JP5371372B2 - アルミナ質焼結体ならびに半導体製造装置用部材、液晶パネル製造装置用部材および誘電体共振器用部材 - Google Patents

アルミナ質焼結体ならびに半導体製造装置用部材、液晶パネル製造装置用部材および誘電体共振器用部材 Download PDF

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本発明は、アルミナ質焼結体ならびに半導体製造装置用部材、液晶パネル製造装置用部材および誘電体共振器用部材に関するもので、特に、半導体製造装置の内壁材(チャンバー)やマイクロ波導入窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、シールドリングをはじめとする部材や、液晶パネル製造装置のステージ、ミラー、マスクホルダー、マスクステージ、チャック、レチクル等に用いる部材、さらにはマイクロ波やミリ波などの高周波領域において使用される種々の共振器用材料やMIC用誘電体基板材料、誘電体導波路用材料等に好適に用いることができる。
従来から、アルミナ質焼結体は耐熱性、耐薬品性、耐プラズマ性に優れ、さらに高周波領域での誘電正接(tanδ)が小さいことから、半導体、液晶用高周波プラズマ装置用部材などに用いられている。
半導体または液晶パネルの製造装置用部材はエッチング、クリーニング用として使用される反応性の高いハロゲン系腐食ガスやそれらのプラズマと接触するため、高い耐腐食性が要求され、一般的に99.0質量%以上の高純度のアルミナ質焼結体が求められている。一方、高純度のアルミナ質焼結体となるにつれて焼結性の観点から誘電正接が増加し、これによりMHz帯での高周波の透過率が低下し、エネルギーロスの増加、発熱による部材の破損といった問題が発生することが知られている。
アルミナ質焼結体の低損失化について、焼結助剤としてSiO、CaO、MgOを含有させ、その含有量をコントロールし、ある範囲内とすることで、低温で焼成しつつ、高周波誘電特性を向上させたアルミナ質焼結体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1には、アルミナ99.8〜99.9質量%と、残部が所定比率のSiO、CaO、MgOからなる粒界相成分とから構成し、測定周波数8GHzにおけるQ値が10000以上(誘電正接が0.0001以下)のマイクロ波共振器用等のアルミナ質焼結体が得られたことが記載されている。
特開平6−16469号公報
特許文献1のようにSiO、CaO、MgOを含有したアルミナ質焼結体では、測定周波数8GHzにおける誘電正接が0.0001以下のものが得られている。しかしながら、半導体製造装置用部材および液晶パネル製造装置用部材のような大型品にアルミナ質焼結体を用いた場合、アルミナ質焼結体中央部の密度が低く、このため、アルミナ質焼結体全体としてのMHz帯での誘電正接が大きく、例えば、MHz帯の高周波が使用される半導体用高周波プラズマ装置用部材等に用いた場合には、MHz帯の高周波の透過率が低下し、エネルギーロスの増加や、部材の破損といった問題が生じている。さらに近年ではMHz〜GHz帯での広い周波数範囲での用途があり、そこでの低誘電正接化が求められていた。
本発明は、MHz〜GHz帯における誘電正接を小さくできるアルミナ質焼結体ならびに半導体製造装置用部材、液晶パネル製造装置用部材および誘電体共振器用部材を提供することを目的とする。
本発明のアルミナ質焼結体は、AlをAl換算で99.3質量%以上、SiをSiO換算で0.05〜0.3質量%、SrをSrO換算で0.01〜0.16質量%含有するとともに、アルミナ結晶粒子を主結晶粒子とし、該アルミナ結晶粒子の3重点にSi、Al、SrおよびOの元素を含有する結晶相が存在し、該結晶相が前記3重点のうち60%以上に存在し、かつ前記アルミナ結晶粒子の平均粒径が10μm以上であることを
特徴とする。
このようなアルミナ質焼結体では、AlをAl換算で99.3質量%以上含有するため、アルミナ本来の優れた耐腐食性と機械的特性、電気特性を維持することができるとともに、SiをSiO換算で0.05〜0.3質量%、SrをSrO換算で0.01〜0.16質量%含有し、アルミナ結晶粒子で構成される3重点に、従来の粒界相成分からなるガラスではなく、Si、Al、SrおよびO元素を含む低損失の結晶相が3重点のうち60%以上と多く存在するため、周波数1MHz〜8.5GHzにおける誘電正接を小さくすることができ、さらに、アルミナ結晶粒子の平均粒径が10μm以上であるため粒界の数が少なくなり、誘電正接をさらに小さくすることができ、周波数1MHz〜8.5GHzにおける誘電正接をさらに小さくすることができる。
また、本発明のアルミナ質焼結体は、MgをMgO換算で0.01〜0.1質量%、CaをCaO換算で0.01〜0.16質量%含有することを特徴とする。このようなアルミナ質焼結体では、アルミナ結晶粒子の不均一な異常粒成長を抑制し、強度低下を抑制できる。さらにアルカリ土類金属酸化物は焼結助剤として機能し、焼結性を向上することができ、大型の焼結体の中央部であってもボイドや欠陥を減らすことができるため特にMHz帯でより低損失のアルミナ質焼結体を得ることができる。さらに、焼結性が向上するため、例えば、肉厚の厚い大型の焼結体の厚さ方向中央部が十分に焼結し、肉厚の厚い焼結体全体の機械的強度等の特性を向上できる。
また、本発明のアルミナ質焼結体は、前記結晶相がSrAlSi型結晶相であることを特徴とする。SrAlSi型結晶相はMHz帯で低損失であるため、MHz帯で低損失のアルミナ質焼結体を得ることができる。
本発明の半導体製造装置用部材、液晶パネル製造装置用部材および誘電体共振器用部材は、上記のアルミナ質焼結体からなることを特徴とする。このような半導体製造装置用部材または液晶パネル製造装置用部材、誘電体共振器用部材では、測定周波数1MHz〜8.5GHzの間の周波数領域において誘電正接が小さいため、MHz〜GHz帯での高周波の透過率を向上でき、エネルギーロスを低減し、発熱による部材の破損を抑制することができる。
本発明のアルミナ質焼結体では、AlをAl換算で99.3質量%以上含有するため、アルミナ本来の優れた耐腐食性と機械的特性、電気特性を維持することができるとともに、SiをSiO換算で0.05〜0.3質量%、SrをSrO換算で0.01〜0.16質量%含有し、アルミナ結晶粒子で構成される3重点に、Si、Al、SrおよびOの各元素を含む低損失の結晶相が存在するとともにその存在比率が3重点のうちの60%以上であるため、周波数1MHz〜8.5GHzにおける誘電正接を小さくすることができ、さらに、アルミナ結晶粒子の平均粒径が10μm以上であるため粒界の数が少なくなり、誘電正接をさらに小さくすることができ、周波数1MHz〜8.5GHzにおける誘電正接をさらに小さくすることができる。
従って、半導体製造装置用部材、液晶パネル製造装置用部材および誘電体共振器用部材に、本発明のアルミナ質焼結体を用いることにより、反応性の高いハロゲン系腐食ガスやそれらのプラズマに対して、高い耐腐食性を有するとともに、アルミナ質焼結体がMHz〜GHz帯で低損失であるため、MHz〜GHz帯での高周波の透過率を向上でき、エネルギーロスを低減し、発熱による部材の破損を抑制することができる。
本発明のアルミナ質焼結体は、AlをAl換算で99.3質量%以上、SiをSiO換算で0.05〜0.3質量%、SrをSrO換算で0.01〜0.16質量%含有する。AlをAl換算で99.3質量%以上含有することにより、焼結性の改善と同時にアルミナの優れた耐腐食性と機械的特性、電気特性を維持することが可能となる。一方、AlをAl換算で99.3質量%よりも少ない場合には、耐食性が劣化し、耐食性部材には適応できなくなる。
特に、半導体や液晶パネルの製造装置用部材として応用するためには、ハロゲン系ガス下でのプラズマに対する耐食性に優れる必要があるため、AlをAl換算で99.5質量%以上とするのが好ましい。焼結性という観点から、AlをAl換算で99.9質量%以下であることが望ましい。なお、ハロゲン系ガスとしては、例えばSF、CF、CHF、ClF、NF、C、HF等のフッ素系ガス、Cl、HCl、BCl、CCl等の塩素系ガス、或いはBr、HBr、BBr等の臭素系ガスなどがある。また、半導体、液晶パネルなどのエッチング効果を高めるために上記ハロゲン系ガスとともにAr等の不活性ガスを導入してプラズマを発生させることもある。
また、SiをSiO換算で0.05〜0.3質量%、SrをSrO換算で0.01〜0.16質量%含有したのは、これらの元素で、低損失のSi、Al、SrおよびOの各元素を含む結晶相を析出させるためである。
一方、SiがSiO換算で0.05よりも少ない場合には、低損失の結晶相が形成されにくくなり、0.3質量%よりも多くなると、焼結されにくくなる。特には、誘電正接と焼結性という観点から、SiはSiO換算で0.1〜0.2質量%であることが望ましい。
SrがSrO換算で0.01よりも少ない場合には、低損失の結晶相が形成されにくくなり、0.16質量%よりも多い場合には、焼結されにくくなる。特には、誘電正接と焼結性という観点から、SrはSrO換算で0.03〜0.13質量%であることが望ましい。
さらに、本発明のアルミナ質焼結体では、MgをMgO換算で0.01〜0.1質量%、CaをCaO換算で0.01〜0.16質量%含有することが望ましい。これにより、アルミナ結晶粒子の不均一な異常粒成長を抑制し、強度低下を抑制できる。さらにアルカリ土類金属酸化物は焼結助剤として機能し、焼結性を向上することができ、ボイドや欠陥を減らすことができるため、特に大型の焼結体であってもMHz帯でより低損失のアルミナ質焼結体を得ることができる。さらに、焼結性が向上するため、例えば、肉厚の厚い大型の焼結体の厚さ方向中央部が十分に焼結し、肉厚の厚い焼結体全体の機械的強度等の特性を向上できる。
誘電正接と焼結性という観点から、MgはMgO換算で0.02〜0.08質量%含有することが望ましい。同様に、誘電正接と焼結性という観点から、CaはCaO換算で0.02〜0.1質量%であることが望ましい。
また、本発明のアルミナ質焼結体は、アルミナ結晶粒子を主結晶粒子とし、アルミナ結晶粒子の粒界にSi、Al、SrおよびO元素を含有する化合物からなる低損失の結晶相が存在する。図1に、アルミナ質焼結体の概略断面図を示す。符号1はアルミナ結晶粒子であり、符号2は、3重点である。
本出願において、アルミナ結晶粒子1で構成される3重点2とは、3個以上のアルミナ結晶粒子1で形成される粒界で、2つのアルミナ結晶粒子1で構成される2面間粒界5とは異なる。
一般的なアルミナ質焼結体では、焼結助剤として加えた副成分がアルミナ結晶粒子1間にガラス、あるいは誘電正接の高い結晶として存在し、アルミナ質焼結体全体の誘電正接を増大させる傾向があった。しかしながら、本願発明のように、アルミナ結晶粒子1で構成される3重点2に、Si、Al、SrおよびOの各元素を含有する化合物からなる低損失の結晶相を析出させると、この結晶相自身の誘電正接が低い為、アルミナ質焼結体全体のMHz帯での誘電正接を低下させることができる。
尚、上記したように、従来、Mg、Ca等のアルカリ土類金属が焼結助剤として知られていたが、アルカリ土類金属のうち、Sr、Baについてはイオン半径が大きいため、焼結助剤として用いられておらず、特に、Srについては、積極的に使用した例は存在しない。本発明では、特にSrについては、焼結助剤として用いるのではなく、低誘電正接の結晶相であるSrAlSi型結晶を析出させるために用い、その低誘電正接の結晶相の存在により直接的にアルミナ質焼結体の誘電正接を低くできる。
Si、Al、SrおよびO元素を含有する化合物からなる低誘電正接の結晶相は、上記したように電気的特性の観点より、SrAlSi型結晶であることが好ましく、本結晶の生成により誘電正接を低減できる。Si、Al、SrおよびO元素を含有する化合物からなる低誘電正接の結晶相としては、他に、SrAlSiの定比組成ではなく、化学量論組成から少しずれたものであっても良い。尚、本発明においては、SrAlSi型結晶とは、構成元素の一部が他の元素で置換されたものも含む概念である。
本発明では、アルミナ結晶粒子1で構成される3重点2のうち60%以上の3重点2に、元素としてSi、AlおよびMを含有する化合物からなる結晶相が存在していることが望ましい。アルミナ結晶粒子1で構成される3重点2のうち60%以上の3重点2に結晶相が存在するとは、アルミナ質焼結体の任意断面の所定面積において、アルミナ結晶粒子1で構成される多数の3重点2のうちの少なくとも60%に、Si、AlおよびSrを含有する化合物からなる結晶相が存在していることを意味する。
本発明では、多数の3重点2のうちの少なくとも60%に、Si、AlおよびMを含有する化合物からなる結晶相を存在せしめるために、後述するように、結晶相を構成する原料粉末を混合粉砕し、この混合粉末を仮焼し、Si、AlおよびSrを含有する化合物からなる結晶相を合成し、アルミナ粉末に添加している。
このように、低誘電正接の結晶相が3重点2のうち60%以上の3重点2に存在するため、アルミナ質焼結体の低誘電正接化をさらに図ることができる。1MHz〜8.5GHzの間の周波数領域においても誘電正接を低下させるためには、低誘電正接の結晶相が存在する粒界3重点2の比率は90%以上が好ましい。
また、本発明では、アルミナ結晶粒子1で構成される3重点2で、上記結晶相が存在していない3重点2には、元素としてSi、AlおよびSrを含有する非晶質相が存在しているか、もしくは、後述する結晶相が存在している。この非晶質相が存在する3重点は、実質的に存在しないか、任意断面の所定面積において10%以下とされている。
アルミナ結晶粒子1で構成される3重点2とは、3個以上のアルミナ結晶粒子1で形成される粒界で、2つのアルミナ結晶粒子1で構成される2面間粒界5とは異なる。
また、本発明のアルミナ質焼結体は、さらにMgAlおよびCaAl1219で表される化合物からなる結晶相のうち少なくとも一種を含有することが望ましい。これらの結晶は、アルミナ結晶粒子1で構成される3重点2に存在している。これら結晶相を生成させることで、誘電正接を高くする非晶質相を減少させることができ、1MHz〜8.5GHzの領域において誘電正接を低下させることができる。特にMgAl、CaAl1219は、GHz帯での誘電正接が低いため、アルミナ質焼結体のGHz帯の誘電正接低下に有効である。
さらに、本発明のアルミナ質焼結体は、平均粒径D50が10μm以上とされている。このように平均粒径が大きいため、粒界の数が少なくなり、誘電正接をさらに小さくすることができ、周波数1MHz〜8.5GHzにおける誘電正接をさらに小さくすることができる。低誘電正接をより安定させるという観点から、アルミナ結晶粒子1の平均粒径D50は15μm以上が好ましい。アルミナ結晶粒子1の平均粒径D50は、機械的特性という観点から、70μm以下であることが望ましい。尚、平均粒径D50とは、累積粒度分布の微粒側から累積50%の粒径をいう。
本発明のアルミナ質焼結体は、産業機械用部品として用いられ、とりわけ半導体製造装置や液晶製造装置に用いられる大型で、厚みのある部材として好適に用いることができる。本発明における半導体製造装置用部材とは、半導体製造装置の内壁材(チャンバー)やマイクロ波導入窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、シールドリング等をいう。液晶パネル製造装置用部材とは、ステージ、ミラー、マスクホルダー、マスクステージ、チャック、レチクル等をいう。
さらに本発明のアルミナ質焼結体は、マイクロ波やミリ波等の高周波領域において、誘電体共振器、MIC用誘電体基板や導波路等としても用いられる。特に種々の誘電体共振器の支持体等の誘電体共振器用部材としても好適に使用できる。
本発明のアルミナ質焼結体の製法は、例えば、酸化アルミニウム粉末に、Si源とアルカリ土類金属源とを混合して熱処理した原料粉末を混合し、この混合粉末を成形したのち、1650〜1800℃で焼成する。
Srを含むアルカリ土類金属源とSi源とを混合し熱処理した原料粉末とは、Si源とSrを含むアルカリ土類金属源を、例えばSrAlSiを生成するように、所定の比率で混合し、500℃〜1400℃で仮焼することによって得られる粉末である。ここでいうSi源、Srを含むアルカリ土類金属源としては、金属、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の塩類のいずれであっても良い。SiとSrを含むアルカリ土類金属の原料粉末を用いることで、アルミナ質焼結体中でのSiとSrを含むアルカリ土類金属の分布を均一なものとし、不均一な焼結組織をなくすことが可能となる。
また、Siとアルカリ土類金属の反応を優先的に起こし、アルミナ結晶粒子間にSiとSr、Al、O元素からなる誘電正接の低い結晶を生成することが可能となる。SiとSrを含むアルカリ土類金属の分布が不均一であると、非晶質相(ガラス)あるいは高誘電正接の結晶相が生成し、アルミナ質焼結体全体の誘電正接が増大する原因となる。
酸化アルミニウム粉末に、上記Srを含むアルカリ土類金属源とSi源を混合し焼成した原料粉末と、Mg源を含む原料粉末を混合し、焼成する場合もある。Mg源としては、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩などの塩類等を粉末あるいは水溶液等として使用することが可能である。
成形には、プレス成形、鋳込み、冷間静水圧成形、或いは冷間静水圧処理などの成形法が使用可能である。次に、得られた成形体を1650〜1800℃の温度範囲で焼成する。これにより高密度で、アルミナ結晶粒子間にSiとSr、Al、O元素を含有する化合物からなる結晶相が生成した焼結体を作製する。
本発明のアルミナ質焼結体の誘電正接の測定法について説明する。
焼結体を測定周波数1MHzと8.5GHzで誘電正接を測定し、1MHzで5×10−4以下、8.5GHzで5×10−4以下とするものを良品として使うことにより、測定周波数1MHz〜8.5GHzの間の周波数領域においても誘電正接が5×10−4以下を見込むことができる。この方法により、誘電正接に関して高精度なキャパシタンスメータ(ヒューレットパッカード社製:HP−4278A)とネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー社製:8722ES)を使用することができ、従来のインピーダンスアナライザでは保障できない1MHz〜8.5GHz帯における低誘電正接材料の設計が可能となる。
JIS C2141に基づきキャパシタンスメータで誘電正接を測定する際の寸法の試料を用いて、ネットワークアナライザで測定する際には、測定周波数は8.5GHzから多少ずれることがある。このずれはサンプル外形寸法精度や材料の誘電率バラツキから来るものであり、純度99.3%以上で十分に焼結したアルミナ質焼結体の場合、8.5±0.3GHzは見込まれる。
すなわち、従来、測定周波数1MHzにおける誘電正接は、キャパシタンス・メータ(HP−4278A)、測定周波数8.5GHzにおける誘電正接は、空洞共振器法(ネットワーク・アナライザ 8722ES)を用いて測定を行ない、測定誤差がそれぞれ±2×10−4以下、±0.1×10−4以下の精度の良い誘電正接が得られることが知られているが、半導体、液晶パネル製造装置用部材に要求される1MHz〜8.5GHz、特に10MHz〜1GHzにおける周波数領域では、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製:HP−4291A)による測定しかなく、その測定誤差は小さくても±30×10−4程度であり、5×10−4以下の誘電正接については測定精度が極めて低い。
そこで、1MHz〜8.5GHzにおける周波数領域の誘電損失を、測定精度の低いインピーダンスアナライザで直接測定することなく、測定周波数1MHzと8.5GHzにおける誘電正接を測定し、測定周波数1MHzと8.5GHzにおける誘電正接が5×10−4以下の範囲にある場合には、測定周波数1MHz〜8.5GHz、特には10〜100MHzの間の周波数領域においても誘電正接を5×10−4以下と認定でき、測定周波数1MHz〜8.5GHzにおける誘電正接を容易にかつ正確に測定することができる。
まず、SiOとSrCO、CaCO、BaCOの粉末を秤量、混合して混合粉末を得た。この粉末を1000℃〜1300℃で熱処理し、アルミナボールミルにて48〜72時間粉砕を行ない、原料粉末を作製した。
純度が99.95%のAl粉末に、前記の原料粉末と、Mg(OH)粉末とを添加し、これに所定量の水を加えアルミナボールミルにて48時間混合してスラリーとした。このスラリーにバインダーを加えて乾燥したのち、造粒し、この混合粉末を1t/cmの圧力で金型成形して円柱状成形体(直径60mm×高さ30mm)を作製し、大気中にて1680℃の温度で焼成を行ない、直径50mm×高さ25mmのアルミナ質焼結体を得た。
このアルミナ質焼結体の元素の定量分析を、ICP発光分光分析にて行い、表1に、AlをAl換算、SiをSiO換算で、SrをSrO換算、MgをMgO換算で、CaをCaO換算で、BaをBaO換算で記載した。尚、Al、Si、Sr、Mg、Ca、Ba以外の元素を残部とし、その量も記載した。残部は、主にNaOと、Feであった。X線回折測定により、表1の試料全てが、アルミナ結晶粒子を主結晶粒子とすることを確認した。さらに、MgAlまたはCaAl1219で表される化合物からなる結晶相の有無について、X線回折測定により確認し、表1にスピネル等の存在有無として記載した。
得られた焼結体の高さ方向中央部から厚み1mmの試料を切り出して、密度、誘電正接を測定し、表2に記載した。密度はアルキメデス法にて測定した。
また、誘電正接tanδは、1MHz、12MHz、8.5GHzにて行ない、それぞれキャパシタンス・メータ(HP−4278A)、インピーダンスアナライザ(HP−4291A)、空洞共振器法(ネットワーク・アナライザ 8722ES)を用いて測定を行なった。キャパシタンス・メータの測定誤差は±2×10−4以下であり、空洞共振器法の測定誤差は±0.1×10−4以下であるものの、インピーダンスアナライザの測定誤差は±30×10−4であるため、インピーダンスアナライザによる12MHzの誘電正接が5×10−4未満の場合には、<5と表2に記載した。
尚、インピーダンスアナライザにより、1MHz〜1GHzにおける誘電正接の周波数依存性も確認した。その結果、今回のサンプルにおいて装置の精度上1MHz〜1GHzにおける誘電正接は、1〜10MHzと100MHz〜1GHzにおける誘電正接が高く、その間の周波数帯で低いという傾向があり、特に10〜100MHzにおける誘電正接が低いという傾向があった。また、10〜100MHzの周波数帯で誘電正接にピークはみられず、フラットな形状であった。
先ず、ネットワーク・アナライザを用い、直径50mm×厚み1mmの試料を治具にて挟持し、8.5GHzにおける誘電正接を求め、次に、インピーダンスアナライザを用い、上記直径50mm×厚み1mmの試料を治具にて挟持し、12MHzにおける誘電正接を求め、この後、JIS C2141に基づき、上記直径50mm×厚み1mmの試料の上下面に電極を形成し、キャパシタンス・メータにて1MHzにおける誘電正接を求めた。
また、各焼結体中の結晶相の分析は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、エネルギー分散型X線分光分析(EDS)と制限視野電子線回折により行ない、Si、Al、Sr、O元素を含む結晶相の有無について粒界3重点を30箇所確認し、結晶相の発生割合と、非晶質相の発生割合を表2に記載した。尚、粒界3重点のものが非晶質相かどうかは、制限視野電子線回折により確認した。非晶質相は、Si、Al、Sr、O元素を含有していた。Si、Al、Sr、O元素を含む結晶相は、MAlSi型結晶相であり、Mは、表1に示すように、Srと、Ca、Baの少なくとも一種であった。図2に、試料No.9の電子線回折写真を示した。
さらに、アルミナ結晶粒子の平均粒径D50は、上記試料の走査型電子顕微鏡写真(500倍)について、0.0432mmの範囲で、画像解析装置にて各結晶粒子の直径を求め、平均粒径D50を算出し、表2に記載した。
表1、2より、AlをAl換算で99.3質量%以上、SiをSiO換算で0.05〜0.3質量%、SrをSrO換算で0.01〜0.16質量%含有し、アルミナ結晶粒子の粒界にSrAlSi型結晶相が存在し、平均粒径が10μm以上である本発明の試料では、誘電正接が8.5GHzにおいて2.2×10−4以下、1MHzにおいて4×10−4以下の場合、12MHzにおいても5×10−4未満の低損失であることがわかる。
これに対して、SiOとSrCO、CaCOの粉末を熱処理して、Al粉末に添加して作製したものの、SiO量が0.02質量%と少ない試料No.1では、1MHzにおいて29×10−4、8.5GHzにおいて6.2×10−4と誘電損失が高かった。
また、比較例である試料No.14は、下記のようにして作製した。純度が99.95質量%のAl粉末に、SiO粉末、CaCO粉末、Mg(OH)粉末を別個にそれぞれ添加し、これに所定量の水を加えボールミルにて48時間混合してスラリーとした。このスラリーにバインダーを加えて乾燥したのち、造粒し、この混合粉末を1t/cmの圧力で金型成形して成形体(直径60mm×高さ30mm)を作製し、1600℃にて焼成を行なった。
得られた焼結体の高さ方向中央部(厚み1mm)を切り出して、実施例と同様の方法によって、密度、誘電特性を測定した。分析の結果、酸化アルミニウム結晶粒子間にはSiとCa、Al、O元素からなる結晶が僅か生成し、残りはMgAlであり、殆どがSi、Al、Sr、O元素を含有する非晶質相であった。誘電正接の値は、8.5GHzでは1.4×10−4以下と低損失であったが、1MHzにおいて40×10−4、12MHzにおいて7×10−4と高く、MHz帯において誘電損失が高かった。
本発明のアルミナ質焼結体の構造を示す概略断面図である。 表1、2の試料No.9の電子線回折写真である。
符号の説明
1・・・アルミナ結晶粒子
2・・・3重点

Claims (6)

  1. AlをAl換算で99.3質量%以上、SiをSiO換算で0.05〜0.3質量%、SrをSrO換算で0.01〜0.16質量%含有するとともに、アルミナ結晶粒子を主結晶粒子とし、該アルミナ結晶粒子で構成される3重点にSi、Al、SrおよびOの各元素を含有する結晶相が存在し、該結晶相が前記3重点のうち60%以上に存在し、かつ前記アルミナ結晶粒子の平均粒径が10μm以上であることを特徴とするアルミナ質焼結体。
  2. さらに、MgをMgO換算で0.01〜0.1質量%、CaをCaO換算で0.01〜0.16質量%含有することを特徴とする請求項1記載のアルミナ質焼結体。
  3. 前記結晶相がSrAlSi型結晶相であることを特徴とする請求項1または2記載のアルミナ質焼結体。
  4. 請求項1乃至のうちいずれかに記載のアルミナ質焼結体からなることを特徴とする半導体製造装置用部材。
  5. 請求項1乃至のうちいずれかに記載のアルミナ質焼結体からなることを特徴とする液晶パネル製造装置用部材。
  6. 請求項1乃至のうちいずれかに記載のアルミナ質焼結体からなることを特徴とする誘電体共振器用部材。
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