JP2002068829A - 磁器および磁器の製造方法 - Google Patents

磁器および磁器の製造方法

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JP2002068829A
JP2002068829A JP2000252969A JP2000252969A JP2002068829A JP 2002068829 A JP2002068829 A JP 2002068829A JP 2000252969 A JP2000252969 A JP 2000252969A JP 2000252969 A JP2000252969 A JP 2000252969A JP 2002068829 A JP2002068829 A JP 2002068829A
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forsterite
mol
calcium titanate
spinel
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English (en)
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Migiwa Ando
汀 安藤
Yutaka Higashida
豊 東田
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Japan Fine Ceramics Center
Niterra Co Ltd
Original Assignee
Japan Fine Ceramics Center
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】マイクロ波領域において低誘電損失の磁器を提
供する。 【解決手段】フォルステライトと、チタン酸カルシウム
と、マグネシアおよび/またはマグネシア遊離性成分と
を含む材料を焼成して磁器を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波特性に優
れ、電子通信機器等の高周波デバイスに適用する磁器及
びそのような磁器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高周波特性に優れる磁器組成物として、
フォルステライト磁器組成物が知られている。フォルス
テライトは、MgOとSiO2の反応生成物より構成さ
れている。かかるフォルステライトにおいて、原料粉末
における不純物量を規制し、粉末の粒度を制御すること
により、フォルステライトの、高周波領域における誘電
損失を小さくする技術が開発されている(特開平5−2
62562号公報)。かかるフォルステライトにおいて
は、tanδは、10-4〜10-5の領域にある。
【0003】しかしながら、例えば、情報伝送量の増大
に対応するためには、高速通信技術の開発の要請が高ま
っている。通信の高速化には、高周波デバイス材料が、
信号を遅延・減衰させないように、低誘電率及び低誘電
損失であることが望まれる。また、通信周波数帯の細分
化に対応して、通信周波数の精密化・安定化も望まれて
いる。このためには、誘電率の温度依存性を小さくする
ことが重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明では、
マイクロ波領域において低誘電損失の磁器を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、フォルステラ
イトを含め、他の化合物を配合した材料の焼成物の低誘
電損失につき検討し、チタン酸カルシウム、さらに、マ
グネシアを配合することにより、低誘電損失の磁器が得
られることを見いだし、本発明を完成した。すなわち、
本発明は、フォルステライトと、チタン酸カルシウム
と、マグネシアおよび/またはマグネシア遊離性成分と
を含む材料を焼成する、磁器の製造方法を提供する。本
明細書において、マグネシア遊離性成分とは、マグネシ
ウム元素を含む成分(ただし、マグネシアを除く。)で
あって、前記材料の焼成時にマグネシアを生成する成分
を意味する。
【0006】また、フォルステライトと、チタン酸カル
シウムと、マグネシアおよび/またはマグネシア遊離性
成分と、さらに、アルミナを含む材料を焼成する、磁器
の製造方法も提供する。また、この製造方法において、
アルミナに対する、マグネシア及びマグネシア遊離性成
分から得られるマグネシアの総量のモル比が1を超えて
5以下である、磁器の製造方法も提供する。
【0007】また、本発明は、フォルステライトと、チ
タン酸カルシウムと、マグネシアおよび/またはマグネ
シア遊離性成分と、さらに、スピネルを含む材料を焼成
する、磁器の製造方法を提供する。さらに、本発明は、
フォルステライトと、チタン酸カルシウムと、スピネル
遊離性成分とを含む材料を焼成する、磁器の製造方法も
提供する。本明細書において、スピネル遊離性成分と
は、マグネシウム元素及び/又はアルミニウム元素を含
む一以上の成分(ただし、スピネルを除く。)であっ
て、前記材料の焼成時にすなわち、スピネルを生成する
成分を意味する。
【0008】これらの方法によれば、低誘電損失、特
に、マイクロ波領域において低誘電損失の磁器を得るこ
とができる。
【0009】また、本発明は、フォルステライトと、チ
タン酸カルシウムと、マグネシア及び/又はスピネルと
を含む磁器であって、回折角(2θ)が27゜〜28゜
の範囲に生じる結晶性物質の回折ピークのピーク強度
が、回折角(2θ)が35゜〜37゜に生じるフォルス
テライトの主回折ピークのピーク強度の6%以下である
磁器も提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき
詳細に説明する。本発明の磁器の製造方法は、(1)フ
ォルステライト(Mg2SiO4)、チタン酸カルシウム
(CaTiO3)、マグネシア(MgO)および/また
はマグネシア遊離性成分を含む材料を焼成する方法であ
り、あるいは、(2)フォルステライト、チタン酸カル
シウム、スピネル(MgAl24)および/またはスピ
ネル遊離性成分を含む材料を焼成する方法であり、さら
に、(3)フォルステライト、チタン酸カルシウム、マ
グネシアおよび/またはマグネシア遊離性成分、スピネ
ルおよび/またはスピネル遊離性成分を含む材料を焼成
する方法である。
【0011】これらの発明方法は、以下の知見に基づい
てなされている。すなわち、(1)フォルステライトに
チタン酸カルシウムを配合して焼成すると、反応生成物
として、焼成体中にタイタナイト(CaTiSiO5
が生成し、このタイタナイトにより、誘電損失が増大す
ること、および(2)焼成体中のタイタナイト量を抑制
することで、誘電損失の増大を抑制できること、を見い
だしたことによる。必ずしも理論的には明らかでない
が、フォルステライトとチタン酸カルシウムとを含む材
料を焼成して得られる焼成体中のタイタナイト量を抑制
する手段として、以下の2つの手段を見いだした。第1
の手段は、焼成時における、タイタナイト生成反応(可
逆反応であることが発明者らにより確認されている。)
を抑制することである。具体的には、焼成時にマグネシ
アを存在させて当該生成反応を抑制することにより、焼
成体中のタイタナイトを抑制できる。このことは、以下
に示す式(1)が可逆反応であることから導かれる。な
お、本発明は当該理論に拘束されるものではない。 Mg2SiO4 + CaTiO3 ←→ CaTiSiO5 + 2MgO ( 1)
【0012】また、第2の手段は、焼成時に生成したタ
イタナイトを焼成中に分解させることである。具体的に
は、焼成時にスピネルを存在させて、タイタナイトを分
解あるいは消費させて新たな反応生成物を生成させるこ
とにより、焼成体中のタイタナイト量を抑制できる。こ
のことは、以下に示す式(2)により、タイタナイトが
消費され、パイロープ(Mg3Al2(SiO43)が生
成することによって導かれる。なお、本発明は、当該理
論に拘束されるものではない。 MgAl24 + 3CaTiSiO5 +2MgO → Mg3Al2(SiO43 + 3CaTiO3 (2)
【0013】以下、本発明方法に使用する焼成用材料の
組成の原料粉末について説明する。本発明方法において
用いるフォルステライトは、特に、従来公知の方法によ
って得られるフォルステライトであればよく、フォルス
テライトの由来や製造方法は特に限定しない。例えば、
天然鉱物原料、あるいは酸化物系原料であるMgOとS
iO2から合成することにより得られる。いずれの原料
においても、Al2 3や、CaO、Fe23、ZrO2
等の不純物の存在を排除しないが、このような不純物量
が制御されていることが好ましい。Al23が0.10
%以下、CaOが0.05%以下、Fe23が0.05
%以下、ZrO2が0.40%以下、さらに、その他の
不純物が0.01%以下であることが好ましい。なお、
製造工程において、かかる不純物の種類及び含量が制御
されることが好ましい。
【0014】フォルステライト粉末は、例えば、固相法
によって得ることができる。具体的には、MgO粉末と
SiO2粉末とを、モル比が2:1となるように採取
し、ウレタンボールを用いてボールミルにより混合す
る。混合は、好ましくは20時間以上とする。次いで、
混合物を100℃で24時間乾燥して、原料混合物とす
る。この原料混合物を1200℃で仮焼してフォルステ
ライトを合成する。このフォルステライトをジルコニア
ボールを用いて蒸留水中で24時間粉砕し、その後、1
00℃で24時間乾燥してフォルステライト粉末とす
る。フォルステライト粉末は、平均粒径が3μm以下で
あることが好ましい。より好ましくは、1.5μm以下
である。また、粉末を構成する粒子のうち、1μm以下
の粒子の含量が50%以上であることが好ましい。な
お、上記した固相法によるフォルステライト粉末の合成
工程の各工程において、従来公知の他の手段を用いるこ
とができる。
【0015】チタン酸カルシウムの由来や製造方法も特
に限定しない。チタン酸カルシウムについての従来公知
の各種合成方法をそれぞれ使用することができる。な
お、純度や粉末の場合の粒径は制御されていることが好
ましい。例えば、純度は99%以上であることが好まし
く、粒径は5μm以下であることが好ましい。
【0016】マグネシアについても、その由来や製造方
法は特に限定しないが、純度や粉末の粒径は制御されて
いることが好ましい。例えば、平均粒径が1μm以下で
あることが好ましい。より好ましくは0.6μm以下で
ある。純度は99.5%以上であることが好ましく、よ
り好ましくは、99.9%以上である。本発明における
マグネシア遊離性成分がマグネシアを焼成時に生成する
反応は、分解反応でもよく、また、2種類以上のマグネ
シア遊離成分からの生成反応を経ることによってもよい
し、これらの双方によりマグネシアが生成されてもよ
い。また、本発明方法における焼成温度(1100℃〜
1600℃)を考慮すると、500℃〜1000℃にお
いて、マグネシアを生成する物質や組成が好ましい。か
かるマグネシア遊離性成分としては、例えば、乳酸マグ
ネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チ
タン酸マグネシウム等がある。このうち、乳酸マグネシ
ウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等を好ま
しく使用でき、さらに好ましくは、炭酸マグネシウムで
ある。マグネシア遊離性成分についても、それに含まれ
る物質の純度や粒径、さらにはその由来や製造方法を限
定するものではないが、純度や粒径は制御されているこ
とが好ましい。例えば、純度は、99%以上であること
が好ましい。粒径は1μm以下であることが好ましく、
0.5μm以下であることがより好ましい。
【0017】スピネルの由来や製造方法も特に限定しな
い。スピネルについての従来公知の各種合成方法をそれ
ぞれ使用することができる。なお、純度や粉末の場合の
粒径は制御されていることが好ましい。粉末の粒径は、
例えば、0.5μm以下であることが好ましい。純度
は、99%以上が好ましく、より好ましくは99.5%
以上である。本発明におけるスピネル遊離性成分がスピ
ネルを焼成時に生成する反応は、分解反応でもよく、ま
た、2種以上の物質からの生成反応を経ることによって
もよいし、これらの双方であってもよい。かかるスピネ
ル遊離性成分としては、マグネシウム含有成分とアルミ
ニウム含有成分との組合せを用いることができる。マグ
ネシウム含有成分としては、マグネシア、水酸化マグネ
シウム、乳酸マグネシウム等を用いることができ、アル
ミニウム含有成分としては、例えば、アルミナ、水酸化
アルミニウム、乳酸アルミニウム等を用いることができ
る。スピネル遊離性成分としては、これらのマグネシウ
ム含有成分とアルミニウム含有成分から、それぞれ1種
類あるいは2種類以上を組み合わせることができる。ス
ピネル遊離性成分を構成する組合せは、具体的には、マ
グネシアとアルミナとの組合せや、水酸化マグネシウム
と水酸化アルミニウムとの組合せ、あるいは乳酸マグネ
シウムと乳酸アルミニウムとの組合せ等がある。スピネ
ル遊離性成分についても、それに含まれる成分の純度や
粒径、さらにはその由来や製造方法を限定するものでは
ないが、純度や粒径は制御されていることが好ましい。
例えば、純度は99%以上であることが好ましい。粒径
は1μm以下であることが好ましく、より好ましくは
0.5μm以下である。
【0018】以下、フォルステライト、チタン酸カルシ
ウム、マグネシアおよび/またはマグネシア遊離性成分
を含む材料を焼成する方法について、説明する。フォル
ステライトと、チタン酸カルシウムと、マグネシアおよ
び/またはマグネシア遊離性成分とを配合して焼成用材
料を調製する場合、特に限定しないが、フォルステライ
トとチタン酸カルシウムに対して、誘電損失が低減する
のに有効な量のマグネシアを添加することが好ましい。
また、マグネシア遊離性成分は、かかる有効量のマグネ
シアを得るのに十分量を添加することが好ましい。
【0019】具体的には、焼成用材料におけるフォルス
テライトとチタン酸カルシウムとマグネシアとのモル比
が、これら3成分の合計を100モル%としたときに、
フォルステライト24モル%〜84モル%、チタン酸カ
ルシウム5モル%〜40モル%、マグネシア3モル%〜
71モル%となるように調合することが好ましい。この
配合範囲内において焼成した磁器では、5×10-4以下
の誘電損失を得られやすいからである。より好ましく
は、フォルステライト24モル%〜84モル%、チタン
酸カルシウム13モル%〜40モル%、マグネシア3モ
ル%〜59モル%である。当該配合範囲は、これら3成
分系組成図である図1において、区画されて斜線が施さ
れた領域として示されている。この配合範囲内で焼成し
た磁器では、5×10-4以下の誘電損失が得られやす
く、かつ、比誘電率の温度係数も、−70ppm/℃以
上+40ppm/℃以下となりやすいからである。より
好ましくは、表1に示す組成点1〜4の点を直線で結ん
で包囲される領域内(組成点1〜4およびこれらの点を
結ぶ直線上の点を含む)の配合範囲内で調合することが
好ましい。当該配合範囲は、図1において、太線内で示
されている。
【表1】
【0020】また、フォルステライト、チタン酸カルシ
ウム、スピネルおよび/またはスピネル遊離性成分を配
合して焼成用材料を調製する場合、特に限定しないが、
フォルステライトとチタン酸カルシウムに対して、誘電
損失を低減するのに有効な量のスピネルを添加すること
が好ましい。また、スピネル遊離性成分は、かかる有効
量のスピネルを得るのに十分な量を添加することが好ま
しい。特に限定しないが、焼成用材料におけるフォルス
テライトとチタン酸カルシウムとスピネルとのモル比
が、フォルステライト35モル%〜88モル%、チタン
酸カルシウム4モル%〜35モル%、スピネル3モル%
〜30モル%となるように調合することが好ましい。こ
の配合範囲内において焼成した磁器では、5×10-4
下の誘電損失を得られやすいからである。
【0021】また、スピネル遊離性成分として、マグネ
シアとアルミナとを用いる場合、Al23に対するMg
Oのモル比が、1を超えて5以下であることが好まし
い。過剰なMgOが式(2)で表される反応におけるM
gO供給源として、又当該反応を右方へ推進させる駆動
力として作用するからである。
【0022】さらに、フォルステライトと、チタン酸カ
ルシウムと、マグネシアおよび/またはマグネシア遊離
性成分と、スピネルおよび/またはスピネル遊離性成分
とを配合して焼成用材料を調製することもできる。かか
る焼成用材料を焼成すると、焼成時に存在するマグネシ
アにより、タイタナイトの生成が抑制されるとともに、
焼成時に存在するスピネルにより、生成したタイタナイ
トも分解消費される。かかる焼成用材料を調合する場合
においては、フォルステライトとチタン酸カルシウムに
対して、誘電損失を低減するのに有効な量のマグネシア
および/またはマグネシア遊離性成分と、スピネルおよ
び/またはスピネル遊離性成分とを配合することが好ま
しい。具体的には、フォルステライト40モル%〜90
モル%、チタン酸カルシウム3モル%〜30モル%、ス
ピネル2モル%〜35モル%、マグネシア1モル%〜4
0モル%となるように配合することが好ましい。
【0023】各焼成用材料には、上記した主要構成要素
以外に、必要に応じて、各種添加物を添加することもで
きる。成形して焼成する場合には、有機系バインダー等
が添加される。均一な混合物を得るには、ボールミル粉
砕等の従来公知の各種方法を用いることができる。ま
た、この焼成用材料を粉末化する場合には、ボールミル
粉砕等を経たエマルジョンが、凍結乾燥、自然乾燥、マ
イクロ波乾燥、噴霧乾燥等される。
【0024】焼成用材料が、適当な成形手段により所望
の形状に成形され、焼成されることにより、焼結磁器組
成物が得られる。焼成に先だって、乾燥、あるいはバイ
ンダー等を除去する、脱脂処理が行われる。ついで、焼
結される。焼結は、組成に応じて適切な温度及び時間で
実施される。好ましい焼結温度は、1100℃〜160
0℃であり、より好ましくは、1150℃〜1500℃
である。
【0025】得られた焼成体においては、優れた誘電損
失及び/又は制御された誘電率の温度係数の磁器組成物
が得られる。磁器組成物は、成形体でもよく、また、粉
末であってもよい。具体的には、周波数(GHz)/誘電
体損失(tanδ)が20,000以上である磁器組成
物である。ここで、周波数(GHz)/誘電体損失(ta
nδ)は、以下、Qf値ともいう。さらに好ましくは、
Qf値が、38,000以上であり、より好ましくは、
57,000以上である。より具体的には、23GHz
における誘電体損失が10×10-4以下、より好ましく
は、6×10-4以下、さらに好ましくは、5×10-4
下となる。また、誘電率の温度係数が−100ppm/
℃以上+50ppm/℃以下、好ましくは、−70pp
m/℃以上+40ppm/℃以下となる。
【0026】誘電率の温度係数は、誘電体共振器法(具
体的には、誘電体共振器法JISR1627−199
6)によって測定される。また、測定温度範囲は、誘電
体の使用温度範囲内において求めるのが好ましい。具体
的には、20℃〜80℃の範囲であり、より具体的には
27℃から80℃の範囲である。Qf値は、誘電体損失
と、その誘電体損失を測定した周波数(GHz)から求め
ることができる。具体的には、誘電体共振器法JISR
1627−1996によって測定される。本発明の磁器
組成物においては、20GHz〜60GHzの範囲でのQf値
であることが好ましい。
【0027】さらに、得られた磁器につき、X線回折分
析(CuKα、特性X線:1.54Å)を行うと、フォ
ルステライトとチタン酸カルシウムとを主要構成要素と
して含む磁器組成物にあっては、回折角(2θ)が27
゜〜28゜(より具体的には、27.4°〜27.7
°)の範囲に生じる結晶性物質(具体的にはタイタナイ
ト)の回折ピーク(以下、反応生成物ピークという。)
が観察される。この反応生成物ピークの、フォルステラ
イト結晶の主回折ピーク(35゜〜37゜、より具体的
には、36.4°〜36.9°)に対する相対強度が6
%以下であることが好ましい。かかる相対強度が6%以
下であると、誘電損失の増大を抑制できる。より好まし
くは、かかる相対強度が4%以下である。
【0028】なお、本発明によって得られる磁器は、こ
れらの主要構成要素の存在、および/または、焼成用材
料に調合される主要構成要素に含まれる成分元素の酸化
物換算値(モル%)によって特徴付けることができる。
かかる酸化物換算値は、前記主要構成要素、すなわち、
フォルステライト、チタン酸カルシウム、マグネシアお
よび/またはマグネシア遊離性成分、スピネルおよび/
またはスピネル遊離性成分の成分金属元素を酸化物とし
て換算することによって得られる。
【0029】以上説明したことから、本発明は以下の態
様を採ることもできる。 (1)焼成用材料の組成が、フォルステライトとチタン
酸カルシウムとマグネシアとのモル比が、フォルステラ
イト24モル%〜80モル%、チタン酸カルシウム5モ
ル%〜40モル%、マグネシア3モル%〜71モル%と
なるように、フォルステライトと、チタン酸カルシウム
と、マグネシアおよび/またはマグネシア遊離性成分と
を含む材料を焼成する、磁器の製造方法。 (2)焼成用材料の組成が、フォルステライトとチタン
酸カルシウムとスピネルとのモル比が、フォルステライ
ト35モル%〜88モル%、チタン酸カルシウム4モル
%〜35モル%、スピネル3モル%〜30モル%となる
ように、フォルステライトと、チタン酸カルシウムと、
スピネルとを含む材料を焼成する、磁器の製造方法。 (3)焼成用材料の組成が、フォルステライト40モル
%〜90モル%、チタン酸カルシウム3モル%〜30モ
ル%、スピネル2モル%〜35モル%、マグネシア1モ
ル%〜40モル%となるように、フォルステライトと、
チタン酸カルシウムと、マグネシアおよび/またはマグ
ネシア遊離性成分と、さらに、スピネルとを含む材料を
焼成する、磁器の製造方法。
【0030】
【実施例】以下、本発明を具現化した実施例について説
明する。まず、原料粉末の合成について説明する。な
お、マグネシアは、試薬特級、粒径0.5μmの市販品
を用いた。 1)フォルステライトの合成 酸化珪素(SiO2SiO2:純度99.8%、粒径0.8
μm市販品)42.74gと酸化マグネシウム(MgO
MgO:純度99.99%、粒径0.1μm市販品)5
7.30gとを量り採り、径15mmの鉄芯入りポリウ
レタン球石95個と脱イオン水350mlと共に容積1
000mlのポリエチレン瓶に入れ、72rpm で4
8時間ボールミル混合した。こうして得られたスラリー
をとおして凍結乾燥して乾燥粉末を得た。この乾燥粉末
を、純度99.9%のアルミナ磁器坩堝に入れ、1170℃
で3時間、大気雰囲気中で仮焼し、フォルステライトを
合成した。
【0031】2)チタン酸カルシウムの合成 炭酸カルシウム(試薬特級、粒径3μm)55.62g
と酸化チタン(試薬特級、粒径0.5μm)44.39
gと量り採り、径10mmのジルコニア球石1040g
と、脱イオン水200mlと共に容積1000mlのポ
リエチレン瓶に入れ、40rpm で48時間ボールミ
ル混合した。こうして得られたスラリーを凍結乾燥して
乾燥粉末を得た。この乾燥粉末を、純度99.9%のア
ルミナ磁器坩堝に入れ、1400℃で3時間、大気雰囲
気中で仮焼し、チタン酸カルシウムを合成した。
【0032】3)調合、成形、焼成 フォルステライトと、チタン酸カルシウムと、マグネシ
アとの三成分について、表1に示す組成1〜9のモル%
で焼成用材料を調製し、凍結乾燥して素地を調製し、成
形し、焼成し、各組成に基づく磁器を得た。すなわち、
各組成の焼成用材料を100g採取し、200mlの脱
イオン水を添加した後、径10mmのジルコニア球石1
040gとともに、容積1000mlのポリエチレン容
器を用いて、40rpmで48時間、湿式ボールミル混
合した。さらに、ポリビニルアルコールを1重量%を添
加して1時間混合した後、凍結乾燥し、60メッシュの
篩に通して素地とした。この各組成の素地を、直径15
mm×厚さ10mmの円柱体に、金型プレス成型(圧力
300kg/cm2)で成形し、さらに、3000kg
/cm2で静水圧加圧した上で、大気雰囲気で表1に示
す各温度で焼成し、焼結体を得た。なお、脱脂は、40
0℃、6時間とした。
【0033】得られた各磁器につき、所定の形状(直径
6mm×厚さ3mmの円柱体)に切削加工し、誘電損失
tanδ(23GHz)と誘電率の温度係数を測定し
た。さらに、誘電損失の値から、Qf値を求めた。誘電
損失及び誘電率の温度係数は、誘電体共振器法JISR
1627−1996に基づいて測定した。誘電率の温度
係数は、試料を所定の各温度に制御した恒温槽内にセッ
トして各温度(27℃、45℃、63℃、80℃)での
誘電率を測定し、(誘電率−温度)の直線を求め、この
勾配から算出した。また、得られた各磁器につき、粉末
X線回折パターン(CuKα、特性X線:1.54Å)
を得た。
【0034】表1に、焼成用材料における主要構成要素
のモル%、誘電損失(23GHz)及び誘電率の温度係
数を併せて示す。
【0035】これらの結果によれば、組成1〜7におい
て、5×10-4以下の誘電損失(Qf値としては、46
000以上)が得られた。また、組成1〜5では、誘電
率の温度係数は、−70ppm/℃〜+40ppm/℃
であった。
【0036】X線回折結果からは、組成1〜5では、2
θが27°〜28°のタイタナイトの回折ピークのフォ
ルステライト結晶の主回折ピーク(2θが35°〜37
°)に対する相対強度が、いずれも6%以下であった。
以上の結果から、この未知結晶物質の回折ピークのフォ
ルステライトの回折ピークに対する相対強度を6%以
下、好ましくは、4%以下に制御することにより、良好
な誘電損失及び誘電率の温度係数が得られることがわか
った。
【0037】
【発明の効果】この発明によれば、低誘電損失の磁器を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォルステライト、チタン酸カルシウム、マグ
ネシアの三成分系組成図を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 3/12 304 H01G 4/12 415 333 C04B 35/04 Z // H01G 4/12 415 35/44 101 (72)発明者 東田 豊 愛知県名古屋市熱田区六野二丁目4番1号 財団法人ファインセラミックスセンター 内 Fターム(参考) 4G030 AA07 AA08 AA16 AA37 BA09 CA01 4G031 AA03 AA04 AA11 AA30 BA09 CA01 5E001 AH09 AJ02 5G303 AA10 AB06 AB07 AB08 AB11 BA12 CA01 CB01 CB06 CB17 CB30 CB35 DA05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フォルステライトと、チタン酸カルシウム
    と、マグネシアおよび/またはマグネシア遊離性成分と
    を含む材料を焼成する、磁器の製造方法。
  2. 【請求項2】フォルステライトと、チタン酸カルシウム
    と、マグネシアおよび/またはマグネシア遊離性成分
    と、さらに、アルミナを含む材料を焼成する、磁器の製
    造方法。
  3. 【請求項3】アルミナに対する、マグネシア及びマグネ
    シア遊離性成分から得られるマグネシアの総量のモル比
    が1を超えて5以下である、請求項2記載の磁器の製造
    方法。
  4. 【請求項4】フォルステライトと、チタン酸カルシウム
    と、マグネシアおよび/またはマグネシア遊離性成分
    と、さらに、スピネルとを含む材料を焼成する、磁器の
    製造方法。
  5. 【請求項5】フォルステライトと、チタン酸カルシウム
    と、スピネル遊離性成分とを含む材料を焼成する、磁器
    の製造方法。
  6. 【請求項6】フォルステライトと、チタン酸カルシウム
    と、マグネシア及び/又はスピネルとを含む磁器であっ
    て、回折角(2θ)が27゜〜28゜の範囲に生じる結
    晶性物質の回折ピークのピーク強度が、回折角(2θ)
    が35゜〜37゜に生じるフォルステライトの主回折ピ
    ークのピーク強度の6%以下である磁器。
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