JP2002029848A - 高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法 - Google Patents

高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法

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JP2002029848A JP2000213607A JP2000213607A JP2002029848A JP 2002029848 A JP2002029848 A JP 2002029848A JP 2000213607 A JP2000213607 A JP 2000213607A JP 2000213607 A JP2000213607 A JP 2000213607A JP 2002029848 A JP2002029848 A JP 2002029848A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い熱伝導率と優れた機械的特性を併せ持った
窒化珪素焼結体を、比較的マイルドな条件で焼結して得
ることができ、その結果安価な窒化珪素焼結体を提供す
る。 【解決手段】構成する窒化珪素粒子の平均円形度が0.
80以上であり、β化率が10%以上80%未満、酸素
量が0.5〜1.8質量%、比表面積が12〜22m
/gである窒化珪素粉末に、希土類酸化物、酸化珪素、
及び酸化マグネシウムよりなる群から選ばれる1種以上
を、合計量が2.5〜14質量%となるように添加し、
更に 、窒化珪素ウイスカーを0.1〜8.5質量%添
加した後、混合し、成形し、窒素雰囲気下で焼結させる
ことを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量で優れた機械
的特性を持つと共に、高熱伝導性を示す窒化珪素焼結体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、優れた機械的特性を有する窒化珪
素焼結体については、焼結助剤の選択、繊維やウィスカ
ーの添加、特定の形状の粒子を組合せた組織を持たせる
(特開平8−319165号公報参照)、特定の粒度の
原料窒化珪素粉末を用いる(特開平8−12306号公
報、特開平8−48564号公報参照)、原料窒化珪素
粉末中のハロゲン元素含有量を下げる(特開平9−25
168号公報参照)等、各種の提案がなされている。し
かし、これらの提案された手法には熱伝導率を高める効
果はない。
【0003】また、窒化珪素焼結体の熱伝導率を高める
方法については、焼結助剤にイットリアのみを用いHI
P(熱間等方圧)焼結する方法〔「日本セラミックス協
会学術論文誌」第97巻、第1号、56〜62頁(19
89年)参照〕、アルミニウム不純物の少ない原料を使
用する方法(特開平4−17526号公報、特開平4−
219371号公報参照)、Al等の金属不純物及び酸
素含有量の少ない原料粉末を使用し、イットリア及びラ
ンタン族元素酸化物と、場合によりハフニウム、チタニ
ウム、ジルコニウム等の酸化物を焼結助剤として使用す
る方法(特開平11−100273号公報、特開平11
−100274号公報)などが開示されている。しか
し、熱伝導率が高い窒化珪素焼結体を得ようとすると、
抗折強度が低下し、高熱伝導率と大きな抗折強度は両立
することが困難である。
【0004】優れた機械的特性と高い熱伝導率を併せ持
った焼結体は、特開平9−30866号公報や特開平1
1−116341号公報に記載されているが、前者は高
温高圧下での焼成が必要なので、できた製品が高価にな
り、後者は窒化珪素ウィスカーを添加するので焼結性が
悪くなり焼結温度を高くしなければならないという欠点
を有している。特開平11−116341号公報では、
焼結温度条件として1950℃未満では焼結密度が上が
らず、2100℃を超えると過度に粒成長して強度が低
下すると記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記にかんが
みてなされたものであり、その目的は、高い熱伝導率と
優れた機械的特性を併せ持った窒化珪素焼結体を、比較
的マイルドな条件で焼結して得ることができ、その結果
安価な窒化珪素焼結体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は、構成する窒化珪素粒子の平均円形度が0.80
以上であり、β化率が10%以上80%未満、酸素量が
0.5〜1.8質量%、比表面積が12〜22m/g
である窒化珪素粉末に、希土類酸化物、酸化珪素、及び
酸化マグネシウムよりなる群から選ばれる1種以上を、
合計量が2.5〜14質量%となるように添加し、更に
、窒化珪素ウイスカーを0.1〜8.5質量%添加し
た後、混合し、成形し、窒素分圧が雰囲気下で焼結させ
ることを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法である。
【0007】本発明は、希土類酸化物が、酸化イットリ
ウム、酸化ネオジム、酸化ランタン、酸化イッテルビウ
ム、及び酸化エルビウムよりなる群から選ばれる1種以
上であることを特徴とする前記の窒化珪素焼結体の製造
方法であり、また、酸化イットリウム、酸化ネオジム、
酸化ランタン、酸化イッテルビウム、及び酸化エルビウ
ムよりなる群から選ばれる1種以上の量が、酸化イット
リウム、酸化ネオジム、酸化ランタン、酸化イッテルビ
ウム、及び酸化エルビウムよりなる群から選ばれる1種
以上と、酸化珪素、及び酸化マグネシウムよりなる群か
ら選ばれる1種以上との合計量の70質量%以上である
ことを特徴とする前記の窒化珪素焼結体の製造方法であ
る。
【0008】また、本発明は、焼結温度が1750℃〜
1950℃であることを特徴とする前記の窒化珪素焼結
体の製造方法である。
【0009】加えて、本発明は、窒化珪素ウイスカーが
予め表面を水熱処理したものであることを特徴とする前
記の窒化珪素焼結体の製造方法であり、好ましくは、窒
化珪素ウイスカーの平均直径が2〜5μmであり、平均
長さが20〜50μmであることを特徴とする前記の窒
化珪素焼結体の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明に用いる窒化珪素粉末としては、構成する窒
化珪素粒子の平均円形度が0.80以上であり、β化率
が10%以上80%未満、酸素量が0.5〜1.8質量
%、比表面積が12〜22m/gであり、好ましく
は、β化率が20〜60%、酸素量が0.7〜1.5質
量%、比表面積が14〜18m/gである窒化珪素粉
末を用いる。
【0011】構成する窒化珪素粒子の平均円形度が0.
80未満の粉末を用いると、粉末の異方性が悪影響を及
ぼし、緻密化しにくくなったり、焼結体に強度や熱伝導
率の異方性をもたらしたりするので好ましくない。ここ
で、窒化珪素粉末を構成する窒化珪素粒子の平均円形度
は、例えば、フロー式粒子像分析装置(東亜医用電子株
式会社製FPIA−1000)を用い、測定粒子数が1
000個以上となるように試料濃度を調整し、測定する
ことができる。
【0012】また、β化率が80%以上の場合には、焼
結性が悪くなり、比較的低い焼結温度で焼結させる際に
十分に緻密な焼結体を得ることができなくなる傾向があ
る。また、β化率が10%未満の場合には長時間焼成し
ないと熱伝導率が上がらない傾向がある。上記理由で2
0〜60%のβ化率の窒化珪素粉末が好ましく用いられ
る。窒化珪素粉末のβ化率測定は、X線回折装置〔例え
ば、理学電機株式会社製、ガイギー フレックス(Ge
iger Flex)2013型〕を用いて、2θ=3
2〜38度の範囲を測定し、X線回折チャートに記録し
た後、チャート上の35.2度〔α窒化珪素の(21
0)面〕、34.5度〔α窒化珪素の(102)面〕、
36.0度〔β窒化珪素の(210)面〕、33.5度
〔β窒化珪素の(101)面〕の回折線について、各々
のピーク高さを測定し、次式により算出する。
【0013】β化率(%)=(B210+B101)/
(A210+A102+B210+B101)×100 ここで、A210、A102はそれぞれα窒化珪素(2
10)面、(102)面のピーク高さ(mm)であり、
210、B101はそれぞれβ窒化珪素の(210)
面、(101)面のピーク高さ(mm)である。
【0014】窒化珪素粉末の酸素量については、0.5
質量%未満では焼結しにくく、1.8質量%を超えると
熱伝導率に悪影響を及ぼすので好ましくない。また、比
表面積については、12m/g未満では焼結時に十分
緻密化できないし、22m/gを超えると窒化珪素粉
製造時の粉砕に要するコストの増大や酸素量の増加によ
る熱伝導率への悪影響があり好ましくない。なお、窒化
珪素粉末中の酸素量は、当該窒化珪素粉末を助燃剤と共
にグラファイトるつぼに入れ、インパルス炉中で加熱
し、生成したCOガスを赤外吸収法により定量する方法
に依れば良く、例えば、酸素、窒素同時分析装置(HO
RIBA EMGA−2800)を用い、社団法人日本
セラミックス協会の窒化珪素粉末JCRMR004を標
準試料に用い測定する。
【0015】窒化珪素粉末中の不純物については極力少
ないことが好ましいが、特に、熱伝導を阻害するアルミ
ニウムは極力少ないことが望まれ、本発明者の検討に依
れば、300ppm以下、更に好ましくは150ppm
以下がよい。窒化珪素粉末中のアルミニウムの定量法と
しては、試料を加圧酸分解後、フッ化水素酸により珪酸
を揮発し残留物を酸に溶解させ、この溶液中のアルミニ
ウムをICP−AESにより定量する方法で良い。
【0016】本発明において、窒化珪素粉末に添加して
その焼結を助長する、いわゆる焼結助剤として、希土類
酸化物、酸化珪素、及び酸化マグネシウムのうちから選
ばれる1種以上を用いる。前記組成を採用するとき、窒
化珪素ウイスカーが混合されている窒化珪素粉末であっ
ても、低い温度範囲条件下でも十分に緻密で、高熱伝導
性と、機械特性に優れる窒化珪素焼結体を得ることがで
きる。殊に前記焼結助剤の量を合計で2.5〜14質量
%を窒化珪素粉末に添加するとき、1750〜1950
℃の比較的低い温度範囲で焼結することができ、好まし
い。
【0017】前記希土類酸化物に関しては、本発明者の
検討結果に依れば、酸化イットリウム、酸化ネオジム、
酸化ランタン、酸化イッテルビウム、及び酸化エルビウ
ムのうちから選ばれる一種以上を選択するとき、前記効
果が一層得やすく好ましい。
【0018】更に、本発明において、酸化イットリウ
ム、酸化ネオジム、酸化ランタン、酸化イッテルビウ
ム、及び酸化エルビウムよりなる群から選ばれる1種以
上の量が、酸化イットリウム、酸化ネオジム、酸化ラン
タン、酸化イッテルビウム、及び酸化エルビウムよりな
る群から選ばれる1種以上と、酸化珪素、及び酸化マグ
ネシウムよりなる群から選ばれる1種以上との合計量の
70質量%以上となるようにするとき、高い伝導率を有
する窒化珪素焼結体が得られることから、好ましい。
【0019】一方、焼結助剤のうち、酸化珪素や酸化マ
グネシウムは、焼結温度を下げ焼結しやすくする働きが
あり、0.2質量%以上の添加が好ましいが、あまりに
も添加しすぎると熱伝導率を低下させるので、2.0質
量%以下に留めるのが好ましい。
【0020】本発明においては、焼結体の熱伝導率を高
めると共に機械的特性を向上させるために、窒化珪素ウ
ィスカーを、0.1〜8.5質量%添加する。0.1質
量%未満では前記効果が顕著でないし、8.5質量%を
超えると、焼結がし難くなる傾向を示すからである。
【0021】本発明の製造方法によれば、従来公知の方
法に比べて、焼結温度が1750〜1950℃と低くな
るので、窒化珪素が熱分解しにくくなり、HIP焼結等
の特殊で高価な装置を用いる必要がないし、また、焼結
時の温度制御性が高くなる等、熱伝導性と機械的特性に
富む窒化珪素焼結体を高い生産性で提供できる。
【0022】本発明において、窒化珪素ウィスカーをそ
のまま添加すると、原料粉末の焼結性が低下する場合が
時として観察される。その場合には、水の沸点以上の温
度下(例えば110〜140℃の温度範囲下)で水蒸気
と接触させてその表面を予め処理(以下、水熱処理とい
う)したものを用いると、前記原料粉末の焼結性が阻害
されなくなるので、好ましい。この理由は明らかでない
が、本発明者らは、窒化珪素ウイスカー表面に生じるシ
リカが、前記窒化珪素ウイスカーを窒化珪素粉末に混合
したときに窒化珪素粉末の焼結性を助長するように働く
ため、その結果、全体としての原料粉末の焼結性が阻害
されないと推察している。
【0023】窒化珪素ウイスカーの大きさについては、
直径が小さいもの、長さが短いものは熱伝導率や機械的
特性の向上効果が小さく、平均直径が5μmを超えたり
平均長さが50μmを超えたりすると坑折強度を低下さ
せることから、平均直径が2〜5μm、平均長さが20
〜50μmであることが好ましい。なお、窒化珪素ウイ
スカーの平均直径と平均長さは、少なくとも100個以
上の窒化珪素ウイスカーについて、個々の窒化珪素ウイ
スカーの長さとそれに垂直な方向で直径を電子顕微鏡下
で観察、測定し、平均値を算出すれば良い。
【0024】本発明においては、窒化珪素粉末と焼結助
剤と窒化珪素ウィスカーとを所定配合割合で混合し、成
形するが、混合と成形の方法は特に制限されるものでは
なく、従来公知の混合、成形方法を適用すればよい。ま
た、成形時に多量の有機質バインダーを用いた場合は、
焼結前にバインダー成分を除去するために脱脂処理を行
う。
【0025】本発明においては、前述の組成を有してい
るので、その焼結温度は1750〜1950℃で十分緻
密化した、優れた機械的特性と高い熱伝導率を兼ね備え
た窒化珪素焼結体を得ることができ、例えばカーボン発
熱体を備えた電気炉等の一般的な炉を用いることがで
き、HIP焼結や一次焼結後の高温での二次焼成という
特別の装置、操作を必要としない。更に、焼結温度が低
いので焼結時の窒素分圧は1MPa未満で充分である
が、雰囲気の確保、制御性から窒素圧力として0.2〜
1MPaが好ましく選択される。なお、焼結に際して
は、成形体を窒化ホウ素や窒化珪素製のふた付きの容器
に収納し、前記容器ごと加熱するのが一般的である。
【0026】本発明の製造方法で得られる窒化珪素焼結
体は、細かい窒化珪素粒子からなるマトリックス中に、
針状の窒化珪素粒子が分散する組織となり、窒化珪素ウ
ィスカーのうち、直径が3μm以上であるウィスカーの
占める割合が10〜65面積%となっている。そして、
窒化珪素焼結体の熱伝導率は、互いに直交するX、Y、
Z方向の熱伝導率の平均値が90W/mK以上であると
共に、前記X、Y、Z方向における熱伝導率の値が±1
0W/mK以内であり、部材に方向性がなく、仮に当該
窒化珪素焼結体より所望形状の小片を切り出すことを想
定する場合に、どの部分をどの方向に切り出しても同じ
特性が得られるという特徴がある。更に、抗折強度(四
点曲げ)は600MPa以上、破壊靱性は7MPam
1/2以上を示す。
【0027】
【実施例】以下、実施例と比較例に基づいて、本発明を
更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定
されない。
【0028】(窒化珪素粉末の製造)高純度金属珪素粉
末を窒化珪素製ボールを用いた振動ミルにより粉砕し、
平均粒径を13μmとした。得られた金属珪素粉末10
0質量部に骨材〔電気化学工業(株)製窒化珪素粉末:
商品名SN−P21FC〕を10質量%、及び所定量の
フッ化カルシウムを加え、振動ミルで粉砕、混合し、窒
化珪素を主成分とする焼結体容器に嵩密度が0.8〜
1.0g/cmとなるように充填し、バッチ式の反応
炉を用いて窒化を行った。
【0029】炉内を窒素ガス置換した後、昇温を開始
し、窒化反応が開始しない500℃から不活性ガスであ
るアルゴンガスを導入し800℃までの間に所定(表1
参照)の窒素ガス分圧とした。その後、更に1300℃
になるまでアルゴンガス及び/又は窒素ガスを導入しな
がら昇温し、1300℃に達した時点で反応ガスである
窒素ガスとアルゴンガスの混合ガスを導入し、窒素分圧
が500hPa以上を維持しながら1450℃まで昇温
した。窒化の際には、最大反応速度が5%/hr以下に
なるように、窒素ガスとアルゴンガスの混合比を制御し
ながら窒化反応を行った。
【0030】得られた窒化珪素のインゴットを、ジョー
クラッシャー及びロールクラッシャーにより粗粉砕し、
更に鉄系ボールを粉砕メディアとし分散媒を水として湿
式アトライターミル(容積5リットル)を用いて微粉砕
を行った後、スラリーを抜き出した。このスラリーに、
330質量部のHClを加え撹拌した後、50質量部の
HFを加え更に撹拌した。この際スラリー温度が50〜
80℃の範囲になるように加温した。その後デカンテー
ションを行い、水による洗浄と吸引濾過を行った。次
に、濾過した窒化珪素の集合体を乾燥・解砕し窒化珪素
粉末を得た。得られた窒化珪素粉末の特性を、合成条件
と共に示した。ここで、平均粒子径の測定は、レーザー
散乱式粒度測定計(LEDS and NORTHRU
P社マイクロトラックSPA7997型)を用いて行っ
た。
【0031】
【表1】
【0032】〔実施例1〜15〕上記の各種窒化珪素粉
に対して、各種焼結助剤を表2〜表5に示す割合で配合
し、ボールミルを用いアルコール中で96時間混合し
た。そのスラリーを乾燥、解砕し、それに市販のβ型窒
化珪素ウィスカー〔宇部興産(株)製〕を表2〜表5に示
す割合で配合してV型ブレンダーで混合し、「ウィスカ
ー混合粉末」とした。窒化珪素ウィスカーは、場合によ
り120℃で96時間水熱処理した後、乾燥して使用し
た。
【0033】この混合粉末を10MPaでプレス成形し
た後、200MPaでCIP成形した。この成形体を、
窒化ホウ素〔電気化学工業(株)製、N1グレード〕製ふ
た付き容器内に置き、カーボン発熱体を備えた抵抗加熱
炉を用いて窒素分圧0.9MPa下、表2〜表5に記載
した温度で焼結し窒化珪素焼結体を得た。前記窒化珪素
焼結体に関して、機械的特性を測定する試片は4×5×
45mmのものより、熱伝導率を測定する試片は直径2
0mm×高さ15mmのものより、いずれも機械加工し
て作成した。なお、熱伝導測定用試片は、高さ方向をZ
方向に、それに垂直な互いに直交する2方向をX方向、
Y方向と定め、前記三方向に対して垂直に直径10mm
×高さ2mmの円板を得ている。窒化珪素焼結体の特性
に関し、JIS−R1611によるレーザーフラッシュ
法で、機械的特性のうち抗折強度試験はJIS−R16
01による4点曲げ試験方法を用い、破壊靱性試験はJ
IS−R1607によるSEPB法を用いて行った。こ
れらの結果を表2〜表5に示した。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】〔比較例1〜9〕表6、表7に示す各種条
件以外は実施例と同じ操作で窒化珪素焼結体を作製し、
得られた窒化珪素焼結体の特性を調べた。結果を表6、
表7に示す。
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】
【発明の効果】本発明の製造方法は、軽量で、抗折強度
と破壊靱性の両方の機械的特性に優れる高熱伝導性窒化
珪素焼結体を得ることができ、その焼結条件は従来の窒
化珪素焼結体を得るための焼結温度より低く、焼結後の
より高温あるいは高圧での二次焼成が不要である。ま
た、焼結体の表面を加工することなく、そのまま使用で
きるなど、製造に必要なエネルギーを少なくでき、延い
ては製造コストを安くできる特徴がある。
【0042】本発明の製造方法により得られる窒化珪素
焼結体は、自動車用部材、電子機器用部材、化学装置用
部材、宇宙航空用部材等、広範囲な分野で利用すること
ができ、多大な効果をもたらしうるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋宗 淑雄 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 松尾 一雄 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 伊吹山 正浩 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社中央研究所内 (72)発明者 横田 博 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社中央研究所内 (72)発明者 谷口 佳孝 福岡県大牟田市新開町1番地 電気化学工 業株式会社大牟田工場内 Fターム(参考) 4G001 BA04 BA06 BA08 BA09 BA10 BA32 BA73 BA86 BB04 BB06 BB08 BB09 BB10 BB32 BB73 BB86 BC11 BC12 BC13 BC23 BC52 BD03 BD14 BD16 BE02 BE22 BE33

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成する窒化珪素粒子の平均円形度が
    0.80以上であり、β化率が10%以上80%未満、
    酸素量が0.5〜1.8質量%、比表面積が12〜22
    /gである窒化珪素粉末に、希土類酸化物、酸化珪
    素、及び酸化マグネシウムよりなる群から選ばれる1種
    以上を、合計量が2.5〜14質量%となるように添加
    し、更に、窒化珪素ウイスカーを0.1〜8.5質量%
    添加した後、混合し、成形し、窒素雰囲気下で焼結させ
    ることを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 希土類酸化物が、酸化イットリウム、酸
    化ネオジム、酸化ランタン、酸化イッテルビウム、及び
    酸化エルビウムよりなる群から選ばれる1種以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の窒化珪素焼結体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 酸化イットリウム、酸化ネオジム、酸化
    ランタン、酸化イッテルビウム、及び酸化エルビウムよ
    りなる群から選ばれる1種以上の量が、酸化イットリウ
    ム、酸化ネオジム、酸化ランタン、酸化イッテルビウ
    ム、及び酸化エルビウムよりなる群から選ばれる1種以
    上と、酸化珪素及び酸化マグネシウムよりなる群から選
    ばれる1種以上との合計量の70質量%以上であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の窒化珪素焼結体の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 焼結温度が1750℃〜1950℃であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の窒化珪素焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記窒化珪素ウイスカーが予め表面を水
    熱処理したものであることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の窒化珪素焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記窒化珪素ウイスカーの平均直径が2
    〜5μmであり、平均長さが20〜50μmであること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化
    珪素焼結体の製造方法。
JP2000213607A 2000-07-14 2000-07-14 高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法 Expired - Lifetime JP4325824B2 (ja)

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