JP2751045B2 - 縦送り機構を付加した、くし形フォーク利用の駐車装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の機械式立
体駐車場に関し、特に、縦送り機構を付加した、くし形
フォーク利用の駐車装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】土地の利用効率を高める自動車の駐車場
として、種々の機械式立体駐車場が広く普及している。
機械式立体駐車場の中で、高速化を追及した大容量の駐
車場としてパズル式立体駐車場がある。該パズル式立体
駐車場は、地表に対して垂直に設けられた昇降空間とそ
の左右両側に設けられた駐車空間とを１組とする立体駐
車場である。図３に、従来のパズル式立体駐車場を
（Ａ）正面部分断面図、（Ｂ）側面断面図、（Ｃ）地上
階及び２階平面図で示す。

【０００３】図３において、符号１で示すものはパズル
式立体駐車場であり、地表に対して垂直に設けられた昇
降空間２ａとその左右両側に設けられた駐車空間２ｂと
からなる立体駐車場ユニット２が、前後に２ユニット、
左右に３ユニット組合されている。各該立体駐車場ユニ
ット２には、昇降空間２ａに１基の昇降トレイ３、駐車
空間２ｂの２階以上の各階にそれぞれ１基の横行トレイ
４が設けられている。前記昇降トレイ３は、左右両側の
長尺部材３ａに、内側に突出する第１フォーク３ｂを設
けて構成され、前記昇降空間２ａの地上階から最上階ま
で各階停止可能に往復移動する。前記横行トレイ４は、
中央の長尺部材４ａに、外側に突出する第２フォーク４
ｂを設けて構成され、前記駐車空間２ｂと前記昇降空間
２ａとの間を往復移動可能であり、常時駐車空間２ｂ内
に位置している。また、前記昇降トレイ３と前記横行ト
レイ４とは、第１フォーク３ｂと第２フォーク４ｂとが
相互に相手の隙間に設けられており、横行トレイ４が前
記昇降空間２ａに位置する状態で、昇降トレイ３が上下
に通り抜け可能に構成されている。

【０００４】以上のように構成されたパズル式立体駐車
場１において、自動車をパズル式立体駐車場１へ入庫し
て駐車する場合は、昇降トレイ３が地上階の床面に降り
た状態で、先ず、パズル式立体駐車場１の前の地上階で
同乗者を降ろした自動車を運転して昇降トレイ３の上、
すなわち、第１フォーク３ｂの上に載せ、運転者が降車
してパズル式立体駐車場１から退出する。次に、自動車
を載せた昇降トレイ３を駐車空間２ｂの空の階の床面よ
り少し高めの、すなわち、その階の横行トレイ４の上面
より高い位置まで上昇させる。次に、空の横行トレイ４
を昇降空間２ａの自動車を載せた昇降トレイ３の下側へ
移動する。次に、昇降トレイ３を下降させる。その結
果、昇降トレイ３は横行トレイ４を通り抜けて下降し、
自動車が横行トレイ４、すなわち、第２フォーク４ｂの
上に載る。次に、自動車が載った横行トレイ４を元の駐
車空間２ｂへ移動して駐車を完了する。

【０００５】駐車されている自動車をパズル式立体駐車
場１から出庫する場合は、昇降トレイ３が地上階の床面
に降りた状態で、先ず、出庫する自動車を載せた横行ト
レイ４を昇降空間２ａへ移動する。次に、自動車を載せ
た横行トレイ４の上面より高い位置まで昇降トレイ３を
上昇させる。その結果、昇降トレイ３は横行トレイ４を
通り抜けて上昇し、自動車が昇降トレイ３、すなわち、
第１フォーク３ｂの上に載る。次に、横行トレイ４を元
の駐車空間２ｂへ移動する。次に、自動車が載った昇降
トレイ３を地上階の床面まで下降させる。次に、自動車
に運転者が乗車し、運転して自動車をパズル式立体駐車
場１外へ退出させ、出庫を完了する。以上の自動車の入
出庫動作は、各立体駐車場ユニット２において同様に行
われる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来のパズル式立体駐
車場は以上のように構成されていることにより、つぎの
ような課題が存在している。すなわち、駐車する自動車
の運転者を除く同乗者は、安全のため、駐車場内へ入ら
ないように法規等で定められている。従って、同乗者の
乗降のために、各立体駐車場ユニット２の前の地上階
に、少なくとも自動車１台分の乗降用スペースが必要で
ある。図３では、前後に組合された２ユニットについて
１台分のスペースが必要であるが、このスペースは、単
に、地上における同乗者の乗降のためのスペースであ
り、土地の利用効率を高める駐車場としては、非常に利
用効率の低いスペースである。

【０００７】本発明は以上のような課題を解決するため
になされたものであり、土地の利用効率が高く、より大
容量の駐車場として活用でき、かつ、従来よりも出庫が
迅速に行える縦送り機構を付加した、くし形フォーク利
用の駐車装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による縦送り機構を付加した、くし形フォー
ク利用の駐車装置は以下のように構成されている。すな
わち、１基の昇降トレイ３を収納する昇降空間２ａと、
横行トレイ４を各階に収納する駐車空間２ｂと、を横並
びに隣接配置して構成される立体駐車場ユニット２を前
後に２ユニット組合せたパズル式立体駐車場において、
二重列の場合には、前側ユニットの駐車場を２階以上と
して地上階を乗降用スペースとし、縦送りトレイ５を前
側ユニットの２階及び後側ユニットの地上階に設け、後
側ユニットに縦送りトレイ５を地上階から２階まで上下
往復移動するリフト６を設け、２階のユニット間に移動
補助手段を設け、後側ユニットの縦送りトレイ５を２階
に上昇移動した状態で両縦送りトレイ５を連動させるこ
とにより、両ユニット間で自動車を受渡しするものであ
り、三重列の場合には、前側ユニットの駐車場および後
側ユニットの駐車場を２階以上として地上階を乗降用ス
ペースとし、縦送りトレイ５を前側ユニットの２階及び
後側ユニットの２階そして中央ユニットの地上階に設
け、中央ユニットに縦送りトレイ５を地上階から２階ま
で上下往復移動するリフト６を設け、２階のユニット間
に移動補助手段を設け、中央ユニットの縦送りトレイ５
を２階に上昇移動した状態で両縦送りトレイ５を連動さ
せることにより、両ユニット間で自動車を受渡しするも
のである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明による縦
送り機構を付加した、くし形フォーク利用の駐車装置の
好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、従来
技術の説明における構成部材と同一または同等の部材に
は同一符号を使用して説明する。図１は、本発明による
縦送り機構を付加した，くし形フォーク利用の駐車装置
を示す（Ａ）側面断面図、（Ｂ）地上階及び２階平面図
であり、図２は、本発明による縦送り機構を付加した，
くし形フォーク利用の駐車装置の動作を示す（Ａ）同乗
者降車時、（Ｂ）乗入れ時、（Ｃ）リフト上昇時、
（Ｄ）受渡し時、（Ｅ）受渡し完了時、（Ｆ）リフト下
降時の側面断面図である。

【００１０】図１において、符号１で示すものは二重列
のパズル式立体駐車場であり、地表に対して垂直に設け
られた昇降空間２ａとその左右両側に隣接して設けられ
た駐車空間２ｂとからなる立体駐車場ユニット２が、前
後に２ユニット、左右に複数ユニット組合されている。
前後に組合された前側の前記立体駐車場ユニット２で
は、１階すなわち地上階を同乗者を乗降するための空間
とし、２階以上を駐車場としている。

【００１１】各該立体駐車場ユニット２には、昇降空間
２ａに１基の昇降トレイ３、左右の駐車空間２ｂの２階
（前側ユニットでは３階）以上の各階にそれぞれ１基の
横行トレイ４が設けられている。前記昇降トレイ３は、
左右両側の長尺部材３ａに、内側に突出する第１フォー
ク３ｂを設けて構成され、前記昇降空間２ａの地上階
（前側ユニットでは２階から）から最上階まで各階停止
可能に上下往復移動する。前記横行トレイ４は、中央の
長尺部材４ａに、外側に突出する第２フォーク４ｂを設
けて構成され、前記駐車空間２ｂと前記昇降空間２ａと
の間を左右往復移動可能であり、常時駐車空間２ｂ内に
位置している。また、前記昇降トレイ３と前記横行トレ
イ４とは、第１フォーク３ｂと第２フォーク４ｂとが相
互に相手の隙間に設けられており、横行トレイ４が前記
昇降空間２ａに位置する状態で、昇降トレイ３が上下に
通り抜け可能に構成されている。

【００１２】また、前記昇降空間２ａの後側ユニットの
地上階及び前側ユニットの２階には、前記昇降トレイ３
の中に位置して縦送りトレイ５が設けられている。該縦
送りトレイ５は、前記横行トレイ４と略同一形状同一寸
法であり、中央を長尺方向に周回する無限軌道帯５ａの
両側に外側に突出する第３フォーク５ｂを設けて構成さ
れている。すなわち、該第３フォーク５ｂが所定位置に
位置する場合、前記第１フォーク３ｂと第３フォーク５
ｂとが相互に相手の隙間に位置し、前記昇降トレイ３が
前記縦送りトレイ５を上下に通り抜ける。さらに、後側
ユニットの前記縦送りトレイ５には、前側ユニットの前
記縦送りトレイ５の高さまで上下往復移動するリフト６
が設けられている。２階の前後ユニット間には、後側ユ
ニットの前記縦送りトレイ５が前側ユニットの前記縦送
りトレイ５の高さに位置する状態で、移動補助手段〔例
えば、両縦送りトレイ５の同期回転中の第３フォーク５
ｂを連続させるフリーあるいは駆動ローラ７であった
り、あるいは、縦送りトレイ５が、前側ユニット（三重
列の場合には前側および後側ユニット）の縦送りトレイ
５に接近あるいは離脱自在にスライドさせる〕により連
動するよう設けられている。

【００１３】以上のように構成された縦送り機構を付加
した、くし形フォーク利用の駐車装置１において、自動
車をパズル式立体駐車場１へ入庫して駐車する場合の手
順を、図２により説明する。先ず、（Ａ）に示すよう
に、前側ユニットの地上階に停車して、同乗者を降ろ
す。次に、（Ｂ）に示すように、前後両ユニットの図示
しない昇降トレイ３がそれぞれ２階、地上階の床面に降
りた状態で、自動車を運転して後側ユニットの昇降トレ
イ３及び縦送りトレイ５の上、すなわち、第１フォーク
３ｂ及び第３フォーク５ｂの上に載せ、運転者が下車し
て後側ユニットから退出する。自動車を後側ユニットに
駐車する場合は、後側ユニットの昇降トレイ３を上昇す
ることにより、昇降トレイ３が自動車を載せて上昇し、
従来と同様に駐車する。

【００１４】自動車を前側ユニットに駐車する場合は、
（Ｃ）に示すように、リフト６を操作して後側ユニット
の縦送りトレイ５を前側ユニットの縦送りトレイ５の高
さに押上げる。次に、（Ｄ）及び（Ｅ）に示すように、
両縦送りトレイ５の無限軌道帯５ａを図の反時計方向に
同期させて回転駆動し、自動車を後側ユニットの縦送り
トレイ５からフリーローラ７を介して前側ユニットの縦
送りトレイ５へ受渡す。その後、前側ユニットの昇降ト
レイ３を上昇することにより、昇降トレイ３が自動車を
載せて上昇し、従来と同様に駐車する。その間、（Ｆ）
に示すように、リフト６を操作して後側ユニットの縦送
りトレイ５を地上階に降ろし、次の入出庫に備える。

【００１５】縦送り機構を付加した、くし形フォーク利
用の駐車装置１に駐車中の自動車を出庫する場合は、上
記の入庫の場合と逆の手順で行う。すなわち、前側ユニ
ットから出庫する場合は、従来と同様に自動車を載せた
昇降トレイ３を２階床面まで降ろして前側ユニットの縦
送りトレイ５に自動車を載せ（Ｆ）、自動車を前側ユニ
ットの縦送りトレイ５から後側ユニットの縦送りトレイ
５へ受渡し（Ｅ）（Ｄ）（Ｃ）、後側ユニットの縦送り
トレイ５を地上階へ降ろし（Ｂ）、自動車を運転して前
側ユニットの地上階へ出庫する。後側ユニットから出庫
する場合は、従来と同様に自動車を載せた昇降トレイ３
を地上階床面まで降ろし（Ｂ）、自動車を運転して前側
ユニットの地上階へ出庫する。

【００１６】さらに、本発明の他の実施例を説明する
と、図４において、符号１で示すものは三重列のパズル
式立体駐車場であり、地表に対して垂直に設けられた昇
降空間２ａとその左右両側に隣接して設けられた駐車空
間２ｂとからなる立体駐車場ユニット２が、前中後に３
ユニット、左右に複数ユニット組合されている。前中後
に組合された前側の前記立体駐車場ユニット２では、１
階すなわち地上階を同乗者を乗降するための空間とし、
２階以上を駐車場としており、後側の立体駐車場ユニッ
ト２も２階以上を駐車場としている。

【００１７】

【発明の効果】本発明による縦送り機構を付加した、く
し形フォーク利用の駐車装置は以上のように構成されて
いることにより、以下のような効果を得ることができ
る。すなわち、昇降空間２ａと駐車空間２ｂとを横並び
に隣接配置して構成される立体駐車場ユニット２を前後
に２ユニット組合せたパズル式立体駐車場において、前
側ユニットの駐車場を２階以上として地上階を乗降用ス
ペースとし、縦送りトレイ５を前側ユニットの２階及び
後側ユニットの地上階に設け、後側ユニットに縦送りト
レイ５を地上階から２階まで上下往復移動するリフト６
を設け、２階のユニット間に移動補助手段を設け、後側
ユニットの縦送りトレイ５を２階に上昇移動した状態で
両縦送りトレイ５を連動させて両ユニット間で自動車の
受渡しすることにより、パズル式立体駐車場１の前の乗
降用スペースが必要でなくなり、土地の利用効率を格段
に高め、また、既存のパズル式立体駐車場と縦送りトレ
イとを組み合わせて使用することにより、さらに、大容
量の立体駐車場を得ることができる等極めて有益なる効
果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による縦送り機構を付加した、くし形フ
ォーク利用の駐車装置を示す（Ａ）側面断面図、（Ｂ）
地上階及び２階平面図である。

【図２】本発明による縦送り機構を付加した、くし形フ
ォーク利用の駐車装置の入庫動作を示す（Ａ）同乗者降
車時、（Ｂ）乗入れ時、（Ｃ）リフト上昇時、（Ｄ）受
渡し時、（Ｅ）受渡し完了時、（Ｆ）リフト下降時の側
面断面図である。

【図３】従来のパズル式立体駐車場を示す（Ａ）正面部
分断面図、（Ｂ）側面断面図、（Ｃ）地上階及び２階平
面図である。

【図４】本発明の他の実施例による縦送り機構を付加し
た、くし形フォーク利用の駐車装置を示す側面断面図で
ある。

【図５】本発明の実施に使用する移動補助手段を示す説
明図である。

【符号の説明】

１ 縦送り機構を付加した、くし形フォーク利用の駐
車装置、 ２ 立体駐車場ユニット ２ａ 昇降空間 ２ｂ 駐車空間、 ３ 昇降トレイ ３ａ 長尺部材 ３ｂ 第１フォーク ４ 横行トレイ ４ａ 長尺部材 ４ｂ 第２フォーク ５ 縦送りトレイ ５ａ 無限軌道帯 ５ｂ 第３フォーク ６ リフト ７ フリーあるいは駆動ローラ

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右両側の長尺部材に内側に突出する第
   １フォークを設けた１基の昇降トレイを地上階から最上
   階まで上下往復移動すると共に各階停止可能に収納する
   昇降空間と、中央の長尺部材の両側に外側に突出する第
   ２フォークを設けた横行トレイを前記昇降空間へ左右往
   復移動可能に各階に収納する駐車空間と、を横並びに隣
   接配置して構成されると共に、前記第１フォークと前記
   第２フォークとが相互に相手の隙間に設けられ、前記横
   行トレイが前記昇降空間に位置する状態で、前記昇降ト
   レイが上下に通り抜け可能に構成される立体駐車場ユニ
   ットを前後に２ユニット組合せたパズル式立体駐車場に
   おいて、前側ユニットの駐車場を２階以上として地上階
   を乗降用スペースとし、中央を長尺方向に周回する無限
   軌道帯の両側に外側に突出する第３フォークを設けた縦
   送りトレイを前側ユニットの２階及び後側ユニットの地
   上階に設け、後側ユニットに前記縦送りトレイを地上階
   から２階まで上下往復移動するリフトを設け、２階の前
   後ユニット間に移動補助手段により、後側ユニットの前
   記縦送りトレイを２階に上昇移動した状態で両前記縦送
   りトレイを連動させることにより、両ユニット間で自動
   車の受渡しすることを特徴とする縦送り機構を付加し
   た、くし形フォーク利用の駐車装置。
2. 【請求項２】 左右両側の長尺部材に内側に突出する第
   １フォークを設けた１基の昇降トレイを地上階から最上
   階まで上下往復移動すると共に各階停止可能に収納する
   昇降空間と、中央の長尺部材の両側に外側に突出する第
   ２フォークを設けた横行トレイを前記昇降空間へ左右往
   復移動可能に各階に収納する駐車空間と、を横並びに隣
   接配置して構成されると共に、前記第１フォークと前記
   第２フォークとが相互に相手の隙間に設けられ、前記横
   行トレイが前記昇降空間に位置する状態で、前記昇降ト
   レイが上下に通り抜け可能に構成される立体駐車場ユニ
   ットを前後に３ユニット組合せたパズル式立体駐車場に
   おいて、前側ユニットの駐車場と後側ユニットの駐車場
   をそれぞれ２階以上として地上階を乗降用スペースと
   し、中央を長尺方向に周回する無限軌道帯の両側に外側
   に突出する第３フォークを設けた縦送りトレイを前側ユ
   ニットおよび後側ユニットのそれぞれ２階及び中央ユニ
   ットの地上階に設け、中央ユニットに前記縦送りトレイ
   を地上階から２階まで上下往復移動するリフトを設け、
   ２階の前後ユニット間に移動補助手段により、中央ユニ
   ットの前記縦送りトレイを２階に上昇移動した状態で両
   前記縦送りトレイを連動させることにより、両ユニット
   間で自動車の受渡しすることを特徴とする縦送り機構を
   付加した、くし形フォーク利用の駐車装置。
3. 【請求項３】 移動補助手段が、２階の前後ユニット間
   にフリーローラ、駆動ローラ、あるいは、縦送りトレイ
   を前・後方向にスライド可能に設けたものであることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項または第２項記載の縦
   送り機構を付加した、くし形フォーク利用の駐車装置。