JP2005326654A - 定着ベルト、画像形成装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 チューブ状ベルト基材と、該チューブ状ベルト基材の外周面側に設けられた透明または半透明の被覆層と、を少なくとも含む定着用ベルトにおいて、前記被覆層と、前記被覆層の前記チューブ状ベルト基材側に設けられ、前記被覆層に対向接触する部材との界面部分に、ベルト情報が表記されていることを特徴とする定着用ベルト。
【選択図】 なし
Description
この場合、耐熱性テープが定着ベルト外周面の画像形成エリアにはみ出して、画像品質の悪化や、用紙ジャムの発生を招いたり、しいては画像形成装置の故障を招く可能性もある。それゆえ、画像形成装置の組み立てに際しては、耐熱性テープ同士の重ね合わせ部が摺接体に対して順方向となるように、定着ベルトが取り付けられる(特許文献2参照)。
例えば、インクジェットプリンタを用いてベルト最表面に直接印刷する方法(特許文献3参照)や、さらには、印刷した情報が容易に消えることがないように、ベルト表面に大気中で発生させたプラズマを触れさせることで表面改質を行った後にインクジェットプリンタで情報を印刷する方法が提案されている(特許文献4参照)。
また、別の方法としては、ラベルを使用した表記が広く一般的に行われている。これはラベルにその情報を印刷しておき、手作業や機械でラベルを製品に貼付けたり、各製品に事前に貼付けられたラベルに直接シルク印刷方式等で情報を印刷するものも挙げられる。
このため、仮に上述したような従来技術を利用して定着ベルトの表面に印刷や、ラベル貼付け等を利用してベルト情報を描画しても、熱や強い圧力・摩擦力に曝されるため直ぐに摩滅してしまう。
以上に説明したように、定着ベルト特有の使用環境の苛酷さ・要求仕様の厳しさから、実質的に、現在利用されている定着ベルトに関しては、その表面には何らのベルト情報も付されていない。
すなわち、本発明の第一の目的は、画像欠陥を引き起こさず、長期の使用によっても半永久的に失われることが無いベルト情報を付した定着ベルトおよびこれを用いた画像形成装置を提供することを課題とする。
また、本発明の第二の目的は、取り付け方向が決められている定着ベルトを用いて画像形成装置を組み立てる際に、定着ベルトの取り付け方向の確認が容易で、取り付けミスを防止することができる画像形成装置の製造方法を提供することを課題とする。
<1>
チューブ状ベルト基材と、該チューブ状ベルト基材の外周面側に設けられた透明または半透明の被覆層と、を少なくとも含む定着用ベルトにおいて、
前記被覆層と、前記被覆層の前記チューブ状ベルト基材側に設けられ、前記被覆層に対向接触する部材との界面部分に、ベルト情報が表記されていることを特徴とする定着用ベルトである(第1の発明)。
前記ベルト情報が、定着用ベルトの商品コード、製造ナンバー、ベルト取り付け位置・方向から選択される少なくとも1種の情報を表すことを特徴とする<1>に記載の定着用ベルトである。
前記被覆層に対向接触する部材が、前記チューブ状ベルト基材であることを特徴とする<1>または<2>に記載の定着用ベルトである。
前記被覆層に対向接触する部材が、厚みが20μm〜40μmの範囲内の極薄シート部材であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の定着用ベルトである。
前記極薄シート部材が、白地の修正テープであることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1つに記載の定着用ベルトである。
前記ベルト情報が、前記被覆層に対向接触する部材の表面に描画されていることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1つに記載の定着用ベルトである。
前記ベルト情報が、情報表示部と情報非表示部との色彩の差を利用して表記されていることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1つに記載の定着用ベルトである。
前記ベルト情報が、情報表示部と情報非表示部との凹凸の差を利用して表記されていることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1つに記載の定着用ベルトである。
前記ベルト情報が、情報表示部と情報非表示部との表面粗さ(光沢)の差を利用して表記されていることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1つに記載の定着用ベルトである。
前記ベルト情報が、印刷、スタンプ、筆記、ブラスト、エッチング、型プレスから選択される少なくとも1種の表記手段を利用して表記されていることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1つに記載の定着用ベルトである。
前記被覆層が、透明または半透明のゴム層であることを特徴とする<1>〜<10>のいずれか1つに記載の定着用ベルトである。
前記被覆層が、定着用ベルトの外周面両端部に設けられた透明または半透明の耐熱性テープであり、
該耐熱性テープが、その一端ともう一方の端とを重ね合わせた状態で前記外周面に接着されていることを特徴とする<1>〜<11>のいずれか1つに記載の定着用ベルトである。
前記チューブ状ベルト基材が黒色であることを特徴とする<1>〜<12>のいずれか1つに記載の定着用ベルトである。
チューブ状ベルト基材を少なくとも含む定着用ベルトにおいて、
視覚的に認識可能な形状および/または構成が、非対称性および/または不規則性を有することを特徴とする定着用ベルトである(第2の発明)。
前記チューブ状ベルト基材と、該チューブ状ベルト基材の外周面両端部に設けられた2本の耐熱性テープとを少なくとも含み、
前記耐熱性テープが、その一端ともう一方の端とを重ね合わせた状態で前記外周面に接着されている定着ベルトにおいて、
前記外周面の一方の端に設けられた耐熱性テープの幅と、前記外周面のもう一方の端に設けられた耐熱性テープの幅とが異なることを特徴とする<14>に記載の定着用ベルトである。
潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に画像情報に応じた潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤を用いて現像し、前記潜像担持体表面にトナー像を形成する現像手段と、前記潜像担持体表面にに形成された前記トナー像を転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を少なくとも備え、
前記定着手段が、加熱部材と、該加熱部材表面と当接する加圧部材とを少なくとも有する画像形成装置において、
前記加圧部材が、<1>〜<15>のいずれか1つに記載の定着ベルトであることを特徴とする画像形成装置である。
潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に画像情報に応じた潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤を用いて現像し、前記潜像担持体表面にトナー像を形成する現像手段と、前記潜像担持体表面にに形成された前記トナー像を転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を少なくとも備え、
前記定着手段が、加熱部材と、該加熱部材表面と当接する無端状の定着ベルトと、該定着ベルトを張架する2つ以上の支持ロールとを少なくとも有し、且つ、前記定着ベルトを前記2つ以上の支持ロールに張架されるように取り付ける定着ベルト取り付け工程を経て組み立てられ、
前記定着ベルトが、チューブ状ベルト基材と、該チューブ状ベルト基材の外周面両端部に設けられた2本の耐熱性テープとを少なくとも含み、前記耐熱性テープが、その一端ともう一方の端とを重ね合わせた状態で前記外周面に接着されている画像形成装置の製造方法であって、
前記定着ベルト取り付け工程において利用される前記定着ベルトの一方の端に予め脱着可能なタグが取り付けられていることを特徴とする画像形成装置の製造方法である(第3の発明)。
前記耐熱性テープ、および、前記耐熱性テープと前記外周面との間に設けられる接着層の総厚みが80μm以下であることを特徴とする<17>に記載の画像形成装置の製造方法である。
また、第3の本発明によれば、取り付け方向が決められている定着ベルトを用いて画像形成装置を組み立てる際に、定着ベルトの取り付け方向の確認が容易で、取り付けミスを防止することができる画像形成装置の製造方法を提供することができる。
従来から利用されている無端状の定着ベルトは、チューブ状ベルト基材のみからなる単層型の定着ベルト以外にも、チューブ状ベルト基材の外周面上に被覆層を設けた積層型の定着ベルトも知られている。このような積層型の定着ベルトの典型的な例としては、例えば、図10に示すような定着ベルトが挙げられる。
図10は、チューブ状ベルト基材の外周面にゴム層および耐熱性テープを設けた従来の定着ベルトの構成例を示す模式図断面図であり、図中、10は定着ベルト、110はチューブ状ベルト基材、120は耐熱性テープ、130は接着層、140はゴム層を表す。
なお、定着ベルト10の周方向および幅方向の形状や構成は規則的且つ対称的である。例えば、周方向のベルト幅は一定であり、外周面の両端部に設けられる2本の耐熱性テープの幅は、双方共に同一の幅である。
すなわち、チューブ状ベルト基材110の厚みは50〜150μmの範囲内である。ゴム層140の厚みは、耐熱性テープ120の厚みにもよるが、20〜50μmの範囲内である。
また、チューブ状ベルト基材110の表面の凹凸は極力小さいことが好ましい。ゴム層140を設けた場合においてもチューブ状ベルト基材110の表面の凹凸が反映される場合があり、この場合、定着ベルト10外周面の凹凸は、画像欠陥や光沢度の低下を招いてしまう可能性があるためである。
なお、フルオロカーボンシロキサンゴム組成物は、加硫前は乳白色であるが、加硫を行うことで透明になる。
なお、当該順方向とは、チューブ状ベルト基材110の外周面に耐熱性テープ120を、一方の端を始発点として周方向に沿って順に貼り付ける場合に、回転方向と逆向き方向に沿って貼り付けた状態を意味する。
以上に説明したような従来の定着ベルトにおいては、既述したように、その表面にベルト情報を描画したとしても、熱や強い圧力・摩擦力によって摩滅してしまい、半永久的情報として利用することができない。
その上、仮に、定着ベルトの表面にベルト情報を顔料インク等を利用して描画しても、ゴミが発生し画像欠陥を招く。また、このようなゴミの発生を避けるために、定着ベルトの表面を型プレスを利用して凹凸差を設ける等によりベルト情報を付与する方法も考えられるが、定着ベルトの表面の凹凸の存在自体が画像欠陥の原因となってしまう。
この問題を解決するため、本発明者らが鋭意検討した結果、ベルト情報を定着ベルト表面ではなく、定着ベルト内部の視認が可能な位置に表記することができれば、ベルト情報の半永久性と、画像欠陥の発生防止とを両立させることができると考えた。
すなわち、定着ベルトの形状や構成の不規則性や非対称性が、どのようなベルト情報を意味するのかについてルール化し、このルールをベルト情報を解読する必要がある人々の間で周知徹底しておけば、ベルト情報としての機能が十分に発揮できると考えられる。また、ベルト情報は、定着ベルト自体の形状や構成という立体的情報として表現されるため、半永久的であり画像欠陥を招くことも無い。
このような問題を解決するためには、上述したような半永久的情報として機能するベルト情報を付した定着ベルトが利用できるが、定着ベルトの取り付け位置・方向に関する情報を表す脱着可能な目印を付けておくことも有効であると考えられる。
第1の本発明は、チューブ状ベルト基材と、該チューブ状ベルト基材の外周面側に設けられた透明または半透明の被覆層と、を少なくとも含む定着用ベルトにおいて、前記被覆層と、前記被覆層の前記チューブ状ベルト基材側に設けられ、前記被覆層に対向接触する部材との界面部分に、ベルト情報が表記されていることを特徴とする。
さらに、ベルト情報が定着ベルトの内部に付されているため、定着ベルトの表面に加わる熱や強力な圧力・摩擦力等、定着ベルト特有の過酷な使用環境下においてもベルト情報が消失してしまうことがなく、定着ベルトが通常の態様で使用される限りはベルト情報は半永久的に保持される。
なお、本発明において、「ベルト情報」とは、定着ベルトに何らかの関係がある情報であれば特に限定されないが、例えば、商品コード、製造ナンバー、ベルト取り付け位置・方向等を挙げることができる。
また、ベルト情報は、第1の本発明においては、文字や記号のように平面上に2次元的情報として表記されるものであり、1つのベルト情報が、1つの意味を表す場合、あるいは、2つ以上の意味を表す場合のいずれであってもよい。
さらに、定着ベルトのベルト情報を付す位置・方向(例えば、定着ベルトの外周面の端部に、周方向に沿って文字や記号でベルト情報を表記する等)を利用して、ベルト取り付け位置・方向等のような何らかの情報を副次的に表してもよい。
ベルト情報は、上述したように被覆層と、この被覆層のチューブ状ベルト基材側に設けられ、被覆層に対向接触する部材との界面部分に表記される。この場合、ベルト情報は、被覆層の界面部分側の面、および/または、被覆層に対向接触する部材の界面部分側の面に後述する表記手段によって表記できるが、被覆層に対向接触する部材(以下、「ベルト情報表記部材」と略す場合がある)の界面部分側の面に表記することが好ましい。
このような極薄シート部材としては、文字を修正するための白地の修正テープ(例えば、トンボ鉛筆社製、CT−PX4)が好適に利用できるが、上述した厚みを満たすものであれば、極薄のラベルやテープ等も利用することができる。
しかし、チューブ状ベルト基材の外周面に、白地の修正テープを貼り付けた後に、この修正テープ部分に黒色や明度の低い色のボールペン等でベルト情報を描画すれば、情報表示部と情報非表示部との色彩の差が明確となるため、ベルト情報の視認性が格段に向上する。
極薄シート部材の厚みが40μmを超える場合には、極薄シート部材が設けられた部分と、そうでない部分との凹凸差が、定着ベルトの外周面の凹凸差として反映され、画像欠陥を招いてしまう場合がある。
また、極薄シート部材の厚みが20μm未満の場合には、極薄シート部材を貼り付ける際に極薄シート部材が破けたり、貼り付けた極薄シート部材にボールペン等で書き込みを行う場合に極薄シート部材が剥がれたりしてしまう等、取り扱いが困難となる場合がある。
ベルト情報の表記方法としては特に限定されず、公知の表記方法が利用できるが、具体例を挙げれば、〔1〕情報表示部と情報非表示部との色彩の差を利用して表記する方法(第1の表記方法)、〔2〕情報表示部と情報非表示部との凹凸の差を利用して表記する方法(第2の表記方法)、〔3〕情報表示部と情報非表示部との表面粗さ(光沢)の差を利用して表記する方法(第3の表記方法)から選択される少なくとも1種の表記方法を利用することができる。
また、第3の表記方法に利用できる表記手段としては、ブラスト、エッチング等が利用でき、ベルト情報を表記する部材表面の材質に応じて、適当な方法を選択することができる。
このように、ベルト情報の表記に際しては、ベルト情報を表記する部材表面(以下、「基準面」と称す場合がある)に対して大なり小なり凹凸差が発生する場合があるが、このような凹凸差は小さければ小さいほど好ましい。具体的には、基準面に対する凹凸差が40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、基準面に対する凹凸差が実質的に0であることが最も好ましい。基準面に対する凹凸差が40μmを超える場合には、この凹凸差が、定着ベルトの外周面にまで反映され、結果的に画像欠陥を引き起こす場合がある。
第1の本発明の定着ベルトの構成は、基本的には、図10に例示したようなチューブ状ベルト基材と、その外周面上に被覆層とを設けたような積層型の定着ベルトであれば特に限定されないが、定着ベルトの外周面を構成する被覆層(例えば、図10に示す例では、耐熱性テープ120、接着層130、ゴム層140等)が透明または半透明の部材から構成されていることが必要である。
なお、「透明または半透明」とは、被覆層を介してその反対側が十分に視認できる程度の透明性を有していることを意味する。また、必要に応じて、チューブ状ベルト基材と、透明または半透明の被覆層との間に、不透明な層(例えば、既述した極薄シート部材等)を設けてもよい。
次に、上述した第1の本発明の定着ベルトの具体例を図面を用いてより詳細に説明する。
図1は第1の本発明の定着ベルトの一例を示す模式断面図であり、図中、11は定着ベルトを表し、他の符号は図10中に示すものと同様である。
定着ベルト11の基本的な構成は図10に示す定着ベルト10と同様であるが、チューブ状ベルト110外周面には不図示のベルト情報が表記されている。ベルト情報の表記位置としては、例えば、矢印Cで示されるチューブ状ベルト110外周面の中央部(外周面とゴム層140との界面)や、矢印Eで示されるチューブ状ベルト110外周面の端部(外周面と接着層130との界面)のように、任意の位置を選択できる。但し、矢印Cで示される部分にベルト情報が表記される場合には、ゴム層140は透明または半透明の部材で構成されている必要があり、矢印Eで示される部分にベルト情報が表記される場合には、耐熱性テープ120および接着層130は透明または半透明の部材で構成されている必要がある。
定着ベルト12の基本的な構成は図2に示す定着ベルト10と同様であるが、チューブ状ベルト110外周面には、極薄シート部材150が貼り付けられており、この極薄シート部材150の外周面に不図示のベルト情報が表記されている。
図3は、図1に示すタイプの定着ベルトを外周面側から見た場合の一例を示す斜視図であり、具体的には、図1中の矢印Cで示される部分にベルト情報を表記した例について示したものである。図中、11’は定着ベルト、160はベルト情報を表し、他の符号は図1中に示すものと同様である。
定着ベルト11’を外周面側から見た場合、透明または半透明なゴム層140を介して、チューブ状ベルト外周面の中央部に「→」として表記されたベルト情報160を視認することができる。なお、ベルト情報160は、定着ベルト11’を画像形成装置に取り付ける際のベルト取り付け方向を意味している。このため、画像形成装置の組み立てに際して、ベルト情報160を活用することにより、定着ベルトの取り付けをミス無く迅速に行うことができる。
図4は、図2に示すタイプの定着ベルトを外周面側から見た場合の一例を示す斜視図であり、具体的には、図2中の矢印E’で示される部分にベルト情報を表記した例について示したものである。図中、12’は定着ベルト、161はベルト情報を表し、他の符号は図2中に示すものと同様である。
定着ベルト12’を外周面側から見た場合、透明または半透明な耐熱性テープ120および接着層130(不図示)を介して、チューブ状ベルト外周面の端部に、例えば「NE20040126−07」として表記されたベルト情報161を視認することができる。なお、ベルト情報161は、定着ベルト12’の製造ナンバーを意味しており、製造日や、製造ロット、製造したライン・工場等の定着ベルト12’の製造履歴に係わる様々な情報を把握することができる。このため、定着ベルトが出荷された後のトレーサビリティを向上させることができる。
次に、第1の本発明の定着ベルトの製造方法を、図1や図2に示したタイプの定着ベルトを例として図面を用いて説明する。
図5は、図1に示すタイプの定着ベルトの製造過程を示す斜視図であり、具体的には、図1中の矢印Cで示される部分にベルト情報を表記した例について示したものである。図中、11”は定着ベルト(完成品)、162はベルト情報を表し、他の符号は図1中に示すものと同様である。
定着ベルトの作製に際しては、まず、外周面が表面研磨されたチューブ状ベルト基材110を準備する(図5(a))。次に、チューブ状ベルト基材110外周面の中央部に、周方向に沿ってベルト情報162を表記する(図5(b))。ベルト情報162の表記手段としては、既述した第1〜第3の表記手段を必要に応じて選択することができる。例えば、ブラスト処理を利用することができる。この場合、情報表示部と情報非表示部との間に表面粗さ(光沢)の差を設けることによってベルト情報162を視認することができる。なお、「NE20040126−07 →」で表記されるベルト情報162は、アルファベットと数字とからなる部分が製造ナンバーを意味し、記号からなる部分がベルトの取り付け方向を意味する。
図6は、図2に示すタイプの定着ベルトの製造過程を示す斜視図であり、具体的には、図2中の矢印E’で示される部分にベルト情報を表記した例について示したものである。図中、12”は定着ベルト(完成品)を表し、他の符号は図2中に示すものと同様である。
定着ベルトの作製に際しては、まず、外周面が表面研磨されたチューブ状ベルト基材110を準備する(図6(a))。次に、チューブ状ベルト基材110外周面の端部の耐熱性テープ120が貼り付けられる領域に、周方向に沿って帯状の極薄シート部材150を貼り付け、この表面にベルト情報(不図示)を表記する(図6(b))。ベルト情報162の表記手段としては、既述した第1の表記手段の中から必要に応じて選択することができる。例えば、極薄シート部材150が白地の修正テープである場合には、黒色のボールペン等でベルト情報を表記することができる。
第2の本発明は、チューブ状ベルト基材を少なくとも含む定着用ベルトにおいて、視覚的に認識可能な形状および/または構成が、非対称性および/または不規則性を有することを特徴とする。
第2の本発明の定着ベルトは、ベルト情報が、定着ベルトの形状および/または構成のような視覚的に認識可能な3次元的情報として表現されているため、画像欠陥を引き起こすことがなく、また、通常の態様で定着ベルトが使用される限り半永久的にベルト情報を認識することができる。
また、定着ベルトの「構成」とは、定着ベルトがチューブ状ベルト基材を含む2以上の部材(例えば、図10に示すように耐熱性テープやゴム層を組み合わせた場合)からなる場合において、部材と部材との関係(部材間の相対的な配置、大きさ、色、質感等の関係)を意味する。例えば、両端に設けられる耐熱性テープの幅等が一例として挙げられる。
ここで、「非対称性」あるいは「不規則性」とは、定着用ベルトの周方向および/または幅方向を基準として、形状や構成が非対称あるいは不規則であることを意味する。
この場合、定着ベルトの外周面の両端に設けられた耐熱性テープの幅の違いによってベルト情報を表現することができる。
図7に示す定着ベルト13の形状や構成は、基本的には従来の形状や構成を有する定着ベルト10と同じである。しかし、定着ベルト13では、外周面の一方の端に沿って設けられた耐熱性テープ120’の幅と、もう一方の端に沿って設けられた耐熱性テープ120”の幅とが視覚的に十分に識別できる程度に異なっているところに特徴がある。例えば、図7中で示す例では、耐熱性テープ120’の幅を5mmとし、耐熱性テープ120”の幅を8mmとしている。
一方、このような回転方向と2本の耐熱性テープの幅の違いとの関係が意味する内容を工場での組み立てに係わる工員や、サービスエンジニアに予め周知しておけば、2本の耐熱性テープの幅の違いを、ベルト取り付け方向を表すベルト情報として機能させることができる。
次に、第1および第2の本発明の定着ベルトを用いた画像形成装置について説明する。本発明の画像形成装置としては、第1および第2の本発明の定着ベルトを備えた定着手段を有する電子写真方式の画像形成装置であれば特に限定されないが、具体的には以下のような構成を有することが好ましい。
このため、例えば、ベルト情報が、商品コードを意味する場合には、故障やメンテナンス時の定着ベルトの在庫の確認や手配が容易である。また、ベルト情報がベルト取り付け方向を意味する場合には、工場での画像形成装置の組み立てミスを防止でき、生産性を向上させることができると共に、故障やメンテナンス時の定着ベルトの交換作業をより確実且つ迅速に行うことができる。あるいは、ベルト情報が、製造ナンバーを意味する場合には、定着ベルトやこれを用いた画像形成装置の性能・品質等を追跡調査することが容易となり、定着ベルトやこれを用いた画像形成装置の性能・品質等をより安定化させることができる。
第3の本発明は、潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に画像情報に応じた潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤を用いて現像し、前記潜像担持体表面にトナー像を形成する現像手段と、前記潜像担持体表面に形成された前記トナー像を転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を少なくとも備え、前記定着手段が、加熱部材と、該加熱部材表面と当接する無端状の定着ベルトと、該定着ベルトを張架する2つ以上の支持ロールとを少なくとも有し、且つ、前記定着ベルトを前記2つ以上の支持ロールに張架されるように取り付ける定着ベルト取り付け工程を経て組み立てられ、前記定着ベルトが、チューブ状ベルト基材と、該チューブ状ベルト基材の外周面両端部に設けられた2本の耐熱性テープとを少なくとも含み、前記耐熱性テープが、その一端ともう一方の端とを重ね合わせた状態で前記外周面に接着されている画像形成装置の製造方法であって、前記定着ベルト取り付け工程において利用される前記定着ベルトの一方の端に予め脱着可能なタグが取り付けられていることを特徴とする。
第3の本発明を利用すれば、重ね合わせ部と取り付け方向との関係を定着ベルトの一方の端に予め脱着可能なタグを取り付けておくことによって表現できるため、従来のようにベルト取り付け方向に関する情報が表記されていない図10に示すような構成を有する定着ベルトを用いて画像形成装置を組み立てる場合でも、取り付けミスの発生を防ぎ、組み立て歩留まりを向上させることができる。また、修理等において、新たな定着ベルトを取り寄せて部品交換を行う場合の取り付けミスを防ぐこともできる。
このような定着ベルトとしては、耐熱性テープ、および、前記耐熱性テープと前記外周面との間に設けられる接着層の総厚みが80μm以下である場合が挙げられる。
なお、通常、耐熱性テープとしては片面に予め粘着材を設けた市販品が利用されるため、上述した総厚みとは、実質的に接着層を形成する粘着材付の耐熱性テープの厚みに相当する。
また、総厚みの下限は、端部を補強するという機械的特性を確保するために、50μm以上であることが好ましい。
図8に示す定着ベルト10の形状や構成は、基本的には従来の形状や構成を有する定着ベルトと同じであり、第1の本発明や第2の本発明の定着ベルトのようにそれ自体には半永久的なベルト情報を有していない。但し、一方の端には、タグ170が取り付けられている。
一方、このような回転方向とタグ170の定着ベルト10に対する取り付け位置との関係が意味する内容を工場での組み立てに係わる工員や、サービスエンジニアに予め周知しておけば、タグ170をベルト取り付け方向を表すベルト情報として機能させることができる。
図9は、一方の端に2つ以上のタグを取り付けた定着ベルトの一例を示す斜視図であり、梱包箱中に収納されたタグ付の定着ベルトを透視した状態を示す透視図である。図中、200は梱包箱を示し、その他の符号は図8と同様である。
図9に示すように、梱包箱200中に、一方の端に2つのタグ170が取り付けられた定着ベルト10が、2つのタグ170が取り付けられた側を上向きにして収納されている。このため、梱包箱200を開封した時に、2つのタグ170を利用して定着ベルト10を取り出すことが容易である。
110 チューブ状ベルト基材
120、120’、120” 耐熱性テープ
121 重ね合わせ部
130 接着層
140 ゴム層
150 極薄シート部材
160、161、162 ベルト情報
170 タグ
200 梱包箱
Claims (8)
- チューブ状ベルト基材と、該チューブ状ベルト基材の外周面側に設けられた透明または半透明の被覆層と、を少なくとも含む定着用ベルトにおいて、
前記被覆層と、前記被覆層の前記チューブ状ベルト基材側に設けられ、前記被覆層に対向接触する部材との界面部分に、ベルト情報が表記されていることを特徴とする定着用ベルト。 - 前記ベルト情報が、定着用ベルトの商品コード、製造ナンバー、ベルト取り付け位置・方向から選択される少なくとも1種の情報を表すことを特徴とする請求項1に記載の定着用ベルト。
- 前記被覆層に対向接触する部材が、前記チューブ状ベルト基材、または、厚みが20〜40μmの範囲内の極薄シート部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の定着用ベルト。
- 前記被覆層が、定着用ベルトの外周面両端部に設けられた透明または半透明の耐熱性テープであり、
該耐熱性テープが、その一端ともう一方の端とを重ね合わせた状態で前記外周面に接着されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の定着用ベルト。 - チューブ状ベルト基材を少なくとも含む定着用ベルトにおいて、
視覚的に認識可能な形状および/または構成が、非対称性および/または不規則性を有することを特徴とする定着用ベルト。 - 前記チューブ状ベルト基材と、該チューブ状ベルト基材の外周面両端部に設けられた2本の耐熱性テープとを少なくとも含み、
前記耐熱性テープが、その一端ともう一方の端とを重ね合わせた状態で前記外周面に接着されている定着ベルトにおいて、
前記外周面の一方の端に設けられた耐熱性テープの幅と、前記外周面のもう一方の端に設けられた耐熱性テープの幅とが異なることを特徴とする請求項5に記載の定着用ベルト。 - 潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に画像情報に応じた潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤を用いて現像し、前記潜像担持体表面にトナー像を形成する現像手段と、前記潜像担持体表面にに形成された前記トナー像を転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を少なくとも備え、
前記定着手段が、加熱部材と、該加熱部材表面と当接する加圧部材とを少なくとも有する画像形成装置において、
前記加圧部材が、請求項1〜6のいずれか1つに記載の定着ベルトであることを特徴とする画像形成装置。 - 潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に画像情報に応じた潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤を用いて現像し、前記潜像担持体表面にトナー像を形成する現像手段と、前記潜像担持体表面にに形成された前記トナー像を転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を少なくとも備え、
前記定着手段が、加熱部材と、該加熱部材表面と当接する無端状の定着ベルトと、該定着ベルトを張架する2つ以上の支持ロールとを少なくとも有し、且つ、前記定着ベルトを前記2つ以上の支持ロールに張架されるように取り付ける定着ベルト取り付け工程を経て組み立てられ、
前記定着ベルトが、チューブ状ベルト基材と、該チューブ状ベルト基材の外周面両端部に設けられた2本の耐熱性テープとを少なくとも含み、前記耐熱性テープが、その一端ともう一方の端とを重ね合わせた状態で前記外周面に接着されている画像形成装置の製造方法であって、
前記定着ベルト取り付け工程において利用される前記定着ベルトの一方の端に予め脱着可能なタグが取り付けられていることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
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