実現した。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第3実施例を、図5および図6の製造工程断面図によって説明する。前記実施例1、2では、配線層層間に有機膜(例えばポリアリールエーテル膜)を挟んだいわゆるハイブリッド低誘電率膜構造における製造方法を説明したが、その他の低誘電率膜構造においても本発明の適用は可能である。ここでは、SiOC膜を主体とした低誘電率膜構造への適用例を説明する。
図5(1)に示すように、基板(図示せず)に堆積された下地絶縁膜11上に層間絶縁膜12を形成する。この層間絶縁膜12は例えば有機膜13と酸化シリコン(SiO2)膜14からなる積層膜で形成する。この層間絶縁膜12には、配線溝15に密着層、バリアメタル層等を介して第1配線16を形成する。第1配線16は、例えば、銅(Cu)膜を埋め込んで約150nmの配線厚となるように形成される。また、第1配線16上には酸化防止層17を形成する。この酸化防止層17は、例えば炭化シリコン(SiC)膜を35nmの厚さに成膜して形成する。
続いて、接続孔層間の第1絶縁膜18を形成する。この第1絶縁膜18としては、炭素含有酸化シリコン(SiOC)膜を135nmの厚さに成膜した。上記SiC膜、SiOC膜を成膜するには、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用する原料ガスとしては、どちらもシリコン源としてメチルシランを用いた。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。膜の比誘電率はSiC膜が3.8、SiOC膜が2.6程度で形成することができた。
次に、上記第1絶縁膜18上に第2絶縁膜19を形成する。この第2絶縁膜19としては、SiOC膜を成膜する。本実施例では、SiOC膜は、第1絶縁膜18のSiOC膜と同様に、CVD装置にて、比誘電率3.0程度となる条件で255nm厚の成膜を行った。またSiOC膜を形成する際には、特に後工程においてエッチングにおけるいわゆる抜け性が問題となる場合には、化学量論より酸素が多いSiOC膜を形成することが好ましい。
続いて、第2絶縁膜19上に、有機犠牲層30、第1マスク層31、第2マスク層32を順次形成する。一例として、上記有機犠牲層30はポリアリールエーテル膜で形成し、その厚さは例えば150nmとした。この有機犠牲層30には、ポリアリールエーテル膜の他に、BCB膜、ポリイミド膜、アモルファスカーボン膜、もしくは耐熱性の高いノボラック樹脂等のレジスト膜を用いることも可能である。また、有機犠牲層30の膜厚は、後工程でのエッチングマスクとして適用でき、かつ上層のハードマスクである第1、第2マスク層をマスクに用いてエッチング可能であるならば、150nmの厚さに限定はされない。上記第1マスク層31は窒化シリコン(SiN)膜で形成し、その厚さは50nmとした。さらに第2マスク層32はSiO2膜で形成し、その厚さは35nmとした。その後、第2マスク層32上に配線溝形成のためのレジストマスク41を形成する。このレジストマスク41には配線溝パターンを形成するための開口部42が形成されている。
第2マスク層32を形成するSiO2膜の成膜は、プラズマCVD法により、その原料ガスのシリコン源としてモノシラン(SiH4)を用い、酸化剤として一酸化二窒素(N2O)ガスを用いることができる。また第1マスク層31となるSiO2膜を形成する際に、特に下層のポリアリールエーテル膜からなる有機犠牲層30の酸化が問題となる場合には、化学量論よりシリコンが多い酸化シリコン膜を形成することが好ましい。また、第1マスク層31となるSiN膜は、SiO2膜と同様のプラズマCVD装置により、原料ガスのシリコン源としてモノシラン(SiH4)を、窒化剤としてアンモニア(NH3)ガスを用い、酸化剤として一酸化二窒素(N2O)ガスを用い、不活性ガスをキャリアガスとして、成膜を行うことができる。
次に、図5(2)に示すように、上記レジストマスク41〔前記図5(1)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチングを行うことにより、第2マスク層32に配線溝パターン33を形成する。このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)を用い、それらのガス流量比(C4F8:CO:Ar)は1:5:20とし、バイアスパワーは1200W、基板温度は20℃に設定する。このエッチング条件におけるSiN膜に対するエッチング選択比(SiO2/SiN)は10以上得ることができるため、下地の第1マスク層31となるSiN膜はほとんど掘れることはない。また、第2マスク層32のエッチング後は、例えば酸素(O2)プラズマをベースとしたアッシング処理と有機アミン系の薬液処理を行うことにより、上記レジストマスク41とエッチング処理での残留付着物を完全に除去することができる。
次に、接続孔パターンを形成のためのレジストマスク43を形成する。このレジストマスク43には接続孔を形成するための開口部44が形成されている。またレジストマスク43は、上記第2マスク層32の配線溝パターン33に少なくとも一部が重なるように形成されることになる。また、上記第2マスク層32の配線溝パターン33で発生した段差は、概ね第2マスク層32の成膜膜厚の35nm程度に抑えられるため、平坦部にパターニングする場合とほぼ同等のリソグラフィー特性にて、良好な接続孔のレジストマスク形状を得ることが可能となる。また、塗布系の反射防止膜(例えばBARC)を併用する場合でも、第2マスク層32の寸法や疎密具合により、反射防止膜の埋め込み形状の変動は微少に抑えられ、露光処理時のレジスト形状の悪化や、寸法変動の原因となる焦点深度ばらつきが低減できる。
この接続孔のレジストマスク43は、第1配線16もしくは配線溝パターン33に対してアライメントされるように形成されるが、リソグラフィープロセス上発生し得る合わせずれや各層の寸法ばらつきにより、配線溝パターン33に対してボーダーレス構造となる領域22が発生することになる。
次に、図5(3)に示すように、接続孔パターンのレジストマスク43〔前記図5(2)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、第2マスク層32、第1マスク層31に接続孔パターン34を形成する。さらに、この接続孔パターン34を有機犠牲層30まで延長形成する。ここで、レジストマスク43は、有機犠牲層30のエッチング処理で同時に除去することができる。
積層ハードマスクまでの接続孔パターン34の形成は、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン (C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比(C4F8:Ar)は1:4とし、基板温度は20℃に設定した。上記エッチング条件でのエッチング選択比(SiO2/SiN)は1前後となり、1ステップで積層マスクに接続孔パターン34を形成できるが、レジスト選択比やエッチング変換差等が問題になる場合は2ステップエッチングにより、下地絶縁膜に対し選択的に対象マスク材を順次除去していくことも可能である。
有機犠牲層30への接続孔パターン34の形成は、通常の高密度プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスにはアンモニア(NH3)を用いた。RFパワーは150W、基板温度は20℃に設定した。このエッチング条件でのレジスト膜43のエッチングレートは有機犠牲層30のエッチングレートとほぼ同等であるため、有機犠牲層30のエッチング中にレジストマスク43は後退していくが、積層ハードマスクの第2マスク層32もしくは第1マスク層31があるため、良好な接続孔パターン34の開口形状を得ることができる。ちなみに、上記有機犠牲層30のエッチング条件におけるSiN膜やSiO2膜、SiOC膜に対するエッチング選択比は100以上を得ることができる。
次に、図5(4)に示すように、配線溝パターン33が形成された第2マスク層32〔前記図5(3)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、第1マスク層31のSiN膜に配線溝パターン33を延長形成する。それとともに、SiOC膜からなる第2絶縁膜19の途中まで接続孔35を形成する。さらに、有機犠牲層30に配線溝パターン33を延長形成する。このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてジフルオルメタン(CH2F2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)は2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。このエッチング条件におけるSiO2膜に対する選択比(SiN/SiO2)は3程度得ることができるため、第2マスク層32のSiO2膜は例えば25nm程度あれば、第1マスク層31を50nmの厚さは余裕を持って形成することができる。
また、上記エッチング条件におけるSiOC膜に対するエッチング選択比(SiN/SiOC)は約1程度であるため、配線層間のSiOC膜からなる第2絶縁膜19への接続孔35の形成は80nm程度の途中開口となる。そこで、その後の第2絶縁膜19への配線溝36の形成において、SiOC膜からなる第1絶縁膜18を接続孔35が貫通可能な残膜まで、接続孔35の深さを到達させる必要がある。このため、SiN膜からなる第1マスク層31を用いたエッチングにより、第2絶縁膜19を貫通するまで接続孔35の追加エッチングを行った。本実施例では、追加エッチングとして、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)は1:10:5:1とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定し、第2絶縁膜19に接続孔35の延長形成を行った。
次に、図5(5)に示すように、SiOC膜からなる第1絶縁膜18に接続孔35を形成する。このとき、配線溝領域に残存する大部分のSiOC膜からなる第2絶縁膜19は、配線溝パターン33が形成されたSiN膜からなる第1マスク層31と有機犠牲層30とをエッチングマスクに用いて、接続孔35が形成される第1絶縁膜18と同時に除去され、配線溝36が形成される。このエッチングは、例えば一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)は1:10:5:5とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定する。ここでは、幅広開口部となる配線溝36を第2絶縁膜19に形成するために、抜け性の良いエッチング条件に設定しているが、第1マスク層31下に厚い有機犠牲層30が存在するため、いわゆる肩落ちが非常に少ない形状に制御できた配線溝36と接続孔35とを形成することができた。
その後、図5(6)に示すように、配線溝36底部に残存する第2絶縁膜19のSiOC膜をエッチングして配線溝36を完成するとともに、接続孔35底部にある酸化防止層17のSiC膜をエッチングすることにより接続孔35をさらに延長形成する。これによって接続孔35は第1配線16に達する。このようにして、所定のいわゆるデュアルダマシン加工が完了する。
上記接続孔35底部にある酸化防止層17のSiC膜のエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてジフルオルメタン(CH2F2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)は2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。上記エッチング条件ではSiOC膜に対する選択比は1前後であるため、予定していた配線溝深さまでは、ここのエッチングで到達することになる。ただし、低誘電率膜構造上、接続孔層間に対して選択的に配線溝をエッチングすることは期待できない。したがって、エッチング深さや、接続孔形状のばらつきをある程度許容したプロセス構築が必要である。また、有機犠牲層30の除去は、通常の高密度プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスには例えばアンモニア(NH3)を用いた。RFパワーは150W、基板温度は20℃に設定した。このエッチング条件におけるSiOC膜に対するエッチング選択比は100以上得られる。したがって、第2絶縁膜192形成した配線溝36、接続孔35の形状がくずれることはない。
次に、しかるべき薬液を用いた後処理と、水素アニール処理により、配線溝や接続孔の側壁に残留するエッチング付着物や、接続孔底部のCu変質層を清浄にした後、図6(7)に示すように、配線溝36および接続孔35の内面に、例えばバリアメタル層51としてTa膜をスパッタリング法により成膜し、さらに図示はしないが、銅のシード層を形成した後に電解めっき法により銅膜52を堆積する、もしくはスパッタリング法により銅膜52を堆積する。これにより、配線溝36と接続孔35へ銅による導電膜の埋め込みが行える。導電膜としては、銅以外の金属材料を用いることもできる。
さらに堆積した銅膜52、バリアメタル層51のうち、第2配線として不要な部分を化学機械研磨(CMP)法により除去することにより、図6(8)に示すように、上記配線溝36に第2配線53が完成し、その一部は接続孔35に通じて第1配線16に接続される。これによって、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。最終的な上層配線となる第2配線53の膜厚は例えば170nm程度となるよう調整された。また、下層配線の第1配線16と同様に、第2配線53を被覆する酸化防止層54を、例えばSiC膜で形成する。
上記説明した第3実施例の製造工程を経て形成された、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線は、有機犠牲層30を含む積層した第1マスク層31、第2マスク層32による配線溝36の形成を行うことにより、肩落ちの抑制された配線溝36および接続孔35の形成が可能となる。このため、隣接する異電位配線とのショート不良の防止や絶縁耐圧の確保ができる。例えば、配線53、53間の領域23が、配線間ショートを起こすことなく、かつ耐圧が確保される十分な間隔に保持される。よって、少なくとも前記各工程を含む多層配線プロセスを経て形成された半導体装置は、高い歩留まりを得ることができる。
なお、上記記載の各種層間絶縁膜は、表記された膜種、膜厚、製法に限定されることはない。Cu膜の酸化防止層17、54は、CVD法により形成されるSiN膜としてもよく、SiC膜中に窒素(N)や水素(H)等の軽元素が含有した膜を用いることも可能である。
接続孔35が形成される層間膜となる第1絶縁膜18のSiOC膜、および配線溝36が形成される層間膜となる第2絶縁膜19のSiOC膜の積層構造は、エッチング性能やCMP耐性、配線信頼性に問題がないならば、単一SiOC膜を用いても良く、比誘電率も2.6や3.0の値には限定されない。また、CMPで研磨を行う保護膜のみ、異なるSiOC膜を採用することも可能である。同様に、SiOC膜の代わりに、CVD法により成膜されたSiOF膜やSiO2膜、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜でもよく、多孔質構造を有する比誘電率≦2.2のMSQ膜や、これらの組み合わせでも可能である。
また、上記有機犠牲層30、第1マスク層31、第2マスク層32は、それぞれ下からポリアリールエーテル膜(150nm)、SiN膜(50nm)、SiO2膜(35nm)としたが、上層マスクを用いて下層マスクをエッチングできる組み合わせの膜種、膜厚、製法であり、積層したときの密着性や耐熱性がその後のエッチング工程に耐えられる構造であれば、記載の内容には限定されない。例えば、第1マスク層31のSiN膜をCVD法で成膜したSiC膜やSiCN膜としてもよく、エッチング選択比が許す限り薄膜化することも可能である。同様に最上層の第2マスク層32をスパッタリング法により形成したアモルファスシリコン膜とすることもできる。さらに、有機犠牲層30には、ノボラック系樹脂等のレジスト材料を適用して、第1、第2マスク層31、32のCVD膜を200℃〜350℃の低温成膜としたり、第1、第2マスク層31、32自体を塗布系の材料とすることも可能である。
上記第3実施例で説明した製造方法では、第2絶縁膜19上に有機犠牲層30、第1マスク層31および第2マスク層32を順に積層して形成するため、すなわち、第2絶縁膜19と第1マスク層31との間に有機犠牲層30を設けているため、従来方法では加工形状制御が困難であったSiOC膜からなる第2絶縁膜19への配線溝36の形成が容易となり、第2絶縁膜19に適用される低誘電率膜の材質に影響されることなく、低容量かつ高性能を有する多層配線の形成が実現できるので、低誘電率膜を含む層間絶縁膜へのデュアルダマシン構造の多層配線の形成において、肩落ち形状の少ない加工変換差の制御されたデュアルダマシン加工を容易に行うことが可能となるという利点がある。
つまり、第2絶縁膜19上に有機犠牲層30を形成し、その上に第1マスク層31を形成することによって、第1マスク層31のマスク形状を有機犠牲層30に転写することができる。そのため、たとえ製造工程中に第1マスク層31が除去されて有機犠牲層30に形成された配線溝パターン33や接続孔パターン34の開口側の形状がテーパ形状になっても、有機犠牲層30の第2絶縁膜19側の配線溝パターン33や接続孔パターン34の形状は保持することができるため、第2絶縁膜19には接続孔35および配線溝36を所望の形状に加工でき、かつそれらを形成した後に有機犠牲層30は除去されるので、上部側形状が悪化した有機犠牲層30の影響は受けない。
それによって、配線間ショートによる製品歩留まり低下の抑制や、耐圧不足による初期不良、もしくは配線間TDDB(Time Dependence Dielectric Breakdown)等の配線信頼性の劣化を抑制することが可能となる。また、65nm世代以降の微細化への対応という観点からも、制御性よく配線間スペースを確保することができる本発明では、上記と同様な効果が期待できる。さらには、配線溝36に対して自己整合的な接続孔35を形成する製法を組み合わせることにより、十分な分離マージンを有した半導体装置の製造を行うことが可能となる。よって、高い歩留まりと良好な配線信頼性を得ることができた。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第3実施例を、図7および図8の製造工程断面図によって説明する。前記実施例3では、有機犠牲層を含む積層エッチングマスク構造とすることにより、配線溝の肩落ち形状を改善して、配線と接続孔間のショート不良の防止、絶縁耐圧の確保を実現したが、32nm世代以降では、ハーフピッチの60nm以下への微細化と、比誘電率の2.2以下への低誘電率化が要求される。そこで、この第2実施例では、前記実施例1の製法を基本として、微細ピッチの配線形成に適用可能な溝配線構造による多層配線の製造方法の一例を以下に説明する。
図7(1)に示すように、基板(図示せず)に堆積された下地絶縁膜11上に層間絶縁膜12を形成する。この層間絶縁膜12は例えば有機膜13と酸化シリコン(SiO2)膜14からなる積層膜で形成する。この層間絶縁膜12には、配線溝15に密着層、バリアメタル層等を介して第1配線16を形成する。第1配線16は、例えば、銅(Cu)膜を埋め込んで約150nmの配線厚となるように形成される。また、第1配線16上には酸化防止層17を形成する。この酸化防止層17は、例えば炭化シリコン(SiC)膜を35nmの厚さに成膜して形成する。
続いて、接続孔層間の第1絶縁膜18を形成する。この第1絶縁膜18としては、炭素含有酸化シリコン(SiOC)膜を135nmの厚さに成膜した。上記SiC膜、SiOC膜を成膜するには、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用する原料ガスとしては、どちらもシリコン源としてメチルシランを用いた。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。膜の比誘電率はSiC膜が3.8、SiOC膜が2.6程度で形成することができた。
次に、上記第1絶縁膜18上に第2絶縁膜19を形成する。この第2絶縁膜19としては、SiOC膜を成膜する。本実施例では、SiOC膜は、第1絶縁膜18のSiOC膜と同様に、CVD装置にて、比誘電率3.0程度となる条件で255nm厚の成膜を行った。またSiOC膜を形成する際には、特に後工程においてエッチングにおけるいわゆる抜け性が問題となる場合には、化学量論より酸素が多いSiOC膜を形成することが好ましい。
続いて、第2絶縁膜19上に、有機犠牲層30、第1マスク層31、第2マスク層32を順次形成する。一例として、上記有機犠牲層30はポリアリールエーテル膜で形成し、その厚さは例えば150nmとした。この有機犠牲層30には、ポリアリールエーテル膜の他に、BCB膜、ポリイミド膜、アモルファスカーボン膜、もしくは耐熱性の高いノボラック樹脂等のレジスト膜を用いることも可能である。また、有機犠牲層30の膜厚は、後工程でのエッチングマスクとして適用でき、かつ上層のハードマスクである第1、第2マスク層31、32をマスクに用いてエッチング可能であるならば、150nmの厚さに限定はされない。上記第1マスク層31は窒化シリコン(SiN)膜で形成し、その厚さは50nmとした。さらに第2マスク層32はSiO2膜で形成し、その厚さは35nmとした。その後、第2マスク層32上に配線溝形成のためのレジストマスク41を形成する。このレジストマスク41には配線溝パターンを形成するための開口部42が形成されている。
第2マスク層32を形成するSiO2膜の成膜は、プラズマCVD法により、その原料ガスのシリコン源としてモノシラン(SiH4)を用い、酸化剤として一酸化二窒素(N2O)ガスを用いることができる。また第1マスク層31となるSiO2膜を形成する際に、特に下層のポリアリールエーテル膜からなる有機犠牲層30の酸化が問題となる場合には、化学量論よりシリコンが多い酸化シリコン膜を形成することが好ましい。また、第1マスク層31となるSiN膜は、SiO2膜と同様のプラズマCVD装置により、原料ガスのシリコン源としてモノシラン(SiH4)を、窒化剤としてアンモニア(NH3)ガスを用い、酸化剤として一酸化二窒素(N2O)ガスを用い、不活性ガスをキャリアガスとして、成膜を行うことができる。
次に、図7(2)に示すように、上記レジストマスク41〔前記図7(1)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチングを行うことにより、第2マスク層32に配線溝パターン33を形成する。このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)を用い、それらのガス流量比(C4F8:CO:Ar)は1:5:20とし、バイアスパワーは1200W、基板温度は20℃に設定する。このエッチング条件におけるSiN膜に対するエッチング選択比(SiO2/SiN)は10以上得ることができるため、下地の第1マスク層31となるSiN膜はほとんど掘れることはない。また、第2マスク層32のエッチング後は、例えば酸素(O2)プラズマをベースとしたアッシング処理と有機アミン系の薬液処理を行うことにより、上記レジストマスク41とエッチング処理での残留付着物を完全に除去することができる。
次に、接続孔パターンを形成のためのレジストマスク43を形成する。このレジストマスク43には接続孔を形成するための開口部44が形成されている。この開口部44のパターニングは、第2マスク層32であるSiO2膜の配線溝パターン33に少なくとも一部が重なるように形成されることになる。
ここで、上記開口部44は、配線溝パターン33に対し、開口部44の直径が、最小寸法の配線幅以上被覆されるように開口寸法を調整する。図面中、破線で示す部分が誤差の範囲である。例えば、100nmのハーフピッチの配線溝に対しφ100nmの接続孔を形成したい場合、配線溝パターン33から最終配線寸法の変換差が約20nm、合わせずれが最大30nmであるならば、配線最小線幅100nm−変換差20nm+最大合わせずれ30nm×2=140nmの寸法に配線溝パターン33を設定する。また、50nmのハーフピッチの配線溝に対しφ50nmの接続孔を形成したい場合、配線溝パターン33から最終配線寸法の変換差が約15nm、合わせずれが最大20nmであるならば、配線最小線幅50nm−変換差15nm+最大合わせずれ20nm×2=75nmの寸法に配線溝パターン33を設定する。本実施例では前者のディメンジョンにおける試作例を示す。
また、上記第2マスク層32の配線溝パターン33で発生した段差は、概ね第2マスク層32の成膜膜厚の35nm程度に抑えられるため、平坦部にパターニングする場合とほぼ同等のリソグラフィー特性にて、良好な接続孔のレジストマスク形状を得ることが可能となる。また、塗布系の反射防止膜(例えばBARC)を併用する場合でも、第2マスク層32の寸法や疎密具合により、反射防止膜の埋め込み形状の変動は微少に抑えられ、露光処理時のレジスト形状の悪化や、寸法変動の原因となる焦点深度ばらつきが低減できる。
この接続孔のレジストマスク43は、第1配線16もしくは配線溝パターン33に対してアライメントされるように形成されるが、リソグラフィープロセス上発生し得る合わせずれや各層の寸法ばらつきにより、配線溝パターン33に対してボーダーレス構造となる領域22が発生することになる。
次に、図7(3)に示すように、接続孔パターンのレジストマスク43〔前記図7(2)参照〕と合わせずれにより露出したSiO2膜の第2マスク層32をエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、第1マスク層31に接続孔パターン34を形成する。さらに、この接続孔パターン34を有機犠牲層30まで延長形成する。ここで、レジストマスク43は、有機犠牲層30のエッチング処理で同時に除去することができる。
積層ハードマスクまでの接続孔パターン34の形成は、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてジフルオルメタン(CH2F2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)は2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。上記エッチング条件でのSiO2膜に対するエッチング選択比(SiN/SiO2)は3前後となるため、50nmのSiN膜の第1マスク層31には、余裕を持って接続孔パターン34を形成することが出来る。
有機犠牲層30への接続孔パターン34の形成は、通常の高密度プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスにはアンモニア(NH3)を用いた。RFパワーは150W、基板温度は20℃に設定した。このエッチング条件でのレジスト膜43のエッチングレートは有機犠牲層30のエッチングレートとほぼ同等であるため、有機犠牲層30のエッチング中にレジストマスク43は後退していくが、積層ハードマスクの第2マスク層32もしくは第1マスク層31があるため、良好な接続孔パターン34の開口形状を得ることができる。ちなみに、上記有機犠牲層30のエッチング条件におけるSiN膜やSiO2膜、SiOC膜に対するエッチング選択比は100以上を得ることができる。本工程を経て形成された有機犠牲層30の接続孔パターン34は、配線溝パターン33に対して自己整合的な配置とすることができる。
次に、図7(4)に示すように、配線溝パターン33が形成された第2マスク層32〔前記図7(3)参照〕をエッチングマスクに用いて、ドライエッチング法により、第1マスク層31のSiN膜に配線溝パターン33を延長形成する。それとともに、SiOC膜からなる第2絶縁膜19の途中まで接続孔35を形成する。さらに、有機犠牲層30に配線溝パターン33を延長形成する。このエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてジフルオルメタン(CH2F2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)は2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。このエッチング条件におけるSiO2膜に対する選択比(SiN/SiO2)は3程度得ることができるため、第2マスク層32のSiO2膜は例えば25nm程度あれば、第1マスク層31を50nmの厚さは余裕を持って形成することができる。
また、上記エッチング条件におけるSiOC膜に対するエッチング選択比(SiN/SiOC)は約1程度であるため、配線層間のSiOC膜からなる第2絶縁膜19への接続孔35の形成は80nm程度の途中開口となる。そこで、その後の第2絶縁膜19への配線溝36の形成において、SiOC膜からなる第1絶縁膜18を接続孔35が貫通可能な残膜まで、接続孔35の深さを到達させる必要がある。このため、SiN膜からなる第1マスク層31を用いたエッチングにより、第2絶縁膜19を貫通するまで接続孔35の追加エッチングを行った。本実施例では、追加エッチングとして、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)は1:10:5:1とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定し、第2絶縁膜19に接続孔35の延長形成を行った。
次に、図7(5)に示すように、SiOC膜からなる第1絶縁膜18に接続孔35を形成する。このとき、配線溝領域に残存する大部分のSiOC膜からなる第2絶縁膜19は、配線溝パターン33が形成されたSiN膜からなる第1マスク層31と有機犠牲膜21とをエッチングマスクに用いて、接続孔35が形成される第1絶縁膜18と同時に除去され、配線溝36が形成される。このエッチングは、例えば一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてのオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用い、ガス流量比(C5F8:CO:Ar:O2)は1:10:5:5とし、バイアスパワーは1600W、基板温度は20℃に設定する。ここでは、幅広開口部となる配線溝36を第2絶縁膜19に形成するために、抜け性の良いエッチング条件に設定しているが、第1マスク層31下に厚い有機犠牲層30が存在するため、いわゆる肩落ちが非常に少ない形状に制御できた配線溝36と接続孔35とを形成することができた。
その後、図7(6)に示すように、配線溝パターン33底部に残存する第2絶縁膜19のSiOC膜をエッチングして配線溝36を完成するとともに、接続孔35底部にある酸化防止層17のSiC膜をエッチングすることにより接続孔35をさらに延長形成する。これによって接続孔35は第1配線16に達する。さらに、有機犠牲層30の除去を行う。このようにして、所定のいわゆるデュアルダマシン加工が完了する。
上記接続孔35底部にある酸化防止層17のSiC膜のエッチングは、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてジフルオルメタン(CH2F2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用い、ガス流量比(CH2F2:O2:Ar)は2:1:5とし、バイアスパワーを100Wに設定する。上記エッチング条件ではSiOC膜に対する選択比は1前後であるため、予定していた配線溝深さまでは、ここのエッチングで到達することになる。ただし、低誘電率膜構造上、接続孔層間に対して選択的に配線溝をエッチングすることは期待できない。したがって、エッチング深さや、接続孔形状のばらつきをある程度許容したプロセス構築が必要である。
また、有機犠牲層30の除去は、通常の高密度プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスには例えばアンモニア(NH3)を用いた。RFパワーは150W、基板温度は20℃に設定した。このエッチング条件におけるSiOC膜に対するエッチング選択比は100以上得られる。したがって、第2絶縁膜192形成した配線溝36、接続孔35の形状がくずれることはない。
次に、しかるべき薬液を用いた後処理と、水素アニール処理により、配線溝36や接続孔35の側壁に残留するエッチング付着物や、接続孔35の底部のCu変質層を清浄にした後、図8(7)に示すように、配線溝36および接続孔35の内面に、例えばバリアメタル層51としてTa膜をスパッタリング法により成膜し、さらに図示はしないが、銅のシード層を形成した後に電解めっき法により銅膜52を堆積する、もしくはスパッタリング法により銅膜52を堆積する。これにより、配線溝36と接続孔35へ銅による導電膜の埋め込みが行える。導電膜としては、銅以外の金属材料を用いることもできる。
さらに堆積した銅膜52、バリアメタル層51のうち、第2配線として不要な部分を化学機械研磨(CMP)法により除去することにより、図8(8)に示すように、上記配線溝36に第2配線53が完成し、その一部は接続孔35に通じて第1配線16に接続される。これによって、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。最終的な上層配線となる第2配線53の膜厚は例えば170nm程度となるよう調整された。また、下層配線の第1配線16と同様に、第2配線53を被覆する酸化防止層54を、例えばSiC膜で形成する。
上記説明した第4実施例の製造工程を経て形成された、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線は、有機犠牲層30を含む積層した第1マスク層31、第2マスク層32による配線溝36の形成を行うことにより、肩落ちの抑制された配線溝36および接続孔35の形成が可能となる。このため、隣接する異電位配線とのショート不良の防止や絶縁耐圧の確保ができる。例えば、配線53、53間の領域23が、配線間ショートを起こすことなく、かつ耐圧が確保される十分な間隔に保持される。よって、少なくとも前記各工程を含む多層配線プロセスを経て形成された半導体装置は、高い歩留まりを得ることができる。
なお、上記記載の各種層間絶縁膜は、表記された膜種、膜厚、製法に限定されることはない。Cu膜の酸化防止層17、54は、CVD法により形成されるSiN膜としてもよく、SiC膜中に窒素(N)や水素(H)等の軽元素が含有した膜を用いることも可能である。
接続孔35が形成される層間膜となる第1絶縁膜18のSiOC膜、および配線溝36が形成される層間膜となる第2絶縁膜19のSiOC膜の積層構造は、エッチング性能やCMP耐性、配線信頼性に問題がないならば、単一SiOC膜を用いても良く、比誘電率も2.6や3.0の値には限定されない。また、CMPで研磨を行う保護膜のみ、異なるSiOC膜を採用することも可能である。同様に、SiOC膜の代わりに、CVD法により成膜されたSiOF膜やSiO2膜、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜でもよく、多孔質構造を有する比誘電率≦2.2のMSQ膜や、これらの組み合わせでも可能である。
また、上記有機犠牲層30、第1マスク層31、第2マスク層32は、それぞれ下からポリアリールエーテル膜(150nm)、SiN膜(50nm)、SiO2膜(35nm)としたが、上層マスクを用いて下層マスクをエッチングできる組み合わせの膜種、膜厚、製法であり、積層したときの密着性や耐熱性がその後のエッチング工程に耐えられる構造であれば、記載の内容には限定されない。例えば、第1マスク層31のSiN膜をCVD法で成膜したSiC膜やSiCN膜としてもよく、エッチング選択比が許す限り薄膜化することも可能である。同様に最上層の第2マスク層32をスパッタリング法により形成したアモルファスシリコン膜とすることもできる。さらに、有機犠牲層30には、ノボラック系樹脂等のレジスト材料を適用して、第1、第2マスク層31、32のCVD膜を200℃〜350℃の低温成膜としたり、第1、第2マスク層31、32自体を塗布系の材料とすることも可能である。
上記第4実施例で説明した製造方法では、前記第3実施例と同様なる作用、効果を得ることができる。それとともに、有機犠牲層30を含む第1、第2マスク層31、32のエッチングマスク構造とすることにより、配線溝36の肩落ち形状をさらに改善して、32nm世代以降におけるハーフピッチの60nm以下への微細化と、比誘電率の2.2以下への低誘電率化の要求を満たし、配線溝36と接続孔35間のショート不良の防止、絶縁耐圧の確保を実現した。
上記各実施例においては、上記有機犠牲層30、第1マスク層31および第2マスク層32は、上層をマスクとして用いて下層をエッチングできる材料で形成されることが好ましい。そこで、上記各実施例において用いる第1マスク層31、第二マスク層23に適用できる各種材料例をあげ、さらに、それぞれの材料をエッチングする際に用いるエッチング化学種を挙げる。また、下記第1マスク層31、第2マスク層32に用いる材料は、有機膜のエッチング時にはマスクと成り得るものである。
例えば、第2マスク層32に酸化シリコン(SiO2)膜もしくはSOG(Spin on glass)膜を用いた場合、第1マスク層31には、窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜、窒化炭化シリコン(SiCN)膜、シリコン(Si)膜、酸化アルミニウム(AlO)膜、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜、窒化チタン(TiN)膜、タングステン(W)膜、窒化タングステン(WN)膜を用いることができる。
第2マスク層32に酸化シリコン(SiO2)膜もしくはSOG(Spin on glass)膜を用いた場合の第2マスク層32をエッチングするエッチング化学種には、オクタフルオロシクロブタン(C4H8)と一酸化炭素(CO)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に酸化シリコン(SiO2)膜もしくはSOG(Spin on glass)膜を用い、第1マスク層31に、窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜、もしくは窒化炭化シリコン(SiCN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、ジフルオルメタン(CH2F2)と酸素(O2)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に酸化シリコン(SiO2)膜もしくはSOG(Spin on glass)膜を用い、第1マスク層31にシリコン(Si)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、塩素(Cl2)と臭化水素(HBr)と酸素(O2)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に酸化シリコン(SiO2)膜もしくはSOG(Spin on glass)膜を用い、第1マスク層31に、酸化アルミニウム(AlO)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、テトラフルオロメタン(CF4)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に酸化シリコン(SiO2)膜もしくはSOG(Spin on glass)膜を用い、第1マスク層31に、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、三塩化ホウ素(BCl3)と塩素(Cl2)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に酸化シリコン(SiO2)膜もしくはSOG(Spin on glass)膜を用い、第1マスク層31に、タングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、サルファーヘキサフルオライド(SF6)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜もしくは窒化炭化シリコン(SiCN)膜を用いた場合、第1マスク層31には、酸化シリコン(SiO2)膜、SOG(Spin on glass)膜、シリコン(Si)膜、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜、窒化チタン(TiN)膜、タングステン(W)膜、窒化タングステン(WN)膜を用いることができる。
第2マスク層32に窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜もしくは窒化炭化シリコン(SiCN)膜を用いた場合の第2マスク層32をエッチングするエッチング化学種には、ジフルオルメタン(CH2F2)と酸素(O2)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜もしくは窒化炭化シリコン(SiCN)膜を用い、第1マスク層31に、酸化シリコン(SiO2)膜もしくはSOG(Spin on glass)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、オクタフルオロシクロブタン(C4F8)と一酸化炭素(CO)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜もしくは窒化炭化シリコン(SiCN)膜を用い、第1マスク層31にシリコン(Si)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、塩素(Cl2)と臭化水素(HBr)と酸素(O2)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜もしくは窒化炭化シリコン(SiCN)膜を用い、第1マスク層31に、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、三塩化ホウ素(BCl3)と塩素(Cl2)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜もしくは窒化炭化シリコン(SiCN)膜を用い、第1マスク層31に、タングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、サルファーヘキサフルオライド(SF6)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にシリコン(Si)膜を用いた場合、第1マスク層31には、酸化シリコン(SiO2)膜、SOG(Spin on glass)膜、窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜、窒化炭化シリコン(SiCN)膜、酸化アルミニウム(AlO)膜、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜、窒化チタン(TiN)膜、タングステン(W)膜、窒化タングステン(WN)膜を用いることができる。
第2マスク層32にシリコン(Si)膜を用いた場合の第2マスク層32をエッチングするエッチング化学種には、塩素(Cl2)と臭化水素(HBr)と酸素(O2)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にシリコン(Si)膜を用い、第1マスク層31に、酸化シリコン(SiO2)膜、SOG(Spin on glass)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、オクタフルオロシクロブタン(C4F8)と一酸化炭素(CO)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にシリコン(Si)膜を用い、第1マスク層31に、窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜、もしくは窒化炭化シリコン(SiCN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、ジフルオルメタン(CH2F2)と酸素(O2)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にシリコン(Si)膜を用い、第1マスク層31に、酸化アルミニウム(AlO)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、テトラフルオロメタン(CF4)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にシリコン(Si)膜を用い、第1マスク層31に、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、三塩化ホウ素(BCl3)と塩素(Cl2)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にシリコン(Si)膜を用い、第1マスク層31に、タングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、サルファーヘキサフルオライド(SF6)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に酸化アルミニウム(AlO)膜を用いた場合、第1マスク層31には、酸化シリコン(SiO2)膜、SOG(Spin on glass)膜、シリコン(Si)膜、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜、窒化チタン(TiN)膜、タングステン(W)膜、窒化タングステン(WN)膜を用いることができる。
第2マスク層32に酸化アルミニウム(AlO)膜を用いた場合の第2マスク層32をエッチングするエッチング化学種には、テトラフルオロメタン(CF4)とアルゴン(Ar)との混合ガを用いる。
第2マスク層32に酸化アルミニウム(AlO)膜を用い、第1マスク層31に、酸化シリコン(SiO2)膜、SOG(Spin on glass)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、オクタフルオロシクロブタン(C4F8)と一酸化炭素(CO)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に酸化アルミニウム(AlO)膜を用い、第1マスク層31に、シリコン(Si)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、塩素(Cl2)と臭化水素(HBr)と酸素(O2)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に酸化アルミニウム(AlO)膜を用い、第1マスク層31に、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、三塩化ホウ素(BCl3)と塩素(Cl2)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32に酸化アルミニウム(AlO)膜を用い、第1マスク層31に、タングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、サルファーヘキサフルオライド(SF6)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にタンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用いた場合、第1マスク層31には、酸化シリコン(SiO2)膜、SOG(Spin on glass)膜、シリコン(Si)膜、窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜、窒化炭化シリコン(SiCN)膜、酸化アルミニウム(AlO)膜、タングステン(W)膜、窒化タングステン(WN)膜を用いることができる。
第2マスク層32にタンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用いた場合の第2マスク層32をエッチングするエッチング化学種には、三塩化ホウ素(BCl3)と塩素(Cl2)との混合ガを用いる。
第2マスク層32にタンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用い、第1マスク層31に、酸化シリコン(SiO2)膜、SOG(Spin on glass)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、オクタフルオロシクロブタン(C4F8)と一酸化炭素(CO)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にタンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用い、第1マスク層31に、シリコン(Si)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、塩素(Cl2)と臭化水素(HBr)と酸素(O2)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にタンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用い、第1マスク層31に、窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜、もしくは窒化炭化シリコン(SiCN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、ジフルオルメタン(CH2F2)と酸素(O2)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にタンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用い、第1マスク層31に、酸化アルミニウム(AlO)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、テトラフルオロメタン(CF4)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にタンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用い、第1マスク層31に、タングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、サルファーヘキサフルオライド(SF6)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にタングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用いた場合、第1マスク層31には、酸化シリコン(SiO2)膜、SOG(Spin on glass)膜、シリコン(Si)膜、窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜、窒化炭化シリコン(SiCN)膜、酸化アルミニウム(AlO)膜、タングステン(W)膜、窒化タングステン(WN)膜を用いることができる。
第2マスク層32にタングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用いた場合の第2マスク層32をエッチングするエッチング化学種には、サルファーヘキサフルオライド(SF6)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にタングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用い、第1マスク層31に、酸化シリコン(SiO2)膜、SOG(Spin on glass)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、オクタフルオロシクロブタン(C4F8)と一酸化炭素(CO)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にタングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用い、第1マスク層31に、シリコン(Si)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、塩素(Cl2)と臭化水素(HBr)と酸素(O2)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にタングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用い、第1マスク層31に、窒化シリコン(SiN)膜、窒化酸化シリコン(SiON)膜、炭化シリコン(SiC)膜、もしくは窒化炭化シリコン(SiCN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、ジフルオルメタン(CH2F2)と酸素(O2)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にタングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用い、第1マスク層31に、酸化アルミニウム(AlO)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、テトラフルオロメタン(CF4)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いる。
第2マスク層32にタングステン(W)膜もしくは窒化タングステン(WN)膜を用い、第1マスク層31に、第1マスク層31に、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜を用いた場合には、第1マスク層31をエッチングするエッチング化学種には、三塩化ホウ素(BCl3)と塩素(Cl2)との混合ガスを用いる。
以上を表にまとめると、表1〜表4になる。
さらに、上記各実施例においては、上記有機犠牲層30、第1マスク層31および第2マスク層32は、光透過性を有する材料で形成することが好ましい。光透過性を有する材料で形成することにより、露光工程において、各膜上からの光学的マスクアライメントを行うことが可能になる。それによって、マスク合わせ精度を高めることができるので、アライメント誤差を最小限として高精度なパターニングが可能となる。
本発明の半導体装置の製造方法は、各種半導体集積回路の多層配線という用途に適用することが好適である。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を示した概略構成断面図である。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を示した概略構成断面図である。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施例を示した概略構成断面図である。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施例を示した概略構成断面図である。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第3実施例を示した概略構成断面図である。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第3実施例を示した概略構成断面図である。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第4実施例を示した概略構成断面図である。
本発明の半導体装置の製造方法に係る第4実施例を示した概略構成断面図である。
従来の半導体装置の製造方法に係る一例を示した概略構成断面図である。
従来の半導体装置の製造方法に係る一例を示した概略構成断面図である。
符号の説明
18…第1絶縁膜、19…第2絶縁膜、30…有機犠牲層、31…第1マスク層、32…第2マスク層、33…配線溝パターン、34…接続孔パターン、35…接続孔、36…配線溝