JPH05148035A - 窒化珪素質焼結体の製造法 - Google Patents

窒化珪素質焼結体の製造法

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JPH05148035A
JPH05148035A JP3335548A JP33554891A JPH05148035A JP H05148035 A JPH05148035 A JP H05148035A JP 3335548 A JP3335548 A JP 3335548A JP 33554891 A JP33554891 A JP 33554891A JP H05148035 A JPH05148035 A JP H05148035A
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哲夫 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、三段焼結法を採用することによ
り、機械的強度が優れた緻密な窒化珪素質焼結体を製造
できる方法を提供する。 【構成】 窒化珪素粉末と焼結助剤との混合物を成形
し、該成形体を焼結するに際し、1.0〜20kg/cm2
の窒素又は窒素含有不活性ガス雰囲気下に、1650〜
1950℃の範囲で、かつ焼結により生成する粒界相の
融点よりも250℃以上高い温度で一次焼結して、気孔
率0.5〜5%の焼結体とし、次いで、一次焼結の温度
よりも100℃以上低く、かつ粒界相の融点よりも0〜
250℃高い温度とした後、一次焼結の圧力の5〜50
倍のガス圧で二次焼結し、さらに、引続き1650〜1
950℃の範囲で、かつ二次焼結の温度よりも100℃
以上高い温度で三次焼結することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温構造用材料として
有用な窒化珪素質焼結体の製造法に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】窒化珪素質焼結体は、高温
での機械的特性が優れていることから高温構造材料とし
て有望視されている。この窒化珪素質焼結体を高密度に
製造するには、主成分である窒化珪素が難焼結性材料で
あり、しかも高温で熱分解するおそれがあるために、ホ
ットプレス法、熱間静水圧プレス法、雰囲気加圧焼結法
等の高温高圧下で成形体を焼結することが不可欠であ
る。このうち、雰囲気加圧焼結法は製品形状に制約を受
けることなく、少量の焼結助剤で緻密な焼結体を量産す
るのに最適な手段である。
【0003】しかし、製品が相当大きくなると、雰囲気
加圧焼結法によっても焼結過程で焼結体中に気孔が残存
して、緻密な焼結体を得ることが困難となる。これを改
善する方法として、特開昭59−18165号公報や同
62−113769号公報には窒化珪素を主成分とする
成形体を加圧窒素雰囲気中で一次焼結し、次いで一次焼
結よりも高圧下で二次焼結する二段焼結法が提案されて
いる。
【0004】しかしながら、二段焼結法でも、一次焼結
の際に残存する気孔を二次焼結で完全に除去することは
困難であり、そのため、得られる焼結体の機械的強度は
充分なものではない。
【0005】
【発明の目的】本発明の目的は、前記問題点を解決し、
機械的強度が優れた緻密な窒化珪素質焼結体の製造法を
提供するものである。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明は、窒化珪素粉
末と焼結助剤との混合物を成形し、該成形体を焼結する
に際し、1.0〜20kg/cm2 の窒素又は窒素含有不活
性ガス雰囲気下に、1650〜1950℃の範囲で、か
つ焼結により生成する粒界相の融点よりも250℃以上
高い温度で一次焼結して、気孔率0.5〜5%の焼結体
とし、次いで、一次焼結の温度よりも100℃以上低
く、かつ粒界相の融点よりも0〜250℃高い温度とし
た後、一次焼結の圧力の5〜50倍のガス圧で二次焼結
し、さらに、引続き1650〜1950℃の範囲で、か
つ二次焼結の温度よりも100℃以上高い温度で三次焼
結することを特徴とする窒化珪素質焼結体の製造法に関
するものである。
【0007】本発明における窒化珪素粉末としては、特
に制限はないが、非晶質窒化珪素粉末及び/又は含窒素
シラン化合物を窒素含有不活性ガス雰囲気下又は窒素含
有還元性ガス雰囲気下に焼成することにより得られる結
晶質窒化珪素粉末が好ましく用いられる。
【0008】本発明における焼結助剤としては、マグネ
シア、アルミナ、イットリア、ベリリア、セリア、ジル
コニア、シリカ、酸化エルビウム、酸化イッテルビウ
ム、窒化アルミニウム及びこれらの混合物が挙げられ
る。焼結助剤の配合量は、窒化珪素粉末に対して1〜1
5重量%、好ましくは4〜9重量%が望ましい。
【0009】混合した粉末原料は金型プレス成形法、泥
しょう鋳込法、ラバープレス法、射出成形法等により所
望の形状に成形される。
【0010】次いで、この成形体を、1.0〜20kg/
cm2 の窒素又は窒素含有不活性ガス雰囲気下に、165
0〜1950℃の範囲で、かつ焼結により生成する粒界
相の融点よりも250℃以上高い温度で一次焼結して、
気孔率0.5〜5%の焼結体とする。
【0011】雰囲気ガスの圧力は1.0〜20kg/c
m2 、好ましくは1.5〜10kg/cm2 である。圧力が
1.0kg/cm2 よりも低いと、窒化珪素の熱分解を抑制
する効果が発揮されず、また、圧力が20kg/cm2 より
も高いと、焼結体中の閉気孔内に閉じ込められたガスが
高圧化して、緻密化が促進されないので好ましくない。
また、焼成温度は、1650〜1950℃の範囲であ
る。焼成温度が1650℃よりも低いと焼結体の緻密化
が不十分となり、1950℃よりも高くなると窒化珪素
の熱分解が起こってしまうので好ましくない。
【0012】さらに、窒化珪素と助剤からなる成形体を
焼結する場合、窒化珪素粒子表面のシリカと助剤との反
応により粒界相が生成するが、この粒界相の融点よりも
250℃以上高い温度で焼結することが必要である。焼
成温度が粒界相の融点よりも250℃以上高くない場合
には、十分な液相を生成しないか、または液相を生成し
てもその粘度が高すぎて焼結が十分に進行しないので好
ましくない。
【0013】また、本発明においては、一次焼結を雰囲
気ガスを流通させながら行うことが好ましい。これによ
り、助剤から揮発した酸素含有成分と炉材のカーボンと
の反応によって発生するCOガスを炉外に流出させて、
雰囲気ガス中のCOガス濃度を0.2%以下に抑制する
ことができ、COガスと窒化珪素との反応による炭化珪
素の生成を抑制でき、得られる焼結体中に有害なポアが
残存しなくなる。
【0014】次いで、一次焼結の温度よりも100℃以
上低く、かつ粒界相の融点よりも0〜250℃高い温度
とした後、一次焼結の圧力の5〜50倍のガス圧で二次
焼結する。二次焼結のガス圧は、例えば、一次焼結のガ
ス圧が1.5kg/cm2 の場合には、7.5〜75kg/cm
2 となり、一次焼結のガス圧が10kg/cm2 の場合に
は、50〜500kg/cm2 となる。
【0015】二次焼結では、粒界相の融点よりも0〜2
50℃高い温度で行うので、一次焼結時よりも粒界相の
粘度が高くなり、焼結体の塑性変形、粘性流動等を利用
して閉気孔を消滅させ、さらに緻密化を行うことができ
る。本発明においては、二次焼結の圧力−温度設定が非
常に重要であり、一次焼結の温度のままでガス圧を上げ
ると、閉気孔部に粒界相成分のみが押し込まれて、焼結
体の組織が不均質となる。
【0016】さらに、1650〜1950℃の範囲で、
かつ二次焼結の温度よりも100℃以上高い温度で三次
焼結する。これにより、緻密化をさらに進行させ、均質
な焼結体とすることができる。また、三次焼結の温度
は、1650〜1950℃の範囲内であれば、一次焼結
の温度よりも高くても低くてもよい。
【0017】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明をさ
らに具体的に説明する。 実施例1〜12 α型窒化珪素粉末(宇部興産(株)製:比表面積11m2
/g、酸素含有量1.3wt%)92.5重量%に、イ
ットリア(信越化学(株)製)5重量%及びアルミナ
(住友化学(株)製:AKP−30)2.5重量%を添
加した配合粉を、媒体としてエタノールを用いて48時
間湿式混合した後、減圧乾燥した。
【0018】得られた混合物を断面が50×80mm角の
金型を用いて矩形状に予備成形した後、圧力1.5ton/
cm2 でラバープレスした。得られた成形体を雰囲気加圧
焼結炉に装入し、表1に記載の温度−窒素ガス圧力条件
下で三段焼結を行った。
【0019】一次焼結時に5l/分の流量でガスを流通
させることにより、炉内のCOガス濃度は0.1%以下
であった。また、三段焼結における温度−窒素ガス圧力
のパターンを図1に示す。一次焼結及び三次焼結の保持
時間は共に1.5時間とし、二次焼結の保持時間は0.
5時間とした。また、二次焼結においては、所定の温度
に到達後10分間経過した後に窒素ガス圧力を上げた。
【0020】得られた焼結体の嵩密度及び曲げ強度の測
定結果を表1に示す。嵩密度はアルキメデス法により測
定した。また、曲げ強度は、作製した焼結体から3×4
×40mmのテストピースを切り出し、これを外スパン3
0mm、内スパン10mmの4点曲げ試験治具にセットし
て、室温及び1300℃における曲げ強度を測定した。
室温における曲げ強度はテストピース40本の平均値、
1300℃おける曲げ強度はテストピース10本の平均
値で求めた。
【0021】
【表1】
【0022】実施例13〜24 出発原料をα型窒化珪素粉末93.2重量%に、イット
リア3.5重量%、アルミナ2.8重量%及びジルコニ
ア0.5重量%を添加した配合粉とし、表2に記載の温
度−窒素ガス圧力条件に変え、一次焼結時に窒素ガスを
流通させなかった以外は、実施例1〜12と同様の操作
を繰り返した。一次焼結時に炉内のCOガス濃度は5%
以上に上昇した。得られた焼結体の嵩密度及び曲げ強度
の測定結果を表2に示す。得られた焼結体の表層部は緑
灰色に変色していた。X線回折測定によれば、焼結体の
表層部にはβ−SiCのピークが検出された。
【0023】
【表2】
【0024】比較例1〜6 実施例13において、表2に記載の温度−窒素ガス圧力
条件に変えた以外は、実施例13と同様の操作を繰り返
した。一次焼結及び二次焼結の保持時間は共に1.5時
間とした。一次焼結時に炉内のCOガス濃度は5%以上
に上昇した。得られた焼結体の嵩密度及び曲げ強度の測
定結果を表2に示す。得られた焼結体の表層部は緑灰色
に変色していた。X線回折測定によれば、焼結体の表層
部にはβ−SiCのピークが検出された。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、三段焼結法を採用する
ことにより、機械的強度が優れた緻密な窒化珪素質焼結
体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1〜24及び比較例1〜6の温
度−窒素ガス圧力のパターンを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺井 健二 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社無機材料研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化珪素粉末と焼結助剤との混合物を成
    形し、該成形体を焼結するに際し、1.0〜20kg/cm
    2 の窒素又は窒素含有不活性ガス雰囲気下に、1650
    〜1950℃の範囲で、かつ焼結により生成する粒界相
    の融点よりも250℃以上高い温度で一次焼結して、気
    孔率0.5〜5%の焼結体とし、次いで、一次焼結の温
    度よりも100℃以上低く、かつ粒界相の融点よりも0
    〜250℃高い温度とした後、一次焼結の圧力の5〜5
    0倍のガス圧で二次焼結し、さらに、引続き1650〜
    1950℃の範囲で、かつ二次焼結の温度よりも100
    ℃以上高い温度で三次焼結することを特徴とする窒化珪
    素質焼結体の製造法。
  2. 【請求項2】 一次焼結を雰囲気ガスを流通させながら
    行うことを特徴とする請求項1の窒化珪素質焼結体の製
    造法。
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