以下、本発明の第1、第2の実施の形態について図1乃至図8を用いて説明する。図1乃至図7に第1の実施の形態におけるパズル循環式駐車設備Pを示している。図1において、パズル循環式駐車設備Pは、地下2階層の駐車スペースPSを備え、各階層の駐車スペースPSには、図2に示すように、自動車を載せる複数のトレー2が、マトリックス状に構成された複数の区画1に少なくとも1つの空区画10を設けて配置され、各区画1上で各トレー2がトレー送り機構PDによりパズル循環される。この駐車設備Pの場合、地下1階の駐車スペースPSに、車高の異なる複数種類の自動車を混載可能に、複数の区画1が、車高の異なる自動車が所定の高さ別に分けて格納される複数の区画群に区分される。この実施の形態では、複数の区画1が2つの区画群111、121に区分され、片側一方の区画群111にハイルーフ車が収容され、片側他方の区画群121に普通自動車が収容される。また、地下2階の駐車スペースPSには、従来の技術その他周知の構成が採用され、この駐車スペースPSに、専ら普通自動車が収容される。また、図示されない地上1階に設置された自動車の入出庫部と地下2階層の各駐車スペースPSと間にリフトの昇降路LSが形成され、リフトLが設置される。このリフトLは、地下1階の駐車スペースPSでは片側一方の区画群111の一部(1区画)を貫通して設置され、2つの区画群111、121間で共通のリフトになっている。なお、次の段落(0013)以降では、新たな技術が採用された、地下1階の駐車スペースPSについて詳しく説明し、周知の地下2階の駐車スペースPSについては説明を省略する。これに伴い、地下1階の駐車スペースPSを、単に「駐車スペースPS」と称することにする。
この駐車設備Pの場合、図2に示すように、駐車スペースPSが略長方形の平面形状を有し、また、天井に高低差があり、長手方向の一方の壁面(図2中、下側の壁面)から長手方向の他方の壁面(図2中、上側の壁面)に向けて概ね3:4の割合で手前側の天井が低く、奥側の天井が高くなっている。さらに高い天井には、高い天井の中心に対して短手方向の一方の壁面(図2中、右側の壁面)側に寄った位置にエレベータピットなどの障害物が突き出されている。この場合、天井の高い、障害物のない一部の領域に複数のハイルーフ車が収容可能な高さ及び平面積が確保され、天井の低い領域と天井から障害物が突出する領域を合せた残部の領域にハイルーフ車は高さが不足して収容できないが、普通自動車なら収容可能な高さ及び平面積が確保されて、駐車スペースPS全体が天井の高い一部の領域と、天井の低い残部の領域に2分されている。このような駐車スペースPSを最大限利用して、これら2領域のうち、片側一方に普通自動車の車高よりも高いハイルーフ車の区画群111が構成され、この区画群111(以下、単に一方の区画群111という場合がある。)には、(ハイルーフ車が横向きの状態で)駐車スペースPSの長手方向に向けて3区画、短手方向に向けて3区画の配列に、さらに駐車スペースPSの長手方向の他方の壁面に突出する躯体柱間のスペースを利用して1区画を最奥列中間の区画1に隣接して加え、合計10区画が設けられている。また、片側他方に普通自動車の区画群121が構成され、この区画群121(以下、単に他方の区画群121という場合がある。)には、(普通自動車が横向きの状態で)天井の低い空間にハイルーフ車の区画群111に隣接して、駐車スペースPSの長手方向に向けて5区画、短手方向に向けて2区画の配列に、さらに天井から障害物が突出する空間にハイルーフ車の区画群111に隣接して、駐車スペースPSの長手方向に向けて2区画、短手方向に向けて3区画の配列に、合計16区画が設けられている。共通のリフトLは、一方の区画群111のうち、片側他方の区画群121に隣接していない、短手方向の壁面側の列と長手方向の壁面側の列が交差する1区画に設置される。なお、リフトLは、駐車スペースPSの片側一方の区画群111の一部(1区画)を貫通して設置されているが、このリフトLは、躯体側の構造上の必要に応じて、片側一方の区画群111の外側に設置されてもよく、この場合、片側一方の区画群111に近接されることが望ましい。このようにしてハイルーフ車を格納する一方の区画群111と普通自動車を格納する他方の区画群121とは、一部が区画1の一部分となす自動車の長さ方向に対応する一辺(部分外形線)を向かい合わせにして隣接され、また他の一部が区画1の一部分となす自動車の幅方向に対応する一辺(部分外形線)を向かい合わせにして隣接され、リフトLの位置で見ると、一方の区画群111はリフトLに近接して配置され、他方の区画群121がリフトLに離間して配置される。なお、以下の説明の便宜上、一方の区画群111に属する区画1を区画11と、また他方の区画群121に属する区画1を区画12と称して区別する場合がある。
この駐車設備Pには、相互に隣接する天井の高さの異なる区画群111、121の一方、ここではこれら区画群111、121間で、相対的に天井が高い一方の区画群111に、各区画群111、121で共用される共通の空区画10を備え、各区画群111、121に、各区画群111、121毎に各区画群111、121に属するトレー2をそのうち一部のトレー2と共通の空区画10の全部又は一部とを置換して循環する個別の循環路112、122を備える。また、一方の区画群111には、他の区画群121に属するトレー2を循環する共通の循環路110を併せて備える。この場合、共通の空区画10は一方の区画群111のうち、任意の複数の区画1に設定される。ここでは3箇所の空区画10が設けられている。したがって、この駐車設備Pでは、従来のように、各区画群111、121毎に各別の空区画10を設ける必要がない。これにより、一方の区画群111の全区画1からリフトLと共通の空区画10の4区画を除いた残りの6区画にトレー2が配置され、他方の区画群121の全区画1、すなわち16区画にトレー2が配置される。各個別の循環路112、122は既存のパズル循環式駐車設備に採用される循環形式で、従来の技術で既に説明したとおりである。共通の循環路110は、図2に示すように、一方の区画群111の全区画11(10)に形成される。なお、この共通の循環路110は一方の区画群111の一部区画に形成されてもよく、この場合、一方の区画群111のうち、少なくともリフトLと他方の区画群121に隣接する1又は複数の区画11との間に形成される。
また、この駐車設備Pには、各区画群111、121に次のようなトレー送り機構PDが適用される。図3乃至図5に示すように、トレー送り機構PDは、各区画群111、121に、各区画11、12上の各トレー2を横方向又は縦方向に向けて送り駆動する各区画群111、121共通のトレーガイド3とトレー駆動装置4とにより構成される。図3及び図4に示すように、共通のトレーガイド3は、トレー2側に設けられたガイドローラとして横方向、縦方向の各ローラ31、32と、区画11、12側に設けられたガイドレールとして横方向、縦方向の各レール33、34、担持ローラ35、36とを具備する。また、図3に示すように、各トレー2に横方向及び縦方向に向けて延びるラック41、42を具備し、図4及び図5に示すように、共通のトレー駆動装置4は、各トレー2の横方向のラック41に係合し、各トレー2を横方向に駆動する歯付きベルト伝動部材6を有するトレー横送り装置43と、各トレー2の縦方向のラック42に係合し、各トレー2を縦方向に駆動する歯付きベルト伝動部材6を有するトレー縦送り装置45と、トレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6が各トレー2の横方向のラック41に係合可能な係合位置と離脱可能な離脱位置とに切り換える動作と、トレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6が各トレー2の縦方向のラック42に係合可能な係合位置と離脱可能な離脱位置とに切り換える動作とを相互に行うトレー送り方向切換装置(図示省略)とを備え、各トレー2の横方向のラック41又は縦方向のラック42とトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45とを選択的に切り換え係合させて、各トレー2を横方向又は縦方向に送り駆動する。これら各部についてさらに説明を補足する。
トレー2は、図2に示すように、ハイルーフ車を載せるトレー21(HRと表示されているトレー)と、普通自動車を載せるトレー22(NRと表示されているトレー)が採用される。これらのトレー21、22はいずれも同じ大きさの、縦長の長方形状の板材で、平面上に車路が凹状に形成され、その両側が外側に向けて張り出されている。これらのトレー21、22には、図3に示すように、トレーガイド3を構成する、4輪構成の横方向のローラ31と4輪構成の縦方向のローラ32が設けられている。この場合、両区画群111、121の全トレー21、22について、横方向の各ローラ31及び縦方向の各ローラ32に共通のローラが採用され、これらのローラ31、32が共通の取付間隔で取り付けられる。横方向のローラ31はトレー2の下面の四隅に近接して1輪ずつ、図示されないクッションを介して軸支され、縦方向のローラ32はトレー2の下面の四隅に近接して各横方向のローラ31の内側に1輪ずつ、同様にクッションを介して軸支され、全8輪のローラ31、32が各クッションの付勢力により後述のトレーガイド3を構成する、横方向、縦方向の各レール33、34に弾性的に圧接される。この取り付けにより、各ローラ31、32に浮きが生じることがなく、各ローラ31、32の空回りを防止されて、トレー2の正常な送り動作が実現される。なお、この実施の形態では、各トレー21、22の下面四隅にそれぞれ、横方向のローラ31、縦方向のローラ32が1輪ずつ設けられているが、必要に応じて各トレー21、22の下面四隅に横方向、縦方向の各ローラ31、32が複数個ずつ設けられてもよい。これらのトレー21、22にはまた、横方向及び縦方向に向けて延びるラック41、42が具備されている。これらのラック41、42は各トレー21、22について共通で同じ長さ、構成を有している。横方向のラック41は各トレー21、22の下面の長手方向中央で一側部から他側部に延び、また縦方向のラック42は各トレー21、22の下面の短手方向中間で一端から他端に延び、またこれら横方向のラック41と縦方向のラック42の交差部は間欠されている。なお、これらのラック41、42はプラスチック材料により形成され、その下面に複数の台形の歯が同じピッチで付けられている。
トレーガイド3は、図4及び図5に示すように、各トレー21、22下面に設置された8輪構成のローラ31、32と、駐車スペースPSの各区画群111、121に、各区画11間、各区画12間、各区画11、12間に横方向及び縦方向に向けて設置された複数のレール33、34とにより構成される。8輪構成のローラ31、32については既に説明したとおりである。
一方、複数のレール33、34は、両区画群111、121で共通のレールが採用され、これらのレール33、34が両区画群111、121上に共通の設置間隔で(つまり、一方の区画群111の各レールを、他方の区画群121の各レールの位置に合わせて)据え付けられる。各横方向のレール33はチャンネル鋼などにより形成され、各トレー21、22の横方向の各ローラ31が転動可能なフラットな走行面を有する前後一対のレールからなり、これらのレール33間の間隔にトレー22の長手方向よりも小さい所定の寸法が設定されて、各区画11間、各区画12間、各区画11、12間に横方向に向けて設置される。また、各縦方向のレール34は、同様に、チャンネル鋼などにより形成され、各トレー21、22の縦方向のローラ32が転動可能なフラットな走行面を有する左右一対のレールからなり、これらのレール34間の間隔に各トレー22の幅方向よりも小さい所定の寸法が設定されて、各区画11間、各区画12間、各区画11、12間に縦方向に向けて設置される。なお、リフトLの設置位置では、横方向のレール33及び縦方向のレール34が部分的に切り欠かれて、そこにリフトの昇降路が形成される。また、横方向の各レール33には、縦方向の各レール34に近接する位置(すなわち、縦方向の各レール34上を移動するトレー21、22の左右の横方向の各ローラ31に対応する位置)に、トレー21、22(の横方向のローラ31)の担持部材として、担持ローラ35がその回転軸を横方向のレール33が延びる方向に向けて軸支される。さらに、縦方向の各レール34には、横方向の各レール33に近接する位置(すなわち、横方向の各レール33上を移動するトレー21、22の前後の縦方向の各ローラ32に対応する位置)に、トレー21、22(の縦方向のローラ32)の担持部材として、担持ローラ36がその回転軸を縦方向のレール34が延びる方向に向けて軸支される。なお、各横方向のレール33の走行面、各縦方向のレール34の走行面、各担持ローラ35、36の頂部は同じレベルに設定される。また、これら横方向及び縦方向のレール33、34には、各トレー21、22の横送り方向又は縦送り方向に対する位置ずれを補正する図示されない横方向及び縦方向の位置補正ガイドが併設されることが望ましい。この場合、横方向の位置補正ガイドは、トレー21、22下面の横方向の各ローラ31に係合可能なレールからなり、横方向の各レール33の一側部に隣接して、かつ各レール33の走行面よりも上方所定の高さに突出されて取り付けられる。また、この位置補正ガイドをなすレールはトレー21、22の各ローラ31、32が通過する部分で間欠され、(位置補正ガイドをなす)各レール端が横方向のレール33に対して外側に向けて少し斜めに形成される。縦方向の位置補正ガイドは、トレー21、22下面の縦方向の各ローラ32に係合可能なレールからなり、縦方向の各レール34の一側部に隣接して、かつ各レール34の走行面よりも上方所定の高さに突出されて取り付けられる。また、この位置補正ガイドをなすレールはトレー21、22の各ローラ32が通過する部分で間欠され、(位置補正ガイドなす)各レール端が縦方向のレール34に対して外側に向けて少し斜めに形成される。このようにしてトレー21、22の各ローラ31、32が各位置補正ガイドのレール端に突き当ることなく、各位置補正ガイドのレール(内側)面に確実に摺動案内されて、トレー21、22が横方向又は縦方向に確実に直進される。このようにして各区画群111、121に、各区画11間、各区画12間、各区画11、12間に横方向のレール31と縦方向のレール32が任意に組み合わされて、トレー21、22の移動経路が形成される。なお、共通の循環路110が一方の区画群111の一部に形成される場合、一方の区画群111のうち、少なくともリフトLと他方の区画群121との間に設定された任意の循環経路上に、各レール33、34、各ローラ35、36が同様にして設置される。
共通のトレー駆動装置4は、図4、図5に示すように、各区画群111、121毎に空区画10を含む各区画11、12に、横方向のトレーガイド3、ここでは横方向のレール33に並設され、各トレー21、22の横方向のラック41に係合し、各トレー21、22を横方向に駆動する歯付きベルト伝動部材6を有するトレー横送り装置43と、縦方向のトレーガイド3、ここでは縦方向のレール34に並設され、各トレー21、22の縦方向のラック42に係合し、各トレー21、22を縦方向に駆動する歯付きベルト伝動部材6を有するトレー縦送り装置45と、トレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6が各トレー2の横方向のラック41に係合可能な係合位置と離脱可能な離脱位置とに切り換える動作と、トレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6が各トレー2の縦方向のラック42に係合可能な係合位置と離脱可能な離脱位置とに切り換える動作とを相互に行うトレー送り方向切換装置(図示省略)とを備える。なお、各区画群111、121の各区画11、12には、基本的に、トレー駆動装置4が1ユニットだけ設置されていればよいが、各区画11間、各区画12間、各区画11、12間で、トレー21、22の送り距離が長く、トレー駆動装置4が1ユニットだけではトレー21、22を送ることができないような場合には、必要に応じて、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45がトレー送り方向切換装置を介して追加的に設置される場合がある。
このトレー駆動装置4の場合、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各歯付きベルト伝動部材6は共通の構成を有し、両面に歯を付けられたタイミングベルト60と、タイミングベルト60の内側面の歯に噛み合い係合され、タイミングベルト60を回転駆動するとともに、上下に循環されるタイミングベルト60の少なくとも上の循環を水平に案内する複数のベルト車63、65、63と、これらを1ユニットに組み立てるフレーム(図示省略)とを有する。この場合、タイミングベルト60の両面、すなわち外側面と内側面に台形状の歯が同じピッチで突出され、外側面の歯がトレー2の各ラック41、42に係合可能に、内側面の歯が後述するベルト車63、65に係合可能に形成される。ここではタイミングベルト60が3つのベルト車63、65、63により駆動され、タイミングベルト60を係回する小径の一対の従動ベルト車63、63と、これら従動ベルト車63、63間でタイミングベルト60を回転駆動する大径の駆動ベルト車65とにより構成される。フレームは、横長の略長方形又は略長楕円形の一対のメインプレートと、このメインプレートの下部を連接するサブプレートとからなり、両メインプレート間の両端部でかつ上部位置に各従動ベルト車63、63が軸支され、その中央部の下部位置に駆動ベルト車65が減速機付きの駆動モータ47の回転軸により軸支されて、各従動ベルト車63、63と駆動ベルト車65が上部の高さを一致させて一列に配列される。このようにしてこれら3ベルト車63、65、63間にタイミングベルト60は上部を水平方向に直線的に、下部を略V字形に張り架けられる。なお、ここで各従動ベルト車63、63は両メインプレート間に内外方向に位置を少し変位できるように取り付けられて、タイミングベルト60の張りが調整可能にすることが好ましい。これらベルト車ユニットと駆動モータ47はトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45として、図示されないトレー送り方向切換装置により各区画11、12上に据え付けられるが、この場合に、トレー送り方向切換装置上に駆動モータ47とともにその両側に支持部材が設置され、これらの支持部材とベルト車ユニットのフレームの両側下部のサブプレートとの間にそれぞれ、ベルト車ユニットを各トレー2のラック41、42に向けて弾性的に支持する弾性支持手段が具備される。ここでは、弾性支持手段に板ばねが採用される。この板ばねには自動車を載せたトレー2の歪みを補う程度のスプリング力があればよく、この板ばねが支持部材とベルト車ユニットのフレームとの間に介在されて、歯付きベルト伝動部材6を下部から押し上げ、歯付きベルト伝動部材6が各トレー2のラック41、42に確実に係合可能となる。なお、この歯付きベルト伝動部材6の場合、各トレー2の横方向又は縦方向のラック41又は42に対して噛み合う係合面の全長(つまりタイミングベルト60の上の循環の長さ)には、各区画上に配列されるトレー2とトレー2との間に設定される間隔の少なくとも4分の1の長さが確保されることが望ましく、ここでは特に、縦方向に相互に隣り合うトレー2間に設定される間隔の略2分の1の長さが設定される。
なお、このトレー駆動装置4では、トレー横送り装置43、トレー縦送り装置45の各歯付きベルト伝動部材6に3つのベルト車が採用されているが、2つのベルト車、すなわち駆動ベルト車と従動ベルト車とにより構成してもよい。この場合、これらベルト車間にタイミングベルトを支持してタイミングベルトの外側面の歯とトレーのラックとの噛み合いを案内するベルトガイドバー(板状のベルトガイド)又はベルトガイド車輪(一つ乃至複数の車輪からなるベルトガイド)を配設することが好ましい。これらの部材が既述のようにフレームに1ユニットに組み立てられて、タイミングベルトが駆動ベルト車、ベルトガイド、従動ベルト車間に張り架けられる。この歯付きベルト伝動部材も駆動モータとともにトレー送り方向切換装置に基本的に同様の構造で設置される。また、このトレー駆動装置4では、トレー横送り装置43、トレー縦送り装置45に各別に1個の駆動モータ47が連結されているが、トレー横送り装置43、トレー縦送り装置45を動力伝達手段を介して1つの共通の駆動モータ47で駆動するようにしてもよい。
また、このトレー駆動装置4の場合、トレー送り方向切換装置は一つの切換ユニットにより構成され、ここでは特に図示していないが、一端にトレー横送り装置43を搭載し、他端にトレー縦送り装置45を搭載する同一の支持部材と、この支持部材を傾動可能に枢支する枢支手段と、常態としてトレー横送り装置又はトレー縦送り装置のいずれか一方の歯付きベルト伝動部材6が各トレー2の横方向又は縦方向のいずれか一方のラック41又は42に係合可能に支持部材を一方向に弾性的に支持する弾性支持手段と、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45のいずれか他方の歯付きベルト伝動部材6が各トレー2の横方向又は縦方向のいずれか他方のラック42又は41に係合可能に支持部材を他方向に押圧傾動可能な押圧傾動手段とを備える。ここで支持部材は略矩形状のプレートからなり、枢支手段に軸と軸受が採用されて、支持部材の中間でかつ、トレー縦送り装置45の搭載側に偏った位置に軸が設けられ、この軸が水平面上に固定された取付板上の軸受に軸支されて、支持部材が傾動可能に設置される。このようにして支持部材の一端にトレー横送り装置43が搭載される。この場合、トレー横送り装置43は、支持部材の一端が水平位置よりも少し持ち上げられた斜めの状態で、歯付きベルト伝動部材6の上面(ラック41に対する係合面)が水平になって、トレー2の横方向のラック41に噛み合わせ可能に設置される。同様にして、支持部材の他端にトレー縦送り装置45が搭載される。すなわち、トレー縦送り装置45は、支持部材の他端が水平位置よりも少し持ち上げられた斜めの状態で、歯付きベルト伝動部材6の上面(ラック42に対する係合面)が水平になって、トレー2の縦方向のラック42に噛み合わせ可能に設置される。また、弾性支持手段に板ばねが採用され、この板ばねが支持部材と取付板との間に介在されて、常態として支持部材の一端側を押し上げ、トレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6と各トレー2の横方向のラック41が確実に係合可能に、反対に常態として支持部材の他端側を押し下げ、トレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6と各トレー2の縦方向のラック42が確実に離脱可能に位置決めされる。この弾性支持手段に近接して、押圧傾動手段が設置される。この押圧傾動手段は、ギヤードモータと、ギヤードモータの回転軸に対して偏心して取り付けられた偏心輪とを有し、支持部材の、トレー横送り装置43側の外側に設置されて、偏心輪が支持部材の一端部上の所定の高さに配置され、偏心輪の回動により偏心輪で支持部材を上から押下可能に構成されている。この支持部材(の一端部)の押下により、常態としてトレー2の横方向のラック41に係合されるトレー横送り装置43はその係合位置から離脱位置に離されて、トレー横送り装置43がトレー2のラック41に対して係合状態から非係合状態に切り換えられ、反対に、常態としてトレー2の縦方向のラック42に係合されていないトレー縦送り装置45はその離された位置から係合位置に移動されて、トレー縦送り装置45がトレー2のラック42に対して非係合状態から係合状態に切り換えられる。なお、このトレー送り方向切換装置はトレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45ごとに別体の切換ユニットにより構成され、トレー横送り装置43、トレー縦送り装置45がそれぞれ、各別の切換ユニットにより据え付けられてもよい。この場合、各切換ユニットを、トレー横送り装置又はトレー縦送り装置を搭載する支持部材と、支持部材を傾動可能に枢支する枢支手段と、常態として歯付きベルト伝動部材が各トレーのラックに係合可能に支持部材を一方向に弾性的に支持する弾性支持手段と、歯付きベルト伝動部材がトレーのラックから離脱可能に支持部材を他方向に押圧傾動可能な押圧傾動手段とにより構成することができる。また、この切換ユニットを、トレー横送り装置又はトレー縦送り装置を支持する支持台、この支持台を上下方向に昇降可能に又は傾動可能に又は旋回可能に支持駆動するアーム及びアクチュエータなどにより構成することもできる。このように変更する場合でも、歯付きベルト伝動部材をラックに向けて押圧する板ばねなどの弾性支持手段が併設されることが望ましい。このようにしてトレー横送り装置又はトレー縦送り装置のいずれか一方の歯付きベルト伝動部材が各トレーの横方向又は縦方向のいずれか一方のラックに対して係合位置にあるとき、他方の歯付きベルト伝動部材が他方のラックに対して離脱位置をとるようにすればよい。また、この各別の切換ユニットは、トレーを横方向にのみ移動する特定の位置にトレー横送り装置のみを設置したり、トレーを縦方向にのみ移動する位置にトレー縦送り装置のみを設置したりする場合に適している。
引き続き、このトレー送り機構PDの基本的な動作について説明する。図4を参照すると、動作前の各トレー2は各区画11、12で停止され、横方向の4ローラ31は横方向のレール33の一部に設置された担持ローラ35上に乗り、縦方向の4ローラ32は縦方向のレール34の一部に設置された担持ローラ36上に乗り、既述のとおり、常態としてトレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6とトレー2の横方向のラック41が噛み合い係合されて、トレー2がトレー横送り装置43上に支持される。なお、このとき、トレー2の各ローラ31、32はいずれの位置補正ガイドとも係合しておらず、トレー2はフリーの状態になっているが、トレー2下面の横方向のラック41の歯と歯付きベルト伝動部材6のタイミングベルト60の歯が噛み合って、トレー2の動きが規制されるので、トレー2は担持ローラ35、36上で安定して停止される。
図示されない制御手段の制御プログラムに従って、トレー横送り装置43が作動され、その歯付きベルト伝動部材6が正転方向に駆動されると、この歯付きベルト伝動部材6に噛み合い係合するトレー2の横方向のラック41は歯付きベルト伝動部材6の回転方向に送られ、トレー2が、(担持ローラ35、36から動き出し)横方向のレール33上を左進する。このとき、トレー2下面の横方向のラック41の歯と歯付きベルト伝動部材6の歯との噛み合いによりトレー2は安定して左方向に直進する。このようにしてトレー2は初めの区画1からこれに隣接する次の区画1に向けて移動され、その略中間位置まで移動されたところで、各区画1のトレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6の、トレー2のラック41に対する係合面に設定された長さにより、トレー2の横方向のラック41が初めの区画1の一方のトレー横送り装置43と次の区画1の他方のトレー横送り装置43に跨って係合されて、駆動される。このようにしてトレー2が次の区画へ左進していくと、横方向のラック41は間もなく初めの区画1のトレー横送り装置43から引き離され、次の区画1のトレー横送り装置43のみに係合して駆動されていく。トレー2は次の区画1に達し、各ローラ31、32が各担持ローラ35、36の頂部に乗り上げたところでトレー横送り装置43の停止により停止される。この場合、トレー2は下面の横方向のラック41とトレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6との噛み合いにより、各担持ローラ35、36の上に確実に停止され、この停止状態が安定して維持される。また、次の区画1が指定位置でない場合は、トレー2は次の区画1から同様にさらに次の区画1へ送り駆動される。指定位置に進入すると、同様にしてトレー2は各担持ローラ35、36の頂部に各ローラ31、32が乗り上げたところでトレー横送り装置43の停止により確実かつ安定して停止される。
また、トレー横送り装置43が作動され、反対に歯付きベルト伝動部材6が逆転方向に駆動されると、この歯付きベルト伝動部材6に噛み合い係合するトレー2の横方向のラック41は歯付きベルト伝動部材6の回転方向に送られ、トレー2が、(担持ローラ35、36から動き出し)横方向のレール33上を右進していく。この場合も左進の動作と同様に、トレー2は予め決められた位置まで安定して移動し、確実に停止される。
これに対して、図示されない制御手段の制御プログラムに従って、初めの区画1の切換ユニットの作動により、押圧傾動手段をなす駆動モータが駆動され、偏心輪が回動されて、この偏心輪で支持部材(の一端部)が上から押下されると、この支持部材の押下により、常態としてトレー2の横方向のラック41に係合されるトレー横送り装置43はその係合位置から離脱位置に離されて、トレー横送り装置43が横方向のラック41に対して係合状態から非係合状態に切り換えられ、反対に、常態としてトレー2の縦方向のラック42に係合されていないトレー縦送り装置45はその離された位置から係合位置に移動されて、トレー縦送り装置45が縦方向のラック42に対して非係合状態から係合状態に切り換えられる。そしてトレー縦送り装置45が作動され、歯付きベルト伝動部材6が正転方向に駆動されると、トレー2は、(担持ローラ35、36から動き出し)縦方向のレール34上を前進していく。このとき、トレー2下面の縦方向のラック42の歯と歯付きベルト伝動部材6の歯との噛み合いによりトレー2は安定して前方向に直進する。このようにしてトレー2は、初めの区画1からこれに隣接する次の区画1に移動され、その略中間位置まで移動されたところで、各区画1のトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6の、トレー2のラック42に対する係合面に設定された長さにより、トレー2の縦方向のラック42が初めの区画1の一方のトレー縦送り装置45と次の区画1の他方のトレー縦送り装置43に跨って係合されて、駆動されていく。このようにしてトレー2が次の区画1へ前進していくと、縦方向のラック42は間もなく初めの区画1のトレー縦送り装置45から引き離され、次の区画1のトレー縦送り装置45のみに係合して駆動されていく。トレー2は次の区画1に達し、各ローラ31、32が各担持ローラ35、36の頂部に乗り上げたところでトレー縦送り装置45の停止により停止される。この場合、トレー2は下面の縦方向のラック42とトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6との噛み合いにより、各担持ローラ35、36の上に確実に停止され、この停止状態が安定して維持される。また、次の区画1が指定位置でない場合は、トレー2は次の区画1から同様にさらに次の区画1へ送り駆動される。指定位置に進入すると、同様にしてトレー2が各担持ローラ35、36の頂部に各ローラ31、32が乗り上げたところでトレー縦送り装置45の停止により確実かつ安定して停止される。
また、トレー縦送り装置45が作動され、反対に歯付きベルト伝動部材6が逆転方向に駆動されると、この歯付きベルト伝動部材6に噛み合い係合するトレー2の縦方向のラック42は歯付きベルト伝動部材6の回転方向に送られ、トレー2が、(担持ローラ35、36から動き出し)縦方向のレール34上を後進していく。この場合も前進の動作と同様に、トレー2は予め決められた位置まで安定して移動し、確実に停止される。
このトレー送り機構PDでは、これらの4基本動作、さらにこれらの基本動作から任意の動作が選択的に組み合わされて、動作パターンが組み立てられ、これによってトレー2が横方向のレール33及び縦方向のレール34により任意に組み立てられたトレー移動経路上で前後左右に自在に送り駆動される。なお、図2中、駐車スペースPSの各区画11、12に、各区画11、12のトレー駆動装置4によるトレー21、22の移動方向を三角形のマークで示してある。この場合、共通の空区画10におけるトレーの送り方向が1方向乃至4方向に設定されている。
このようにして一方の区画群111に、3箇所の共通の空区画10が設定されるとともに、一方の区画群111に属する各トレー21が循環可能な個別の循環路112と、他方の区画群121に属するトレー22が移動可能な共通の循環路110が構成され、他方の区画群121に、他方の区画群121に属する各トレー22が循環可能な個別の循環路122が構成される。なお、ここでは、既述のとおり、トレー送り機構PDが、各区画群111、121に、各区画1上の各トレー2を横方向又は縦方向に向けて送り駆動する各区画群111、121共通のトレーガイド3とトレー駆動装置4とにより構成されていることにより、他方の区画群121の各トレー22は一方の区画群111の各区画11に対して中心に停止又は中心を通過されるが、他方の区画群121のトレー22は一方の区画群111の区画11に対して、各トレー21の循環路上にはみ出さない限り、どのような位置を通してもよい。つまり、トレー22は区画11の中心でも、また前後左右のいずれかに偏って移動されてもよい。したがって、トレー22を各区画11の中心でなく、前後左右いずれかの方向に偏心して移動させる場合は、各区画群111、121の各トレー21、22は横方向及び縦方向の各ローラ31、32が各別の取付間隔で取り付けられ、一方の区画群111に、各区画群111、121の各トレー21、22用の横方向及び縦方向の各レール33、34が各別の設置間隔で設置され、他方の区画群121に、他方の区画群121のトレー22用の横方向及び縦方向の各レール33、34が設置されることになる。また、この場合、一方の区画群111に、一方の区画群111のトレー21用に横方向、縦方向のレール33、34が対にして設置され、その一方の横方向、縦方向のレール33が他方の区画群121のトレー22の兼用のレールとすることで、その他方の横方向、縦方向のレール33、34の内側に、他方の区画群121のトレー22に合せた横方向、縦方向のレール33、34が併設されるようにしてもよい。
また、この駐車設備Pには、既述のとおり、一方の区画群111内にリフトの昇降路LSが形成され、自動車の入出庫階と自動車の格納階層との間にリフトLが設置される。この場合、リフトLの昇降台上に、各自動車の格納階層においてリフトの昇降路に隣接する各区画11の横方向、縦方向の各レール33、34に連結可能な横方向、縦方向のレールと、トレー2下面の横方向、縦方向の各ラック41、42に係合可能なトレー駆動装置が搭載される。このようにして、昇降台とリフトの昇降路LSに隣接する2方向の区画11、12との間でトレー2を移動する。
次に、パズル循環式駐車設備P全体の動作について図2及び図5を用いて説明する。なお、この駐車設備Pでは、図示されない制御手段に予め格納されたプログラムに基づいて、一方の区画群111又は他方の区画群121で各別に、また両区画群111、121で同時に入出庫運転又はその準備運転が行われる。
図2において、一方の区画群111で入出庫運転又はその準備運転が行われる場合、駐車スペースPSの3箇所の共通の空区画10に隣接する1箇所又は複数箇所の区画11のトレー2が駆動され、1箇所又は複数箇所の区画11上の1台又は複数台のトレー21が空区画10に向けて送られる。この場合、各トレー21は、トレー21側の横方向のラック41又は縦方向のラック42と各区画11のトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6が噛み合い係合された状態から、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45が作動されて、その歯付きベルト伝動部材6が正転方向又は逆転方向に駆動され、トレー2は、横方向のレール33又は縦方向のレール34を空区画10に向けて前進又は後進又は左進又は右進される。
このようにして1台又は複数台のトレー21が空区画10に向けて横方向又は縦方向に向けて移動する動作が繰り返されることにより、1台又は複数台のトレー21が一方の区画群111内でパズル循環され、入庫又は出庫のトレー(呼び出されたトレー)21が初めに停止していた区画11から予め設定された経路上に設けられる空区画10へ移動しながら、リフトLまで移動される。入庫又は出庫のトレー21はリフトLの昇降台に載せられると、昇降台は自動車の入出庫階まで上昇又は下降され、自動車の入出庫階で自動車が入庫又は出庫される。
図2において、他方の区画群121で入出庫運転又はその準備運転が行われる場合、まず一方の区画群111で3箇所の共通の空区画10に隣接する1箇所又は複数箇所の区画11のトレー2が駆動され、1箇所又は複数箇所の区画11上の1台又は複数台のトレー21が移動されて、一方の区画群111のうち、他方の区画群121に隣接する区画11の列に3箇所の空区画10が設けられる。次いで、他方の区画群121でこれら3箇所の空区画10に隣接する1箇所又は複数箇所の区画12のトレー22が駆動され、1箇所又は複数箇所の区画12上の1台又は複数台のトレー22が空区画10に向けて送られる。この場合、各トレー22は、トレー22側の横方向のラック41又は縦方向のラック42と各区画12のトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6が噛み合い係合された状態から、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45が作動されて、その歯付きベルト伝動部材6が正転方向に駆動され、各トレー22は、横方向のレール33又は縦方向のレール34を空区画10に向けて移動される。このようにして各トレー22が3箇所の共通の空区画10へ移動されると、これに対向する3箇所の区画12が空の区画に変わる。
続いて、これらの空区画に隣接する1箇所又は複数箇所の区画12のトレー22が駆動され、1箇所又は複数箇所の区画12上の1台又は複数台のトレー22が他方の区画群121に設けられた空区画に向けて送られる。各トレー22は、トレー22側の横方向のラック41又は縦方向のラック42と各区画12のトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6が噛み合い係合された状態から、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45が作動されて、その歯付きベルト伝動部材6が正転方向又は逆転方向に駆動され、トレー2は、横方向のレール33又は縦方向のレール34を空区画に向けて前進又は後進又は左進又は右進される。
このようにして1台又は複数台のトレー22が空区画に向けて横方向又は縦方向に向けて移動する動作が繰り返されることにより、1台は又は複数台のトレー22が他方の区画群121内でパズル循環され、入庫又は出庫のトレー(呼び出されたトレー)22が初めに停止していた区画12から予め設定された経路上に設けられる空区画へ移動しながら、一方の区画群111に隣接する区画12まで移動される。そして一方の区画群111の3箇所の共通の空区画10に移動されている他方の区画群121の各トレー22が他方の区画群121の、一方の区画群111に隣接する列に形成された空区画に戻されて、再び一方の区画群111の、他方の区画群121に隣接する列に共通の空区画10が形成される。なお、呼び出されたトレー22が一方の区画群111に隣接する区画12に初めから停止されている場合は、次の動作から開始される。
続いて、一方の区画群111で3箇所の共通の空区画10に隣接する1箇所又は複数箇所の区画11のトレー21が駆動され、1箇所又は複数箇所の区画11上の1台又は複数台のトレー21が空区画10に向けて送られると、このトレー21の循環とともに呼び出されたトレー22が他方の区画群121から一方の区画群111へ移行され、一方の区画群111に予め設定された経路上に設けられる空区画10へ移動しながら、すなわち一方の区画群111の中を通りながら、リフトLまで移動される。入庫又は出庫のトレー22がリフトLの昇降台に載せられると、昇降台は自動車の入出庫階まで上昇又は下降され、自動車の入出庫階で自動車が入庫又は出庫される。
また、一方の区画群111と他方の区画群121で同時に入出庫運転又はその準備運転が必要な場合、各区画群111、121間で3箇所の共通の空区画10が共用され、入庫又は出庫を優先するいずれか一方の区画群111又は121に2箇所の空区画が設けられるとともに、いずれか他方の区画群121又は111に1箇所の空区画が設けられて、各区画群111、121で空区画に隣接する1箇所又は複数箇所のトレー21、22が駆動され、これらのトレー21、22が各空区画に向けて送られる。この場合、同様に、各トレー21、22は、トレー21、22側の横方向のラック41又は縦方向のラック42と各区画11、12のトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6が噛み合い係合された状態から、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45が作動されて、その歯付きベルト伝動部材6が正転方向又は逆転方向に駆動され、各トレー21、22は、横方向のレール33又は縦方向のレール34を空区画に向けて前進又は後進又は左進又は右進される。このようにして各区画群111、121毎に1台又は複数台のトレー21、22が空区画10に向けて横方向又は縦方向に向けて移動する動作が繰り返されることにより、各区画群111、121毎に1台又は複数台のトレー21、22がパズル循環され、入庫又は出庫のトレー(呼び出されたトレー)21、22が初めに停止していた区画11、12から予め設定された経路上に設けられる空区画10へ移動していく。入庫又は出庫を優先された一方の区画群111又は121の呼び出されたトレー21又は22が他方の区画群121又は111のトレー22又は21よりも先にリフトLまで移動される。入庫又は出庫を優先された一方のトレー21又は22がリフトLの昇降台に載せられると、昇降台は自動車の入出庫階まで上昇又は下降され、自動車の入出庫階で自動車が入庫又は出庫される。この間にもう一方の区画群121又は111の呼び出されたトレー12又は11がリフトLに接近していく。先に入庫又は出庫を終了したトレー21又は22が元の区画群111又は121に戻された後、もう一方の区画群121又は111の呼び出されたトレー12又は11がリフトLまで移動される。この入庫又は出庫のトレー22又は21がリフトLの昇降台に載せられると、昇降台は自動車の入出庫階まで上昇又は下降され、自動車の入出庫階で自動車が入庫又は出庫される。
このようにこの駐車設備Pによれば、駐車スペースPSの一方の区画群111に各区画群111、121で共用される複数の共通の空区画10を備え、一方の区画群111上で、共通の空区画10の全部又は一部を利用して一方の区画群111に属するトレー2と他方の区画群121に属するトレー2を循環し、他方の区画群121上で、共通の空区画10の全部又は一部を利用して他方の区画群121に属するトレー2を循環するので、各区画群111、121毎に専用の空区画を設ける必要がなく、駐車スペースPSに空区画10を可及的に少なくして、自動車の収容台数の増大を図るとともに、最遠部のトレー2の取り出し時間の遅れを可及的に少なくすることができる。また、各区画群111、121に選択的に共通の循環路110を設けることにより、各区画群111、121で共通のリフトLの設置位置の自由度を拡大することができる。併せて、複数の駐車階層に階層別に車高の異なる自動車を格納する場合に、ハイルーフ車など車高の高い自動車を格納する駐車階層の、天井の一部にエレベータピットなどの障害物があったり、天井に高低差があり、一部が高く、残部が低くなっていたりしても、該障害物がある空間や天井が低い空間に、車高の低い自動車を効率良く混載して、駐車空間を有効に活用することができる。
また、この駐車設備Pに適用するトレー送り機構PDにより、従来のようなトレー駆動装置を旋回する部品を不要とするので、パズル循環式駐車設備において、従来に比べて部品点数を大幅に削減するとともに、その製造及び据付調整を簡略化して、大幅なコストダウンを図ることができる。また、このトレー送り機構PDの場合、トレー2の横方向のラック41とトレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6とをトレー送り方向切換装置により係合させて、トレー横送り装置43を駆動することにより、トレー2を横方向に送り、トレー2の縦方向のラック42とトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6とをトレー送り方向切換装置により係合させて、トレー縦送り装置45を駆動することにより、トレー2を縦方向に送るので、従来のようにトレー駆動装置を90度旋回する方向転換がない分だけ1動作少なく、トレーの移動方向の90度方向転換を簡易にして、その移動を確実かつ円滑に行うことができる。これにより、この種の駐車設備において、設備全体の入出庫運転を迅速に行うことができ、利用者の待ち時間を大幅に短縮することができる。
また、この駐車設備Pには、図9に示す従来のトレー送り機構を採用してもよい。この場合、図6に示すように、各トレー21、22の裏面に、レール92が縦、横に井桁状に設けられ、これらのレール92の各交叉部に円板(図示省略)が回転自在に取り付けられて、この円板に短レール94が設けられる。この場合、両区画群111、121の全トレー21、22について、横及び縦の各レール92に共通のレールが採用され、これらのレール92が共通の取付間隔で取り付けられる。他方、図7に示すように、各区画群111、121の各区画11(各共通の空区画10を含む。)、12に駆動装置96Aが備え付けられる。これらの駆動装置96Aは共通化され、各区画群111、121に共通の設置間隔で設置される。なお、従来のトレー送り機構では、駆動装置96の4個の各円板97上にモータ駆動の駆動車輪98が設けられているが、ここでは4個の円板97のうち一方の対角位置関係にある2個の円板97上に駆動車輪98とガイドローラ102が搭載され、他の2個の円板97上に従動車輪980とガイドローラ102が搭載される。また、ここでは図示を省略しているが、既述のとおり、4個の円板97には、2本のアームが突設され、これらのアームにさらにロッドが枢着されて、各区画11、12の4個の円板97は互いにロッドで連結される。そして、これらの円板97のうち、一つの円板97のアームの一つにシリンダーが枢着される。なお、円板97はシリンダーに代えて、ギヤードモータで駆動してもよい。さらに、各区画11、11間、各区画12、12間、各区画11、12間には補間的に、横向き又は縦向きの従動車輪984が設置される。このようにして各区画群111、121間に、トレー2の移動経路が形成される。
なお、ここでは、既述のとおり、各区画群111、121の各トレー21、22に、共通のレール92が設けられ、各区画群111、121の各区画11、12に共通の駆動装置96Aが設置されていることにより、他方の区画群121の各トレー22は一方の区画群121の各区画11に対して中心に停止又は中心を通過するが、他方の区画群121のトレー22は一方の区画群111の区画11に対して、各トレー21の循環路上にはみ出さない限り、どのような位置を通してもよい。つまり、トレー22は区画11の中心でも、また前後左右のいずれかに偏って通されてもよい。したがって、トレー22が各区画11の中心でなく、前後左右いずれかの方向に偏心して移動される場合は、各区画群111、121群の各トレー21、22は横方向及び縦方向の各レール92が各別の取付間隔で取り付けられ、一方の区画群111に、各区画群111、121毎の各トレー21、22用の駆動装置96Aが各別の設置間隔で設置され、他方の区画群121に、他方の区画群121のトレー22用の駆動装置96Aが設置されることになる。また、この場合、一方の区画群111の各区画11に、一方の区画群111のトレー21用に駆動車輪、従動車輪の列が対にして設置され、その一方の駆動車輪、従動車輪の列が他方の区画群121のトレー22の兼用の車輪列とすることで、その他方の駆動車輪、従動車輪の列の内側に、他方の区画群121のトレー22に合せた駆動車輪、従動車輪の列が併設されるようにしてもよい。
このように従来のトレー送り機構を利用しても、上記トレー送り機構PDを適用する場合と概ね同様に、各区画群111、121で共通の循環路110と共通の空区画10を利用して各トレー21、22をパズル循環することができ、この駐車設備の持つ機能を十分に発揮することができる。
図8に第2の実施の形態を示している。この実施の形態では、図8に示すように、駐車スペースPSに共通のリフトLの設置位置と空区画及び共通の循環路を除いて、第1の実施の形態と同様の構成が採用される。この駐車設備Pの場合、共通のリフトLは一方の区画群111のうち、他方の区画群に隣接する長手方向の列の壁面際一端の1区画に、つまり各区画群111、121に挟んで設置される。共通の空区画10は一方の区画群111中の他の区画群121に隣接する任意の複数の区画に設定される。この場合、3箇所の共通の空区画10が、一方の区画群111のうち、他方の区画群121に隣接する長手方向の列の、リフトLを含む3つの区画に連続的に設けられる。これにより、一方の区画群111の全区画1からリフトLと共通の空区画10の3区画を除いた残りの7区画にトレー2が配置され、他方の区画群121の全区画1、すなわち16区画にトレー2が配置される。共通の循環経路は共通の空区画10間に設けられる。なお、この実施の形態の場合、共通の循環経路は共通の空区画10間に設けなくても、また各区画群111、121のいずれにも設けなくてもよい。
この駐車スペースでも、図示されない制御手段に予め格納されたプログラムに基づいて、一方の区画群111又は他方の区画群121で各別に、また両区画群111、121で同時に入出庫運転又はその準備運転が行われる。すなわち、一方の区画群111で入出庫運転又はその準備運転が行われる場合、駐車スペースPSの3箇所の共通の空区画10に隣接する1箇所又は複数箇所の区画11のトレー2が駆動され、1箇所又は複数箇所の区画11上の1台又は複数台のトレー21が空区画10に向けて送られる。この場合、各トレー21は、トレー21側の横方向のラック41又は縦方向のラック42と各区画11のトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6が噛み合い係合された状態から、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45が作動されて、その歯付きベルト伝動部材6が正転方向又は逆転方向に駆動され、トレー2は、横方向のレール33又は縦方向のレール34を空区画10に向けて前進又は後進又は左進又は右進される。このようにして1台又は複数台のトレー21が空区画10に向けて横方向又は縦方向に向けて移動する動作が繰り返されることにより、1台は又は複数台のトレー21が一方の区画群111内でパズル循環され、入庫又は出庫のトレー(呼び出されたトレー)21が初めに停止していた区画11から予め設定された経路上に設けられる空区画10へ移動しながら、リフトLまで移動される。入庫又は出庫のトレー21がリフトLの昇降台に載せられると、昇降台は自動車の入出庫階まで上昇又は下降され、自動車の入出庫階で自動車が入庫又は出庫される。
これに対して、他方の区画群121で入出庫運転が行われる場合、駐車スペースPSの3箇所の共通の空区画10に対向する3箇所の各区画12のトレー22が駆動され、これらのトレー22が各共通の空区画10に向けて送られる。この場合、各トレー22は、トレー22側の横方向のラック41と各対向区画12のトレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6が噛み合い係合された状態から、トレー横送り装置43が作動されて、その歯付きベルト伝動部材6が逆転方向に駆動され、各トレー22は、横方向のレール33を空区画10に向けて移動される。このようにして各トレー22が3箇所の共通の空区画10へ移動されると、これに対向する3箇所の区画12が空の区画に変わる。続いて、これらの空区画に隣接する1箇所又は複数箇所の区画12のトレー22が駆動され、1箇所又は複数箇所の区画12上の1台又は複数台のトレー22が他方の区画群121に設けられた空区画に向けて送られる。各トレー22は、トレー22側の横方向のラック41又は縦方向のラック42と各区画12のトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6が噛み合い係合された状態から、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45が作動されて、その歯付きベルト伝動部材6が正転方向又は逆転方向に駆動され、トレー2は、横方向のレール33又は縦方向のレール34を空区画に向けて前進又は後進又は左進又は右進される。このようにして1台又は複数台のトレー22が空区画に向けて横方向又は縦方向に向けて移動する動作が繰り返されることにより、1台は又は複数台のトレー22が他方の区画群121内でパズル循環され、入庫又は出庫のトレー(呼び出されたトレー)22が初めに停止していた区画12から予め設定された経路上に設けられる空区画10へ移動しながら、リフトLまで移動される。入庫又は出庫のトレー22がリフトLの昇降台に載せられると、昇降台は自動車の入出庫階まで上昇又は下降され、自動車の入出庫階で自動車が入庫又は出庫される。
また、一方の区画群111と他方の区画群121で同時に入出庫運転又はその準備運転が必要な場合、3箇所の共通の空区画10と各対向区画12との間で一部のトレー22が移動され、入庫又は出庫を優先するいずれか一方の区画群111又は121に2箇所の空区画が設けられるとともに、いずれか他方の区画群121又は111に1箇所の空区画が設けられて、各区画群111、121で空区画に隣接する1箇所又は複数箇所のトレー21、22が駆動され、これらのトレー21、22が各空区画に向けて送られる。この場合、同様に、各トレー21、22は、トレー21、22側の横方向のラック41又は縦方向のラック42と各区画11、12のトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6が噛み合い係合された状態から、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45が作動されて、その歯付きベルト伝動部材6が正転方向又は逆転方向に駆動され、各トレー21、22は、横方向のレール33又は縦方向のレール34を空区画に向けて前進又は後進又は左進又は右進される。このようにして各区画群111、121毎に1台又は複数台のトレー21、22が空区画10に向けて横方向又は縦方向に向けて移動する動作が繰り返されることにより、各区画群111、121毎に1台又は複数台のトレー21、22がパズル循環され、入庫又は出庫のトレー(呼び出されたトレー)21、22が初めに停止していた区画11、12から予め設定された経路上に設けられる空区画10へ移動していく。入庫又は出庫を優先された一方の区画群111又は121の呼び出されたトレー21又は22が他方の区画群121又は111のトレー22又は21よりも先にリフトLまで移動される。入庫又は出庫を優先された一方のトレー21又は22がリフトLの昇降台に載せられると、昇降台は自動車の入出庫階まで上昇又は下降され、自動車の入出庫階で自動車が入庫又は出庫される。この間にもう一方の区画群121又は111の呼び出されたトレー12又は11がリフトLに接近していく。先に入庫又は出庫を終了したトレー21又は22が元の区画群111又は121に戻されると、続いて、もう一方の区画群121又は111の呼び出されたトレー12又は11がリフトLまで移動される。この入庫又は出庫のトレー22又は21がリフトLの昇降台に載せられると、昇降台は自動車の入出庫階まで上昇又は下降され、自動車の入出庫階で自動車が入庫又は出庫される。
このようにしても第1の実施の形態と同様に、各区画群111、121毎に専用の空区画を設ける必要がなく、駐車スペースPSに空区画10を可及的に少なくして、自動車の収容台数の増大を図るとともに、最遠部のトレー2の取り出し時間の遅れを可及的に少なくすることができる。また、この駐車設備Pにもまた、第1の実施の形態と同様に、従来のトレー送り機構を採用することができ、同様の作用効果を奏することができる。
なお、上記各実施の形態では、駐車設備P1が地下2階層の駐車スペースで構成されているが、駐車設備Pが1階層の駐車スペースのみで構成され、自動車を駐車スペースの一部(1区画)に備えた自動車の入出庫部に直接乗り入れる直乗り式の場合、図1又は図8中の、「リフトL」は「自動車の入出庫部」に置き換えられる。
また、上記各実施の形態では、普通自動車よりも車高の高い自動車を収容する一方の区画群111と、普通自動車を収容する他方の区画群121が、一部が区画11、12の一部分となす自動車の長さ方向に対応する一辺(部分外形線)を向かい合わせにして隣接され、また他の一部が区画11、12の一部分となす自動車の幅方向に対応する一辺(部分外形線)を向かい合わせにして隣接されているが、一方の区画群111と他方の区画群121は区画1の一部分となす自動車の長さ方向に対応する一辺(部分外形線)を向かい合わせにして隣接されてもよい。また、一方の区画群111と他方の区画群121は区画11、12の一部分となす自動車の幅方向に対応する一辺(部分外形線)を向かい合わせにして隣接されてもよい。このいずれの場合でも、各区画群111、121に上記トレー送り機構PD又は従来のトレー送り機構を採用することができる。このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、上記各実施の形態では、ハイルーフ車と普通自動車とを混載するために2種類の区画群を設けているが、駐車スペース全体に例えばハイルーフ車など車高の高い自動車の区画群のみを形成しようとしても、駐車スペースの一部に天井の高低差、躯体柱などあり、これらが障害となって駐車スペース全体にハイルーフ車用の区画を確保できない(又は機械芯をずらす必要があるなど、車高の高い自動車の区画では空間効率が悪い)が、例えば普通自動車など他の種類の自動車の区画なら形成できる(又は機械芯をずらす必要がないなど、空間効率が良い)ような場合にも好適で、駐車スペース全域を、車高の高い自動車の区画群が最大限確保できるように、車高の高い自動車の区画群とこれと異なる他の自動車の区画群とを効率的に割り振り、いずれか一方の区画群に共通の循環路と共通の空区画を設けることで、駐車スペースにデッドスペースをなくし、駐車スペースの有効活用を図ることができる。
またさらに、上記各実施の形態では、複数の区画は、普通自動車の車高を基準にしてそれよりも高いハイルーフ車と、普通自動車の2つの区画群により構成され、一方の区画群に、一方の区画群と他方の区画群で共用される共通の空区画と、一方の区画群と他方の区画群に属するトレーが循環可能な共通の循環路とを備えているが、複数の区画は、車高の異なる自動車が3種類以上に細分化された高さ別に分けられて、3つ以上の区画群により構成されてもよく、3つ以上の区画群が設けられる場合、例えば5区画群のうち、1区画群又は3区画群というようにそのうちの任意の1つ又は複数の区画群に、共通の空区画のみを備え、又は共通の循環路と共通の空区画とを併せて備え、全区画群又は一部の複数の区画群で共用されるようにしてもよい。この場合、第1の実施の形態を適用すると、複数の区画群のうち、少なくとも一つ以上の区画群に、複数の共通の空区画を具備するとともに、この共通の空区画を具備する区画群に、この区画群に属する各トレーを循環可能な個別の循環路と、他の区画群に属するトレーを循環可能な共通の循環路とを備え、他の区画群に、他の区画群に属する各トレーを循環可能な個別の循環路を備えればよい。また、第2の実施の形態を適用すると、相互に隣接する各区画群間で、一方の区画群に属する区画のうち、他方の区画群に隣接する任意の区画に、一方の区画群と他方の区画群で共用する共通の空区画を備えればよい。なお、複数の区画群のうち、このトレー循環方式が適用されない区画群には、従来通り、少なくとも1つ以上の空区画が設けられて、トレーが個別に循環されることになる。
またさらに、上記各実施の形態では、各区画群ともに同じ大きさのトレーが採用されているが、車高の高い自動車を載せるトレーを大きくし、車高の低い自動車を載せるトレーを小さくするなど、大きさの異なるトレーに代えてもよく、この場合、必要に応じてローラ間隔やレール間隔その他トレー送り機構に設計変更を施せばよい。
また、特に第1の実施の形態では、一方の区画群111の全区画に共通の循環路110が設けられているが、制御手段のプログラムの変更により、この一方の区画群111から選択的に、駐車スペースPS全体の利用形態に応じて、必要な箇所に必要な範囲の共通の循環路110と必要な数の共通の空区画10が設定されるようにしてもよい。これによりユーザーが駐車設備について自動車の収容台数を優先するか、又は自動車の取り出し時間を優先するかを選択することができ、また、このオプションを変更することもできる。また、共通の循環路は一方の区画群111の一部区画に形成されてもよいことは既述のとおりである。また、複数の区画群に共通のリフト又は入出庫部は共通の循環路を備える区画群の一部又は該区画群に近接していれば、その設置場所は任意である。
また、特に第2の実施の形態では、一方の区画群111の他方の区画群121に隣接する3箇所の区画1に共通の空区画10が連続的に備えられているが、これらの空区画10は断続的に備えられてもよい。この場合、共通の空区画10におけるトレーの送り方向を任意に設定する。さらに、第2の実施の形態では、共通の空区画10は、一方の区画群111の他方の区画群121に隣接する列の3区画に設けられているが、その一列の全区画又は一部の区画に共通の空区画10の機能を持たせ、そこから選択的に、駐車スペースPS全体の利用形態に応じて共通の空区画10を設定するようにしてもよい。これによりユーザーが駐車設備について自動車の収容台数を優先するか、又は自動車の取り出し時間を優先するかを選択することができ、また、このオプションを変更することもできる。また、一方の区画群111に設定された共通の空区画10に隣接する第2の列の区画11、さらにこれに続く第3の列以降の区画11にそれぞれ、空区画10の機能を持たせ、そこに共通の空区画10を追加設定するようにしてもよい。このようにすることにより、他方の区画群121から一方の区画群111へより多くのトレー12を移動することができ、他方の区画群121でトレー12の取り出し時間を可及的に短縮することができる。また、複数の区画群に共通のリフト又は入出庫部は共通の空区画に近接していれば、その設置場所は任意である。