JP2869693B2 - 機械式駐車装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、自動車を搬送台上に
載置して水平前後方向に搬送し、積層状態に配設された
駐車棚の駐車区画部に格納するようにした機械式駐車装
置に関し、特に、駐車装置全体の上下寸法を小さくする
対策に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年では、駐車場建設用地の不足から、
地上に大規模な駐車場を建設することが困難であるり、
このために、道路や河川等の下の地下スペースを有効利
用することが着目され、このような地下スペースの形状
に対応したトンネル式の駐車装置が研究されている。

【０００３】この種の駐車装置としては、自動車を地下
スペースの長手方向に水平搬送する搬送台車と、該搬送
台車の搬送路の左右両側に上下方向に積層状態で配設さ
れ、上記自動車を格納するための複数の駐車区画部が形
成された複数段の駐車棚とを備えたものが知られてい
る。また、上記搬送台車には、搬送される自動車を対応
する駐車棚の駐車区画部との間で横移動させる複数段の
横送り手段が上下方向に積層状態で配設されているが、
このように、駐車棚の駐車区画部と搬送台との間でパレ
ットの横移動を行うようになされた横送り手段として
は、例えば実開平１−１５０７６４号公報に記載されて
いるローラコンベア式のもの等が一般に知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、地下に駐車
場を建設する場合には、地上の場合に比べて建設コスト
が数倍高くなることから、駐車可能台数が同じである場
合には、地下スペースが最小限となるようにすることが
望まれる。しかしながら、上記のように横送り手段を上
下方向に積層状態で配設すると、該横送り手段自体が固
有の上下寸法を有するために、搬送台車全体の上下寸法
が、自動車を搬送支持するのに必要な上下寸法に比べて
かなり大きくなるという問題がある。

【０００５】また、搬送台車の上下寸法が大きくなると
いうことは、駐車棚も上記横送り手段の高さ位置に合わ
せて配設しなければならないことを意味し、結局のとこ
ろ、駐車装置全体の上下寸法が無駄に大きくなってしま
う。

【０００６】この発明は斯かる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、搬送台に複数段の横送り手段を上
下方向に配設するに当たり、搬送台の上下寸法を小さく
して駐車装置全体における上下寸法の縮小化が図れるよ
うにし、もって駐車装置の設置スペース形成に必要な土
木建設コストの抑制に寄与できるようにすることにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、搬送台に複数段のパレット横送り
手段を上下方向に配設するに当たり、上下方向に隣接す
る横送り手段同士は搬送台の搬送方向前後に並存させ
た。

【０００８】具体的には、請求項１の発明では、自動車
を載置して水平前後方向に搬送する搬送台と、該搬送台
の搬送路の少なくとも左右一側に上下方向に積層状態で
配設され、上記自動車を格納するための複数の駐車区画
部が形成された複数段の駐車棚とを備えた機械式駐車装
置が前提である。

【０００９】そして、上記搬送台に上下方向に配設さ
れ、対応する駐車棚の駐車区画部との間で自動車をそれ
ぞれ横移動させる複数段の横送り手段を備え、上記上下
方向に隣接する横送り手段同士は、搬送台の搬送方向前
後に並設させる。

【００１０】請求項２の発明では、上記請求項１の発明
において、自動車をパレットに載置された状態で搬送台
による搬送、横送り手段による横移動、及び駐車区画部
への格納がそれぞれ行われるように構成し、少なくとも
最下段以外の駐車棚における各駐車区画部の搬送方向前
後両端部には、横送り手段にて搬送台との間で横移動さ
れるパレットを該パレットの搬送方向前後両端部におい
て支持する受け部を配設する。

【００１１】請求項３の発明では、上記請求項２の発明
において、上下方向における横送り手段及び駐車棚の各
配設寸法を、所定自動車の全高に基づく駐車最低必要高
さと、パレットの上記自動車が載置される平面部の厚さ
寸法とが加算されたものとする。

【００１２】

【作用】請求項１の発明では、自動車が駐車棚の所定駐
車区画部に格納される際、その自動車は横送り手段に支
持された状態で搬送台にて水平前後方向に搬送され、搬
送台が目的の位置に停止した後、横送り手段により搬送
台から駐車棚の駐車区画部に横移動される。すなわち、
駐車棚が例えば上下２段に配設される場合には、これに
対応して搬送台では横送り手段が上下２段に配設され、
自動車が下段の駐車棚の所定駐車区画部に格納されると
きには、該自動車は搬送台においては下段の横送り手段
により支持された状態で搬送されかつ横移動されること
になる。

【００１３】このとき、上下方向に隣接する横送り手段
同士が搬送台の搬送方向前後に並んだ状態に配置されて
いるので、上段側の横送り手段は下段側横送り手段の上
方空間、つまり下段側横送り手段上に形成される自動車
載置空間から搬送方向前後に変位した位置に存在するこ
とになる。これにより、上段側横送り手段が下段側横送
り手段の自動車載置空間に干渉するという事態を回避で
き、各横送り手段の自動車載置空間を狭めることなく、
横送り手段の上下方向における配設寸法を小さくするこ
とができる。

【００１４】請求項２の発明では、少なくとも最下段以
外の駐車棚における所定駐車区画部と搬送台との間で自
動車を載置したパレットが横送り手段にて横移動される
際に、該パレットは駐車区画部側において該駐車区画部
の搬送方向前後両端部に位置する受け部により該パレッ
トの搬送方向前後両端部が支持される。従って、駐車棚
が例えば上下２段に配設されている場合に、上下方向に
並存する駐車区画部に各々のパレットがそれぞれ格納さ
れている状態、つまり下段側パレットの直上に上段側パ
レットが位置する状態では、上段側パレットが格納され
た駐車区画部の受け部は下段側パレットの上方空間、つ
まり下段側駐車区画部上に形成される自動車格納空間の
うち、自動車の車体前後両端の上方にあって実際には格
納の用に供さないデッドスペースとなっている搬送方向
前後両端部の上部空間を占有するのみであり、上段側駐
車区画部の受け部が下段側駐車区画部の実質的な自動車
格納空間に干渉するという事態が回避される。これによ
り、各駐車区画部の自動車格納空間を狭めることなく、
駐車棚の上下方向における配設寸法を小さくすることが
できる。

【００１５】請求項３の発明では、上下方向における横
送り手段及び駐車棚の各配設寸法が、所定自動車の全高
に基づく駐車最低必要高さと、パレットの上記自動車が
載置される平面部の厚さ寸法とが加算されたものである
ので、上記各配設寸法を必要最小限とすることができ、
駐車装置全体の上下寸法を実際に小さくすることができ
る。

【００１６】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。

【００１７】（実施例１）図１〜図３に示すこの実施例
１の機械式駐車装置は、地下に設けられた矩形断面形状
を有するトンネル状のスペースに設置され、該地下スペ
ースの中央部長手方向において自動車載置用のパレット
１を水平前後方向に搬送する搬送台としての搬送台車２
が左右１対のレール３，３上を搬送方向（図１及び図２
の左右方向）に移動可能に配設され、上記レール３，３
の左右両側（図３の左右両側）には自動車ａをパレット
１に載置された状態で格納するための多数の駐車区画部
４がそれぞれ形成された上下２段の駐車棚５，５が積層
状態で配設されている。

【００１８】上記搬送台車２は、図１及び図３に示すよ
うに基体６の前後左右に配設され、各レール３上を転動
することにより該基体６を移動可能に支持する車輪７
と、上記基体６の後端側（図１の左端側）に配設され、
後部側の駆動車輪７を回転駆動する駆動部８と、パレッ
ト１を支持しかつ対応する駐車棚５の駐車区画部４との
間で該パレット１の横送りをそれぞれ行う上下２段の横
送り手段９，９と、上記駆動部７及び横送り手段９の作
動を制御する制御部１０とを備えている。

【００１９】上記各横送り手段９は、パレット１をその
搬送方向の前後両端部において左右方向（図３の左右方
向）に移動可能に支持する複数の受けローラ１１と、該
受けローラ１１に支持された状態のパレット１を左右方
向に横移動させる図示しない横移動手段とをそれぞれ備
えている。上下２段の横送り手段９同士は、搬送台車２
の搬送方向前後に並んだ状態に配置されている。つま
り、上段側横送り手段９は搬送方向後側（図１の左側）
で制御部１０の上方位置に、また下段側横送り手段９は
搬送方向前側（図１の右側）で制御部１０の前方位置に
それぞれ配置されている。また、両横送り手段９，９の
上下方向における配設寸法Ｈは、本駐車装置に駐車され
る車種のうちで全高が最大である自動車ａを基準に上記
全高に所定の余裕寸法を加算したものを駐車最低必要高
さｈとし、これにパレット１の自動車ａが載置される平
面部の厚さ寸法ｔを加算（Ｈ＝ｈ＋ｔ）したものとされ
ている。

【００２０】一方、上記各駐車棚５では、搬送方向に隣
接する駐車区画部４，４間に左右１対の支柱１２，１２
がそれぞれ立設され、両支柱１２，１２間には該両支柱
１２，１２の前後両面において棚部材１３ａが上下２段
にそれぞれ横設され、各棚部材１３ａの上面側にはパレ
ット１をその搬送方向における前後両端部下面において
左右方向に移動可能に支持する複数の受けローラ１３ｂ
がそれぞれ配設されている。これら棚部材１３ａ及び受
けローラ１３ｂは、この発明における受け部１３を構成
するもので、これにより、各駐車区画部４において、パ
レット１は前端部下面が前端側の棚部材１３ａ及び受け
ローラ１３ｂにより、また後端部下面が後端側の棚部材
１３ａ及び受けローラ１３ｂによりそれぞれ支持される
ことになる。このように構成された上下両駐車棚５，５
の上下方向における配設寸法Ｈは、上記搬送台車２にお
ける上下両送り手段９，９間の場合と同一である。尚、
上段側駐車棚５の各区画部４及び搬送台車２の上段側横
送り手段９とトンネル構内の天井面との間の各上下寸法
についても、上記配設寸法Ｈと同じにそれぞれ設定され
ている。

【００２１】この実施例によれば、自動車ａが駐車棚５
の所定駐車区画部４に格納される際に、その自動車ａは
パレット１に載置され、上記駐車区画部４を有する駐車
棚５に対応する横送り手段９に支持された状態で搬送台
車２にて水平前後方向に搬送され、搬送台車２が目的の
位置に停止した後、該横送り手段９により搬送台車２か
ら上記駐車区画部４に横移動される。すなわち、自動車
ａが例えば下段側駐車棚５の駐車区画部４に格納される
際には、自動車ａは搬送台車２においては下段の横送り
手段９により支持された状態で搬送されかつ横移動され
る。

【００２２】このとき、上下２段の横送り手段９同士が
搬送方向前後に並んだ状態に配置されているので、上段
側の横送り手段９は下段側横送り手段９の上方空間、つ
まり下段側横送り手段９上に形成される自動車載置空間
から搬送方向後側（図１の左側）に変位した位置に存在
していることになる。これにより、上段側横送り手段９
が下段側横送り手段９の自動車載置空間に干渉するとい
う事態を回避でき、下段側横送り手段９の自動車載置空
間を狭めることなく、横送り手段９の上下方向における
配設寸法Ｈを駐車最低必要高さｈにパレット１の厚さ寸
法ｔが加算された必要最小限の寸法に縮めることができ
る。

【００２３】一方、駐車棚５の所定駐車区画部４と搬送
台車２との間で自動車を載置したパレット１が横送り手
段９にて横移動される際に、該パレット１は駐車区画部
４側において該駐車区画部４の搬送方向前後両端部に位
置する棚部材１３ａ及び受けローラ１３ｂにより該パレ
ット１の搬送方向前後両端部が支持される。従って、自
動車ａの載置されたパレット１が下段側駐車棚５の駐車
区画部４に格納された状態では、該駐車区画部４の直上
に位置する上段側駐車区画部４の棚部材１３ａ及び受け
ローラ１３ｂは下段側駐車区画部４の上方空間、つまり
下段側駐車区画部４上に形成される自動車格納空間のう
ち、自動車ａの車体前後両端の上方にあって実際には格
納の用に供さないデッドスペースとなっている搬送方向
前後両端部の上部空間を占有するのみであり、上段側駐
車区画部４の棚部材１３ａ及び受けローラ１３ｂが下段
側駐車区画部４の実質的な自動車格納空間に干渉すると
いう事態が回避される。これにより、下段側駐車棚５に
おける各駐車区画部４の自動車格納空間を狭めることな
く、上記搬送台車２における横送り手段９の場合と同様
に、駐車棚５の上下方向における配設寸法Ｈを駐車最低
必要高さｈとパレット１の厚さ寸法ｔとが加算された必
要最小限の寸法に縮めることができる。

【００２４】比較のために、上段側横送り手段が下段側
横送り手段の直上位置にある場合の横送り手段の上下方
向における配設寸法Ｈ′を算出すると、この実施例にお
ける配設寸法Ｈに上段側横送り手段の上下寸法Ｔを加算
（Ｈ′＝Ｈ＋Ｔ）したものとなる。また、駐車棚につい
ても、上記各横送り手段の高さ位置に対応させる必要か
ら、上記配設寸法Ｈ′で配設されることになる。

【００２５】すなわち、この実施例によれば、上下の横
送り手段９が前後方向に並んだ状態に配置されているこ
とにより、駐車装置全体の上下寸法を上段側横送り手段
９の上下寸法Ｔの分だけ小さくすることができ、単位ス
ペース当たりの駐車可能台数を増やすことができるの
で、この結果、全体の駐車可能台数が同じである場合に
は、駐車装置が設置されるスペースの上下寸法を小さく
でき、駐車装置の設置スペース形成に必要な土木建設コ
ストの抑制に寄与することができる。また、逆に、駐車
装置の設置スペースが予め定められている場合には、全
体の駐車可能台数を増やすことができ、採算性の上で大
きなメリットを得ることができる。

【００２６】（実施例２）図４はこの発明に係る実施例
２の移動台車２を示し、該移動台車２には上下３段に横
送り手段９が配設されている。そして、最上段及び最下
段の横送り手段９は搬送方向（同図の左右方向）の同じ
位置に、また中段の横送り手段９と上下両段の横送り手
段９とは搬送方向前後に並んだ状態、つまり中段の横送
り手段９が上下両段の横送り手段９から前側（同図の右
側）に変位した位置に配置されており、上下方向におけ
る上段及び中段の両横送り手段９，９の配設寸法Ｈと、
中段及び下段の両横送り手段９，９の配設寸法Ｈとが共
に必要最小限の寸法（Ｈ＝ｈ＋ｔ）となるように設定さ
れている。この実施例のその他の構成は、駐車棚が上下
３層に配設されている点が異なる他は上記実施例１と略
同じである。

【００２７】この実施例によっても、上記実施例１と同
様の作用効果を奏することができ、具体的には本駐車装
置全体の上下寸法を上段及び中段の２つの横送り手段９
の上下寸法（Ｔ＋Ｔ）分だけ小さくすることができる。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明に
よれば、自動車を上載して水平前後方向に搬送する搬送
台において各々の自動車をそれぞれ支持する複数の横送
り手段を上下方向に配設し、かつ上下方向に隣接する横
送り手段同士を搬送方向前後に並んだ状態に配置したこ
とにより、各横送り手段の自動車載置空間を実質的に狭
めることなく上下方向における横送り手段の配設寸法を
小さくでき、搬送台の上下寸法を小さくできる。従っ
て、駐車装置全体における上下寸法の縮小化を図って、
駐車装置が設置されるスペースの上下寸法を、駐車可能
台数を減らすことなく小さくでき、駐車装置の設置スペ
ース形成に必要な土木建設コストの抑制に寄与すること
ができる。

【００２９】請求項２の発明によれば、自動車載置用の
パレットを少なくとも最下段以外の駐車棚の駐車区画部
において搬送方向前後両端部で支持するようにしたこと
により、各駐車区画部の自動車格納空間を実質的に狭め
ることなく上下方向における駐車棚の配設寸法を小さく
できるので、上記請求項１の発明による効果と相俟っ
て、駐車装置全体における上下寸法を縮小化することが
できる。

【００３０】請求項３の発明では、所定自動車の全高に
基づいて、横送り手段及び駐車棚の上下方向における配
設寸法を必要最小限としたので、駐車装置全体の上下寸
法を実際に小さくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例１に係る機械式駐車装置の搬
送台車を示す側面図である。

【図２】機械式駐車装置の駐車棚を示す正面図である。

【図３】機械式駐車装置の全体構成を示す横断面図であ
る。

【図４】この発明の実施例２における搬送台車を示す図
１相当図である。

【符号の説明】

１ パレット ２ 搬送台車（搬送台） ３ 区画部 ４ 駐車棚 ９ 横送り手段 １３ 受け部 Ｈ 配設寸法 ｈ 駐車最低必要高さ ｔ パレットの厚さ寸法 ａ 自動車

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車を載置して水平前後方向に搬送す
   る搬送台と、該搬送台の搬送路の少なくとも左右一側に
   上下方向に積層状態で配設され、上記自動車を格納する
   ための複数の駐車区画部が形成された複数段の駐車棚と
   を備えた機械式駐車装置であって、 上記搬送台に上下方向に配設され、対応する駐車棚の駐
   車区画部との間で自動車をそれぞれ横移動させる複数段
   の横送り手段を備え、 上記上下方向に隣接する横送り手段同士は、搬送台の搬
   送方向前後に並設されていることを特徴とする機械式駐
   車装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の機械式駐車装置におい
   て、 自動車はパレットに載置された状態で搬送台による搬
   送、横送り手段による横移動、及び駐車区画部への格納
   がそれぞれ行われるように構成され、 少なくとも最下段以外の駐車棚における各駐車区画部の
   搬送方向前後両端部には、横送り手段にて搬送台との間
   で横移動されるパレットを該パレットの搬送方向前後両
   端部において支持する受け部が配設されていることを特
   徴とする機械式駐車装置。
3. 【請求項３】 請求項２記載の機械式駐車装置におい
   て、 上下方向における横送り手段及び駐車棚の各配設寸法
   は、所定自動車の全高に基づく駐車最低必要高さと、パ
   レットの上記自動車が載置される平面部の厚さ寸法とが
   加算されたものであることを特徴とする機械式駐車装
   置。