図1乃至図6に本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、トレー送り機構1は、物品を載せる複数のトレー2と、物品を格納又は搬送する水平面(平面)上で各トレー2を縦方向及び横方向に向けて循環移動するトレー循環駆動装置3とを備え、さらにトレー循環駆動装置3は、トレー2を水平面上で支持走行するトレー支持走行手段4と、トレー2を送り駆動するトレー駆動装置5とを備える。トレー支持走行手段4はトレー2又は水平面上のいずれか一方に設けられ、トレー2を縦方向に走行可能に支持する複数の縦方向車輪(21)、及びトレー2を横方向に走行可能に支持する複数の横方向車輪(22)と、他方に設けられ、各縦方向車輪(21)を案内し、又は各縦方向車輪(21)に案内され、トレー2を縦方向に走行案内する複数の縦方向走行レール41、及び各横方向車輪(22)を案内し、又は各横方向車輪(22)に案内され、トレー2を横方向に走行案内する複数の横方向走行レール42とにより構成される。特にこのトレー送り機構1の場合、トレー2に、トレー2を縦方向に走行可能に支持する複数の縦方向車輪(21)と、トレー2を横方向に走行可能に支持する複数の横方向車輪(22)が設けられ、水平面上に、トレー2の縦方向の走行車輪(21)を縦方向に案内する複数の縦方向走行レール41、及び横方向の走行車輪(22)を横方向に走行案内する複数の横方向走行レール42が敷設されることが好ましい。もっとも、これとは反対に、水平面上に、トレーを縦方向に走行可能に支持する複数の縦方向車輪と、トレーを横方向に走行可能に支持する複数の横方向車輪が設置され、トレーに、水平面上の縦方向走行車輪により縦方向に案内される複数の縦方向走行レール、及び横方向走行車輪により横方向に走行案内される複数の横方向走行レールが設けられる構成であっても差し支えない。トレー駆動装置5は、各トレー2に設けられた一対の可動ガイドレール(25)に対応して、各可動ガイドレール(25)に係合する一対の送りローラ51と、各送りローラ51を回転駆動する一対の送りローラ駆動手段53と、各送りローラ51を水平方向に旋回可能に支持する一対の送りローラ方向転換手段54と、各送りローラ方向転換手段54に作動連結され、各送りローラ方向転換手段54を駆動して、各送りローラ51を各トレー2に設けられた第1のガイドレール(23)又は各第2のガイドレール(24)に向けるローラ方向切り換え手段57とを備える。以下、各部について詳しく説明する。
トレー2は、図2及び図3に示すように、縦長の長方形状の板材で、物品を安定して載置可能な平面形状を有する。ここでは、特に機械式駐車装置に使用する自動車載置用のトレーが例示されており、このトレー2の場合、平面上に車路が凹状に形成され、その両側が外側に向けて張り出されている。なお、トレー2は長方形に限定されるものではなく、物品の形状に応じて、例えば正方形、円形など、任意の形状に変更可能である。このトレー2には、トレー2を横方向に走行可能に支持する4輪構成の縦方向車輪21と、トレー2を縦方向に走行可能に支持する4輪構成の横方向車輪22が設けられている。この場合、縦方向車輪21はトレー2の下面の略四隅に1輪ずつ、横方向車輪22は各縦方向車輪21に近接して1輪ずつ、夫々配置されている。なお、この実施の形態では、トレー2の下面四隅にそれぞれ、縦方向車輪21、横方向車輪22が1輪ずつ設けられているが、必要に応じてトレー2の下面四隅に横方向、縦方向の各車輪21、22が複数個ずつ設けられてもよい。このトレー2にはまた、固定ガイドレール234と、一対の可動ガイドレール25とを具備している。固定ガイドレール234は、トレー2の下面横方向中央に略一端部から略他端部に縦方向に向けて延びる第1のガイドレール23と、トレー2の下面縦方向中央に対して両側所定の位置にそれぞ略一側部から略他側部に横方向に向けて、すなわち第1のガイドレール23に対して交差状に対にして延びる第2のガイドレール24とを有している。これら第1のガイドレール23及び第2のガイドレール24はトレー2の下面中心部位で中断され、第1のガイドレール23と第2のガイドレール24との(仮想)交差部にそれぞれ、所定寸法の間欠部250が十字形状に形成されている。各可動ガイドレール25は、第1のガイドレール23及び第2のガイドレール24に共通のガイドレールで、第1のガイドレール23又は各第2のガイドレール24の各間欠部250に嵌合可能に形成されている。各可動ガイドレール25は、トレー2下面の、第1のガイドレール23と各第2のガイドレール24との(仮想)交差部の中心に軸251を介して水平方向に回転可能に取り付けられている。このようにして各可動ガイドレール25が第1のガイドレール23又は各第2のガイドレール24と同一方向に選択的に切り換えられ、第1のガイドレール23又は各第2のガイドレール24の一部として配列されるようになっている。
トレー支持走行手段4は、既述のとおり、図2に示すように、トレー2に設けられ、トレー2を縦方向に走行可能に支持する複数の縦方向車輪21、及びトレー2を横方向に走行可能に支持する複数の横方向車輪22と、図1に示すように、水平面上に設けられ、トレー2の各縦方向車輪21を案内し、トレー2を縦方向に走行案内する複数の縦方向走行レール41、及びトレー2の各横向車輪22を案内し、トレー2を横方向に走行案内する複数の横方向走行レール42とにより構成される。複数の縦方向車輪21及び横方向車輪22は既に説明したとおりである。他方、縦方向走行レール41はチャンネル鋼などにより形成され、トレー2の縦方向車輪21が転動可能なフラットな走行面を有する左右一対のレールからなり、これらのレール間の間隔にトレー2の幅方向よりも小さい所定の寸法が設定されて、水平面上に縦方向に向けて設置される。このようにしてトレー2の各縦方向車輪21を案内し、トレー2を縦方向に走行案内する。なお、縦方向走行レール41上にリフトが設置される場合、一対のレールが部分的に切り欠かれて、そこにリフトの昇降路が形成される。横方向走行レール42は、同様に、チャンネル鋼などにより形成され、トレー2の横方向車輪22が転動可能なフラットな走行面を有する前後一対のレールからなり、これらのレール間の間隔にトレー2の長手方向よりも小さい所定の寸法が設定されて、水平面上に横方向に向けて設置される。このようにしてトレー2の各横方向車輪22を案内し、トレー2を横方向に走行案内する。なお、横方向走行レール42上にリフトが設置される場合、一対のレールが部分的に切り欠かれて、そこにリフトの昇降路が形成される。また、縦方向走行レール41には、横方向走行レール42に近接する位置(すなわち、横方向走行レール42上を移動するトレー2の左右の縦方向車輪21に対応する位置)に、トレー2(の縦方向車輪21)の担持部材として、担持ローラ43がその回転軸を縦方向走行レール41が延びる方向に向けて軸支される。同様に、横方向走行レール42には、縦方向走行レール41に近接する位置(すなわち、縦方向走行レール41上を移動するトレー2の前後の横方向車輪22に対応する位置)に、トレー2(の横方向車輪22)の担持部材として、担持ローラ44がその回転軸を横方向走行レール42が延びる方向に向けて軸支される。なお、各縦方向走行レール41の走行面、各横方向走行レール42の走行面、各担持ローラ43、44の頂部は同じレベルに設定される。このようにして縦方向走行レール41と横方向走行レール42が任意に組み合わされて、各種機械式駐車設備や各種自動倉庫設備に利用するトレー2の移動経路が形成される。
トレー駆動装置5は、既述のとおり、図1に示すように、一対の送りローラ51と、一対の送りローラ駆動手段53と、一対の送りローラ方向転換手段54と、ローラ方向切り換え手段57とを有する。
この場合、送りローラ51はフリクションローラからなり、トレー2の可動ガイドレール25及び第1のガイドレール23又は第2のガイドレール24の下部に圧接され、垂直方向に回転可能に構成される。またこの送りローラ51に近接して、可動ガイドレール25及び第1のガイドレール23又は第2のガイドレール24を両側方から挟持して、水平方向に回転可能な合計4つの送りガイドローラ52が併設される。送りローラ駆動手段53は、2つの駆動モータ530により構成される。これら送りローラ51、送りガイドローラ52、送りローラ駆動手段53は送りローラ方向転換手段54とともに組み立てられる。図4に示すように、送りローラ方向転換手段54は、送りローラ51及び送りガイドローラ52を支持するローラ支持部材55と、ローラ支持部材55を水平方向に旋回可能に軸支する回転支持部材56と、ローラ支持部材55又は回転支持部材56を回転(旋回)駆動するローラ方向切り換え手段(57)とを具備する。ローラ支持部材55は2組の一対の支持プレート551とこれら一対の支持プレート551を連結する上下に軸挿通部552を有する連結部材553とからなり、送りローラ51が垂直方向に回転可能に、各一対の支持プレート551に挟持され、これら一対の支持プレート551が連結部材553により連結されて組み立てられる。併せて、片側一方の支持プレート551に駆動モータ530が固定され、その回転軸が送りローラ51に作動連結される。また、4つの送りガイドローラ52は、各支持プレート551の上部に水平方向に回転可能に取り付けられる。このようにしてローラ支持部材55は回転支持部材56に支持される。この回転支持部材56は、軸561と、軸561を鉛直方向に支持する基台562と、さらにばね563とを有し、軸561にばね563が装着された状態でローラ支持部材55の連結部材553(の軸相通部552)に軸561が挿通されて組み立てられる。なお、この組み立てにより、ローラ支持部材55は、ローラ支持部材55と基台562との間に圧縮されたばね563により、上方向に向けて付勢される。このようにして送りローラ51の組み立てユニットが対にして、図1に示すように、縦方向走行レール41と横方向走行レール42とにより区切られた区画にその中心に対して前後両側に、水平方向に旋回可能に設置される。この場合、各送りローラ51は、縦方向に向けられて直列に、また、図5に示すように、横方向に向けられて並列に、かつ互い違いに(すなわち、一方の送りローラ51は区画の横方向中心よりも横方向片側一方に変位された(つまり、左右方向いずれか一方に寄った)位置に配置され、他方の送りローラ51は区画の横方向中心よりも横方向片側他方に変位された(つまり、左右方向いずれか他方に寄った)位置に配置され、各送りローラ51の回転中心間に所定の距離が設定された)配列に構成される。一方、ローラ方向切り換え手段57は、駆動モータ570と、複数のリンク571、572、573、574とにより構成される。駆動モータ570は各送りローラ51の組み立てユニットの中間(で各送りローラ51の旋回範囲から外れた位置)に固定される。この場合、駆動モータ570の回転軸が垂直方向に向けられる。複数のリンク571、572、573、574は第1乃至第4のリンク571、572、573、574からなり、第1、第2、第3のリンク571、572、573は略同じ所定の長さを有し、第1のリンク571はその一端が駆動モータ570の回転軸に水平方向に回転可能に取り付けられる。第2、第3のリンク572、573はそれぞれ、各送りローラ51の組み立てユニットのローラ支持部材55に(駆動モータ530が突出する側部とは反対の)一側部から外方に突出して取り付けられる。第4のリンク574は、第1、第2、第3のリンク571、572、573(の先端部)間に連結される。このようにして駆動モータ570の回転駆動により第1のリンク571が縦方向に対して所定の角度の斜めの方向(以下、縦方向案内位置という。)に向けられると、第4のリンク574の案内により、第2、第3のリンク572、573が縦方向に対して所定の角度の斜めの方向に向けられて、各送りローラ51が縦方向に向けられ、駆動モータ570により第1のリンク571がこの縦方向案内位置から反時計回りに90度回動されると、第4のリンク574の案内により、図5に示すように、第2、第3のリンク572、573が横方向に対して所定の角度の斜めの方向(以下、横方向案内位置という。)に向けられて、各送りローラ51が横方向に向けられるように組み立てられる。
なお、このトレー送り機構1の場合、既述のとおり、縦方向走行レール41と横方向走行レール42とにより複数の区画が形成されるが、図1に示すように、縦方向の区画間に、縦方向に向けられた各送りローラ51の両側の各送りガイドローラ52に対向して、固定の縦方向ガイドローラ対8Yが設置され、また、横方向の区画間に、横方向に向けられた各送りローラ51の両側の各送りガイドローラ52に対向して、固定の横方向ガイドローラ対8Xが設置される。また、水平面上の障害物を回避するなど、区画と区画との間を長くする必要がある場合は、その間にも必要に応じて固定の縦方向又は横方向ガイドローラ対8Y、8Xを設置したり、トレー駆動装置を適宜追加する場合もある。この追加するトレー駆動装置は、前記間隔の空いた区画と区画とを結ぶときは、当該方向にのみ駆動可能なトレー駆動装置としてもよい。
このようにしてトレー送り機構1が構成され、トレー2を縦方向の4輪の車輪21又は横方向の4輪の車輪22により縦方向走行レール41又は横方向走行レール42上に支持し、トレー2の各可動ガイドレール25に圧接される各送りローラ51をトレー2の各可動ガイドレール25とともに縦方向又は横方向に選択的に切り換えて、第1のガイドレール23又は第2のガイドレール24と同一方向に一致させて、トレー2を縦方向又は横方向に送り駆動する。次に、このトレー送り機構1の基本的な動作について図1乃至図3、並びに図5及び図6を用いて説明する。なお、この動作の説明では、縦方向走行レール41と横方向走行レール42とにより区切られた区画をトレー停止区画と称することにする。
図1及び図2において、動作前のトレー2はトレー停止区画で停止され、縦方向車輪21が縦方向走行レール41の一部に設置された担持ローラ43上に乗り、横方向車輪22が横方向走行レール42の一部に設置された担持ローラ44上に乗り、トレー2下面の各可動ガイドレール25がトレー停止区画の各送りローラ51と同じ縦方向又は横方向に向けられた状態で、図3に示すように、(各可動ガイドレール25の)下面が送りローラ51に圧接され、また(各可動ガイドレール25の)両側面が4つの送りガイドローラ52により挟持されて、トレー2がトレー停止区画上のセンタに位置決めされる。なお、このとき、トレー2の縦方向車輪21又は横方向車輪22は担持ローラ43又は担持ローラ44上に乗って、トレー2はフリーの状態になっているが、トレー2下面の各可動ガイドレール25と各送りローラ51の摩擦係合、及び4つの送りガイドローラ52の係合によりトレー2の動きは規制されるので、トレー2は担持ローラ43、44上で安定して停止される。
このトレー停止区画のトレー2は、図示されない制御手段の制御プログラムに従って、トレー停止区画のトレー駆動装置5により縦方向又は横方向に送り駆動される。図1及び図3において、まず、ローラ方向切り換え手段57の駆動モータ570が回転駆動され、この駆動モータ570に取り付けられた第1のリンク571が縦方向案内位置から横方向案内位置まで90度回転されると、この回転運動が第2、第3、第4のリンク572、573、574により伝達されて、図5及び図6に示すように、各送りローラ51が(各送りローラ51に圧接され、各送りガイドローラ52に挟持されたトレー2の各可動ガイドレール25とともに)縦方向から横方向に90度回転される。これに併せて、トレー2の次の送り先のトレー停止区画でも、トレー駆動装置5が同様に作動される。このようにしてトレー2の送り方向が決められ、また、トレー2は常にトレー停止区画上のセンタに位置決めされて(トレー2の芯と送る方向の芯が合わせられて)、このローラ方向切り換え手段57の動作が停止される。なお、トレー2の送り方向を変えない場合は、この動作は行われることなく、次の動作から開始される。
このようにしてローラ方向切り換え手段57によりトレー2の送り方向が横方向に決められると、各送りローラ51の各送りローラ駆動手段53が正転方向又は逆転方向に作動される。図5及び図6において、2つの駆動モータ530が正転方向に駆動されると、各送りローラ51が正転方向に回転駆動され、これらの送りローラ51に押し付けられて、摩擦係合されたトレー2下面の各可動ガイドレール25が右方向に送り駆動されるとともに、この横(右)送りが各送りローラ51の両側の送りガイドローラ52により案内されて、トレー2の移動が開始される。続いて各可動ガイドレール25から、トレー2の、進行方向後側の各第2のガイドレール24が各送りガイドローラ52に案内されながら各送りローラ51により横方向に送り駆動される。トレー2が初めのトレー停止区画と次の送り先のトレー停止区画との間に進入すると、トレー2の、進行方向前側の各第2のガイドレール24がさらに両トレー停止区画間の固定の各横方向ガイドローラ対8Xに挟持されて横方向に移動案内される。このようにしてトレー2は、予め決められたトレー停止区画(指定区画)に向けて送り駆動されていく。続いて、トレー2は初めのトレー停止区画から次の送り先のトレー停止区画に進入し、そのトレー停止区画の一方の送りローラ51まで移動されると、トレー2の各第2のガイドレール23が初めのトレー停止区画の各送りローラ51と次のトレー停止区画の各送りローラ51に跨って係合され、両方の各送りガイドローラ52に案内されて駆動されていく。このようにしてトレー2が次の送り先のトレー停止区画へ移動されていくと、各第2のガイドレール23は間もなく初めのトレー停止区画のトレー駆動装置5から引き離され、次の送り先のトレー停止区画のトレー駆動装置5にのみ係合して駆動されていく。トレー2が次の送り先のトレー停止区画で停止する場合は、初めのトレー停止区画と次のトレー停止区画との中間所定の地点で、両トレー停止区画の各トレー駆動装置5が低速に減速され、トレー2は次のトレー停止区画に達し、各車輪21、22が各担持ローラ43、44の頂部に乗り上げたところで各トレー駆動装置5の停止により停止される。この場合、トレー2は下面の各可動ガイドレール25とトレー駆動装置5の各送りローラ51の摩擦係合、及び各送りガイドローラ52の係合により、各担持ローラ43、44の上に確実に停止され、この停止状態が安定して維持される。また、次の送り先のトレー停止区画が指定区画でない場合は、トレー2はさらに次の送り先のトレー停止区画に向けて同様にして送り駆動される。そしてトレー2が指定区画に進入すると、同様に減速地点で各トレー駆動装置5が低速に減速され、そのトレー停止区画の各担持ローラ43、44の頂部に各車輪21、22が乗り上げたところでトレー駆動装置5の停止により確実かつ安定して停止される。
また、図5及び図6において、初めのトレー停止区画で、2つの駆動モータ530が反対に逆転方向に駆動されると、各送りローラ51が逆転方向に回転駆動され、これら送りローラ51に圧接され、摩擦係合されたトレー2下面の各可動ガイドレール25が左方向に送り駆動されるとともに、この横(左)送りが各送りローラ51の両側の各送りガイドローラ52により案内されて、トレー2が移動を開始される。続いて各可動ガイドレール25から各第2のガイドレール23が各送りガイドローラ52に案内されながら各送りローラ51により横方向に送り駆動される。このようにしてトレー2は、予め決められたトレー停止区画(指定位置)に向けて送り駆動されていく。この場合も右送りの動作と同様に、トレー2は予め決められた位置まで安定して移動し、確実に停止される。
これに対して、前述のローラ方向切り換え手段57によりトレー2の送り方向が、図1及び図3に示すように、縦方向に決められて、送りローラ駆動手段53が作動され、2つの駆動モータ530が正転方向に駆動されると、各送りローラ51が正転方向に回転駆動され、これら送りローラ51に押し付けられて、摩擦係合されたトレー2下面の可動ガイドレール52が前方向に送り駆動されるとともに、この縦(前)送りが各送りローラ51の両側の送りガイドローラ52により案内されて、トレー2の移動が開始される。続いて可動ガイドレール25から、トレー2の進行方向後側の第1のガイドレール23が送りガイドローラ52に案内されながら送りローラ51により縦方向に送り駆動される。トレー2が初めのトレー停止区画と次の送り先のトレー停止区画との間に進むと、トレー2の進行方向前側の第1のガイドレール23がさらに両トレー停止区画間の固定の縦方向ガイドローラ対8Yに挟持されて縦方向に移動案内される。このようにしてトレー2は、予め決められたトレー停止区画(指定区画)に向けて送り駆動されていく。続いて、トレー2は初めのトレー停止区画から次の送り先のトレー停止区画に進入し、そのトレー停止区画の片側一方の送りローラ51まで移動されると、トレー2の第1のガイドレール23が初めのトレー停止区画の片側一方の送りローラ51と次のトレー停止区画の片側一方の送りローラ51に跨って係合され、両方の各送りガイドローラ52に案内されて駆動されていく。このようにしてトレー2が次の送り先のトレー停止区画へ移動されていくと、第1のガイドレール23は間もなく初めのトレー停止区画のトレー駆動装置5から引き離され、次の送り先のトレー停止区画のトレー駆動装置5にのみ係合して駆動されていく。トレー2が次の送り先のトレー停止区画で停止する場合は、初めのトレー停止区画と次のトレー停止区画との中間所定の地点で両区画の各トレー駆動装置5が低速に減速され、トレー2は次のトレー停止区画に達し、各車輪21、22が各担持ローラ43、44の頂部に乗り上げたところで各トレー駆動装置5の停止により停止される。この場合、トレー2は下面の各可動ガイドレール25とトレー駆動装置5の各送りローラ51の摩擦係合、及び各送りガイドローラ52の係合により、各担持ローラ43、44の上に確実に停止され、この停止状態が安定して維持される。また、次の送り先のトレー停止区画が指定区画でない場合は、トレー2はさらに次の送り先のトレー停止区画に向けて同様にして送り駆動される。そしてトレー2が指定区画に進入すると、同様に減速地点で各トレー駆動装置5は低速に減速され、そのトレー停止区画の各担持ローラ43、44の頂部に各車輪21、22が乗り上げたところでトレー駆動装置5の停止により確実かつ安定して停止される。
また、図5及び図6において、初めのトレー停止区画で、2つの駆動モータ530が反対に逆転方向に駆動されると、各送りローラ51が逆転方向に回転駆動され、これら送りローラ51に圧接され、摩擦係合されたトレー2下面の各可動ガイドレール25が後方向に送り駆動されるとともに、この縦(後)送りが送りローラ51の両側の送りガイドローラ52により案内されて、トレー2が移動を開始される。続いて可動ガイドレール25から第1のガイドレール23が送りガイドローラ52に案内されながら送りローラ51により縦方向に送り駆動される。このようにしてトレー2は、予め決められたトレー停止区画(指定位置)に向けて送り駆動されていく。この場合も前送りの動作と同様に、トレー2は予め決められた位置まで安定して移動し、確実に停止される。
このトレー送り機構1では、これら4基本動作、さらにこれらの基本動作から任意の動作が選択的に組み合わされて、動作パターンが組み立てられ、これによってトレー2が縦方向走行レール41及び横方向走行レール42により任意に組み立てられたトレー移動経路上で前後左右に自在に送り駆動される。例えば、このトレー送り機構1で、既存のパズル式平面循環型駐車設備や平面(又は水平)循環式駐車設備に採用されるトレーの移動形式と同じ動作が可能である。
続いて、このトレー送り機構1を適用した物品格納装置の一例として、パズル式平面循環型駐車設備について図7を用いて説明する。図7において、自動車の格納階層の駐車スペース110には複数の縦方向走行レール41と横方向走行レール42が選択的に設定されてマトリックス状に敷設され、これら縦方向走行レール41、横方向走行レール42により、(前記トレー停止区画に該当する)複数の格納区画111が形成されている。これらの格納区画111のうち、少なくとも1格納区画111を空区画(トレー2を置かない区画)にして他の格納区画111にトレー2が配置される。また、駐車スペース110の各格納区画111に選択的に又は各格納区画111毎に、既述のトレー駆動装置5が設置される。なお、トレー2が縦方向又は横方向のいずれか一方にのみ移動する格納区画111については、トレー2を単に縦方向又は横方向に移動するのに必要な一方向に固定の送りローラ装置が設置されていればよい。ここで例示されるトレー2、トレー駆動装置5の各部の構成は既に説明したとおりである。
なお、この平面循環型駐車設備には、自動車の入出庫階と自動車の格納階層との間に図示されないリフトが設置されており、その昇降台上に各自動車の格納階層においてリフトの昇降路に隣接する各格納区画111の縦方向走行レール41、横方向走行レール42に連結可能な横方向のレール、縦方向のレールと、トレー2下面の各可動ガイドレール25に係合可能なトレー駆動装置を備える。
この駐車設備では、図示されない制御手段に予め格納されたプログラムに基づいて、自動車の入出庫運転が行われる。まず、駐車スペース110の空区画に隣接する1箇所又は複数箇所の格納区画111のトレー2が駆動され、1箇所又は複数箇所の格納区画111上の1台又は複数台のトレー2が空区画に向けて送られる。
この場合、既述のとおり(図1参照)、まず、ローラ方向切り換え手段57の駆動モータ570が回転駆動され、この駆動モータ570に取り付けられた第1のリンク571が縦方向案内位置から横方向案内位置に又は横方向案内位置から縦方向案内位置に90度回動されると、この回転運動が第2、第3、第4のリンク572、573、574により伝達されて、各送りローラ51が(各送りローラ51により圧接され、各送りガイドローラ52により挟持されたトレー2の各可動ガイドレール25とともに)縦方向から横方向に又は横方向から縦方向に90度回転される。これに併せて、トレー2の次の送り先の格納区画111でも、トレー駆動装置5が同様に作動される。このようにしてトレー2の送り方向が決められ、トレー2が格納区画111上のセンタに位置決めされて(つまり、トレー2の芯と送る方向の芯が合わされて)、ローラ方向切り換え手段57の動作が停止される。なお、トレー2の送り方向を変えない場合は、この動作は行われることなく、次の動作から開始される。次に、送りローラ駆動手段53が作動され、2つの駆動モータ530が正転方向又は逆転方向に駆動されると、各送りローラ51が正転方向又は逆転方向に回転駆動され、トレー2は、縦方向走行レール41又は横方向走行レール42を空区画に向けて前進又は後進又は左進又は右進される。このようにして、トレー2が駆動され、初めの格納区画111から指定先の格納区画111へ移動し、指定先の格納区画111の停止区画でトレー駆動装置5の停止により停止される。
このようにして1台又は複数台のトレー2は空区画に向けて横方向又は縦方向に向けて移動する動作が繰り返されることにより、平面内を循環(パズル循環)され、入庫又は出庫のトレー2がリフトまで移動される。入庫又は出庫のトレー2がリフトの昇降台に載せられると、昇降台は自動車の入出庫階まで上昇又は下降され、自動車の入出庫階で自動車が入庫又は出庫される。
このようにこのトレー送り機構1は、トレー2が縦方向の4個の車輪21又は横方向の4個の車輪22で縦方向走行レール41上又は横方向走行レール42上に支持され、トレー駆動装置5が、一対の送りローラ51と、一対の送りローラ駆動手段53と、一対の送りローラ方向転換手段54と、ローラ方向切り換え手段57とにより構成されるので、従来に比べて部品点数を大幅に削減するとともに、その製造及び据付調整を簡略化して、大幅なコストダウンを図ることができる。特に、このトレー駆動装置5の場合、トレー停止区画の中心に対して前後両側の2箇所に集約できるので、装置全体をコンパクトにして設置することができる。
また、このトレー送り機構及びこれを用いた物品格納装置によれば、トレー2が縦方向の4輪の車輪21又は横方向の4輪の車輪22と縦方向走行レール41又は横方向走行レール42とより支持された状態で、一対の送りローラ51を水平方向の旋回するので、トレー2の移動方向の90度方向転換を簡易にして、トレー2上の実車、空車の状態に関わらず、又はトレー2上に自動車又は物品を載せているか否かに関わらず、運転状態を安定させ、トレー2の移動を円滑かつ確実に行うことができる。
さらに、このトレー送り機構1及びこれを用いた物品格納装置によれば、トレー2が縦方向の4輪の車輪21又は横方向の4輪の車輪22により縦方向走行レール41又は横方向走行レール42上に支持されるので、トレー2に従来のような大きな剛性を持たせなくても、トレー2上の実車、空車の状態に関わらず、又はトレー2上に自動車又は物品を載せているか否かに関わらず、トレー2を一定の状態で移動させることができる。またこの場合、トレー2を縦方向の4車輪21又は横方向の4車輪22により縦方向走行レール41又は横方向走行レール42上で走行させるので、トレー駆動装置5に従来のような大きな出力を必要とせず、小型の駆動モータ530を使用することができ、各送りローラ51のローラ径も小さくすることができる。したがって、トレー2及びトレー2を駆動する装置の高さ方向を圧縮することができ、駐車設備や格納装置の階高、さらに設備や装置全体の高さ方向を圧縮することができる。
また、このトレー送り機構1をパズル式平面循環型駐車設備に利用することにより、従来に比べて部品点数を大幅に削減するとともに、その製造及び据付調整を簡略化して、大幅なコストダウンを図ることができる。また、トレー2及びトレー2を駆動する装置の高さ方向を圧縮することができ、駐車設備の階高、さらに駐車設備全体の高さを圧縮することができる。
図8に本発明の第2の実施の形態を示している。この実施の形態では、第1の実施の形態におけるトレー駆動装置5の、特にローラ方向切り換え手段の別の構成が例示されている。ここでは、第1の実施の形態と同じ部材には同じ符号を付してその重複する説明を省略し、第1の実施の形態と異なる部材に新たな符号を付して説明する。
この実施の形態の場合、図8に示すように、一対の送りローラ51の組み立てユニットは、縦方向走行レール41と横方向走行レール42とにより区切られた区画内の前後両側の2箇所に設置され、各送りローラ51の組み立てユニットが水平方向に180度反転された向きにして、ローラ方向切り換え手段67に連結される。ローラ方向切り換え手段67は、駆動モータ570と、複数のリンク671、572、573、674、675とにより構成される。駆動モータ570は、第1の実施の形態と同様に、各送りローラ51の組み立てユニットの中間(で各送りローラ51の旋回範囲から外れた位置)に固定され、駆動モータ570の回転軸が垂直方向に向けられる。複数のリンク671、572、573、674、675は第1乃至第5のリンク671、572、573、674、675を備える。ここで第2、第3のリンク572、573は、第1の実施の形態と同じ、所定の長さを有するリンクで、同様に、各送りローラ51の組み立てユニットのローラ支持部材55に(駆動モータ530が突出する側部とは反対の)一側部から外方に突出して取り付けられる。第1のリンク671は第2、第3のリンク572、573の長さよりも長く、その長さ方向の中心が駆動モータ570の回転軸に水平方向に回転可能に取り付けられる。第4、第5のリンク674、675は、第1のリンク671の長さよりも長く、第4のリンク674は、第1のリンク671の一端と第2のリンク572の先端との間に連結され、第5のリンク675は、第1のリンク671の他端と第3のリンク573の先端との間に連結される。このようにして駆動モータ570の回転駆動により第1のリンク571が縦方向に対して所定の角度の斜めの方向(以下、縦方向案内位置という。)に向けられると、第4、第5のリンク674、675の案内により、第2、第3のリンク572、573が相互に縦方向、外方に向けて(すなわち、第2、第3のリンク572、573が相互に離間する方向に向けて)変位されて、各送りローラ51が縦方向に向けられ、また、駆動モータ570により第1のリンク571がこの縦方向案内位置から反時計回りに90度回動されると、第4、第5のリンク674、675の案内により、第2、第3のリンク572、573が相互に縦方向、内方に向けて(すなわち、第2、第3のリンク572、573が相互に接近する方向に向けて)変位されて、各送りローラ51が横方向に向けられるように組み立てられる。
このようにしても、第1の実施の形態と同様に、トレー2を送り駆動することができ、したがって、第1の実施の形態と同様の作用効果を発揮することができる。
図9に本発明の第3の実施の形態を示している。この実施の形態では、第1の実施の形態におけるトレー駆動装置5の、特にローラ方向切り換え手段の別の構成が例示されている。ここでは、第1の実施の形態と同じ部材には同じ符号を付してその重複する説明を省略し、第1の実施の形態と異なる部材に新たな符号を付して説明する。
この実施の形態の場合、図9に示すように、一対の送りローラ51の組み立てユニットは、縦方向走行レール41と横方向走行レール42とにより区切られた区画内の前後両側の2地点に第1の実施の形態と同様に設置され、ローラ方向切り換え手段77に連結される。ローラ方向切り換え手段77は、駆動モータ570と、複数のリンク571、572、573、774とにより構成される。駆動モータ570は、第1の実施の形態と異なり、一方の送りローラ51の組み立てユニットの外側(すなわち前側又は後側)に並列に固定され、この駆動モータ570の回転軸が垂直方向に向けられる。複数のリンク571、572、573、774は第1乃至第4のリンク571、572、573、774を備える。ここで第1乃至第3のリンク571、572、573に、第1の実施の形態と同じリンクが採用され、第4のリンク774に第1の実施の形態の第4のリンク574よりも少し長いリンクが用いられる。第1のリンク571はその一端が駆動モータ570の回転軸に水平方向に回転可能に取り付けられる。第2、第3のリンク572、573はそれぞれ、各送りローラ51の組み立てユニットのローラ支持部材55に(駆動モータ530が突出する側部とは反対の)一側部から外方に突出して取り付けられる。第4のリンク774は、第1、第2、第3のリンク571、572、573(の先端部)間に連結される。このようにして駆動モータ570の回転駆動により第1のリンク571が縦方向に対して所定の角度の斜めの方向(以下、縦方向案内位置という。)に向けられると、第4のリンク774の案内により、第2、第3のリンク572、573が縦方向に対して所定の角度の斜めの方向に向けられて、各送りローラ51が縦方向に向けられ、駆動モータ570により第1のリンク571がこの縦方向案内位置から反時計回りに90度回動されると、第4のリンク574の案内により、第2、第3のリンク572、573が横方向に対して所定の角度の斜めの方向(以下、横方向案内位置という。)に向けられて、各送りローラ51が横方向に向けられるように組み立てられる。
このようにしても、第1の実施の形態と同様に、トレー2を送り駆動することができ、したがって、第1の実施の形態と同様の作用効果を発揮することができる。また、この実施の形態の場合、縦方向走行レール41と横方向走行レール42とにより区切られた区画の中央部分に空き空間を設けることができ、区画の中央部分やトレーの下面中央に他の装置や部材を設置することができる。
図10に本発明の第4の実施の形態を示している。この実施の形態では、第1の実施の形態におけるトレー駆動装置5の、特にローラ方向切り換え手段の別の構成が例示されている。ここでは、第1の実施の形態と同じ部材には同じ符号を付してその重複する説明を省略し、第1の実施の形態と異なる部材に新たな符号を付して説明する。
この実施の形態の場合、図10に示すように、一対の送りローラ51の組み立てユニットは、縦方向走行レール41と横方向走行レール42とにより区切られた区画内の前後両側の2箇所に設置され、各送りローラ51の組み立てユニットが水平方向に180度反転された向きにして、各別のローラ方向切り換え手段87に連結される。各ローラ方向切り換え手87は、駆動モータ570と、複数のリンク571、572、873とにより構成される。一方のローラ方向切り換え手段87の場合、駆動モータ570は、一方の送りローラ51の組み立てユニットの外側(一方の送りローラ51の組み立てユニットの前側)に並列にして固定され、駆動モータ570の回転軸が垂直方向に向けられる。複数のリンク571、572、873は第1乃至第3のリンク571、572、873を備える。ここで第1、第2のリンク571、572に、第1の実施の形態と同じリンクが採用され、第3のリンク873に第1のリンク571と略同じ長さのリンクが用いられる。第1のリンク571はその一端が駆動モータ570の回転軸に水平方向に回転可能に取り付けられる。第2のリンク572は送りローラ51の組み立てユニットのローラ支持部材55に(駆動モータ530が突出する側部とは反対の)一側部から外方に突出して取り付けられる。第3のリンク873は、第1のリンク671の他端と第2のリンク572の先端との間に連結される。他方のローラ方向切り換え手段87の場合も同様にして、駆動モータ570は、他方の送りローラ51の組み立てユニットの外側(他方の送りローラ51の組み立てユニットの後側)に並列にして固定され、駆動モータ570の回転軸が垂直方向に向けられる。複数のリンク571、572、873は第1乃至第3のリンク571、572、873を備え、ここで第1、第2のリンク571、572に、第1の実施の形態と同じリンクが採用され、第3のリンクに第1のリンク571と略同じ長さのリンクが用いられる。第1のリンク571はその一端が駆動モータ570の回転軸に水平方向に回転可能に取り付けられる。第2のリンク572は送りローラ51の組み立てユニットのローラ支持部材55に(駆動モータ530が突出する側部とは反対の)一側部から外方に突出して取り付けられる。第3のリンク873は、第1のリンク671の他端と第2のリンク572の先端との間に連結される。このようにして各駆動モータ570の回転駆動により各第1のリンク571が縦方向に対して所定の角度の斜めの方向(以下、縦方向案内位置という。)に向けられると、各第3のリンク873の案内により、各第2のリンク572が相互に縦方向、内方に向けて(すなわち、各第3のリンク873が相互に接近する方向に向けて)変位されて、各送りローラ51が縦方向に向けられ、また、各駆動モータ570により各第1のリンク571がこの縦方向案内位置から反時計回りに90度回動されると、第3のリンク873の案内により、第2のリンク572が相互に縦方向、外方に向けて(すなわち、各第2のリンク572が相互に離間する方向に向けて)変位されて、各送りローラ51が横方向に向けられるように組み立てられる。
このようにしても、第1の実施の形態と同様に、トレー2を送り駆動することができ、したがって、第1の実施の形態と同様の作用効果を発揮することができる。また特に、この実施の形態の場合、縦方向走行レール41と横方向走行レール42とにより区切られた区画の中央部分に空き空間を設けることができ、区画の中央部分にトレー2を昇降、旋回するトレー昇降旋回装置Tその他の装置や部材を配置することができ、区画の中央部分やトレー2の下面中央に他の装置や部材を設置することができる。なお、区画にトレー昇降旋回装置Tを設置することで、トレー2をトレーの循環経路上で昇降、旋回することができるので、特に駐車設備の場合、入出庫部に自動車の旋回スペースを不要にすることができる。また、この場合、トレーの昇降旋回装置は、リフトや入出庫部に設置されてもよく、トレーがリフトの昇降路上や入出庫部上で旋回されても差し支えないことは勿論である。
図11に本発明の第5の実施の形態を示している。この実施の形態では、第1乃至第4の実施の形態に採用し得るトレー2の別の構成が例示されている。このトレー2は、車輪方向切り換え手段が搭載されて、4輪の車輪構成になっている点で、第1の実施の形態と異なり、ここでは、第1の実施の形態と同じ部材には同じ符号を付してその重複する説明を省略し、第1の実施の形態と異なる部材に新たな符号を付して説明する。
図11において、トレー2の下面には、トレー2を縦方向又は横方向に走行可能に支持する複数の車輪20と、トレー駆動装置(5)に係合される固定ガイドレール234及び一対の可動ガイドレール25と、トレー駆動装置(5)の各送りローラ51を各可動ガイドレール25とともに縦方向又は横方向に選択的に切り換える動作に連動して、トレー2の各車輪20を縦方向走行レール(41)又は横方向走行レール(42)と同一方向に切り換える車輪方向切り換え手段27とを備える。このトレー2の場合、トレー2の下面の略四隅に円板26が水平方向に回転可能に取り付けられ、これらの円板26上にそれぞれ車輪20が固定されて、4輪構成の各車輪20が水平方向に旋回可能になっている。固定ガイドレール234及び一対の可動ガイドレール25は既に説明したとおりである。車輪方向切り換え手段27は複数のリンクにより構成され、トレー2の、縦方向走行レール又は横方向走行レールと並列の片側一方、ここでは横方向走行レールと並列の各車輪20間、及びその一方の車輪20と(この車輪20に近い)一方の可動ガイドレール25との間、並びに片側他方の各車輪20間、及びその一方の車輪20と他方の可動ガイドレール25との間がリンク271により結合される。なお、この実施の形態では、トレー2の各車輪20を縦方向に案内し、トレー2を縦方向に走行案内する縦方向走行レールに既述の縦方向走行レール(41)が採用され、トレー2の各車輪20を横方向に案内し、トレー2を横方向に走行案内する横方向走行レールに既述の縦方向走行レール(42)が採用されるが、各縦方向走行レール41と各横方向走行レール42との交差部に、トレー2の各車輪20を縦方向走行レール41又は横方向走行レール42に向けて切り換え可能なレール切り換え手段を備えることが望ましい。このレール切り換え手段は、例えば該交差部に旋回板を埋設することで構成することができる。この場合、該交差部に円形の凹部を設け、この凹部内に旋回板をベアリング、必要に応じて回転軸を介して、各走行レールと同じ高さで水平方向に回転可能に埋設配置すればよい。
トレー2にこのような構成を採用し、トレー駆動装置(5)の各送りローラを各可動ガイドレール25とともに縦方向又は横方向に選択的に切り換える動作に連動して、トレー2の各車輪20を縦方向走行レール又は横方向走行レールと同一方向に切り換えるようにすることで、トレー2を4車輪構成で、縦方向又は横方向に自在に送り駆動することができる。さらに、この場合、担持ローラが不要となることから、トレー2はこの担持ローラに乗り上げる動作がなくなる。なお、この構成とは反対に、平面に、トレー2を縦方向又は横方向に走行可能に支持する複数の車輪が水平方向に旋回可能に設けられ、トレー2の下面に、平面上の各車輪20により縦方向に案内され、トレー2を縦方向に走行案内する複数の縦方向走行レール、平面上の各車輪20により横方向に案内され、トレー2を横方向に走行案内する複数の横方向走行レール、及び各縦方向走行レールと各横方向走行レールとの交差部に水平方向に回転可能に配置され、トレー2の各車輪20を縦方向走行レール又は横方向走行レールに向けて切り換え可能なレール切り換え手段とにより構成され、トレー2に、各送りローラを各可動ガイドレール25とともに縦方向又は横方向に選択的に切り換える動作に連動して、トレー2の各車輪20を縦方向走行レール又は横方向走行レールと同一方向に切り換える車輪方向切り換え手段が併設されてもよい。このようにしても同様の作用効果を奏することができる。
なお、上記各実施の形態では、トレー駆動装置の各送りローラの組み立てユニットがそれぞれ区画の横方向中心に設置されているが、これらの送りローラの組み立てユニットは該中心から横方向(左右方向)いずれか一方に片寄った位置に設置されてもよく、この場合、各送りローラの位置に合わせてトレーの各ガイドレールの位置を変えることで、トレーを第1、第2の実施の形態と同様に駆動することができ、同様の作用効果を得ることができる。
また、上記各実施の形態では、トレー送り機構1を適用したトレーのパズル式平面循環について例示しているが、このトレー送り機構1をパズル式以外の、平面(又は水平)循環式駐車設備などに採用されるトレーの循環方式にも同様に適用して同様の作用効果を奏することができる。また、このトレー送り機構1は、平面循環式の駐車設備に限定して使用されるものではなく、さらに単列又は複列形式の平面往復式、エレベータ式など各種機械式駐車設備において、トレーの平面循環又はパズル循環が必要な個所に適宜設置することができ、各種機械式駐車装置において上記と同様の作用効果を奏することができる。さらに、このトレー送り機構1を各種物品を格納する各種自動倉庫設備においても同様に利用することができる。