JP2010235337A - 誘電体セラミックスおよび誘電体共振器 - Google Patents

誘電体セラミックスおよび誘電体共振器 Download PDF

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Abstract

【課題】 応力が繰り返し加わってもQ値が低下しにくい誘電体セラミックスおよび誘電体共振器を提供すること。
【課題手段】 金属元素として少なくともRE(REは、LaおよびNdの1種以上)、Al、CaおよびTiを含有してなるペロブスカイト型構造の第1酸化物と、Ca、AlおよびSiを含有してなる第2酸化物とを有し、かつ前記第1酸化物および前記第2酸化物を含みSiを除く酸化物の組成式をaRE・bAl・cCaO・dTiOと表したとき、a、b、c、dが、0.056≦a≦0.214、0.056≦b≦0.214、0.286≦c≦0.500、0.230≦d≦0.460およびa+b+c+d=1を満足する誘電体セラミックスからなる誘電体磁器6を用いた誘電体共振器20とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ波、ミリ波等の高周波領域において、高い比誘電率εrおよび共振の先鋭度Q値を有する誘電体セラミックス及び誘電体共振器に関する。例えば、前記高周波領域において使用される種々の共振器用材料、MIC(Monolithic IC)用誘電体基板材料、誘電体導波路用材料、積層型セラミックコンデンサー等に使用される誘電体セラミックスおよびこれを用いた誘電体共振器に関する。
誘電体セラミックスは、マイクロ波やミリ波等の高周波領域において、誘電体共振器、MIC用誘電体基板、導波路等に広く利用されている。また、誘電体セラミックスを用いた誘電体共振器は、高周波領域での誘電損失が小さいこと、すなわち高Qであることが求められている。誘電体共振器は、例えば移動体通信用の基地局の部品として用いられ、長期にわたってQ値が低下しないことが求められている(例えば、下記特許文献1を参照)。
特開2003−95736号公報
しかしながら、従来の誘電体セラミックスは、機械的応力およびヒートサイクルによる熱応力などの応力が繰り返し加わった後、誘電体セラミックスに微細なマイクロクラックが生成することがある。このため、このような誘電体セラミックスを誘電体共振器に用いた場合、誘電損失が大きくなってQ値が低下する。特に、移動体通信の基地局に搭載された誘電体共振器は、長期間にわたってヒートサイクルが加わるため、時間とともにQ値が低下するおそれがあった。
そこで本発明は、このような問題に鑑み、応力が繰り返し加わってもQ値が低下しにくい誘電体セラミックスおよび誘電体共振器を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る誘電体セラミックスは、金属元素として少なくともRE(REは、LaおよびNdの1種以上)、Al、CaおよびTiを含有してなるペロブスカイト型構造の第1酸化物と、Ca、AlおよびSiを含有してなる第2酸化物とを有し、かつ前記第1酸化物および前記第2酸化物を含みSiを除く酸化物の組成式をaRE・bAl・cCaO・dTiOと表したとき、a、b、c、dが下記式を満足することを特徴とする。
0.056≦a≦0.214
0.056≦b≦0.214
0.286≦c≦0.500
0.230≦d≦0.460
a+b+c+d=1
また、本発明の一形態に係る誘電体共振器は、上記誘電体セラミックスを誘電体材料として用いたことを特徴とする。
また、本発明の一形態に係る誘電体共振器は、入出力端子と、上記誘電体セラミックスを用いた誘電体磁器とを備えたことを特徴とする。
本発明の一形態に係る誘電体セラミックスおよび誘電体共振器によれば、繰り返し応力が加わった場合でも、Q値が低下しにくい。
本発明の一形態に係る誘電体セラミックスの拡大断面を模式的に示す断面図である。 本発明の一形態に係る誘電体セラミックスを用いた誘電体共振器を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明の一形態に係る誘電体セラミックスについて説明する。
<実施形態1>
本発明の一形態に係る誘電体セラミックスは、金属元素として少なくともRE(REは、LaおよびNdの1種以上)、Al、CaおよびTiを含有してなるペロブスカイト型構造の第1酸化物と、Ca、AlおよびSiを含有してなる第2酸化物とを有し、かつ前記第1酸化物および前記第2酸化物を含みSiを除く酸化物の組成式をaRE・bAl・cCaO・dTiOと表したとき、a、b、c、dが0.056≦a≦0.214、0.056≦b≦0.214、0.286≦c≦0.500、0.230≦d≦0.470、a+b+c+d=1の各式を満足する。この誘電体セラミックスは、繰り返し応力が加わった場合でも、Q値が低下しにくい。
REがLaおよびNdの1種以上からなるのは、他の希土類元素を選択した場合に比べて、より高いQ値を有する誘電体セラミックスを提供できるからである。
ペロブスカイト型構造の第1酸化物は、REAlOとCaAlOの固溶体からなる。本発明の誘電体セラミックスは、この固溶体からなるペロブスカイト型構造の第1酸化物からなる結晶を主結晶とする。この固溶体は誘電損失が低いため、得られる誘電体セラミックスは高いQ値を有する。
Ca、AlおよびSiを含有してなる第2酸化物の技術的意義は、次の通りであると考えられる。誘電体セラミックスに繰り返し応力が加わった場合に、第1酸化物に隣接する第2酸化物が第1酸化物からなる結晶のマイクロクラックの発生,進展を抑制すると推定される。その結果、多数のヒートサイクルが繰り返し加わった後においてもQ値が低下しにくく、高いQ値を有する誘電体セラミックスを提供することができる。
第2酸化物は、例えばCaAlSiO、CaAlSiなどが選択される。CaAlSiOの結晶構造は、JCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)No.35-0755Gehleniteが好ましい。
第1酸化物および前記第2酸化物を含みSiを除く酸化物の組成式をaRE・bAl・cCaO・dTiOと表したとき、a、b、c、dが0.056≦a≦0.214、0.056≦b≦0.214、0.286≦c≦0.500、0.230≦d≦0.470、a+b+c+d=1となるように組成を設定したのは、これらの組成範囲で高いQ値を有する誘電体セラミックスを提供できるからである。
<実施形態2>
また、本発明の一形態に係る誘電体セラミックスは、第2酸化物がCaAlSiOであることが好ましい。第2酸化物がCaAlSiOである誘電体セラミックスは、繰り返し応力が加わった場合でも、Q値が低下しにくい。この理由は、次の通りであると考えられる。CaAlSiOは、第1酸化物と隣接している場合、両者の結晶界面において、Ca、AlおよびSiの各金属元素が第1酸化物と第2酸化物の結晶格子を共有しやすい。このため、原子レベルでの欠陥の生成が抑制されるためであると考えられる。
<実施形態3>
また、本発明の一形態に係る誘電体セラミックスは、図1に断面を顕微鏡で拡大視した際の様子を模式的に示すように、少なくとも第1酸化物2の結晶粒界に第2酸化物4aが介在している。特に、互いに隣り合う3つ以上の結晶の間に第2酸化物4bが介在しているとよい。平面視して3つ以上の第1酸化物2の結晶粒子が接近している箇所に第2酸化物が介在しているとよい。この誘電体セラミックスによれば、前述の原子レベルでの欠陥の生成がさらに抑制されると考えられる。そのため、繰り返し応力が加わった場合でも、Q値が特に低下しにくい。なお、以下、図1に示すように、断面を拡大視したときに、互いに隣り合う3つの結晶の間(3つの結晶粒界が重なった部位)を「三重点」という。
<実施形態4>
また、本発明の一形態に係る誘電体セラミックスは、第2酸化物が0.006質量%以上0.4質量%以下含有されていることが好ましい。第2酸化物の含有量をこの範囲に設定すると、大きな応力が繰り返し加わった場合でも、Q値が低下しにくいためである。
<実施形態5>
また、本発明の一形態に係る誘電体セラミックスは、金属元素としてMn、WおよびMoの1種以上が、酸化物のMnO、WOおよびMoO換算で、合計0.01質量%以上1重量%以下含有されていることが好ましい。このような誘電体セラミックスによれば、繰り返し応力が加わる前と後において、ともに高いQ値を保持することができる。
<実施形態6>
本発明の一形態に係る誘電体セラミックスは、さらにZn、Ni、Sn、Co、Li、Rb、Sc、V、Cu、Mg、Cr、B、Ge、Sb、Ga、FeおよびNaのそれぞれの化合物を少なくとも1種添加して作製してもよい。これらは、その添加成分にもよるが、それぞれZnO、NiO、SnO、Co、LiCO、RbCO、Sc、V、CuO、MgCO、Cr、B、GeO、Sb、Ga、Fe,NaO換算で、誘電体セラミックス中に合計0.001〜0.5質量%の割合で含有させることができる。これにより、εrおよび共振周波数の温度係数τfの値の適正化などをすることができる。
<測定方法>
本発明の一形態に係る誘電体セラミックスの各種測定方法について説明する。
(1)RE、Al、Ca、Tiの含有量
ICP発光分光分析法により、誘電体セラミックスに含まれるLa、Nd、Al、Caの各元素の含有量(質量%)を測定し、La、Nd、Al、CaO、TiOにそれぞれの含有量(質量%)に換算する。さらに、La、Nd、Al、CaO、dTiOのそれぞれのモル比に換算する。
(2)第1酸化物、第2酸化物の結晶構造、第2酸化物の存在位置
誘電体セラミックスをX線回折装置を用いてX線回折し、主結晶の結晶構造を同定する。これにより、第1酸化物の結晶構造を概ね確認することができる。
さらに、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、図1に模式的に示すような誘電体セラミックスの断面を観察する。観察しながら、各結晶の電子線回折により格子像を観察し、第1酸化物(ペロブスカイト型構造)、第2酸化物のそれぞれの結晶の構造を特定する。第2酸化物が第1酸化物の結晶粒界に存在することを確認できる。
(3)第2酸化物の含有量
TEMにより、倍率4000〜50000倍で観察し、50個以上の結晶の結晶構造を特定する。結晶構造を特定した結晶のうち、平面視した視野の面積中に含まれる第2酸化物の面積割合(%)を体積%と見なして、第2酸化物の含有量を測定する。
(4)Mn、WおよびMoの含有量
ICP発光分光分析法により、Mn、WおよびMoの各元素の含有量(質量%)を測定し、MnO、WOおよびMoOのそれぞれの含有量(質量%)に換算する。
(5)εr、Q値、Qf
比誘電率、Q値は円柱共振器法により測定する。誘電体セラミックスを平面研磨し、アセトン中で超音波洗浄し、150℃で1時間乾燥した後、円柱共振器法により比誘電率εr、Q値(−)を測定する。さらに、Q値と測定周波数fとの積Qf(GHz)を求める。
<誘電体セラミックスの製造方法>
誘電体セラミックスの製造方法について説明する。
本発明の一形態に係る誘電体セラミックスの製造方法は、具体的には、例えば以下の工程(1a)〜(8a)から成る。
工程(1a):
出発原料として、酸化ランタン(La)粉末および酸化ネオジム(Nd)粉末の1種以上と、酸化アルミニウム(Al)粉末とを用いて、所望の割合となるように秤量後、純水およびコロイダルシリカを加え、湿式混合、湿式粉砕する。
工程(2a):
工程(1a)で得られた混合物を乾燥後、1000〜1300℃で1〜10時間仮焼して仮焼物Aを得る。
工程(3a):
同様に、炭酸カルシウム(CaCO)および酸化チタン(TiO)の各粉末を用いて、所望の割合となるように秤量後、純水およびコロイダルシリカを加え、湿式混合、湿式粉砕する。
工程(4a):
工程(3a)で得られた混合物を乾燥後、1000〜1300℃で1〜10時間仮焼して仮焼物Bを得る。
ここで、工程(2a),(4a)におけるコロイダルシリカの総量は、Ca、AlおよびSiを含有してなる第2酸化物の含有量が、誘電体セラミックスに0.006〜0.4質量%含有するように調整することが好ましい。このため、出発原料中に珪素が含まれる場合は、この珪素の含有量を差し引いて、コロイダルシリカを添加する。また、用いる純水中に珪素が含まれている場合には、同様にこの珪素の量を差し引いて、コロイダルシリカを添加する。
また、工程(1a),(3a)において、仮焼の際にこう鉢を用いる場合は、Al、Ca、Tiのうち少なくとも2種以上を含む酸化物を固着させたこう鉢を用いて仮焼することがさらに好ましい。これにより、こう鉢の成分が仮焼粉A、B中に混入することを防止することができる。
工程(5a):
得られた仮焼物Aと、仮焼物Bとを所定の割合で混合し、この混合原料の平均粒径が2μm以下となるまで、ジルコニアボールを使用したボールミルなどにより水を用いて湿式混合及び粉砕を行う。
工程(6a):
さらに、3〜10重量%の有機バインダーを加えて、公知の方法、例えばスプレードライ法等を用いて造粒し、造粒粉を得る。
工程(7a):
工程(6a)で得られた造粒粉を公知の例えば金型プレス法、冷間静水圧プレス法、押し出し成形法等により任意の形状に成形する。
工程(8a):
工程(7a)で得られた成形体を空気中、1500〜1650℃の温度で1〜10時間焼成して誘電体セラミックスを得ることができる。
得られた誘電体セラミックスは、RE、Al、CaおよびTiを含有してなるペロブスカイト型構造の第1酸化物と、Ca、AlおよびSiを含有してなる第2酸化物を有する。
次に、誘電体セラミックスの好ましい製造方法について説明する。
誘電体セラミックス中のAl,CaがそれぞれAl,CaO換算でともに0.214質量%未満となるように、出発原料中の酸化ランタン(La)粉末および酸化ネオジム(Nd)粉末の量を調整する。これによって、CaAlSiOからなる第2酸化物を、得られる誘電体セラミックス中に含有させることができる。
コロイダルシリカの平均粒径は、0.2μm以下であることが好ましい。コロイダルシリカの平均粒径を0.2μm以下にすることによって、第1酸化物の結晶粒界の三重点に、第2酸化物を存在させることができる。
コロイダルシリカの添加量は、CaAlSiO換算で0.06〜0.4質量%であることが好ましい。これによって、誘電体セラミックス中にCaAlSiOを0.06〜0.4質量%含有させることができる。ただし、前記純水中に珪素が含まれている場合は、この珪素の量を足してコロイダルシリカの添加量を調整する。
工程(5a)において、仮焼物A、仮焼物Bの粉砕と共に、同じミル内にMn化合物、W化合物、Mo化合物の少なくとも1種を添加して粉砕することが好ましい。好ましくは、Mn化合物、W化合物、Mo化合物のうち少なくとも1種を、MnO、WOおよびMoO換算で合計0.01質量%以上1質量%となるよう、仮焼物Aと仮焼物Bに対して添加する。これにより、誘電体セラミックスに、Mn、WおよびMoの1種以上を、MnO、WOおよびMoO換算で合計0.01質量%以上1質量%以下含有させることができる。
<誘電体共振器の実施形態>
本発明の一形態にかかる誘電体共振器について説明する。誘電体共振器は、入出力端子間に上記の誘電体セラミックスからなる誘電体を配置してなり、この誘電体を電磁界結合により作動するようにしたものである。このような誘電体共振器の一例(TEモ−ド型の誘電体共振器)を図2に示す。
本発明の一形態にかかる誘電体セラミックスからなる誘電体磁器6は、アルミナ焼結体などからなる支持体8に接合されている。支持体8および誘電体磁器6は、内側がAgメッキされた金属製の筐体10内に収納されている。支持体8は、筐体10の内面に固定されている。筐体10内には、誘電体磁器6と離間した入力端子12および出力端子14が挿入されている。高周波が入力端子12から入力されると、誘電体磁器6が共振し、この共振による波が出力端子14を経由して、筐体の外部へ伝えられる。
誘電体共振器20は、金属製の筐体10内壁の相対する両側に入力端子12及び出力端子14を設け、これらの入出力端子12、14の間に上記誘電体セラミックスからなる誘電体磁器6を配置して構成される。このようなTEモ−ド型の誘電体共振器20は、入力端子12からマイクロ波が入力され、マイクロ波は誘電体磁器6と自由空間との境界の反射によって誘電体磁器6内に閉じこめられ、特定の周波数で共振を起こす。この信号が出力端子14と電磁界結合して出力される。
図示しないが、本発明の誘電体セラミックスを、TEMモードを用いた同軸型共振器やストリップ線路共振器、TMモードの誘電体共振器、その他の共振器の誘電体磁器に適用してよいことは勿論である。
さらには、入力端子12及び出力端子14を誘電体磁器6に直接設けても誘電体共振器を構成できる。
誘電体磁器6は、本発明の一形態に係る誘電体セラミックスからなる所定形状の共振媒体であるが、その形状は直方体、立方体、板状体、円板、円柱、多角柱、その他共振が可能な立体形状であればよい。また、入力される高周波信号の周波数は800MHz〜500GHz程度であり、共振周波数としては2GHz〜80GHz程度が実用上好ましい。
<実施例1>
工程(1b):
出発原料として、高純度の、酸化ランタン(La)粉末および酸化ネオジム(Nd)粉末の1種以上と、酸化アルミニウム(Al)粉末とを用いて、秤量後、純水およびコロイダルシリカを加え、ボールミルを用いて湿式混合、湿式粉砕した。
工程(2b):
工程(1b)で得られた混合物を乾燥後、1200℃で3時間仮焼して仮焼物A1を得た。
工程(3b):
上記と同様に、炭酸カルシウム(CaCO)および酸化チタン(TiO)の各粉末を用いて、秤量後、純水およびコロイダルシリカを加え、湿式混合,湿式粉砕した。
工程(4b):
工程(3b)で得られた混合物を乾燥後、1100℃で3時間仮焼して仮焼物B1を得た。
ここで、工程(2b),(4b)におけるコロイダルシリカの総量は、Ca、AlおよびSiを含有してなる第2酸化物の含有量が、誘電体セラミックスに0.006〜0.4質量%含有するように調整した。コロイダルシリカの平均粒径は、表1に示す。
また、工程(1b),(3b)において、仮焼の際にこう鉢を用いる場合は、Al、Ca、Tiを含む酸化物を固着させたこう鉢を用いて仮焼した。
工程(5b):
得られた仮焼物A1と、仮焼物B1とを所定の割合で混合し、この混合原料の平均粒径が1μmとなるまで、ジルコニアボールを使用したボールミルにより水を用いて湿式混合及び粉砕を行った。
工程(6b):
さらに、4重量%の有機バインダーを加えて、スプレードライヤーを用いて造粒し、造粒粉を得た。
工程(7b):
工程(6b)で得られた造粒粉を金型プレス法により直径20mm、厚み11mmの形状に成形した。
工程(8b):
工程(7b)で得られた成形体を空気中、1600℃の温度で5時間焼成して誘電体セラミックスを得た。各試料はそれぞれ複数個を用意した。
工程(9b):
誘電体セラミックスの両主面を平行に研磨し、試料を作製した。
次いで、工程(9b)で得られた試料を用いて、前述した方法により、各種の測定を行った。主結晶はREAlOとCaAlOの固溶体からなり、ペロブスカイト型構造であった。試料を薄片に加工して倍率は2万倍にてTEM観察した。結晶構造を特定した結晶の数は、各試料につき50個とした。
工程(8b)で得られた誘電体セラミックスに熱応力を繰り返し加えるために、20℃空気中放置状態から200℃の油中への投下を1サイクルとするヒートサイクルを100回繰り返す、加速試験を行った。この試験前と試験後のεr、Qfをそれぞれ測定した。また、試験前のQf(Qf)と試験後のQf(Qf)の差、Qf−Qfの値を計算した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2010235337
試料No.2〜5、8〜10,13〜17,19,21,22,24〜29は、Qf−Qfの値が1100GHz以下であり、試験後にQfが殆ど低下しなかった。これら試料のうち、第2酸化物としてCaAlSiOを含有する試料No.2〜5,8,914〜17,19,21,22,24〜29は、Qf−Qfの値が700GHz以下とさらにQfの低下がなかった。特に、CaAlSiOが三重点に存在することが確認された試料No.3,5,8,9,14〜16,22,24〜29は、Qf−Qfの値が500GHz以下とさらにQfの低下がなかった。また、CaAlSiOの含有量が0.006〜0.4質量%の試料は、Qf−Qfの値が400GHz以下とさらにQfの低下がなかった。
<実施例2>
実施例1の試料No.16の作製条件において、工程(5b)で仮焼物A1、仮焼物B1の他に、さらにMnCO、WO、MoOの1種以上をボールミルに投入し、それ以外の条件は実施例1と同様にして、本発明の試料を作製した。その後、実施例1のヒートサイクルを300回繰り返すヒートサイクル試験を行った。試料中のMn、W、Moの含有量は、MnO、WOおよびMoOにそれぞれ換算した。
その結果、各試料は第2酸化物としてCaAlSiOが三重点に存在していた。La、Al、Ca、Tiの含有量、およびCaAlSiOの含有量は試料No.16と同じであった。試験前のεrは各試料とも43.8であった。試験前のQfは各試料とも53800であった。これらの結果を表2に示す。
Figure 2010235337
Mn、WおよびMoの1種以上を、MnO、WOおよびMoO換算で合計0.01質量%以上1質量%以下含有する試料No.33〜53は、Qf−Qfの値が200GHz以下であった。MnO、WOおよびMoO換算での含有量が合計、0.01質量%未満および1質量%を超えた試料No.31,32,54〜57は、Qf−Qfの値が500〜600GHzとなった。この結果から、Mn、WおよびMoの1種以上を、MnO、WOおよびMoO換算で合計0.01質量%以上1質量%以下含有する場合には、ヒートサイクルがかかっても、Qfが特に低下しにくいことがわかった。
<比較例>
コロイダルシリカを原料中に添加しなかった試料を、比較例として作製した。この比較例は、コロイダルシリカを用いなかった点以外は、実施例と同様にして試料を作製し、実施例と同様に各種の測定を行った。その結果、比較例の試料は、Qf−Qfの値が6100〜7800と大きかった。比較例の試料は、ヒートサイクルによってQfが大きく低下した。
2:第1酸化物
4a:4b:第2酸化物
6:誘電体磁器
8:支持体
10:筐体
12:入力端子
14:出力端子
20:誘電体共振器

Claims (8)

  1. 金属元素として少なくともRE(ただし、REはLaおよびNdの1種以上の金属元素)、Al、CaおよびTiを含有してなるペロブスカイト型構造の第1酸化物と、Ca、AlおよびSiを含有してなる第2酸化物とを有し、かつ前記第1酸化物および前記第2酸化物を含みSiを除く酸化物の組成式をaRE・bAl・cCaO・dTiOと表したとき、a、b、c、dが下記式を満足することを特徴とする誘電体セラミックス。
    0.056≦a≦0.214
    0.056≦b≦0.214
    0.286≦c≦0.500
    0.230≦d≦0.460
    a+b+c+d=1
  2. 前記第2酸化物がCaAlSiOであることを特徴とする請求項1に記載の誘電体セラミックス。
  3. 前記第1酸化物の結晶粒界に前記第2酸化物が介在していることを特徴とする請求項1または2に記載の誘電体セラミックス。
  4. 前記第1酸化物の複数の結晶の間に前記第2酸化物の結晶が介在していることを特徴とする請求項1または2に記載の誘電体セラミックス。
  5. 前記第2酸化物が0.006質量%以上0.4質量%以下含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の誘電体セラミックス。
  6. Mn、WおよびMoの1種以上が、MnO、WOおよびMoO換算で合計0.01質量%以上1質量%以下含有されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の誘電体セラミックス。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の誘電体セラミックスを誘電体材料として用いたことを特徴とする誘電体共振器。
  8. 入出力端子と、請求項1乃至6のいずれかに記載の誘電体セラミックスを用いた誘電体とを備えたことを特徴とする誘電体共振器。
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