JP6352686B2 - アルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材 - Google Patents

アルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材 Download PDF

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Description

本発明は、アルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材に関するものである。
アルミナ質焼結体は、耐熱性、耐薬品性、耐プラズマ性に優れ、さらに高周波領域での誘電正接(tanδ)が小さいことから、半導体製造装置の内壁材(チャンバー)やマイクロ波導入窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、シールドリングをはじめとする半導体製造装置用部材や、液晶パネル製造装置のステージ、ミラー、マスクホルダー、マスクステージ、チャック、レチクル等に液晶パネル製造装置用部材に用いられている。
そして、アルミナ質焼結体からなる半導体製造装置用部材または液晶パネル製造装置用部材は、エッチングやクリーニングにおいて、反応性の高いハロゲン系腐食ガスやそれらのプラズマと接触するため、高い耐食性を有するものとすべく、一般的に99.0質量%以上の高純度のアルミナ質焼結体が用いられている。
また、近年においては、半導体デバイスの高集積化と超微細化とに伴う回路配線の細線化に対応しなければならないといったなど技術課題は高いものとなっている。そして、この回路配線の細線化には、半導体製造装置内で発生させるプラズマの安定性を高めることが必要であり、プラズマを安定化させるには、誘電正接(tanδ)が低い部材を用いて、プラズマ発生のために使用される電気エネルギーが熱エネルギーとして変換されてプラズマ処理装置外へ放出されるエネルギーロスを防止する必要がある。
そのため、半導体製造装置用部材や液晶パネル製造装置用部材として用いられるアルミナ質焼結体においては、高い耐食性に加えて誘電正接が低いことが求められている。このような要求に対し、Naの酸化物の存在が誘電正接の増加要因となっているため、Naの酸化物の含有量を減らしたアルミナ質焼結体が提案されている(特許文献1、2参照)。
特開平8−143358号公報 特開平5−217946号公報
今般においては、更なる高い技術課題を解決すべく、誘電正接のさらに低いアルミナ質焼結体が求められている。なお、特許文献1,2の記載によれば、Naの酸化物の含有量を減らすことにより誘電正接を低くするができる。しかしながら、Naの酸化物は主に、主成分であるアルミナ原料に不可避不純物として含まれるものであり、Naの酸化物の含有量が少ないアルミナ原料は高価であり、このような高価なアルミナ原料を用いたときには、他のセラミックスに比して安価に作製できるという、アルミナ質焼結体の特徴の一つが活かせないこととなる。
本発明は、上記要求を満たすべく案出されたものであり、高い耐食性を有しつつ、Naの酸化物を含有しながらも誘電正接の低いアルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材を提供することを目的とする。
本発明のアルミナ質焼結体は、全構成成分100質量%のうち、NaをNaO換算した含有量が200ppm以上500ppm以下であり、SiをSiO 換算した含有量が200ppm以上であり、CaをCaO換算した含有量が200ppm以上であり、AlをAl換算した含有量が99.4質量%以上のアルミナ質焼結体において、8.5
GHzにおける誘電正接の値が、前記NaをNaO換算した含有量の値の0.5倍以下であり、1MHzにおける誘電正接の値が、前記NaをNaO換算した含有量の値の0.3倍以下であり、12MHzにおける誘電正接の値が、前記NaをNaO換算した含有量の値の0.6倍以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の半導体製造装置用部材は、上記構成のアルミナ質焼結体からなることを特徴とするものである。
さらに、本発明の液晶パネル製造装置用部材は、上記構成のアルミナ質焼結体からなることを特徴とするものである。
本発明のアルミナ質焼結体は、高い耐食性を有しているとともに、Naの酸化物を含有しながらも誘電正接が低いものである。
また、本発明の半導体製造装置用部材および液晶パネル製造装置用部材は、上記構成のアルミナ質焼結体からなることにより、高い耐食性を有しつつ、エネルギーロスが少ないため各種処理精度の向上を図ることができる。
以下、本実施形態のアルミナ質焼結体の一例について説明する。
本実施形態のアルミナ質焼結体は、全構成成分100質量%のうち、NaをNaO換算
した含有量が30ppm以上500ppm以下であり、AlをAl換算した含有量が99.4質量%以上であり、8.5GHzにおける誘電正接の値が、NaをNaO換算した含有量の値の0.5倍以下である。
例えば、NaをNaO換算した含有量の値が500ppmであるとき、8.5GHzにおける誘電正接の値は、2.5×10−4以下であり、300ppmでは1.5×10−4以下であり、100ppmでは0.5×10−4以下であり、30ppm以下では0.15×10−4以下である。
これに対し、特許文献1の表1によれば、測定周波数14GHzにおける誘電正接であるものの、41ppmのとき0.4×10−4(1.0倍)であり、70ppmのとき1.0×10−4(1.4倍)であり、218ppmのとき8.8×10−4(4.0倍)である。また、特許文献2の表1に
よれば、測定周波数10GHzにおける誘電正接であるものの、40ppmのとき7.0×10
(17.5倍)であり、70ppmのとき12.5×10−4(17.9倍)であり、100ppmのとき20.0×10−4(20.0倍)である。
なお、本実施形態における測定周波数が8.5GHzであり、特許文献1,2における測
定周波数が14GHzや10GHzであり、差異を有しているものの、この程度の差異は、誘電正接の値に大きな変化を与えるものではなく、十分に比較できるものであり、本実施形態のアルミナ質焼結体の誘電正接が低いものであることは明らかである。
このように、本実施形態のアルミナ質焼結体は、Naの酸化物を含有しながらも、誘電正接の低いものである。また、全構成成分100質量%のうち、AlをAl換算した
含有量が99.4質量%以上であることにより、反応性の高いハロゲン系腐食ガスやそれらのプラズマに対して高い耐食性を有する。
なお、本実施形態のアルミナ質焼結体が、Naの酸化物を含有しながらも、誘電正接が低いのは、後述する方法で作製することによって、アルミナ結晶間である粒界相において露出して存在しているNaの酸化物が少ないからである。これは、本実施形態のアルミナ質焼結体における粒界相内において、粒界相の外部にあたるアルミナ結晶側でNaの酸化物が少なく、粒界相の中心近傍にあたる内部においてNaの酸化物が多いということである。粒界相の位置におけるNaの酸化物の含有量は、以下の方法により確認することができる。
まず、アルミナ質焼結体の一部をイオンシンニング装置などの加工装置を用いてエッチングし、測定面とする。次に、透過電子顕微鏡(TEM JEOL社製 JEM−2010F)を用いて、加速電圧200kVの条件で測定面の特定視野を1万倍〜10万倍の倍率で粒界
相を観察する。なお、位置によるNaの酸化物の含有量の確認であるため、3重点を観察することが好適である。
そして、3重点において、アルミナ結晶側である外部と、中心近傍にあたる内部とをエネルギー分散型X線分析(EDS)により測定し、Naの含有量を確認することで粒界相の位置におけるNaの酸化物の含有量を確認することができる。
また、本実施形態のアルミナ質焼結体は、他の測定周波数である1MHzにおける誘電正接の値は、NaをNaO換算した含有量の値の0.6倍以下であり、12MHzにおける
誘電正接の値は、NaをNaO換算した含有量の値の1.0倍以下である。なお、8.5GHzにおける誘電正接の値は、NaをNaO換算した含有量の値の0.4倍以下であること
が好適であり、1MHzにおける誘電正接の値は、NaをNaO換算した含有量の値の0.3倍以下であることが好適であり、12MHzにおける誘電正接の値は、NaをNa
換算した含有量の値の0.6倍以下であることが好適である。
そして、本実施形態のアルミナ質焼結体の誘電正接については、例えば直径が50mm、厚みが1mmの円板状の試料を作製し、周波数8.5GHzの誘電正接の値をそれぞれキャ
パシタンスメータ(HP−4278A)、インピーダンスアナライザ(HP−4291A)および空洞共振器(ネットワーク・アナライザ 8722ES)を用いて測定することができる。なお、周波数1MHzおよび12MHzにおける測定方法も上述した通りである。
また、全構成成分100質量%におけるNaをNaO換算した含有量およびAlをAl
換算した含有量については、アルミナ質焼結体の一部を粉砕し、得られた粉体を塩酸などの溶液に妖怪した後、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析装置(例えば、島津製作所製:ICPS−8100)を用いて、NaおよびAlの含有量を測定し、NaOおよびAlにそれぞれ換算すればよい。
また、本実施形態のアルミナ質焼結体は、Mgを含み、MgO換算した含有量が200p
pm以上1500ppm以下であることが好適である。このような構成を満たしていることにより、誘電正接が高くなる傾向を示すスピネル(MgAl)の結晶を生成させるおそれが少なく、焼結の促進を図ることができるため、アルミナ質焼結体の機械的強度を向上させることができる。
また、本実施形態のアルミナ質焼結体は、AlおよびNa以外の成分として、少なくともSiおよびCaを含んでいる。そして、SiおよびCaは、SiをSiO換算した含有量およびCaをCaO換算した含有量が、全構成成分100質量%のうち、いずれも200ppm以上であることが好適である。また、他に、Ba,Srのいずれかを含んでいてもよい。そして、Na,Si,Ca,Ba,Srは、主結晶であるアルミナ結晶間である粒界相に、酸化物からなる結晶相または非晶質相として存在する。なお、Mgを含む場合、M
gも粒界相に存在する。また、Alが粒界相に存在する場合もある。そして、以下の記載において、粒界相を構成する成分として、Na以外の成分は、他の成分と記載する。
本実施形態のアルミナ質焼結体は、アルミナ結晶間の粒界相において、NaをNaOに換算した含有量をAとし、Na以外である他の成分をそれぞれ酸化物に換算した含有量の合計をBとしたとき、比A/Bが0.11以下であることが好適である。
このように、アルミナ結晶間の粒界相において、NaをNaOに換算した含有量をAとし、他の成分をそれぞれ酸化物に換算した含有量の合計をBとしたとき、比A/Bが0.11以下であるときには、粒界相に存在するNaの酸化物が露出するおそれが少なくなることから、さらに誘電正接を低くすることができる。
なお、アルミナ結晶間の粒界相におけるNaをNaOに換算した含有量Aと、Na以外の成分をそれぞれ酸化物に換算した含有量の合計Bとの比A/Bは、次のようにして求めることができる。
まず、アルミナ質焼結体の一部をイオンシンニング装置などの加工装置を用いてエッチングした測定面をTEMにより、加速電圧200kVの条件で測定面の特定視野を1万倍〜10万倍の倍率で観察し、粒界相のEDS測定を行ない、得られた各成分の含有量を求め、
それぞれ酸化物に換算し、NaをNaOに換算した含有量をAとし、他の成分をそれぞれ酸化物に換算した含有量の合計をBとし、比A/Bを算出すればよい。なお、1つの粒界相において、複数カ所、例えば3カ所についてEDS測定を行ない、平均値を用いて比A/Bを算出することが好適であり、小数点第3位で四捨五入する。
なお、粒界相にAlが含まれていない場合は、アルミナ質焼結体の一部を粉砕し、得られた粉体を塩酸などの溶液に溶解した後、ICP発光分光分析装置を用いて、NaやNa以外の他の成分の含有量を測定し、それぞれ酸化物に換算した値を用いて比(A/B)を算出してもよい。
本発明のアルミナ質焼結体は、産業機械用部品として用いられ、とりわけ半導体製造装置や液晶製造装置に用いられる大型で、厚みのある部材(半導体製造装置用部材、液晶パネル製造装置用部材)として好適に用いることができ、これらの部材が本実施形態のアルミナ質焼結体からなることにより、高い耐食性を有しつつ、エネルギーロスが少なく、各種処理精度の向上を図ることができる。
次に、本実施形態のアルミナ質焼結体の製造方法の一例について説明する。
まず、平均粒径が0.4〜0.6μmのアルミナ(Al)A粉末および平均粒径が1.2
〜1.8μm程度のアルミナB粉末を準備する。また、Si源として酸化珪素(SiO
粉末、Ca源として炭酸カルシウム(CaCO)粉末を準備する。なお、酸化珪素粉末は、平均粒径が0.5μm以下の微粉のものを準備する。また、アルミナ質焼結体において
、Mgを含むものとするときには、水酸化マグネシウム粉末を用いる。なお、以下の記載において、アルミナA粉末およびアルミナB粉末以外の粉末を総称して、第1の副成分粉末と称す。
そして、第1の副成分粉末をそれぞれ所定量秤量する。次に、アルミナA粉末と、アルミナB粉末とを40:60〜60:40となるように、かつ得られるアルミナ質焼結体の全構成成分100質量%のうち、AlをAl換算した含有量が99.4質量%以上となるように秤
量し、アルミナ調合粉末とする。また、第1の副成分粉末について好適には、アルミナ調合粉末におけるNa量をまず把握し、アルミナ質焼結体とした場合におけるNa量からN
Oに換算し、この換算値と、第1の副成分粉末を構成する成分(この例においては、SiやCa等)を酸化物に換算した値との比が1.1以下となるように秤量する。
そして、アルミナ調合粉末と、副成分粉末と、アルミナ調合粉末および副成分粉末との合計100質量部に対し、1〜1.5質量部のPVA(ポリビニールアルコール)などのバインダと、100質量部の溶媒と、0.1〜0.5質量部の分散剤とを攪拌機内に入れて混合・攪拌し
てスラリーを得る。
その後、噴霧造粒装置(スプレードライヤー)を用いてスラリーを噴霧造粒して顆粒を得た後、粉末プレス成形法や静水圧プレス成形法(ラバープレス法)により所定形状の成形体を成形する。
次に、得られた成形体に必要に応じて切削加工を施し、大気(酸化)雰囲気の焼成炉を用いて、1500〜1700℃の最高温度で所定時間保持して焼成し焼結体を得る。そして、得られた焼結体に研削加工することにより、所定形状の本実施形態のアルミナ質焼結体を得ることができる。
なお、上述した方法により、誘電正接を低くすることができるのは、理由は明らかではないが、0.5μm以下の微粉の酸化珪素粉末を用いることにより、アルミナ調合粉末に含
まれる不可避不純物であるNaの酸化物を酸化珪素が捕らえるとともに、他の副成分粉末を構成する成分の酸化物と併せてNaの酸化物が覆われることによって、粒界相の内部にNaの酸化物を存在させることができるからであると考えられる。また、平均粒径が異なるアルミナA粉末およびアルミナB粉末とを所定の比率で混合したアルミナ調合粉末を用いていることも、誘電正接を低くすることに寄与していると考えられるが、その理由は明らかではない。
次に、本実施形態のアルミナ質焼結体の製造方法の他の例について説明する。
まず、平均粒径が0.4〜0.6μmのアルミナA粉末および平均粒径が1.2〜1.8μm程度のアルミナB粉末を準備する。また、Si源として酸化珪素粉末、Ca源として炭酸カルシウム粉末、Sr源またはBa源として、炭酸ストロンチウム(SrCO)粉末または炭酸バリウム粉末(BaCO)粉末を準備する。また、アルミナ質焼結体において、Mgを含むものとするときには、水酸化マグネシウム粉末を用いる。なお、酸化珪素粉末、炭酸カルシウム粉末、炭酸バリウム粉末、炭酸ストロンチウム粉末、水酸化マグネシウムを総称して、以下、第2の副成分粉末と称す。
そして、第1の副成分粉末をそれぞれ所定量秤量する。次に、アルミナA粉末と、アルミナB粉末とを40:60〜60:40となるように、かつ得られるアルミナ質焼結体の全構成成分100質量%のうち、AlをAl換算した含有量が99.4質量%以上となるように秤
量し、アルミナ調合粉末とする。また、第2の副成分粉末について好適には、アルミナ調合粉末におけるNa量をまず把握し、アルミナ質焼結体とした場合におけるNa量からNaOに換算し、この換算値と、第2の副成分粉末を構成する成分(この例においては、Si,Ca,SrまたはBa等)を酸化物に換算した値の比が1.1以下となるように秤量
する。
そして、秤量した第2の副成分粉末を乾式混合機に入れて混合した後、1000〜1400℃の温度で熱処理し、その後1μm以下となるまで粉砕して副成分仮焼粉末を得る。
次に、アルミナ調合粉末と、副成分仮焼粉末と、アルミナ調合粉末および副成分仮焼粉末との合計100質量部に対し、1〜1.5質量部のPVAなどのバインダと、100質量部の溶
媒と、0.1〜0.5質量部の分散剤とを攪拌機内に入れて混合・攪拌してスラリーを得る。その後、上述した方法と同じ方法を行なうことにより、所定形状の本実施形態のアルミナ質焼結体を得ることができる。
この例において、アルミナ質焼結体の誘電正接を低くすることができるのは、理由は明らかではないが、第2の副成分粉末を仮焼することによって複合酸化物(例えば、Si−Ca−SrまたはBaを含む酸化物)の結晶相を形成させるとともに、1μm以下となるまで粉砕したことにより、アルミナ調合粉末に含まれる不可避不純物であるNaの酸化物と接触しやすくなり、この複合酸化物の結晶相の内部にNaの酸化物を多く存在させることができるからであると考えられる。
なお、複合酸化物の結晶相の存在については、アルミナ質焼結体の一部をイオンシンニング装置などの加工装置を用いてエッチングした測定面をTEMにより、加速電圧200k
Vの条件で測定面の特定視野を1万倍〜10万倍の倍率で観察し、制限視野電子回折することにより、アルミナ以外の結晶相の存在を確認することができる。また、確認された結晶相において、結晶相の外側である外部と、中心近傍にあたる内部とをEDSで測定することにより、結晶相の内部にNaの酸化物を多く存在させているか否かを確認することができる。なお、Sr源を用いた場合、得られる複合酸化物の結晶相は、Siと、Caと、Srと、Oを含むものである。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず平均粒径が0.4μmのアルミナA粉末および平均粒径が1.6μmのアルミナB粉末を準備した。また、また、Si源として酸化珪素粉末、Ca源として炭酸カルシウム粉末、Sr源として炭酸ストロンチウム粉末を準備した。なお、酸化珪素粉末については、平均粒径が0.5μmのものと、3.0μmのものと、5.0μmのものを用意した。
次に、アルミナA粉末と、アルミナB粉末とを、50:50となるように調合した。そして、アルミナ質焼結体の全構成成分100質量%のうち、AlをAl換算した含有量が99.65質量%以上となるように秤量し、アルミナ調合粉末を得た。なお、このアルミナ調合粉末を用いて作製されたアルミナ質焼結体の全構成成分100質量%のうち、NaをNa
Oに換算した値は500ppmとなるものである。
次に、試料No.1として、平均粒径が0.5μmの酸化珪素粉末と、炭酸カルシウム粉
末を用い、SiO換算で1500ppm、CaO換算で1500ppmとなるように秤量した。
そして、アルミナ調合粉末と、酸化珪素粉末および炭酸カルシウム粉末と、これらの粉末の合計100質量部に対し、1質量部のPVAと、100質量部の溶媒と、0.2質量部の分散
剤とを攪拌機内に入れて混合・攪拌してスラリーを得た。
その後、噴霧造粒装置を用いてスラリーを噴霧造粒して顆粒を得た後、粉末プレス成形法や静水圧プレス成形法により所定形状の成形体を成形した。そして、得られた成形体に切削加工を施し、大気雰囲気の焼成炉を用いて、1600℃の最高温度で所定時間保持して焼成することにより、直径50mm×厚み50mmの試料No.1を得た。
次に、試料No.2として、平均粒径が3.0μmの酸化珪素粉末と、炭酸カルシウム粉
末と、炭酸ストロンチウム粉末とを用い、SiO換算で1500ppm、CaO換算で750
ppm、SrO換算で750ppmとなるように秤量した。
次に、秤量した酸化珪素粉末、炭酸カルシウム粉末、炭酸ストロンチウム粉末を乾式混合機に入れて混合した後、1200℃の温度で熱処理し、その後1μm以下となるまで粉砕して仮焼粉末を得た。
そして、アルミナ調合粉末と、仮焼粉末と、これらの粉末の合計100質量部に対し、1
質量部のPVAと、100質量部の溶媒と、0.2質量部の分散剤とを攪拌機内に入れて混合・攪拌してスラリーを得た。その後については、上述した方法と同じ方法を行なうことにより試料No.2を得た。
次に、平均粒径が5.0μmの酸化珪素粉末を用いたこと以外は、試料No.1と同じ方
法により試料No.3を作製した。
そして、アルミナ質焼結体の一部を粉砕し、得られた粉体を塩酸などの溶液に妖怪した後、ICP発光分光分析装置を用いて、Alの含有量を測定し、Al換算したところ、いずれも99.65質量%であった。また、NaについてはNaO換算で500ppmであった。また、試料No.1および試料No.3については、SiO換算およびCaO換算でそれぞれ1500ppmであった。また、試料No.2については、SiO換算で1500ppmであり、CaO換算およびSrO換算でそれぞれ750ppmであった。
また、アルミナ質焼結体の一部をイオンシンニング装置などの加工装置を用いてエッチングし、測定面とし、TEMを用いて、加速電圧200kVの条件で測定面の特定視野を1
万倍〜10万倍の倍率で3重点を観察し、試料No.1および試料No.3については、3重点において、アルミナ結晶側である外部と、中心近傍にあたる内部とをエネルギー分散型X線分析(EDS)により測定し、Naの含有量を確認することで粒界相の位置におけるNaの酸化物の含有量を確認した。また、試料No.2については、制限視野電子回折によりアルミナ以外の結晶相の存在が確認されたため、この結晶相の外側である外部と、中心近傍にあたる内部とをEDSで測定し、結晶相の位置におけるNaの酸化物の含有量を確認した。
さらに、得られたアルミナ質焼結体の厚み方向中央部から厚み1mmの試料を切り出して、誘電正接を測定し、表1に記載した。誘電正接tanδは、8.5GHz、1MHz、12MHzにて行ない、それぞれキャパシタンスメータ(HP−4278A)、インピーダンス
アナライザ(HP−4291A)、空洞共振器(ネットワーク・アナライザ 8722ES)を用いて測定を行なった。
Figure 0006352686
表1の結果より、試料No.3は、粒界相の位置におけるNaの酸化物の含有量があまり変わらず、8.5GHzにおける誘電正接の値は、NaをNaO換算した含有量の値の
1倍にあたる5.0×10−4であった。これに対し、本発明の試料No.1,2は、8.5GHzにおける誘電正接の値が、NaをNaO換算した含有量の値の0.5倍にあたる2.5×10−4であった。
この結果より、本発明の構成を満たしていることにより、誘電正接の低いアルミナ質焼
結体となることがわかった。また、全構成成分100質量%のうち、AlをAl換算
した含有量が99.4質量%以上であるため、高い耐食性を有しているとともに、Naの酸化物を含有しながらも誘電正接が低いアルミナ質焼結体であることがわかった。なお、試料No.2における炭酸ストロンチウムに変えて炭酸バリウム粉末を用いた試料においても同様の結果が得られた。
MgをMgO換算で表2に示す量を含有するアルミナ質焼結体を実施例1における試料No.1と同様の方法により作製した。なお、MgO換算での含有量分、SiOおよびCaOの含有量が共に減るように秤量して作製した。そして、JIS R 1601−2008(ISO 17565:2003(MOD))に準拠して3点曲げ強度の測定を行なった。
Figure 0006352686
表2の結果より、Mgを含み、MgO換算した含有量が200ppm以上1500ppm以下
であることにより、機械的強度を向上できることがわかった。
表3に示すように含有量の異なるアルミナ質焼結体を作製し、誘電正接の測定を行なった。なお、作製方法は、実施例1における試料No.1と同様とし、アルミナA粉末およびアルミナ粉末BのNaの含有量が異なる粉末を用いるとともに、また、各試料共に、SiOおよびCaO換算での含有量が50:50となるように、酸化珪素粉末および炭酸カルシウム粉末の量を調整して作製した。
そして、得られたアルミナ質焼結体の一部を粉砕し、得られた粉体を塩酸などの溶液に妖怪した後、ICP発光分光分析装置を用いて測定し、Al含有量、NaO含有量、他の成分含有量(SiO換算およびCaO換算した値の合計)を算出した。そして、これらの値より算出した比A/Bおよび実施例1と同様の方法により測定した誘電正接の値を表3に示す。
Figure 0006352686
表3の結果から、アルミナ結晶間の粒界相において、NaをNaOに換算した含有量をAとし、Na以外の成分をそれぞれ酸化物に換算した含有量の合計をBとしたとき、比A/Bが0.11以下であることにより、8.5GHzにおける誘電正接の値は、NaをNaO換算した含有量の0.4倍以下となり、さらに誘電正接を低くできることがわかった。

Claims (5)

  1. 全構成成分100質量%のうち、NaをNaO換算した含有量が200ppm以上500ppm以下であり、SiをSiO 換算した含有量が200ppm以上であり、CaをCaO換算した含有量が200ppm以上であり、AlをAl換算した含有量が99.4質量%以上のアルミナ質焼結体において、8.5GHzにおける誘電正接の値が、前記NaをNaO換算した含有量の値の0.5倍以下であり、1MHzにおける誘電正接の値が、前記NaをNaO換算した含有量の値の0.3倍以下であり、12MHzにおける誘電正接の値が、前記NaをNaO換算した含有量の値の0.6倍以下であることを特徴とするアルミナ質焼結体。
  2. Mgを含み、MgO換算した含有量が200ppm以上1500ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミナ質焼結体。
  3. アルミナ結晶間の粒界相において、前記NaをNaOに換算した含有量をAとし、Si、Ca、Ba、Sr、Mgをそれぞれ酸化物に換算した含有量の合計をBとしたとき、比A/Bが0.11以下(0を除く)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミナ質焼結体。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のアルミナ質焼結体からなることを特徴とする半導体製造装置用部材。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のアルミナ質焼結体からなることを特徴とする液晶パネル製造装置用部材。
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