JP2005335991A - 耐食性部材とその製造方法および半導体・液晶製造装置用部材 - Google Patents

耐食性部材とその製造方法および半導体・液晶製造装置用部材 Download PDF

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Abstract

【課題】ハロゲン元素を含む腐食性ガスやそのプラズマに対して良好な耐食性を有する耐食性部材を提供する。
【解決手段】少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、Yの含有量がY換算で99.5質量%以上、X線回折における立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅が0.4°以下である耐食性部材とする。
【選択図】図1

Description

本発明は腐食性ガスまたはそのプラズマに対する高い耐食性が求められる半導体・液晶製造装置の内壁材(チャンバー)、マイクロ波導入窓、シャワーヘッド、半導体製造装置用耐食性リング(フォーカスリング、シールドリング等)等に好適に用いられ、少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、酸化イットリウム(Y)質からなる耐食性部材に関する。
近年、半導体製造におけるドライエッチングプロセスや成膜プロセスなどの各プロセスにおいて、プラズマを利用した技術が盛んに使用されている。半導体の製造時におけるプラズマプロセスでは、特にエッチング、クリーニング用として、反応性の高いフッ素系、塩素系等のハロゲン元素を含む腐食性ガスが多用されている。これら腐食性ガス及びプラズマに接触する部分には、高い耐食性が要求される。
被処理物以外でこれらの腐食性ガス及びプラズマに曝される部材は、一般に石英ガラスやステンレス、アルミニウム、セラミックスとしてアルミナ焼結体や窒化アルミニウム焼結体、及びこれらセラミックスに炭化珪素等の膜を被覆したもの等が使用されていた。
さらに、最近では上述の部材にかわり、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(以下YAGと記載)焼結体やY質焼結体、またはこれらの膜が耐食性の優れる材料として使用されている。
また、Y質焼結体は、高周波、例えばマイクロ波帯で誘電正接が小さいことから、誘電体共振器用セラミックスとしても用いることが可能である。
特許文献1には、ハロゲン元素を含む腐食性ガス或いはそのプラズマに曝される半導体製造装置用セラミックス部品であって、部品を構成するセラミックスがYを主体とするセラミックスからなり、熱伝導率が40W/m・K以下かつ室温から500℃での全放射率が80%以下であることを特徴とする。
また、特許文献2には、ハロゲン元素を含む腐食性ガスのプラズマにより基板を処理する装置に用いられる基板処理用部材であって、ハロゲン元素を含む腐食性ガスのプラズマに曝される部位が、相対密度94%以上、純度99.5%以上のYで構成されることを特徴とした低金属汚染の基板処理用部材の例が示されている。
特許文献3には、ハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、Yを30重量%以上含む酸化物で構成され、気孔率が3%を超え8%以下であることを特徴とする部材が示されている。
さらに、特許文献4には、腐食性ガス下でプラズマに曝される少なくとも表面領域がY系焼結体である耐プラズマ性部材の例が示されている。
さらにまた、特許文献5には、金属微量成分の含有量が、重量基準で、Si:200ppm以下、Al:100ppm以下、Na、K、Ti、Cr、Fe、Niの総量:200ppm以下であることを特徴とするY焼結体の例が示されている。
また、特許文献6には、少なくともプラズマ雰囲気に曝される部位が、金属微量成分量が質量基準で、Si:400ppm以下、Al:200ppm以下であり、平均粒径が200μm以下、気孔率が5%以下であるY質部材の例が示されている。
さらに、特許文献7には、イットリアを主成分としY質焼結体を用いた耐食性部材において、緻密化されたY質焼結体を用いることが示されている。
また、特許文献8には、Yに酸化チタンを添加することで、低温焼成を可能とするY基材セラミック組成物の例が示されている。
特開2001−139365号公報 特開2001−179080号公報 特開2001−181024号公報 特開2002−68838号公報 特開2002−255647号公報 特開2003−55050号公報 特開2001―181042号公報 特開平5−330911号公報
上記各種耐食性部材として用いられているYの焼結体や膜の結晶構造は、立方晶、六方晶、単斜晶、斜方晶があることが知られており、このうち、立方晶Yが熱的に最も安定なため、特許文献1〜8のY質の焼結体や膜を含む部材は、立方晶Yを主成分とするものと思われる。
このY質の焼結体や膜を含む部材では、これに含まれる立方晶Yの結晶構造を規則化させると、X線回折におけるピークの幅が小さくなる傾向があり、特に、立方晶YのX線回折ピークのうち回折強度が最も大きく、立方晶Yの結晶構造の規則化の度合いを最も良く表すミラー指数(222)面帰属ピークの半値幅を小さくすることにより、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに対する耐食性を向上させることができる。
しかし、従来のY質の焼結体や膜からなる耐食性部材は、上述のように結晶構造を制御するような製法が管理されていないため、立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅が0.4°以下に制御されておらず、この半値幅が0.4°を超えるものがあった。このため、結晶構造が十分規則化しないものがあり、格子欠陥が多数存在し、この格子欠陥によって耐食性を長期間高いものに保持できないという問題があった。
特許文献1の半導体製造装置用セラミックス部品、特許文献2のYからなる基板処理用部材では、その製造過程において、成形体中に含まれる有機バインダーを十分に脱脂して残留炭素量の少ない脱脂体を得た後、格子欠陥を低減する焼成方法によって焼成していないため、YのX線回折ピークの半値幅が大きくなる場合があり、結晶構造の規則化が不十分となり、耐食性が悪くなるという問題があった。
また、特許文献3の部材は、焼成時の降温速度を制御していないため酸素欠陥などの格子欠陥が多くなり、結晶構造が十分規則化しない恐れがあった。特に降温速度が速すぎると、得られた部材中に酸素欠陥が多くなるため、X線回折ピークの半値幅が大きくなり、結晶構造の規則化が不十分なものとなって耐食性が悪くなるという問題があった。
さらに、特許文献4の耐プラズマ性部材は、平均粒径0.1〜5.0μmのY粉末を造粒して、1500〜2000℃の温度で焼成する工程を用いる製法が記載されているが、焼成時の降温速度を制御していないため、降温速度が速すぎる場合、得られるY焼結体のX線回折ピークの半値幅が大きくなり、結晶構造が十分規則化せず耐食性が悪くなるという問題があった。この問題は造粒後の粉末の平均粒径が1μmを超える焼結活性の小さいY粉末を用いた場合顕著に発生していた。また、特許文献4には、成形体に含まれるバインダーを900℃程度で加熱して脱脂することが記載されているが、900℃程度で脱脂する際に、保持する時間が不十分であったりすると、脱脂体に含まれる炭素量が多くなった。炭素量の多い脱脂体を焼成して焼結体を作製すると、脱脂体に含まれていた炭素がY結晶格子の酸素と反応して、得られるY焼結体からなる部材の酸素欠陥が多くなるので、X線回折ピークの半値幅がさらに大きくなり、結晶構造の規則化がさらに不十分となり、耐食性が悪くなるという問題があった。
特許文献5のY焼結体およびウエハ保治具や、特許文献6のY質部材は、Si、Alなどの金属微量成分の含有量の上限を設定することにより、腐食性ガスやそのプラズマに対する耐食性を向上させようとしているものの、有機バインダーに含まれる炭素を焼結前に十分除去しなかったり、焼成時の降温速度が速すぎたりすると、X線回折ピークの半値幅が大きく、結晶構造が十分に規則化せず、耐食性が悪いものであった。
特許文献7の耐食性部材は、成形体に含まれる有機バインダーを400〜600℃で脱脂した場合、脱脂温度が低すぎたり、脱脂時間が短かったりすると、脱脂体に炭素が多く残留していた。この脱脂体を焼結させる過程で、残留した炭素がY結晶格子の酸素と反応して、得られる部材中の酸素欠陥が多くなり、その結果X線回折ピークの半値幅が大きくなり、結晶構造の規則化が不十分となって耐食性が悪くなるという問題が生じていた。また、焼成時の降温速度を速くすると、例えば特許文献3の部材と同様に結晶構造の規則化が不十分となって耐食性が悪くなるという問題があった。
また、特許文献8のセラミック組成物は、酸化チタンを0.01〜20重量%添加することにより低温焼成を可能とし製造コストを低減できるとされているものの、酸化チタンを添加しているため、チタンがYの結晶格子内に固溶してYの結晶構造が規則化しなかったり、チタンを含む化合物が粒界に析出して耐食性の悪い粒界相を形成したりしたため、耐食性が悪いという問題があった。
これら特許文献1〜8の部材は、結晶構造が十分規則化していない場合、高周波帯域、特に半導体製造装置内でプラズマを発生させる周波数帯域等(1〜5GHz)の電磁波に対する誘電正接が大きくなるという問題もあった。
上記問題点に鑑み、本発明者らはYの結晶構造を規則化させることで、少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が良好な耐食性を有する耐食性部材を提供できることを見出し、本発明に至った。また、比表面積が大きく焼結活性が高いY粉末を用い、結晶構造を規則化させるために、脱脂体の炭素量を少なくし、さらに焼成の際の降温速度の条件を制御することによって、良好な耐食性を有する耐食性部材の製造方法を提供できることを見出した。
本発明は、ハロゲン元素等を含有する腐食性ガスやそのプラズマに対して良好な耐食性を有する耐食性部材を提供し、また、ハロゲン元素等を含有する腐食性ガスやそのプラズマに対して良好な耐食性を有する耐食性部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の耐食性部材は、少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、Yの含有量がY換算で99.5質量%以上、X線回折による立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅が0.4°以下であることを特徴とする。
本発明の耐食性部材は、少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、YをY換算で95質量%以上、ランタノイド元素(LN)をLN換算で0.01〜5質量%、かつYとLNをそれぞれY、LN換算で合計99.5質量%以上含有し、X線回折による立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅が0.4°以下であることを特徴とする。
また、本発明の耐食性部材は、前記ランタノイド元素がDy、Hoのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする。
さらに、本発明の耐食性部材は、金属元素の含有量を質量基準で、SiをSiO換算で300ppm以下、FeをFe換算で50ppm以下、AlをAl換算で100ppm以下、2族元素(AE)をAEO換算で350ppm以下とすることを特徴とする。
さらにまた、本発明の耐食性部材は、前記YをY換算で99.9質量%以上含有し、前記半値幅が0.3°以下であることを特徴とする。
またさらに、本発明の耐食性部材は、炭素の含有量を100質量ppm以下とすることを特徴とする。
また、本発明の耐食性部材は、1〜5GHzにおける誘電正接が2×10−3以下であることを特徴とする。
さらに、本発明の耐食性部材は、気孔率が5%以下であることを特徴とする。
本発明の耐食性部材の製造方法は、Yを99.5質量%以上含有する粉末、または、Yを95質量%以上、ランタノイド元素(LN)をLN換算で5質量%以下、かつYとLN換算の合計含有量が99.5質量%以上である粉末のいずれかからなり、粉末の比表面積が1m/g以上である原料粉末を準備する原料粉末準備工程と、前記原料粉末に有機結合剤を添加し、成形体を作製する成形工程と、前記成形体に含まれる有機結合材を脱脂して炭素含有量が200ppm以下の脱脂体を作製する脱脂工程と、前記脱脂体を1500〜2000℃で2時間以上保持後、100℃/時間以下の降温速度で降温する焼成工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の半導体・液晶製造装置用部材は、前記耐食性部材からなることを特徴とする。
本発明の耐食性部材によれば、少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、Yの含有量がY換算で99.5質量%以上、X線回折による立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅を0.4°以下に制御した耐食性部材では、結晶構造が整列しやすくなり、ハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに選択的にエッチングされる格子欠陥を少なくして、腐食性ガスに長期間曝された場合でも優れた耐食性を保持することができる。
また、本発明の耐食性部材によれば、少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、YをY換算で95質量%以上、ランタノイド元素(LN)をLN換算で0.01〜5質量%、かつYとLNをそれぞれY、LN換算で合計99.5質量%以上含有し、X線回折による立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅が0.4°以下であることにより、ハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに対して優れた耐食性を有する耐食性部材とすることができる。
さらに、本発明の耐食性部材によれば、前記ランタノイド元素が、Dy、Hoのうち少なくとも1種を含むことにより、立方晶Yの結晶構造がさらに規則化し、前記半値幅がさらに小さくなって耐食性が向上する。
さらにまた、本発明の耐食性部材によれば、金属元素としての含有量を質量基準で、SiをSiO換算で300ppm以下、FeをFe換算で50ppm以下、AlをAl換算で100ppm以下、2族元素(AE)をAEO換算で350ppm以下とする耐食性部材とすることにより、金属元素は格子欠陥の生成の原因となるので、金属元素の含有量を前記範囲のように少なくすることにより、さらに格子欠陥を低減させることができるため、さらに耐食性に優れた耐食性部材とすることができる。
またさらに、本発明の耐食性部材によれば、前記Yの含有量をY換算で99.9質量%以上とし、前記半値幅を0.3°以下とすることにより、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに長時間曝されても優れた耐食性を有する耐食性部材とすることができる。
また、本発明の耐食性部材によれば、炭素の含有量を100質量ppm以下とすることにより、炭素が粒界に遊離炭素として存在しにくく、炭素のほとんどが結晶格子内あるいは格子間に固溶するので、遊離炭素の存在に起因する粒界の耐食性の劣化がなくなり、特に耐食性に優れる耐食性部材とすることができる。
さらに、本発明の耐食性部材によれば、1〜5GHzにおける誘電正接を2×10−3以下とすることにより、半導体製造装置内で電磁界エネルギーが熱エネルギーに変換されにくくなるので、装置内で無駄な発熱がなくなり、プラズマのエネルギー損失が低減できる。このため、プラズマの発生効率を高めることができる。
またさらに、本発明の耐食性部材によれば、気孔率を5%以下とすることにより、表面の開気孔を少なくできるので、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに曝される表面積が少なくなり、さらに良好な耐食性を有することが可能となる。
また、本発明の耐食性部材の製造方法によれば、Yを99.5質量%以上含有する粉末、または、Yを95質量%以上、ランタノイド元素(LN)をLN換算で5質量%以下、かつYとLN換算の合計含有量が99.5質量%以上である粉末のいずれかからなり、粉末の比表面積が1m/g以上である原料粉末を準備する原料粉末準備工程と、前記原料粉末に有機結合剤を添加し、成形体を作製する成形工程と、前記成形体に含まれる有機結合材を脱脂して炭素含有量が200ppm以下の脱脂体を作製する脱脂工程と、前記脱脂体を1500〜2000℃で2時間以上保持後、100℃/時間以下の降温速度で降温する焼成工程とを有することにより、結晶構造の規則化が促進された耐食性部材を作製することができる。粉末の比表面積が1m/g以上である原料粉末を用い、脱脂体の炭素含有量を200ppmとし、降温速度を100℃/時間以下とすると、
焼結活性を高めて緻密で比表面積の小さい焼結体を製造できるだけでなく、酸素欠陥等の格子欠陥が少なく、前記半値幅が0.4°以下である耐食性に優れた耐食性部材を製造することができ、ハロゲン元素を含む腐食性ガス等に対する耐食性に優れているため、半導体製造工程においてハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに暴露されても、減肉したり、亀裂等が入ったりせずに長時間使用することができる。
また、本発明の半導体・液晶装置用部材は、前記耐食性部材から形成することで、製造装置中でハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに曝されても、優れた耐食性を有し、部品交換の頻度を少なくできるために、製造コストを抑えることが可能となる。
本発明の耐食性部材は、少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに曝される部位をY質焼結体、Y溶射膜、PVD膜等の膜で形成したものである。
本発明の耐食性部材の用途として、第一は、半導体製造装置用部材(内壁材、監視窓、マイクロ波導入窓、マイクロ波結合用アンテナ、静電チャック、サセプタなど)であり、ハロゲン元素を含む腐食性ガスのプラズマに対する優れた耐腐食性が必要とされる。この半導体製造装置用部材には、さらに好ましくは、プラズマ発生効率を高めるため、マイクロ波帯における低い誘電正接を有することが要求される。
第二は、Y質焼結体の透光性を利用した金属蒸気放電灯用発光管である。ハロゲン属ガスを封入し放電させる金属蒸気放電灯用発光管には、ハロゲン属ガスに対する耐食性が求められる。
第三は、少なくともその表面がY質からなるマイクロ波加熱焼成用治具である。ハロゲン元素を含む化合物などの腐食性のある未焼成体をマイクロ波加熱によって焼結させる場合、未焼成体を入れる坩堝などの焼成用治具には、ハロゲン元素に対する優れた耐食性が求められる。前記焼成用治具の誘電正接が低いことは、印加したマイクロ波のエネルギー損失が少ないので未焼成体を少ない電力で効率よく焼結させることができるので好ましい。前記ハロゲン元素を含む腐食性ガスとしては、SF、CF、CHF、ClF、NF、C、HF等のフッ素系ガス、Cl、HCl、BCl、CCl等の塩素系ガス、Br、HBr、BBr等の臭素系ガスなどがある。
前記第一の用途の場合、これらの腐食性ガスにマイクロ波等の高周波が照射されると、これらの腐食性ガスがプラズマ化され、このプラズマが半導体製造装置用の各部材に接触することとなる。また、ドライエッチングにより行われるエッチング効果を高めるために前記のような腐食性ガスとともに、Ar等の不活性ガスを導入してプラズマを発生させることもある。腐食性ガスによりエッチング可能な材料としては、酸化膜系材料(th−SiO、PSG、BPSG、HTO、P−SiO、P−TEOS、SOG等)、窒化膜系材料(P−SiN、LP−SiN等)、シリコン系 材料(Si、Poly−Si、a−Si、WSi、MoSi、TiSi等)、金属系材料(Al、Al合金、TI、TiN、TiW、W、Cu、Pt、Au等)がある。ハロゲン元素を含む腐食性のフッ素系ガスとYが反応すると主にYFを生成し、塩素系ガスとYが反応すると主にYClを生成する。これらの反応生成物の融点(YF:1152℃、YCl:680℃)は、従来から用いられていた石英や酸化アルミニウム焼結体との反応により生成される反応生成物の融点(SiF:−90℃、SiCl:−70℃、AlF:1040℃、AlCl:178℃)より高い。このため、Y質焼結体からなる耐食性部材は、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに高温で曝されたとしても安定した耐食性を備えている。特に、本発明の耐食性部材は、格子欠陥が少なく、結晶構造が規則化しているのでハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに対する耐食性に優れている。
ここで、本発明の耐食性部材の第一の実施形態について説明する。
本発明の耐食性部材は、少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、Yの含有量がY換算で99.5質量%以上、X線回折による立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅が0.4°以下に特定する。
これにより、ハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに対する優れた耐食性を有する。この理由は次のように考えられる。
立方晶Y質の焼結体や膜に含まれる結晶の結晶格子を構成するY、O(酸素)の欠損や、Y、Oの配列の乱れなどの格子欠陥があると、この格子欠陥に位置したり隣接したりする原子が電気的、結晶構造的に不安定なため、ハロゲン元素を含む腐食性ガスのプラズマはこの格子欠陥のある結晶格子の原子を選択的にエッチングすると考えられる。格子欠陥のある結晶格子の原子がエッチングされると、隣接する結晶格子が電気的、結晶構造的に安定性を保つことが困難となるので、隣接する結晶格子の原子が続いてエッチングされる。このエッチングが連鎖的に起こり、エッチングが進行すると考えられる。本発明の耐食性部材は、YをY換算で99.5質量%以上含有しているため、立方晶Yを主結晶相とすることができる。また、その半値幅を0.4°以下とすることで、耐食性部材を構成する立方晶Yからなる結晶の結晶構造を十分に規則化することができるため格子欠陥が少なく、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに対する長期間の耐食性を優れたものとすることができる。さらに、好ましくは、Yの含有量がY換算で99.9質量%以上、半値幅が0.3°以下であり、これによって結晶構造がさらに規則化するので、さらに耐食性に優れた耐食性部材とすることができる。
一方、前記半値幅が0.4°を超えると、立方晶Yからなる結晶の結晶構造が十分に規則化していないので格子欠陥が多くなり、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに対する耐食性が悪くなる。
なお、このように前記半値幅を0.4°以下の耐食性部材を得るためには、詳細を後述するように、例えば耐食性部材の原料粉末の比表面積を大きくし、焼成前の脱脂体に含まれる炭素量を少なく制御し、さらに焼成時の降温速度等を制御することによって、得られる耐食性部材の格子欠陥を低減させる製造条件とする。
また、上記第一の実施形態と同様に、第二の実施形態によれば、少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、YをY換算で95質量%以上、ランタノイド元素(LN)をLN換算で0.01〜5質量%、かつYとLNをそれぞれY、LN換算で合計99.5質量%以上含有し、X線回折による立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅が0.4°以下に特定される。
これにより、ハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに対して優れた耐食性を有する耐食性部材とすることができる。YをY換算で95質量%以上、LNをLN換算で0.01〜5質量%、YとLNをそれぞれY、LN換算で合計99.5質量%以上含有することにより、立方晶Yの結晶内にLNが一部固溶した結晶を生成させることができる。このLNが一部固溶した結晶が生成することによって、粒界の格子欠陥が著しく低減する。併せて、立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅を0.4°以下とすることにより、粒界のみならず立方晶Y結晶の耐食性が向上する。LNの含有量がLN換算で0.01質量%未満の場合は、粒界の格子欠陥を低減できないので耐食性が悪くなる。また、LNの含有量がLN換算で5質量%を超えると、耐食性部材に含まれる結晶相としてLNが多く生成し、LNからなる結晶と立方晶Yからなる結晶の格子定数の違いによって格子歪が大きくなって耐食性部材中に大きな機械的応力が残留する。このような大きな機械的応力が残留した耐食性部材をハロゲン元素を含む腐食性ガスのプラズマに曝すと、機械的応力や熱応力が印加され、耐食性部材がこれらの応力に耐えきれずクラックが入ったり、化学的に大きくエッチングされたりする。前記LNはLN換算で0.05〜0.5質量%含有することが好ましい。
この第二の実施形態において、耐食性部材に含まれる粒界の格子欠陥を著しく低減できる理由は次のように考えられる。結晶中に含まれる原子の格子振動の運動エネルギーは、原子量が大きい元素程大きい傾向がある。この運動エネルギーが大きい原子は、外部からプラズマなどの熱的・電磁界的エネルギー印加されても、系外へ飛び出すことが抑制され、すなわちエッチングされにくい。LNはYに比べて原子量が大きいので、外部からエネルギーが印加されても系外へ飛び出しにくい。しかも、LNOは立方晶Yと結晶構造が近似しているので、立方晶YにLNが固溶した結晶は、結晶構造的に安定であり、耐食性を損ねることはない。
第一の実施形態と第二の実施形態の耐食性部材の相違点、および両者が共に良好な耐食性を有する理由は次の通りである。
第一の実施形態の耐食性部材は、立方晶Yからなる結晶の格子欠陥を低減させることにより、半値幅が0.4°以下となり、これによって耐食性が向上する。第一の実施形態の耐食性部材においては、立方晶Yからなる結晶の粒界に微量の格子欠陥が存在するので、粒界が著しい耐食性を有する耐食性部材とすることができない。しかしながら、第一の実施形態の耐食性部材は、粒界の耐食性が著しく優れていなくても、立方晶Yからなる結晶の耐食性が著しく優れているので、結晶と粒界を合わせた耐食性部材全体としては優れた耐食性を有するものとなる。
一方、第二の実施形態の耐食性部材は、立方晶Yの結晶内にLNが一部固溶した結晶が生成し、このLNが一部固溶した結晶の粒界の耐食性が著しく向上する。LNが一部固溶した結晶は、第一の実施形態の耐食性部材に含まれる結晶と同様に著しく耐食性に優れているものの、相対的には、第一の実施形態の耐食性部材に含まれる結晶よりも耐食性が悪い。しかしながら、第二の実施形態の耐食性部材に含まれる結晶の粒界の格子欠陥が著しく低減するので、第一の実施形態の耐食性部材と同様に、第二の実施形態の耐食性部材は優れた耐食性を有するものである。
また、前記ランタノイド元素(LN)がDy、Hoのうち少なくとも1種を含むことが好ましく、立方晶Yの結晶構造がさらに規則化し、前記半値幅がさらに小さくなって耐食性が向上するので好ましい。
これは、LNがDy、Hoの少なくとも1種を含む場合、立方晶Yの結晶格子内にDyやHoが固溶した結晶が生成する。これによって、粒界の格子欠陥が低減するだけでなく、DyやHoが固溶した結晶が特にハロゲン元素を含むプラズマに対してさらに優れた耐食性を有することとなる。DyやHoが固溶した結晶の耐食性がさらに優れているのは、この結晶格子内にあるY3+イオンと、Dy3+、Ho3+イオンとの電気的な相互作用によるものと推察される。この相互作用の詳細なメカニズムは良くわからないが、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに曝された場合、本発明の耐食性部材に含まれる結晶格子の格子振動の変化を抑制する効果があるためと思われる。より好ましくは、Dy、Hoの含有量が合計で0.1〜1質量%である。
ここで、上述の第一、第二の実施形態において、立方晶Yのミラー指数のうち(222)面を選択したのは、(222)面が立方晶YのX線回折ピークのうち回折強度が最も大きく、立方晶Yの結晶構造の規則化の度合いを最も良く示すためである。半値幅を0.4°以下とすると、結晶構造が規則化するということは、理想的には耐食性部材を構成する全ての結晶が完全に結晶化し、格子定数がぼほ同じで、かつ格子欠陥もほとんどない結晶(理想的な結晶)からなることを意味する。このような理想的な結晶からなる耐食性部材を作製し評価することは実験的に困難であるため、理想的な結晶からなる耐食性部材のX線回折ピークの形を実験的に得ることは困難である。しかしながら、本発明では、種々の実験や理論的考察を通じて、実験的に得られた耐食性部材の半値幅が理想的な耐食性部材の(222)面帰属ピークの半値幅の少なくとも2倍よりも大きいと推察した。
すなわち、理想的な結晶からなる耐食性部材の(222)面帰属ピークの半値幅は0.2°よりも小さいと考えられることから、本発明の耐食性部材の半値幅は、各々の結晶の結晶化の度合いや格子定数のばらつきによって、理想的な結晶の(222)面帰属ピークの半値幅よりも大きくなるものの、前記理想的な結晶の半値幅の約2倍以下とすることで結晶構造を規則化することができ、十分な耐食性を有する耐食性部材を得ることができると推測したものである。
したがって、本発明の耐食性部材においては、ハロゲン元素やそのプラズマに対して優れた耐食性を有するのは、理想的な結晶の(222)面帰属ピークの半値幅の2倍以下に制御したものである。
なお、前記理想的な結晶からなる耐食性部材の(222)面帰属ピークの半値幅はより正確には0.15°よりも小さいと考えられるため、この値の2倍以下である0.3°以下とすることがより好ましい。したがって、耐食性部材の製造を容易にして量産可能とするためには、前記半値幅の下限値を好ましくは0.15°、より好ましくは0.2°とする。
また、本発明の耐食性部材におけるX線回折による立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅の測定は例えば次のようにして行う。
先ず、耐食性部材の表面部を、CuKα線を用いたX線回折法により測定し、ミラー指数(222)面に帰属するX線回折ピークの半値幅を測定する。前記半値幅の単位は、入射X線の回折角であり、通常2θで表される角度(°)である。立方晶YのX線回折パターンはJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)カードNo.41−1105を参照することができる。このJCPDSカードによれば、立方晶Yの(222)面の面間隔は3.061Åであり、回折角2θはCuKα線を用いた場合29.15°とされている。具体的には、図1に示すようにX線回折の結果、最もピーク強度が大きい2θが29°付近にあるピーク(P)の強度(ピーク(P)の先端部のピーク強度)をPとするとき、P/2のピーク強度のところに、横軸2θ方向に平行線を引き、この平行線がピーク(P)と交わる2つの交点間の距離を半値幅として求めた。
また、耐食性部材に含まれるY、LNの含有量は、例えばICP発光分析法により定量分析して求めることができる。
また、第二の実施形態のように、耐食性部材中にLNをLN換算で0.01〜5質量%含有する耐食性部材は、立方晶Yに一部LNが固溶した結晶が生成するため、厳密には半値幅は立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅と断定することはできないため、本発明においては格子面間隔が3.04〜3.09Å付近にある、最も回折強度の大きな回折ピークの半値幅を前記半値幅と定義する。
また、上述の第一、第二の実施形態における耐食性部材は、金属元素の含有量を質量基準で、SiをSiO換算で300ppm以下、FeをFe換算で50ppm以下、AlをAl換算で100ppm以下、2族元素(AE)をAEO換算で350ppm以下とすることが好ましい。
これら金属元素は、製造過程で意図的に添加されるものの他、出発原料中に含まれる不純物、製造過程で用いられる水、バインダー等に含まれる不純物や、機械の摩耗によるFeなどの金属成分などの不純物が混入すること等によって添加する可能性があり、これら金属元素を上述の範囲とすることで、イオンや電子を移動させる原因となる不純物による誘電正接の低下を特に抑制できるので、誘電正接がさらに小さくなり、半値幅をより小さいものとして優れた耐食性を有することができる。
これは、Siが耐食性部材に混入すると、Siは主に+4価のSi4+となって存在する。耐食性部材中のSi4+の半径は、Y3+イオン半径に比べて1/2以下と小さく、またSi4+とY3+は価数が異なるので、立方晶Yの結晶格子中にSiは固溶しにくい。このためSiを多く含有する場合、Siを含む耐食性の悪い粒界相が微量生成し、耐食性を著しく向上させることができなくなる。Siの含有量がSiO換算で300ppmであると、Siを含む耐食性の悪い粒界相がほとんど生成しないので、耐食性をさらに向上させることができる。
FeがFe換算で50ppmを超えて含有すると、Feの酸化物、例えばFe相が粒界に形成される。Fe等のFe化合物は磁性体であるので、ハロゲン元素を含むガスのプラズマに曝されるとこのプラズマと電磁気的に反応しやすい。このため、Fe化合物を含む粒界相が選択的にエッチングされ、耐食性を著しく向上させることができない。Feの含有量がFe換算で50ppm以下であると、Fe化合物を含む粒界相がほとんど生成しないので、ハロゲン元素を含むプラズマによって、粒界がエッチングされにくくなり、耐食性が著しく向上する。
Alの含有量がAl換算で100ppmを超えると、六方晶や斜方晶のYAlO、単斜晶のYAlOの粒界相が微量粒界に形成される恐れがある。これらの粒界相は、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに対する耐食性を低下させる恐れがある。Alの含有量がAl換算で100ppm以下の場合は、これらの粒界相が粒界に形成されないので、耐食性を著しく向上させることができる。
2族元素(AE)の含有量がAEO換算で350ppmを超えると、粒界にYとAEの酸化物が多く生じる。この酸化物の粒界相の結晶相は特定できていないが、AEの含有量がAEO換算で350ppmを超えると、耐食性が著しく向上しないことから判断すると、この酸化物の生成量が耐食性の善し悪しに影響していると考えられる。AEの含有量がAEO換算で350ppmとすると、YとAEの酸化物からなる粒界相を少なくできるので、耐食性が特に向上すると考えられる。さらに耐食性に優れた耐食性部材とするためには、前記AEのうちCaを100ppm以下とすることがより好ましい。
なお、前記金属元素の比率は次のようにして測定することができる。例えば、Y焼結体や、膜の表面近傍の断面および深部の断面にレーザーアブレーションシステム(LSX−200 CETAC Technologes社製)を用いてレーザーを照射し、蒸発した元素をICP質量分析装置(Platform ICP Micromass社製)により分析することにより、表面近傍および深部に含まれる金属元素(Si、Fe、Al、AE)の各々の元素のカウント数を求め、各々の元素について、深部のカウント数に対する表面近傍のカウント数の比を不純物金属元素の含有量の比として計算する。
さらに、上述の第一、第二の実施形態における耐食性部材は、Yの含有量をY換算で99.9質量%以上とし、製法を特定の条件とすることで前記半値幅を0.3°以下とすることが好ましく、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに長時間曝されても優れた耐食性を有するものとできる。
ここで、Yの含有量がY換算で99.9質量%以上の高純度とした場合においても、半値幅が0.3°以下となるように製造方法を制御することが必要であり、Yの含有量がY換算で99.9質量%以上と高純度でも、製造方法を制御しなかったために半値幅が0.3°よりも大きくなると、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに長時間曝された場合、優れた耐食性を有することができない。Yの含有量がY換算で99.9質量%以上と高純度の場合、半値幅が0.3°以下、すなわち上述した理想的な結晶の半値幅のより正確と思われる値である0.15°の2倍以下とすることができるため、結晶構造がさらに規則化したものとなり、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに長時間曝されても優れた耐食性を保持することができる。最も好ましくは、Yの含有量がY換算で99.95質量%以上、前記半値幅が0.25°以下である耐食性部材とする。
さらに、耐食性部材のハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位を焼結体から形成する場合、耐食性部材の肉厚を2mm以上とすることが好ましく、耐食性部材の焼成時や溶射時に、耐食性部材の深部から表面へ金属元素が拡散して、前記表面での金属元素の濃度が高くなることが抑制されるので、耐食性部材表面での金属元素を含む粒界相の量を低減することができ、粒界相がハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマによって腐食されにくくなるので、さらに耐食性に優れる。また、耐食性部材中の内部応力を小さくすることができるので、機械的強度の高い耐食性部材とすることができる。特に、前記肉厚を8mm以上とすることにより、耐食性に優れると共に、機械的強度の特に高い耐食性部材とすることができる。
ここで、前記表面近傍と深部は次のように定義する。深部は、耐食性部材の肉厚をTとするとき、耐食性部材表面から垂直方向にT/1.6〜T/2.4の範囲の内部とする。表面近傍は、Tが2mmを超える場合は耐食性部材の表面および表面から0.4mm以内の内部とし、Tが2mm未満の場合は耐食性部材表面から垂直方向にT/1.6〜T/2.4の範囲を除く内部とする。また、耐食性部材が焼結体からなり、この焼結体に肉厚の異なる部分がある場合、表面近傍と深部の平均結晶粒径は肉厚の厚い部分を選び測定する。
また、本発明の耐食性部材では、誘電正接に影響する格子欠陥をなるべく少なくして低誘電正接とし、1〜5GHzにおける誘電正接(tanδ)を2×10−3以下とすることにより、半導体製造装置内で電磁界エネルギーが熱エネルギーに変換されにくくなるので、装置内で無駄な発熱がなくなり、プラズマの発生効率を高めることができる。
これは、耐食性部材に含まれる立方晶Yの半値幅が小さい程、結晶内を伝搬する電磁界エネルギーの損失が小さくなり、その結果、誘電正接は小さくなる。耐食性部材をハロゲン元素を含む腐食性ガスのプラズマに曝す場合、通常耐食性部材には1〜5GHzの電磁波が照射される。この電磁波の電磁界エネルギーの一部は耐食性部材の中で熱エネルギーに変化して発熱し、この発熱量が大きいほど、プラズマを発生させるための電磁界エネルギーの損失が大きくなる。この電磁界エネルギーの損失を抑制して、プラズマを効率良く発生させるためには、耐食性部材の誘電正接を2×10−3以下、さらには5×10−4以下とすることが好ましい。
なお、前記誘電正接は、1〜5GHzにおける誘電正接を空洞共振器法あるいは円柱共振器法で測定する。
また、本発明の耐食性部材によれば、気孔率を5%以下とすることにより、表面の開気孔を少なくできるので、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに曝される表面積が少なくなり、さらに良好な耐食性を有することが可能となる。好ましくは気孔率が2%以下、特に好ましくは1%以下である。また、耐食性部材表面の開気孔は、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに曝される確率が大きいので、好ましくは気孔率のうちでも開気孔率を5%以下、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下とする。
さらに、耐食性部材は、密度を4.8g/cm以上とすることにより、耐食性部材表面の開気孔が少なくなり、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに曝される表面積が少なくなり、非常に良好な耐食性を有するものとすることが可能となる。前記密度を4.9g/cm以上とすることにより、耐食性が向上するだけでなく、誘電損失を特に小さくすることもできる。なお、耐食性部材の密度は例えば、耐食性部材が焼結体の場合はアルキメデス法により、耐食性部材が膜の場合は薄膜評価用X線回折装置やX線反射率膜厚測定装置により求めることができる。
なお、前記密度は、耐食性部材を構成する立方晶Yの結晶を含む部位の密度である。すなわち、前記密度は、耐食性部材が焼結体からなる場合は焼結体の密度であり、耐食性部材がY質の膜を金属やセラミック上に形成したものからなる場合は膜の密度である。
また、格子歪が0.4%以内であることが好ましい。格子歪が0.4%を超えると格子欠陥が多くなって耐食性を著しく向上できない恐れがあるからである。耐食性部材の結晶子(単結晶と見なせる微結晶)の径は平均で1〜200nmであることが好ましい。これは、本発明の耐食性部材に含まれる結晶は、複数の結晶子から構成される。結晶中を伝搬する電磁波は結晶子の界面において減衰し、減衰した電磁波の電磁界エネルギーは熱エネルギーに変換される。結晶子径が1nmよりも小さいと結晶子同士の界面の面積が増加するため誘電正接が大きくなるため、半導体製造装置内でハロゲン元素を含む腐食性ガスのプラズマを発生させ、このプラズマに耐食性部材が曝される場合、耐食性部材の誘電損失によってそのプラズマ発生効率が低下する恐れがあるからである。また、結晶子径が200nmを超えると、耐食性部材を構成する結晶の結晶化度が小さくなるため誘電正接が大きくなり、同様にプラズマ発生効率が低下する恐れがあるからである。前記結晶子径は、5〜100nmであることが特に好ましい。また、この格子歪が小さくなると結晶構造が規則化するので、格子歪が小さいと前記半値幅は小さくなる傾向がある。
なお、前記結晶子径、格子歪みは例えばHall法等により測定することができる。具体的には、X線回折装置を用い、Hall法により試料の結晶子の大きさおよび格子歪みを例えば次のように測定する。X線回折装置の装置定数の補正はSiを用いた外部標準試料法(SRM640b)により、Siのミラ−指数(111)、(220)、(311)、(400)、(331)、(422)、(511)、(440)および(531)面を用いる。例えば立方晶Yのミラー指数(211)、(222)、(400)、(440)および(622)面を用い、積分幅法により測定する
さらに、熱伝導率は20W/m・K以下であることが好ましく、20W/m・Kより高い熱伝導率では、半導体製造装置への入力エネルギーの増加を図り、プラズマをより高密度化しようとした場合に、入力エネルギーが熱エネルギーとして系外へ放出されてしまうため、エネルギー損失が多くなり生産性が向上しないからである。なお、熱伝導率は例えばJIS R 1611に基づく測定により求めることができる。熱伝導率を熱拡散率を用いて計算する場合、熱拡散率はレーザーフラッシュ法にて測定した値を用いる。
さらに、耐食性部材においては、次のようにして、炭素含有量や結晶粒径を制御したりすることによって、耐食性を向上させつつ、さらに誘電正接、機械的強度、色むらを改善できるので好ましい。
炭素含有量を100ppm以下と少なくすると炭素が遊離炭素として存在しにくく、炭素が結晶格子内あるいは格子間に固溶しやすくなるので、遊離炭素の存在に起因するイオンや電子の移動が抑制され、誘電正接を特に小さくすることができる。なお、残留炭素量は例えば炭素分析装置(堀場製作所製EMIA−511型)による測定により求めることができる。
また、深部の金属元素の含有量に対する表面近傍の金属元素の含有量の比を0.5〜5とすることにより、耐食性に優れ、誘電正接が小さいのみならず、外観上の色むらを抑制し、機械的強度をも向上させることができる。表面近傍と深部における金属元素の濃度が異なると、表面近傍と深部の金属元素の含有量が異なる。さらには、金属元素の比を0.8〜3とすれば、より効果的に前記表面近傍と深部の結晶粒径の差の抑制に寄与できる。このとき、表面近傍と深部の結晶粒径の差は15μm以下となる。前記平均結晶粒径の差が30μm以下であると、深部の前記金属元素の含有量に対する表面近傍の前記金属元素の含有量の比が0.5〜5である耐食性部材となる。これによって、表面近傍と深部での前記テンソルの違い、可視光領域の電磁波の吸収係数、反射角度や反射率の違いを特に抑制できるので、機械的強度が向上し、色むらが抑制される。また、焼成工程で溶融したり蒸発したりする金属元素が表面近傍に集中して存在していないために、耐食性を表面近傍から深部まで均一な耐食性部材とすることが可能となる。
なお、平均結晶粒径を測定するには、例えばY質焼結体からなる耐食性部材の断面を鏡面研磨し、得られた鏡面の表面近傍と深部の各々を金属顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)により50〜2000倍程度の倍率で観察し、写真撮影する。得られた写真に写っている複数の結晶の粒径を測定し、これらの粒径を平均して平均結晶粒径を求める。SEMにより平均結晶粒径を求める場合は、前記鏡面研磨した試料の粒界を熱処理あるいは化学的処理によりエッチングした後、SEM写真を撮ることが好ましい。なお、結晶粒径の測定において結晶粒径が0.5μm以下の結晶は、機械的強度や色むらに与える影響が小さいので平均結晶粒径の計算の対象外とする。
なお、耐食性部材は、さらに結晶構造を規則化させて耐食性部材を向上させるために、Sc、Inのうち少なくとも1種をSc、In換算合計で5質量%以下含んでもよい。
次に本発明の耐食性部材の製造方法について説明する。
先ず、本発明の耐食性部材が、金属やセラミックスの基体のうちハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位にY質の膜を形成してなるものである場合、例えば、Yの含有量がY換算で95質量%以上、LNの含有量がLN換算で0.01〜5質量%、YとLN換算の合計含有量が99.5質量%以上であって、比表面積が1m/g以上である粉末を金属やセラミックス焼結体の表面に溶射するか、Y化合物、LN化合物を用いて金属やセラミックスの表面にPVD等により蒸着して耐食性部材を作製する。
次いで、ハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位がY質焼結体からなる場合、粉末準備工程として、上述の第一の実施形態に示す耐食性部材は、Yを99.5質量%以上含有する粉末を、また第二の実施形態に示す耐食性部材は、Yを95質量%以上、ランタノイド元素(LN)をLN換算で5質量%以下、かつYとLN換算の合計含有量が99.5質量%以上である粉末をそれぞれ比表面積が1m/g以上として準備する。前記合計含有量が99.5質量%以上である粉末を用いることにより、耐食性を低下させる不純物量を低減させた組成とすることができる。また、前記比表面積が1m/g以上と大きく、焼結活性の高い粉末を用いることにより、後述する焼成工程において立方晶Yの結晶化を促進して結晶構造を規則化させ、前記半値幅を0.4°以下とした耐食性部材を製造することができる。前記比表面積が1m/gよりも小さいと、得られる耐食性部材に含まれる結晶の結晶構造が規則化せず、前記半値幅が0.4°よりも大きくなる。
詳細には、粉砕用のミルにイオン交換水を溶媒として酸化イットリウム(Y)粉末を投入してBETによる比表面積を1m/g以上に湿式粉砕した後、有機結合材を添加してスラリーを作製する。ここで、前記湿式粉砕後の酸化イットリウム粉末の比表面積を1m/g以上としたのは、比表面積が1m/g未満であると焼結性が悪いだけでなく、結晶構造が十分規則化した焼結体が得られないからである。
また、前記スラリー作製に使用する粉砕用ミルには例えばボールミルや振動ミルを用いることが可能である。該スラリーへのメディア摩耗物の混入を抑制し、これによって焼結体の結晶構造の規則化の向上が妨げられるのを防止するために、ボールミルのメディアとしては高純度のZrOボールを用いること、および得られる焼結体中のZrO含有量を0.1質量%以下に制御することが好ましい。
さらに、粉砕用ミルとしてはビーズミルを使用することもできる。ビーズミルのメディアとしては、ボールミルと同様に高純度のZrOビーズを用いることが、より小さい粒径の粉砕粒子を得るために好ましい。この場合も、粉砕時のZrOボールの摩耗量を制御し、最終的に得られる焼結体中のZrO含有量を0.1質量%以下に制御することが好ましい。
次いで、成形工程として、前記粉末に有機結合剤を添加し、成形体を作製する。
前記有機結合材としては、パラフィンワックス、ワックスエマルジョン(ワックス+乳化剤)、PVA(ポリビニールアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)、PEO(ポリエチレンオキサイド)等の使用が有効である。また、前記溶媒についてはイオン交換水のみならず、蒸留水、有機溶媒等も使用できる。
そして、スラリー作製後、スラリーをスプレードライ装置等の噴霧造粒機にて造粒し、それを用いて静水圧プレス成形により成形後、切削加工により所定形状にする。
ここで、本発明の前記スプレードライ等の噴霧造粒機にて造粒された2次原料粉末に含まれる金属元素の含有量は、質量基準でSiをSiO換算で300ppm以下、FeをFe換算で50ppm以下、AlをAl換算で100ppm以下、AEをAEO換算で350ppm以下とするのがよい。
また、上記金属元素のうち、特にAlについては一般に焼結助剤として用いられており、他の元素と比較してよりY質焼結体中の結晶の粒成長を促進させる効果がある。従って、Alの上記2次原料粉体中の含有量はより少なくするのが良く、より好適にはAlをAl換算で30ppm以下とするのがよい。
また、前記成形は目的とする部材の形状に合わせてその方法を選択すればよく、具体的には金型プレス成形等の乾式成形方法や鋳込み成形、押出成形、射出成形、テープ成形等の湿式成形方法等による成形も可能である。
そして、脱脂工程として、前記成形体に含まれる有機結合材を脱脂して炭素含有量が200ppm以下の脱脂体を作製する。脱脂体の炭素含有量を200ppm以下に制御することにより、得られる耐食性部材に含まれる結晶の酸素欠陥を低減できるので、結晶構造が規則化し、前記半値幅を0.4°以下に制御することができる。炭素含有量が200ppmを超えると、脱脂体の焼成中に、立方晶Yの結晶に含まれる酸素が炭素と反応して、系外へ放出され、多くの結晶構造の規則化を妨げ、耐食性を悪くする程の酸素欠陥が生じ、前記半値幅が0.4°よりも大きくなる。
成形体は300〜900℃の温度で脱脂する。脱脂温度が300℃未満の場合は、前記成形体に含まれる炭素が焼成後に多く残留し、残留した炭素が遊離炭素として多く存在するので、得られる耐食性部材の耐食性を著しく向上させることができない。脱脂温度が900℃を超える場合は、前記炭素が結晶粒内に固溶し易いため、固溶した炭素が格子欠陥を生成させる恐れがあり、これによって、結晶構造を著しく規則化することができないため、耐食性を著しく向上させることができない。
しかる後、焼成工程として、脱脂体を1500〜2000℃で2時間以上保持後、100℃/時間以下の降温速度で降温する。これにより、結晶構造が規則化して前記半値幅を0.4°以下の耐食性部材を製造することができる。降温速度が100℃/時間を超えると、格子欠陥が増加して結晶構造を十分規則化させることができないので、前記半値幅が0.4°よりも大きくなる。なお、前記降温速度は1500〜1000℃の温度範囲での平均降温速度であることが好ましい。この理由は、この温度範囲での平均降温速度を100℃/時間以下に制御すると、耐食性部材を構成する結晶の酸素欠陥が効率的に低減して、前記半値幅のばらつきがなくなり、耐食性に優れた耐食性部材の歩留まりを向上できるからである。
焼成において保持する焼成温度が1500℃未満では、Y質焼結体からなる耐食性部材が致密化せず、2000℃を超えると結晶が異常粒成長して機械的強度が低下し、半導体製造装置等に使われる耐食性部材として使用できなくなる。また、降温速度が100℃/時間よりも速いと、得られる耐食性部材の格子欠陥が多くなるので耐食性が悪くなる。好ましくは降温速度を50℃/時間以下とする。好ましくは、脱脂中あるいは脱脂後から焼成温度保持開始までの昇温速度が15℃/時間以下である。これによって、昇温中に熱エネルギーを表面から深部まで均一に伝達できると共に、金属元素の深部から表面近傍への相互の拡散を抑制できるので、表面近傍と深部の平均結晶粒径の差が30μm以下、前記深部の金属元素の含有量に対する表面近傍の金属元素の含有量の比が0.5〜5のY質焼結体からなる耐食性部材を製造することができる。同時に、これによって、色むらを特に抑制すると共に機械的強度を特に向上させた耐食性部材を製造することができる。耐食性部材の厚さと焼成炉の容量にもよるが、より好ましくは、1m以上の容量を有する焼成炉において12℃/時間以下の昇温速度で焼成する。
また、前記酸素を含む雰囲気中で焼成する際には、酸素分圧を0.05〜1MPaとし、酸素を50体積%以上含む雰囲気中、特に酸素を80体積%含む雰囲気中で焼成することが焼結体をより高密度化させるために好ましい。これは、焼成雰囲気中の酸素分圧を大気中の酸素分圧よりも高くし、かつ酸素を50体積%以上含む雰囲気中で焼成することにより、大気雰囲気中の焼成よりも焼結体をより緻密化させることが可能である。一般に焼結体を高致密化するためには、焼結過程において気孔内に取り込まれた雰囲気ガスが外部に排除されることが必要である。大気雰囲気中での焼成の場合、閉気孔内に取り込まれた雰囲気ガスは空気(主に酸素ガスが約21体積%、窒素ガスが約78体積%)である。酸素分圧を大気中での酸素分圧よりも高くし、かつ酸素を50体積%以上含む雰囲気中で焼成すると、閉気孔内に取り込まれたガス中の酸素濃度は大気中での焼成よりも高くなる。本発明の焼結体中では、窒素よりも酸素の拡散速度が速いので、閉気孔に取り込まれたガス中の酸素濃度が高い程、閉気孔内に取り込まれたガスの焼結体外部への排除を促進させることができ、これによって焼結体の密度を向上させることが可能となる。焼成雰囲気中の酸素分圧の好ましい上限を1MPaとするのは、酸素分圧が1MPaを超えると、焼成後の焼結体中の残留炭素量が200ppmを超える恐れがあるからである。
そして、このようにして得られた耐食性部材は、ハロゲン元素を含む腐食性ガス等に対する耐食性に優れているため、半導体製造工程においてハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに暴露されても、減肉したり、亀裂等が入ったりせずに長時間使用することができ、半導体製造装置用部材、液晶製造装置用部材として好適に用いることができる。
さらに、耐食性部材からなる半導体製造装置用部材である耐食性リングは、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやまたはそのプラズマに対する優れた耐食性を有しており、この耐食性リングは、その部品交換の頻度を少なくできるために、製造コストを抑えることが可能となる。
ここで、図2に本発明の耐食性部材を用いたエッチング装置の例を示す。
図2中、1はチャンバーを、2はクランプリングまたはフォーカスリングを、3は下部電極を、4はウエハを、5は誘導コイルを示す。図2の装置では、チャンバー1の中にハロゲン元素を含む腐食性ガスを注入し、周りに巻かれている誘導コイル5に高周波電力を印加して、ハロゲン元素を含むガスをプラズマ化する。また、下部電極3にも高周波電力を与え、バイアスを発生させ、クランプリング2で固定されたウエハ4に所望のエッチング加工を行う。本装置にて発生したプラズマはチャンバー1や、ウエハ4を固定しているクランプリング2に接触するために、これらの部品は特に腐食を受けやすい。そこでチャンバー1やクランプリング2を本発明の耐食性部材で形成することによって、優れた耐食性を示し、また熱衝撃による割れ等も防止することが可能となる。
粉砕用のミルにイオン交換水を溶媒として、イットリア(Y)、ランタノイド元素(LN)酸化物粉末、SiO、Fe、Al、CaO、MgOの各粉末を投入して、比表面積が表1に示す値となるまでZrOボールを用いたボールミルで湿式粉砕した後、有機結合材としてPVA(ポリビニールアルコール)1質量%、PEG(ポリエチレングリコール)1質量%、PEO(ポリエチレンオキサイド)1質量%を粉体重量に対して添加してスラリーを作製した。なお、比表面積は、有機結合材を添加前のスラリーを乾燥し、乾燥後の粉体の比表面積をBET法により測定した。
スラリー作製後、スラリーをスプレードライで噴霧、乾燥、造粒し、得られた顆粒を静水圧プレス成形により成形後、切削加工して外径60mm、厚さ50mmの円柱形状に成形して複数の成形体を得た。得られた成形体を昇温速度100℃/時間で昇温して表1に示す温度で3時間保持して脱脂し、残留炭素量が200ppm以下となるまで脱脂して脱脂体を作成した。得られた脱脂体を酸素分圧0.062MPa、窒素分圧0.04MPaの酸素/窒素混合ガス雰囲気中、表1に示す昇温速度で昇温後、表1に示す焼成温度で3時間保持し、さらに表1に示す降温速度で降温して焼成した。
このようにして作製した本発明の試料である焼結体からなる耐食性部材を用いて次の評価を行った。
(立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅)
株式会社リガク製X線回折装置RINT2000/PCシリーズを用いて、試料表面をCuKα線を用いたX線回折法により分析し、面間隔3.04〜3.09Åの間にある立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅を求めた。ランタノイド元素酸化物を添加した試料の半値幅についても、面間隔3.04〜3.09Åの範囲にある最も大きな回折強度を有する回折ピークの半値幅を求めた。具体的には、図1で2θが29°付近にあるピーク(P)の強度(ピーク(P)の先端部のピーク強度)をPとするとき、P/2のピーク強度のところに、横軸2θ方向に平行線を引き、この平行線がピーク(P)と交わる2つの交点間の距離を半値幅として求めた。なお、ランタノイド元素酸化物を添加した試料は、立方晶YにLNが固溶していることが透過型電子顕微鏡を用いたX線回折法による測定によりわかった。
(炭素含有量)
炭素分析装置(堀場製作所製EMIA−511型)により炭素含有量を測定した。
(金属元素(Si、Fe、Al、Ca、Mg)の含有量)
ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法(島津製作所製 ICPS―8100)によりSi、Fe、Al、Ca、Mgの含有量を求め、SiO、Fe、Al、CaO、MgOの含有量に換算した。
(表面近傍と内部の平均結晶粒径の差)
試料断面部を鏡面研磨した後、結晶粒界相をエッチングして結晶粒子の大きさを走査電子顕微鏡(日立製作所製S−800)にて測定して、その表面近傍と深部の平均結晶粒径の比を求めて結晶構造の規則化を確認した。この際結晶粒径が0.5μm以下の結晶は測定の対象外とした。
(金属元素の含有量の比)
試料表面近傍の断面および深部の断面にレーザーアブレーションシステム(LSX−200 CETAC Technologes社製)を用いてレーザーを照射し、蒸発した元素をICP質量分析装置(Platform ICP Micromass社製)により分析することにより、表面近傍および深部の各々の金属元素(Si、Fe、Al、Ca、Mg)の元素のカウント数をスペクトル図からピーク強度として求め、深部の金属元素のピーク強度に対する表面近傍の金属元素のピーク強度の比を金属元素の含有量の比として計算した。
(誘電正接tanδ)
空洞共振器法により2〜3GHzでの誘電正接(tanδ)を求めた。
(焼結体密度、気孔率)
イオン交換水を用い、アルキメデス法により焼結体の見掛け密度、気孔率を測定した。
(結晶子径、格子歪)
X線回折装置を用い、Hall法により試料の結晶子の大きさおよび格子歪み、立方晶Yのミラー指数(211)、(222)、(400)、(440)および(622)面を用い、積分幅法により測定した。X線回折装置の装置定数の補正はSiを用いた外部標準試料法(SRM640b)により、Siのミラ−指数(111)、(220)、(311)、(400)、(331)、(422)、(511)、(440)および(531)面を用いた。
(色むら評価)
試料を円柱形状の軸方向に中央から切断し、その断面を目視で観察して色むらが生じているか確認した。
(エッチングレート比)
試料表面に鏡面加工を施し、この試料をRIE(Reactive Ion Etchinng)装置にセットしてClガス雰囲気下でプラズマ中に3時間曝し、その前後の重量減少量から1分間当たりのエッチングレートを算出し、基準試料として用意したアルミナ焼結体(アルミナ含有量99.8質量%)のエッチングレートを1としたときの相対比較値として求め、この相対比較値が0.5以下のものを優れたものとした。
また、JIS R 1611に基づき熱拡散率(レーザーフラッシュ法)、比熱、密度から熱伝導率を計算したところ、15〜21W/m・Kであった。
また、本発明の耐食性部材の色は、マンセル表色系におけるマンセル記号H V/C(色相 明度/彩度)で表すとN9.0(白色)のものや、H(色相)が10YRまたは2.5Y、V(明度)が8.0〜9.5、C(彩度)が0〜2の範囲内で示される色を示していた。
なお、試料の金属元素(Si、Fe、Al、Ca、Mg)の含有量は、造粒後の原料中の金属元素(Si、Fe、Al、Ca、Mg)の含有量が、SiをSiO換算で300ppm以下、FeをFe換算で50ppm以下、AlをAl換算で100ppm以下、2族元素(AE)をAEO換算で350ppm以下となるよう調整し、さらに焼結体中の金属元素(Si、Fe、Al、Ca、Mg)の含有量が表1に示した値となるようにした。
次に本発明の範囲外の試料(比較例)として、イットリア(Y)、ランタノイド元素酸化物粉末の組成、金属元素(Si、Fe、Al、Ca、Mg)含有量、乾燥後の粉体の比表面積、脱脂温度、焼成温度、昇温速度、降温速度を変更した以外は実施例と同様にして焼結体を作製し、上記と同様に評価した。
本発明の試料および比較例についての結果を表1、2に示す。
Figure 2005335991
Figure 2005335991
表1、2から明らかなように、Yを99.5質量%以上含有する粉末、またはYを95質量%以上、ランタノイド元素(LN)をLN換算で5質量%以下、かつYとLN換算の合計含有量が99.5質量%以上である粉末の比表面積を1m/g以上とした原料粉末を用いて、成形体を得、成形体に含まれる有機結合材を脱脂して炭素含有量が200ppm以下の脱脂体とし、さらに脱脂体を1500〜2000℃で2時間以上保持後、100℃/時間以下の降温速度で降温する焼成工程によって得られた試料(No.1〜18)は、立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅が0.4°以下と小さくすることができた。また、誘電正接tanδが2×10−3以下、色むらなし、エッチングレート比が4nm/分以下と優れた特性が得られた。また、本発明の試料の結晶子径は5〜100nmであった。また、本発明の試料の気孔率をアルキメデス法により測定したところ、すべて1%以下であった。。
これに対し、比較例の試料(No.19〜28)は、立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅が0.4°を超えており、エッチングレートが大きかった。また、エッチングレートが大きいのみならず、誘電正接tanδが大きかったり、色むらがあったりした。また、比較例の試料は結晶子径が200nmを超えるものがあった。
本発明の耐食性部材のX線回折パターンを示す図である。 本発明の耐食性部材の応用例であるエッチング装置の概略図である。
符号の説明
1:チャンバー
2:クランプリングまたはフォーカスリング
3:下部電極
4:ウエハ
5:誘導コイル

Claims (10)

  1. 少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、Yの含有量がY換算で99.5質量%以上、X線回折による立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅が0.4°以下であることを特徴とする耐食性部材。
  2. 少なくともハロゲン元素を含む腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、YをY換算で95質量%以上、ランタノイド元素(LN)をLN換算で0.01〜5質量%、かつYとLNをそれぞれY、LN換算で合計99.5質量%以上含有し、X線回折による立方晶Yの(222)面帰属ピークの半値幅が0.4°以下であることを特徴とする耐食性部材。
  3. 前記ランタノイド元素がDy、Hoの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2に記載の耐食性部材。
  4. 金属元素の含有量を質量基準で、SiをSiO換算で300ppm以下、FeをFe換算で50ppm以下、AlをAl換算で100ppm以下、2族元素(AE)をAEO換算で350ppm以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐食性部材。
  5. 前記YをY換算で99.9質量%以上含有し、前記半値幅が0.3°以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐食性部材。
  6. 炭素の含有量を100質量ppm以下とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の耐食性部材。
  7. 1〜5GHzにおける誘電正接が2×10−3以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐食性部材。
  8. 気孔率が5%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の耐食性部材。
  9. を99.5質量%以上含有する粉末、またはYを95質量%以上、ランタノイド元素(LN)をLN換算で5質量%以下、かつYとLN換算の合計含有量が99.5質量%以上である粉末のいずれかからなり、粉末の比表面積が1m/g以上である原料粉末を準備する原料粉末準備工程と、前記原料粉末に有機結合剤を添加し、成形体を作製する成形工程と、前記成形体に含まれる有機結合材を脱脂して炭素含有量が200ppm以下の脱脂体を作製する脱脂工程と、前記脱脂体を1500〜2000℃で2時間以上保持後、100℃/時間以下の降温速度で降温する焼成工程を有することを特徴とする耐食性部材の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の耐食性部材からなることを特徴とする半導体・液晶製造装置用部材。
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