以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る定着装置を適用したタンデム方式のカラーの画像形成装置を示す構成図である。なお、この画像形成装置は、デジタルカメラ等で撮影した画像を写真用のフォト用紙にプリントすることで、通常の銀塩写真と同様に光沢のある画像を形成することが可能となっている。
図2において、1は画像形成装置の本体を示すものであり、この画像形成装置本体1の上方には、原稿の画像を読み取る画像読取装置2が配置されている。上記画像読取装置2によって読み取られた原稿の画像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の画像データとして図示しない画像処理装置に送られ、この画像処理装置では、原稿の画像データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理が施される。また、画像処理装置では、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データや、画像形成装置に接続されたデータ読取装置によって読み取られたフラッシュメモリ等の記憶素子に記憶された画像データに対しても、必要に応じて予め定められた画像処理が施される。
そして、上記の如く画像処理装置で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理装置によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに変換され、次に述べるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成手段としての画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kに共通の画像露光装置4に送られ、この画像露光装置4では、各色の画像データに応じてレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kによる画像露光が行われる。
上記画像形成装置本体1の内部には、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kが、一定の間隔を隔てて並列的に配置されている。
これらの4つの画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kは、使用するトナーの色を除いて同様に構成されており、イエロー(Y)の画像形成ユニット3Yを例に説明すると、図2に示すように、大別して、図示しない駆動手段によって矢印A方向に予め定められた速度で回転駆動される像保持体としての感光体ドラム5Yと、この感光体ドラム5Yの表面を一様に帯電する一次帯電用の帯電ロール6Yと、当該感光体ドラム5Yの表面に所定の色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する画像露光装置4と、感光体ドラム5Y上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像装置7Yと、感光体ドラム5Yの表面を清掃するクリーニング装置8Yと、感光体ドラム5Yの表面を除電する除電ロール9Yとを備えている。
上記感光体ドラム5としては、例えば、直径30mmのドラム状に形成され、必要に応じて長寿命化のため表面にオーバーコート層を有する有機感光体からなるものが用いられ、図示しない駆動モーターによって所定の回転速度で回転駆動される。
また、この実施の形態では、プロセススピードである感光体ドラム5の回転速度(周速)として、フォト用紙(コート紙)などからなる厚紙に画像を形成する際の低速モードである約50mm/secと、普通紙等にフルカラーの画像を形成する際の中速モードである約120mm/secと、普通紙等にモノクロの画像を形成する際の高速モードである約160mm/secの3つの速度が設定されており、図示しないモード切り換え手段や用紙選択手段からの信号に基づいて、後述する制御回路100によって3段階に切り換え可能となっている。
また、上記帯電ロール6としては、例えば、芯金の表面に合成樹脂やゴムからなり電気抵抗を調整した導電層を被覆したロール状の帯電器が用いられ、この帯電ロール6の芯金には、予め定められた交流バイアス電圧又は直流バイアス電圧が重畳された交流バイアス電圧が印加される。
上記画像露光装置4は、図2に示すように、4つの画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kに共通に構成されており、図示しない4つの半導体レーザを各色の画像データに応じて変調して、これらの半導体レーザから4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを画像データに応じて出射するように構成されている。なお、上記画像露光装置4は、複数の画像形成ユニット毎に個別に構成しても勿論よい。
上記画像処理装置からは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒 (K)の各色の画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kに共通して設けられた画像露光装置4に、各色の画像データが順次出力され、この画像露光装置4から画像データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、帯電ロール6Y、6M、6C、6Kによって帯電された対応する感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に走査露光され、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に静電潜像が形成される。上記感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に形成された静電潜像は、対応する現像装置7Y、7M、7C、7Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として反転現像される。
上記各画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kの感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kの上方にわたって配置された中間転写体としての中間転写ベルト10上に、一次転写手段としての一次転写ロール11Y、11M、11C、11Kによって多重に転写される。この中間転写ベルト10は、駆動ロール12と、背面支持ロール13を含む複数のロールの間に予め定められた張力で架け渡されており、定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動される駆動ロール12により、矢印B方向に所定の移動速度で循環駆動される。上記中間転写ベルト10としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミド等の合成樹脂フィルムを無端ベルト状に形成したものが用いられる。
上記中間転写ベルト10上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、背面支持ロール13に圧接する二次転写手段としての二次転写ロール14によって、圧接力及び静電気力で記録媒体としての記録用紙15上に二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙15は、上方に位置する一次定着装置16へと搬送される。上記二次転写ロール14は、背面支持ロール13の側方に圧接しており、下方から上方に向けて搬送される記録用紙15上に、各色のトナー像を一括して二次転写するようになっている。そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙15は、普通紙の場合、一次定着装置16によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、切り替えゲート17によって搬送経路が図中左側に切り替えられ、排出ロール18によって画像形成装置体本1の左側面に設けられた第1の排出トレイ19上に排出される。
また、上記各色のトナー像が転写された記録用紙15は、フォト用紙である場合、一次定着装置16によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、切り替えゲート17によって搬送経路が図中右側に切り替えられ、排出ロール20によって画像形成装置体本1と画像読取装置2との間の空間21に配置された後述する二次定着装置22によって二次定着処理を受けるとともに、必要に応じて切断装置23によって予め定められたサイズに切断されて、画像形成装置本体1の上部に配置された第2の排出トレイ24上に排出される。
上記記録用紙15は、図2に示すように、画像形成装置本体1内の下部に配置された複数の給紙トレイ25、26のうち、いずれかの給紙トレイから例えばL版サイズ(89×127mm)のフォト用紙を含む所望のサイズ及び材質のものが、給紙ロール27及び用紙分離搬送用のロール対28により1枚ずつ分離された状態で給紙され、用紙搬送路29に配置された搬送ロール30によってレジストロール31まで一旦搬送され、停止される。上記給紙トレイ25、26から供給された記録用紙15は、所定のタイミングで回転するレジストロール31によって中間転写ベルト10上のトナー像と同期をとって中間転写ベルト10の二次転写位置へ送り出される。
図2中、32Y、32M、32C、32Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像装置7Y、7M、7C、7Kに、対応する色のトナーを供給するトナーカートリッジをそれぞれ示している。
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング装置8Y、8M、8C、8Kによって残留トナーや紙粉等が除去された後、除電ロール9Y、9M、9C、9Kによって除電されて、次の画像形成プロセスに備える。
また、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト10の表面は、図2に示すように、駆動ロール12に対応した位置に配置されたクリーニング装置33によって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。
ところで、この実施の形態に係る画像形成装置は、デジタルカメラ等で撮影した画像を写真用のフォト用紙15にプリントすることで、通常の銀塩写真と同様に光沢のある画像を形成することが可能となっている。フォト用紙15としては、例えば、図3に示すように、用紙基材15aの表面に透明樹脂等からなる受像層15bをコーティングしたものが用いられるが、これに限定されるものではなく、任意の材質や層構成のものを用いることができる。画像形成装置は、図2に示すように、画像形成装置本体1と画像読取装置2との間に設けられた空間21に、フォト用紙15にデジタルカメラで撮影した画像などのフルカラーやモノクロの画像を光沢性を付与した状態で二次定着する二次定着装置22と、必要に応じて二次定着されたフォト用紙15を予め定められたサイズに切断する切断装置23とが配置されている。切断装置23は、二次定着装置22から排出されるフォト用紙15の縦方向及び横方向に沿った両端縁を回転するカッター刃によって切断するものである。
図4はこの発明の実施の形態1に係る定着装置として上記画像形成装置に使用される二次定着装置を示す構成図である。
この二次定着装置22は、図4に示すように、大別して、加熱ロール41と、加熱ロール41を含む複数のロール42、43に架け渡された無端状の定着ベルト44と、加熱ロール41に定着ベルト44を介して圧接する加圧ロール45と、加熱ロール41及び加圧ロール45によって定着された記録用紙15を定着ベルト44を介して冷却する冷却手段としてのヒートシンク46から構成されている。なお、図4中、符号47、48は記録用紙15を定着ベルト44を介してヒートシンク46に圧接させる圧接ロールを示している。
加熱ロール41は、図4に示すように、アルミニウムやステンレス等の金属によって円筒形状に形成された芯金46と、芯金46の表面に予め定められた厚さに被覆されたシリコンゴム等の耐熱弾性体からなる弾性体層47と、弾性体層47の表面に被覆されたPFA等からなる離型層48とから構成されている。また、加熱ロール41の内部には、当該加熱ロール41の表面を予め定められた温度に加熱する加熱源としてのハロゲンランプ49、49が複数本(図示例では2本)配置されている。さらに、加熱ロール41の表面には、当該加熱ロール41の表面温度を検知する第1の温度センサ59が接触配置されている。
また、加圧ロール45は、図4に示すように、アルミニウムやステンレス等の金属によって円筒形状又は円柱形状に形成された芯金50と、芯金50の表面に加熱ロール41の弾性体層47よりも厚い予め定められた厚さに被覆されたシリコンゴム等の耐熱弾性体からなる弾性体層51と、弾性体層51の表面に被覆されたPFA等からなる離型層52とから構成されている。なお、加圧ロール45は、加熱ロール41と異なり、内部に加熱源を備えておらず、後述するように、加熱ロール41からの熱伝導のみによって加熱される形態と、内部に加熱源を備えている形態がある。さらに、加圧ロール45の表面には、当該加圧ロール45の表面温度を検知する第2の温度センサ60が接触配置されている。
加圧ロール45は、図4に示すように、接離手段53によって定着ベルト44を介して加熱ロール41に予め定められたタイミングで圧接又は離間される。加圧ロール45は、例えば、芯金50の両端部に設けられた回転軸54がアーム部材55の一端部55aに回転自在に支持されており、アーム部材55は、支点56を中心にして回動自在となっている。アーム部材55の他端部55bは、偏心カム57によって上下方向へ移動可能となっているとともに、偏心カム57と対向する側面は、圧縮スプリング等からなる圧接解除部材58によって常時下方に向けた荷重が付与されている。そして、接離手段53は、図4に示すように、偏心カム57を回転させることによって圧縮スプリング等からなる圧接解除部材58の荷重に抗してアーム部材55の他端部55bを上方へ回動させることによって、加圧ロール45が定着ベルト44を介して加熱ロール41に予め定められた圧力で圧接される。
また、加圧ロール45は、図5に示すように、偏心カム57を回動させて圧縮スプリング等からなる圧接解除部材58の荷重によって偏心カム57が回動した距離だけアーム部材55の他端部55bを下方へ移動させることによって、加熱ロール41から離間される。
定着ベルト44は、図6に示すように、ポリイミドやポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性を有する合成樹脂等からなるベルト基材61と、ベルト基材61の移動方向と交差する方向(幅方向)の両端部の表面に設けられた補強部材としての補強テープ62と、ベルト基材61の表面に予め定められた厚さに被覆された表面層63とから無端状に形成されている。上記表面層63としては、層形成後の平面性に優れた種々の材質のものを使用することが可能であるが、例えば、加熱すると硬化して弾性体となる耐熱性に優れたフッ素系エラストマーであるSIFEL(サイフェル:信越化学株式会社製、商品名)が用いられる。定着ベルト44は、図示しない駆動モーターによって回転駆動される加熱ロール41と、剥離ロール42と、従動ロール43との間に、予め定められた張力で循環移動するように架け渡されている。定着ベルト44の移動速度は、例えば、低速モードである約50mm/secに設定されている。なお、定着ベルト44を架け渡すロールとしては、加熱ロール41と、剥離ロール42と、従動ロール43に限らず、他のロールを含むものであっても勿論良い。
また、上記補強テープ62は、例えば、定着ベルト44のベルト基材と同じ材質であるポリイミドやポリアミド、ポリアミドイミド等の合成樹脂からなり、予め定められた幅及び厚さを有するテープ状に形成されている。補強テープ62は、例えば、接着剤を介した接着等の手段によって、定着ベルト44表面の端縁に対応した位置(加圧ロール側)の表面に設けられている。図示の実施例では、図6に示すように、表面層63の一部が補強テープ62を覆うように形成されている。なお、補強テープ62は、図6(b)に示すように、一層に限らず、二層以上設けても良い。
複数のロールに架け渡された定着ベルト44のうち、加熱ロール41と剥離ロール42との間に位置する定着ベルト44の裏面(内面)には、図4に示すように、加熱ロール41と定着ベルト44との間に形成される定着ニップ部64によって加熱加圧されて定着処理が施された記録媒体15を冷却するためヒートシンク46が設けられている。ヒートシンク46は、定着ニップ部64を通過した定着ベルト44の熱を裏面側から吸熱することによって定着ベルト44を介して記録媒体15を冷却し、フォト用紙15の受像層15b及びトナー像を固化させるものである。
ところで、この実施の形態では、図1に示すように、加熱ロール41と加圧ロール45が定着ベルト44の補強部材62を介して圧接するのを回避する圧接回避手段70が設けられている。この圧接回避手段70は、加圧ロール45が定着ベルト44を介して加熱ロール41に圧接する圧接部である弾性体層51の軸方向に沿った長さL1を、定着ベルト44の補強部材62間の間隔L2よりも短く、かつ、記録媒体15の最大幅L3より長く設定することによって構成されている。
更に説明すると、加圧ロール41は、芯金50の表面に被覆された弾性体層51の軸方向に沿った長さL1が、定着ベルト44の補強部材62間の間隔L2よりも短く、かつ、記録媒体15の最大幅L3としてL版のフォト用紙15の相対的に長さが短い辺の長さである89mmよりも長く設定されている。そのため、加圧ロール45は、定着ベルト44を介して加熱ロール41に圧接する際に、加圧ロール45の弾性体層51は、定着ベルト44の補強テープ62と接触することがなく、補強テープ62の領域を除いた定着ベルト44のベルト基材61及び表面層63を介して加熱ロール41と圧接される。
以上の構成において、この実施の形態に係る定着装置を適用した画像形成装置では、次のようにして、定着ベルトの端部に設けられた補強部材を介して加熱ロールと加圧ロールが圧接することによる両ロールの少なくとも一方の損傷を抑制することが可能となっている。
すなわち、この実施の形態に係る画像形成装置では、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kの感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に対応する色のトナー像が形成され、これらの各画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kの感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト10上に多重に一次転写された後、二次転写位置において中間転写ベルト10上から記録用紙15上に一括して二次転写される。
そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙15は、図2に示すように、普通紙である場合、一次定着装置16によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、切り替えゲート17によって搬送経路が図中左側に切り替えられ、排出ロール18によって画像形成装置体本1の左側面に設けられた第1の排出トレイ19上に排出される。
また、上記各色のトナー像が転写された記録用紙15は、図2に示すように、フォト用紙である場合、一次定着装置16によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、切り替えゲート17によって搬送経路が図中右側に切り替えられ、排出ロール20によって画像形成装置体本1と画像読取装置2との間の空間21に配置された後述する二次定着装置22によって二次定着処理を受けた後、必要に応じて切断装置23によって予め定められたサイズに切断されて、画像形成装置本体1の上部に配置された第2の排出トレイ24上に排出される。
その際、上記二次定着装置21は、図5に示すように、プリントボタンが押される前の状態において、接離手段53によって加圧ロール45が加熱ロール41から離間した位置に移動しているとともに、加熱ロール41の加熱源49、49には通電されておらず、加熱ロール41及び加圧ロール45は、室温と略等しい温度となっている。
そして、上記画像形成装置では、図7に示すように、フォト用紙15に画像を形成する写真モードでプリントボタンが押されると、図4に示すように、接離手段53によって加圧ロール45が加熱ロール41に圧接されるとともに、加熱ロール41の加熱源49、49に通電され、加熱ロール41の加熱が開始される。
その後、上記二次定着装置21では、図7に示すように、加熱ロール41の表面温度が予め定められた第1の温度である駆動開始温度T1に達したことが第1の温度センサ59によって検知されると、加熱ロール41を回転駆動することにより定着ベルト44を循環移動させ、加熱ロール41の表面温度が予め定められた第2の温度である定着準備温度T2に達したことが検知されると、加熱ロール41表面の目標温度が予め定められた目標温度より+α(℃)だけ高い温度となるように加熱源49、49への通電が制御回路100によってSSR101を介して制御される。
定着準備温度T2に達した時点で記録用紙15の給紙が開始されるとともに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kにおいて形成された各色のトナー像が記録用紙15上に二次転写された後、一次定着装置16によって一次定着される。
その後、上記二次定着装置22には、図4に示すように、一次定着装置16によって一次定着された記録用紙15が導入され、定着ニップ部64において二次定着処理が施され、プリント終了ボタンを押下した場合又は離間動作温度T4に到達した時点で、図7に示すように、加圧ロール45が加熱ロール41から離間され、プリント動作が終了する。なお、複数枚のフォト用紙15にフルカラーのトナー像を定着する場合には、加圧ロール45を加熱ロール41に圧接したままの状態で、プリント動作が継続される。
図10は複数枚のフォト用紙15に連続してプリントした場合の加熱ロール41及び加圧ロール45の表面温度の変化を示すグラフである。
その際、上記二次定着装置22では、記録用紙15が加熱ロール41と加圧ロール45の定着ニップ部64に通紙されて、一次定着装置16によって記録用紙15上に一次定着されたフルカラー等のトナー像が、定着ベルト44を介して加熱ロール41及び加圧ロール45によって再度加熱・加圧されて溶融されるとともに、フォト用紙15の表面にコーティングされた受像層15bが溶融乃至軟化される。
そして、フォト用紙15の受像層15bの表面は、鏡面状態となるように平滑に形成された定着ベルト44の表面層63に倣って鏡面状態となり、光沢が付与された状態となる。その後、上記フォト用紙15は、図4に示すように、定着ベルト44によって搬送される間にヒートシンク46の吸熱作用で冷却され、剥離ロール42によって定着ベルト44から剥離され、搬送ガイド64、65を介して排出ロール66によって切断装置23へと搬送される。
このように、上記二次定着装置22では、図1に示すように、加圧ロール45の弾性体層51が定着ベルト44の補強テープ62と接触することがなく、補強テープ62の領域を除いた定着ベルト3のベルト基材61及び表面層63を介して加熱ロール41の弾性体層47と圧接される。そのため、上記加圧ロール45は、定着ベルト44を介して加熱ロール41に圧接される際に、弾性体層51が定着ベルト44の補強テープ62と接触することが回避されるので、加圧ロール41の弾性体層51が定着ベルト44の補強テープ62による段差によって座屈荷重を受けることがないので、弾性体層51が芯金50から剥離することなどにより損傷するのを回避することができる。
また、上記二次定着装置22では、図7に示すように、フォト用紙15に画像を形成する写真モードでプリントボタンが押されると、図4に示すように、接離手段53によって加圧ロール45を加熱ロール41に圧接させるとともに、加熱ロール41の加熱源49、49に通電し、加熱ロール41の加熱を開始するように構成されている。
そのため、本実施の形態に係る二次定着装置22では、図8に破線で示したように、従来の二次定着装置22の如く、加熱ロール41及び加圧ロール45の双方に加熱源を備え、フォト用紙15に画像を形成する写真モード以外の画像形成モード及び休止状態であっても、常時、加熱ロール41及び加熱ロール41の加熱源に通電して予め定められた温度に加熱していた場合と比較して、待機時の消費電力を大幅に低減することができる。
一方、本実施の形態の二次定着装置22では、図7に示すように、フォト用紙15に画像を形成する写真モードでプリントボタンが押されると、接離手段53によって加圧ロール45を定着ベルト44を介して加熱ロール41に圧接させ、加熱ロール41の表面温度が駆動開始温度T1に達すると、加熱ロール41を回転駆動することにより定着ベルト44を介して加圧ロール45の表面を熱伝導によって加熱するように構成されている。
そのため、本実施の形態の二次定着装置22では、図7に示すように、フォト用紙15の給紙に同期して加圧ロール45を定着ベルト44を介して加熱ロール41に圧接させていた従来の二次定着装置22に比較して、加圧ロール45が定着ベルト44を介して加熱ロール41に圧接された状態で回転駆動される時間が相対的に長くなる。
その結果、従来の二次定着装置22においては、加圧ロール45の弾性体層51が定着ベルト44の両端部に設けられた補強テープ62を介して加熱ロール41に圧接することになる。
図9は、従来の二次定着装置22において加圧ロール45の弾性体層51の端部に発生する外径変動と定着ベルト44の補強部材62による段差との関係を実測した結果を示すグラフである。
この図9から明らかなように従来の二次定着装置22では、定着ベルト44の補強テープ62による段差の位置において加圧ロール45の弾性体層51端部の外径変動が生じており、この外径変動が原因で弾性体層51の変形によって芯金50から剥離することにより損傷が発生していることが判る。
これに対して、本実施の形態に係る二次定着装置22では、上述したように、加圧ロール45の弾性体層51が定着ベルト44の補強テープ62と接触することがなく、補強テープ62の領域を除いた定着ベルト3のベルト基材61及び表面層63を介して加熱ロール41の弾性体層47と圧接される。そのため、上記加圧ロール45は、定着ベルト44を介して加熱ロール41に圧接して相対的に長い時間にわたって回転駆動された場合でも、加圧ロール41の弾性体層51が定着ベルト44の補強テープ62による段差によって座屈荷重を受けることがないので、弾性体層51が芯金から剥離することにより損傷するのを回避することができる。
実施の形態2
図11はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2は、圧接回避手段が、定着ベルトの記録媒体が通過する領域の厚さを補強部材の厚さ以上に設定してなるものである。
すなわち、この実施の形態2に係る定着装置22は、図11に示すように、定着ベルト44の記録媒体15が通過する領域の厚さが補強テープ62の厚さよりも厚くなるように設定されている。この定着ベルト44では、図 に示すように、ベルト基材61の表面に積層される表面層63が、補強テープ62の厚さよりも厚くなるように積層されている。
また、これに限定されるものではなく、上記定着ベルト44としては、ベルト基材61の記録媒体15が通過する領域の厚さが補強テープ62の厚さよりも厚くなるように、定着ベルト44の補強テーウ62が設けられる領域よりも厚く設定しても良い。
なお、この実施の形態では、加圧ロール41は、芯金50の表面に被覆された弾性体層51の軸方向に沿った長さL1を、定着ベルト44の補強部材60間の間隔L2よりも短く設定する必要はない。
このように、上記実施の形態2では、して、加圧ロール45の圧接部の軸方向に沿った長さが制約されることなく、定着ベルト44の端部に設けられた補強テープ62を介して加熱ロール41と加圧ロール45が圧接することによる両ロールの少なくとも一方の損傷を抑制することができる。
その他の構成及び作用は前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
実施の形態3
図12乃至図14はこの発明の実施の形態3を示すものであり、前記実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3は、前記加熱ロールの熱が前記定着ベルトの補強部材を介して前記加圧ロールに伝導されるのを抑制する熱伝導抑制手段を設けるように構成されている。
すなわち、この実施の形態3に係る二次定着装置22は、図12乃至図14に示すように、加圧ロール45が定着ベルト44を介して加熱ロール41に圧接される構成において、定着ベルト44の補強テープ62を介した加熱ロール41から加圧ロール45への熱伝導性が、補強テープ62が設けられていないベルト基材61及び表面層63を介した加熱ロール41から加圧ロール45への熱伝導性よりも小さくなるように構成されている。
そのため、この実施の形態3では、補強テープ62の材質としてベルト基材61と同じ材質ではなく、ベルト基材61よりも熱伝導性が低い、例えば、PCTFE(三フッ化塩化エチレン)、PTFE(四フッ化エチレン)等の材料が充填されたものが用いられている。
また、この実施の形態3では、補強テープ62の表面に非熱伝導性または熱伝導性が低い材量を塗布するように構成しても良い。補強テープ62の表面に塗布される不非熱伝導性または熱伝導性が低い材量としては、例えば、PFA(四フッ化エチレンパーフルオロアルコキシエチレン共重合体)等の材料が用いられている。
さらに、この実施の形態3では、補強テープ62をベルト着材61の表面に設ける際に、非熱伝導性または熱伝導性が低い接着剤又は粘着テープを用いるように構成しても良い。非熱伝導性または熱伝導性が低い接着剤又は粘着テープとしては、例えば、PCTFE(三フッ化塩化エチレン)等の材料が用いられている。
このように、上記実施の形態3では、加圧ロール45が定着ベルト44を介して加熱ロール41に圧接される際に、定着ベルト44の両端部に設けられた補強テープ62を介して加熱ロール41から加圧ロール45に伝わる熱量Q1が他の部分の熱量Q0に比較して相対的に多くなることを抑制することができ、定着ベルト44の補強テープ62に対応した加圧ロール45の両端部が熱的に損傷を受け、表面の離型層52の皴や弾性体層51の剥離などが発生するのを抑制することができる。
その他の構成及び作用は前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
実施の形態4
図15乃至17はこの発明の実施の形態4を示すものであり、前記実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態4では、前記定着ベルトと加圧ロールとの間に生じる単位面積あたりの摩擦力のうち、前記定着ベルトの両端部に設けられた補強部材の領域の摩擦力が、補強部材が設けられていない領域の摩擦力よりも小さくなるように設定されている。
すなわち、この実施の形態4に係る二次定着装置22は、図15乃至図17に示すように、定着ベルト44の幅方向に沿った両端部に補強テープ62が設けられており、定着ベルト44と加圧ロール45との間に生じる単位面積あたりの摩擦力Fのうち、定着ベルト44の両端部に設けられた補強テープ62の領域の摩擦力F1が、補強テープ62が設けられていないベルト基材61及び表面層63の領域の摩擦力F0よりも小さくなるように設定されている(F1<F0)。
上記二次定着装置22では、図15に示すように、加圧ロール45を定着ベルト44を介して加熱ロール41に荷重Nで圧接させ、加熱ロール41によって定着ベルト44を循環移動するように駆動するとともに、加圧ロール45を定着ベルト44との間に生じる摩擦力によって従動回転するように構成されている。
その際、上記定着ベルト44には、図16及び図17に示すように、その幅方向に沿った両端部に補強テープ62が設けられているため、当該補強テープ62の厚さに相当する分だけ、加圧ロール45と定着ベルト44との間に作用する荷重Nが、補強テープ62が設けられていないベルト基材61及び表面層63の領域よりも大きくなる。そのため、何らかの対策を講じない場合には、補強テープ62が設けられている領域の荷重N1が、補強テープ62が設けられていない領域の荷重F0よりも過大となり、加圧ロール45と定着ベルト44との間に作用する摩擦力F1(=μ1N1)が、補強テープ62が設けられていない領域の摩擦力F0よりも大きくなる。なお、μは加圧ロール45と定着ベルト44との間の摩擦係数である。その結果、加圧ロール45の弾性体層51及び離型層52には、補強テープ62に対応した領域に離型層52の皴や弾性体層51の剥離などが発生する虞れがある。
そこで、この実施の形態では、図14に示すように、補強テープ62をベルト基材61と同じ材量から構成するとともに、補強テープ62表面の表面粗さRzを表面層63の表面粗さRz’よりも小さく設定することにより(Rz<Rz’)、補強テープ62表面の摩擦係数μ1を補強テープ62が設けられていない領域の摩擦係数μ0よりも小さく設定するように構成されている(μ1<μ0)。
また、この実施の形態では、補強テープ62の表面に潤滑層を設けることにより、補強テープ62表面の摩擦係数μ1を補強テープ62が設けられていない領域の摩擦係数μ0よりも小さく設定するように構成しても良い。
さらに、この実施の形態では、加圧ロール45の補強テープ62に相当する領域の外径Dを、補強テープ62の厚さに相当する分ΔDだけ小径となるように構成することにより、加圧ロール45と定着ベルト44との間に作用する荷重N1そのものが、補強テープ62が設けられていない領域の荷重N0よりも小さくなるように構成しても良い。
また、この実施の形態では、加圧ロール45の補強テープ62に相当する領域の表面を構成する素材を、補強テープ62が設けられていない領域と異ならせることにより、補強テープ62との間の摩擦係数μ1が補強テープ62が設けられていない領域の摩擦係数μ0よりも小さくなるように構成しても良い。
このように、上記実施の形態4では、加圧ロール45が定着ベルト44を介して加熱ロール41に圧接される際に、定着ベルト44の両端部に設けられた補強テープ62を介して加熱ロール41と加圧ロール45とが圧接する際に、補強テープ62が設けられている領域の荷重N1を、補強テープ62が設けられていない領域の荷重N0よりも小さくすることができ、定着ベルト44の補強テープ62に対応した加圧ロール45の両端部が過大な摩擦力により損傷を受け、表面の離型層52の皴や弾性体層51の剥離などが発生するのを抑制することができる。
その他の構成及び作用は前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。