図1乃至図18に本発明の一実施の形態を示している。図1において、トレー送り機構1は、物品を載せるトレー2と、物品を格納又は搬送する平面上でトレー2を横方向及び縦方向に向けて移動案内するトレーガイド3と、トレー2を送り駆動するトレー駆動装置4とを備える。
トレー2は、図2に示すように、縦長の長方形状の板材で、物品を安定して載置可能な平面形状を有する。ここでは、特に機械式駐車装置に使用する自動車載置用のトレーが例示されている。なお、トレー2は長方形に限定されるものではなく、物品の形状に応じて、例えば正方形、円形など、任意の形状に変更可能である。このトレー2には、トレーガイド3を構成する、4輪構成の横方向のローラ31と4輪構成の縦方向のローラ32が設けられる。この場合、横方向のローラ31はトレー2の下面の略四隅近傍に1輪ずつ横向きに軸支され、縦方向のローラ32はトレー2の下面の略四隅近傍に1輪ずつ縦向きに軸支され、全8輪のローラ31、32が後述のトレーガイド3を構成する、横方向、縦方向の各レール33、34に乗せられる。なお、この実施の形態では、トレー2の下面四隅にそれぞれ、横方向のローラ31、縦方向のローラ32が1輪ずつ設けられるが、必要に応じてトレー2の下面四隅に横方向、縦方向の各ローラ31、32が複数個ずつ設けられてもよい。これらのトレー2にはまた、横方向及び縦方向に向けて延びる(単列の)ラック41、42が具備される。これらのラック41、42は、その下面に複数の台形の歯が形成され、横方向のラック41は各トレー2の下面の略一側部(中央)から他側部(中央)に延び、また縦方向のラック42は各トレー2の下面の略一端(中央)から他端(中央)に延び、またこれら横方向のラック41と縦方向のラック42の交差部は間欠される。なお、ここでラック41、42はトレー2下面の中央に配置されているが、中央から外れた位置に配置されてもよく、また、各ラック41、42は単列に配置されているが、複数列にして配置されてもよい。
トレーガイド3は、図1及び図3に示すように、トレー2下面に設置された8輪構成のローラ31、32と、物品を格納又は搬送する平面上に横方向及び縦方向に向けて設置された複数のレール33、34とにより構成される。8輪構成のローラ31、32については既に説明したとおりである。一方、横方向のレール33は、トレー2の横方向の各ローラ31が転動可能なフラットな走行面を有する前後一対のレールからなり、これらのレール33間の間隔にトレー2の長手方向よりも小さい所定の寸法が設定されて、水平面上に横方向に向けて設置される。なお、横方向のレール33上にリフトが設置される場合、一対のレールが部分的に切り欠かれて、そこにリフトの昇降路が形成される。また、縦方向のレール34は、トレー2の縦方向のローラ32が転動可能なフラットな走行面を有する左右一対のレールからなり、これらのレール34間の間隔にトレー2の幅方向よりも小さい所定の寸法が設定されて、水平面上に縦方向に向けて設置される。なお、縦方向のレール34上にリフトが設置される場合、一対のレールが部分的に切り欠かれて、そこにリフトの昇降路が形成される。また、図3に示すように、横方向の各レール33には、縦方向の各レール34に近接する位置(すなわち、縦方向の各レール34上を移動するトレー2の左右の横方向の各ローラ31に対応する位置)に、トレー2(の横方向のローラ31)の担持部材として、担持ローラ35がその回転軸を横方向のレール33が延びる方向に向けて軸支される。さらに、縦方向の各レール34には、横方向の各レール33に近接する位置(すなわち、横方向の各レール33上を移動するトレー2の前後の縦方向の各ローラ32に対応する位置)に、トレー2(の縦方向のローラ32)の担持部材として、担持ローラ36がその回転軸を縦方向のレール34が延びる方向に向けて軸支される。なお、各横方向のレール33の走行面、各縦方向のレール34の走行面、各担持ローラ35、36の頂部は同じレベルに設定される。また、ここでは特に図示していないが、このトレーガイド3には、トレー2の横送り方向又は縦送り方向に対する位置ずれを補正する横方向及び縦方向の位置補正ガイドが併設される。このようにして横方向のレール31と縦方向のレール32が任意に組み合わされて、各種機械式駐車設備や各種自動倉庫設備に利用するトレー2の移動経路が形成される。
なお、この実施の形態では、トレー2下面に横方向及び縦方向のローラ31、32を設け、物品を格納又は搬送する水平面上に横方向及び縦方向のレール33、34を設置しているが、これとは反対に、トレー下面に横方向及び縦方向のレールを設け、物品を格納又は搬送する水平面上に横方向及び縦方向のローラを設置して、トレーガイドを構成することもできる。
トレー駆動装置4は、図4に示すように、平面上に上下動ガイド51の案内により上下動可能に支持され、トレー2の横方向のラック41に係合し、トレー2を横方向に駆動する歯付きベルト伝動部材6を有するトレー横送り装置43と、平面上に上下動ガイド51の案内により上下動可能に支持され、トレー2の縦方向のラック42に係合し、トレー2を縦方向に駆動する歯付きベルト伝動部材6を有するトレー縦送り装置45と、トレー横送り装置43を上方に移動して歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向のラック41に係合するとともに、トレー縦送り装置45を下方に移動して歯付きベルト伝動部材6をトレー2の縦方向のラック42から離脱するトレー横送りシフトと、トレー縦送り装置45を上方に移動して歯付きベルト伝動部材6をトレー2の縦方向のラック42に係合するとともに、トレー横送り装置43を下方に移動して歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向のラック41から離脱するトレー縦送りシフトと、トレー横送りシフトからトレー縦送りシフトへ又はその反対に移行する間、上方に移動されたトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45を下げないで、当該(上方に移動された)トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向のラック41又は縦方向のラック42に係合するトレー固定シフトとを取り、トレー2の送り方向を切り替えるトレー送り方向切り替え装置8とを備える。
このトレー駆動装置4の場合、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各歯付きベルト伝動部材6は共通の構成を有し、図5及び図6に示すように、両面に歯61、62を付けられたマルチタイミングベルト60と、マルチタイミングベルト60の内側面の歯62に噛み合い係合され、マルチタイミングベルト60を回転駆動する複数のプーリ63、64、65と、これらを1ユニットに組み立てる本体フレーム67とを有する。この場合、マルチタイミングベルト60の両面、すなわち外側面と内側面に台形状の歯61、62が同じピッチで突出され、外側面の歯61がトレー2の各ラック41、42に係合可能に、内側面の歯62が後述するプーリ63、64、65に係合可能に形成される。ここではマルチタイミングベルト60が3つのプーリ63、64、65により案内駆動され、マルチタイミングベルト60を係回する大径の駆動プーリ63及びこれと同径の従動プーリ64と、これら駆動プーリ63及び従動プーリ64間でマルチタイミングベルト60の回転を案内する小径のガイドプーリ65とにより構成される。本体フレーム67は、横長の箱形のフレームからなり、各側面フレーム671、671の中心に傾動軸521用の丸穴673、その片側一方に駆動プーリ取り付け用の丸穴674、その片側他方に従動プーリ取り付け用の長穴675、また据え付け用の丸穴673と従動プーリ取り付け用の長穴675との間で下部にガイドプーリ取り付け用の丸穴676が設けられる。本体フレーム67の一端側で各側面フレーム671、671間に駆動プーリ63が配置され、各側面フレーム671の丸穴674間にベアリング68を介して挿通された減速機付きの駆動モータ47の駆動軸48に軸支される。駆動モータ47は、一方の側面フレーム671の外側に固定される。また、本体フレーム67の他端側で各側面フレーム671、671間に従動プーリ64が駆動プーリ63と同じ高さに配置され、各側面フレーム671の長穴675間に挿通された従動軸69にベアリング70を介して軸支される。ここで従動プーリ64の従動軸69は本体フレーム67の各側面フレーム671、671に設けられた長穴675、675に通され、各側面フレーム671、671の外側に各側面フレーム671、671に沿って内外方向に変位可能に配置されたテンショナープレート71に支持されて、従動プーリ64が内外方向に位置を少し変位できるように取り付けられる。この従動プーリ64の位置を調節する調節部材72が本体フレーム67の一方の端面フレーム672とこれに対向するテンショナープレート71の端面との間に設けられる。この調節部材72は、本体フレーム67の端面プレート672に固定され、テンショナープレート71の端面に形成された穴710を通されたスクリュー721と、その穴710の内外両側でスクリュー721に螺合されたナット722とからなり、ナット722の締め込みにより、本体フレーム67に固定されたスクリュー721がテンショナープレート71の端面から外側に向けてねじ送りされ、従動軸69が同方向に変位される。すなわち、従動プーリ64は外側に向けて変位される。反対にナット722が緩められると、スクリュー721がテンショナープレート71の端面から内側に向けてねじ送りされ、従動軸69が同方向に変位される。すなわち、従動プーリ64は内側に向けて変位される。また、本体フレーム67の中間下部で各側面フレーム671、671間にガイドプーリ65が配置され、各側面フレーム671の丸穴676に挿通された軸73にベアリング74を介して軸支される。このガイドプーリ65は、その両端部にフランジが形成され、マルチタイミングベルト60がガイドプーリ65からはずれることを防止している。このようにして駆動プーリ63、従動プーリ64、ガイドプーリ65が本体フレーム67に一体的に組み立てられ、これら3プーリ63、64、65間にマルチタイミングベルト60は上側(の循環部分)及び下側(の循環部分)が水平方向に張り架けられる。そして、調節部材72で従動プーリ64を外側又は内側に向けて変位させることで、マルチタイミングベルト60の張り具合を調整することができる。この歯付きベルト伝動部材6とこれを駆動する駆動モータ47とにより、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45が構成される。
図4に示すように、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45は物品を格納又は搬送する平面上に据え付けられ、併せてこれらトレー横送り装置43、トレー縦送り装置45間にトレー送り方向切換装置8が組み立てられる。トレー横送り装置43は、平面上の所定の位置(横方向のレール33、33間の中央に当たる位置)に横向きにして、一対の上下動ガイド51、51の案内により上下動可能に、かつ各上下動ガイド51、51間に構成された傾動機構52によりトレー2の送り方向に傾動可能に組み立てられ、弾性支持手段53により弾性的に支持される。図7及び図8に示すように、各上下動ガイド51は、平面上に上下方向に向けて設置された直状のガイド部材511と、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45に設けられ、直状のガイド部材511に移動可能に配置された係合部材512とにより構成される。この場合、直状のガイド部材511に円筒状のリニアシャフトが採用され、係合部材512に円筒状のシャフト通し穴を有するリニアガイド(ブッシュ)が採用される。トレー横送り装置43の据え付け位置の両側にそれぞれリニアシャフト511が設置され、これらのリニアシャフト511上にリニアガイド512がスラスト支持される。トレー横送り装置43には、本体フレーム67の各側面フレーム671中心の丸穴673間にベアリング75を介して軸(傾動軸)521が挿通され、この軸521の両端が各リニアガイド512に連結される。このように軸521が各上下動ガイド51、51間に架け渡されて、各上下動ガイド51、51間にトレー横送り装置43の傾動機構52が構成される。このようにしてトレー横送り装置43は、各上下動ガイド51により上下動可能に支持され、各上下動ガイド51、51間の傾動機構52(軸521)によりトレー2の送り方向に傾動可能に支持される。また、トレー横送り装置43の傾動中心の両側に弾性支持手段53が取り付けられる。この場合、弾性支持手段53に圧縮コイルスプリングが採用され、この圧縮コイルスプリング53で、本体フレーム67の両側(駆動プーリ63側と従動プーリ64側)が上方に向けて付勢され、トレー横送り装置43全体が弾性的に支持される。なお、本体フレーム67の圧縮コイルスプリング53を受ける面には筒状のばね受け76が設けられ、このばね受け76の下面開口には内周方向に突出するフランジ761が形成される。一方、圧縮コイルスプリング53のばね座上にシャフト77が立ち上げられ、シャフト77が圧縮コイルスプリング53の中に通されて、本体フレーム67のばね受け76内に挿通される。シャフト77の先端にフランジ761に係合可能なストッパー78が設けられ、このストッパー78により圧縮コイルスプリング53の伸び量が規制され、トレー横送り装置43の高さが制限される。この場合、シャフト77にスクリューシャフトを用い、ストッパー78にナットを用いることにより、圧縮コイルスプリング53の伸び量を調整することができ、トレー横送り装置43のレベル(高さ)を調整することができる。トレー縦送り装置45は、図4に示すように、平面上の所定の位置(縦方向のレール34、34間の中央に当たる位置)に縦向きにして、図9及び図10に示すように、トレー横送り装置43と同様に、一対の上下動ガイド51の案内により上下動可能に、かつ各上下動ガイド51、51間に構成された傾動機構52(軸521)によりトレー2の送り方向に傾動可能に組み立てられ、弾性支持手段(圧縮コイルスプリング)53により弾性的に支持される。なお、ここでトレー横送り装置43は同一平面上の横方向中央に設置され、トレー縦送り装置45は縦方向中央に設置されているが、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の取付位置は、トレー2の下面におけるラック41、42の取付位置に応じて、適宜変更される。また、トレー2下面にラック41、42が複数列にして配置された場合、複数のトレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45がそれぞれ、並列に設置される。
一方、トレー送り方向切り替え装置8は、図4に示すように、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45を各別に上方に押圧付勢する押圧付勢手段81、81(図8及び図10参照)と、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45に各別に水平方向に突出された切り替えガイド82、83と、トレー横送り装置43の切り替えガイド82又はトレー縦送り装置45の切り替えガイド83の一方を押下し他方を押下しない動作形態と、反対に一方を押下しないで他方を押下する動作形態と、両方を押下しない動作形態とを取り得る回転体構造の押下装置84とを備える。この場合、押圧付勢手段81に圧縮コイルスプリングが採用され、既述の圧縮コイルスプリング53がその取り付け状態のまま利用される。トレー横送り装置43の切り替えガイド82は、図7及び図8に示すように、略コ字形の平面形状を有し、中間の水平方向ガイド821と、両側の取付アーム822とからなり、両側の取付アーム822がトレー横送り装置43のトレー縦送り装置45に近接する一方のリニアガイド512に接合され、トレー横送り装置43に一体化される。トレー縦送り装置45の切り替えガイド83は、図9及び図10に示すように、一対の水平方向ガイド831からなり、その取付端がトレー縦送り装置45のトレー横送り装置43に近接する一方のリニアガイド512に接合され、トレー縦送り装置45に一体化される。なお、これら切り替えガイド82、83はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6の向きと平行な仮想直線上に配置される。押下装置84は、図11に示すように、回転シャフト841と、回転シャフト841の外周面に取り付けられた複数の押下ローラ843と、回転シャフト841を回転駆動する駆動モータ845とを備える。回転シャフト841はトレー横送り装置43の切り替えガイド82の上方とトレー縦送り装置45の切り替えガイド83の上方とを結ぶ直線上(前記仮想直線上)に軸受842を介して水平に軸支され、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各切り替えガイド82、83の上方に当たる位置にそれぞれ、一対の取付アーム844が取付方向を90度変えて接合され、これら取付アーム844間に各押下ローラ843が取り付けられる。また、この回転シャフト841のトレー横送り装置43とは反対側の端部に駆動モータ845が設置され、回転シャフト841と駆動モータ845が直結される。この押下装置84の構成により、回転シャフト841が駆動モータ845により回転駆動され、トレー縦送り装置45の切り替えガイド83上で押下ローラ843が下方に向けられることにより、この押下ローラ843でトレー縦送り装置45の切り替えガイド83が押下される一方、トレー横送り装置43の切り替えガイド82上で押下ローラ843が水平方向に向けられて、トレー横送り装置43の切り替えガイド82は押下ローラ843に押下されない縦方向押下動作(図12参照)と、トレー横送り装置43の切り替えガイド82上で押下ローラ843が下方に向けられることにより、この押下ローラ843でトレー横送り装置43の切り替えガイド82が押下される一方、トレー縦送り装置45の切り替えガイド83上で押下ローラ843が水平方向に向けられて、トレー縦送り装置45の切り替えガイド83が押下ローラ843に押下されない横方向押下動作(図16参照)と、トレー縦送り装置45又はトレー横送り装置43の一方の切り替えガイド83又は82上で押下ローラ843が下方から水平方向へ向けて又は水平方向から下方へ向けて45度回転され、下方と水平方向との中間位置まで移動される一方、他方の切り替えガイド82又は83上で押下ローラ843が水平方向から下方へ向けて又は下方から水平方向へ向けて45度回転され、水平方向と下方との中間位置まで移動されることにより、トレー縦送り装置45又はトレー横送り装置43の一方の切り替えガイド83又は82は押下ローラ843による押下が解除されて接触状態にあるが押下されず、他方の切り替えガイド82又は83が押下ローラに接触状態にあるが押下されない両方向非押下動作(図15参照)が行われる。このようにしてトレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45は各別に、圧縮コイルスプリング53に支持されて、その付勢力によりトレー2の横方向及び縦方向の各ラック、41、42に係合可能な位置に押し上げられ、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各切り替えガイド82、83と押下装置84との間の縦方向押下動作と、横方向押下動作と、両方向非押下動作とにより、トレー横送り装置43を上方(トレー2の横方向のラック41に係合する高さ)に押し上げ移動して歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向のラック41に係合するとともに、トレー縦送り装置45を下方(トレー2の縦方向のラック42に係合しない高さ)に押し下げ移動して歯付きベルト伝動部材6をトレー2の縦方向のラック42から離脱するトレー横送りシフトと、トレー縦送り装置45を上方(トレー2の縦方向のラック42に係合する高さ)に押し上げ移動して歯付きベルト伝動部材6をトレー2の縦方向のラック42に係合するとともに、トレー横送り装置43を下方(トレー2の横方向のラック41に係合しない高さ)に押し下げ移動して歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向のラック41から離脱するトレー縦送りシフトと、トレー横送りシフトからトレー縦送りシフトへ又はその反対に移行する間、上方に押し上げ移動されたトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45を下げないで、当該トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向のラック41又は縦方向のラック42に係合するトレー固定シフトとを取り、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45とトレー2の横方向のラック41又は縦方向のラック42とを選択的に切り替え係合する。
なお、このトレー送り機構1はトレー横送り装置43とトレー縦送り装置45に分割されてもよく、トレー2を横方向にのみ移動する特定の位置にトレー横送り装置43のみを設置したり、トレー2を縦方向にのみ移動する特定の位置にトレー縦送り装置45のみを設置したりする場合に適用することができる。この場合、トレー横送り装置43、トレー縦送り装置45にトレー送り方向切り替え装置8は不要であるが、押圧付勢手段(圧縮コイルスプリングなど)81で支持されることが好ましい。
このようにしてトレー送り機構1は構成され、図示されない制御手段に予め格納されたプログラムに従って、トレー送り方向切り替え装置8が作動され、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6とトレー2の横方向のラック41又は縦方向のラック42が係合切り換えされ、歯付きベルト伝動部材6の回転駆動により各トレー2が横方向又は縦方向に送り駆動されて、この送り方向の組み合わせによりトレー2が水平面上で平面循環される。
次に、このトレー送り機構1の基本的な動作について図1、さらに図12乃至図17を用いて説明する。図1において、動作前のトレー2は予め横方向及び縦方向のレール33、34上に設定された各トレー停止位置で停止され、横方向の4ローラ31は横方向のレール33の一部に設置された担持ローラ35上に乗り、縦方向の4ローラ32は縦方向のレール34の一部に設置された担持ローラ36上に乗り、ここでは、トレー送り方向切り替え装置8にトレー横送りシフトが取られて、図12に示すように、トレー横送り装置43が上方に押し上げられて歯付きベルト伝動部材6がトレー2の横方向のラック41に噛み合い係合されるとともに、トレー縦送り装置45を下方に押し下げられて歯付きベルト伝動部材6がトレー2の縦方向のラック42から離脱される。このとき、トレー横送り装置43は独立して弾性支持手段81に支持されてその付勢力により上方向に押し上げられているので、トレー2下面の横方向のラック41の歯と歯付きベルト伝動部材6のマルチタイミングベルト60の歯が平行に弾性的に圧接されて噛み合い、トレー2の動きは完全に規制され、トレー2は担持ローラ35、36上で安定して停止される。以下、トレー2の左進駆動、右進駆動、前進駆動、及び後進駆動に分けて説明していく。
トレー2を左進駆動する場合、図1において、図示されない制御手段により、トレー横送り装置43が作動され、その歯付きベルト伝動部材6が正転方向に駆動される。この歯付きベルト伝動部材6に噛み合い係合するトレー2の横方向のラック41は歯付きベルト伝動部材6の回転方向に送られ、トレー2が、(担持ローラ35、36から動き出し)横方向のレール33上を左進駆動される。このようにしてトレー2は、予め指定されたトレー停止位置(指定位置)に向けて送り駆動されていく。続いて、トレー2は初めのトレー停止位置からこれに隣接する次のトレー停止位置に向けて移動され、その略中間位置まで移動されたところで、トレー2の横方向のラック41は次の停止位置のトレー横送り装置43に乗り上げ、各トレー停止位置のトレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6の、トレー2のラック41に対する係合面に設定された長さにより、トレー2の横方向のラック41が初めのトレー停止位置の一方のトレー横送り装置43と次のトレー停止位置の他方のトレー横送り装置43に跨って係合され、駆動される。このとき、各トレー横送り装置43は圧縮コイルスプリング53により弾性的に支持されていることにより、トレー2の、次のトレー停止位置のトレー横送り装置43に乗り上げる時の衝撃が吸収される。また、この場合、圧縮コイルスプリング53の弾性支持により、トレー横送り装置43はトレー2の移動に必要な力で押し付けるだけの弾性力だけがかかることになる。また、図13に示すように、トレー2の荷重によりトレー横送り装置43が傾動し、その乗り上げ側端が下げられるが、トレー横送り装置43は圧縮コイルスプリング53の付勢力によりトレー2の下面に追随し、またリニアシャフト511とリニアガイド512との案内により、トレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6がトレー2の横方向のラック41に平行に押し付けられ、トレー2は安定して駆動される。トレー2がさらに送られると、図14に示すように、トレー2の荷重によりトレー横送り装置43は全体が押し下げられる。トレー横送り装置43は、圧縮コイルスプリング53の付勢力と、リニアシャフト511とリニアガイド512との案内により水平姿勢を取って、トレー2の下面に追随し、トレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6がトレー2の横方向のラック41に平行に押し付けられる。この場合、圧縮コイルスプリング53の弾性支持により、トレー横送り装置43はトレー2の移動に必要な力で押し付けるだけの弾性力だけがかかることになる。これによりトレー2は安定して駆動される。このようにしてトレー2が次のトレー停止位置へ向けて左進していき、横方向のラック41は初めのトレー停止位置のトレー横送り装置43から引き離され、次のトレー停止位置のトレー横送り装置43にのみ係合される。トレー2が次のトレー停止位置で停止する場合は、初めのトレー停止位置と次のトレー停止位置との中間所定の地点でトレー横送り装置43が低速に減速され、トレー2は次のトレー停止位置に達し、各ローラ31、32が各担持ローラ35、36の頂部に乗り上げたところでトレー横送り装置43の停止により停止される。このとき、トレー横送り装置43は独立して圧縮コイルスプリング53に支持されてその付勢力により上方向に押し上げられているので、歯付きベルト伝動部材6のマルチタイミングベルト60の歯とトレー2下面の横方向のラック41の歯が平行に弾性的に圧接されて噛み合い、トレー2の動きは完全に規制され、トレー2は担持ローラ35、36上に確実に停止され、この停止状態が安定して維持される。また、次のトレー停止位置が指定位置でない場合は、トレー2は次のトレー停止位置から同様にさらに次のトレー停止位置へ送り駆動される。
トレー2を右進駆動する場合、図1において、図示されない制御手段により、トレー横送り装置43が作動され、歯付きベルト伝動部材6が逆転方向に駆動されると、この歯付きベルト伝動部材6に噛み合い係合するトレー2の横方向のラック41は歯付きベルト伝動部材6の回転方向に送られ、トレー2が、(担持ローラ35、36から動き出し)横方向のレール33上を右進駆動される。この場合、左進駆動とは反対の向きで同様の動作形式を取り、トレー2は予め決められた位置まで安定して移動し、確実に停止される。
トレー2を前進駆動する場合、図1において、図示されない制御手段により、トレー送り方向切り替え装置8が作動され、現時のトレー横送りシフトからトレー固定シフトを経てトレー縦送りシフトに切り替えられる。すなわち、図15に示すように、トレー送り方向切り替え装置8の作動により、上方に押し上げ移動されたトレー横送り装置43を下げないで、当該トレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向のラック41に係合したまま、トレー縦送り装置45が上方に押し上げ移動されて歯付きベルト伝動部材6がトレー2の縦方向のラック42に係合される。この時点でトレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各歯付きベルト伝動部材6とトレー2下面の横方向及び縦方向の各ラック41、42が共に噛み合わされ、トレー2は各担持ローラ35、36上で確実に固定される。このようにしてトレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各歯付きベルト伝動部材6とトレー2下面の横方向及び縦方向の各ラック41、42が係合されると即時に、図16に示すように、トレー横送り装置43が下方に押し下げ移動され、歯付きベルト伝動部材6がトレー2の横方向のラック41から離脱される。このとき、トレー縦送り装置45は独立して弾性支持手段81に支持されてその付勢力により上方向に押し上げられるので、トレー2下面の縦方向のラック42の歯と歯付きベルト伝動部材6のマルチタイミングベルト60の歯が平行に弾性的に圧接されて噛み合い、トレー2の動きは完全に規制され、トレー2は担持ローラ35、36上で安定して停止される。このようにしてトレーの移動方向が横送りから縦送りに切り替えられる。そしてトレー縦送り装置45が作動され、歯付きベルト伝動部材6が正転方向に駆動されると、トレー2は、(担持ローラ35、36から動き出し)縦方向のレール34上を前進駆動される。このようにしてトレー2は、予め指定されたトレー停止位置(指定位置)に向けて送り駆動されていく。続いて、トレー2は初めのトレー停止位置からこれに隣接する次のトレー停止位置に向けて移動され、その略中間位置まで移動されたところで、トレー2の縦方向のラック42は次の停止位置のトレー縦送り装置45に乗り上げ、各トレー停止位置のトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6の、トレー2のラック42に対する係合面に設定された長さにより、トレー2の縦方向のラック42が初めのトレー停止位置の一方のトレー縦送り装置45と次のトレー停止位置の他方のトレー縦送り装置45に跨って係合され、駆動される。このとき、各トレー縦送り装置45は圧縮コイルスプリング53により弾性的に支持されていることにより、トレー2の、次のトレー停止位置のトレー縦送り装置45に乗り上げる時の衝撃が吸収される。また、この場合、圧縮コイルスプリング53の弾性支持により、トレー縦送り装置45はトレー2の移動に必要な力で押し付けるだけの弾性力だけがかかることになる。また、図17に示すように、トレー2の荷重によりトレー縦送り装置45が傾動し、その乗り上げ側端が下げられるが、トレー縦送り装置45は圧縮コイルスプリング53の付勢力によりトレー2の下面に追随し、またリニアシャフト511とリニアガイド512との案内により、トレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6がトレー2の縦方向のラック42に平行に押し付けられ、トレー2は安定して駆動される。トレー2がさらに送られると、トレー2の荷重によりトレー縦送り装置45は全体が押し下げられる。トレー縦送り装置45は、圧縮コイルスプリング53の付勢力と、リニアシャフト511とリニアガイド512との案内により水平姿勢を取って、トレー2の下面に追随し、トレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6がトレー2の縦方向のラック42に平行に押し付けられる。この場合、圧縮コイルスプリング53の弾性支持により、トレー縦送り装置45はトレー2の移動に必要な力で押し付けるだけの弾性力だけがかかることになる。これによりトレー2は安定して駆動される。このようにしてトレー2が次のトレー停止位置へ向けて前進していき、縦方向のラック42は初めのトレー停止位置のトレー横送り装置43から引き離され、次のトレー停止位置のトレー縦送り装置45にのみ係合される。トレー2が次のトレー停止位置で停止する場合は、初めのトレー停止位置と次のトレー停止位置との中間所定の地点でトレー縦送り装置45が低速に減速され、トレー2は次のトレー停止位置に達し、各ローラ31、32が各担持ローラ35、36の頂部に乗り上げたところでトレー縦送り装置45の停止により停止される。このとき、トレー縦送り装置45は独立して圧縮コイルスプリング53に支持されてその付勢力により上方向に押し上げられるので、歯付きベルト伝動部材6のマルチタイミングベルト60の歯とトレー2下面の縦方向のラック42の歯が平行に弾性的に圧接されて噛み合い、トレー2の動きは完全に規制され、トレー2は担持ローラ35、36上に確実に停止され、この停止状態が安定して維持される。また、次のトレー停止位置が指定位置でない場合は、トレー2は次のトレー停止位置から同様にさらに次のトレー停止位置へ送り駆動される。
トレー2を後進駆動する場合、図1において、図示されない制御手段により、トレー送り方向切り替え装置8が作動され、既述のとおり、現時のトレー横送りシフトからトレー固定シフトを経てトレー縦送りシフトに切り替えられる。そして、トレー縦送り装置45が作動され、反対に歯付きベルト伝動部材6が逆転方向に駆動されると、この歯付きベルト伝動部材6に噛み合い係合するトレー2の縦方向のラック42は歯付きベルト伝動部材6の回転方向に送られ、トレー2が、(担持ローラ35、36から動き出し)縦方向のレール34上を後進駆動される。この場合、前進駆動とは反対の向きで同様の動作形式を取り、トレー2は予め決められた位置まで安定して移動し、確実に停止される。
なお、上記トレーの前進又は後進駆動から左進又は右進駆動へ切り替えるときは、トレー送り方向切り替え装置8が作動され、現時のトレー縦送りシフトからトレー固定シフトを経てトレー横送りシフトに切り替えられる。この場合、トレー送り方向切り替え装置8の作動により、上方に押し上げ移動されたトレー縦送り装置45を下げないで、当該トレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6をトレー2の縦方向のラック42に係合したまま、トレー横送り装置43が上方に押し上げ移動されて歯付きベルト伝動部材6がトレー2の横方向のラック41に係合される。この時点でトレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各歯付きベルト伝動部材6とトレー2下面の横方向及び縦方向の各ラック41、42が共に噛み合わされ、トレー2は各担持ローラ35、36上で確実に固定される。このようにしてトレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各歯付きベルト伝動部材6とトレー2下面の横方向及び縦方向の各ラック41、42が係合されると即時に、トレー縦送り装置45が下方に押し下げ移動され、歯付きベルト伝動部材6がトレー2の縦方向のラック42から離脱される。このとき、トレー横送り装置43は独立して弾性支持手段53に支持されてその付勢力により上方向に押し上げられるので、トレー2下面の横方向のラック41の歯と歯付きベルト伝動部材6のマルチタイミングベルト60の歯が平行に弾性的に圧接されて噛み合い、トレー2の動きは完全に規制され、トレー2は担持ローラ35、36上で安定して停止される。このようにしてトレー2の移動方向が縦送りから横送りに切り替えられる。そしてトレー横送り装置43が正転方向又は逆転方向に作動される。
このトレー送り機構1では、これら4基本動作、さらにこれらの基本動作から任意の動作が選択的に組み合わされて、動作パターンが組み立てられ、これによってトレー2が横方向のレール33及び縦方向のレール34により任意に組み立てられたトレー移動経路上で前後左右に自在に送り駆動される。例えば、このトレー送り機構2で、既存のパズル式平面循環型駐車設備や平面(又は水平)循環式駐車設備に採用されるトレーの移動形式と同じ動作が可能である。
続いて、このトレー送り機構1を適用した物品格納装置の一例として、パズル式平面循環型駐車設備について図18を用いて説明する。図18において、自動車の格納階層の駐車スペース110には複数の横方向のレール33と縦方向のレール34が選択的に設定されてマトリックス状に敷設され、これら横方向のレール33、縦方向のレール34により、(前記トレー停止位置に該当する)複数の格納区画111が形成されている。これらの格納区画111のうち、少なくとも1格納区画111を空区画(トレー2を置かない区画)にして他の格納区画111にトレー2が配置される。また、駐車スペース110の各格納区画111に選択的に又は各格納区画111毎に、既述のトレー駆動装置4が設置される。なお、トレー2が横方向又は縦方向のいずれか一方にのみ移動する格納区画111については、トレー2を単に横方向又は縦方向に移動するのに必要なトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45が設置されていればよい。ここで例示されるトレー2、トレー駆動装置4の各部の構成は既に説明したとおりである。
なお、この平面循環型駐車設備には、自動車の入出庫階と自動車の格納階層との間に図示されないリフトが設置されており、その昇降台上に各自動車の格納階層においてリフトの昇降路に隣接する各格納区画111の横方向のレール33、縦方向のレール34に連結可能な横方向のレール、縦方向のレールと、トレー2下面の横方向及び縦方向の各ラック41、42に係合可能なトレー駆動装置とを備えている。
この駐車設備では、図示されない制御手段に予め格納されたプログラムに基づいて、自動車の入出庫運転が行われる。まず、駐車スペース110の空区画に隣接する1箇所又は複数箇所の格納区画111のトレー2が駆動され、1箇所又は複数箇所の格納区画111上の1台又は複数台のトレー2が空区画に向けて送られる。
この場合、既述のとおり、各トレー2は、トレー2側の横方向のラック41又は縦方向のラック42と各格納区画111のトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6が噛み合い係合された状態から、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45が作動されて、その歯付きベルト伝動部材6が正転方向又は逆転方向に駆動され、トレー2は、横方向のレール33又は縦方向のレール34を空区画に向けて前進又は後進又は左進又は右進される。このようにして、トレー2が駆動され、初めの格納区画111から指定先の格納区画111へ移動し、指定先の格納区画111の停止位置でトレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の停止により停止される。
このようにして1台又は複数台のトレー2は空区画に向けて横方向又は縦方向に向けて移動する動作が繰り返されることにより、平面内を循環(パズル循環)され、入庫又は出庫のトレー2がリフトまで移動される。入庫又は出庫のトレー2がリフトの昇降台に載せられると、昇降台は自動車の入出庫階まで上昇又は下降され、自動車の入出庫階で自動車が入庫又は出庫される。
このようにこのトレー送り機構1では、トレー2の横方向のラック41とトレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6とをトレー送り方向切換装置8により係合させて、トレー横送り装置43を駆動することにより、トレー2を横方向に送り駆動し、トレー2の縦方向のラック42とトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6とをトレー送り方向切換装置8により係合させて、トレー縦送り装置45を駆動することにより、トレー2を縦方向に送るので、従来のようなトレー駆動装置を旋回する部品を不要とし、従来に比べて、その製造及び据付調整を簡略化して、全体としてコストダウンを図ることができる。また、このトレー送り機構1の場合、トレー2を横方向のラック41とトレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6とを係合させて、トレー横送り装置43を駆動することにより、横方向に送り、トレー2を縦方向のラック42とトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6とを係合させて、トレー縦送り装置45を駆動することにより、縦方向に送るので、トレー2の移動方向の90度方向転換を簡易にして、その移動を円滑に行うことができる。さらに、このトレー送り機構1の場合、トレー2のラック41、42の歯と歯付きベルト伝動部材6の歯を噛み合わせて、ラック41、42に歯付きベルト伝動部材6の回転運動を伝えるので、ラック41、42と歯付きベルト伝動部材6との間に滑りがなく、また速度変化がなく、トレー2を所定の停止位置まで正確に送り駆動し、該停止位置に正確に停止することができる。
特にこのトレー送り機構1の場合、トレー2の移動方向を横送りから縦送りに切り替えるときに、トレー送り方向切り替え装置8により、トレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向のラック41に噛み合わせ、押し付けておき、トレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6をトレー2の縦方向のラック42に噛み合わせてから、トレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向のラック41から離脱し、同様に、トレー2の移動方向を縦送りから横送りに切り替えるときに、トレー送り方向切り替え装置8により、トレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6をトレー2の縦方向のラック42に噛み合わせ、押し付けておき、トレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向のラック41に噛み合わせてから、トレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6をトレー2の縦方向のラック42から離脱するので、トレー2を(フリーにすることなく)十分に固定することができ、トレー2の移動方向の切り替えを確実に行うことができる。また、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45を各別に一対の上下動ガイド51、51の案内により上下動可能に、かつ各上下動ガイド51、51間に構成された傾動機構52によりトレー2の送り方向に傾動可能に組み立て、弾性支持手段53により弾性的に支持するので、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各歯付きベルト伝動部材6を(トレー2の送り方向に対し側方に傾くことなく)トレー2の横方向及び縦方向の各ラック41、42に平行に噛み合わせ、押し付けることができ、また歯付きベルト伝動部材6に余計な負担がかかることなく、トレー2を円滑に移動することができる。またさらに、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45を各別に弾性支持手段53(81)により弾性的に支持するので、各装置43、45の強度がトレー2を移動するのに必要な力だけを許容できればよく、装置構成を簡素化することができる。
また、このトレー送り機構1では、各トレー2の横方向のラック41が各トレー2の下面の略一側部から他側部に延び、また縦方向のラック42が各トレー2の下面の略一端から他端に延び、横方向のラック41と縦方向のラック42の交差部が間欠されて、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6の、各トレー2の横方向のラック41又は縦方向のラック42に対して噛み合う全長が相互に隣り合うトレー2間に設定される間隔の少なくとも2分の1の長さに設定されていればよく、トレー横送り装置43、トレー縦送り装置45の小型化を図り、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45をトレー停止位置に1台ずつ簡易に設置することができる。
さらに、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各歯付きベルト伝動部材6が、両面に歯を有するマルチタイミングベルト60、3つのプーリ63、64、65で構成され、これらが本体フレーム67により1ユニットとして組み立てられているので、各歯付きベルト伝動部材6を簡易に構成することができ、その製造及び据え付けコストを低く抑え、トレー送り機構1全体のコストの低減を図ることができる。
また、各上下動ガイド51が、平面上に上下方向に向けて設置された直状のガイド部材(リニアシャフト)511と、トレー横送り装置43又はトレー縦送り装置45に設けられ、直状のガイド部材511に移動可能に配置された係合部材(リニアガイド)512とによりを構成されるので、レー送り方向切換装置8を少ない部品点数で簡易に構成することができ、その製造及び据え付けコストを低く抑え、トレー送り機構1全体のコストの低減を図ることができる。またさらに、トレー送り方向切り替え装置8が、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45を各別に上方に押圧付勢する押圧付勢手段81と、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45に各別に水平方向に突出された切り替えガイド82、83と、トレー横送り装置42の切り替えガイド82又はトレー縦送り装置の切り替えガイド83の一方を押下し、他方を押下しない動作形態と一方を押下しないで、他方を押下する動作形態と両方を押下しない動作形態とを取り得る回転体構造の押下装置84とにより構成されるので、トレー送り方向切換装置8を簡易に構成することができ、その製造及び据え付けコストを低く抑え、トレー送り機構1全体のコストの低減を図ることができる。
また、このトレー送り機構1をパズル式平面循環型駐車設備に利用することにより、従来のようなトレー駆動装置を旋回する部品を不要とするので、パズル式平面循環型駐車設備において、従来に比べて簡易な構成にするとともに、その製造及び据付調整を簡略化して、全体としてコストダウンを図ることができる。また、このトレー送り機構1の場合、トレー2の横方向のラック41とトレー横送り装置43の歯付きベルト伝動部材6とをトレー送り方向切換装置8により係合させて、トレー横送り装置43を駆動することにより、トレー2を横方向に送り、トレー2の縦方向のラック42とトレー縦送り装置45の歯付きベルト伝動部材6とをトレー送り方向切換装置8により係合させて、トレー縦送り装置45を駆動することにより、トレー2を縦方向に送るので、トレーの移動方向の90度方向転換を簡易にして、その移動を確実かつ円滑に行うことができる。また特に、トレー2の移動方向を横送り又は縦送りに切り替えるときに、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向及び縦方向の各ラック41、42に噛み合わせ、又は押し付けておくので、トレー2を十分に固定することができ、トレー2の移動方向の切り替えを確実に行うことができる。さらに、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45の各歯付きベルト伝動部材6をトレー2の横方向及び縦方向の各ラック41、42に平行に噛み合わせ、又は押し付けることにより、歯付きベルト伝動部材6に余計な負担がかかることがなく、トレー2を円滑に移動することができる。またさらに、トレー横送り装置43及びトレー縦送り装置45が弾性的に支持されるので、各装置43、45の強度がトレー2を移動するのに必要な力だけを許容できればよく、装置構成を簡素化することができる。
なお、この実施の形態では、トレー送り機構1を適用したパズル式平面循環型駐車設備を例示しているが、このトレー送り機構1をパズル式以外の、平面(又は水平)循環式駐車設備にも同様に適用して同様の作用効果を奏することができる。また、このトレー送り機構1は、平面循環式の駐車設備に限定して使用されるものではなく、さらに水平循環式、(単列又は複列形式の)平面往復式、エレベータ式など各種機械式駐車設備において、トレーの平面循環又はパズル循環が必要な個所に適宜設置することができ、各種機械式駐車装置において上記と同様の作用効果を奏することができる。さらに、このトレー送り機構1を各種物品を格納する各種自動倉庫設備においても同様に利用することができる。