JP5999030B2 - セラミックス成型体の脱脂方法 - Google Patents

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本発明は、酸化テルビウムを含むセラミックス成型体の脱脂方法に関するものである。
近年の光通信やレーザー加工技術の進歩により磁気と光の相互作用に基づく磁気光学デバイスの役割は重要となってきている。磁気光学デバイスとしては光磁気ディスクや光アイソレーターなどがある。例えば、光アイソレーターは光ファイバー通信、鋼材等の切断加工用レーザー、レーザーマーカー等に組み込まれ幅広い産業分野で利用されている。このような材料としては使用波長における高い透過率を有すること、大きなファラデー効果を有することが求められる。
上記の要求を満たす材料としてイットリウム鉄ガーネット(Y3Fe512)(特開平9−230013号公報(特許文献1))、テルビウムアルミニウムガーネット(Tb3Al5OO12)(特開2002−293693号公報(特許文献2)、特開2008−7385号公報(特許文献3))などのガーネット構造を有するものや酸化テルビウム及びランタノイド元素の酸化物からなる立方晶を有するもの(特開2010−285299号公報(特許文献4)、特開2012−206935号公報(特許文献5))などが知られている。
これらの材料はいずれもファラデー効果が大きく、また光に対して高い透過率を有する単結晶セラミックス又は多結晶透明セラミックスである。中でも多結晶透明セラミックスは単結晶セラミックスと比較し、組成の自由度や製造コストの観点から磁気光学デバイスとして有望である。
一般的に、セラミックスの製造工程は原料粉末と有機バインダーを混練し、成型を行ないこの成型体から添加したバインダーを除去する脱脂工程と、その後の焼結工程とによって成型体を緻密化させて製品を得る。この中で有機バインダーは成型時に原料粉末の流動性を向上させるため、また成型体の強度を向上させるために用いられているが、この有機バインダー、あるいはその分解成分が最終工程まで残ってしまうと、セラミックス成型体の特性、特に透明セラミックスにおいては透光性に悪影響を及ぼしてしまう。そのため、添加した有機バインダーをセラミックス成型体から除去する脱脂工程が必須となる。
この脱脂工程では、成型体のクラックの発生防止や工程短縮のため、例えば特開平5−105531号公報(特許文献6)、特開平6−345544号公報(特許文献7)のような様々な方法が検討されている。
しかしながら、酸化テルビウムは高温において可逆的に酸化数の変化を伴う相変化を起こす性質を有している(例えば、特開2006−315900号公報(特許文献8)参照)。このため、酸化テルビウムを含有するセラミックスを用いて成型したセラミックス成型体の脱脂等の熱処理を行なう際、一般的に行なわれている脱脂方法ではこの酸化テルビウムの相変化に起因するクラック等の欠陥が発生してしまうことにより脱脂工程の歩留りが問題となる。
特開平9−230013号公報 特開2002−293693号公報 特開2008−7385号公報 特開2010−285299号公報 特開2012−206935号公報 特開平5−105531号公報 特開平6−345544号公報 特開2006−315900号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、酸化テルビウムを含有するセラミックス成型体を歩留りよく脱脂することのできるセラミックス成型体の脱脂方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、下記のセラミックス成型体の脱脂方法を提供する。
〔1〕 酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程及び降温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度及び降温速度をそれぞれ20℃/h以下とすることを特徴とするセラミックス成型体の脱脂方法。
〔2〕 酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度を20℃/h以下とすることを特徴とするセラミックス成型体の脱脂方法。
〔3〕 上記セラミックス成型体の脱脂加熱を酸化性雰囲気下で行うことを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載のセラミックス成型体の脱脂方法。
〔4〕 上記セラミックス粉末は、酸化テルビウム粒子と、スカンジウム、イットリウム及びランタノイド元素(ただし、テルビウムを除く)からなる群から選択される1種又は2種以上の希土類元素の酸化物粒子とを含むことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のセラミックス成型体の脱脂方法。
本発明によれば、セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程及び降温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度及び降温速度をそれぞれ20℃/h以下とすることにより、又は上記セラミックス成型体の昇温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度を20℃/h以下とすることにより、酸化テルビウムの相変化に起因するクラックの発生を抑制するのでセラミックス成型体の脱脂工程における歩留りを向上させることができる。
以下に、本発明に係るセラミックス成型体の脱脂方法について説明する。
本発明に係るセラミックス成型体の脱脂方法は、酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程及び降温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度及び降温速度をそれぞれ20℃/h以下とすることを特徴とする。
あるいは、本発明に係るセラミックス成型体の脱脂方法は、酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度を20℃/h以下とすることを特徴とする。
その詳細は以下の通りである。
本発明では、原料粉末(出発原料)として酸化テルビウムの粒子と所定の金属酸化物の粒子とを用いて、所定形状にプレス成型した後に脱脂処理を行うものである。
(原料粉末)
本発明で用いる原料粉末としては、酸化テルビウムを含むセラミックス粉末であって、酸化テルビウムの粒子と、酸化テルビウムとの組み合わせにおいて焼結体として透光性を示すあらゆる金属酸化物の粒子とを好適に利用できる。即ち、焼結体として透光性を示す金属酸化物群から選択される1種又は2種以上の粒子を原料粉末として利用できる。例えば、TGG(Tb3Ga512)、TAG(Tb3Al512)及びその他酸化テルビウムとの組み合わせにおいて一般的に透光性を有することが確認又は予想されている金属酸化物を構成する各構成元素の酸化物粒子であり、例えばMg、Y、Sc、ランタノイド元素(ただし、テルビウムを除く)、Ti、Zr、Al、Ga、Si、Ge、Pb、Biからなる群から選択される1種又は2種以上の金属元素の酸化物粒子であることが好ましい。
これらの金属酸化物の粒子を適正比率となるように秤量したものを原料粉末として好適に利用できる。
また、M23型セスキオキサイド焼結体(Mは、Y、Sc及びランタニド系元素からなる群から選択される1種又は2種以上の希土類元素である。)を作製する場合には、酸化テルビウム粒子と、Y、Sc及びランタニド系元素(ただし、Tbを除く)からなる群から選択される1種又は2種以上の希土類元素の酸化物粒子、特にY、Sc、Lu、Yb、Gd、Nd、Eu、Ho、Dy、Tm、Sm、Pr、Ce、Erの群から選択される1種又は2種以上の希土類元素の酸化物粒子とからなる粉末を用いるとよい。なお、添加物として鉄、アルミニウム、ガリウム、ジルコニウム、チタン等の希土類元素以外の金属酸化物粒子を含んでも良い。
なお、酸化テルビウムの状態(組成式)は出発原料においてはTb47であるが、工程途中の真空焼結によりTb23に還元されるようになる。また、後述する脱脂工程では実質Tb47であり、最終製品の焼結体におけるTb23の状態とは異なると考えられる。
上述した金属酸化物粒子(酸化テルビウムを含む)の純度は99.9質量%以上が好ましい。また、それらの粒子形状については特に限定されず、例えば角状、球状、板状の粉末が好適に利用できる。また二次凝集している粉末であっても好適に利用できるし、スプレードライ処理等の造粒処理によって造粒された顆粒状粉末であっても好適に利用できる。更に、これらの原料粉末の作製工程については特に限定されず、共沈法、粉砕法、噴霧熱分解法、ゾルゲル法、アルコキシド加水分解法、その他あらゆる合成方法で作製された原料粉末が好適に利用できる。また、得られた原料粉末を適宜湿式ボールミル、ビーズミル、ジェットミルや乾式ジェットミル、ハンマーミル等によって処理してもよい。
本発明では、使用する金属酸化物粒子(酸化テルビウムを含む)の原料粉末の粒度分布(該粒子が凝集して二次粒子化している場合はこの二次粒子の粒度分布)において最小値側からの累積が2.5%の粒径(D2.5値)D2.5値が180nm以上2000nm以下であるものが好ましい。D2.5値が180nm未満であると、焼結工程で気泡が合体成長し、ミクロンサイズの粗大な気泡となってしまい透光性を損なうおそれがあり、D2.5値が2000nm超であると、成形時に発生する粒間空隙が粗大になりすぎ、また構成される粒子もすでに十分に大きいため粒子の表面自由エネルギーが小さくなってしまい、焼結がなかなか進まなくなり、緻密で透光性の焼結体を提供することが困難となる場合がある。
なお、粒径の測定方法は特に限定されるものではないが、例えば液体溶媒中に粉末原料を分散し、光散乱法あるいは光回折法により測定して得られる値を参照することが、粒度分布の評価までできるため好ましい。
本発明で用いる原料粉末には、透光性金属酸化物を構成する金属酸化物群(酸化テルビウムを含む)の他に焼結抑制助剤のような第3成分を添加してもよい。特に高い透光性を得るために、各透光性金属酸化物に見合った焼結抑制助剤を添加することが好ましい。ただし、その純度は99.9質量%以上が好ましい。
本発明では、上記原料粉末と有機バインダーとを混練する。
用いる有機バインダーの種類は特に限定されず、使用する原料粉末に合わせて適宜選択できる。即ち、有機バインダーは熱可塑性を有する有機バインダーが好ましく、ポリビニールアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル等が例示され、これらの中から1種類以上を添加することが好ましい。
有機バインダーの添加量は、原料粉末や成型方法、製品目的に応じて適宜決めればよく、原料粉末に対して好ましくは0.2〜50質量%、より好ましくは0.5〜20質量%である。添加量0.2質量%未満ではバインダーとしての効果が十分に得られない場合があり、また50質量%超では後述する脱脂によっても有機バインダー中に含まれる炭素成分が完全に除去されず、成型体中に残留して焼結体の特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
更に、潤滑剤としてステアリン酸やオレイン酸のような長鎖脂肪酸を添加してもよく、分散剤としてポリアクリル酸エステル等を添加してもよい。
原料粉末と有機バインダー等との混練方法は、特に制限されず、ボールミルやニーダーなど目的に応じて適宜選択できる。
(成型)
原料粉末と有機バインダー等とを混練した混合物を用いて所定形状に成型する。成型方法は目的に応じて適宜選択すればよく、例えば鋳込み成型、射出成型や金型によるプレス成型等を行うとよい。プレス成型としては、ごく一般的な、型に充填して一定方向から加圧するプレス工程や、変形可能な防水容器に密閉収納して静水圧で加圧するCIP(Cold Isostatic Press)工程が利用できる。
これにより、酸化テルビウムを含むセラミックス成型体が得られる。
(脱脂)
次に、得られたセミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去する脱脂処理を行う。具体的には、セラミックス成型体を加熱炉に挿入し、セラミックス成型体に含まれる有機バインダーを分解できる温度(脱脂温度)まで昇温し(昇温過程)、必要に応じて脱脂温度で所定時間保持した後、セラミックス成型体が扱える温度まで冷却する(降温(冷却)過程)。
ここで、セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程及び降温過程において450〜550℃、又は400〜600℃の温度範囲における昇温速度及び降温速度(1時間当たりの速度)をそれぞれ20℃/h以下、好ましくは5℃/h以上10℃/以下とする。450〜550℃の温度範囲における昇温速度や降温速度を20℃/h超とするとセラミックス成型体にクラック(ひび割れや裂け目)や欠け等の最終製品の透光性に悪影響を及ぼす欠陥が発生しやすくなり、製品歩留まりが低下する。特に、昇温過程における上記温度範囲における昇温速度の影響が大きいことから、セラミックス成型体の昇温過程において450〜550℃、又は400〜600℃の温度範囲における昇温速度を20℃/h以下、好ましくは5℃/h以上10℃/以下とする。
原料粉末に用いる酸化テルビウム(Tb47)は、温度500℃付近でテルビウムの価数変化を伴う相変化(結晶構造の変化)が起こる。本発明では、そのような酸化テルビウムの相変化が発生する温度の±50℃、好ましくは±100℃の温度範囲における温度勾配(昇温速度、降温速度)を20℃/h以下、好ましくは10℃/h以下と小さく規制することで酸化テルビウムの相変化に起因するセラミックス成型体における歪や内部応力の変化を緩やかにして、該セラミックス成型体のクラック(ひび割れや裂け目)や欠け等の発生を抑制し、製品歩留まりよく脱脂をすることを実現している。
なお、昇温速度及び降温速度を規制する温度範囲は上記の通りであり、それ以外の温度範囲での昇温速度及び降温速度には特に制限はなく、20℃/h超、例えば40〜60℃/hでよい。
また、脱脂温度は、有機バインダーの分解温度以上である必要があるが、脱脂温度が高すぎると成型体において部分的に焼結が起こって異常粒成長を引き起こす場合があるため、好ましくは500〜1000℃、より好ましくは600〜800℃の温度範囲で有機バインダーの種類によって適宜設定するとよい。また、脱脂温度を決定する際は公知の技術である示差熱−熱重量測定(TG−DTA)等の熱分析の測定データを参考にしてもよい。
脱脂処理における雰囲気は特に制限はないが、有機バインダーの分解を促すために酸素等の酸化性ガスを多く含む酸化性雰囲気であることが好ましく、例えば大気又は酸素ガス25vol%以上含む雰囲気であることがより好ましい。
なお、本発明において脱脂処理に関していう温度はすべてセラミックス成型体の温度であるが、実際の加熱炉ではセラミックス成型体自体の測温が困難であるため、セラミックス成型体とほぼ同じ温度となる加熱手段(カーボンヒータ)の加熱炉内部分の測温結果をセラミックス成型体の温度とみなしてよい。また、昇温速度及び降温速度は、この測温結果に基づくものである。
上記脱脂の後、セラミックス成型体を焼結して相対密度が95質量%以上に緻密化した焼結体を作製し、更に熱間等方圧プレス処理(HIP処理)や必要に応じて再酸化処理を施して、透光性の焼結体を得る。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、加熱炉内の温度を熱電対で測温し、その温度をセラミックス成型体の温度とした。また、昇温速度及び降温速度は、この測温結果に基づくものである。
下記条件1〜3の条件でセラミックス成型体を作製した。
(条件1)
酸化テルビウム粉末(Tb47、信越化学工業(株)製、純度99.9質量%)と酸化イットリウム粉末(Y23、信越化学工業(株)製、純度99.9質量%)をTbとYのモル比が5:5となるように秤量した。この原料粉末100gを溶媒として50gのエタノールに加えた。ここに有機バインダーとして1質量%のポリ酢酸ビニルと1質量%のエチレングリコール、潤滑剤としてステアリン酸0.5質量%、分散剤としてSpan80(ソルビタンモノオレエート、関東化学(株)製)を1質量%加えた後、ポットミルにより混合した。こうして得られたスラリーをスプレードライにより粒径十μm程度の顆粒状の粉末を得た。この顆粒状の粉末を用い、金型による一軸プレス成型により成型体とし、更に冷間静水等方圧プレスにより直径7mm、長さ20mmの成型体を得た。
(条件2)
酸化テルビウム(Tb47、信越化学工業(株)製、純度99.9質量%)と酸化ガドリニウム粉末(Gd23、信越化学工業(株)製、純度99.9質量%)をTbとGdのモル比が5:5となるように秤量した。この原料粉末100gを溶媒として50gのエタノールに加えた。ここに有機バインダーとして1質量%のポリ酢酸ビニルと1質量%のエチレングリコール、潤滑剤としてステアリン酸0.5質量%、分散剤としてSpan80(ソルビタンモノオレエート、関東化学(株)製)を1質量%加えた後、ポットミルにより混合した。こうして得られたスラリーをスプレードライにより粒径十μm程度の顆粒状の粉末を得た。この顆粒状の粉末を用い、金型による一軸プレス成型により成型体とし、更に冷間静水等方圧プレスにより直径7mm、長さ20mmの成型体を得た。
(条件3:参考例)
酸化イットリウム粉末(Y23、信越化学工業(株)製、純度99.9質量%)100gを溶媒として50gのエタノールに加えた。ここに有機バインダーとして1質量%のポリ酢酸ビニルと1質量%のエチレングリコール、潤滑剤としてステアリン酸0.5質量%、分散剤としてSpan80(ソルビタンモノオレエート、関東化学(株)製)を1質量%加えた後、ポットミルにより混合した。こうして得られたスラリーをスプレードライにより粒径十μm程度の顆粒状の粉末を得た。この顆粒状の粉末を用い、金型による一軸プレス成型により成型体とし、更に冷間静水等方圧プレスにより直径7mm、長さ20mmの成型体を得た。
[実施例1]
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度10℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度10℃/hで室温まで温度を下げた。
[実施例2]
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度50℃/hで300℃まで昇温し、400℃から昇温速度10℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度10℃/hで室温まで温度を下げた。なお、昇温過程の300℃から400℃の間は昇温速度を変更するための調整区間とした。
[実施例3]
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度50℃/hで300℃まで昇温し、400℃から昇温速度10℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度10℃/hで400℃まで温度を下げ、400℃から降温速度50℃/hで室温まで温度を下げた。なお、昇温過程の300℃から400℃の間は昇温速度を変更するための調整区間とした。
[実施例4]
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度10℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度50℃/hで室温まで温度を下げた。
[実施例5]
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度50℃/hで300℃まで昇温し、400℃から昇温速度10℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度50℃/hで室温まで温度を下げた。なお、昇温過程の300℃から400℃の間は昇温速度を変更するための調整区間とした。
[比較例1]
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度50℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度50℃/hで室温まで温度を下げた。
[比較例2]
上記条件1〜3で作製されたセラミックス成型体20本ずつを加熱炉に入れ、大気雰囲気下で以下の脱脂加熱条件で脱脂処理を行った。
(脱脂条件)室温から昇温速度50℃/hで600℃まで昇温し、600℃で5時間保持した後、この温度から降温速度10℃/hで室温まで温度を下げた。
上記脱脂後のセラミックス成型体を取り出し、目視により成型体中のクラックや欠け等の欠陥の有無を検査した。成型体にわずかでもクラックや欠けが確認されたものを不良(NG)と判定し、クラックや欠けのないものを良好と判定し、その脱脂歩留まり((良好の数)/(全数(20))×100(%))を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0005999030

Claims (4)

  1. 酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程及び降温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度及び降温速度をそれぞれ20℃/h以下とすることを特徴とするセラミックス成型体の脱脂方法。
  2. 酸化テルビウムを含むセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を用いて成型したセラミックス成型体を加熱して該セラミックス成型体から有機バインダーを除去するセラミックス成型体の脱脂方法であって、上記セラミックス成型体の脱脂加熱条件に関し、上記セラミックス成型体の昇温過程において450〜550℃の温度範囲における昇温速度を20℃/h以下とすることを特徴とするセラミックス成型体の脱脂方法。
  3. 上記セラミックス成型体の脱脂加熱を酸化性雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1又は2記載のセラミックス成型体の脱脂方法。
  4. 上記セラミックス粉末は、酸化テルビウム粒子と、スカンジウム、イットリウム及びランタノイド元素(ただし、テルビウムを除く)からなる群から選択される1種又は2種以上の希土類元素の酸化物粒子とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のセラミックス成型体の脱脂方法。
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