JP5137358B2 - アルミナ質焼結体、これを用いた処理装置用部材と処理装置、試料処理方法、およびアルミナ質焼結体の製造方法 - Google Patents

アルミナ質焼結体、これを用いた処理装置用部材と処理装置、試料処理方法、およびアルミナ質焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミナ質焼結体これを用いた処理装置用部材と処理装置試料処理方法、およびアルミナ質焼結体の製造方法に関し、マイクロ波やラジオ波などの電磁波の電波媒体材料として使用可能なアルミナ質焼結体に関し、さらに半導体製造装置並びに液晶製造装置の処理装置用部材として最適なアルミナ質焼結体に関する。
従来、アルミナ質焼結体は、熱的特性、機械的特性、化学的特性に優れていることと、高周波における誘電損失(以下、tanδと称す)が低いことから、マイクロ波用の回路基板として、また半導体製造装置や液晶製造装置の分野においては、石英ガラスに代わって生成されるプラズマ化したフッ化物ガスへの耐腐食性が優れることからエッチング工程で使用される部材や治具等にも多用されている。
これら部材として用いられるアルミナ質焼結体は、例えば処理装置用部材に使用する場合、部材のtanδ値が高いと、マイクロ波が印加された際に発熱量が大きく、また肉厚の差が大きい部材ではヒートショックによりクラックが発生しやすいという問題があるため、さらなる低tanδ化が望まれていた。また近年の半導体製造装置の大型化に伴い、処理装置用部材も大型化、厚肉化しており、そのような部材においては表層部と内部とのtanδの差を小さくすることが要求されてきた。
これらの低tanδのアルミナ質焼結体を使用した一例として、特許文献1ではアルミナ純度が99.9質量%以上、SiOが100ppm未満のアルミナ質焼結体をプラズマエッチング用のベルジャーとして用いることが示されている。
また、特許文献2では、このようなアルミナ質焼結体の製造方法として、マイクロ波照射を行うことで加熱焼結することにより、内部へも十分に熱量を加えることができ表層部と内部の結晶粒径の大きさを均一化してtanδの差を抑制できることが示されている。
また、特許文献3では99.2〜99.8質量%のアルミナと残部がSiO、CaO、MgO、及び不可避不純物からなるアルミナ質焼結体において、その厚みが10mm以上の焼結体であっても、Q値を10000以上(tanδが1×10−4以下)にできることが示されている。
また、一般的なアルミナ質焼結体は、X線回折でその表層部や内部を測定すると、最大のピーク強度を示す面は、ICDD(The International Centre for Diffraction Data)カードによれば(104)面あるいは(113)面である。この最大のピーク強度の違いによっては、結晶の配向が異なることが判っている。
特開平5−217946号公報 特開平10−45472号公報 特開平6−16469号公報
しかしながら、特許文献1では、アルミナ純度が99.9質量%以上と高いため、tanδの値を低くできるものの、大気圧雰囲気で焼結体の外側から加熱する一般的な焼成を用いているため、焼成時の熱量が内部まで伝わりにくく、内部に比べて表層部の結晶粒子の成長が早くなり、表層部と内部とで結晶粒径の大きさに差が生じることとなる。このような焼成工程においてもアルミナ結晶粒子は同じ配向で成長するため、得られるアルミナ質焼結体におけるα−アルミナ結晶のX線回折における最大のピーク強度は、表層部、内部とも(104)面あるいは(113)面に帰属することなる。結晶配向面が表層部、内部ともに同じであれば、表層部には熱が伝わりやすいため、結晶粒子がそのまま肥大化し、表層部の結晶粒径に比較して内部の結晶粒径が小さくなることで、表層部と内部とのtanδの値に差が生じる。特に厚みが20mm以上あるような厚肉品の焼結体の場合には、tanδの値は表層部のみが低いが、内部は高くなってしまうという問題を有していた。また、大型で肉厚のあるアルミナ質焼結体を焼成する場合には、脱脂までの焼成時間を長くすることがあるが、その場合表層部に多くの熱量を与えてしまい、表層部と内部との結晶粒径の差がより大きくなり、表層部と内部でtanδの値に差が生じるという問題を有していた。
また、特許文献2のように、マイクロ波焼成により表層部と内部とを均一に加熱する方法では、表層から内部に渡って熱量が均一にかかるため、結晶粒径は均一となる。しかし、マイクロ波焼成においては、マイクロ波出力等の照射条件の設定が技術的に困難であり、特に、半導体製造装置の部材等の処理装置用部材として用いる際に、装置の大型化にともない、部材の大型化、部材形状の複雑化が進むにつれ、マイクロ波出力の照射条件の設定がより困難となるため、マイクロ波焼成を用いてもα−アルミナ結晶のX線回折による最大のピーク強度は、表層部、内部とも(113)面に帰属し、表層部と内部とのtanδの値に差が生じるという問題を有していた。
さらに、特許文献3のように、アルミナ質焼結体中に含まれる助剤であるSiO、CaO、MgOの含有量の比率を限定した場合、特に厚みが10mm以上あるような厚肉品では単に助剤比率を制御しただけでは、上述と同様にα−アルミナ結晶のX線回折による最大のピーク強度は、表層部、内部とも(113)面に帰属することとなり、tanδの値は低いものの表層部と内部とのtanδの値に差が生じるという問題を有していた。
また、アルミナ質焼結体中に含まれるSiO、CaO、MgOの含有量の比率を調整しても焼結後に存在するα−アルミナ結晶以外の結晶が多く残存することとなり、アルミナ質焼結体のtanδの値が高くなるという問題を有していた。
本発明のアルミナ質焼結体は、アルミナ純度が99.0質量%以上、99.7質量%以下であり、X線回折によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度が、表層部において(104)面に帰属するとともに、表層部から深さ10mm以上の内部において(116)面に帰属することを特徴とする。
また、本発明は、上記アルミナ質焼結体の平均結晶粒径が8μm以上、20μm以下であるとともに、10μm以上の粒径を有する結晶の占有率が70%以上であることを特徴とする。
また、本発明は、MgをMgO換算で0.15質量%以下の範囲で含有することを特徴とする。
また、本発明は、SiをSiO換算で0.2質量%以上、0.4質量%以下の範囲で含有することを特徴とする。
またさらに、本発明は、上記アルミナ質焼結体の平均ボイド面積率が2.5%以下であることを特徴とする。
またさらに、本発明は、上記アルミナ質焼結体のX線回折によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度に対するα−アルミナ結晶を除く最大のピーク強度が0.2%以下(0%を除く)であることを特徴とする。
そして、本発明は、腐食性ガス中で試料に処理を施す処理装置用の部材として前記アルミナ質焼結体を用いたことを特徴とする。
さらに、本発明の処理装置は、前記処理装置用部材を用いたことを特徴とする。
またさらに、本発明の試料処理方法は、前記処理装置を用いて、試料に処理を施すことを特徴とする。また、本発明のアルミナ質焼結体の製造方法は、アルミナ純度が99.0質量%以上、99.7質量%以下であるアルミナ質焼結体の製造方法において、50が1〜1.5μmのアルミナ粒子を60〜90質量%、D50が0.1〜0.5μmのアルミナ粒子を10〜40質量%の割合で混合したアルミナ粉末を準備する工程と、前記アルミナ粉末の成形体を焼成することによって、X線回折によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度が、表層部において(104)面に帰属するとともに、表層部から深さ10mm以上の内部において(116)面に帰属するアルミナ質焼結体を作製する工程とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、アルミナ純度が99.0質量%以上、99.7質量%以下であり、X線回折によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度が、表層部において(104)面に帰属するとともに、表層部から深さ10mm以上の内部において(116)面に帰属することから、アルミナ純度が99.7%以下であるため、焼結助剤成分の添加量を比較的増加することができるため、焼結時の粒成長を焼結助剤成分により制御することが可能となり、且つ、最大のピーク強度が表層部、内部でそれぞれ(104)面、(116)面に帰属することから、焼結体の表層部と内部とで結晶粒径の大きさに差が生じることがなく、表層部と内部とでtanδの差を小さいものとすることができる。
また、アルミナ質焼結体の平均結晶粒径が8μm以上、20μm以下であるとともに、10μm以上の粒径を有する結晶の占有率が70%以上であること
から、大きな粒径を有する結晶が多数存在することで、粒界に存在する不純物量及びボイド量が少なくなるため、焼結体の表層部および内部におけるtanδの差をより小さくすることができる。
また、MgをMgO換算で0.15質量%以下の範囲で含有することから、主成分であるアルミナと焼結体中に含有しているMgO等の不可避不純物とからなるMgAlOなどのtanδの高い化合物の形成を低減することができ、焼結体の表層部および内部におけるtanδの差をより小さくすることができる。
また、SiをSiO換算で0.2質量%以上、0.4質量%以下の範囲で含有することから、液相焼結が促進され、焼結体の表層部と内部との結晶粒径を均一化することが可能となり、焼結体の表層部および内部におけるtanδの差をさらに小さくすることができる。
また、アルミナ質焼結体の平均ボイド面積率が2.5%以下であることから、半導体、液晶製造工程に使用される処理装置用部材として用いた際に、腐食性ガスやそれらのプラズマに曝される表面積を小さくすることができ、耐食性のより高い部材を得ることができる。
またさらに、上記α−アルミナ結晶の最大のピーク強度に対するα−アルミナ結晶を除く最大のピーク強度が0.2%以下(0%を除く)であることから、tanδをさらに低い値とすることができ、肉厚差、大型、複雑な形状の焼結体を製作する場合でも、α−アルミナ結晶を除く結晶の出現を抑えることができるため、焼結体の表層部と内部とで、tanδの差をさらに小さくすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明のアルミナ質焼結体は、アルミナ純度が99.0質量%以上、99.7質量%以下であり、X線回折によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度が、表層部において(104)面に帰属するとともに、表層部から深さ10mm以上の内部において(116)面に帰属するものであり、特に、焼結体の表層部、内部においてX線回折測定によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度が帰属する面がそれぞれ(104)面、(116)面と異なることが重要である。
通常、アルミナ質焼結体は肉厚の増大に関わらず、X線回折測定によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度が帰属する結晶の格子面は表層部と内部とで同じとなる。アルミナ質焼結体の焼成工程においては、表層部には熱が伝わりやすいためα−アルミナ結晶が肥大化し、内部の結晶が表層部の結晶に比較して小さくなることで、tanδの差も表層部と内部で大きくなり、且つα−アルミナ結晶は内部、表層部で同じ格子面に配向して成長するため、内部と表層部では同じ格子面に帰属するピークが最大となるものと考えられる。例えば、焼結体の厚みが20mmの肉厚品の場合、焼結体の表層部においてα−アルミナ結晶の(113)面において最大のピーク強度を有し、内部においても同じくα−アルミナ結晶の(113)面において最大のピーク強度を有する。
これに対し、本発明のアルミナ質焼結体は、α−アルミナ結晶の最大のピーク強度が焼結体の表層部において(104)面に帰属することから、α−アルミナ結晶の最大のピーク強度を(116)面から(104)面に配向させることにより、結晶の配向に歪みを有する内部と表層部でα−アルミナ結晶を肥大化させて、結晶粒径の大きさを表層部と内部とで均一化することができ、表層部と内部のtanδの値をともに低くすることができる。特に、肉厚が20mmの部分を有する焼結体であっても、表層部と内部とのtanδの差を4×10−4以下の範囲とすることができる。
なお、tanδの測定方法は、LCRメータ(例:ヒューレットパッカード社製)を用い、試験片をブリッジ回路法により、室温で、例えば1MHzの周波数で測定すればよい。また、X線回折の測定方法としては、試料片を採取して、試料片の表面に対して、X線回折装置によりCu−Kα線からなるX線を照射し、最大のピーク強度が帰属する格子面を確認する。(104)面は回折角2θ=35.1°付近のピークを(116)面は2θ=57.5°付近のピークを読み取ればよい。
また、本発明における焼結体の内部とは、表面から10mm以上の深さの位置を示し、焼結体のいずれの表面から10mm以上の深さの位置における部分において、一表面に対して垂直な割断面を示す。また、焼結体が複数の肉厚を有する場合には、最も肉厚の大きな部分を選択して試料を採取することが好ましく、いずれの表面からも最も肉厚の大きな部分を選択することで深さの箇所であれば良く、例えば、縦:20mm、横:50mm、高さ:20mmのサイズのアルミナ質焼結体であれば、縦は表層から10mm、横は表層から25mm、高さは表層から10mmとなるので、横の表層からの位置25mmを含む割断面で測定を行えばよい。
また、アルミナ質焼結体におけるアルミナ純度は、99.0質量%以上、99.7質量%以下に特定される。これは、アルミナ純度が99.0質量%未満の場合、例えば厚さ20mmのアルミナ質焼結体を半導体製造装置や液晶製造装置等の処理装置用部材として用いた場合、SF、CF、CHF、ClF、NF、C、HF等のフッ素系ガスや、Cl、HCl、BCl、CCl等の塩素系ガス、或いはBr、HBr、BBr等の臭素系ガスなどのハロゲン系腐食性ガスやそのプラズマを用いた成膜やエッチング処理を施すため、部材表面がこれらハロゲン系腐食性ガスやそのプラズマに腐食されやすくなる。一方、純度が99.7質量%を超える場合、焼結助剤成分、特にSiOの添加量が減少して、焼結体内部の焼結性が低下するため、焼結体の表層部と内部とで結晶粒径の差が大きくなり、tanδの差も大きくなる。従って、アルミナ質焼結体のアルミナ純度は99.0〜99.7質量%であることが重要であり、さらには、99.2〜99.5質量%であることが好ましい。
また、上記アルミナ質焼結体の平均結晶粒径が8μm以上、20μm以下であるとともに、10μm以上の粒径を有する結晶の占有率が70%以上であることが好ましい。
これは、平均結晶粒径が8μm未満となると、粒界に存在する不純物量及びボイド量が多くなるためtanδの値が大きくなるおそれがあるだけでなく、機械的特性が向上するものの研削性が著しく悪化し、焼結体を種々の形状に加工することが困難となる。一方、20μmを超えると、一回の研削量が大きくなるため研削性は著しく向上するものの、機械的特性の低下が著しく、半導体製造装置や液晶製造装置等の処理装置用部材として用いた場合に、強度や硬度を満足することができなくなる。従って、平均結晶粒径は8μm以上、20μm以下の範囲とすることが好ましく、さらには10μm以上とすることがより好ましい。また、10μm以上の粒径を有する結晶の占有率が70%以上となると、大きな粒径を有する結晶が多数存在することで、粒界に存在する不純物量及びボイド量が少なくなるため、表層部と内部とのtanδの差を0.5×10−4以下と小さくすることができる。また、粒径の大きな結晶を多く含有させることで、研削性が向上するため研削抵抗値を低く抑えることが可能となり、焼成後に所定形状を得るための研削加工工程において、研削時間の短縮並びに工程数を極力減少させることができるとともに、製造コストも大幅に削減できる。また、10μm以上の結晶の占有率は80%以上とすることがより好ましい。
なお、結晶の占有率及び平均結晶粒径は、表層部と内部の2ヵ所の試験片を選択してその平均を算出することで求めた値である、結晶粒径の測定方法として、表層部の試験片は、例えば厚さ40mmの焼結体の片側表面から深さ1mm以内の位置まで平面研削盤などにより研削、研磨し、試験片とする。また、内部の試験片は、厚さ40mmの焼結体の片側表面から深さ20mmの位置まで平面研削盤などにより研削、研磨し、試験片とする。そして、これらの試験片の表面を鏡面加工、エッチング処理した後、金属顕微鏡を用いて400倍にて観察し、結晶写真を撮る。この結晶写真で、縦150μm、横150μmに相当する面を無作為に10箇所選び、ニレコ社製の画像解析処理装置を用いて、10箇所それぞれの面のうち、粒径10μm以上の結晶が占める面積率及び平均結晶粒径を算出し、さらにそれぞれの平均値を算出し、結晶の占有率及び平均結晶粒径とすればよい。
さらに、アルミナ質焼結体におけるMgをMgO換算で0.15質量%以下の範囲で含有することが好ましく、これによりアルミナ質焼結体を製造する際、液相焼結が制御され、焼結体表層部の結晶の肥大化を抑制することができるとともに、さらに焼結温度を低いものとできることから、焼成炉内の温度を均一化しやすく、焼成炉内の温度差に起因するtanδ差をより小さくできる。また主成分であるアルミナと焼結体中に含有されている不可避不純物とからなるMgAlO等のtanδの高い化合物の生成を低減させることができるため、焼結体における表層部と内部のtanδの差をより小さくすることができる。さらには、焼結体中のMgをMgO換算で0.04質量%以下の範囲で含有することがより好ましい。
さらに、アルミナ質焼結体におけるSiをSiO換算で0.2質量%以上、0.4質量%以下の範囲で含有することが好ましく、これによりアルミナ質焼結体を製造する際、焼結時に生成する液層の融点を下げ、液相焼結を促して焼結体の表層部と内部との粒径の差を小さくすることにより、表層部と内部とのtanδの差も小さくすることができる。上記SiO量が0.2質量%未満とした場合、表層部の焼結が優先的に進み、内部との焼結に差が生じやすく、表層部と内部のtanδに大きな差が生じてしまうおそれがあるので好ましくない。一方、0.4質量%を超える場合、SiOがフッ化ガスなどと反応して蒸発するため粒界の腐食を促進するため好ましくない。
なお、上記MgO量とSiO量の測定方法は、焼結体より切り出した試験片を粉末状にした後、一度アルカリガラスにした後、塩酸溶液中で溶解し、ICP発光分光分析法によりMg含有量またはSi含有量を測定し、それぞれMgO、SiOに換算して求める。
また、本発明のアルミナ質焼結体は、平均ボイド面積率が2.5%以下であることが好ましい。この平均ボイド面積率が2.5%を超えると、アルミナ質焼結体を処理装置用部材として、特に腐食性ガスのプラズマに曝されるような部材として用いた場合、結晶粒界の侵食頻度が促進されることで結晶粒子が脱粒し、パーティクルとなって発生することで、半導体製造装置用部材であればウエハへパーティクルが付着することでパーティクル汚染を招くこととなる。従って、平均ボイド面積率を2.5%以下とすることにより、腐食性ガスやそれらのプラズマに曝される表面積を小さくすることで耐食性の高い焼結体とすることができる。
なお、平均ボイド面積率は、結晶の占有率及び平均結晶粒径の測定方法と同様な試験片の採取を行い、これらの試験片について、鏡面加工を行った後、ニレコ社製のLUZEX−FS画像解析処理装置にて測定する。測定条件の一例としては、倍率100倍、測定面積9×10μm、測定ポイント10箇所、測定総面積9×10μmの範囲を測定すればよく、各測定ポイントに占めるボイド面積率の平均値を算出したものである。
さらに、本発明のアルミナ質焼結体は、X線回折によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度に対するα−アルミナ結晶を除く最大のピーク強度が0.2%以下(0%を除く)であることが好ましい。α−アルミナ結晶を除く結晶(異相)として出現するピーク強度には、例えば、アノーサイト(CaO・Al・2SiO)結晶の(004)面、ムライト(3Al・2SiO)結晶の(210)面、スピネル(MgO・Al)結晶の(220)面等があるが、これらのピーク強度が理想的には0に近いほど好ましい。しかし、実際はこれら異相のピーク強度を完全に0とすることは焼結助剤や不可避不純物を含む場合、例えば焼結助剤としてSiをSiO換算で0.2質量%以上、0.4質量%含む場合は、非常に困難であるため、ピーク強度比を0.2%以下(0%を除く)とすることで焼結体の表層部と内部とのtanδの差を1.0×10−4以下と小さくすることができる。なお、異相の最大のピーク強度は2θ=25〜35°に観測されることが多い。
ところで、LCRメータなどによるtanδの測定誤差は、例えば、室温で、1MHzの周波数で測定した場合、一般に±1×10−4以下と言われている。従って、前記方法により焼結体を得ることで、tanδの値を1×10−4以下、焼結体の表層部と内部とのtanδの差を1×10−4以下の範囲とすることができ、本装置の測定限界の中でも最小の測定値を得ることが可能となる。
ここで、本発明のアルミナ質焼結体の製造方法について説明する。
先ず、出発原料として粒子径の累積分布曲線における50体積%相当の粒子径(D50)が1〜1.5μmのアルミナ粉末(粗粒)を60〜90質量%、D50が0.1〜0.5μmのアルミナ粉末(細粒)を10〜40質量%の比率としたものを混合した粉末を用いることが好ましい。
アルミナ一次原料を2種混合している理由は、1種類のアルミナ一次原料を用いて焼成すると、近接する2個の粒子の大きさが対等となるため、ネックが生じる際に、優劣が付け難く、粒成長が起きにくいからである。このように予め、粗粒と細粒の粒径の異なるアルミナ一次原料を2種混合することで、一次原料の大きさに有意差を設けることにより、焼結の過程で、細粒から粗粒への物質移動が促進し、粗粒が細粒を取り込んで成長する。これにより、アルミナ粒子間の閉気孔が減少し、緻密化が促進される。ここで、粒子の配合をD50が1〜1.5μmの粒子を60〜90質量%、D50が0.1〜0.5μmの粒子を10〜40質量%の比率としたのは、アルミナ粒子の六方最密充填構造から緻密化に理想的な割合がこの範囲であることが知られているためである。従って、このような粒度配合を行うことで、焼結体の表層部における粒子は、内部における粒子に比べ、活性化エネルギーが低いために、歪みを伴った粒成長を行い、結果、粒成長が抑制される。また、焼結体のX線回折の最大のピーク強度は、表層部においては(104)面、表層部から深さ10mm以上の内部においては(116)面を有する。
また、アルミナ純度を99.0〜99.7質量%としているため、適当な焼結助剤による制御が可能となり、焼結の際に生成する液相の、融点を下げることができる。その結果、焼結体の表層部と内部とで結晶粒径が比較的低温でしかも均一に肥大化することが可能となる。特に熱量を多く受けたとしても結晶粒径を表層部と内部で均一にすることができる。そして、その結果、tanδの差を表層部と内部とで小さくすることが可能となる。また、アルミナ純度が99.0〜99.7質量%と、超高純度の焼結体でなくても、高強度で且つ高比剛性の焼結体を製造することができる。
次いで、この粒度配合したアルミナ粉体に、SiO、MgO、CaOの所望の焼結助剤を添加して湿式混合し、噴霧乾燥してアルミナ粉体を得れば良い。ここで、添加するMgOの添加量を調整することで得られるアルミナ質焼結体のα−アルミナ結晶の最大のピーク強度に対するα−アルミナ結晶を除く最大のピーク強度を調整することができ、MgOの添加量を減少させることでスピネル等の異相を削減でき、粒成長を抑制することでピーク強度比を0.2%以下とすることができる。
次に、このアルミナ粉体を78MPa〜120MPaの成形圧でCIPやメカプレスなどの公知の成形方法にて成形する。なお、この成形圧を調整することで得られるアルミナ質焼結体の平均ボイド面積率を調整することができ、成形圧を高めることで平均ボイド面積率2.5%以下とすることができる。
得られた成形体を所望の形状に切削加工し、その成形体を大気雰囲気中にて1500〜1700℃で焼成すればよい。ここで、得られるアルミナ質焼結体の平均結晶粒径が8〜20μmであるとともに、10μm以上の粒径を有する結晶の占有率が70%以上、また、SiをSiO換算で0.2質量%以上、0.4質量%以下に調整するには、1670〜1700℃のやや高温で焼成することが好ましい。
なお、必要に応じて所望の形状に研削加工や研磨加工を加えて製造すればよい。
このようにして得られた本発明のアルミナ質焼結体は、腐食性ガス中で試料に処理を施す半導体製造装置や液晶製造装置等の処理装置用の部材として好適に用いることができる。
図1は本発明のアルミナ質焼結体により形成された部材を用いた処理装置1の一実施例を示す略断面図である。
図1は、本発明のアルミナ質焼結体を反応容器2として用いており、処理装置1は内部が排気可能で減圧可能な処理装置用部材2a、2bからなる反応容器2と、反応容器2内に原料ガスを供給するガス導入部23を有する原料ガス供給手段と、反応容器2内に誘導コイル21を介して高周波電力を供給する第一の高周波電力を供給する第一の高周波電力供給部22と、反応容器2内に配置された被処理物保持手段14と、反応容器2内の反応後のガスを排気する排気手段15と、被処理物保持手段の一方には第二の高周波電力供給部が配置して構成されている。
そして反応容器2内に、ガス導入部23から原料ガスを減圧状態で供給するとともに、誘導コイル21に高周波電力を供給し、反応容器2を誘電体とすることで、被処理物保持手段13により保持される被処理物14の上面に、反応容器2の内部でプラズマを発生させる構成である。誘導コイル21は反応容器2の一部を構成するプレート状の天板となる処理装置用部材2aの上面に螺旋状に配置されており、その一部に高周波電力を印可することが可能となっている。
図1では、反応容器2は筒状体の側面部の処理装置用部材2bとプレート状の天板となる処理装置用部材2aから構成したものを示しているが、反応容器2を一体物で製作しても機能上問題はない。また、側面部の処理装置用部材2bに関してもさらに細かく分割したものでも問題はない。
ここで、被処理物保持手段13としては、半導体ウエハなどを保持する公知な手段であればよく、真空で使用する場合は、静電チャックで吸着させ、サセプタカバーを用いればよい。また、下部チャンバー10が処理室とならない場合には、ステンレスなどの金属製のものを使用しても良いが、反応容器2と同等な材質とする方が好ましい。また、反応容器2と下部チャンバー10を一体物で製作しても問題ない。
例えば、本発明のアルミナ質焼結体の厚みを20mmとして、半導体製造処理装置のプラズマ処理装置用部材として用いることで、焼結体の表層部と内部とで、1〜5×10-とtanδの差が小さい焼結体を得ることができる。また、ロット間においても、1〜5×10-とtanδの差が小さい焼結体を得ることができるため、処理装置1内におけるプラズマ密度の調整が容易となる。また、焼結体の平均結晶粒径を8〜20μmとしているので、構造部材として要求される強度や硬度等を満足することができる。
プラズマに対する耐食性が高く、腐食性ガス中で試料に処理を施す処理装置用の部材として用いることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲を逸脱しない範囲であれば、種々の改良や変更したものにも適用することができることは言うまでもない。
以下、本発明の実施例を示す。
先ず、本発明のアルミナ質焼結体からなる試料を作製するため、出発原料がD50が1μmである純度99.9%のアルミナ粒子を74質量%、D50が0.5μmである純度99.9%のアルミナ粒子を26質量%の割合で、乾式攪拌混合機により攪拌混合して粒度配合させたアルミナ粉末を準備する。これに対し、SiO、MgO、CaOを表1〜3に示す如く所定量混合し、混合粉末とした。
そして、この混合粉末に所定量のバインダー、水を加えて各々の試料毎にボールミルにて1時間混合してスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤーにて2次原料粉末に造粒し、該造粒粉末をゴム製の成形型に投入して静水圧プレス成形装置にて成形した後、切削加工にてφ60mm、厚さ50mmの成形体を作製した。その後、各試料を大気雰囲気中にて後述の各実験例1〜3に示す焼成条件にて焼成することにより、φ50mm×厚さ40mmのサイズの試料を各調合組成で数個ずつ準備した。
また、比較例試料として、上述の出発原料をD50が1μmである純度99.9%のアルミナ粒子のみを乾式攪拌混合機により攪拌したアルミナ粉末に変更し、それ以外は上述の実施例試料の製法と同様に表1に示す如く調合組成を種々変更し、比較例の試料を各調合組成で数個準備した。但し、表中の試料No.1、5、6については、上述の実施例試料の製法と同様である。
各試料の評価方法は下記の通りである。
各試料の表面から深さ1mmの位置から厚み1mmの試験片を、表面から深さ20mmの位置から厚み1mmの試験片をそれぞれ研削加工により、採取した。ここで、前者を試験片A(表層部)、後者を試験片B(内部)とした。
先ず、各試料の組成を測定する。
各試料より切り出した試験片A,Bを粉末状にした後、ICP発光分光分析装置(セイコー電子工業製、SPS1200VR)を用いて、Al含有量、Si含有量、Mg含有量を測定し、それぞれAl、SiO、MgOに換算し、試験片A,Bの平均値を算出し、焼結体試料の組成とした。
各試料のX線回折は、試験片A,Bの表面を鏡面加工し、X線回折(XRD)装置により測定し、最大ピークの格子面を確認した。なお、α−アルミナ結晶の(104)面は2θ=35.1°付近を(116)面は2θ=57.5°付近をピークとする。
各試料の平均結晶粒径、粒径10μm以上の占有率は、試験片A,Bから主面と垂直な断面を取り、断面を鏡面加工、エッチング処理した後、金属顕微鏡を用いて400倍率にて結晶写真を撮り、画像解析処理装置(ニレコ社製)を用いて、この写真から所定面積(150μm×150μm)の面範囲で任意に10箇所測定し、粒径10μm以上の結晶が占める面積率及び平均結晶粒径を算出した後、試験片A,Bそれぞれの測定結果の平均値を算出し、結晶の占有率及び平均結晶粒径とした。
次いで、各試料のtanδを、LCRメータを用い、試験片A,Bをブリッジ回路法により、室温で1MHzの周波数でtanδを測定し、試験片A,Bでのtanδの測定値からその差を算出した。
各試料の耐食性の測定は、上述のように得られたφ50mm×厚さ40mmのサイズの試料より25.4mm×25.4mm×厚み2mmの試験片を切り出し、その表面にラップ加工を施して鏡面とし、RIE(Reactive Ion Etching)装置にセットして、CFとCHFとArの混合ガスを含むガスのプラズマ中に4時間暴露した後、暴露前後の重量の減少量から1分間当りのエッチングレートを算出した。エッチングレートの数値は、99.5質量%アルミナ質焼結体(試料No.22)のエッチングレートを1とした時の相対比較で示した。
(実験例1)
上述の製造方法において、各試料の焼成条件を大気雰囲気中、1600〜1700℃の焼成温度で適宜調整して焼成することにより、φ50mm×厚さ40mmのサイズの試料を各調合組成で数個ずつ準備し、上述の評価方法にて各値を測定した。
その結果を表1に示す。
Figure 0005137358
ここで、表1中、本発明試料であるNo.10の表層部および内部のX線回折結果をそれぞれ図2(a)、(b)に示し、比較例試料であるNo.6の表層部及び内部のX線回折結果を図3(a)及び(b)に示す。
表1に示すとおり、本発明の試料(No.2〜4、7〜14)は、X線回折における最大のピーク強度を示す格子面が表層部において(104)面、内部において(116)面となっており、これによりtanδが表層部で5.15×10−4以下、内部で8.97×10−4以下と低く、表層部と内部のtanδの差が3.82×10−4以下と小さかった。
特に、MgをMgO換算で0.15質量%以下の範囲で含有する試料は、その他のAl、SiOの含有量が同じ比率の試料である試料No.7〜10を比較した場合、試料No.8、9、10はMgをMgO換算で0.15質量%以下の範囲で含有するため、試料No.7に比較して焼結体の表層部および内部におけるtanδの差をより小さくすることができた。
また、SiをSiO換算で0.2質量%以上、0.4質量%以下の範囲で含有する試料は、その他のAl、MgOの含有量が同じ比率の試料である試料No.11〜14と比較して、試料No.12,13は、SiをSiO換算で0.2質量%以上、0.4質量%以下の範囲で含有するため、試料No.11,14に比較して焼結体の表層部および内部におけるtanδの差をより小さくすることができた。一方、SiをSiO換算で0.2質量%未満含有する試料No.11、SiをSiO換算で0.47質量%含有する試料No.14は、表層部と内部との結晶粒径の大きさの差が大きくなり、表層部と内部のtanδの差がそれぞれ0.72×10−4、0.54×10−4と大きいものであった。
比較例である試料No.1、5、6は、焼結体中のアルミナ純度が99.0質量%未満、99.7質量%を越えるもの、また焼結体の表層部、内部におけるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度が(113)面に帰属するものであり、内部のtanδが13.42×10−4以上と高く、表層部と内部のtanδの差が6.16×10−4以上と大きいものであった。
ここで、表1中、試料No.7の表層部のX線回折結果を図4の(a)に、試料No.9の表層部のX線回折結果を図4(b)にそれぞれ示す。
図4より明らかなように、本発明の試料No.9については、X線回折により、α−アルミナ結晶を除くピークがなかったため、焼結体の表層部と内部とでtanδの差が0.32×10−4と小さくなった。これに対し、X線回折によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度に対するα−アルミナ結晶を除く最大のピーク強度が0.25%と0.2%を超える試料No.7については焼結体内部と表層部におけるtanδの差が1.95×10−4以上と高かった。一方、X線回折によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度に対するα−アルミナ結晶を除く最大のピーク強度が0.20%、0.10%と0.2%以下の試料No.8、試料No.12、については、焼結体内部と表層部におけるtanδの差がそれぞれ0.76×10−4、0.47×10−4以上と高かった。
また、図3より試料No.7と試料No.9の結果を比較すると、試料No.7のアルミナ質焼結体の表層部は、2θ=25〜35°に異相のピーク(この場合はスピネル結晶の(220)面)があるが、試料No.9のアルミナ質焼結体の表層部は、2θ=25〜35°に異相のピークがなかったことがわかる。
(実験例2)
次に、各試料の平均結晶粒径と機械的特性、研削加工性について確認する評価を行った。
上述した製造方法において焼成条件を、大気雰囲気中、1600〜1700℃の焼成温度で適宜調整して焼成することにより各試料を数個ずつ得た。
各試料の評価は上述と同様にして測定した。また、各試料の3点曲げ抗折強度は、JIS R 1601に規定されている方法に準拠して測定した。また、研削抵抗値は、φ50×40mmの試料の表面を平面研削盤のメタルホイールダイヤモンド研削ツール(直径300mm)により、ホイール周速1800m/分、平面研削テーブル移動速度150mm/分、切り込み量0.5mmで研削した。この研削時に被研削面の法線方向に研削ツールに加わる抵抗値を研削抵抗値(N)とした。
結果は表2に示す通りである。
Figure 0005137358
表2に示すとおり、平均結晶粒径が8〜20μm、10μm以上の粒径を有する結晶の占有率が表層部、内部とも70%以上の試料No.16〜18は、焼結体の表層部と内部とでtanδの差が0.48×10−4以下と小さくでき、さらに3点曲げ抗折強度が362MPa以上と高く、研削抵抗値は13〜20Nと研削性が高いものとなった。
これに対し、平均結晶粒径が7.31μmと8μm未満の試料No.15は、平均結晶粒径が小さいために、粒界のボイドが多くなり、内部と表層部におけるtanδの差が2.11×10−4と大きくなることがわかる。また、平均結晶粒径が22.86μmと20μmを超える試料No.19は、3点曲げ抗折強度が345MPaと大きく低下した。平均結晶粒径が10μm以上の粒径を有する結晶の占有率が試料内部で67.3%、表層部で69.3%と70%未満の試料No.20は、粒界にボイドが増加し、焼結体の表層部と内部とでtanδの差が1.67×10−4以上と大きなものとなった。
(実験例3)
次に、各試料の平均ボイド面積率とエッチングレートの関係について確認する評価を行った。
上述した製造方法において静水圧プレス成形装置における成形圧を適宜調整し、さらに焼成条件を、大気雰囲気中、1600〜1700℃の焼成温度で適宜調整して焼成することにより各試料を数個ずつ得た。
また、各試料の平均ボイド面積率は、前記試験片A、Bを用い、ニレコ社製のLUZEX−FS画像解析処理装置にて平均ボイド面積率を測定した。測定条件は、倍率100倍、測定面積9.0×10μm、測定ポイントは10箇所、測定総面積9.0×10μmの範囲とした。
結果は表3に示す通りである。
Figure 0005137358
表3より、平均ボイド面積率が1.7%,2.4%と2.5%以下の試料No.21,22は、そのエッチングレートも1.0以下と小さく、加えて焼結体の表層部と内部のtanδの差が0.18×10−4以下と小さくできることがわかった。
これに対し、平均ボイド面積率が2.6%と2.5%を越える試料No.23は、そのエッチングレートが1.5と大きく、加えて焼結体の表層部と内部のtanδの差は0.33×10−4と試料No.21,22と比較して大きなものであった。
本発明に係る処理装置の一実施例を示す略断面図である。 (a)は本発明に係るアルミナ質焼結体の表層部におけるX線回折のチャート、(b)は本発明に係るアルミナ質焼結体の内部におけるX線回折のチャートである。 (a)は従来のアルミナ質焼結体の表層部におけるX線回折のチャートであり、(b)は従来のアルミナ質焼結体の内部におけるX線回折のチャートである。 (a)は本発明に係るアルミナ質焼結体の表層部における2θ=25〜35°の範囲を拡大したX線回折のチャートであり、(b)は本発明に係るアルミナ質焼結体の表層における2θ=25〜35°の範囲を拡大したX線回折のチャートである。
符号の説明
1・・・処理装置
2・・・反応容器
2a、2b・・・処理装置用部材
10・・・下部チャンバー
11・・・DC電源
12・・・第二の高周波電力供給部
13・・・被処理物保持手段
14・・・被処理物
15・・・排気手段
17・・・バルブ
21・・・誘導コイル
22・・・第一の高周波電力供給部
23・・・ガス導入部

Claims (10)

  1. アルミナ純度が99.0質量%以上、99.7質量%以下であり、X線回折によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度が、表層部において(104)面に帰属するとともに、表層部から深さ10mm以上の内部において(116)面に帰属することを特徴とするアルミナ質焼結体。
  2. 上記アルミナ質焼結体の平均結晶粒径が8μm以上、20μm以下であるとともに、10μm以上の粒径を有する結晶の占有率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載のアルミナ質焼結体。
  3. MgをMgO換算で0.15質量%以下の範囲で含有することを特徴とする請求項1または2に記載のアルミナ質焼結体。
  4. SiをSiO換算で0.2質量%以上、0.4質量%以下の範囲で含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のアルミナ質焼結体。
  5. 上記アルミナ質焼結体の平均ボイド面積率が2.5%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のアルミナ質焼結体。
  6. 上記アルミナ質焼結体のX線回折によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度に対するα−アルミナ結晶を除く最大のピーク強度が0.2%以下(0%を除く)であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のアルミナ質焼結体。
  7. 腐食性ガス中で試料に処理を施す処理装置用の部材として請求項1乃至6のいずれかに記載のアルミナ質焼結体を用いたことを特徴とする処理装置用部材。
  8. 請求項7に記載の処理装置用部材を用いたことを特徴とする処理装置。
  9. 請求項8に記載の処理装置を用いて、試料に処理を施すことを特徴とする試料処理方法。
  10. アルミナ純度が99.0質量%以上、99.7質量%以下であるアルミナ質焼結体の製造方法において、
    50が1〜1.5μmのアルミナ粒子を60〜90質量%、D50が0.1〜0.5μ
    mのアルミナ粒子を10〜40質量%の割合で混合したアルミナ粉末を準備する工程と、前記アルミナ粉末の成形体を焼成することによって、X線回折によるα−アルミナ結晶の最大のピーク強度が、表層部において(104)面に帰属するとともに、表層部から深さ10mm以上の内部において(116)面に帰属するアルミナ質焼結体を作製する工程とを備えたことを特徴とするアルミナ質焼結体の製造方法。
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