JP2004195396A - セラミックスフィルタおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温排気ガス中に含まれる微粒子を除去するに適するセラミックスフィルタを提供する。
【解決手段】酸化ニオブを40質量%以上含むことを特徴とするセラミックスフィルタであって、好ましくは平均細孔直径が2〜100μmで、気孔率が30〜70%である微粒子除去用セラミックスフィルタ。また、酸化ニオブ粒子40質量%以上と気孔形成剤とを含む成形体を焼成することを特徴とする微粒子除去用セラミックスフィルタの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】酸化ニオブを40質量%以上含むことを特徴とするセラミックスフィルタであって、好ましくは平均細孔直径が2〜100μmで、気孔率が30〜70%である微粒子除去用セラミックスフィルタ。また、酸化ニオブ粒子40質量%以上と気孔形成剤とを含む成形体を焼成することを特徴とする微粒子除去用セラミックスフィルタの製造方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温排気ガス中に含まれる粉塵等を除去するために好適なセラミックスフィルタおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高温の排ガスに含まれる固体成分を分離するため、各種セラミックスフィルタが提案されている。高温の排ガスを取り扱うことから、これらのセラミックスフィルタには耐熱性、耐熱衝撃性が要求される。耐熱衝撃性は熱膨張係数が低い程よい。代表的な低熱膨張材料としてはコーディエライトがある。コーディエライトは耐熱衝撃性に優れるほか、酸化物であるので排ガス中の酸素と反応しないため酸化劣化の心配がない、等優れた性質がある。
【0003】
コーディエライトは難焼結性であるためβ−スポジュメン、ユークリプタイト等のコーディエライトより融点が低いか、融点以下で液相を生成する材料、いわゆる焼結助剤、を使用して焼結することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、焼結助剤を使用するため耐熱性が低下したり、焼結助剤が排ガス中に含まれる腐食性のガス、例えば、HClのような塩素化ガス、亜硫酸ガス等により腐食されやすいため、耐久性が充分でないなどの問題点があるほか、液相が生成する1100℃付近以上では実質上使用できないおそれ等があった。
【0004】
コーディエライト以外の低熱膨張材料の一つとして酸化ニオブがある(非特許文献1参照。)。酸化ニオブを使用した多孔体としては、酸化ニオブ系物質を0.5〜25質量%含むセラミックフォーム(特許文献2参照。)や太陽電池用の、水酸化ニオブを出発原料とする、酸化ニオブからなる多孔質電極(特許文献3参照。)が提案されている。しかし、前記セラミックスフォームでは気孔率が90%以上と非常に高いものの、酸化ニオブ添加量が少ないことから耐熱衝撃性が充分ではないほか、機械的強度も充分ではないおそれもある。また、前記多孔質電極に関する提案では酸化ニオブを使用したフィルタについては直接的な記載はおろか間接的な記載もなく示唆もない。いずれにしても酸化ニオブの低熱膨張性を利用した、微粒子を除去するフィルタについてはいまだ提案されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平1−297131号公報(第1頁〜第3頁。)
【特許文献2】
特開平1−208378号公報(第1頁〜第4頁。)
【特許文献3】
特開平9−237641号公報(第1頁〜第4頁。)
【非特許文献1】
セラミックス 14(1979)No.11、p967〜976
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱衝撃性や耐熱性に優れ、排ガス中に含まれる腐食性のガスに対する耐久性が高い、主に微粒子を除去するセラミックフィルタの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミックスフィルタ(以下、本フィルタという)は、酸化ニオブを主成分とすることを特徴とする。本明細書において、酸化ニオブは、五酸化ニオブ(Nb2O5)のことをさすが、二酸化ニオブ(NbO2)三酸化ニオブ(Nb2O3)などの低級酸化物を含んでいてもよい。本フィルタにおいては酸化ニオブを40質量%以上含む。酸化ニオブの含有量が40質量%未満であると、酸化ニオブの有する、耐熱衝撃性、耐熱性、フッ酸以外の酸に対して優れた耐食性や耐久性、等の優れた性質が発揮されないおそれがある。酸化ニオブの含有量が60質量%以上であると好ましく、酸化ニオブの含有量が80質量%以上であるとさらに好ましい。本フィルタにおいて、酸化ニオブ以外に酸化タンタル、酸化ケイ素および酸化アルミニウムからなる群から選ばれる1種以上を添加すると焼結助剤的な働きにより機械的強度を向上できるため好ましい。
【0008】
本フィルタの気孔率としては、30%以上であると好ましく、40%以上であるとさらに好ましい。気孔率が30%未満であるとフィルタ体積当りの排ガス処理量が少なくなり好ましくない。一方、気孔率が70%を超えると機械的強度が不充分となるおそれがあることから、気孔率は70%未満が好ましく、より好ましくは60%未満である。
【0009】
本フィルタの平均細孔直径(以下、単に平均細孔径と略す)は2〜100μmであると好ましい。平均細孔径が2μm未満であるとフィルタ使用時の圧力損失が大きくなり好ましくない。一方、平均細孔径が100μmを超えると排気ガス中の微粒子の捕捉除去がしにくくなる。前記微粒子がディーゼルパティキュレートの場合には、本フィルタの平均細孔径が5〜40μmであるとさらに好ましい。
【0010】
本フィルタの平均熱膨張係数が1.0〜3.5×10−6/℃であると好ましい。平均熱膨張係数が1.0×10−6/℃未満であると、実質的に、本フィルタを構成する粒子間の粒界に亀裂が多い構造となっており、機械的強度の低下原因となるおそれがあり好ましくない。一方、平均熱膨張係数が3.5×10−6/℃を超えると耐熱衝撃性が低下するため好ましくない。
【0011】
また、本発明のセラミックスフィルタの製造法(以下、本製造法という)は、酸化ニオブ粒子40%以上と気孔形成剤とを含む成形体を焼成することを特徴とする。本製造法において酸化ニオブ粒子としては、特に制限はないが、平均粒子直径(以下、単に平均粒径と略す)が0.1〜100μmであると好ましい。平均粒径が0.1μm未満であると焼結が進みすぎるため細孔の量と径の制御が難しくなる。一方、平均粒径が100μmを超えると平均細孔径が100μmを超える可能性が高くなり好ましくない。平均粒径が0.2〜70μmであるとさらに好ましく、平均粒径が0.5〜50μmであると特に好ましい。本製造法において、酸化ニオブの純度としては特に制限されないが、純度が98〜99.9%であると好ましい。純度が98%未満であると、低熱膨張性を発現しないおそれがある。一方、純度が99.9%を超えると本フィルタを構成する粒子間の粒界に亀裂が多い構造となり機械的強度の低下の原因となるおそれがある。
【0012】
本製造法において、気孔形成剤としては熱処理により酸化して揮発する材料であれば特に制限されず、鱗片状黒鉛などのカーボン、パルプ、コーンスターチ、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースなどの有機高分子粒子等が挙げられる。
【0013】
前記気孔形成剤の量としては、成形体中5〜60質量%である。気孔形成剤の含有量が5質量%未満であるとフィルタ機能を果たす気孔の割合が充分でなく、一方、60質量%を超えるとフィルタの気孔率は大きくなるが充分な機械的強度が得られない。気孔形成剤の含有量が10〜50質量%であるとさらに好ましい。気孔形成剤の含有量が15〜40質量%であると特に好ましい。本製造法においては、酸化ニオブと気孔形成剤以外にも有機バインダ、分散剤、可塑剤、湿潤剤などの成形助剤を添加してもよい。
【0014】
本製造法において、酸化ニオブ粒子と気孔形成剤を含む成形体の作成法としては、通常のセラミックス成形法であれば特に制限されない。プレス成形法、押出成形法、射出成形法などが挙げられる。なお、本製造法において、成形の前に必要に応じて混合や混練などの原料処理を適宜行うと好ましい。これらの混合や混練なども特に制限はない。
【0015】
本製造法において、得られた成形体は大気中で焼成される。焼成条件としては、昇温速度10〜600℃/hで昇温し、1000〜1400℃で1〜10時間保持して焼成する。なお、焼成途中で前記有機バインダを脱バインダするための温度条件を入れてもよい。焼成前に、脱バインダの工程を別途設けてもよい。焼成温度としては、1100〜1370℃であるとさらに好ましく、1200〜1350℃であると特に好ましい。
【0016】
【実施例】
以下に本発明の実施例(例1〜例2)を示す。なお、気孔率はアルキメデス法で測定した。細孔特性は、水銀ポロシメータ(ユアサアイオニクス社製、商品名:AutoSCAN−33)で測定し、熱膨張係数は室温から1000℃までの範囲で示差熱型熱膨張測定機(リガク社製、商品名:TAS−100)により、測定した。耐酸性は、約10gの多孔体を、25℃で6mol/Lの塩酸水溶液に48時間浸漬した前後の質量変化を精密電子天秤で測定して評価した。
【0017】
[例1]
五酸化ニオブの粉末(高純度化学研究所社製、純度99%(五酸化タンタルを0.02質量%、二酸化ケイ素を0.04質量%含有)、平均粒径約1μm)を50mm×50mmのプレス金型に充填し、成形圧19.6MPaで一軸加圧後、さらに成形圧98MPaで冷間静水圧成形(CIP)して、50mm×50mm×5mmの成形体サンプルを得た。この成形体サンプルを空気中、昇温速度6.7℃/分で1250℃まで昇温して、1250℃で5時間保持して焼成し室温まで冷却後、多孔体を得た。得られた多孔体の気孔率は32%であった。細孔特性は、平均細孔径が2.3μmであり、細孔容積の90%が細孔直径3μm以下であった。熱膨張係数は、1.8×10−6/℃であった。耐酸性テストにおいて、質量減量は0.0002gであり、実質上変化は認められなかった。
【0018】
[例2]
例1で使用した五酸化ニオブ粉末65質量部に対して、メチルセルロースを10質量部、平均粒径20μmの球状のアクリル樹脂粒子25質量部とイオン交換水を10質量部添加して加圧ニーダで30分間混錬して成形用坏土を調製した。得られた坏土を押出機によって、押出成形し、幅120mm、厚さ6mm、長さ30cmの平板サンプルを得た。平板サンプルを乾燥機で充分に乾燥させた後、空気中、昇温速度5℃/分で1330℃×5時間焼成して多孔体を得た。得られた多孔体の気孔率は55%であった。細孔特性は、平均細孔径が10μmであり、細孔容積の90%が細孔直径40μm以下であった。熱膨張係数は、1.8×10−6/℃であった。耐酸性テストにおいて、質量減量は0.0001gであり、実質上変化は認められなかった。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、低熱膨張係数を有し、融点が1520℃と高く、比重が4.47と低い酸化ニオブを多く含むため、耐熱衝撃、耐熱性や耐食性に優れ、しかも軽量であるため高温排気ガス中の微粒子を除去するフィルタとして好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温排気ガス中に含まれる粉塵等を除去するために好適なセラミックスフィルタおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高温の排ガスに含まれる固体成分を分離するため、各種セラミックスフィルタが提案されている。高温の排ガスを取り扱うことから、これらのセラミックスフィルタには耐熱性、耐熱衝撃性が要求される。耐熱衝撃性は熱膨張係数が低い程よい。代表的な低熱膨張材料としてはコーディエライトがある。コーディエライトは耐熱衝撃性に優れるほか、酸化物であるので排ガス中の酸素と反応しないため酸化劣化の心配がない、等優れた性質がある。
【0003】
コーディエライトは難焼結性であるためβ−スポジュメン、ユークリプタイト等のコーディエライトより融点が低いか、融点以下で液相を生成する材料、いわゆる焼結助剤、を使用して焼結することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、焼結助剤を使用するため耐熱性が低下したり、焼結助剤が排ガス中に含まれる腐食性のガス、例えば、HClのような塩素化ガス、亜硫酸ガス等により腐食されやすいため、耐久性が充分でないなどの問題点があるほか、液相が生成する1100℃付近以上では実質上使用できないおそれ等があった。
【0004】
コーディエライト以外の低熱膨張材料の一つとして酸化ニオブがある(非特許文献1参照。)。酸化ニオブを使用した多孔体としては、酸化ニオブ系物質を0.5〜25質量%含むセラミックフォーム(特許文献2参照。)や太陽電池用の、水酸化ニオブを出発原料とする、酸化ニオブからなる多孔質電極(特許文献3参照。)が提案されている。しかし、前記セラミックスフォームでは気孔率が90%以上と非常に高いものの、酸化ニオブ添加量が少ないことから耐熱衝撃性が充分ではないほか、機械的強度も充分ではないおそれもある。また、前記多孔質電極に関する提案では酸化ニオブを使用したフィルタについては直接的な記載はおろか間接的な記載もなく示唆もない。いずれにしても酸化ニオブの低熱膨張性を利用した、微粒子を除去するフィルタについてはいまだ提案されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平1−297131号公報(第1頁〜第3頁。)
【特許文献2】
特開平1−208378号公報(第1頁〜第4頁。)
【特許文献3】
特開平9−237641号公報(第1頁〜第4頁。)
【非特許文献1】
セラミックス 14(1979)No.11、p967〜976
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱衝撃性や耐熱性に優れ、排ガス中に含まれる腐食性のガスに対する耐久性が高い、主に微粒子を除去するセラミックフィルタの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミックスフィルタ(以下、本フィルタという)は、酸化ニオブを主成分とすることを特徴とする。本明細書において、酸化ニオブは、五酸化ニオブ(Nb2O5)のことをさすが、二酸化ニオブ(NbO2)三酸化ニオブ(Nb2O3)などの低級酸化物を含んでいてもよい。本フィルタにおいては酸化ニオブを40質量%以上含む。酸化ニオブの含有量が40質量%未満であると、酸化ニオブの有する、耐熱衝撃性、耐熱性、フッ酸以外の酸に対して優れた耐食性や耐久性、等の優れた性質が発揮されないおそれがある。酸化ニオブの含有量が60質量%以上であると好ましく、酸化ニオブの含有量が80質量%以上であるとさらに好ましい。本フィルタにおいて、酸化ニオブ以外に酸化タンタル、酸化ケイ素および酸化アルミニウムからなる群から選ばれる1種以上を添加すると焼結助剤的な働きにより機械的強度を向上できるため好ましい。
【0008】
本フィルタの気孔率としては、30%以上であると好ましく、40%以上であるとさらに好ましい。気孔率が30%未満であるとフィルタ体積当りの排ガス処理量が少なくなり好ましくない。一方、気孔率が70%を超えると機械的強度が不充分となるおそれがあることから、気孔率は70%未満が好ましく、より好ましくは60%未満である。
【0009】
本フィルタの平均細孔直径(以下、単に平均細孔径と略す)は2〜100μmであると好ましい。平均細孔径が2μm未満であるとフィルタ使用時の圧力損失が大きくなり好ましくない。一方、平均細孔径が100μmを超えると排気ガス中の微粒子の捕捉除去がしにくくなる。前記微粒子がディーゼルパティキュレートの場合には、本フィルタの平均細孔径が5〜40μmであるとさらに好ましい。
【0010】
本フィルタの平均熱膨張係数が1.0〜3.5×10−6/℃であると好ましい。平均熱膨張係数が1.0×10−6/℃未満であると、実質的に、本フィルタを構成する粒子間の粒界に亀裂が多い構造となっており、機械的強度の低下原因となるおそれがあり好ましくない。一方、平均熱膨張係数が3.5×10−6/℃を超えると耐熱衝撃性が低下するため好ましくない。
【0011】
また、本発明のセラミックスフィルタの製造法(以下、本製造法という)は、酸化ニオブ粒子40%以上と気孔形成剤とを含む成形体を焼成することを特徴とする。本製造法において酸化ニオブ粒子としては、特に制限はないが、平均粒子直径(以下、単に平均粒径と略す)が0.1〜100μmであると好ましい。平均粒径が0.1μm未満であると焼結が進みすぎるため細孔の量と径の制御が難しくなる。一方、平均粒径が100μmを超えると平均細孔径が100μmを超える可能性が高くなり好ましくない。平均粒径が0.2〜70μmであるとさらに好ましく、平均粒径が0.5〜50μmであると特に好ましい。本製造法において、酸化ニオブの純度としては特に制限されないが、純度が98〜99.9%であると好ましい。純度が98%未満であると、低熱膨張性を発現しないおそれがある。一方、純度が99.9%を超えると本フィルタを構成する粒子間の粒界に亀裂が多い構造となり機械的強度の低下の原因となるおそれがある。
【0012】
本製造法において、気孔形成剤としては熱処理により酸化して揮発する材料であれば特に制限されず、鱗片状黒鉛などのカーボン、パルプ、コーンスターチ、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースなどの有機高分子粒子等が挙げられる。
【0013】
前記気孔形成剤の量としては、成形体中5〜60質量%である。気孔形成剤の含有量が5質量%未満であるとフィルタ機能を果たす気孔の割合が充分でなく、一方、60質量%を超えるとフィルタの気孔率は大きくなるが充分な機械的強度が得られない。気孔形成剤の含有量が10〜50質量%であるとさらに好ましい。気孔形成剤の含有量が15〜40質量%であると特に好ましい。本製造法においては、酸化ニオブと気孔形成剤以外にも有機バインダ、分散剤、可塑剤、湿潤剤などの成形助剤を添加してもよい。
【0014】
本製造法において、酸化ニオブ粒子と気孔形成剤を含む成形体の作成法としては、通常のセラミックス成形法であれば特に制限されない。プレス成形法、押出成形法、射出成形法などが挙げられる。なお、本製造法において、成形の前に必要に応じて混合や混練などの原料処理を適宜行うと好ましい。これらの混合や混練なども特に制限はない。
【0015】
本製造法において、得られた成形体は大気中で焼成される。焼成条件としては、昇温速度10〜600℃/hで昇温し、1000〜1400℃で1〜10時間保持して焼成する。なお、焼成途中で前記有機バインダを脱バインダするための温度条件を入れてもよい。焼成前に、脱バインダの工程を別途設けてもよい。焼成温度としては、1100〜1370℃であるとさらに好ましく、1200〜1350℃であると特に好ましい。
【0016】
【実施例】
以下に本発明の実施例(例1〜例2)を示す。なお、気孔率はアルキメデス法で測定した。細孔特性は、水銀ポロシメータ(ユアサアイオニクス社製、商品名:AutoSCAN−33)で測定し、熱膨張係数は室温から1000℃までの範囲で示差熱型熱膨張測定機(リガク社製、商品名:TAS−100)により、測定した。耐酸性は、約10gの多孔体を、25℃で6mol/Lの塩酸水溶液に48時間浸漬した前後の質量変化を精密電子天秤で測定して評価した。
【0017】
[例1]
五酸化ニオブの粉末(高純度化学研究所社製、純度99%(五酸化タンタルを0.02質量%、二酸化ケイ素を0.04質量%含有)、平均粒径約1μm)を50mm×50mmのプレス金型に充填し、成形圧19.6MPaで一軸加圧後、さらに成形圧98MPaで冷間静水圧成形(CIP)して、50mm×50mm×5mmの成形体サンプルを得た。この成形体サンプルを空気中、昇温速度6.7℃/分で1250℃まで昇温して、1250℃で5時間保持して焼成し室温まで冷却後、多孔体を得た。得られた多孔体の気孔率は32%であった。細孔特性は、平均細孔径が2.3μmであり、細孔容積の90%が細孔直径3μm以下であった。熱膨張係数は、1.8×10−6/℃であった。耐酸性テストにおいて、質量減量は0.0002gであり、実質上変化は認められなかった。
【0018】
[例2]
例1で使用した五酸化ニオブ粉末65質量部に対して、メチルセルロースを10質量部、平均粒径20μmの球状のアクリル樹脂粒子25質量部とイオン交換水を10質量部添加して加圧ニーダで30分間混錬して成形用坏土を調製した。得られた坏土を押出機によって、押出成形し、幅120mm、厚さ6mm、長さ30cmの平板サンプルを得た。平板サンプルを乾燥機で充分に乾燥させた後、空気中、昇温速度5℃/分で1330℃×5時間焼成して多孔体を得た。得られた多孔体の気孔率は55%であった。細孔特性は、平均細孔径が10μmであり、細孔容積の90%が細孔直径40μm以下であった。熱膨張係数は、1.8×10−6/℃であった。耐酸性テストにおいて、質量減量は0.0001gであり、実質上変化は認められなかった。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、低熱膨張係数を有し、融点が1520℃と高く、比重が4.47と低い酸化ニオブを多く含むため、耐熱衝撃、耐熱性や耐食性に優れ、しかも軽量であるため高温排気ガス中の微粒子を除去するフィルタとして好適である。
Claims (4)
- 酸化ニオブを40質量%以上含むことを特徴とするセラミックスフィルタ。
- 平均細孔直径が2〜100μmで、気孔率が30〜70%である請求項1記載のセラミックスフィルタ。
- 酸化ニオブ粒子40質量%以上と気孔形成剤とを含む成形体を焼成することを特徴とするセラミックスフィルタの製造方法。
- 前記焼成の温度が1000〜1400℃である請求項3記載のセラミックスフィルタ製造方法。
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---|---|---|---|
JP2002368461A JP2004195396A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | セラミックスフィルタおよびその製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102151440A (zh) * | 2011-03-28 | 2011-08-17 | 信阳师范学院 | 一种以膨胀珍珠岩和沸石为主要原料的复合滤管及其制备方法 |
CN102351558A (zh) * | 2011-06-30 | 2012-02-15 | 山东理工大学 | 注凝成型制备高温气体净化用陶瓷过滤元件的方法 |
KR20180137973A (ko) * | 2017-06-20 | 2018-12-28 | 재단법인 전라남도 환경산업진흥원 | 미세기공이 조절된 세라믹 필터의 제조방법 |
-
2002
- 2002-12-19 JP JP2002368461A patent/JP2004195396A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102151440A (zh) * | 2011-03-28 | 2011-08-17 | 信阳师范学院 | 一种以膨胀珍珠岩和沸石为主要原料的复合滤管及其制备方法 |
CN102351558A (zh) * | 2011-06-30 | 2012-02-15 | 山东理工大学 | 注凝成型制备高温气体净化用陶瓷过滤元件的方法 |
KR20180137973A (ko) * | 2017-06-20 | 2018-12-28 | 재단법인 전라남도 환경산업진흥원 | 미세기공이 조절된 세라믹 필터의 제조방법 |
KR101940403B1 (ko) * | 2017-06-20 | 2019-01-18 | 재단법인 전라남도 환경산업진흥원 | 미세기공이 조절된 세라믹 필터의 제조방법 |
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