JP2014234340A - セラミックス成型体の脱脂方法 - Google Patents
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Description
〔1〕 酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程及び降温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度及び降温速度をそれぞれ20℃/h以下とすることを特徴とするセラミックス成型体の脱脂方法。
〔2〕 酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度を20℃/h以下とすることを特徴とするセラミックス成型体の脱脂方法。
〔3〕 上記セラミックス成型体の脱脂加熱を酸化性雰囲気下で行うことを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載のセラミックス成型体の脱脂方法。
〔4〕 上記セラミックス粉末は、酸化テルビウム粒子と、スカンジウム、イットリウム及びランタノイド元素(ただし、テルビウムを除く)からなる群から選択される1種又は2種以上の希土類元素の酸化物粒子とを含むことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のセラミックス成型体の脱脂方法。
本発明に係るセラミックス成型体の脱脂方法は、酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程及び降温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度及び降温速度をそれぞれ20℃/h以下とすることを特徴とする。
あるいは、本発明に係るセラミックス成型体の脱脂方法は、酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度を20℃/h以下とすることを特徴とする。
その詳細は以下の通りである。
本発明で用いる原料粉末としては、酸化テルビウムを含むセラミックス粉末であって、酸化テルビウムの粒子と、酸化テルビウムとの組み合わせにおいて焼結体として透光性を示すあらゆる金属酸化物の粒子とを好適に利用できる。即ち、焼結体として透光性を示す金属酸化物群から選択される1種又は2種以上の粒子を原料粉末として利用できる。例えば、TGG(Tb3Ga5O12)、TAG(Tb3Al5O12)及びその他酸化テルビウムとの組み合わせにおいて一般的に透光性を有することが確認又は予想されている金属酸化物を構成する各構成元素の酸化物粒子であり、例えばMg、Y、Sc、ランタノイド元素(ただし、テルビウムを除く)、Ti、Zr、Al、Ga、Si、Ge、Pb、Biからなる群から選択される1種又は2種以上の金属元素の酸化物粒子であることが好ましい。
これらの金属酸化物の粒子を適正比率となるように秤量したものを原料粉末として好適に利用できる。
なお、粒径の測定方法は特に限定されるものではないが、例えば液体溶媒中に粉末原料を分散し、光散乱法あるいは光回折法により測定して得られる値を参照することが、粒度分布の評価までできるため好ましい。
用いる有機バインダーの種類は特に限定されず、使用する原料粉末に合わせて適宜選択できる。即ち、有機バインダーは熱可塑性を有する有機バインダーが好ましく、ポリビニールアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル等が例示され、これらの中から1種類以上を添加することが好ましい。
更に、潤滑剤としてステアリン酸やオレイン酸のような長鎖脂肪酸を添加してもよく、分散剤としてポリアクリル酸エステル等を添加してもよい。
原料粉末と有機バインダー等とを混練した混合物を用いて所定形状に成型する。成型方法は目的に応じて適宜選択すればよく、例えば鋳込み成型、射出成型や金型によるプレス成型等を行うとよい。プレス成型としては、ごく一般的な、型に充填して一定方向から加圧するプレス工程や、変形可能な防水容器に密閉収納して静水圧で加圧するCIP(Cold Isostatic Press)工程が利用できる。
これにより、酸化テルビウムを含むセラミックス成型体が得られる。
次に、得られたセミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去する脱脂処理を行う。具体的には、セラミックス成型体を加熱炉に挿入し、セラミックス成型体に含まれる有機バインダーを分解できる温度(脱脂温度)まで昇温し(昇温過程)、必要に応じて脱脂温度で所定時間保持した後、セラミックス成型体が扱える温度まで冷却する(降温(冷却)過程)。
(条件1)
酸化テルビウム粉末(Tb4O7、信越化学工業(株)製、純度99.9質量%)と酸化イットリウム粉末(Y2O3、信越化学工業(株)製、純度99.9質量%)をTbとYのモル比が5:5となるように秤量した。この原料粉末100gを溶媒として50gのエタノールに加えた。ここに有機バインダーとして1質量%のポリ酢酸ビニルと1質量%のエチレングリコール、潤滑剤としてステアリン酸0.5質量%、分散剤としてSpan80(ソルビタンモノオレエート、関東化学(株)製)を1質量%加えた後、ポットミルにより混合した。こうして得られたスラリーをスプレードライにより粒径十μm程度の顆粒状の粉末を得た。この顆粒状の粉末を用い、金型による一軸プレス成型により成型体とし、更に冷間静水等方圧プレスにより直径7mm、長さ20mmの成型体を得た。
酸化テルビウム(Tb4O7、信越化学工業(株)製、純度99.9質量%)と酸化ガドリニウム粉末(Gd2O3、信越化学工業(株)製、純度99.9質量%)をTbとGdのモル比が5:5となるように秤量した。この原料粉末100gを溶媒として50gのエタノールに加えた。ここに有機バインダーとして1質量%のポリ酢酸ビニルと1質量%のエチレングリコール、潤滑剤としてステアリン酸0.5質量%、分散剤としてSpan80(ソルビタンモノオレエート、関東化学(株)製)を1質量%加えた後、ポットミルにより混合した。こうして得られたスラリーをスプレードライにより粒径十μm程度の顆粒状の粉末を得た。この顆粒状の粉末を用い、金型による一軸プレス成型により成型体とし、更に冷間静水等方圧プレスにより直径7mm、長さ20mmの成型体を得た。
酸化イットリウム粉末(Y2O3、信越化学工業(株)製、純度99.9質量%)100gを溶媒として50gのエタノールに加えた。ここに有機バインダーとして1質量%のポリ酢酸ビニルと1質量%のエチレングリコール、潤滑剤としてステアリン酸0.5質量%、分散剤としてSpan80(ソルビタンモノオレエート、関東化学(株)製)を1質量%加えた後、ポットミルにより混合した。こうして得られたスラリーをスプレードライにより粒径十μm程度の顆粒状の粉末を得た。この顆粒状の粉末を用い、金型による一軸プレス成型により成型体とし、更に冷間静水等方圧プレスにより直径7mm、長さ20mmの成型体を得た。
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度10℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度10℃/hで室温まで温度を下げた。
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度50℃/hで300℃まで昇温し、400℃から昇温速度10℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度10℃/hで室温まで温度を下げた。なお、昇温過程の300℃から400℃の間は昇温速度を変更するための調整区間とした。
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度50℃/hで300℃まで昇温し、400℃から昇温速度10℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度10℃/hで400℃まで温度を下げ、400℃から降温速度50℃/hで室温まで温度を下げた。なお、昇温過程の300℃から400℃の間は昇温速度を変更するための調整区間とした。
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度10℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度50℃/hで室温まで温度を下げた。
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度50℃/hで300℃まで昇温し、400℃から昇温速度10℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度50℃/hで室温まで温度を下げた。なお、昇温過程の300℃から400℃の間は昇温速度を変更するための調整区間とした。
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度50℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度50℃/hで室温まで温度を下げた。
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度50℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度10℃/hで室温まで温度を下げた。
Claims (4)
- 酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程及び降温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度及び降温速度をそれぞれ20℃/h以下とすることを特徴とするセラミックス成型体の脱脂方法。
- 酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度を20℃/h以下とすることを特徴とするセラミックス成型体の脱脂方法。
- 上記セラミックス成型体の脱脂加熱を酸化性雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1又は2記載のセラミックス成型体の脱脂方法。
- 上記セラミックス粉末は、酸化テルビウム粒子と、スカンジウム、イットリウム及びランタノイド元素(ただし、テルビウムを除く)からなる群から選択される1種又は2種以上の希土類元素の酸化物粒子とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のセラミックス成型体の脱脂方法。
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