JP2005519463A - メモリセル - Google Patents

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Abstract

強誘電体またはエレクトレットメモリセルにおいて、重合体メモリ材料は2種または3種以上の重合体材料のブレンドであり、その重合体材料は第一および第二電極に接触して与えられている。各電極は第一高導電性材料層および導電性重合体層を含んで成る複合多層体であり、その導電性重合体層は高導電性材料とメモリ材料との間に接触を形成している。

Description

本発明は、強誘電性またはエレクトレット性を有し、そして分極され得かつヒステリシスを示し得る重合体メモリ材料を含んで成るメモリセルであって、その重合体メモリ材料が第一および第二電極に接触して与えられており、そしてその重合体材料が少なくとも第一および第二重合体材料のブレンドであり、ここでその第一重合体材料は強誘電体またはエレクトレット重合体材料である上記のメモリセルに関する。本発明は、また、強誘電性またはエレクトレット性を有し、そして分極され得かつヒステリシスを示し得る重合体メモリ材料を含むメモリセルを使用前コンディショニングする方法であって、その重合体メモリ材料が第一および第二電極に接触して与えられており、そしてその重合体材料は少なくとも第一および第二重合体材料のブレンドであり、ここでその第一重合体材料は強誘電体またはエレクトレット重合体材料である上記の方法に関する。
本発明は、特に、重合体エレクトレットまたは強誘電体の薄膜が構造体の一部を形成する電極によって設定される電界に付される場合のその構造体に基づくデータの記憶および/または処理装置に関する。
近年になって、不揮発性データ記憶デバイスは、情報の各ビットが電気的に分極可能な材料の局在化体積素子(localized volume element)の中に分極状態として記憶される場合に証明された。不揮発性は、材料がその分極を外部印加電界の不存在下でも保持し得る故に達成される。従来、分極性材料は典型的には強誘電体セラミックであって、データの書込み、読出しおよび消去はメモリデバイス中の局在化セルにおける強誘電体材料に対する電界の適用を必要とし、これが、所定セル中の材料に、材料の従前の電気的履歴に依存してその分極方向をスイッチさせる、またはスイッチさせないようにする。
問題にしているデバイスの正常動作中に、強誘電体は長期性または反復性の電気的応力及び/又は多数の分極反転に付される可能性がある。これは、その強誘電体が疲労、即ちデバイスの正常動作に求められる電気的応答特性の劣化を受ける原因となるだろう。かくして、強誘電体材料は、誘導分極反転時に低下したスイッチング電流信号をもたらす低下した残留分極を示すことができる。また、疲労プロセスは、デバイスを1つの分極方向からもう1つの分極方向にスイッチするのを一層困難にし、かつそのスイッチングプロセスの速度を落とす増加した抗電界を伴うときがある。
もう1つの望ましくない老化現象はインプリントの発生である;即ち、強誘電体メモリセルが所定の分極状態にある一定時間置かれるならば、分極方向を反転させることが次第に困難になり、そして分極をいずれの方向にもスイッチするために必要とされる電界に非対称が発現する。
インプリントは、また、特に受動マトリックス・アドレス指定メモリデバイス(passive matrix addressed memory devices)において起こるもう1つの現象、即ち乱れ(disturb)に関係付けられる問題を悪化させることがある:詳述すると、これは、強誘電体が抗電界より小さい大きさの反復または長期電界に誤って付されるときに、強誘電体の分極状態におけるある変化、典型的には分極損失に、または分極反転の生起にさえ関係する。このような乱れ電界は、デバイスの正常動作の副作用として非アドレス指定メモリセル中に発生するだろう。1例は、アドレス指定セルに対して書込み電圧Vを用いての書込み動作中に受動マトリックスの中の非アドレス指定セルに対するV/3電圧曝露である(例えば、本出願人に属するノルウェー特許出願第20003508号明細書中におけるパルシングプロトコル(pulsing protocols)の議論を参照されたい)。
上記に関連する問題の解決は、ここで議論される強誘電体に基づくデバイスの商品化に成功するために不可欠である。無機強誘電体を用いているデバイスに関係するこれらの問題には多大の努力が費やされてきた。この無機強誘電体は、本質的に、2つのペロブスカイト族、即ちジルコン酸・チタン酸鉛(PZT)、並びにタンタル酸ストロンチウム・ビスマス(SBT)およびランタン変性チタン酸ビスマス(BLT)のような層状ペロブスカイトに基づく。これらの中で、SBTおよびBLTは、Ptのような金属電極を持つ単純なキャパシタ様メモリセル構造において良好な耐疲労性を示す。しかし、製造中に高温が必要とされることの外に分極特性、漏電特性およびスイッチング特性がPZTに比較して劣る。他方、PZTを金属電極と共に使用する初期の試みは、反復スイッチング中の急速劣化のために、ほとんどのメモリ用途で不成功に終わることが立証された。徹底的な研究努力の結果、強誘電体材料の不可欠成分、例えばPZT中の酸素が強誘電体のスイッチング中に失われ、このことが、電極の方に移行し、そしてドメインスイッチングを抑制してデバイス中に疲労を招くピンホール形成部位(pinning site)を作り出す空孔をもたらすことが示された。この現象に逆らうことに成功することが立証された戦略は、電極/強誘電体界面に達する酸素空孔を中和する導電性酸化物電極、好ましくはバルク強誘電体(bulk ferroelectric)の格子構造と同じまたは類似の格子構造を有する導電性酸化物電極を用いることである。PZTのような酸化物強誘電体の場合における電極材料の候補となるものの例は、RuO2、SrRuO2、酸化インジウムスズ(ITO)、LaNiO3、コバルト酸ランタン・ストロンチウム(LSCO)および酸化イットリウム・バリウム・銅(YBCO)である。上記戦略の、電極中への臨界原子種の供給を実現する1つの代替法は、バルク強誘電体中にドーピングおよび/または化学量論関係の調整によって空孔のためのシンク(sink)を挿入することである。このアプローチは、置換してZrまたはTi部位に入り、そして酸素空孔を中和するNbおよびLaのようなドナードーパントを導入することによってPZTで用いられた。
異なる無機強誘電体組成物に対するさらなる改良および改変が明らかになり、無機、特にセラミック強誘電体膜に関する大きな一団の従来技術を構成するようになった。従来技術に関するさらなる背景情報のために、読者にあっては、例えばS. B. Desu:「強誘電体膜における疲労の最小化(Minimization of Fatigue in Ferroelectric Films)」、Phys. Stat. Sol. (a) 151, 467-480 (1995);K.-S. LiuおよびT.-F. Tseng:「SrRuO3/Ru/Pt/Ti下部電極の使用による(Pb1-xLax)(ZryTi1-y)1-x/4O3強誘電体薄膜の改良(Improvement of (Pb1-xLax)(ZryTi1-y)1-x/4O3 ferroelectric thin films by use of SrRuO3/Ru/Pt/Ti bottom electrodes)」、Appl. Phys. Lett. 72, 1182-1184 (1998);およびS. Aggarwal等:「SrRuO3電極を使用しているPb(Nb, Zr, Ti)O3キャパシタのスイッチング性(Switching properties of Pb(Nb, Zr, Ti)O3 capacitors using SrRuO3 electrodes)」、Appl. Phys. Lett. 75, 1787-1789 (1999)を参照されたい。しかし、以下で説明されるだろうように、本発明者は、この文脈において、有機または重合体エレクトレットまたは強誘電体を用いるデバイスにおける疲労低下のいかなる関連従来技術も知らない。
本出願人が出願した特許出願に記載されるように、有機系、特に重合体強誘電体材料は、メモリおよび/または処理デバイスでの使用に、それらの無機対応材料に比較して相当に著しい利点を与えることができる。しかし、疲労およびインプリントの問題が重合体系強誘電体にも存在することが見いだされた。これらの問題が解決されなければ、これはこのような材料に基づくデバイスの商業的可能性を著しく減ずるだろう。残念ながら、無機強誘電体において疲労を妨げるために開発された対策は、この場合、化学における、および基本的な強誘電性(例えば、変位型双極子対永久双極子)における根本的な相違のために助けとはなり得ない。
従って、有機、特に重合体エレクトレットまたは強誘電体に基づくメモリおよび/または処理デバイスにおける疲労、インプリントおよび乱れ現象を抑えることができる戦略および対策の必要がある。
上記に従って、本発明の主な目的は、データ記憶および/または処理のためのデバイスで用いられる有機、特に重合体エレクトレットまたは強誘電体材料に対する電界応力の有害な作用効果を避けまたは低下させる基本戦略を提供することである。
本発明のさらなる目的は、疲労、インプリントおよび乱れをスイッチングする基本的機構が実行されるのを妨げまたは遅らせる場合のメモリセル構造の明確な説明を与えることである。
本発明のなおもさらなる主目的は、疲労、インプリントおよび乱れ抵抗性のデバイス構造に取り入れるための特定の材料群を列挙し、そして特に関連のある好ましい態様を挙げることである。
上記の目的並びにさらなる特徴および利点は、各電極が高導電性材料の第一層および導電性重合体の第二層を含んで成る複合多層電極であり、その導電性重合体が高導電性材料とメモリ材料との間に接触層を形成していることを特徴とする、本発明によるメモリセルによって達成される。
第一重合体材料は共重合体であるのが好ましく、また第二重合体材料は単独重合体であるのが好ましく、一方高導電性材料は好ましくは金属材料であることができる。
好ましくは、バリヤー層が電極の第一層と第二層との間に与えられ、そしてもしも高導電性材料が金属材料である場合は、バリヤー層は前記金属材料の酸化物、窒化物または硼化物である。
本発明によるメモリセルの第一の好ましい実施態様において、メモリ材料は電極間にサンドイッチ状態で与えられている。
本発明の第二の好ましい実施態様において、電極は絶縁材料の橋の相対する表面に与えられ、この場合第一電極はその絶縁橋を越えて延在し、そしてメモリ材料は第一および第二電極の露出表面上に与えられ、かつ電極間に絶縁橋の側面を覆って延在している。
本発明によるメモリセルの好ましい実施態様において、メモリ材料および電極はメモリ材料が層状薄膜構造を構成するように薄膜の層として与えられていることが有利である。
上記の目的並びにさらなる特徴および利点は、また、メモリ材料をいずれの方向にも分極させ得る電界を発生させる電圧パルス系列の交番正負パルス(alternating positive and negative pulse)を電極に印加し、そしてそのメモリ材料をその分極方向の多数の連続する反転に付すことによって特徴付けられる、本発明によるメモリセルを使用前(pre-use)コンディショニングする方法によって達成される。
最後に、本発明によるメモリセルは、受動または能動のいずれのマトリックス−アドレス指定可能強誘電体メモリデバイスまたは同エレクトレットメモリデバイスにおいても使用される。
発明を実施するための形態
本発明は、次の色々な好ましい実施態様の、図面を参照してなされる詳細な説明からさらによく理解されるだろう。
今度は、メモリセルの従来技術の色々な一般的実施態様が、本発明の一般的な面において構造的に類似のメモリセルに基づく本発明に対する背景および導入として次に続く。
図1は従来技術メモリセル1の通常の一般的実施態様を示す。メモリセル1は、第一電極3と第二電極4との間にサンドイッチ状にはさまれたメモリ材料2、例えば強誘電体またはエレクトレット無機または有機材料(後者の場合、好ましくは重合体)を含む。これは純粋に受動的なメモリセルであるが、それはスイッチングトランジスタと接続させて能動メモリセルを形成することができる。この後者は1個のトランジスタと1個のメモリセルより成るタイプのものであって、1T−1Cメモリ回路と称されるが、それらは2個以上のトランジスタと1個のメモリセル等から作ることができ、例えば2T−2Cメモリ回路等々を形成する。メモリ材料2は電極3,4に電圧が印加されると発生する電界によって分極される。
図2は従来技術メモリセル1のもう1つの一般的態様を示す。ここでは、第一および第二電極3,4が絶縁材料5の橋によって相互に分離され、一方第一電極3は絶縁橋5を幾らか越えて延在している。次に、メモリ材料4が電極3,4の露出表面に与えられてこれら電極、並びに絶縁橋5の側面を覆う。この場合、メモリ材料2は、絶縁橋5の側面付近のおよびその側面に隣接する、第一および第二電極3,4の間に延在する領域中で分極される。また、この場合、それは電極3,4にメモリ材料2の分極を引き起こす電圧を印加すると発生する漂遊電界である。
図3は、強誘電体材料またはエレクトレット材料の分極対印加電界Eのヒステリシス曲線を示す。発生分極Pは印加電界の極性により正(+P)または負(−P)であることができる。第一ヒステリシスループIは疲労に付されなかった、即ち非常に多くのスイッチングサイクル後の達成可能分極における低下を受けなかった強誘電体材料またはエレクトレット材料のヒステリシス曲線を示す。疲労に付された後は、強誘電体またはエレクトレット材料は、第二ヒステリシス曲線IIに類似するヒステリシスループを示すことができ、そしてその材料の達成可能分極はヒステリシス曲線Iと比較するとき相当に低下されていることが分かる。図3において、+Eおよび−Eはそれぞれ正および負の抗電界を示す。しかし、Eはヒステリシス曲線IおよびIIについて同じである必要はなく、実際抗電界Eはヒステリシス曲線IIで幾らか高いことに留意されるべきである。
今度は、図4を参照して本発明によるメモリセルの第一の好ましい態様を幾分詳しく説明するものとする。便宜上、図4に描かれるメモリセル1を強誘電体と見なすものとする;即ち、メモリ材料2は強誘電体挙動を示すが、但しその目的にはそのメモリ材料は同様に分極され得、かつヒステリシスを示し得るエレクトレット材料であることができるだろう。メモリ材料の層2は第一および第二電極の3と4との間にサンドイッチ状態で与えられ、それら電極3および4はそれぞれの一方の側でメモリ材料に接触している。図4から分かるように、各電極3,4は2層電極として与えられている。電極3中の層3aは高導電性材料、例えば金属材料であり、また第二層3bは、例えばPEDOT、PANI、ポリピロールまたは導電性を有する他の重合体であることができる導電性重合体である。第二電極4は、同様に、金属材料であることができる高導電性材料4aの第一層、および同様に導電性重合体の第二層4bを含んで成る。両電極における材料は好ましくは同種であること、そして高導電性材料としては金属導体、例えばチタンまたはアルミニウムが好ましいだろうことが理解されるべきである。
メモリ材料2に関し、重合体に基づく強誘電体メモリ材料を最適化するために、強誘電体重合体を必ずしも強誘電体挙動を示さない他の重合体とブレンドすることが提案されてきたことに留意されるべきである。また、強分極体重合体とそれより弱く分極する重合体とのブレンドが試みられた。それ以外に、色々な共重合体の使用がこの技術分野で少なくとも1980年以来知られている。その関連では、Bayer社に譲渡された、強誘電体キャパシタのスタティックまたはダイナミックRAM(SRAMまたはDRAM)における使用を開示するドイツ特許出願公開DE−OS3602887A1号を参照することができる。このドイツ特許公開明細書は、無機強誘電体材料に加えて、容易に分極し得る原子を有する重合体、その場合具体的にいうとポリ二フッ化ビニリデンに似た、フッ素原子(fluor atoms)を有するポリオレフィン、またはポリシアン化ビニリデン(PVCN)のような強く分極可能な末端基を有する重合体のような有機強誘電体材料も提案している。このメモリ材料の所望とされる最適化は、例えばPVDF-TrFEのような共重合体、または、例えばポリメチルメタクリレートPMMAとのブレンド、或いはPVCNとポリビニルアセテートとの共重合体を用いて行うことができる。
このようにして電極3,4間にサンドイッチ状態で与えられたメモリ材料2は、ある特定割合での第一重合体材料2a(この場合、勿論、強誘電体重合体である)のブレンドである。さらに詳しくは、この材料2aは共重合体、例えばPVDF-TrFEであることができ、一方第二重合体材料2bは図においてメモリ材料2の小島として描かれている。上記ブレンドを形成しているこの第二重合体材料2bは、好ましくは単独重合体、例えばPVDFの単独重合体である。
本発明によるメモリセル1の第二の好ましい態様は図5に示され、この場合同じ特徴は、材料および構造に関して同様のあらゆる点で、図3の態様と同じ参照番号で示される。従って、後者の材料および構造についての議論はこの場合与えられるべきではない。図4の実施態様と図5の実施態様との間の主な相違は、高導電性材料の層3a;4aと導電性重合体の層3a;3bとの間の電極3;4の中にバリヤー層3c;4cが与えられていることである。バリヤー層の主たる機能は、層3a;4a中の高導電性材料と層3b;4b中の導電性重合体との間の望ましくないいかなる反応も妨げることである。層3a;4aの高導電性材料が金属材料、例えばアルミニウムまたはチタンであるならば、バリヤー層はその酸化物、窒化物または硼化物として与えることができ、そしてそれらは、この技術分野の当業者によって十分に理解されるように、金属材料の堆積のすぐ後に続くプロセス工程で、その金属材料を酸化、窒化または硼化処理に付すことによって形成される。
本発明によるメモリセルの第3の好ましい実施態様は図6に模式的断面図で示されるもので、図2の一般的実施態様に対応する。この実施態様では、メモリ材料2はサンドイッチ状態では与えられず、電極3,4の上に与えられる。第一電極3は図5の第二実施態様に示される電極と同様である;即ち、図5の実施態様の場合がそうであるように3つの層3a,3bおよび3cで構成されている。絶縁材料の橋5は第一電極3の上にその電極が絶縁橋5を幾らか越えて延在するように与えられ、この場合導電性重合体の層3bの表面が露出されている。第二電極4は、今や、絶縁橋5の上に与えられ、それはあらゆる点で第一電極3と構造的に類似している。高導電性材料4の第一層4aはバリヤー層4cで覆われ、その上に導電性重合体の層4bが与えられ、この場合外側表面が露出されている。今度は、全ての実際上の目的に対して上記のものと同様である2種の重合体材料2a,2bのブレンドから成るメモリ材料2aが図6に描かれる様式で電極を覆って、即ち電極3,4の導電性重合体の層3b、4bに接触して与えられている。メモリ材料2は絶縁橋5の側縁を越えて延在している。電極に電圧を印加すると、発生した分極性電界は、今や、電極間の絶縁橋5の側面全面に広がる漂遊電界である。図6の実施態様の構造的特徴に含まれる幾何形状割合に依存して、分極性電界は、また、電極3,4間に広がる傾斜横方向電界(inclined lateral field)として発生することもある。いずれにしても、分極領域はメモリセル1の橋架け電極配置の側縁の所においてメモリ材料2中に形成される。図6の実施態様の利点は、特に、2種の重合体材料2a,2bのブレンドを含んで成るメモリ材料2が最終工程で設けることができ、従ってメモリ材料が電極2,3を設けるプロセス工程で非適合性の化学的または熱的レジメに付されることが避けられる。
加工プロセスにおいて、メモリセル1は、通常はかなり低い温度、典型的には100〜150℃の範囲内の温度による熱処理に付される。しかし、所望とされる機能上の性質を持つ本発明によるメモリセルを得るためには、メモリセルを例えばメモリデバイス中に実際に適用する前に、そのセルを使用前コンディショニングに付すことが必要であるだろう。この使用前コンディショニングは、1つのパルス系列の交番正負電圧パルスを、メモリセルの電極に、ある一定数のパルスまたはサイクルの間印加することによって行われる。印加電圧は、メモリ材料を電圧パルスの極性に応じて正負いずれかの方向に分極させ得る電極間に電界を発生させることができるだろう。印加電圧パルスは、今や、メモリ材料中に分極方向の連続反転を引き起こすだろう。この使用前コンディショニングにおいて、パルスの持続時間および振幅は所望される分極効果を得るように選択および調整されなければならない;即ち、タイミングおよび振幅に注意が払われなければならない。典型的には、分極反転をもたらすのに必要とされる時間、即ちメモリセルの全分極状態のスイッチングは相当数のマイクロセカンドのオーダー、例えば約50マイクロセカンドである。メモリセルは使用前コンディショニングで非常に多数のスイッチングまたは分極反転に付すことができる。スイッチング回数は10000超であることができ、そして多分それよりはるかに大きいが、最適使用前コンディショニングのパラメーターの選択は発見的方法を必要とする。
本発明によるメモリセルは受動マトリックス・アドレス指定可能メモリデバイスにおいてメモリセルとして使用することができ、この場合メモリ材料は、1つの好ましい実施態様では、第一電極層と第二電極層との間にサンドイッチ状にはさまれた連続相として与えられ、その電極は、ストリップ様平行電極として、第一電極層中の電極が第二層中の電極と直交する方向に配列されるように与えられ、これら電極は、かくして、メモリセルが、今や、電極層の交差電極間におけるメモリ材料の部分に画成されている直交電極マトリックスを形成する。図6の実施態様に基づく受動マトリックス−アドレス指定可能メモリデバイスも同様に考案することができ、しかもそれはノルウェー特許第309500号の主題であり、従ってここではさらに詳細には議論しないものとする。
テストは、使用前コンディショニングに付された本発明のメモリセルは卓越した耐疲労性を示し、一方使用前コンディショニングのパラメーターの適切な選択は、また、このメモリセルがインプリントを起こし、および乱れる傾向をはるかに少なくするのに役立ち得ることを示した。しかし、第一に、そして最も重要なことであるが、本発明によるメモリセルは疲労に実際上免疫となるように製造されており、それによって強誘電体またはエレクトレットメモリデバイス中での連続適用に予見され得るのと同じくらいの、通常用途における非常に多数のスイッチングサイクルにわたって劣化しない分極性を持つメモリセルが提供される。
従来技術による一般的なメモリセルの第一実施態様の模式的断面図を示す。 従来技術による一般的なメモリセルの第二実施態様の模式的断面図を示す。 強誘電体材料の疲労前および疲労後のヒステリシス曲線を示す。 本発明によるメモリセルの、図1の一般的実施態様に構造的に対応する第一の好ましい態様の模式的断面図を示す。 本発明によるメモリセルの、図1の一般的実施態様に構造的に対応する第二の好ましい態様の模式的断面図を示す。 本発明によるメモリセルの、図2の一般的実施態様に構造的に対応する第三の好ましい態様の模式的断面図を示す。

Claims (12)

  1. 強誘電性またはエレクトレット性を有し、そして分極され得かつヒステリシスを示し得る重合体メモリ材料を含んで成り、該重合体メモリ材料が第一および第二電極に接触して与えられており、そして該重合体材料が少なくとも第一および第二重合体材料のブレンドであり、この場合前記第一重合体材料が強誘電体またはエレクトレット重合体材料であるメモリセルにおいて、各電極が高導電性材料の第一層および導電性重合体の第二層を含んで成る複合多層電極であり、その導電性重合体は上記高導電性材料と上記メモリ材料との間に接触層を形成していることを特徴とする上記のメモリセル。
  2. 第一重合体材料が共重合体であることを特徴とする、請求項1記載のメモリセル。
  3. 第二重合体材料が単独重合体であることを特徴とする、請求項1記載のメモリセル。
  4. 高導電性材料が金属材料であることを特徴とする請求項1記載のメモリセル。
  5. 電極の第一層と第二層との間にバリヤー層が与えられていることを特徴とする、請求項1記載のメモリセル。
  6. バリヤー層が金属材料の酸化物、窒化物または硼化物であることを特徴とする、高導電性材料が金属材料である請求項5記載のメモリセル。
  7. メモリ材料が電極間にサンドイッチ状にはさまれて与えられていることを特徴とする、請求項1記載のメモリセル。
  8. 電極が絶縁材料の橋の相対する表面に与えられ、第一電極が該絶縁橋を越えて延在していること、およびメモリ材料が第一および第二電極の露出表面上に与えられ、そして電極間に絶縁橋の側面を覆って延在していることを特徴とする、請求項1記載のメモリセル。
  9. メモリ材料および電極が、メモリセルが層状薄膜構造を構成するように薄膜の層として与えられていることを特徴とする、請求項1記載のメモリセル。
  10. 強誘電性またはエレクトレット性を有し、そして分極され得かつヒステリシスを示し得る重合体メモリ材料を含んで成り、該重合体メモリ材料が第一および第二電極に接触して与えられており、そして該重合体材料が少なくとも第一および第二重合体材料のブレンドであり、ここで前記第一重合体材料が強誘電体またはエレクトレット重合体材料であるメモリセルを使用前コンディショニングする方法であって、上記メモリ材料をいずれの方向にも分極させ得る電界を発生させる1つの電圧パルス系列の交番正負パルスを上記電極に印加し、そして該メモリ材料を該分極方向の多数の連続する反転に付すことによって特徴付けられる上記の方法。
  11. 受動マトリックス−アドレス指定可能強誘電体メモリデバイスまたは同エレクトレットメモリデバイスにおける請求項1記載のメモリセルの使用。
  12. 能動マトリックス−アドレス指定可能強誘電体メモリデバイスまたは同エレクトレットメモリデバイスにおける請求項1記載のメモリセルの使用。
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