JP2005047796A - 窒化ケイ素質フィルタの製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属ケイ素粒子を出発原料とし、高強度で、除塵や脱塵に最適な窒化ケイ素質フィルタの製造法を提供する。
【解決手段】平均粒子直径10〜75μm、かつ粒子直径5〜100μmの粒子が全金属ケイ素粒子中70質量%以上である金属ケイ素粒子60〜95質量%と、気孔形成材5〜40質量%とを含む成形体を窒素中で熱処理することにより金属ケイ素を実質的に窒化ケイ素とする窒化ケイ素質フィルタの製造法。より好適には前記成形体中に、Mg、Ca、FeおよびCuからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を含む、無機酸塩、有機酸塩および水酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含有する。
【選択図】なし
【解決手段】平均粒子直径10〜75μm、かつ粒子直径5〜100μmの粒子が全金属ケイ素粒子中70質量%以上である金属ケイ素粒子60〜95質量%と、気孔形成材5〜40質量%とを含む成形体を窒素中で熱処理することにより金属ケイ素を実質的に窒化ケイ素とする窒化ケイ素質フィルタの製造法。より好適には前記成形体中に、Mg、Ca、FeおよびCuからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を含む、無機酸塩、有機酸塩および水酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、高温排気ガス中に含まれる粉塵等を除去するために好適な窒化ケイ素質フィルタに関する。
窒化ケイ素は、耐熱性、耐食性、耐薬品性、機械的強度等に優れた特性を有しており、高温や腐食性環境下での集塵、脱塵用フィルタやディーゼルエンジンから排出される微粒子(以下、パティキュレートという)の除去用フィルタ(以下、DPFという)として期待されている。このような窒化ケイ素質フィルタの製造法は、出発原料で大別すると窒化ケイ素粒子を出発原料とする製造法(特許文献1〜3参照。)と金属ケイ素粒子を出発原料とする製造法(特許文献4〜6参照。)とに分けられる。金属ケイ素粒子を出発原料とし、直接窒化により窒化ケイ素とする製造法は、一般に、窒化ケイ素粒子を出発原料とする製造法に比べて原料費用が安価であるため製造原価の点で優れる特徴がある。
金属ケイ素を出発原料とする製造法の従来技術としては、細かい金属ケイ素粉末を用いた成形体を窒化処理して窒化ケイ素多孔体を得る方法が提案されている(特許文献4参照。)。しかし、開気孔率の高い多孔体を得るために成形体密度が低い金属ケイ素成形体を窒化処理する必要があり、その場合、表面や内部に微細な窒化ケイ素ファイバが生成し、平均細孔直径が小さな多孔体となるおそれがある。
このような問題を解決する手段として、平均粒子直径が1〜200μmの金属ケイ素粒子40〜90%と気孔形成材10〜60%からなる成形体を窒素中で熱処理することにより、平均細孔直径が5〜40μmの窒化ケイ素多孔体を得る方法が提案されている(特許文献5参照。)。しかし、この方法でもDPFとして使用した場合に圧力損失(以下、圧損という)がさらに小さく、パティキュレートの捕集効率がさらに高いものが求められる。
また、金属ケイ素を主成分とする成形体を調製し、得られた金属ケイ素を主成分とする成形体を窒化させる前に、雰囲気制御することにより金属ケイ素の表面酸化物を除去し、その後に、窒素ガスを導入して金属ケイ素を窒化させて窒化ケイ素多孔体を得る方法が提案されている(特許文献6参照。)。しかし、この方法でも開気孔率や細孔径が充分に大きな窒化ケイ素多孔体を得ることは難しいほか、金属ケイ素の窒化処理前に雰囲気制御するため、量産性に優れた連続焼成炉が使用できないなどの生産性の点でも問題がある。
本発明は、金属ケイ素粒子を出発原料とし、機械的特性に優れ、低圧損で、特にパティキュレートの捕集効率が高く、DPFとして好適な窒化ケイ素質フィルタの製造法の提供を目的とする。
本発明は、平均粒子直径10〜75μm、かつ粒子直径5〜100μmの粒子が全金属ケイ素粒子中70質量%以上である金属ケイ素粒子60〜95質量%と、気孔形成材5〜40質量%とを含む成形体を窒素中で熱処理することにより金属ケイ素を実質的に窒化ケイ素とする窒化ケイ素質フィルタの製造法を提供する。
本製造法により、平均細孔径や気孔率が大きく、しかも細孔径の大きなものの割合が高いという細孔特性の窒化ケイ素質フィルタを容易に製造できる。しかも、本製造法で得られる窒化ケイ素質フィルタは高強度で耐熱性、耐食性および耐薬品性にも優れていることから、特に、強度、耐熱性、耐食性、耐久性等が要求されるDPFとして好適である。
本発明の窒化ケイ素質フィルタの製造法(以下、本製造法という)では粒子直径(以下、粒径と略す)5〜100μmの粒子が全金属ケイ素粒子中70質量%以上で、かつ平均粒径10〜75μmの金属ケイ素粒子60〜95質量%と、気孔形成材5〜40質量%とを含む成形体を使用する。
本製造法に用いる金属ケイ素粒子は、平均粒径が10〜75μmである。金属ケイ素粒子の平均粒径が10μm未満であると、得られるフィルタの平均細孔直径(以下、細孔直径を細孔径と略す)が5μm以下となるため好ましくない。また、金属ケイ素粒子の平均粒径が75μmを超えると、得られる窒化ケイ素質フィルタの平均細孔径は大きくなるが、窒化が必ずしも充分ではないので好ましくない。金属ケイ素粒子の平均粒径が15〜65μmであると好ましく、金属ケイ素粒子の平均粒径が20〜60μmであるとさらに好ましい。
本製造法に用いる金属ケイ素粒子は、平均粒径10〜75μmのほかに、粒径5〜100μmの範囲にあるものが全金属ケイ素粒子中70質量%以上である。粒径5〜100μmの範囲にあるものが全金属ケイ素粒子中70質量%以上であると、得られる窒化ケイ素質フィルタの細孔径5μm以下の細孔が少なくなり、圧損を減らし、しかも凝集粒径が10μm以上とされるパティキュレートなどを効率よく捕集できる。粒径5〜100μmの範囲にあるものが全金属ケイ素粒子中85質量%以上であると好ましく、前記範囲にあるものが全金属ケイ素粒子中95質量%以上であるとさらに好ましい。
本製造法において、金属ケイ素粒子が粒径10〜90μmの範囲にあるものが75質量%以上であると好ましい。金属ケイ素粒子が粒径20〜80μmの範囲にあるものが75質量%以上であるとさらに好ましい。金属ケイ素粒子が粒径20〜80μmの範囲にあるものが95質量%以上であると特に好ましい。このような特定範囲の粒度分布を有する金属ケイ素粒子は、気流分級やふるいなどの分級手段を適宜使用することにより得られる。なお、金属ケイ素粒子の純度としては目的、用途に応じ適宜選択される。
本製造法において、金属ケイ素粒子の含有量は前記成形体中60〜95質量%である。前記成形体中の金属ケイ素粒子の含有量が、60質量%未満であると得られる窒化ケイ素質フィルタの気孔率が大きくなりすぎ、機械的強度が不足して実用に耐えられないおそれがあり、一方、前記成形体中の金属ケイ素粒子の含有量が、95質量%を超えると窒化ケイ素質フィルタの気孔率が小さくなりすぎフィルタとしての機能を果たすことができないおそれがある。
本製造法において、気孔形成材としては気孔を形成できるものであれば特に制限されないが、酸化物セラミックス中空粒子(以下、単に中空粒子と略す)および/または飛散型気孔形成材であると少ない添加量で所望の気孔を形成できるため好ましい。気孔形成材の含有量は前記成形体中5〜40質量%である。前記成形体中の気孔形成材の含有量が5質量%未満であると、窒化ケイ素質フィルタの気孔率が小さくなりすぎフィルタとしての機能を果たすことができないおそれがある。一方、前記成形体中の気孔形成材の含有量が40質量%を超えると窒化ケイ素質フィルタの気孔率が大きくなりすぎ、機械的強度が不足して実用に耐えられないおそれがある。
前記中空粒子としては、熱処理時に気孔を形成し、しかも熱処理過程で生成する窒化ケイ素粒子に対して焼結助剤的な働きをするものであれば結晶質、非晶質のいずれも好適に使用される。中空粒子は、Al、Si、Ca、Sr、BaおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物を主成分とすると焼結助剤的な効果が高いため好ましい。中空粒子は、中空であれば外皮に相当する部分が緻密質でもよいし多孔質でもよい。また、中空粒子は、外形が球状粒子であると入手しやすいので好ましいが、球状粒子以外の粒子でも中空であればよい。
前記飛散型気孔形成材としては、熱処理時に分解などして飛散し、気孔を形成するものであれば有機物、無機物のいずれにも好適に使用される。飛散型気孔形成材が有機高分子粒子、特に熱分解性の高分子粒子であると熱処理過程で分解、飛散し、焼結体内に残留物を残さず得られる窒化ケイ素質フィルタの特性を損なわないため好ましい。
熱分解して焼失する働きのものであれば好適に使用される。たとえば、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
熱分解して焼失する働きのものであれば好適に使用される。たとえば、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
前記中空粒子や前記有機高分子粒子の平均粒径が10〜100μmであると、得られる窒化ケイ素質フィルタの気孔率が大きく、しかも強度も確保されるため好ましい。前記中空粒子等の平均粒径が10μm未満であると、気孔形成への寄与が低下し、一方、前記竜空粒子等の平均粒径が100μmを超えると得られる窒化ケイ素質フィルタの強度が不充分であるため好ましくない。
本製造法においては、前記成形体中にMg、Ca、FeおよびCuからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を含む無機酸塩および/または有機酸塩を含有すると、金属ケイ素粒子の窒化を促進するため好ましい。無機酸塩としては特に制限されないが、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物などが挙げられる。一方、有機酸塩としては酢酸塩、シュウ酸塩などのカルボン酸塩などが挙げられる。なかでも水溶性の塩であると成形体に溶液として添加できるため、酸化物など塩以外のもので添加する場合に比べて少ない添加量で窒化促進効果が得られるため好ましい。前記元素の添加量が少ない程、一般的には窒化ケイ素質フィルタの特性を阻害しないことから好ましい。前記塩の中でも硝酸鉄などの硝酸塩やカルボン酸塩などが好ましく挙げられる。
本製造法において、Mg、Ca、FeおよびCuからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を含む水酸化物を、無機酸塩の代替として、または無機酸塩や有機酸塩と併用してもよい。例えば、水で混練して押出成形用坏土するようなプロセスの場合、硝酸マグネシウムのような水によくとける無機酸塩は水と反応して水酸化物となっているものと思われることから、水酸化マグネシウムを使用してもよい。すなわち、成形体中にMg、Ca、FeおよびCuからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を含む、無機酸塩、有機酸塩および水酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含有すると、金属ケイ素粒子の窒化を促進するため好ましい。
本製造法において、前記無機酸塩および/または有機酸塩の添加量は、金属ケイ素粒子量100質量部に対して金属元素として0.1〜3質量部添加すると好ましい。前記添加量が0.1質量部未満であると添加する効果が得られないおそれがあり、前記添加量が3質量部を超えると窒化ケイ素質フィルタの耐熱性などの特性を阻害するおそれがある。前記添加量が0.5〜2質量部であるとさらに好ましい。
本製造法において、Mg、Ca、FeおよびCuからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を含む水酸化物を、無機酸塩の代替として、または無機酸塩や有機酸塩と併用する場合の添加量は、金属ケイ素粒子100質量部に対して金属元素として0.1〜3質量部添加すると好ましい。前記添加量が0.5〜2質量部であるとさらに好ましい。
本製造法において、気孔形成材と金属ケイ素粒子との混合には、ボールミルやミキサーなどの一般的な混合手段が使用でき、気孔形成材と金属ケイ素粒子とを含む成形体を作成する方法としては、プレス成形、押出成形、鋳込成形などの通常のセラミックス成形法が適宜採用される。なお、成形に際して、有機バインダーを加えてもよい。このような有機バインダーとしては、ポリビニルアルコールまたはその変成物、でんぷんまたはその変成物、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂またはアクリル系共重合体、酢酸ビニル樹脂または酢酸ビニル系共重合体、等の有機物を使用できる。
前記成形体を熱処理する条件としては、窒素雰囲気下で2段階の熱処理とし、金属ケイ素粒子の窒化に適した第1段および生成した窒化物である窒化ケイ素粒子の焼結に適した第2段に分けるのが好ましい。
第1段の熱処理条件としては、窒素雰囲気下で1200〜1400℃で4〜12時間保持するのが好ましい。温度が1200℃未満であると金属ケイ素粒子の窒化が起こらず、一方、温度が1400℃を超えると金属ケイ素の融点(1410℃)付近で金属ケイ素粒子が融解し、焼結体の形状を保持できないため好ましくない。温度保持時間が4時間未満であると金属ケイ素粒子の窒化が不充分となり好ましくなく、また温度保持時間が12時間を超えると窒化反応がそれ以上ほとんど進行しなくなり、運転費用がかさむため好ましくない。
第2段の熱処理条件としては、窒素雰囲気下で1500〜1800℃で1〜12時間保持することが好ましい。温度が1500℃未満であると窒化ケイ素粒子の焼結が進まないため好ましくなく、1800℃を超えると窒化ケイ素粒子が分解するので好ましくない。温度保持時間が1時間未満であると粒子同士の結合が充分に進行しないため好ましくなく、一方、12時間を超えると特に、高温では窒化ケイ素が分解しやすくなり好ましくない。なお、第1段の熱処理と第2段の熱処理は、中間で温度をいったん下げても、または温度を下げることなく連続で実施してもよい。
熱処理時の昇温速度は、成形体の大きさ、形状等により適宜選択されるが、50〜600℃/hであると窒化率、気孔径の点で好ましい。昇温過程であっても、第1段および第2段で規定する温度範囲にある場合は、その経過時間はそれぞれ第1段および第2段の保持時間に加えるものとする。ここで窒素雰囲気とは、実質的に窒素のみを含み酸素を含まない雰囲気をいうが、他の不活性気体を含んでいてもよい。窒素分圧は50kPa以上が好ましい。
本製造法で得られる窒化ケイ素質フィルタの気孔率は、45〜80%であると好ましい。気孔率は、アルキメデス法により測定する。気孔率が45%未満であると圧損が大きくなるためフィルタとして好ましくなく、また気孔率が80%を超えると強度が低いためフィルタとして好ましくない。
本製造法で得られる窒化ケイ素質フィルタの水銀圧入法で測定された平均細孔径は、5〜40μmであると好ましい。平均細孔径が5μm未満であるとフィルタ使用時の圧損が大きくなり好ましくない。平均細孔径が40μmを超えるとパティキュレートのような排気微粒子の捕捉除去がしにくくなるため好ましくない。
本製造法で得られる窒化ケイ素質フィルタの平均細孔径をd0とするとき、細孔径が0.5d0〜1.5d0にある細孔の細孔容積の和が全細孔容積の和の50体積%以上であると全細孔中でフィルタとして寄与する細孔の割合が高くなるため、捕集効率を下げることなく低圧損にすることができる。その結果、低圧損にするため、いたずらに気孔率を大きくしてフィルタの機械的強度を下げることがなく、低圧損と高捕集効率とを兼ね備えた窒化ケイ素質フィルタとできるため好ましい。
以下に実施例(例1、例2、例4〜例6)と比較例(例3)を示す。得られた多孔体は以下に示す評価法によって評価した。
[評価方法]
気孔率:アルキメデス法で算出した。
平均細孔径:水銀ポロシメータ(ユアサアイオニクス株式会社製、AUTOSCAN−33)で測定した。
結晶相:X線回折装置(リガク社製、商品名:ガイガーフレックスRAD−IIA)により同定した。
室温強度:ハニカム形状に作製したフィルタから、縦横が7×7セルからなり、長さ12mmの試験片を切り出し、押出方向と平行に荷重を印加速度0.5mm/分で印加して圧縮強度として測定した。
気孔率:アルキメデス法で算出した。
平均細孔径:水銀ポロシメータ(ユアサアイオニクス株式会社製、AUTOSCAN−33)で測定した。
結晶相:X線回折装置(リガク社製、商品名:ガイガーフレックスRAD−IIA)により同定した。
室温強度:ハニカム形状に作製したフィルタから、縦横が7×7セルからなり、長さ12mmの試験片を切り出し、押出方向と平行に荷重を印加速度0.5mm/分で印加して圧縮強度として測定した。
[例1]
全金属ケイ素粒子中、粒径5〜100μmの金属ケイ素粒子が97質量%で、平均粒径が30μmである金属ケイ素粒子70質量%と、気孔形成材として平均粒径45μmの球状シリカ−アルミナ系ガラス質中空粒子30質量%とからなる混合粉末を準備した。この混合粉末に、硝酸マグネシウムを金属ケイ素100質量部に対して1質量部となるように添加して成形体用粉末とした。前記成形体用粉末100質量部に対して、メチルセルロース20質量部、イオン交換水56質量部を添加し押出成形原料とした。
全金属ケイ素粒子中、粒径5〜100μmの金属ケイ素粒子が97質量%で、平均粒径が30μmである金属ケイ素粒子70質量%と、気孔形成材として平均粒径45μmの球状シリカ−アルミナ系ガラス質中空粒子30質量%とからなる混合粉末を準備した。この混合粉末に、硝酸マグネシウムを金属ケイ素100質量部に対して1質量部となるように添加して成形体用粉末とした。前記成形体用粉末100質量部に対して、メチルセルロース20質量部、イオン交換水56質量部を添加し押出成形原料とした。
前記押出成形原料を真空押出機でハニカム形状の成形体に押出成形後100℃で乾燥した。乾燥させたハニカム成形体を窒素雰囲気中で昇温速度2℃/分で1350℃まで昇温後、4時間保持して第1段階の熱処理を行い、さらに昇温速度4℃/分で温度1700℃とし、4時間保持して多孔質の窒化ケイ素質ハニカム焼結体を得た。得られた多孔体をX線回折測定した結果、窒化ケイ素の回折ピークは同定されたが、金属ケイ素の回折ピークは同定されなかった。また、得られた多孔体の細孔特性は、気孔率が60%、平均細孔径が12μmで、細孔径が6〜18μmにある細孔の細孔容積の和は全細孔容積の和の79体積%であった。得られた多孔体の室温強度は15MPaであった。
[例2]
例1において、硝酸マグネシウムの代わりに平均粒径3μmの水酸化マグネシウム粉末を、金属ケイ素100質量部に対して3質量部となるように添加した以外は例1と同様にした。得られた多孔体をX線回折測定した結果、窒化ケイ素の回折ピークは同定されたが、金属ケイ素の回折ピークは同定されなかった。また、得られた多孔体の細孔特性は、気孔率が70%、平均細孔径が8μmで、細孔径が4〜12μmにある細孔の細孔容積の和は全細孔容積の和の76体積%であった。得られた多孔体の室温強度は4MPaであった。
例1において、硝酸マグネシウムの代わりに平均粒径3μmの水酸化マグネシウム粉末を、金属ケイ素100質量部に対して3質量部となるように添加した以外は例1と同様にした。得られた多孔体をX線回折測定した結果、窒化ケイ素の回折ピークは同定されたが、金属ケイ素の回折ピークは同定されなかった。また、得られた多孔体の細孔特性は、気孔率が70%、平均細孔径が8μmで、細孔径が4〜12μmにある細孔の細孔容積の和は全細孔容積の和の76体積%であった。得られた多孔体の室温強度は4MPaであった。
[例3]
例1において金属ケイ素粒子として、全金属ケイ素粒子中、粒径5〜100μmの金属ケイ素粒子が40質量%で、平均粒径が4μmである金属ケイ素粒子を使用した以外は例1と同様にした。得られた多孔体をX線回折測定した結果、窒化ケイ素の回折ピークは同定されたが、金属ケイ素の回折ピークは同定されなかった。また、得られた多孔体の細孔特性は、気孔率が55%、平均細孔径が7μmで、細孔径が3.5〜10.5μmにある細孔の細孔容積の和は全細孔容積の和の30体積%であった。得られた多孔体の室温強度は40MPaであった。
例1において金属ケイ素粒子として、全金属ケイ素粒子中、粒径5〜100μmの金属ケイ素粒子が40質量%で、平均粒径が4μmである金属ケイ素粒子を使用した以外は例1と同様にした。得られた多孔体をX線回折測定した結果、窒化ケイ素の回折ピークは同定されたが、金属ケイ素の回折ピークは同定されなかった。また、得られた多孔体の細孔特性は、気孔率が55%、平均細孔径が7μmで、細孔径が3.5〜10.5μmにある細孔の細孔容積の和は全細孔容積の和の30体積%であった。得られた多孔体の室温強度は40MPaであった。
[例4]
全金属ケイ素粒子中、粒径45〜75μmの金属ケイ素粒子が99質量%で、平均粒径が55μmである金属ケイ素粒子70質量%と、気孔形成材として平均粒径30μmの球状シリカ-アルミナ系ガラス質中空粒子20質量%とからなる混合粉末を準備した。この混合粉末に、硝酸鉄を金属ケイ素100質量部に対して2質量部となるように添加して成形体用粉末とした。前記成形体用粉末100質量部に対して、メチルセルロース15質量部、イオン交換水50質量部を添加し押出成形原料とした。
全金属ケイ素粒子中、粒径45〜75μmの金属ケイ素粒子が99質量%で、平均粒径が55μmである金属ケイ素粒子70質量%と、気孔形成材として平均粒径30μmの球状シリカ-アルミナ系ガラス質中空粒子20質量%とからなる混合粉末を準備した。この混合粉末に、硝酸鉄を金属ケイ素100質量部に対して2質量部となるように添加して成形体用粉末とした。前記成形体用粉末100質量部に対して、メチルセルロース15質量部、イオン交換水50質量部を添加し押出成形原料とした。
前記押出成形原料を真空押出機でハニカム形状の成形体に押出成形後100℃で乾燥した。乾燥させたハニカム成形体を窒素雰囲気中で昇温速度2℃/分で1350℃まで昇温後、10時間保持して第1段階の熱処理を行い、さらに昇温速度4℃/分で温度1700℃とし、4時間保持して多孔質の窒化ケイ素質ハニカム焼結体を得た。得られた多孔体をX線回折測定した結果、窒化ケイ素の回折ピークは同定されたが、金属ケイ素の回折ピークは同定されなかった。また、得られた多孔体の細孔特性は、気孔率が63%、平均細孔径が25μmで、細孔径が12.5〜37.5μmにある細孔の細孔容積の和は全細孔容積の和の72体積%であった。得られた多孔体の室温強度は8MPaであった。
[例5]
例4において硝酸鉄を添加しない以外は例4と同様とした。得られた多孔体はX線による相同定の結果、すべて窒化ケイ素以外にシリコンの残留が認められた。得られた多孔体の気孔率67%、平均細孔径が30μmであり、細孔径が15〜45μmにある細孔の細孔容積の和は全細孔容積の和の67体積%であった。得られた多孔体の強度は4MPaであった。
例4において硝酸鉄を添加しない以外は例4と同様とした。得られた多孔体はX線による相同定の結果、すべて窒化ケイ素以外にシリコンの残留が認められた。得られた多孔体の気孔率67%、平均細孔径が30μmであり、細孔径が15〜45μmにある細孔の細孔容積の和は全細孔容積の和の67体積%であった。得られた多孔体の強度は4MPaであった。
[例6]
例4において気孔形成材として平均粒径10μmのアクリル樹脂を使用する以外は例4と同様にする。得られる多孔体のX線回折測定では、窒化ケイ素の回折ピークは同定されるものの、シリコンの回折ピークは認められない。得られる多孔体は、気孔率64%、平均細孔径が20μmで、細孔径が10〜30μmにある細孔の細孔容積の和は全細孔容積の和の85体積%である。得られた多孔体の強度は10MPaである。
例4において気孔形成材として平均粒径10μmのアクリル樹脂を使用する以外は例4と同様にする。得られる多孔体のX線回折測定では、窒化ケイ素の回折ピークは同定されるものの、シリコンの回折ピークは認められない。得られる多孔体は、気孔率64%、平均細孔径が20μmで、細孔径が10〜30μmにある細孔の細孔容積の和は全細孔容積の和の85体積%である。得られた多孔体の強度は10MPaである。
本発明は、特定の粒度分布を有する金属ケイ素を出発原料として、これを窒化して窒化ケイ素とすることを特徴とする窒化ケイ素質フィルタの製造法であるので、機械的特性に優れ、特に低圧損でパティキュレートの捕集効率が高く、DPFとして好適なフィルタの製造法に適用できる。
Claims (7)
- 平均粒子直径10〜75μm、かつ粒子直径5〜100μmの粒子が全金属ケイ素粒子中70質量%以上である金属ケイ素粒子60〜95質量%と、気孔形成材5〜40質量%とを含む成形体を窒素中で熱処理することにより金属ケイ素を実質的に窒化ケイ素とする窒化ケイ素質フィルタの製造法。
- 前記成形体中に、Mg、Ca、FeおよびCuからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を含む、無機酸塩、有機酸塩および水酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1記載の窒化ケイ素質フィルタの製造法。
- 前記気孔形成材として、金属の酸化物セラミックス中空粒子および/または飛散型気孔形成を用いる請求項1または2記載の窒化ケイ素質フィルタの製造法。
- 前記フィルタの気孔率が45〜80%である請求項1、2または3記載の窒化ケイ素質フィルタの製造法。
- 前記フィルタの水銀圧入法で測定される平均細孔直径が5〜40μmである請求項1〜4のいずれか記載の窒化ケイ素質フィルタの製造法。
- 前記フィルタの平均細孔直径をd0とするとき、細孔直径が0.5d0〜1.5d0にある細孔の細孔容積の和が全細孔容積の和の50体積%以上である請求項1〜5のいずれか記載の窒化ケイ素質フィルタの製造法。
- 前記熱処理条件が、成形体を温度1200〜1400℃の窒素雰囲気中で、4〜12時間保持して第1段階の熱処理を行った後、さらに温度1500〜1800℃の範囲で1〜12時間保持して第2段階の熱処理を行うものである請求項1〜6のいずれか記載の窒化ケイ素質フィルタの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004205853A JP2005047796A (ja) | 2003-07-17 | 2004-07-13 | 窒化ケイ素質フィルタの製造法 |
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JP2011214428A (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-27 | Kubota Corp | 排ガス浄化フィルターおよび排ガス浄化装置 |
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2004
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