JP2005324138A - 窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法 - Google Patents

窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、クラックや膨れなどの欠陥のない大型の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法を提供する。
【解決手段】金属ケイ素粒子と気孔形成材とを含むハニカム成形体を主に窒化および焼結のため熱処理して金属ケイ素粒子を窒化ケイ素粒子とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法であって、該熱処理時のガス雰囲気を、順に1)第1(窒化防止)段階;室温〜窒素ガス導入開始温度までは、酸素および窒素を実質的に含まない雰囲気とし、2)第2(窒化)段階;窒素ガス導入開始温度から窒素ガス導入量制御終了温度までは窒素ガス導入量をハニカム成形体中の金属ケイ素1kg当たり0.05〜5L/min.とし、3)第3(焼結)段階;窒素ガス導入量制御終了温度からは実質的に窒素ガスからなる雰囲気として、熱処理することを特徴とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温排気ガス中に含まれる粉塵等を除去するために好適な窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法に関する。
窒化ケイ素は、耐熱性、耐食性、耐薬品性、機械的強度等に優れた特性を有しており、高温や腐食性環境下での集塵、脱塵用フィルタやディーゼルエンジンから排出される微粒子(以下、パティキュレートという)除去用フィルタ(以下、DPFという)として期待されている。このような窒化ケイ素質フィルタの製造法は、出発原料で大別すると窒化ケイ素粒子を出発原料とする製造法(特許文献1参照。)と金属ケイ素粒子を出発原料とする製造法(特許文献2〜6参照。)とに分けられる。金属ケイ素粒子を出発原料とし、直接窒化により窒化ケイ素とする製造法は、一般に、窒化ケイ素粒子を出発原料とする製造法に比べて原料費用が安価であるため製造原価の点で優れる特徴がある。
一方、金属ケイ素粒子を出発原料とする方法は、熱処理過程で金属ケイ素を窒化ケイ素にする過程(以下、窒化という)を伴うため、熱処理制御がより重要となる。熱処理制御としては、温度とともに雰囲気を充分に制御することが必要である。本発明者らは、金属ケイ素を含むハニカム成形体を種々の条件下で熱処理する際に、金属ケイ素の窒化による発熱とその放熱との熱バランスが悪いと、ハニカム成形体内部で異常な温度上昇(以下、異常発熱という)が局所的に発生し、ハニカム成形体内部にクラックが発生したり、ハニカム成形体の外部に膨れ等の欠陥が発生すること、しかも、前記欠陥の発生はハニカム成形体のサイズが大きくなる程顕著となることを経験した。
特許文献2には、金属ケイ素を含むハニカム成形体を酸化性雰囲気で有機質を焼成除去後、窒素または窒素と水素の混合ガスを含む還元性雰囲気中で、1400〜1450℃まで窒化処理、加熱焼成して窒化ケイ素を主成分とするハニカム構造体の製造法が記載されている。
特許文献3には、金属ケイ素を含む成形体を窒素ガス40〜95容量%、水素ガス60〜5容量%の雰囲気下で加熱窒化して網目状多孔質窒化ケイ素焼結体とする製造法が記載されている。
特許文献4には、20〜800℃まで不活性雰囲気(例えばアルゴン、窒素)または酸化性雰囲気とし、約1500℃まで窒素をベースに工業用窒素またはアンモニアで処理してダイカスト用多孔質窒化ケイ素金型の製造法が記載されている。
特許文献5には、金属ケイ素を含む成形体を窒素雰囲気下で1100〜1400℃で4〜12時間保持し、第2段の熱処理条件が窒素雰囲気下で1450〜1800℃で1〜12時間保持して窒化ケイ素フィルタとする製造法が記載されている。
特許文献6には、窒化ケイ素フィルタの製造法ではないが、金属ケイ素を含む成形体を約1000℃まで200℃/h〜1000℃/hの昇温速度で可燃性ガスを流して有機物を燃焼除去後、約1000℃〜1450℃までを約5℃/h〜約50℃/hの昇温速度で窒素約40〜60モル%、ヘリウム約40〜60モル%および水素約1〜4モル%の窒化ガス中で窒化し、約1450℃〜1850℃までを約250℃/h〜約1250℃/hの昇温速度で窒素、ヘリウムおよび水素を含む雰囲気下で窒化ケイ素を製造する方法が記載されている。
しかし、特許文献2〜6に提案された製造法では、金属ケイ素を窒化ケイ素とする窒化は発熱反応であるためハニカム成形体のサイズが大きくなった場合に、成形体内部での窒化率などの特性が不均一になりやすく、また最悪の場合、窒化による異常発熱により窒化段階でハニカム成形体にクラックなどの欠陥が発生するおそれがある。そこで、大型サイズの、特性の均質性が高い、しかも圧力損失(以下、圧損と略す)の低い、高品質な窒化ケイ素質フィルタの製造法が求められている。
特開2002−121073号公報(第1〜5頁) 特公昭52−19207号公報(第1〜2頁) 特公平2−11555号公報(第1〜2頁) 特表昭64−500426号公報(6頁) 国際公開第01/47833号パンフレット(4、5、7頁) 特許第3321621号公報(2、3、6頁)
本発明の目的は、大型サイズのハニカムフィルタであっても、クラックや膨れなどの欠陥がない、内部の特性の均質性が高く、しかも低圧損な窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法を提供する。
本発明は、金属ケイ素粒子と気孔形成材とを含むハニカム成形体を主に窒化および焼結のため熱処理して金属ケイ素粒子を窒化ケイ素粒子とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法であって、該熱処理時のガス雰囲気を、順に
1)第1(窒化防止)段階;室温〜窒素ガス導入開始温度までは、酸素および窒素を実質的に含まない雰囲気とし、
2)第2(窒化)段階;窒素ガス導入開始温度から窒素ガス導入量制御終了温度までは窒素ガス導入量をハニカム成形体中の金属ケイ素1kg当たり0.05〜5L/min.とし、
3)第3(焼結)段階;窒素ガス導入量制御終了温度からは実質的に窒素ガスからなる雰囲気として、熱処理することを特徴とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法を提供する。
本発明の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法(以下、本製造法という)により、大型の窒化ケイ素質ハニカムフィルタで特に問題となる窒化反応の制御が容易となるため、クラックやふくれ等の欠陥がなく、しかもフィルタ内部の特性の均質性が高い、高品質の大型の窒化ケイ素質ハニカムフィルタを提供できる。したがって、本製造法で得られた窒化ケイ素質フィルタをディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート除去用として採用することにより、信頼性の高い、耐久性に優れた、大型のDPFを提供できる。
また、本製造法では、熱処理過程で気孔形成材がその形態を保持し孤立した気孔を生成しやすいものであっても、窒化を制御することにより孤立した気孔の生成を抑制できるため、圧損の低い窒化ケイ素質ハニカムフィルタを提供できる。したがって、本製造法により圧損の要求水準が厳しいDPFに好適な窒化ケイ素質ハニカムフィルタを提供できる。
金属ケイ素を含む成形体を熱処理する際には、窒化反応を暴走させないように熱処理の温度条件や窒素ガス供給量制御を中心とする雰囲気制御が重要である。本製造法は、窒素ガス供給量制御を主とするものである。すなわち、本製造法は、金属ケイ素粒子と気孔形成材とを含むハニカム成形体を主に窒化および焼結のため熱処理して金属ケイ素粒子を窒化ケイ素粒子とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法であって、熱処理時の窒素ガス雰囲気を窒素ガス導入量で制御することを基本とする。
本製造法において、前記熱処理は以下の3段階に分けられる。すなわち、室温から窒素ガス導入開始温度までの主に窒化防止を目的とする第1段階、窒素ガス導入開始温度から窒素ガス導入量制御終了温度までの主に金属ケイ素粒子の窒化を目的とする第2段階、窒素ガス導入量制御終了温度から以降の主に窒化で生成した窒化ケイ素粒子の焼結を目的とする第3段階である。
なお、窒素ガス導入開始温度とは、窒素ガスの導入を開始する温度であり、窒素ガス導入量制御終了温度とは、窒素ガス導入量の制御を終了する温度をいう。概略、窒素ガス導入開始温度は窒化の始まる温度付近であり、窒素ガス導入量制御終了温度は窒化の終了する温度付近をいうが、これはあくまでも定性的な目安であり、これに限定されるものではない。
本製造法では、各段階での雰囲気を以下のように順に制御する。
1)第1(窒化防止)段階;酸素および窒素を実質的に含まない雰囲気とし、
2)第2(窒化)段階;窒素ガス導入量をハニカム成形体中の金属ケイ素1kg当たり0.05〜5L/min.とし、
3)第3(焼成)段階;実質的に窒素からなる雰囲気とする。
上記熱処理の温度は、窒素ガス導入開始温度が、1000〜1380℃であると好ましく、1150〜1350℃であるとさらに好ましい。また、窒素ガス導入量制御終了温度が1350〜1550℃であると好ましく、1400〜1520℃であるとさらに好ましい。
また、第3段階の最高温度は、窒化ケイ素粒子の焼結に最適な温度とするのが好ましく、具体的には、1550〜1800℃するのが好ましい。第3段階の最高温度が1650〜1780℃であるとより好ましく、1680〜1760℃であるとさらに好ましい。
前記第1段階の雰囲気としては、窒化を防止するため、酸素および窒素を実質的に含まない雰囲気であれば特に制限はない。本明細書において酸素および窒素を実質的に含まないとは、酸素濃度、窒素濃度がそれぞれ約0.1%以下であることを意味する。このような雰囲気としては、Arおよび/またはHeを含む雰囲気などが好ましいものとして挙げられる。取扱い性、入手性、経済性などの点からArを含むものがより好ましい。
また、第1段階の温度範囲では真空(減圧)雰囲気としてもよい。ハニカム成形体中に含まれる有機物の分解ガスなどは炉外に排出する方がいいので、例えば800℃までは真空(減圧)雰囲気とし、その後、例えば800℃にて温度を保持しながらArを大気圧になるまで導入するのが好ましい。
なお、窒素ガス導入開始温度は、窒素が存在するとしたら実際に窒化が始まる温度(以下、窒化開始温度という)と、必ずしも一致させる必要はなく、むしろ、気孔率の大きいハニカムフィルタや平均細孔直径の大きいハニカムフィルタを製造する場合には、窒素ガス導入開始温度を窒化開始温度より100〜200℃程度、高い温度に設定するのが好ましい。
窒素ガス導入開始温度を窒化開始温度より高い温度に設定すると、何故ハニカムフィルタの気孔率や平均細孔直径の大きいハニカムフィルタになるのか、その詳細なメカニズムは不明であるが、窒素導入開始温度を窒化開始温度より高い温度に設定すると、窒化される前に、金属ケイ素粒子自身が焼結し、金属ケイ素粒子多孔体となった段階で窒化されるためと推測している。
一方、窒素ガス導入開始温度を窒化開始温度と同程度とすると、ハニカムフィルタ内での細孔特性の場所による差が少ない均質性の高いハニカムフィルタや機械的強度の高いハニカムフィルタを製造できるため好ましい。したがって、本製造法によれば、窒素ガス導入開始温度を適宜選択することにより所望の特性のハニカムフィルタを製造できる。
前記第2段階の雰囲気としては、窒素ガス導入量をハニカム成形体中の金属ケイ素1kg当たり(以下、特に断りのない場合は、窒素ガス導入量はハニカム成形体中の金属ケイ素1kg当たりで表記する)0.05〜5L/min.とする。窒素ガス導入量が0.05L/min.未満であると、窒化の進行が遅すぎ窒化に時間がかかりすぎるおそれがある。一方、窒素ガス導入量が5L/min.を超えると窒化反応が途中で暴走して異常発熱しやすくなるほか。窒素ガス導入量が0.2〜3L/min.であると好ましく、窒素ガス導入量が0.3〜2L/min.であるとさらに好ましい。
窒化反応も一定速度で進行するわけではなく、約1200〜1450℃の温度では急速に反応が進行する。そこで、約1200〜1450℃の温度範囲までは窒化反応が暴走しないように窒素ガス導入量を少なくして反応を抑制させると異常発熱の防止および成形体中での場所による最終窒化率、細孔特性などの特性のばらつきを少なくでき均質性が向上するため好ましい。
第2段階の雰囲気としては、約1200℃までは、窒素ガス導入量を1L/min.以下とするのが好ましい。約1200〜1450℃の温度範囲では窒素ガス導入量を2L/min.以下とするのが好ましく、1L/min.以下とするとより好ましい。約1450〜1550℃の温度範囲では2〜5L/min.とすると好ましい。
なお、前記第2段階での窒化率平均変化速度が0.05〜0.7%/min.であると窒化反応が制御された形で進行するので好ましい。窒化率平均変化速度は、第2段階の開始温度をT(℃)、第2段階の終了温度をT(>T)(℃)とすると、(Tでの窒化率−Tでの窒化率)/(TからTまでの所要時間(min.))で定義する。
また、第2段階の終了温度での窒化率は80%以上が好ましく、第2段階の終了温度での窒化率が90%以上であるとより好ましく、第2段階の終了温度での窒化率が95%以上であると特に好ましい。
第3段階の雰囲気としては、実質的に窒素からなる雰囲気とする。窒素からなる雰囲気であれば圧力としては制限がないが、大気圧であると熱処理炉の構成も単純で、生産性、原価などの点で好ましい。第2段階終了時点で温度保持しながら大気圧まで窒素を導入してもよく、また温度保持せずに昇温しながら大気圧まで窒素を導入してもよい。
ただし、本明細書では窒化ケイ素の窒化率は質量変化から算出する。すなわち窒化ケイ素の生成反応は、式1で示されるように3モルの金属ケイ素が2モルの窒素と反応して1モルの窒化ケイ素となる。
3Si+2N→Si・・・式1
式1から、金属ケイ素が全て窒化ケイ素となるとその質量は、1.67倍となる((3×Si+4×N)/(3×Si)=(3×28+4×14)/(3×28)=1.67)。仮に質量変化がα倍であれば、窒化率は(α−1)/(1.67−1)=(α−1)/0.67で計算される。例えば、金属ケイ素の質量変化が1.37倍であれば窒化率は55%(0.37/0.67×100=55%)となる。
本製造法において、前記第1〜第3段階の温度条件としては、ハニカム成形体中の金属ケイ素が充分に窒化されて窒化ケイ素となり、所望の窒化ケイ素質ハニカムフィルタを製造できるものであればよく、以下に挙げる条件はその一例である。
前記第1段階、すなわち、室温から窒素ガス導入開始温度までの温度条件としては、昇温速度が2〜10℃/minであると好ましく、3〜6℃/min.であるとさらに好ましい。800℃までは3〜6℃/min.とし、800℃以上を2〜4℃/min.とすると特に好ましい。次の第2段階に進む前に、1000〜1350℃の特定温度で保持してもよい。保持時間としては1〜10時間が好ましい。
前記第2段階の温度条件としては、昇温速度が0.1〜3℃/minであると好ましい。1300℃までが1〜3℃/min.、1300〜1450℃が0.2〜1℃/min.1450〜1550℃が1〜3℃/min.であるとさらに好ましい。
前記第3段階の温度条件としては、昇温速度が2〜5℃/minであると好ましく、2〜3℃/min.であるとさらに好ましい。保持の最高温度は1550〜1800℃であると窒化ケイ素粒子が充分に焼結されるため好ましく、1650〜1780℃であるとさらに好ましい。最高温度の保持時間としては1〜5時間であると好ましく、2〜4時間であるとさらに好ましい。第3段階の雰囲気としては、大気圧の窒素とするのが好ましい。
また、熱処理の際には、ハニカム成形体をカーボン製や窒化ケイ素などの容器に入れて処理することが好ましい。カーボン製の容器の場合には、内表面に窒化ケイ素粒子、金属ケイ素粒子、または炭化ケイ素粒子からなる群から選ばれる1種以上を含む被覆層が形成されていることが好ましい。カーボン製容器の内表面に少なくとも窒化ケイ素粒子を含む被複層が形成されているとより好ましい。
本製造法において、ハニカム成形体は、金属ケイ素粒子と気孔形成材とを含む。金属ケイ素粒子としては、特に制限されないが平均粒子直径(以下、粒子直径を粒径という)が1〜200μmのものが好適に使用される。金属ケイ素の純度としては、目的、用途に応じ適宜選択される。
気孔形成材は気孔を形成するものであれば特に制限はないが、熱処理時に分解などして飛散し気孔を形成するもの(以下、飛散型気孔形成材という)や酸化物セラミックス中空粒子(以下、単に中空粒子と略す)が好適ものとして挙げられる。飛散型気孔形成材としては、熱分解性の有機高分子粒子などがある。中空粒子としては、熱処理時に気孔を形成し、しかも熱処理過程で生成する窒化ケイ素粒子に対して焼結助剤的な働きをするものであれば結晶質や非晶質のいずれも好適に使用される。中空粒子は、Al、Si、Ca、Sr、Ba、MgおよびYからなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物を主成分とすると、気孔形成以外に焼結助剤的な効果も得られフィルタの強度向上が図れるため好ましい。
ハニカム成形体中、金属ケイ素粒子、気孔形成材の量に特に制限はないが、金属ケイ素粒子が40〜90質量%、気孔形成材が10〜60質量%であると好ましい。また、前記ハニカム成形体は、窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子、中実の酸化物粒子(例えば、アルミナ粒子、イットリア粒子)、メチルセルロース類などの有機バインダ、可塑剤、分散剤、粘性調整剤などの成形助剤、を含んでいてもよい。
本製造法において、ハニカム成形体の製造法については特に制限がないが、押出成形などが生産性その他の点で好適である。具体的には、金属ケイ素粒子と気孔形成材に有機バインダ、成形助剤、イオン交換水等を必要に応じて適宜添加してニーダなどの混練機で混練して坏土とし、該坏土をハニカムの断面形状を有する金型を使用して押出成形して製造する。金型、押出成形機などはハニカム成形体のサイズ、断面形状等に応じて適宜設計・選択される。
以下に本発明の実施例を示す。
[成形体作製法]
平均粒径22μmの金属ケイ素粒子(ELKEM社製、Si純度99.5質量%)100質量部に対して、平均粒径75μmのAl成分65質量%、SiO成分35質量%からなるガラス質の中空粒子(太平洋セメント社製、商品名:SL75)30質量部を添加し、これにメチルセルロース15質量部、イオン交換水70質量部を添加し、ニーダで混練して坏土とし、真空押出成形機で押出成形して直径150mm、長さ180mm、セルピッチ1.8mm、壁厚0.35mmのハニカム成形体を得た。
[評価方法]
気孔率(%):アルキメデス法で算出した。
平均細孔直径(μm):水銀ポロシメータ(ユアサアイオニクス株式会社製、AUTOSCAN−33)で測定した。
結晶相:X線回折装置(リガク社製、商品名:ガイガーフレックスRAD−IIA)により同定した。
圧縮強度(MPa):試料より10mm×10mm×10mmサイズの試験片を切り出し、同試験片を押出方向に圧縮したときの破壊強度で測定。荷重印加速度は1mm/分とした。
気孔径分布比:ハニカムフィルタを半分の高さで切断し、その切断面の中心から半径25mm、高さ50mmの円柱状サンプルを切り出し、その中心部の平均細孔直径をdとし、また前記切断面の中心から半径50〜75mm、高さ50mmのリング状サンプルを切り出し、その一部分の扇状体の中心部の平均細孔直径をdとし、d/dで気孔径分布比とした。
スート漏れチェック:排気量3.6Lのディーゼルエンジン排気管内に両端を市松模様状に目封じしたハニカムフィルタをセットし、ハニカムフィルタ通過後のスモーク濃度をスモークメーター(AVL社製)にて測定。エンジン運転モードにかかわらず、スモーク濃度(FSN)が0.1以下であれば、スート漏れなしとした。
窒化率平均変化速度:第2段階の開始時、終了時のハニカムフィルタの質量の差を焼結前の金属Si質量の0.67倍で除した値を窒化率変化(%)とし、この窒化率変化を所要時間(min.)で除した値を窒化率平均変化速度(%/min.)とした。
[例1(実施例)]
得られたハニカム成形体を室温から800℃までは真空雰囲気(約100Pa)下で、5℃/min.で昇温し、800℃でArを大気圧まで導入後、800℃から1200℃までを3℃/min.で昇温し、続いてAr大気圧下で1200℃から1300℃までを2℃/min.で昇温して第1段階とした。
第2段階は、窒素ガス導入量を1L/min.とし、昇温速度0.5℃/min.で1300℃から1400℃まで昇温した。第3段階は、窒素を大気圧まで導入後、1400℃から1700℃まで2℃/min.で昇温し、1700℃で2時間保持後、加熱をやめ室温近くまで自然放冷した。得られたハニカムフィルタの特性は、気孔率63(%)、中心部の平均細孔直径15μm、気孔径分布比0.9、圧縮強度10MPa、スート漏れ:なし、であった。第2段階(1300〜1400℃)の窒化率平均変化速度は0.4%/min.であった。
[例2(実施例)]
得られたハニカム成形体を室温から800℃までは真空雰囲気(約100Pa)下で、5℃/min.で昇温し、800℃でArを大気圧まで導入後、800℃から1150℃までを3℃/min.で昇温して第1段階とした。
第2段階は、1150℃から1250℃までを窒素ガス導入量0.2L/min.、昇温速度1℃/min.で昇温し、1250℃から1500℃までを窒素ガス導入量0.5L/min.、昇温速度1℃/min.で昇温した。第3段階は、窒素を大気圧まで導入後、1500℃から1700℃まで3℃/min.で昇温し、1700℃で3時間保持後、加熱をやめ室温近くまで自然放冷した。得られたハニカムフィルタの特性は、気孔率60(%)、中心部の平均細孔直径11μm、気孔径分布比0.85、圧縮強度17MPa、スート漏れ:なし、であった。第2段階(1150〜1500℃)の窒化率平均変化速度は0.26%/min.であった。
[例3(実施例)]
得られたハニカム成形体を室温から1100℃までは真空雰囲気(約100Pa)下で、3℃/min.で昇温し、1100℃でArを大気圧まで導入して第1段階とした。
第2段階は、1100℃から1250℃までを窒素ガス導入量0.3L/min.、昇温速度1℃/min.で昇温し、1250℃から1400℃までを窒素ガス導入量1L/min.、昇温速度0.3℃/min.で昇温し、1400℃から1500℃までを窒素ガス導入量3L/min.、昇温速度2℃/min.で昇温して第2段階とした。
第3段階は、窒素を大気圧まで導入後、1500℃から1750℃まで3℃/min.で昇温し、1750℃で2時間保持後、加熱をやめ室温近くまで自然放冷した。得られたハニカムフィルタの特性は、気孔率58(%)、中心部の平均細孔直径8μm、気孔径分布比0.95、圧縮強度19MPa、スート漏れ:なし、であった。第2段階(1100〜1500℃)の窒化率平均変化速度は0.14%/min.であった。
[例4(比較例)]
例1において、1300℃から1400℃までの窒素ガス導入量を1L/min.から7L/min.に変更した以外は例1と同様にした。ハニカムフィルタにはクラックが発生した。
本製造法により得られる窒化ケイ素質ハニカムフィルタは、耐熱性、耐食性、耐熱衝撃性に優れた、成形体内部の組織、特性等の均質性が高い、大型のDPFとして好適に使用される。

Claims (7)

  1. 金属ケイ素粒子と気孔形成材とを含むハニカム成形体を主に窒化および焼結のため熱処理して金属ケイ素粒子を窒化ケイ素粒子とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法であって、該熱処理時のガス雰囲気を、順に
    1)第1(窒化防止)段階;室温〜窒素ガス導入開始温度までは、酸素および窒素を実質的に含まない雰囲気とし、
    2)第2(窒化)段階;窒素ガス導入開始温度から窒素ガス導入量制御終了温度までは窒素ガス導入量をハニカム成形体中の金属ケイ素1kg当たり0.05〜5L/min.とし、
    3)第3(焼結)段階;窒素ガス導入量制御終了温度からは実質的に窒素ガスからなる雰囲気として、熱処理することを特徴とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法。
  2. 前記酸素および窒素を含まない雰囲気が、Arおよび/またはHeを含む雰囲気である請求項1記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法。
  3. 前記窒素ガス導入開始温度が1000〜1380℃である請求項1または2記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法。
  4. 前記窒素ガス導入量制御終了温度が1380〜1550℃である請求項1、2または3記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法。
  5. 前記第2段階中、窒化率平均変化速度を0.05〜0.7%/min.とする請求項4記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法。
  6. 前記第3段階の最高温度が1550〜1800℃である請求項1〜5のいずれか記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法。
  7. 前記熱処理の温度条件が、室温から窒素ガス導入開始温度までは0.5〜10℃/min.で昇温し、窒素ガス導入開始温度から窒素ガス導入量制御終了温度までは0.1〜3℃/min.で昇温し、窒素ガス導入量制御終了温度以降は2〜5℃/min.で昇温することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造方法。
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