JP2005058999A - 窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法 - Google Patents

窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属ケイ素粒子を出発原料とし、高強度で、除塵や脱塵に最適な窒化ケイ素質フィルタの製造法を提供する。
【解決手段】金属ケイ素粒子と、気孔形成剤とを含むハニカム成形体を窒素雰囲気中で熱処理して金属ケイ素を実質的に窒化ケイ素とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法であって、前記金属ケイ素粒子が純度97質量%以上で、かつ、Fe、Ca、Mg、Cu、CrおよびTiからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を合計で0.1〜1質量%含むことを特徴とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温排気ガス中に含まれる粉塵等を除去するために好適な窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法に関する。
窒化ケイ素は、耐熱性、耐食性、耐薬品性、機械的強度等に優れた特性を有しており、高温や腐食性環境下での集塵、脱塵用フィルタやディーゼルエンジンから排出される微粒子(以下、パティキュレートという)の除去用フィルタ(以下、DPFという)として期待されている。このような窒化ケイ素質フィルタの製造法は、出発原料で大別すると窒化ケイ素粒子を出発原料とする製造法(特許文献1参照。)と金属ケイ素粒子を出発原料とする製造法(特許文献2〜4参照。)とに分けられる。金属ケイ素粒子を出発原料とし、窒化により窒化ケイ素とする製造法は、一般に、窒化ケイ素粒子を出発原料とする製造法に比べて原料費用が安価であるため製造原価の点で優れる特徴がある。
金属ケイ素粒子を出発原料とする窒化ケイ素質フィルタ製造法において、得られる窒化ケイ素質フィルタの特性は、金属ケイ素を窒化して窒化ケイ素とする窒化反応の制御に影響される。このため、特許文献2には、酸化鉄、酸化鉛、ニッケルカルボニル等の窒化促進剤を、生成する乾燥集合体の最終容量を基準として約0.1〜7体積%添加する方法が提案されている。特許文献3には、窒化促進剤として鉄と希土類元素酸化物とを併用する方法が提案されている。しかし、これら窒化促進剤を使用する方法では、窒化促進剤の添加量が少ない場合には、金属ケイ素粒子との混合が不均一になり窒化促進剤が偏在しやすい。窒化促進剤の偏在により、窒化促進剤が偏在している部分では窒化に伴う発熱が局所的に異常発熱となりやすく、一方、窒化促進剤が所定量より少ない部分では窒化が進まず金属ケイ素粒子のまま残留しやすい。その結果、窒化ケイ素質フィルタ内に欠陥が発生したり、特性が不均質となりやすい。
また、特許文献2および特許文献3のいずれも、原料である金属ケイ素粒子の粒度以外の純度等については提案されていない。同様に、特許文献4にも金属ケイ素粒子の平均粒子直径(以下、粒子直径を粒径という)については提案されているものの、金属ケイ素粒子の純度については具体的に提案されていない。いずれにせよ、気孔率が大きく、機械的強度の高い、圧力損失(以下、圧損と略す)の低い窒化ケイ素質フィルタを製造するために好適な金属ケイ素粒子については提案されていない。
特開平8−59364号公報(第1〜7頁) 特許第3321621号公報(請求項9、第4頁) 米国特許第5004709号公報(第1〜4頁) 国際公開第01/47833号パンフレット(第3頁)
本発明は、金属ケイ素粒子を出発原料とし、機械的特性に優れ、低圧損で、特にパティキュレートの捕集効率が高く、DPFとして好適な窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法の提供を目的とする。
本発明は、金属ケイ素粒子と、気孔形成剤とを含むハニカム成形体を窒素雰囲気中で熱処理して金属ケイ素を実質的に窒化ケイ素とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法であって、前記金属ケイ素粒子が純度97質量%以上で、かつ、Fe、Ca、Mg、Cu、CrおよびTiからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を合計で0.1〜1質量%含むことを特徴とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法を提供する。
本発明では、金属ケイ素粒子自身が窒化促進効果のある金属元素を特定量含むことから、窒化促進剤を添加しなくても低温度から窒化が開始され、しかも金属ケイ素粒子が残留することもなく窒化ケイ素質ハニカムフィルタを提供できる。窒化促進剤を添加する方法では、金属ケイ素粒子中の不純物の成分、量に応じて窒化特性が変わるため、金属ケイ素粒子の原料ロットによる影響を受けて窒化ケイ素質ハニカムフィルタの不良品率が増加したり品質が低下するおそれがあるが、本発明では、金属ケイ素粒子そのものを管理するため、不良品率を低減して安定して製造でき、しかも高品質を維持できる特徴がある。
また、金属ケイ素粒子を出発原料とする製造法では、窒化に伴う発熱制御が重要で、発熱制御が適切でないと欠陥が発生しやすい。本発明では、前述したように、低温度から窒化が開始されるため、発熱制御が容易で欠陥が発生しにくいため、気孔率、機械的強度の大きい、均質性の高い窒化ケイ素質ハニカムフィルタが簡便に製造できる。
しかも、本製造法で得られる窒化ケイ素質フィルタは高強度で耐熱性、耐食性および耐薬品性にも優れていることから、特に、強度、耐熱性、耐食性、耐久性等が要求されるDPFとして好適である。
本発明者は、金属ケイ素粒子を出発原料とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタ(以下、単にハニカムフィルタと略す)の製造法において、金属ケイ素粒子の原料ロットにより製造物であるハニカムフィルタの良品率や特性が変化すること、その原因の解明を進める中で金属ケイ素粒子中の特定微量成分が窒化反応のばらつきに影響を及ぼしていること、を見出し本発明に至った。
本発明のハニカムフィルタの製造法(以下、本製造法という)は、金属ケイ素粒子と、気孔形成剤とを含むハニカム成形体を窒素雰囲気中で熱処理して金属ケイ素を実質的に窒化ケイ素とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法であって、前記金属ケイ素粒子が、純度97質量%以上で、かつ、Fe、Ca、Mg、Cu、CrおよびTiからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を0.1〜1質量%含むことを特徴とする。一般に使用される金属ケイ素粉末は、本件特許で規定される金属ケイ素粉末よりFe等の金属元素の含有量の多いグレードと、Fe等の金属元素の含有量の小さいグレードに2分される。すなたち、本件特許で規定される金属ケイ素粉末は、Fe等の金属元素の含有量としては、その中間にある。
本製造法において、金属ケイ素粒子の純度は97質量%以上であるが、これは金属ケイ素粒子の純度が97質量%未満であると得られるハニカムフィルタの窒化ケイ素粒子量が少なく、耐熱性、耐食性などの特性が低下するおそれがある。金属ケイ素粒子の純度が97.5質量%以上であると好ましく、98質量%以上であるとさらに好ましく、金属ケイ素粒子の純度が98.5質量%以上であると特に好ましい。
本製造法において、金属ケイ素粒子は、Fe、Ca、Mg、Cu、CrおよびTiからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を合計で0.1〜1質量%含む。金属ケイ素粒子中のFe、Ca、Mg、Cu、CrおよびTiからなる群から選ばれる1種以上の金属元素の合計の含有量が0.1質量%未満であると、金属ケイ素粒子の窒化促進効果が得られないおそれがある。一方、Fe、Ca、Mg、Cu、CrおよびTiからなる群から選ばれる1種以上の金属元素の合計の含有量が1質量%を超えるとハニカムフィルタの特性に悪影響を及ぼすおそれがある。金属ケイ素粒子中のFe、Ca、Mg、Cu、CrおよびTiからなる群から選ばれる1種以上の金属元素の合計の含有量の下限が0.2質量%であると好ましく、前記含有量の下限が0.3質量%であるとさらに好ましい。前記含有量の上限が0.9質量%であると好ましく、前記含有量の上限が0.8質量%であるとさらに好ましい。
本製造法において金属ケイ素に含まれるSi、Fe、Ca、Mg、Cu、CrおよびTi以外の金属元素の含有量が2質量%以下であるとハニカムフィルタの特性に悪影響がないため好ましい。
本製造法において、金属ケイ素粒子に含まれる成分がFeおよびCaの金属元素を合計で0.1〜1質量%含むものであると、少ない含有量で金属ケイ素粒子の窒化促進効果が得られるため好ましい。金属ケイ素粒子に含まれる成分がFeおよびCaの金属元素を合計で0.1〜1質量%含むもので、かつFeの金属元素の含有量がCaの金属元素の含有量より多いものであると、当該金属ケイ素粒子の調製が容易であるため好ましい。Feの含有量が少ない金属ケイ素粒子の入手は容易でないが、Caの含有量が少ない金属ケイ素粒子の入手は容易である。Ca含有量の少ない金属ケイ素粒子にFe含有量の多い金属ケイ素粒子を配合して調製する方法が好適な調製法として挙げられる。例えば、Caの含有量が0.1質量%未満、Feの含有量が0.1〜1質量%の金属ケイ素粒子などが好適なものとして挙げられる。
なお、金属ケイ素粒子中の成分、量を特定する方法としては、特に制限されないが、蛍光X線分析法や原子吸光分析法、ICP発光分析法、原子蛍光分析法などの定量分析法が好ましい測定法として挙げられる。
本製造法において使用する金属ケイ素粒子の代表的な製造法は、SiOサンドを還元して金属ケイ素の塊とし、これを機械的に粉砕して、必要に応じて分級、混合して所定の金属ケイ素粒子とする方法が挙げられる。この場合、金属ケイ素粒子中に含まれる不純物の成分、量は、SiOサンドの産地により異なるため、必ずしも所定成分を所定量含む金属ケイ素粒子とならない場合がある。そのような場合には、酸処理によって純度を高めた高純度の金属ケイ素粒子を混ぜて、金属ケイ素粒子全体で所定成分を所定量含むように調製する。
本製造法は、上述したような特定の金属ケイ素粒子(以下、単に特定金属ケイ素粒子と略す)と、気孔形成剤とを含むハニカム成形体を使用する。本明細書において、ハニカム成形体とは、ハニカム形状を有する成形体をいう。
本製造法において、ハニカム成形体中、特定金属ケイ素粒子の含有量を60〜95質量%とし、気孔形成剤の含有量を5〜40質量%とするのが好ましい。ハニカム成形体中の金属ケイ素粒子の含有量が、60質量%未満であると得られる窒化ケイ素質フィルタの気孔率が大きくなりすぎ、機械的強度が不足して実用に耐えられないおそれがあり、一方、前記成形体中の金属ケイ素粒子の含有量が、95質量%を超えると窒化ケイ素質フィルタの気孔率が小さくなりすぎフィルタとしての機能を果たすことができないおそれがある。
本製造法において、特定金属ケイ素粒子の平均粒径が10〜75μmであると好ましい。特定金属ケイ素粒子の平均粒径が10μm未満であると、得られるフィルタの平均細孔直径(以下、細孔直径を細孔径と略す)が5μm以下となるため好ましくない。また、金属ケイ素粒子の平均粒径が75μmを超えると、得られる窒化ケイ素質フィルタの平均細孔径は大きくなるが、窒化が必ずしも充分ではないので好ましくない。特定金属ケイ素粒子の平均粒径が15〜65μmであるとさらに好ましく、特定金属ケイ素粒子の平均粒径が20〜60μmであると特に好ましい。
本製造法に用いる金属ケイ素粒子は、平均粒径10〜75μmのほかに、粒径1〜100μmの範囲にあるものが全金属ケイ素粒子中70質量%以上である。粒径1〜100μmの範囲にあるものが全金属ケイ素粒子中70質量%以上であると、得られる窒化ケイ素質フィルタの細孔径5μm以下の細孔が少なくなり、圧損を減らし、しかも凝集粒径が10μm以上とされるパティキュレートなどを効率よく捕集できる。粒径1〜100μmの範囲にあるものが全金属ケイ素粒子中85質量%以上であると好ましく、前記範囲にあるものが全金属ケイ素粒子中95質量%以上であるとさらに好ましい。
本製造法において、特定金属ケイ素粒子が粒径10〜90μmの範囲にあるものが75質量%以上であると好ましい。特定金属ケイ素粒子が粒径20〜80μmの範囲にあるものが75質量%以上であるとさらに好ましい。金属ケイ素粒子が粒径20〜80μmの範囲にあるものが95質量%以上であると特に好ましい。このような特定範囲の粒度分布を有する金属ケイ素粒子は、気流分級やふるいなどの分級手段を適宜使用することにより得られる。なお、本明細書において、粒径、平均粒径はレーザー回折式粒度分布測定機によって求めた値をいうものとする。
本製造法において、気孔形成剤としては気孔を形成できるものであれば特に制限されないが、酸化物セラミックス中空粒子(以下、単に中空粒子と略す)および/または飛散型気孔形成剤であると少ない添加量で所望の気孔を形成できるため好ましい。気孔形成剤の含有量はハニカム成形体中5〜40質量%であると好ましい。
ハニカム成形体中の気孔形成剤の含有量が5質量%未満であると、窒化ケイ素質フィルタの気孔率が小さくなりすぎフィルタとしての機能を果たすことができないおそれがある。一方、前記成形体中の気孔形成剤の含有量が40質量%を超えると窒化ケイ素質フィルタの気孔率が大きくなりすぎ、機械的強度が不足して実用に耐えられないおそれがある。
前記中空粒子としては、熱処理時に気孔を形成し、しかも熱処理過程で生成する窒化ケイ素粒子に対して焼結助剤的な働きをするものであれば結晶質、非晶質のいずれも好適に使用される。中空粒子は、Al、Si、Ca、Sr、Ba、MgおよびYからなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物を主成分とすると焼結助剤的な効果が高いため好ましい。中空粒子は、中空であれば外皮に相当する部分が緻密質でもよいし多孔質でもよいが、外皮の相当する部分が緻密質のものが入手性の点で好ましい。また、中空粒子は、外形が球状粒子であると入手しやすいので好ましいが、球状粒子以外の粒子でも中空であればよい。
前記飛散型気孔形成剤としては、熱処理時に分解などして飛散し、気孔を形成するものであれば有機物、無機物のいずれにも好適に使用される。飛散型気孔形成剤が有機高分子粒子、特に熱分解性の高分子粒子であると熱処理過程で分解、飛散し、焼結体内に残留物を残さず得られる窒化ケイ素質フィルタの特性を損なわないため好ましい。
熱分解して焼失する働きのものであれば好適に使用される。たとえば、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
前記中空粒子や前記有機高分子粒子の平均粒径が10〜100μmであると、得られる窒化ケイ素質フィルタの気孔率が大きく、しかも強度も確保されるため好ましい。前記中空粒子等の平均粒径が10μm未満であると、気孔形成への寄与が低下し、一方、前記竜空粒子等の平均粒径が100μmを超えると得られる窒化ケイ素質フィルタの強度が不充分であるため好ましくない。
本製造法において、特定金属ケイ素、気孔形成剤以外に窒化促進効果のある酸化鉄粒子などを含んでいてもよい。
本製造法において、気孔形成剤と金属ケイ素粒子との混合には、ボールミルやミキサーなどの一般的な混合手段が使用でき、気孔形成剤と金属ケイ素粒子とを含む成形体を作成する方法としては、プレス成形、押出成形、鋳込成形などの通常のセラミックス成形法が適宜採用される。なお、成形に際して、有機バインダーを加えてもよい。このような有機バインダーとしては、ポリビニルアルコールまたはその変成物、でんぷんまたはその変成物、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂またはアクリル系共重合体、酢酸ビニル樹脂または酢酸ビニル系共重合体、等の有機物を使用できる。
本製造法において、ハニカム成形体を熱処理する条件としては、窒素雰囲気下で2段階の熱処理とし、金属ケイ素粒子の窒化に適した第1段および生成した窒化物である窒化ケイ素粒子の焼結に適した第2段に分けるのが好ましい。
第1段の熱処理条件としては、窒素雰囲気下で1150〜1400℃で4〜12時間保持するのが好ましい。温度が1150℃未満であると金属ケイ素粒子の窒化が起こらず、一方、温度が1400℃を超えると金属ケイ素の融点(1410℃)付近で金属ケイ素粒子が融解し、焼結体の形状を保持できないため好ましくない。温度保持時間が4時間未満であると金属ケイ素粒子の窒化が不充分となり好ましくなく、また温度保持時間が12時間を超えると窒化反応がそれ以上ほとんど進行しなくなり、運転費用がかさむため好ましくない。
第2段の熱処理条件としては、窒素雰囲気下で1500〜1800℃で1〜12時間保持することが好ましい。温度が1500℃未満であると窒化ケイ素粒子の焼結が進まないため好ましくなく、1800℃を超えると窒化ケイ素粒子が分解するので好ましくない。温度保持時間が1時間未満であると粒子同士の結合が充分に進行しないため好ましくなく、一方、12時間を超えると特に、高温では窒化ケイ素が分解しやすくなり好ましくない。なお、第1段の熱処理と第2段の熱処理は、中間で温度をいったん下げても、または温度を下げることなく連続で実施してもよい。
熱処理時の昇温速度は、成形体の大きさ、形状等により適宜選択されるが、50〜600℃/hであると窒化率、気孔径の点で好ましい。昇温過程であっても、第1段および第2段で規定する温度範囲にある場合は、その経過時間はそれぞれ第1段および第2段の保持時間に加えるものとする。ここで窒素雰囲気とは、実質的に窒素のみを含み酸素を含まない雰囲気をいうが、他の不活性気体を含んでいてもよい。窒素分圧は50kPa以上が好ましい。
以下に実施例(例1、例2)と比較例(例3)を示す。得られた多孔体は以下に示す評価法によって評価した。
[評価方法]
気孔率:アルキメデス法で算出した。
平均細孔径:水銀ポロシメータ(ユアサアイオニクス社製、AUTOSCAN−33)で測定した。
結晶相:X線回折装置(リガク社製、商品名:ガイガーフレックスRAD−IIA)により同定した。
室温強度:ハニカム形状に作製したフィルタから、縦横が7×7セルからなり、長さ12mmの試験片を切り出し、押出方向と平行に荷重を印加速度0.5mm/分で印加して圧縮強度として測定した。
粒度測定:レーザ回折式粒度分布測定機(日機装社製、商品名:マイクロトラックHRA)
金属ケイ素粒子中の不純物量:蛍光X線分析による。
[例1(実施例)]
粒径1〜100μmの金属ケイ素粒子が99質量%以上で、平均粒径23μmの金属ケイ素粒子A(エルケム社製、商品名:シルグレインFタイプ、純度及び不純物の内訳は表1の粒子Aに記載)77質量%と、気孔形成剤として平均粒径45μmの球状のシリカ−アルミナ系ガラス質中空粒子23質量%とからなる成形体用粉末100質量部に対して、メチルセルロース18質量部、イオン交換水55質量部を添加し押出成形原料とした。
前記押出成形原料を真空押出機でハニカム形状の成形体に押出成形後100℃で乾燥した。乾燥させたハニカム成形体を窒素雰囲気中で昇温速度2℃/分で1350℃まで昇温後、4時間保持して第1段階の熱処理を行い、さらに昇温速度4℃/分で温度1700℃とし、4時間保持して多孔質の窒化ケイ素質ハニカム焼結体を得た。得られた多孔体をX線回折測定した結果、窒化ケイ素の回折ピークは同定されたが、金属ケイ素の回折ピークは同定されなかった。また、得られた多孔体の細孔特性は、気孔率が60%であった。得られた多孔体の室温強度は15MPaであった。また、外観を目視で観察したがクラック等の欠陥は観察されなかった。
[例2(実施例)]
例1において、金属ケイ素粒子Aの代わりに粒径1〜100μmの金属ケイ素粒子が99質量%以上で、平均粒径20μmの金属ケイ素粒子B(山石金属社製、商品名:350、純度及び不純物の内訳は表1の粒子Bに記載)に変更した以外は例1と同様にした。得られた多孔体の細孔特性は、気孔率が58%、平均細孔径が11μmであった。得られた多孔体の室温強度は18MPaであった。この場合も外観を目視で観察したがクラック等の欠陥は観察されなかった。
[例3(比較例)]
例1において、金属ケイ素粒子Aの代わりに粒径1〜100μmの金属ケイ素粒子が99質量%以上で、平均粒径21μmの金属ケイ素粒子C(エルケム社製、商品名:シルグレインスタンダードタイプ、純度及び不純物の内訳は表1の粒子Cに記載)に変更した以外は例1と同様にした。得られた多孔体の細孔特性は、気孔率が60%、平均細孔径が11μmであった。得られた多孔体の室温強度は7MPaであった。この場合、外観を目視で観察したが内部に多数のクラックが観察された。
Figure 2005058999
本発明は、特定の粒度分布を有する金属ケイ素を出発原料として、これを窒化して窒化ケイ素とすることを特徴とする窒化ケイ素質フィルタの製造法であるので、機械的特性に優れ、特に低圧損でパティキュレートの捕集効率が高く、DPFとして好適なフィルタの製造法に適用できる。

Claims (8)

  1. 金属ケイ素粒子と、気孔形成剤とを含むハニカム成形体を窒素雰囲気中で熱処理して金属ケイ素を実質的に窒化ケイ素とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法であって、前記金属ケイ素粒子が純度97質量%以上で、かつ、Fe、Ca、Mg、Cu、CrおよびTiからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を合計で0.1〜1質量%含むことを特徴とする窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法。
  2. 前記金属ケイ素粒子がFeおよびCaの金属元素を合計で0.1〜1質量%含む請求項1記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法。
  3. 前記金属ケイ素粒子中、Si、Fe、Ca、Mg、Cu、CrおよびTi以外の金属元素の含有量が2質量%以下である請求項1または2記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法。
  4. 前記金属ケイ素粒子の平均粒子直径が10〜75μmである請求項1、2または3記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法。
  5. 前記金属ケイ素粒子中、粒子直径1〜100μmの金属ケイ素粒子が全金属ケイ素粒子中70質量%以上である請求項1、2、3または4記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法。
  6. ハニカム成形体が金属ケイ素粒子60〜95質量%と、気孔形成剤5〜40質量%とを含む請求項1〜5のいずれか記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法。
  7. 前記気孔形成剤として、金属の酸化物セラミックス中空粒子および/または飛散型気孔形成剤を用いる請求項6記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法。
  8. 前記熱処理条件が、成形体を温度1150〜1400℃の窒素雰囲気中で、4〜12時間保持して第1段階の熱処理を行った後、さらに温度1500〜1800℃の範囲で1〜12時間保持して第2段階の熱処理を行うものである請求項1〜7のいずれか記載の窒化ケイ素質ハニカムフィルタの製造法。
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