JP2003175307A - 窒化ケイ素フィルタおよびその製造法 - Google Patents

窒化ケイ素フィルタおよびその製造法

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JP2003175307A
JP2003175307A JP2002237603A JP2002237603A JP2003175307A JP 2003175307 A JP2003175307 A JP 2003175307A JP 2002237603 A JP2002237603 A JP 2002237603A JP 2002237603 A JP2002237603 A JP 2002237603A JP 2003175307 A JP2003175307 A JP 2003175307A
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temperature
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Naomichi Miyagawa
直通 宮川
Nobuhiro Shinohara
伸広 篠原
Kanji Arai
完爾 荒井
Hideo Takahashi
秀雄 高橋
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、耐熱性、耐熱衝撃性、耐食性、耐酸
性および機械的強度に優れた除塵、脱塵に好適なフィル
タで特にパティキュレート用フィルタとして最適な窒化
ケイ素フィルタおよびその製造法を提供する。 【解決手段】本発明は、平均粒子直径が1〜200μm
である金属ケイ素粒子40〜90%と気孔形成剤10〜
60%とを含み、かつ前記金属ケイ素粒子と前記気孔形
成剤の合量が90%以上である成形体を窒素中で熱処理
することにより実質的に窒化ケイ素からなる多孔質体と
することを特徴とする窒化ケイ素フィルタの製造法を提
供する。本発明は、気孔率40〜70%で、かつ細孔直
径1μm以下の累積細孔容積が全細孔容積中1〜15体
積%であることを特徴とする窒化ケイ素フィルタを提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温排気ガス中に
含まれる粉塵等を除去するために好適な窒化ケイ素フィ
ルタおよびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高温排気ガス中に含まれる粉塵等
を除去するためのフィルタとしてコージェライト質セラ
ミックスフィルタや炭化ケイ素質セラミックスフィルタ
が提案されている。しかし、コージェライト質セラミッ
クスフィルタは、耐熱衝撃性に優れるものの、耐熱性、
耐食性の点で必ずしも充分ではなく、また炭化ケイ素質
セラミックスフィルタは耐熱性、耐食性に優れるものの
耐熱衝撃性の点で必ずしも充分ではない。
【0003】特にセラミックスフィルタがディーゼルエ
ンジン(以下、単にエンジンと略す)から排出されるデ
ィーゼルパティキュレート(以下、単にパティキュレー
トと略す)の捕集を目的とするものであると、前記のコ
ーディエライト質フィルタや炭化ケイ素質フィルタでは
フィルタに捕集されているパティキュレートが局所的に
燃焼することにより溶損が発生しセラミックスフィルタ
に致命的な打撃を与えることがあった。また、パティキ
ュレート中には硫黄分、リン分も含まれており耐酸性も
要求されるがコーディエライト質フィルタの場合、耐酸
性の点でも必ずしも充分ではなかった。
【0004】一方、窒化ケイ素は、耐熱性、耐熱衝撃
性、耐食性、耐酸性、機械的強度等に優れた特性を有し
ており、高温や腐食性環境下での集塵または脱塵用フィ
ルタとして期待されている。特に窒化ケイ素は、耐熱
性、耐熱衝撃性、耐酸性、機械的強度に優れていること
からパティキュレート用フィルタとしては好適な材料と
考えられる。
【0005】このような窒化ケイ素フィルタの製造法と
していくつか提案されている。
【0006】例えば、特開平6−256069には、窒
化ケイ素粒子、粘土および酸化物からなる成形体を焼成
する方法が提案されている。また、特開平7−1878
45、特開平8−59364、特開平6−24859に
は、それぞれ、窒化ケイ素粒子と有機ケイ素物化合物の
混合物、窒化ケイ素粒子とポリシラザンの混合物、窒化
ケイ素粒子と合成樹脂発泡体の混合物を出発原料とする
製造法が提案されている。しかし、これらの窒化ケイ素
粒子を出発原料とする方法は、金属ケイ素粒子を出発原
料とし、直接窒化により窒化ケイ素とする方法に比べて
細孔直径1μm以下の細孔が少ないためヤング率が高く
耐熱衝撃性の点で劣る他、窒化ケイ素粒子が比較的高価
であるため製造原価の点でも問題がある。
【0007】一方、金属ケイ素粒子を用いる方法として
は、特開平1−188479には金属ケイ素粒子と、窒
化ケイ素粒子からなる混合物を出発原料とし、金属ケイ
素粒子の窒化率が50%以下の多孔体を得る製造法が提
案されている。しかし、この方法では、金属ケイ素粒子
の窒化率が50%以下であるために、窒化されずに金属
ケイ素のまま窒化ケイ素焼結体に残留するケイ素金属が
多く、窒化ケイ素のもつ優れた耐熱性、耐食性を損なう
問題がある。また、一般に金属ケイ素粒子を使用する方
法では、生成した窒化ケイ素粒子の焼結が充分ではな
く、得られる多孔体の機械的強度が不充分である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属ケイ素
粒子を出発原料とし、窒化率の高い、しかも機械的特性
に優れた除塵、脱塵に最適な窒化ケイ素フィルタの製造
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、平均粒子直径
が1〜200μmである金属ケイ素粒子40〜90質量
%(以下、単に%と略す)と気孔形成剤10〜60%と
を含み、かつ前記金属ケイ素粒子と前記気孔形成剤の合
量が90%以上である成形体を窒素中で熱処理すること
により実質的に窒化ケイ素からなる多孔質体とする窒化
ケイ素フィルタの製造法を提供する。
【0010】本発明の別の発明は、気孔率40〜70%
で、かつ細孔直径1μm以下の累積細孔容積が全細孔容
積中1〜15体積%であることを特徴とする窒化ケイ素
フィルタを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の窒化ケイ素フィルタの製
造法では、気孔形成剤10〜60%と、平均粒子直径1
〜200μmである金属ケイ素粒子40〜90%とを含
み、かつ前記気孔形成剤と前記金属ケイ素粒子の合量が
90%以上である成形体を使用する。
【0012】気孔形成剤が10%未満であるとフィルタ
機能を果たす気孔の割合が充分ではなく、気孔形成剤が
60%を超えるとフィルタの気孔率が大きくなるもの
の、充分な強度が得られない。また、金属ケイ素粒子の
平均粒子直径が1μm未満であると、成形体作成中など
に外気の酸素や水分を吸着する量が増大し、熱処理した
ときに金属ケイ素粒子が窒化される前に酸化されて生成
する二酸化ケイ素の量が大きくなりすぎる。また、金属
ケイ素粒子の平均粒子直径が200μmを超えると、熱
処理後にも焼結体内部に窒化されない金属ケイ素粒子が
残留し窒化ケイ素フィルタとしての特性が低下する。金
属ケイ素粒子が40%未満であると金属ケイ素粒子を使
用する利点、すなわち金属ケイ素の直接窒化反応を使用
する利点が生かされず、一方、金属ケイ素粒子の含有量
が90%を超えると気孔形成剤の含有量が少なくなるた
め気孔率を大きくできない。金属ケイ素粒子の純度とし
ては目的、用途に応じ適宜選択される。
【0013】本明細書において、気孔形成剤は気孔を形
成するものであれば特に制限はない。気孔形成剤として
は、熱処理時に分解などして飛散し、気孔を形成するも
の(以下、飛散型気孔形成剤という)や酸化物セラミッ
クス中空粒子などがある。
【0014】前記熱処理条件としては、窒素雰囲気下で
2段階の熱処理とし、金属ケイ素粒子の窒化に適した第
1段および生成した窒化物である窒化ケイ素粒子の焼結
に適した第2段に分けるのが好ましい。
【0015】第1段の熱処理条件としては、窒素雰囲気
下で1000〜1400℃で4〜24時間保持すること
が好ましい。温度が1000℃未満であると金属ケイ素
粒子の窒化が起こりにくく、一方、温度が1400℃を
超えると金属ケイ素の融点(1410℃)付近で金属ケ
イ素粒子が融解し、形状を保持できないため好ましくな
い。温度保持時間が4時間未満であると金属ケイ素粒子
の窒化が不充分となり好ましくなり、また温度保持時間
が24時間を超えると窒化反応がそれ以上ほとんど進行
しなくなり、運転費用がかさむため好ましくない。
【0016】第2段の熱処理条件としては、窒素雰囲気
下で1450〜1800℃で1〜12時間保持すること
が好ましい。温度が1450℃未満であると窒化ケイ素
粒子の焼結が進まないため好ましくなく、1800℃を
超えると窒化ケイ素粒子が分解するので好ましくない。
温度保持時間が1時間未満であると粒子同士の結合が充
分に進行しないため好ましくなく、一方、12時間を超
えると窒化ケイ素が分解しやすくなり好ましくない。な
お、第1段の熱処理と第2段の熱処理は、中間で温度を
いったん下げても、または温度を下げることなく連続で
実施してもよい。
【0017】熱処理時の昇温速度は、成形体の大きさ、
形状等により適宜選択されるが、50〜600℃/hで
あると窒化率、細孔直径の点で好ましい。昇温過程であ
っても、第1段および第2段で規定する温度範囲にある
場合は、その経過時間はそれぞれ第1段および第2段の
保持時間に加えるものとする。ここで窒素雰囲気とは、
実質的に窒素のみを含み酸素を含まない雰囲気をいう
が、他の不活性気体を含んでいてもよい。窒素分圧は5
0kPa以上が好ましい。
【0018】本発明の窒化ケイ素フィルタの製造法にお
いて、気孔形成剤が酸化物セラミックス中空粒子である
と好ましい。気孔形成剤が酸化物セラミックスである本
発明の窒化ケイ素フィルタの製造法を以下、本製造法1
という。
【0019】本製造法1では、酸化物セラミックス中空
粒子15〜50%と、平均粒子直径が5〜200μmの
金属ケイ素粒子40〜85%とを含み、かつ前記酸化物
セラミックス中空粒子と前記金属ケイ素粒子の合量が9
0%以上である成形体を使用すると好ましい。
【0020】酸化物セラミックス中空粒子(以下、中空
粒子という)としては、熱処理時に気孔を形成し、しか
も熱処理過程で生成する窒化ケイ素粒子に対して焼結助
剤的な働きをするものであればいずれも好適に使用され
る。
【0021】中空粒子は、Al、Si、Ca、Sr、B
aおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の金属の
酸化物を主成分とすると焼結助剤的な効果が高いため好
ましい。
【0022】中空粒子は、中空であれば外皮に相当する
部分が緻密質でもよいし、多孔質でもよい。また、中空
粒子は外形が球状粒子であると入手しやすいので好まし
いが、球状粒子以外の粒子でも中空であればよい。
【0023】中空粒子の平均粒子直径が30〜200μ
mであると、得られるフィルタの気孔率が大きく、しか
も強度も確保されるため好ましい。中空粒子の平均粒子
直径が30μm未満であると、気孔形成への寄与が低下
し、一方、平均粒子直径が200μmを超えると得られ
るフィルタの強度が不充分であるため好ましくない。中
空粒子の含有量としては、成形体中15〜50%である
と好ましい。
【0024】本製造法1に用いる金属ケイ素粒子は、平
均粒子直径が5〜200μmであると好ましいが、30
〜150μmであるとさらに好ましい。
【0025】本製造法1において、中空粒子と金属ケイ
素粒子との合量は、成形体中90%以上である。
【0026】本製造法1において、中空粒子と金属ケイ
素粒子との混合には、ボールミルやミキサーなどの一般
的な混合手段が使用でき、中空粒子と金属ケイ素粒子と
を含む成形体を作成する方法としては、プレス成形、押
出成形、鋳込成形などの通常のセラミックス成形法が適
宜採用される。なお、成形に際して、有機バインダーを
加えてもよい。このような有機バインダーとしては、ポ
リビニルアルコールまたはその変成物、でんぷんまたは
その変成物、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキ
シルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アクリ
ル樹脂またはアクリル系共重合体、酢酸ビニル樹脂また
は酢酸ビニル系共重合体、等の有機物を使用できる。こ
のような有機バインダーの添加量として成形体100質
量部(以下、単に部と略す)に対して1〜10部とする
と好ましい。
【0027】前記成形体を熱処理する条件としては、第
1段の熱処理条件が窒素雰囲気下で1200〜1400
℃で4〜12時間保持し、かつ第2段の熱処理条件が窒
素雰囲気下で1500〜1800℃で1〜12時間保持
すると好ましい。
【0028】本製造法1で得られる窒化ケイ素フィルタ
の気孔率は、30〜80%であると好ましい。気孔率
は、アルキメデス法により測定する。気孔率が30%未
満であると圧力損失が大きくなるためフィルタとして好
ましくなく、また気孔率が80%を超えると強度が低い
ためフィルタとして好ましくない。
【0029】本製造法1で得られる窒化ケイ素フィルタ
の水銀圧入法で測定された平均細孔直径は5〜40μm
であると好ましい。平均細孔直径が5μm未満であると
フィルタ使用時の圧力損失が大きくなり好ましくない。
平均細孔直径が40μmを超えるとディーゼルパティキ
ュレートのような排気微粒子の捕捉除去がしにくくなる
ため好ましくない。
【0030】本発明の窒化ケイ素フィルタの製造法にお
いて、気孔形成剤が飛散型気孔形成剤であると好まし
い。気孔形成剤が飛散型気孔形成剤である本発明の窒化
ケイ素フィルタの製造法を以下、本製造法2という。
【0031】本製造法2では、飛散型気孔形成剤10〜
50%と平均粒子直径が1〜30μmの金属ケイ素粒子
40〜90%とを含み、かつ前記飛散型気孔形成剤と前
記金属ケイ素粒子の合量が90%以上である成形体を使
用すると好ましい。
【0032】飛散型気孔形成剤としては、熱処理時に分
解などして飛散し、気孔を形成するものであれば有機
物、無機物のいずれも好適に使用される。飛散型気孔形
成剤が有機高分子粒子、特に熱分解性の高分子粒子であ
ると熱処理過程で分解、飛散し、焼結体内に残留物を残
さず得られる窒化ケイ素多孔体の特性を損なわないため
好ましい。
【0033】このような有機高分子としては、ポリビニ
ルアルコール、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロ
ースなどがある。昇温中に、飛散型気孔形成剤として添
加した有機高分子粒子が、熱処理の昇温段階で充分に熱
分解されずに炭素として多く残留すると、その後の熱処
理過程で炭化ケイ素が生成し、気孔を閉塞しやすくなる
ので好ましくない。その点、アクリル樹脂粒子を飛散型
気孔形成剤とすると熱分解しやすく、炭素として残留す
る量が少ないため好ましい。
【0034】飛散型気孔形成剤の含有量としては、成形
体中10〜50%であると好ましいが、15〜40%で
あるとフィルタの強度と気孔率の両方を高くできるため
さらに好ましい。
【0035】さらに、飛散型気孔形成剤が球形であると
形成される気孔も球状となり気孔率を高くしても強度の
低下を抑制できるので特に好ましい。また飛散型気孔形
成剤が球形である場合、平均粒子直径が20〜100μ
mであると好適である。飛散型気孔形成剤の平均粒子直
径が20μm未満であると熱処理後得られる窒化ケイ素
フィルタの平均細孔直径が5μm以下となり好ましくな
く、一方、100μmを超えると熱処理後得られる窒化
ケイ素フィルタの平均細孔直径が20μm以上となって
除塵等のフィルタとして好ましくない。
【0036】本製造法2に用いる金属ケイ素粒子は、平
均粒子直径が1〜30μmであると好ましい。金属ケイ
素粒子の含有量としては、成形体中40〜90%である
と好ましく、50〜80%であるとさらに好ましい。
【0037】本製造法2において、飛散型気孔形成剤と
金属ケイ素粒子との合量は、成形体中90%以上であ
る。飛散型気孔形成剤と金属ケイ素粒子との合量が、成
形体中90%未満であると所望の特性のフィルタを得る
ことができない。
【0038】本製造法2において、飛散型気孔形成剤と
金属ケイ素粒子とを含む成形体を作成する方法として
は、前記したように通常のセラミックス成形法が適宜採
用される。なお、成形に際して、飛散型気孔形成剤とは
別に有機バインダーを加えてもよい。このような有機バ
インダーとしては、前記したものが好ましく使用でき
る。このような有機バインダーの添加量として成形体1
00部に対して1〜10部とすると好ましい。なお、飛
散型気孔形成剤が成形体のバインダーの働きをかねても
よい。
【0039】本製造法2において第1段の熱処理条件が
窒素雰囲気下で1100〜1400℃で5〜24時間保
持すると好ましい。また第2段の熱処理条件が窒素雰囲
気下で1450〜1800℃で2〜5時間保持すると好
ましい。
【0040】本製造法2で得られる窒化ケイ素フィルタ
の気孔率は、30〜80%であると好ましい。気孔率
は、アルキメデス法により測定する。気孔率が30%未
満であると圧力損失が大きくなるためフィルタとして好
ましくない。また気孔率が80%を超えると強度が低く
なるためフィルタとして好ましくない。
【0041】本製造法2で得られる窒化ケイ素フィルタ
の水銀圧入法で測定された平均細孔直径は、5〜20μ
mであると好ましい。平均細孔直径が5μm未満である
とフィルタ使用時の圧力損失が大きくなり好ましくな
い。平均細孔直径が20μmを超えるとパティキュレー
トのような排気微粒子の捕捉除去がしにくくなるため好
ましくない。
【0042】本製造法2で得られる窒化ケイ素フィルタ
の金属ケイ素の全ケイ素に対する窒化ケイ素として含ま
れるケイ素の量(以下、窒化率という)は、90%以上
が好ましい。窒化率が90%未満であると残留する金属
ケイ素粒子により窒化ケイ素フィルタの耐熱性、耐食性
などの特性が低下するため好ましくない。
【0043】なお、本明細書では窒化ケイ素の窒化率は
質量変化から算出する。すなわち窒化ケイ素の生成反応
は、式1で示されるように3モルの金属ケイ素が2モル
の窒素と反応して1モルの窒化ケイ素となる。 3Si+2N→Si・・・式1 式1から、金属ケイ素が全て窒化ケイ素となるとその質
量は、1.67倍となる((3×Si+4×N)/(3
×Si)=(3×28+4×14)/(3×28)=
1.67)。仮に質量変化がα倍であれば、窒化率は
(α−1)/(1.67−1)=(α−1)/0.67
で計算される。例えば1.37倍であれば、窒化率は5
5%(0.37/0.67×100=55%)となる。
【0044】本発明の窒化ケイ素フィルタ(以下、本フ
ィルタという)は、気孔率40〜70%、細孔直径1μ
m以下の累積細孔容積が全細孔容積中の1〜15体積%
である。本フィルタがヤング率20〜100GPaで、
熱膨張係数が4×10−6/℃以下であると好ましい。
熱膨張係数は室温〜1000℃までの温度範囲における
値をいう。
【0045】本フィルタの気孔率は40〜70%であ
る。気孔率が40%未満では気孔容積が少なすぎて圧力
損失が上昇し、一方、70%を超えるとフィルタとして
の機械的強度が不充分となる。
【0046】全細孔容積中の細孔直径1μm以下の累積
細孔容積の比率(以下、単に1μm細孔容積率と略す)
は1〜15体積%である。1μm細孔容積率が1体積%
未満であるとヤング率が高く耐熱衝撃性が低下する。ま
た1μm細孔容積率が15体積%を超えるとフィルタの
圧力損失が上昇したり機械的強度が低下するおそれがあ
る。好ましくは、1μm細孔容積率が5〜10体積%で
ある。
【0047】本フィルタのヤング率は20〜100GP
aであると好ましい。ヤング率が20GPa未満である
とフィルタ材料の機械的強度が低くなりすぎ、一方、1
00GPa以上であると熱衝撃により発生する熱応力が
大きくなり耐熱衝撃性が低下するため好ましくない。
【0048】本明細書において、細孔容積は水銀圧入法
で測定し、ヤング率は引張強度測定により応力σ(P
a)と歪み量εを測定し、ヤング率E(Pa)=σ/ε
として算出する。歪み量の測定法としては、歪みゲージ
を使用する方法などが挙げられる。
【0049】ヤング率測定のサンプルサイズは1×1×
6cmとし、長手方向を引張方向とする。引張荷重は、
0.5mm/minで印加する。サンプルがハニカムの
場合には、前記長手方向を成形時の押出方向、すなわち
貫通孔と平行になるように切り出し、両端部を端面から
5〜10mm程度アクリル系樹脂接着剤やエポキシ系樹
脂接着剤などで孔を強固に密封して使用する。歪みはサ
ンプルに歪みゲージを貼りつけて測定する。
【0050】本フィルタの製造法としては、前記の本製
造法1や本製造法2が好ましく採用される。
【0051】
【実施例】なお、細孔測定は水銀ポロシメータ(ユアサ
アイオニクス株式会社製、商品名:AUTOSCAN−
33)で測定した。
【0052】[例1(実施例)]平均粒子直径50μm
の金属ケイ素粒子70部に平均粒子直径50μmのアル
ミナ系の中空粒子を30部添加し、さらにエタノールを
分散媒として添加し、ボールミル法によって30分間湿
式混合して、最後に乾燥した。得られた混合粉末を40
mm×60mmのプレス金型に充填し、成形圧20MP
aで一軸加圧成形を行った。成形後、雰囲気制御電気炉
(以下、単に電気炉と略す)中、窒素雰囲気下(窒素圧
=0.1MPa)で、室温から1300℃まで400℃
/hで昇温し1300℃で8時間保持した後、1700
℃まで60℃/hで昇温し1700℃で5時間保持して
熱処理した。
【0053】得られた焼結体は気孔率65%、平均細孔
直径が20μmであった。この多孔体についてX線によ
り結晶相の同定を行ったところ窒化ケイ素のみが認めら
れた。この多孔体について熱膨張係数を測定したとこ
ろ、室温から1000℃の範囲で3.0×10−6/℃
と低熱膨張であった。また、焼結体から4mm×3mm
×40mmサイズの曲げ試験片を切り出し、スパン30
mmの3点曲げ強度を室温で測定した。荷重印加速度
は、0.5mm/分とした。その結果、曲げ強度として
50MPaであった。
【0054】[例2(比較例)]例1において、アルミ
ナ系の中空粒子の添加量を30部から110部に変更す
る他は例1と同様にした。得られた焼結体は気孔率が8
8%、平均細孔直径が35μmであった。この多孔体に
ついて、例1と同様にX線回折、熱膨張係数測定および
3点曲げ強度測定を行った。その結果、結晶相の同定と
しては、窒化ケイ素以外にアルミナのピークが認められ
た。また、熱膨張係数は室温から1000℃の範囲で
5.5×10−6/℃と低熱膨張であった。室温での3
点曲げ強度は、5MPaであった。
【0055】[例3(比較例)]例1において、アルミ
ナ系の中空粒子を添加しない他は例1と同様にした。得
られた焼結体は気孔率が20%、平均細孔直径が1.5
μmであった。この多孔体について、例1と同様にX線
回折、熱膨張係数測定および3点曲げ強度測定を行っ
た。その結果、結晶相の同定としては、窒化ケイ素以外
のピークは認められなかった。また、熱膨張係数は室温
から1000℃の範囲で3.0×10−6/℃と低熱膨
張であった。室温での3点曲げ強度は、250MPaで
あった。
【0056】[例4(実施例)]例1において、金属ケ
イ素粒子の平均粒子直径を50μmから1μmに変更
し、アルミナ系中空粒子からスピネル系中空粒子に変更
する他は例1と同様にした。得られた焼結体は気孔率が
45%、平均細孔直径が4μmであった。この多孔体に
ついて、例1と同様にX線回折、熱膨張係数測定および
3点曲げ強度測定を行った。その結果、結晶相の同定と
しては、窒化ケイ素以外にわずかにスピネルのピークが
認められた。また、熱膨張係数は室温から1000℃の
範囲で4.0×10−6/℃と低熱膨張であった。室温
での3点曲げ強度は、60MPaであった。なお、得ら
れた焼結体は、顕著な変形が観察された。これは、生成
した液相により焼結が著しく進行したためと思われる。
【0057】[例5(比較例)]例1において、金属ケ
イ素粒子の平均粒子直径を50μmから400μmに変
更する他は例1と同様にした。この多孔体について、例
1と同様にX線回折、熱膨張係数測定および3点曲げ強
度測定を行った。その結果、結晶相の同定としては、窒
化ケイ素以外にシリコンとアルミナのピークが認められ
た。また、熱膨張係数は室温から1000℃の範囲で
4.8×10−6/℃と低熱膨張であった。室温での3
点曲げ強度は、25MPaであった。
【0058】[例6(実施例)]平均粒子直径50μm
の金属ケイ素粒子75部に、中空粒子として、スプレー
ドライ法によって造粒した平均粒子直径100μmの硫
酸カルシウム粉末25部を添加し、ミキサーによって3
0分間乾式混合した。得られた混合粉末を例1と同様に
してプレス成形した。成形後、電気炉中、窒素雰囲気下
(窒素圧=0.1MPa)で、室温から500℃まで4
00℃/hで、500℃から1500℃までを60℃/
hで昇温し、さらに、1500〜1600℃までを30
0℃/hで昇温し1600℃で10時間保持して窒化処
理を行った。
【0059】得られた焼結体は、気孔率55%、平均細
孔直径が30μmであった。この多孔体についてX線に
より結晶相の同定を行ったところ窒化ケイ素のみが認め
られた。この多孔体について熱膨張係数を測定したとこ
ろ、室温から1000℃の範囲で3.1×10−6/℃
と低熱膨張であり、3点曲げ強度は、40MPaであっ
た。
【0060】[例7(実施例)]平均粒子直径25μm
の金属ケイ素粒子80部に、平均粒子直径45μmのシ
リカ系のガラス中空粒子20部を添加し、さらにエタノ
ールを分散媒として添加し、ボールミル法によって30
分間湿式混合して、最後に乾燥した。得られた混合粉末
を例1と同様にプレス成形した。成形後、電気炉中、窒
素雰囲気下(窒素圧=0.1MPa)で、室温から11
00℃まで400℃/hで昇温し1100℃で10時間
保持した後、1700℃まで60℃/hで昇温し170
0℃で5時間保持して熱処理した。
【0061】得られた焼結体は気孔率50%、平均細孔
直径が15μmであった。この多孔体について熱膨張係
数を測定したところ、室温から1000℃の範囲で2.
9×10−6/℃と低熱膨張であり、3点曲げ強度は、
55MPaであった。
【0062】[例8(実施例)]平均粒子直径20μm
の金属ケイ素粒子75部に対し、平均粒子直径50μm
のシリカ−アルミナ系中空粒子25部を添加し、ミキサ
ーによって乾式混合した。この混合粉末100部に、1
0部のメチルセルロースと10部のイオン交換水を加え
てニーダで充分混練して押出成形用坏土を作製後、押出
成形した。得られた押出成形体を温風乾燥機によって乾
燥後、電気炉中、窒素雰囲気下(窒素圧=0.15MP
a)で、室温から800℃まで400℃/hで昇温し8
00℃で2時間保持した後、1700℃まで60℃/h
で昇温し1700℃で5時間保持して熱処理した。
【0063】得られた焼結体は気孔率60%、平均細孔
直径が18μmであった。この多孔体についてX線によ
り結晶相の同定を行ったところ窒化ケイ素のみが認めら
れた。さらにこの多孔体について熱膨張係数を測定した
ところ、室温から1000℃の範囲で2.9×10−6
/℃と低熱膨張であった。3点曲げ強度は60MPaで
あった [例9(実施例)]平均粒子直径40μmの金属ケイ素
粉末70部に、平均粒子直径20μmのアクリル系有機
球状粒子30部を添加し、さらにエタノールを分散媒と
して添加し、ボールミルによって2時間湿式混合して、
最後に乾燥した。得られた混合粉末を例1と同様にして
プレス成形した。成形後、電気炉中、窒素雰囲気下(窒
素圧=0.1MPa)で、室温から500℃まで60℃
/hで昇温し、次に500℃から1300℃までを40
0℃/hで昇温し1300℃で12時間保持した後、1
600℃まで400℃/hで昇温し、1600℃で4時
間保持して熱処理した。得られた焼結体の特性は、気孔
率65%、平均細孔直径が25μm、曲げ強度は10M
Paであった。
【0064】[例10(実施例)]平均粒子直径150
μmの金属ケイ素粒子70部に平均粒子直径70μmの
シリカ系の無機中空粒子を30部添加し、さらにエタノ
ールを分散媒として添加し、ボールミルによって2時間
湿式混合して、最後に乾燥した。得られた混合粉末を例
1と同様にしてプレス成形した。成形後、電気炉中、窒
素雰囲気下(窒素圧=0.08MPa)で、室温から5
00℃まで60℃/hで昇温し、次に1200℃まで1
00℃/hで昇温し、1200℃で24時間保持した
後、さらに1400℃まで400℃/hで昇温し、14
00℃で12時間保持して熱処理した。
【0065】得られた焼結体は気孔率70%、平均細孔
直径が60μmであり、焼結体中に多くのシリコン金属
とシリカが残留しており、熱膨張率は室温から1000
℃の範囲で5.0×10−6/℃と高熱膨張であり、3
点曲げ強度は、30MPaであった。
【0066】[例11(比較例)]平均粒子直径2μm
の金属ケイ素粒子90部に、平均粒子直径3μmの酸化
イットリウム5部と平均粒子直径1.5μmの酸化アル
ミニウム5部を添加した。さらに、外掛で50%のイオ
ン交換水と粉末に対して外掛で0.1%のポリカルボン
酸系分散剤を添加してスラリーを作製した。スラリー中
に60mm×120mm×30mmのウレタン発泡樹脂
体を浸漬させ、真空下で脱泡したのち、ウレタン発泡樹
脂体を取出し乾燥させた。乾燥後、電気炉で1800
℃、4時間、窒素雰囲気下(窒素圧=0.2MPa)で
焼結した。焼結後、得られた窒化ケイ素フィルタの気孔
径は75%であったが、形成された気孔径は100μm
と大きな気孔であり、強度は8MPaと低強度であっ
た。また焼結体中の一部に炭化ケイ素の生成が認められ
た。
【0067】[例12(比較例)]トルエン中に、平均
粒子直径1μmの金属ケイ素粉末100部とポリシラザ
ンを300部を加えて充分攪拌してスラリーを作製し
た。作製したスラリーを乾燥後、得られた粉末を解砕
し、さらに整粒して成形体用粉末とした。例1と同様に
プレス成形した後、100MPaで静水間加圧成形(C
IP)した。成形後、窒素雰囲気下(窒素圧=0.11
MPa)で室温から500℃まで6℃/hで昇温し、5
00℃から1200℃まで300℃/hで昇温し、12
00℃で6時間保持した後、さらに1400℃まで10
0℃/hで昇温し、1400℃で4時間保持して、熱処
理した。得られた多孔体の細孔直径は0.5μmと微細
であり、焼結体の各所に10μm程度の亀裂が各所に存
在した。
【0068】[例13(実施例)]平均粒子直径50μ
mの金属ケイ素粒子45部に平均粒子直径100μmの
アルミナ−シリカ系の中空粒子を55部を添加し、さら
にエタノールを分散媒として添加して、ミキサーによっ
て30分間湿式混合後、最後に乾燥した。得られた混合
粉末を例1と同様にプレス成形した。成形後、電気炉
中、窒素雰囲気下(窒素圧=0.09MPa)で、室温
から500℃まで400℃/hで昇温し、次に500℃
から1500℃まで60℃/hで昇温し、1500℃で
5時間保持した。さらに、1500〜1700℃までを
300℃/hで昇温し1700℃で5時間保持して熱処
理した。
【0069】得られた焼結体は気孔率87%、平均細孔
直径が35μmであった。この多孔体についてX線によ
り結晶相の同定を行ったところ窒化ケイ素とムライトの
存在が認められた。この多孔体について3点曲げ強度を
測定したところ、5MPaと低強度であった。
【0070】[例14(実施例)]平均粒子直径が3μ
mの金属ケイ素粒子100部に対し、平均粒子直径が2
0μmのアクリル樹脂粒子を30部添加し、エチルアル
コールを分散媒とし、ボールミルによって2時間混合し
た。乾燥後、この粉末を40mm×60mmのプレス金
型に充填し、成形圧19.6MPaでプレス成形を行
い、厚さ10mmの成形体を得た。該成形体を電気炉で
窒素雰囲気下(窒素圧=0.1MPa)で、室温から5
00℃まで60℃/hで昇温し、次に500℃から13
00℃までを400℃/hで昇温し1300℃で12時
間保持した後、1600℃まで400℃/hで昇温し1
600℃で4時間保持して熱処理した。
【0071】得られた焼結体の特性は、気孔率55%、
平均細孔直径が10μm、窒化率は95%であった。ま
た焼結体から4mm×3mm×40mmサイズの曲げ試
験片を切り出し、スパン30mmの3点曲げ強度を室温
で測定した。荷重印加速度は、0.5mm/分とした。
その結果、曲げ強度として19.6MPaを得た。
【0072】[例15(実施例)]例14において、1
300℃での保持時間を12時間から4時間に、160
0℃での保持時間を4時間から1時間に変更すること以
外は、例14と同様にした。得られた焼結体の特性は、
気孔率50%、平均細孔直径が8μm、窒化率は96%
であった。また、例1と同様に測定した3点曲げ強度
は、21.6MPaであった。
【0073】[例16(実施例)]例14において、平
均粒子直径20μmのアクリル樹脂粒子を平均粒子直径
60μmの酢酸ビニル樹脂粒子に変更すること以外は、
例14と同様にした。得られた焼結体の特性は、気孔率
53%、平均細孔直径が20μm、窒化率は95%であ
った。また、例1と同様に測定した3点曲げ強度は、1
4.7MPaであった。
【0074】[例17(実施例)]例14において、ア
クリル樹脂粒子の添加量を30部から50部に変更する
こと以外は、例14と同様にした。得られた焼結体の特
性は、気孔率75%、平均細孔直径が15μm、窒化率
は93%であった。また、例1と同様に測定した3点曲
げ強度は、9.8MPaであった。
【0075】[例18(実施例)]平均粒子直径が5μ
mの金属ケイ素粒子100部に対し、平均粒子直径が1
00μmのアクリル樹脂粒子を50部添加し、エチルア
ルコールを分散媒とし、ボールミルによって2時間混合
した。乾燥後、この粉末を40mm×60mmのプレス
金型に充填し、成形圧19.6MPaでプレス成形を行
い、厚さ10mmの成形体を得た。該成形体を電気炉で
窒素雰囲気下(窒素圧=0.098MPa)で、室温か
ら1000℃まで60℃/hで昇温し、次に1000℃
から1350℃までを400℃/hで昇温し1350℃
で12時間保持した後、1700℃まで400℃/hで
昇温し1700℃で4時間保持して熱処理した。得られ
た焼結体の特性は、気孔率75%、平均細孔直径が1
9.5μm、窒化率は98%であった。また、例1と同
様に測定した3点曲げ強度は、3.9MPaであった。
【0076】[例19(実施例)]平均粒子直径が1.
5μmの金属ケイ素粒子100部に対し、平均粒子直径
が50μmのアクリル樹脂粒子を40部添加し、エチル
アルコールを分散媒とし、ボールミルによって2時間混
合した。乾燥後、この粉末を40mm×60mmのプレ
ス金型に充填し、成形圧19.6MPaでプレス成形を
行い、厚さ10mmの成形体を得た。該成形体を電気炉
で窒素雰囲気下(窒素圧=0.11MPa)で、室温か
ら500℃まで60℃/hで昇温し、次に500℃から
1200℃までを400℃/hで昇温し1200℃で1
2時間保持した後、1750℃まで400℃/hで昇温
し1750℃で2時間保持して熱処理した。得られた焼
結体の特性は、気孔率65%、平均細孔直径が15μ
m、窒化率は99%であった。また、例1と同様に測定
した3点曲げ強度は、10.8MPaであった。
【0077】[例20(実施例)]平均粒子直径が40
μmの金属ケイ素粒子100部に対し、平均粒子直径が
20μmのアクリル樹脂粒子を30部添加し、エチルア
ルコールを分散媒とし、ボールミルによって2時間混合
した。乾燥後、この粉末を40mm×60mmのプレス
金型に充填し、成形圧19.6MPaでプレス成形を行
い、厚さ10mmの成形体を得た。該成形体を電気炉で
窒素雰囲気下(窒素圧=0.2MPa)で、室温から5
00℃まで60℃/hで昇温し、次に500℃から13
00℃までを400℃/hで昇温し1300℃で12時
間保持した後、1600℃まで400℃/hで昇温し1
600℃で4時間保持して熱処理した。得られた焼結体
の特性は、気孔率65%、平均細孔直径が25μm、窒
化率は85%であった。また、例1と同様に測定した3
点曲げ強度は、9.8MPaであった。
【0078】[例21(実施例)]平均粒子直径が10
0μmの金属ケイ素粒子100部に対し、平均粒子直径
が50μmのアクリル樹脂粒子を30部添加し、エチル
アルコールを分散媒とし、ボールミルによって2時間混
合した。乾燥後、この粉末を40mm×60mmのプレ
ス金型に充填し、成形圧19.6MPaでプレス成形を
行い、厚さ10mmの成形体を得た。該成形体を電気炉
で窒素雰囲気下(窒素圧=0.1MPa)で、室温から
500℃まで60℃/hで昇温し、次に500℃から1
300℃までを400℃/hで昇温し1300℃で12
時間保持した後、1600℃まで400℃/hで昇温し
1600℃で4時間保持して熱処理した。得られた焼結
体の特性は、気孔率70%、平均細孔直径が45μm、
窒化率は50%であった。また、例1と同様に測定した
3点曲げ強度は、4.9MPaであった。
【0079】[例22(比較例)]例14において、ア
クリル樹脂粒子を無添加とすること以外は、例14と同
様にした。得られた焼結体の特性は、気孔率20%、平
均細孔直径が1μm、窒化率は95%であった。また、
例1と同様に測定した3点曲げ強度は、196MPaで
あった。
【0080】[例23(実施例)]平均直径50μmの
金属ケイ素粒子45部、平均粒子径45μmのアルミナ
−シリカ系の中空粒子を14部、バインダーとしてメチ
ルセルロースを9部、潤滑剤1.5部、水30.5部配
合したものを混練機により混練した後、押出成形機によ
ってハニカム形状に成形し乾燥後、ガス入口側とガス出
口側とが交互になるように両端面を市松模様に目封じ
し、再度乾燥する。この成形体を窒素雰囲気下(窒素圧
=0.15MPa)、室温から800℃まで60℃/h
で昇温し800℃で2時間保持した後、800℃〜13
50℃まで120℃/hで昇温し1350℃で8時間保
持した後、1350℃から1700℃まで300℃/h
で昇温し1700℃で4時間保持して熱処理した。熱処
理後、直径約60mm×長さ150mm、両端面におけ
るセル密度が280セル/6.45cmの窒化ケイ素
製ハニカムフィルタ(以下、単にハニカムフィルタと略
す)を得た。
【0081】このハニカムフィルタの特性を測定したと
ころ気孔率56%、平均細孔直径10μm、熱膨張係数
2.8×10−6/℃、ヤング率70GPaおよび1μ
m細孔容積率7%であった。
【0082】得られたハニカムフィルタの各セルの表面
に白金などの貴金属元素、他の金属元素または酸化物な
どからなる捕集されたパティキュレートを燃焼させるた
めの酸化触媒を担持させてパティキュレート用フィルタ
とした。
【0083】このハニカムフィルタを金属ケーシング内
に保持後、エンジンからの排気ガス用配管の途中にセッ
トしてハニカムフィルタ内を排気ガスが前記パティキュ
レート用フィルタ内をウオールフローに流れるようにし
た。これによりエンジンからの排気ガスはハニカムフィ
ルタで浄化される。ハニカムフィルタの再生は、捕集さ
れたパティキュレートが一定量になったところで付属の
加熱手段によりパティキュレートを加熱燃焼させて除去
することにより行われる。
【0084】このハニカムフィルタのパティキュレート
フィルタとしての性能を圧力損失変化、パティキュレー
ト捕集性能、耐熱衝撃について評価した。
【0085】まず圧力損失変化は、使用前の初期圧損Δ
と使用後の圧損ΔPをそれぞれ測定し、ΔP(k
Pa・s/cm)=ΔP−ΔPとして算出した。初
期圧損ΔPは金属ケーシング内に保持された使用前の
ハニカムフィルタに流速0.23m/minで窒素ガ
スを流して測定した。使用後の圧損ΔPは、エンジン
起動後1時間使用したものを同様にして測定した。
【0086】パティキュレート捕集性能は、エンジン起
動から30分後、ハニカムフィルタを通過した排気ガス
(以下、清浄ガスという)中のパティキュレート量の多
寡で判定した。すなわち清浄ガス中のパティキュレート
量が少ないほど、フィルタのパティキュレート捕集性能
が高い。
【0087】具体的には、清浄ガスの一部をガス吸引器
(BACHARACH社製、商品名:True−Spo
t Smoke Tester)で抜き取り、前記ガス
吸引器内にセットされた白色のろ紙に付着したパティキ
ュレートの量を目視で付属のスケールと比較対象し6段
階で判定した。清浄ガス中のパティキュレート量が最も
少なく、ろ紙にパティキュレートが付着していない状態
(ろ紙が白色のまま)を1とし、一方、ろ紙の全面にパ
ティキュレートが付着し全面黒色になっている状態を6
と判定した。
【0088】また、耐熱衝撃性は使用前のハニカムフィ
ルターの片端のみを加熱し、ハニカムフィルタにクラッ
クが発生したときの両端の温度差ΔT(℃)を測定し
た。
【0089】以下に上記フィルタを排ガス浄化装置用フ
ィルタとして使用した場合の評価結果を表1に示す。
【0090】表中、フィルタ1は上記フィルタであり、
フィルタ2、フィルタ3は同一形状の炭化ケイ素製ハニ
カムフィルタである。なお、フィルタ2の特性は気孔率
38%、平均細孔直径31μm、熱膨張係数4.2×1
−6/℃、ヤング率220GPaおよび1μm細孔容
積率0.1%であり、またフィルタ3の特性は気孔率4
8%、平均細孔直径9μm、熱膨張係数4.2×10
−6/℃、ヤング率250GPaおよび1μm細孔容積
率0.5%である。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】本発明の窒化ケイ素フィルタの製造法に
より、耐熱性、耐熱衝撃性、耐食性、耐薬品性、機械的
強度等にすぐれた特性を有し、高温や腐食性雰囲気下で
の集塵または脱塵用フィルタとして好適な窒化ケイ素フ
ィルタを製造できる。
【0093】また本発明の窒化ケイ素フィルタは耐熱
性、耐食性、耐酸性を有する他に、ヤング率が低く、し
たがって耐熱衝撃性に優れている。またパティキュレー
トなどの捕集に適する平均細孔直径を有し、しかも気孔
率が高く、機械的強度もあることから、特にパティキュ
レート用フィルタとして最適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01N 3/02 301 C04B 35/58 102Y (72)発明者 高橋 秀雄 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 3G090 AA02 4D019 AA01 BA05 BB06 BD01 CB06 4G001 BA62 BB32 BC48 BC57 BD36 BE33 BE34 4G019 FA13 GA04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子直径が1〜200μmである金属
    ケイ素粒子40〜90質量%と気孔形成剤10〜60質
    量%とを含み、かつ前記金属ケイ素粒子と前記気孔形成
    剤の合量が90質量%以上である成形体を窒素中で熱処
    理することにより実質的に窒化ケイ素からなる多孔質体
    とすることを特徴とする窒化ケイ素フィルタの製造法。
  2. 【請求項2】前記熱処理条件が、成形体を温度1000
    〜1400℃の窒素雰囲気中で、4〜24時間保持して
    第1段階の熱処理を行った後、さらに温度1450〜1
    800℃で1〜12時間保持して第2段階の熱処理を行
    うものである請求項1記載の窒化ケイ素フィルタの製造
    法。
  3. 【請求項3】平均粒子直径が1〜30μmである金属ケ
    イ素粒子40〜90質量%と気孔形成剤10〜50質量
    %とを含み、かつ前記気孔形成剤が飛散型気孔形成剤で
    ある請求項1記載の窒化ケイ素フィルタの製造法。
  4. 【請求項4】前記窒化ケイ素フィルタの全ケイ素に対す
    る窒化ケイ素として含まれるケイ素の量が90%以上で
    ある請求項3記載の窒化ケイ素フィルタの製造法。
  5. 【請求項5】前記多孔質体の気孔率が30〜80%であ
    る請求項1〜4のいずれか記載の窒化ケイ素フィルタの
    製造法。
  6. 【請求項6】前記多孔質体の水銀圧入法で測定される平
    均細孔直径が5〜20μmである請求項3、4または5
    記載の窒化ケイ素フィルタの製造法。
  7. 【請求項7】前記熱処理条件が、成形体を温度1000
    〜1400℃の窒素雰囲気中で、5〜24時間保持して
    第1段階の熱処理を行った後、さらに温度1450〜1
    800℃の範囲で2〜5時間保持して第2段階の熱処理
    を行うものである請求項3〜6のいずれか記載の窒化ケ
    イ素フィルタの製造法。
  8. 【請求項8】気孔率40〜70%で、かつ細孔直径1μ
    m以下の累積細孔容積が全細孔容積中1〜15体積%で
    あることを特徴とする窒化ケイ素フィルタ。
  9. 【請求項9】ヤング率が20〜100GPaで、かつ熱
    膨張係数が4×10−6/℃以下である請求項8記載の
    窒化ケイ素フィルタ。
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