JP2005335411A - 制動力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リヤリフトアップ状態であること、左右前輪についてパルス増モードが設定されていることを含むリヤリフトアップ抑制制御開始条件が満たされた場合に(S22〜24の判定がYES)、左右前輪のブレーキシリンダの液圧が同時に減圧され(S25)、左右後輪のブレーキシリンダの液圧が増圧される(S26)。左右前輪のブレーキシリンダの液圧が増圧されている場合において、リヤリフトアップ状態であると検出された場合に、左右前輪のブレーキシリンダの液圧が同時に減圧されるため、それに起因するヨーモーメントの変化を抑制することができる。
【選択図】図4
Description
アンチロック制御装置において、少なくとも、左前輪のブレーキの作動力と右前輪のブレーキの作動力とが、それぞれ、別個に制御されるのであり、左前輪のスリップの状態と右前輪のスリップの状態とが、それぞれ、路面の摩擦係数で決まる適正な状態となるように制御される。
リヤリフトアップ抑制装置において、少なくとも、左右前輪に対してアンチロック制御が行われ、かつ、リヤリフトアップ状態が検出された場合に、右前輪のブレーキの作動力と左前輪のブレーキの作動力とが同時に減少させられる。そのため、左前輪のブレーキの作動力と右前輪のブレーキの作動力とが別個に減少させられる場合に比較して車両の走行安定性の低下を抑制しつつリヤリフトアップを抑制することができる。
少なくとも、そのアンチロック制御装置によって少なくとも前記左右前輪に対してアンチロック制御が行われており、かつ、リヤリフトアップが検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させるリヤリフトアップ抑制装置と
を含むものとすることを特徴とする制動力制御装置。
(2)前記リヤリフトアップ抑制装置が、前記車両がリヤリフトアップ状態であることを検出するリヤリフトアップ検出装置を含む(1)項に記載の制動力制御装置。
(3)前記リヤリフトアップ検出装置が、(a)車両減速度が設定減速度以上であることと、(b)後輪の接地荷重が設定荷重以下であること、あるいは、後輪の接地荷重が前輪の接地荷重より設定荷重以上小さいこととの少なくとも一方の場合にリヤリフトアップ状態であるとするものである(2)項に記載の制動力制御装置。
リヤリフトアップとは、後輪の接地荷重が低下することをいい、車両の重心に加わる荷重(上下方向の力)のベクトルと、重心に加わる慣性力(前後方向の力)のベクトルとの合力ベクトルの延長線と路面との交点が前輪の路面に対する接地点に近い場合に起きる。例えば、荷重分布が標準的な積載状態である場合より車両の重心が前方あるいは上方にある場合、重心に加わる上下方向の力に対して慣性力が大きい場合(車両減速度が大きい場合)等に起き易く、特に、トラック等において、荷台に積載された荷物の荷重が小さい場合、荷物が積載されていない場合(空荷)等に起き易い。
上述の事情から、車両減速度が設定減速度以上である場合にはリヤリフトアップ状態にあると取得したり、後輪の接地荷重が設定荷重以下である場合あるいは後輪の接地荷重が前輪の接地荷重に対して設定荷重以上小さい場合にリヤリフトアップ状態であると取得したりすることができる。
車両の減速度は、加速度センサを設けて直接検出したり、複数の車輪の車輪速度の最大値等に基づいて推定車体速度を求め、その推定車体速度の微分値(時間に対する変化量)を採用する等間接的に取得したりすることができる。リヤリフトアップ判定しきい値である設定減速度は、リヤリフトアップが起きると推定し得る大きさとすることができる。
後輪の接地荷重が設定荷重以下であること、あるいは、後輪の接地荷重が前輪の接地荷重より設定荷重以上小さいことは、荷重センサを設けて直接検出したり、車輪速度、アンチロック制御における制御状態、車高等に基づいて推定したり(間接的に取得したり)することができる。例えば、(i)後輪の回転速度(周速度)が推定車体速度に対して設定速度以上小さいこと、あるいは、後輪の回転速度が前輪の回転速度に対して設定速度以上小さいこと、(ii)左後輪のブレーキ作動力と右後輪のブレーキ作動力との両方がアンチロック制御において減少させられていること、(iii)後輪について、車輪側部材と車体側部材との間の距離(車高)が設定車高以上であること、あるいは、後輪側の車高が前輪側の車高より設定車高以上大きいこととの少なくとも1つが満たされた場合に、後輪の接地荷重が小さいとすることができる。
リヤリフトアップ状態である場合には、車輪に路面から加えられる力が小さくなるため、回転速度が小さくなる。そのため、後輪の回転速度が前輪の回転速度あるいは推定車体速度に対して小さい場合には、リヤリフトアップ状態であるとすることができる。リヤリフトアップ状態においては、後輪の回転速度が小さくなるため、推定車体速度は前輪の回転速度に応じた大きさとなる。そのため、上述の(i)の場合において、前輪の回転速度を基準としても推定車体速度を基準としても実質的には同じになる。
また、前述のように、後輪の接地荷重が小さくなれば、スリップが大きくなり、アンチロック制御において作動力を減少させる制御が行われる。したがって、後輪に対してアンチロック制御装置によって作動力を減少させる制御が行われる場合には、リヤリフトアップ状態であるとすることができる。
さらに、車輪に加わる荷重が小さい場合は大きい場合より車高が相対的に大きくなるため、このことを利用して、後輪の接地荷重が小さいことを検出することもできる。
なお、リヤリフトアップ状態であることは、(i)車両減速度が設定減速度以上であるか否かのみに基づいて検出されるより、(i)車両減速度が設定減速度以上であるか否かと、(ii)後輪の接地荷重が小さいか否かとの両方に基づいて検出されるようにした方が、正確に検出することができる。前述のように、リヤリフトアップは、車両減速度が同じであっても、重心が後方あるいは下方に位置する場合には、前方あるいは上方に位置する場合より起き難くなる。したがって、リヤリフトアップ状態であるか否かが車両減速度の大きさのみならず、後輪の接地荷重の大きさをも考慮して検出されるようにする方が望ましい。
また、リヤリフトアップは、車両減速度が大きい場合に起きるのが普通であるため、左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させるリヤリフトアップ抑制制御を高G時特定制御と称することができ、リヤリフトアップ抑制制御開始条件を高G時特定制御開始条件と称することができる。
アンチロック制御中においてリヤリフトアップ状態が検出されたことに加えて、例えば、(i)左右前輪の作動力を減少させるリヤリフトアップ抑制制御が行われることによって走行安定性が低下する可能性が低いこと、(ii)アンチロック制御への影響が小さいこと、また、(iii)システムが正常であること、(iv)運転者の走行意図に反しないこと等の少なくとも1つが満たされた場合にリヤリフトアップ抑制制御開始条件が満たされたとすることができる。
(i)リヤリフトアップ抑制制御によって走行安定性が低下する可能性が低いか否かは、例えば、(a)左右前輪のブレーキ作動力を同時に減少させることに起因するヨーモーメントの絶対値の変化量が設定値以下であること(そのリヤリフトアップ抑制制御によってヨーモーメントが発生する場合において、その発生するヨーモーメントが小さいことを含む)、(b)現時点において車両に作用するヨーモーメントの絶対値が設定値以下であること、(c)その他の原因によって走行安定性が低下する可能性が低いこと(例えば、路面状態が良好であること等)等の少なくとも1つが満たされたか否かに基づいて判定することができる。
(a)については後述する。
(b)について、車両の旋回状態が設定状態以上でない場合にヨーモーメントの絶対値が設定値以下であるとすることができる。例えば、旋回半径が設定値以上であること等が該当し、舵角の絶対値が設定舵角以下である場合、ヨーレイトの絶対値が設定ヨーレイト以下である場合、スピン状態でない場合等が該当する。車両のヨーモーメントが小さい場合には、リヤリフトアップ抑制制御によってヨーモーメントが変化しても走行安定性の低下を抑制することができる。
(c)について、路面が平坦であること、悪路でないこと等の場合には路面の状態に起因して走行安定性が低下する可能性が低いとすることができる。例えば、路面の凹凸の差が設定値以下である場合、凹凸の頻度が設定頻度以下である場合等悪路レベルが設定レベル以下である場合等が該当する。
また、(ii)について、例えば、アンチロック制御開始から設定時間以上が経過したこと、アンチロック制御装置において作動力が急勾配で減少させられている場合でないこと、作動力を減少させた後の車輪速度の回復を待っている状態でないこと、車輪速度が回復した後であること等の少なくとも1つが満たされた場合にアンチロック制御への影響が小さい場合であるとすることができる。アンチロック制御中においては、車輪のスリップを路面の摩擦係数μに応じた大きさに制御することが優先的に行われることが望ましい。
さらに、(iii)リヤリフトアップ抑制制御は、システムに含まれるリヤリフトアップ抑制装置、アンチロック制御装置等が正常である場合等に行われることが望ましい。
また、(iv)両踏み状態(運転者によってアクセルペダルとブレーキペダルとの両方が踏み込まれている場合)でない場合に行われることが望ましい。両踏み状態においては、運転者の走行意図に応じて車両が走行することが望ましく、制御によって車両に加わる制動力が減少させられることは望ましくないからである。
これらの条件を含むリヤリフトアップ抑制制御開始条件が満たされた場合にリヤリフトアップ抑制制御が行われるようにすれば、アンチロック制御への影響を小さくし得、運転者の走行意図に反することなく、かつ、車両の走行安定性の低下を抑制しつつリヤリフトアップを抑制することができる。
なお、後述するように、アンチロック制御中であり、かつ、リヤリフトアップ状態が検出されても、リヤリフトアップ抑制制御開始条件が満たされない場合には、リヤリフトアップ抑制制御が行われないようにされていると考えることもできる。
同じ状態の制御には、例えば、左前輪のブレーキの作動力と右前輪のブレーキの作動力との両方がともに、増加させられる状態、減少させられる状態、保持される状態等が該当する。同じ状態とは、作動力の変化の向きが同じである場合、作動力の変化勾配が同じである場合、変化量が同じである場合、その制御時間が同じである場合等が該当する。
なお、本項に記載の制動力制御装置における同じ状態の制御には、右前輪のブレーキの作動力と左前輪のブレーキの作動力との両方がともに急勾配で減少させられる制御は含まれない。急勾配で減少させる制御以外の制御が左右前輪に対して同様に行われる場合が該当する。
(6)前記リヤリフトアップ抑制装置が、少なくとも、前記アンチロック制御装置によって、前記左右前輪のブレーキの作動力を両方とも増加させる制御が行われ、かつ、前記リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させる増加中リヤリフトアップ抑制部を含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
(7)前記アンチロック制御装置が、前記左右前輪の少なくとも一方のブレーキ作動力を、前記左右前輪の少なくとも一方のスリップ量が設定量以上であることを含む減少条件が満たされた場合に減少させるアンチロック作動力減少制御部と、前記左右前輪の少なくとも一方の車輪加速度が設定加速度以上であることを含む増加条件が満たされた場合に増加させるアンチロック作動力増加制御部とを含み、前記制限付きリヤリフトアップ抑制部が、前記アンチロック作動力増加制御部によって右前輪のブレーキの作動力と左前輪のブレーキの作動力との両方が増加させられており、かつ、前記リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキ作動力を同時に減少させるものである(6)に記載の制動力制御装置。
アンチロック制御は、車輪のブレーキ作動力を、車輪のスリップ量と車輪加速度との少なくとも一方に基づいて制御することにより、その車輪のスリップ量を図8のμピークに対応するスリップ量(以下、μピーク対応スリップ量と称する)近傍に保つ制御である。なお、スリップ量に限らず、スリップ率を用いることもできる。
アンチロック制御において、例えば、車輪のスリップ量が設定量以上であることを含むアンチロック制御開始条件が満たされた場合に作動力が減少させられる。作動力がμピークが実現される大きさ(以下、μピーク対応作動力と称する)を越えると、すなわち、路面の摩擦係数μに対して過大になると、スリップ量が大きくなるため、作動力が減少させられるのである。作動力は、μピーク対応作動力より小さくなるまで減少させられる。それによって、車輪速度が増加するが、車輪加速度が設定加速度以上になると、作動力が増加させられ、μピーク対応作動力に近づけられる。
一方、ブレーキ作動力がμピーク対応作動力より小さい場合には、ブレーキ作動力の減少に伴って車輪に加わる制動力も減少するが、μピーク対応作動力より大きい場合には、ブレーキ作動力の減少によって制動力が増加する。そのため、左右前輪の一方のブレーキ作動力がアンチロック制御装置によって減少させられ、他方が増加させられている場合において、左右前輪のブレーキの作動力を両方とも減少させた場合には、左右前輪の間で制動力の差が生じたり、差が大きくなったり、制動力の大小が逆になったりするおそれがある。リヤリフトアップ状態にある場合には、後輪の接地荷重が小さく、後輪のコーナリングフォースが小さい状態にあるため、左右前輪の間に制動力差が生じ、それによって、ヨーモーメントが大きくなることは望ましくない。
それに対して、アンチロック作動力増加制御部によって作動力が増加させられる場合には、作動力がμピーク対応作動力より小さい状態にあり、μピーク対応作動力に近づけられる状態にあると考えることができる。左右前輪のブレーキ作動力を同時に減少させることによって制動力差が生じたり、差が大きくなったり、制動力の大小が逆になったりすることがなく、リヤリフトアップ抑制制御に起因するヨーモーメントの変化が小さい状態にあると考えることができる。したがって、アンチロック作動力増加制御部によって左右前輪のブレーキ作動力がともに増加させられている場合に、リヤリフトアップ状態であることが検出された場合に、左右前輪のブレーキ作動力を同時に減少させれば、ヨーモーメントの変化を抑制しつつ、リヤリフトアップを抑制することができる。
本項に記載の制動力制御装置においては、アンチロック制御中においてリヤリフトアップが検出された場合には、必ず、左右前輪のブレーキの作動力を減少させるのではなく、左右前輪のブレーキの作動力がともに増加させられている場合に減少させられる。換言すれば、左右前輪のブレーキ作動力を減少させたことに起因するヨーモーメントの変化が小さい状態において作動力の減少が許可されるのである。
(8)前記アンチロック作動力増加制御部が、前記左右前輪の少なくとも一方の車輪のスリップ量がμピーク対応スリップ量近傍に達した場合に、前記少なくとも一方のブレーキの作動力を緩やかに増加させるアンチロック作動力緩増加制御部を含み、前記制限付きリヤリフトアップ抑制装置が、少なくとも、前記左右前輪のブレーキの作動力が両方とも、前記アンチロック作動力緩増加制御部によって増加させられ、かつ、前記リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させる緩増加時リヤリフトアップ抑制部を含む(7)項に記載の制動力制御装置。
アンチロック作動力緩増加制御部によれば、ブレーキ作動力がμピーク対応作動力を越えないように緩やかな勾配で増加させられる。作動力が大きく変化させられることはなく、左右前輪のブレーキ作動力の変化量が小さく、左右の作動力の差の絶対値も小さくなる。
(10)前記リヤリフトアップ抑制装置が、少なくとも、前記左右前輪のブレーキの作動力の差の絶対値が設定値以下であることが取得され、かつ、前記リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させる作動力差小時リヤリフトアップ抑制部を含む(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
左前輪のブレーキ作動力と右前輪のブレーキ作動力との差の絶対値が設定値以下であることは、作動力差取得装置によって取得される。
作動力差取得装置は、右前輪のブレーキ作動力と左前輪のブレーキ作動力とをそれぞれ検出可能な作動力センサを含むものとしたり、アンチロック制御装置による制御態様に基づいて左右前輪のブレーキ作動力の差が大きいか否かを推定する作動力差推定装置を含むものとしたりすることができる。
なお、少なくとも、左右前輪に加えられる制動力の差が設定値以下であると取得され、かつ、リヤリフトアップ状態が検出された場合に、左右前輪のブレーキの作動力が同時に減少させられるようにすることもできる。
また、少なくとも、アンチロック制御装置による左右前輪のブレーキ作動力の制御範囲が両方とも設定範囲以下であり、かつ、リヤリフトアップが検出された場合に、左右前輪のブレーキの作動力が同時に減少させられるようにすることもできる。ブレーキ作動力の変化範囲が設定範囲以下である場合には、左右のブレーキ作動力の差が小さいと考えることができる。
(11)前記リヤリフトアップ抑制装置が、少なくとも、前記左右前輪のブレーキの作動力がμピークに対応する作動力近傍にあると取得され、かつ、前記リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させるμピーク到達時リヤリフトアップ抑制部を含む(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
前述のように、アンチロック作動力緩増加制御部による作動力の制御中においては、左右前輪のブレーキの作動力が両方ともμピーク対応作動力近傍にあるとすることができる。
なお、少なくとも、左右前輪のブレーキの作動力が両方ともμピーク対応作動力より小さく、かつ、リヤリフトアップ状態が検出された場合に、左右前輪のブレーキの作動力が同時に減少させられるようにすることもできる。
(12)前記アンチロック制御装置が、前記左右前輪の少なくとも一方のブレーキ作動力を、前記左右前輪の少なくとも一方のスリップ量が設定量以上であることを含む急減少条件が満たされた場合に、予め定められたパターンで急勾配で減少させ、その後、緩やかに減少させる急・緩減少部を含み、前記リヤリフトアップ抑制装置が、少なくとも、前記急・緩減少部によって、右前輪のブレーキの作動力と左前輪のブレーキの作動力との両方が緩やかな勾配で減少させられ、かつ、リヤリフトアップ状態が検出された場合に、これらの作動力を同時に減少させる緩減少中リヤリフトアップ抑制部を含む(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
例えば、急勾配で作動力を減少させたことによって、車輪速度が回復したことが取得された場合に、緩やかな勾配で減少させるようにすることができる。
ブレーキ作動力が急な勾配(時間に対する作動力の減少勾配が設定勾配以上である)で減少させられている状態においては、右前輪のブレーキの作動力と左前輪のブレーキの作動力との大小を推定することは困難である。それに対して、緩やかな勾配(減少勾配が上述の設定勾配以下である)で減少させられている状態においては、右前輪のブレーキの作動力と左前輪のブレーキの作動力との差の絶対値は小さいと推定することができる。また、緩やかな勾配で減少させられている状態においては、作動力はμピーク対応作動力より小さいと考えられる。
(13)前記アンチロック制御装置が、前記左右前輪の少なくとも一方のブレーキ作動力を、前記左右前輪の少なくとも一方のスリップ量と車輪加速度との少なくとも一方に基づいて、減少させたり、保持したり、増加させたりすることにより、車輪のスリップ状態が路面の摩擦係数に基づいて決まる適正状態に近づくように制御するものであり、前記リヤリフトアップ抑制装置が、少なくとも、前記アンチロック制御装置によって、右前輪のブレーキの作動力と左前輪のブレーキの作動力との両方が保持されており、かつ、リヤリフトアップ状態が検出された場合に、これらの作動力を同時に減少させる保持時リヤリフトアップ抑制部を含む(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
例えば、スリップ量(スリップ率とすることもできる。以下同じ)が第1設定量以上で、車輪加速度が第1設定値以下である場合に作動力を減少させ、スリップ量が第1設定量以上で、車輪加速度が第1設定値より大きい場合に保持し、スリップ量が第1設定量以下である場合に増加させる制御とすることができる。
(15)前記リヤリフトアップ抑制装置が、(i)前記アンチロック制御が開始された場合の車両の走行速度が設定速度以下である場合と、(ii)前記アンチロック制御が、車輪が部分低μ路を通過したことに起因して開始された場合との少なくとも一方の場合に、前記リヤリフトアップ状態が検出されても、前記左右前輪のブレーキの作動力を減少させない特殊アンチロック制御時非減少部を含む(1)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
(16)前記リヤリフトアップ抑制装置が、前記左右前輪のブレーキの作動力が両方とも増加させられ、かつ、前記リヤリフトアップ状態が検出されても、予め定められた作動力減少禁止条件が満たされた場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を減少させない特殊増加時非減少部を含む(1)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
左右前輪のブレーキ作動力が両方とも増加させられている場合であっても、制動力不足が生じる可能性がある場合、アンチロック制御に影響を及ぼす可能性がある場合等の少なくとも1つが満たされる場合等には、左右前輪のブレーキの作動力を減少させることは望ましくない。
また、アンチロック制御開始条件が満たされた場合の車両の走行速度が設定速度以下の場合には低速時特定アンチロック制御が行われる。設定速度は、例えば、車輪の回転速度を精度よく検出可能な最小値以下の速度とされる。低速時特定アンチロック制御においては、検出された車輪速度の信頼性が低いため、アンチロック制御において作動力が過剰に減少させられる可能性があり、その後、作動力が増加させられる場合であっても、制動力が不足している状態にあると考えられる。なお、低速時特定アンチロック制御においては、通常のアンチロック制御における場合より、作動力の減少勾配が抑制されたり、増加勾配が大きくされたりする。しかし、その場合においても、低速時特定アンチロック制御中において作動力が増加させられている場合に、リヤリフトアップ抑制装置により作動力が減少させられると、制動力不足が生じる可能性があり、望ましくない。
マンホール、段差等を通過したことによって車輪の回転速度が低下し、それによってアンチロック制御開始条件が満たされた場合には部分低μ路対応アンチロック制御が行われる。例えば、前輪に対してアンチロック制御が開始されてから、ホイールベースと車速とに基づいて決まる時間の経過後に後輪に対してアンチロック制御が開始された場合、車輪速度の落ち込みの程度が急激である場合等には、部分低μを通過したとすることができる。部分低μ路を通過した場合には、本来、アンチロック制御は不要である。そのため、部分低μ路対応アンチロック制御においては、作動力の減少勾配が抑制されたり、増加勾配が大きくされたりする。しかし、その場合においても、部分低μ路対応アンチロック制御が行われると、制動力が不足するおそれがある。そのため、部分低μ路対応アンチロック制御においてブレーキ作動力が増加させられている間に、リヤリフトアップ状態が検出されてもリヤリフトアップ抑制制御が行われないことが望ましい。
(17)前記リヤリフトアップ抑制装置が、(i)前記アンチロック制御において、前記左右前輪の少なくとも一方の車輪速度の回復を待っている場合と、(ii)前記アンチロック制御が開始されてからの経過時間が設定時間以下である場合との少なくとも一方の場合には、前記作動力を減少させないアンチロック制御依拠非減少部を含む(1)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
通常のアンチロック制御において、作動力が減少させられた後の、車輪速度の回復を待っている場合には、作動力の減少が不足しているか否かを検出するために、作動力を減少させることは望ましくない。この車輪速度の回復待ちは、アンチロック制御によっては、作動力の減少後に増圧モード(緩増圧モード)が設定され、その増圧モードに含まれることがある。また、アンチロック制御において、作動力を増加させる以前に作動力を減少させると、作動力を適正な大きさまで増加させるのに長時間を要し、それによって制動力不足が生じる可能性もある。したがって、アンチロック制御において車輪速度の回復を待っている場合や、アンチロック制御開始から設定時間が経過する以前においては、リヤリフトアップ抑制制御が行われないことが望ましい。
左右前輪のブレーキ作動力を同時に同じ状態で減少させれば、リヤリフトアップ抑制装置による作動力減少制御後の、左右前輪のブレーキ作動力の差を小さくすることができ、ヨーモーメントの変化を小さくすることができる。
「同じ状態で減少させること」には、作動力の減少量が同じであること、減少時間が同じであること、減少勾配が同じであること、同じ作動力になるまで(作動力目標値が同じであること)減少させること等が該当する。これら減少制御の状態は、予め決めておいても、その都度決めても、例えば、リヤリフトアップの程度(車両減速度、後輪の接地荷重の大きさ)等に基づいて決めてもよい。
なお、リヤリフトアップ抑制装置による作動力減少制御の後には、通常のアンチロック制御が行われることが多い。
本項に記載の制動力制御装置においては、左右後輪のブレーキの作動力が増加させられる。リヤリフトアップ状態が検出された場合に左右前輪のブレーキの作動力が減少させられることによってリヤリフトアップ状態が抑制されて後輪の接地荷重が増加すれば、その分、後輪のブレーキの作動力を増加させれば制動力を増加させることができる。車両全体の制動力を大きくすることができる。
一方、リヤリフトアップ抑制制御の後、アンチロック制御が行われれば、後輪のブレーキ作動力は増加させられると考えられるが、リヤリフトアップ抑制装置によって後輪のブレーキ作動力が増加させられれば、後輪の接地荷重が増加した場合に、アンチロック制御装置による作動力の増加を待つことなく、速やかに制動力を増加させることができる。
また、リヤリフトアップ状態においては、後輪の回転速度が小さくなるため、アンチロック制御装置によって作動力を減少させる制御が行われ、作動力が小さくされているのが普通である。その意味においても、後輪のブレーキ作動力を予め大きくしておくことは望ましいことである。
いずれにしても、左右後輪の少なくとも一方のブレーキの作動力を増加させればよく、左右後輪の両方のブレーキの作動力を増加させても、いずれか一方のブレーキの作動力を増加させてもよい。
(20)前記後輪作動力増加部が、前記左右前輪のブレーキの作動力の減少に起因する前記後輪の接地荷重の増加に応じて前記左右後輪の少なくとも一方のブレーキの作動力を増加させる増加状態制御部を含む(19)項に記載の制動力制御装置。
後輪の作動力は、左右前輪の作動力の減少に起因する後輪の接地荷重の増加時期に増加させたり、荷重増加量に基づいて決まる量増加させたりすることができる。
左右後輪の作動力は、左右前輪の作動力の減少と同時に増加させても、左右後輪の作動力の減少後の設定時間経過後に増加させてもよい。
作動力の増加量は、左右前輪の作動力の減少量に応じて決まる大きさとしたり、後輪の接地荷重の増加量に応じた大きさとしたりすることができる。例えば、前輪の作動力の減少量と同じ量増加させれば、車両全体の制動力の減少を抑制することができる。また、前輪の作動力の減少量より設定量以上多い量増加させれば、アンチロック制御装置によるリヤリフトアップ状態に起因する減少制御分を補償することも可能である。
ブレーキが摩擦ブレーキである場合には、ブレーキシリンダの液圧により摩擦係合部材をブレーキ回転体に押し付けることにより車輪の回転を抑制する液圧ブレーキであっても、電動モータの作動により押圧部材をブレーキ回転体に押し付けることにより車輪の回転を抑制する電動ブレーキであってもよい。
(22)前記アンチロック制御装置が、(i)左右前輪のブレーキの作動力を別個に制御可能な作動力制御アクチュエータと、(ii)コンピュータを主体とし、車輪のスリップ状態に基づいて、前記作動力制御アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部とを含む(1)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
作動力制御アクチュエータは、液圧ブレーキである場合に、左右前輪のブレーキシリンダの液圧を独立に制御可能な液圧制御アクチュエータとすることができ、電動ブレーキである場合に、電動モータの駆動力を制御する駆動回路を含むものとすることができる。回生ブレーキである場合に、電動モータへの供給電流を制御可能なインバータを含むものとすることができる。
作動力制御アクチュエータは、リヤリフトアップ抑制装置と共通のものとすることができる。換言すれば、アンチロック制御用の作動力制御アクチュエータを利用して、リヤリフトアップ抑制制御が行われる。
そのアンチロック制御装置によって前記左右前輪のブレーキの作動力が両方とも増加させられており、かつ、リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を減少させるリヤリフトアップ抑制装置と
を含むものとすることを特徴とする制動力制御装置。
本項に記載の制動力制御装置には、(1)項ないし(22)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
(24)車両の制動時に、少なくとも左右前輪のブレーキの作動力を別個に制御することによって、その左右前輪のスリップ状態を別個に制御するアンチロック制御装置と、
そのアンチロック制御装置によって前記左右前輪のブレーキの作動力が両方とも増加させられており、かつ、リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力の増加を抑制するリヤリフトアップ抑制装置と
を含むものとすることを特徴とする制動力制御装置。
リヤリフトアップ状態が検出され、かつ、左前輪のブレーキ作動力と右前輪のブレーキ作動力との両方が、アンチロック制御装置によって増加させられる場合に、左前輪のブレーキの作動力と右前輪のブレーキの作動力との両方が減少させられる。左前輪のブレーキの作動力と右前輪のブレーキの作動力とがリヤリフトアップ抑制装置によって減少させられることによって、アンチロック制御装置による作動力の増加が抑制されることになる。
本項に記載の制動力制御装置には、(1)項ないし(23)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
(25)車両の制動時に、少なくとも左右前輪のブレーキの作動力を別個に制御することによって、その左右前輪のスリップ状態を別個に制御するアンチロック制御装置と、
そのアンチロック制御装置によって前記左右前輪のブレーキの作動力が同じ状態で制御されており、かつ、リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を減少させるリヤリフトアップ抑制装置と
を含むものとすることを特徴とする制動力制御装置。
本項に記載の制動力制御装置には、(1)項ないし(24)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
(26)車両の制動時に、少なくとも左右前輪のブレーキの作動力を別個に制御することによって、その左右前輪のスリップ状態を別個に制御するアンチロック制御装置と、
そのアンチロック制御装置によって前記左右前輪のブレーキの作動力の少なくとも一方が制御されており、かつ、リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪に加わる制動力を同時に減少させるリヤリフトアップ抑制装置と
を含むものとすることを特徴とする制動力制御装置。
アンチロック制御においては、制動力の大小と作動力の大小とが一致するとは限らないそれに対して本項に記載の制動力制御装置においては、リヤリフトアップ状態が検出された場合には、作動力の減少によって制動力が同時に減少させられる。ブレーキ作動力の減少に伴って制動力が減少させられる状態においてリヤリフトアップ抑制制御が行われるのであり、リヤリフトアップ抑制制御に起因してスリップが過大になることはない。
本項に記載の制動力制御装置には、(1)項ないし(25)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
(27)車両の制動時に、少なくとも左右前輪のブレーキの作動力を別個に制御することによって、その左右前輪のスリップ状態を別個に制御するアンチロック制御装置と、
そのアンチロック制御装置によって前記左右前輪のブレーキの作動力が両方とも増加させられており、かつ、ノーズダイブが検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させるノーズダイブ抑制装置と
を含むものとすることを特徴とする制動力制御装置。
本項に記載の制動力制御装置には、(1)項ないし(26)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
符号10はブレーキペダルを表し、符号12はマスタシリンダを表し、符号20,22は左右前輪FL、FRのブレーキ24,26のブレーキシリンダを表し、符号30,32は左右後輪RL、RRのブレーキ34,36のブレーキシリンダを表す。本実施例においては、左右前輪のブレーキ24,26も左右後輪のブレーキ34,36も共に液圧ブレーキであるが、左右前輪のブレーキ24,26がディスクブレーキであり、左右後輪のブレーキ34,36がドラムブレーキである。
マスタシリンダ12はタンデム式のものであり、2つの加圧ピストンを含む。2つの加圧ピストンのそれぞれの前方が加圧室とされる。2つの加圧ピストンのうちの一方がバキュームブースタ38を介してブレーキペダル10に連携させられる。また、2つの加圧室のうちの一方に左右前輪のブレーキシリンダ20,22が接続され、他方に左右後輪のブレーキシリンダ30,32が接続される。本実施例においては、前後2系統とされており、左右前輪のブレーキシリンダ20,22の液圧は別個に制御可能とされ、左右後輪のブレーキシリンダ30,32の液圧は共通に制御される。
リザーバ48からポンプ通路58が伸び出させられて、マスタシリンダ12の加圧室と左右前輪のブレーキシリンダ20,22との間の保持バルブ44,46より上流側(マスタシリンダ側)に接続される。ポンプ通路58にはポンプ60,逆止弁62,64が設けられる。ポンプ60により、リザーバ48の作動液が汲み上げられてマスタシリンダ12に戻される。ポンプ60は電動モータ66により駆動される。
左前輪のブレーキシリンダ20の液圧は、保持バルブ44,減圧バルブ50の開閉により制御され、右前輪のブレーキシリンダ22の液圧は、保持バルブ46,減圧バルブ52の開閉により制御されるのであり、これらブレーキシリンダ20,22の液圧は、別個独立に制御される。
左右後輪のブレーキシリンダ30,32の液圧は、保持バルブ70,減圧バルブ76の開閉により共通に制御される。
旋回状態取得装置124は、ヨーレイトセンサ、横Gセンサ等を含み、車両がスピン状態であるか否かを取得する。
記憶部104には、図4のフローチャートで表されるリヤリフトアップ抑制制御プログラム、図7のフローチャートで表されるアンチロック制御プログラム等が記憶されている。
ブレーキペダル10が操作されると、マスタシリンダ12の加圧室には、ブレーキ操作によって、その操作力に応じた液圧が発生させられる。この液圧は、左右前輪のブレーキシリンダ20,22、 左右後輪のブレーキシリンダ30,32に供給され、それぞれ、左右前輪の液圧ブレーキ24,26および左右後輪の液圧ブレーキ34,36が作動させられる。
運転者によるブレーキ操作により、ブレーキシリンダ20,22,30,32の液圧が増加するが、ロック傾向があること等の予め定められた条件が満たされた場合には、保持または減圧させられる。このブレーキシリンダの液圧を保持または減圧させる制御は、アンチロック制御の開始前制御であり、アンチロック制御に含まれない。
この状態において、車輪のスリップ量が設定量を越えること等のアンチロック制御開始条件が満たされるとアンチロック制御が開始される。アンチロック制御中においては、車輪のスリップ量と車輪加速度(負の値である場合に車輪減速度となる)とに基づいてブレーキシリンダの液圧が増減させられる。
VSO(n)=MED{VWMAX、VSO(n−1)−α、VSO(n−1)+β}
として決定される。今回の推定車体速度は4輪の回転速度のうちの最大値に決まることが多い。
減少側制限値、増加側制御値は、例えば、前回の推定車体速度が車両加速度の下限値(車両減速度の上限値)gDWあるいは車両加速度の上限値gUPで変化したと仮定した場合の今回の推定車体速度とすることができる。α、βは、式
α=αDW・Δt
β=αUP・Δt
のように表すことができる。ここで、Δtは、推定車体速度の取得サイクル時間である。
左前輪についてアンチロック制御開始条件が満たされると減圧モードが設定され、保持バルブ44が閉状態とされて減圧バルブ50が開状態とされる。それによって、ブレーキシリンダ20の液圧は減圧される。アンチロック制御開始条件が満たされる状態においては、ブレーキシリンダの液圧は図8のμピークを実現し得る液圧(以下、μピーク対応液圧と称する)より大きいが、減圧モードが設定されることによってμピーク対応液圧より小さくされる。
本実施例においては、減圧モードにおいて、急減圧制御が行われた後に緩減圧制御(パルス減モードと称することもある)が行われるが、左前輪の車輪速度の回復の程度により緩減圧制御が行われない場合もある。緩減圧制御は、減圧バルブ50が開状態と閉状態とに交互に切り換えられる制御であり、ブレーキシリンダの液圧がデューティ比{例えば、開状態にある時間/(開状態にある時間と閉状態にある時間との和)で表すことができる}で決まる勾配で減圧される。
このパルス増モードにおいて、設定時間の間、保持バルブ44及び減圧バルブ50が閉状態とされることによりブレーキシリンダ20の液圧が保持され、車輪速度のさらなる回復が待たれる。この間を車輪復帰待ちフェーズと称する。
車輪速度が上述の設定状態よりさらに回復した場合(車輪加速度が上述の第1設定加速度より大きい第2設定加速度を超えた場合)には、増圧時間制御が行われ、その後、パルス増可変制御が行われる。増圧時間制御、パルス増可変制御が行われる間をμピークサーチフェーズと称する。
アンチロック制御開始直後の減圧モードが設定された減圧時間が長い場合は短い場合より路面μが低いことがわかる。また、路面μに基づけば、μピーク対応液圧等がわかる。これらに基づけば、ブレーキシリンダの液圧をμピーク対応液圧近傍まで近づけるために必要な増圧量がわかる。増圧時間制御において、その路面μ等に基づいて決まる上述の増圧量だけ増圧させられるようにすれば、ブレーキシリンダ液圧をμピーク対応液圧に近づけることができる。増圧時間制御においては、予め定められた数の増圧パルスが出力される(保持バルブ44がデューティ制御される)。
パルス増可変制御は、ブレーキシリンダ液圧がμピーク対応液圧を越えないように緩やかに増圧させる制御であり、上記減圧時間、その時点のスリップ量等に基づいて決まる勾配で増圧させられる。
なお、車輪速度の回復状態によっては、すなわち、車輪復帰待ちフェーズにおいて車輪速度が十分に回復した場合には、増圧時間制御が行われることなく、パルス増可変制御が行われることもある。
また、アンチロック制御終了条件が満たされた場合には、終了時制御が行われる。車両の走行速度が停止状態にあるとみなし得る設定速度以下になった場合、スリップ量が設定量以下になった場合等にはアンチロック制御終了条件が満たされる。この場合に、ブレーキシリンダ20の液圧がマスタシリンダ12の液圧に直ちに戻されるのではなく、漸増させられる。
システムに異常が検出された場合には、バックアップパルス増制御が行われる。ブレーキシリンダの液圧が急増させることは望ましくないため、パルス増が行われるのである。
またぎ路対応アンチロック制御の一例について図3に示す。
例えば、右側の前後輪のスリップの増加状態(回転速度の落ち込み状態)と左側の前後輪のスリップの増加状態とに基づき、またぎ路走行中であることが取得された場合において、低μ側の車輪についてアンチロック制御が開始された場合に、高μ側の車輪のブレーキシリンダの液圧が保持された後、緩増圧される。この高μ側の車輪のブレーキシリンダの液圧を保持する制御、緩増圧させる制御を制御前ヨーコン制御と称し、そのうちの、保持制御を制御前ヨーコン保持と称し、緩増圧制御を制御前ヨーコンパルス増と称する。
THL=(ΣTHU−ΣTHD)−(ΣTLU−ΣTLD)
が第1しきい値より大きくなる等のヨーコン制御開始条件が満たされるとヨーコン制御が開始される。上述のように、高μ側の車輪においてパルス増モードと減圧モードとが交互に設定されることになる。
また、増圧・減圧時間差ΔTHLが第2しきい値より小さくなる等のヨーコン制御終了条件が満たされると、ヨーコン制御が終了させられる。
本実施例においては、制御前ヨーコン制御(ヨーコン保持制御、ヨーコンパルス増制御)、ヨーコン制御を合わせてまたぎ路対応アンチロック制御と称する。なお、低μ側の車輪が高μ路に乗り移った場合には、その車輪について乗り移り時制御が行われる。
例えば、前輪に対してアンチロック制御が開始されてから、ホイールベースと車速とに基づいて決まる時間の経過後に後輪に対してアンチロック制御が開始された場合、車輪速度の落ち込みの程度が急激である場合等には、部分低μを通過したとすることができる。
部分低μ路を通過した場合には、本来、アンチロック制御は不要である。そのため、部分低μ路対応アンチロック制御においては、作動力の減少勾配が抑制されたり、増加勾配が大きくされたりする。
リヤリフトアップ抑制制御開始条件は、(1)前後左右の各輪についてアンチロック制御が許可されたこと、(2)推定車体速度が第1設定速度より大きい第2設定速度以下であること、(3)アンチロック制御開始時の推定車体速度が第1設定速度以上であること、(4)良路であること、あるいは、悪路レベルが設定レベルより低いこと、(5)左右前輪の両方についてパルス増モードが設定されたこと、(6)リヤパーシャル制御中でないこと、(7)スピンが生じていないこと、(8)加速度センサが正常であること、(9)両踏みでないこと、(10)リヤリフトアップであることを含み、これら(1)〜(10)のすべてが満たされた場合にリヤリフトアップ抑制制御開始条件が満たされたとされる。
アンチロック制御開始時の推定車体速度が第1設定速度以上であることは、低速時特定アンチロック制御でないことを表す。
悪路であるか否かは、路面の凹凸の振幅、凹凸の頻度等に基づいて取得される。凹凸の振幅が設定値より小さい場合、凹凸の頻度が設定レベルより低い場合等には、悪路レベルが設定レベルより低いと考えることができる。路面の凹凸の状態は、車輪速度の変化量、変化速度等に基づいて取得することができる。
また、パルス増モードが設定されている場合には、ブレーキシリンダ液圧はμピーク対応液圧より小さいため、左右前輪のブレーキシリンダ20,22の液圧を小さくすれば制動力を確実に小さくすることができる。
さらに、ブレーキシリンダ20,22の液圧を小さくしても、走行安定性の低下を抑制することができる。
また、アンチロック制御において、減圧モードが終了した後であるため、アンチロック制御への影響は小さい場合であると考えられる。減圧モード中に減圧すると、その後、ブレーキシリンダ液圧が所望の大きさに達するのに長時間を要する。さらに、アンチロック制御において、路面μ等を正確に推定することが困難となる。それに対して、パルス増モードが設定されている間は、ブレーキシリンダ20,22の液圧を減少させても、アンチロック制御への影響は小さいのである。
またぎ路走行中アンチロック制御においては、図3に示すように、高μ側の車輪についてヨーコン保持、ヨーコンパルス増が行われている場合には、ヨーコン制御開始条件が満たされるか否かの判定を行う必要があり、左右前輪のブレーキシリンダ20,22の液圧を減圧することは望ましくない。
それに対して、ヨーコン制御中においては、高μ側のブレーキシリンダの液圧、低μ側のブレーキシリンダの液圧は、それぞれ、μピーク対応液圧より小さいと考えられるため、左右前輪のブレーキシリンダ液圧が共に減圧させられても、走行安定性が低下する可能性は低いと考えられる。そのため、ヨーコン制御中において高μ側の車輪についてパルス増モードが設定され、低μ側の車輪についてアンチロック制御においてパルス増モードが設定された場合には、リヤリフトアップ抑制制御が許可されるのである。
また、左右両輪が同じμの路面に移行しても、上述の増圧・減圧時間差ΔTHLは直ちにしきい値以下にはならなず、ヨーコン終了条件はなかなか満たされない。そのため、ヨーコン制御中において、リヤリフトアップ抑制制御が禁止されることは望ましくないのである。
車輪復帰待ちフェーズにある場合、すなわち、減圧が不足しているか否かを確認する期間において、さらに(スリップ状態に基づかないで)減圧することは望ましくないからである。また、低速時特定アンチロック制御中のパルス増である場合、部分低μ路対応アンチロック制御中のパルス増である場合に減圧すると、制動力不足が生じるおそれがあるため、減圧しないことが望ましい。
また、車両にスピンが生じている場合に、左右前輪のブレーキシリンダ20,22の液圧が減少させられると、走行安定性が低下するおそれがある。そのため、スピンが生じていないことがリヤリフトアップ抑制制御の許可条件となる。例えば、ヨーレイト、横G等に基づいて求められるスピン傾向の強さが設定レベル以上である場合に、スピンが生じているとすることができる。
さらに、加速度センサ118が異常である場合等にもリヤリフトアップ抑制制御が行われないことが望ましい。リヤリフトアップ状態か否かの判定に使用される減速度の検出値の信頼性が低いからである。
また、ブレーキペダル10と図示しないアクセルペダルとの両方が踏み込まれている場合には、運転者の操作に応じて車両の制動・駆動状態が決まることが望ましく、運転者の意図と関係なく、ブレーキシリンダ液圧を減少させることは望ましくない。そのため、両踏み状態でないことがリヤリフトアップ抑制制御の許可条件とされる。
VwR≦Vso−ΔVsw、G>Gs
あるいは
VwR≦VwF−ΔVRS、G>Gs
車両減速度Gのしきい値である設定減速度Gsは、予め定められた設定値としたり、その都度決定したりすることができる。
前輪側における減圧時間TfDと後輪側における増圧時間TfUとは同じであっても異なっていてもよい。同じ時間とすれば、前輪側の制動力の低下を後輪側で補うことができる。また、減圧バルブ50,52の保持時間TfHと保持バルブ70の保持時間TrHとは同じであっても異なっていてもよく、減圧時間TfDと保持時間TfHとを合わせた前輪側制御時間Tfと、増圧時間TrUと保持時間TrHとを合わせた後輪側制御時間Trとも同じであっても異なっていても良い。
リヤリフトアップ抑制制御の終了後は、通常のアンチロック制御が行われる。
左右前輪については、リヤリフトアップ抑制制御が終了した後、パルス増モードが継続して行われる。リヤリフトアップ抑制制御開始条件が満たされた時点で増圧時間制御が行われていた場合には、残りの個数のパルスが出力された後にパルス増可変制御が行われる。左右後輪については、可変パルス増モードが設定されて、通常のアンチロック制御が行われる。
リヤリフトアップ抑制制御終了条件は、(1)前後左右の各輪についてアンチロック制御が禁止されたこと、(2)リヤリフトアップ抑制制御が終了したこと、(3)悪路レベルが高いこと、(4)パルス増モード以外のモードが設定されたこと、(5)リヤパーシャル状態であること、(6)スピンが生じていること、(7)加速度センサ118が異常であること、(8)両踏みであること、(9)車両減速度が設定減速度以下であることを含み、これら(1)〜(9)の少なくとも1つが満たされた場合に満たされる。
条件(1)〜(9)は、リヤリフトアップ抑制制御により走行安定性が低下するおそれがある場合、システムが異常である場合、リヤリフトアップ状態が解消された場合、両踏み状態である場合等に満たされるのであり、これらの条件が満たされた場合には、リヤリフトアップ抑制制御が行われないことが望ましい。
ステップ1(以下、単にS1と略称する。他のステップについても同様とする)において、アンチロック制御中であるか否かが判定される。アンチロック制御中でない場合には、S2において、アンチロック制御開始条件が満たされるか否かが判定される。アンチロック制御開始条件が満たされた場合には、S3において、低速であるか否か(第1設定速度以下であるか否か)が判定され、S4において、部分低μ路であるか否かが判定され、S5において、またぎ路であるか否かが判定される。いずれでもない場合には、通常のアンチロックが行われるため、S6において、通常アンチロック中フラグがセットされて、S7において、通常アンチロック制御が実行される。
部分低μ路を通過したことが検出された場合には、S10,11において、部分低μ路対応アンチロック制御中フラグがセットされて、部分低μ路対応アンチロック制御が実行される。
またぎ路走行中であることが検出された場合には、S12において、またぎ路対応アンチロック制御中フラグがセットされ、S13において、またぎ路対応アンチロック制御が実行される。高μ側の車輪については、制御前ヨーコン保持モード、制御前ヨーコンパルス増モード、ヨーコン制御中緩減圧モード、ヨーコン制御中パルス増モードのいずれかが設定される。
S21において、リヤリフトアップ抑制制御中であるか否かが判定される。リヤリフトアップ抑制制御中でない場合には、S22において、リヤリフトアップ状態であるか否か、S23において、左右前輪に対してパルス増モードが設定されているか否か、S24において、スピン状態でないこと等のその他の条件が満たされるか否かが判定される。S22〜24の判定がYESである場合には、リヤリフトアップ抑制制御開始条件が満たされたとされて、S25において、前輪の減圧バルブ50,52に対して図5に示すパターンの制御指令が出力され、S26において、後輪の保持バルブ70に対して図6に示すパターンの制御指令が出力される。また、制御指令が出力されるとリヤリフトアップ抑制制御中フラグがセットされる。
また、リヤリフトアップ抑制制御フラグがセットされている場合には、S27において、リヤリフトアップ抑制制御終了条件が満たされるか否かが判定される。リヤリフトアップ抑制制御終了条件が満たされた場合には、S28において、リヤリフトアップ抑制制御の終了処理指令が出力され、リヤリフトアップ抑制制御中フラグがリセットされる。リヤリフトアップ抑制制御が終了したことによってリヤリフトアップ抑制制御終了条件が満たされた場合には、前輪、後輪に対してはパルス増モードが設定される。そして、その後は、通常のアンチロック制御プログラムの実行に従って、前輪、後輪のブレーキシリンダの液圧が制御される。
また、それ以外の理由によってリヤリフトアップ抑制制御終了条件が満たされた場合には、リヤリフトアップ抑制制御が中断させられ、直ちに、通常のアンチロック制御が行われることになる。
また、左右前輪の減圧バルブ50,52の開時間(減圧時間)が同じ長さにされる。そのため、左右前輪のブレーキシリンダ20,22の液圧差を小さくすることができ、より一層走行安定性の低下を抑制し得る。しかも、本実施例におけるように、ブレーキが液圧ブレーキ24,26であり、ブレーキシリンダ20,22の液圧がμピーク対応液圧より小さい場合において、減圧バルブ50,52が同じ時間だけ開状態とされれば、高い方の液圧の減圧量は低い方の液圧の減圧量より大きくなるため、左右前輪のブレーキシリンダ20,22の液圧差は小さくなるのである。
また、後輪のブレーキシリンダ30,32の液圧が増加させられる。そのため、リヤリフトアップ抑制により後輪の接地荷重が増加した場合に、後輪制動力を速やかに大きくすることができる。後輪のブレーキシリンダ30,32の液圧はリヤリフトアップ抑制制御終了後に、通常のアンチロック制御においてパルス増モードが設定されることによっても、ブレーキシリンダ30,32の液圧は漸増させられるが、リヤリフトアップ抑制制御において予め増圧しておけば、速やかに、後輪制動力を大きくすることができ、車両全体の制動力の低下を抑制することができる。
また、リヤリフトアップ抑制制御に起因する走行安定性の低下が抑制されている場合には、リヤリフトアップであるか否かの車両減速度の判定しきい値を大きくすることができるのであり、制動距離の増加を抑制しつつ、リヤリフトアップ抑制制御を行うことができる。
また、減圧バルブ50,52,保持バルブ70、スキッドコントロールコンピュータ100の図4のフローチャートで表されるリヤリフトアップ抑制制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等によりリヤリフトアップ抑制装置が構成される。リヤリフトアップ抑制装置は、増加中リヤリフトアップ抑制部、同制御中リヤリフトアップ抑制部、作動力差小リヤリフトアップ抑制部、同状態作動力減少部でもある。また、リヤリフトアップ抑制装置のうちの保持バルブ70,S24を記憶する部分、実行する部分等により後輪作動力増加部が構成される。リヤリフトアップ抑制装置とアンチロック制御装置とで保持バルブ70,減圧バルブ50,52等が共通とされている。保持バルブ70,減圧バルブ50,52等により液圧制御アクチュエータが構成される。
さらに、リヤリフトアップ抑制装置のうち、S22,23,24のいずれか1つの判定がNOとなった場合に、S24,25を実行しない部分等により非減少部が構成される。
さらに、加速度センサ118,車輪速度センサ110〜116,スキッドコントロールコンピュータ100のS22を記憶する部分、実行する部分等によりリヤリフトアップ取得装置が構成される。
また、パルス増モードでなく、緩減圧制御中にリヤリフトアップ抑制制御が行われるようにすることもできる。緩減圧制御中においても、左右前輪のブレーキシリンダ20,22の液圧差は小さいと考えられるからである。
さらに、リヤリフトアップ状態であることの条件も上記実施例におけるそれに限らない。例えば、後輪、前輪に対して車輪側部材と車体側部材との間のストロークを検出する上下ストロークセンサを設け、後輪の上下ストロークが設定値以上である場合、後輪の上下ストロークが前輪の上下ストロークに対して設定値以上大きい場合に、リヤリフトアップ状態であるとすることができる。また、後輪の接地荷重を検出する荷重センサをリヤアクスル等に設け、後輪の接地荷重が設定値以下になった場合にリヤリフトアップ状態であるとすることができる。
また、またぎ路対応アンチロック制御において、ヨーコン制御が行われる場合には、リヤリフトアップ抑制制御が行われないようにすることもできる。またぎ路走行中においては、ヨーコン制御が行われても、左右前輪の間である程度の制動力差があるからである。
また、ブレーキシリンダの液圧を検出するブレーキシリンダ液圧センサが設けられたブレーキ装置においては、左右前輪のブレーキシリンダ20,22の液圧の差の絶対値が設定値以下であることを直接的に検出することが可能となる。左右前輪のブレーキシリンダ20,22の検出液圧の差の絶対値が設定値以下であることをリヤリフトアップ抑制制御開始条件の1つとすることができる。
さらに、リヤリフトアップ抑制制御において、後輪のブレーキシリンダ30,32の液圧を増加させることは不可欠ではない。左右前輪のブレーキシリンダ20,22の液圧を同時に減圧させれば、リヤリフトアップを抑制することができる。
また、本発明が適用されるブレーキ回路は問わない。
さらに、ブレーキは、液圧ブレーキに限らず、電動ブレーキに適用したり、回生ブレーキに適用したりすることができる。さらに、液圧ブレーキや電動ブレーキの摩擦ブレーキと回生ブレーキとの両方を備えた車両に適用することもできる。回生ブレーキの制御や摩擦ブレーキの制御によって、ブレーキ作動力が制御され得る。
その他、本発明は、前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
Claims (8)
- 車両の制動時に、少なくとも左右前輪のブレーキの作動力を別個に制御することによって、その左右前輪のスリップ状態を別個に制御するアンチロック制御装置と、
少なくとも、そのアンチロック制御装置によって少なくとも前記左右前輪に対してアンチロック制御が行われており、かつ、リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させるリヤリフトアップ抑制装置と
を含むことを特徴とする制動力制御装置。 - 前記リヤリフトアップ抑制装置が、少なくとも、前記アンチロック制御装置によって、前記左右前輪のブレーキの作動力を両方とも増加させる制御が行われ、かつ、前記リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させる増加中リヤリフトアップ抑制部を含む請求項1に記載の制動力制御装置。
- 前記リヤリフトアップ抑制装置が、少なくとも、前記左右前輪のブレーキの作動力の差の絶対値が設定値以下であることが取得され、かつ、前記リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させる作動力差小時リヤリフトアップ抑制部を含む請求項1に記載の制動力制御装置。
- 前記リヤリフトアップ抑制装置が、少なくとも、前記左右前輪のブレーキの作動力が、前記アンチロック制御装置によって同じ状態で制御され、かつ、前記リヤリフトアップ状態が検出された場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させる同制御中リヤリフトアップ抑制部を含む請求項1に記載の制動力制御装置。
- 前記リヤリフトアップ抑制装置が、前記アンチロック制御装置によって少なくとも前記左右前輪に対してアンチロック制御が行われており、かつ、前記リヤリフトアップ状態が検出されても、予め定められた作動力減少禁止条件が満たされた場合に、前記左右前輪のブレーキの作動力を減少させない非減少部を含む請求項2ないし4のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
- 前記リヤリフトアップ抑制装置が、前記アンチロック制御が開始された場合の車両の走行速度が設定速度以下である場合と、前記アンチロック制御が、車輪が部分低μ路を通過したことに起因して開始された場合との少なくとも一方の場合に、前記リヤリフトアップ状態が検出されても、前記左右前輪のブレーキの作動力を減少させない特殊アンチロック制御時非減少部を含む請求項2ないし4のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
- 前記リヤリフトアップ抑制装置が、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に、かつ、同じ状態で減少させる同状態作動力減少部を含む請求項2ないし6のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
- 前記リヤリフトアップ抑制装置が、前記左右前輪のブレーキの作動力を同時に減少させるとともに、左右後輪の少なくとも一方のブレーキの作動力を増加させる後輪作動力増加部を含む請求項2ないし7のいずれか1つに記載の制動力制御装置。
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