【発明の詳細な説明】
焼結反応結合した窒化珪素部品
本発明は、緻密な焼結反応結合した窒化珪素部品の製造方法、及びその方法に
より製造された部品に関する。ここで用いられている用語「緻密」とは、実質的
に非多孔質で、理論密度の少なくとも95%を有することを意味する。
窒化珪素部品は、窒化珪素粉末を焼結することにより製造することができる。
そのような焼結は、液相の存在下でのみ行うことができる。従って、現在の配合
物は、窒化珪素の表面に存在する酸化物層と一緒になって、窒化珪素が溶け込む
ことができるガラスを形成し、再析出して固化する、イットリア、稀土類、アル
ミナ、マグネシアを含む一種類以上の酸化物を10〜20重量%含んでいる。こ
の方法によって製造される部品は、1400℃位の高温度に耐えることを目的と
した構造材料として用いられ、従って、最も耐火性のガラス及び結晶質珪酸塩を
生ずるイットリア及び稀土類のような酸化物を使用している。この方法は、高純
度窒化珪素粉末を使用し、焼結中微視的構造の精密な制御を用いることと一緒に
なって、室温で約1GPaの曲げ強度を有し、その値の大部分を1200℃、時
には1400℃でさえも維持するセラミックスを生成する結果を与える。しかし
、この方法は、自動車及び一般的技術工業で金属部品の代替物のような多量に利
用される用途で用いるのを妨げるに足る大きな製造コストを必要とする。これら
のコストは、大きな材料コスト、高い焼結温度(屡々1800℃より高い)、及
び大きな工程損失によるものである。
窒化珪素部品を製造する時の窒化珪素粉末を出発材料とする方法に代わるもの
として、金属珪素粉末を用いる方法があり、それは約一桁低いコストで利用する
ことができる。1150〜1400℃の範囲の温度で珪素粉末を窒化する方法は
、窒化珪素粉末又は多孔質反応結合窒化珪素部品を形成するための充分確立され
た方法である。それら部品は、優れた熱衝撃特性と共に、少なくとも1200℃
まで維持される約200MPaの有用な強度を持つが、それらは多孔質で摩耗抵
抗が悪いため、工業部品として使用するのに適さないものになっている。
幾つかの信頼するに足る文献〔Mangels Ceram.Eng.Sci.Proc.2,589-603(
1981)を含む〕は、MgO、Al2O3、又はY2O3のような焼結助剤を含む珪素
前成形体を1400℃より低い温度で窒化し、1750〜1850℃の範囲の温
度で窒素中で焼結して、理論密度の98%を有する部品を形成することができる
ことを示している。この焼結反応結合窒化珪素は、9〜12%の範囲の低い全線
収縮率を持つ長所を有し、それは焼結窒化珪素粉末から誘導した部品のそれら値
の2倍に匹敵する。それにも拘わらず、この焼結反応結合窒化珪素法には商業的
注意は殆ど払われてこなかった。なぜなら、珪素と窒素との反応が極めて発熱的
で、注意して行わないと、前成形体を局部的に珪素の融点(1420℃)を越え
る温度まで加熱する結果になり易いからである。この問題は、炉の大きさと共に
増大し、約1週間の窒化時間が典型的である。また、この遅い窒化段階の後、部
品を保護粉末床内に埋めて第二黒鉛炉中で焼結を行う。更に、焼結反応結合窒化
珪素部品の機械的性質は、一般に一層直接的に焼結する窒化珪素経路によるもの
よりも僅かに劣り、制御するのが一層困難である。
ポンペ(Pompe)(米国特許第4,492,665号)は、珪素粉末に微細な窒化
珪素粉末を15〜50%添加すると、分散助剤として働き、後者をボールミルを
用いて1μmより小さい粒径まで粉砕することができることを示している。Y2
O3及びAl2O3粉末を焼結助剤として添加することにより、更に珪素を希釈し
、窒化中発熱反応の影響を少なくとも小さな程度に効果的に軽減する。焼結は、
別の黒鉛炉中で、Si3N4、Al2O3及びA1Nを含む保護粉末層の中に部品を
埋め、1770℃で、最高温度を1850℃にして温度を保持することにより行
われる。ポンペは、窒化及び焼結工程を単一の炉内で行うこともできることを示
唆しているが、それを裏付ける実施例は与えていない。
最近、ティーグス(Tiegs)及びその共同研究者達〔Ceram.Eng.Sci.Proc.14
,[1-2]378-388,(1993)〕は、マイクロ波加熱を用い、部品を粉末床中に詰めて
一段階窒化/焼結法を用いて焼結反応結合窒化珪素を製造している。それでも尚
この方法は実験室的規模に限定されている。
焼結助剤としてイットリア又は稀土類を用いることに代わる容易に想到できる
ものはマグネシアであり、これは、そのようなものとしてアルミナと共にスピネ
ルMgO・Al2O3の形で用いられてきた。しかし、MgOが炭素質環境中で、
MgO+C→Mg+CO
に従って反応して、1700℃より高い温度でガス状になる生成物を与える傾向
があることは一つの欠点である。それらの揮発性を考慮に入れると、アルカリ金
属及び硼素の酸化物のような多くの他の物質も排除することになる。
酸化カルシウム、CaOは、焼結反応結合窒化珪素の製造では焼結助剤として
は提案されていなかった。なぜなら、カルシウムが存在すると、セラミックの高
温機械的特性を劣化することになることが示されていたからである。カルシウム
は、最近適当な量のCaO、αSi3N4、Al2O3、及びA1Nの圧搾物を17
50〜1800℃の範囲の温度に加熱することにより、α′サイアロン(sialon)
、CaxSi12-mAlmOnN16-nの形成を促進する陽イオンの一つになることが
見出されている。表面的には魅力的であるが、この方法は、窒化アルミニウム、
AlNが比較的高価であることと、加水分解を受け易いため処理問題を起こすこ
とがあることの両方の理由から制御することが困難である。
このような状況から、低コストで調達できる原料から出発して迅速でエネルギ
ー効率のよい方法を用い、1000℃より低い温度で大量生産に適した焼結窒化
珪素部品を製造する方法を与える必要性が存在する。
本発明は、緻密な焼結反応結合窒化珪素部品を製造する方法において、実質的
に純粋な珪素及び酸化物又は酸化物前駆物質添加剤からなる粉末混合物を形成し
、前記粉末混合物から一般に部品の形をしている前成形体を形成し、その前成形
体中の珪素を窒素と反応させて窒化珪素を形成し、前記窒化珪素を焼結すること
からなり、前記添加剤がアルミナ及びカルシウム化合物を含むことを特徴とする
製造方法を与える。
「実質的に純粋な珪素」とは、未反応珪素を意味するが、それは必然的にその
上に酸化物の薄い膜を有するであろう。
本発明による方法は安価な材料を利用し、その方法を用いて、1000℃まで
の温度に耐えることができる良好な機械的特性を有し、理論的密度の95%を越
える(典型的には、97〜99%)の密度を有する部品を製造することができる
。従って、それら部品は、例えば自動車部品として用いるのに充分安く、多くの
用
途で用いるのに適している。カルシウム化合物を使用することにより、酸化カル
シウムの存在下で焼結を行わせることができ、それは比較的低い温度で高密度ま
で焼結することが可能になることが見出されている。この方法によって製造され
る部品は、驚く程良好な表面仕上げを有し、ピンホール或は変色の兆候はないこ
とが判明している。
添加剤は、粉末混合物の5〜15重量%を形成し、例えば、特定の添加剤に依
存して、重量で約5%、約6%、約7.5%、又は約9.5%の前記添加剤が存
在していてもよい。アルミナは粉末混合物の3〜10重量%を形成する。
そのような添加剤は、マグネシアを含んでいてもよく、それは必要な最高焼結
温度を低くし、それによってその方法のコストを減少することが判明している。
マグネシアは、粉末混合物の3.0重量%までを形成している。
カルシウム化合物は、酸化カルシウムでもよく、それは粉末混合物の1〜3.
5重量%を形成する。酸化カルシウム及びアルミナだけが添加剤中に存在する場
合、1:1〜1:1.5のモル比を維持するのが望ましいことが見出されている
。マグネシアも存在する場合、0.5:0.5:1(アルミナ=1)のモル比が
適切であることが判明している。酸化カルシウムの代替物として、その前駆物質
を前記量の酸化カルシウムを与えるのに充分な量で用いてもよい。例えば、カル
シウム化合物は、反応して酸化カルシウムを与える炭酸カルシウムでもよく、二
酸化炭素は処理中に除去される。
上で述べたように、窒素と珪素との反応は極めて発熱的であり、従って、珪素
が溶融しないようにその反応を制御することが重要である。しかし、経済的な根
拠から、この反応をできるだけ迅速に行ない、炉中の時間が最小になるようにす
ることが望ましい。これらの条件は、本発明による方法で、炉中の温度を調節し
ながら炉中窒素雰囲気中で前成形体を加熱し、必要に応じて炉中へ窒素を流入さ
せ、炉中へ入る窒素の流量を監視することからなる窒化法を用い、然も、その窒
化法が、次の段階:
予備反応段階で、その間に温度を反応が開始されるまで上昇させる予備反応段階
;
第一反応段階で、その間に炉中の温度を実質的に一定の水準に維持し、窒素の
流入を、それが予め定められた最大流量を越えないように調節し、然も、前記窒
素流量が予め定められた第一水準を越えた時前記第一反応段階を開始し、前記流
量が予め定められた第二水準より低く落ちた時停止する、第一反応段階;及び
第二反応段階で、その間に窒素の流量を予め定められた上限と下限との間に、
炉中の温度を調節することにより維持する、第二反応段階、
を有する窒化法により達成することができる。この窒化法は、反応で発生する熱
を利用することもでき、その結果この方法はエネルギー効率がよくなる。
前記予備反応段階中、温度は80〜120℃/時、例えば、約100℃/時で
、950℃〜1050℃、例えば、約1000℃の温度が達成されるまで上昇さ
せ、然る後、遅い速度で、例えば、約40℃/時の速度で、珪素の窒化が開始す
るまで上昇させる。次に温度を更に低い速度で、例えば5℃〜20℃/時で、窒
素の流量が前記予め定められた第一水準を越えるまで上昇させる。
珪素と反応させるのに必要な窒素の量は、存在する珪素の量に依存するので、
前記予め定められた窒素の最大流量は、炉中の珪素の全重量の関数として決定す
るのが好ましく、線形関数が適切である。同じ理由から、第二反応段階で適用さ
れる窒素流量についての予め定められた上限及び下限も、炉中の珪素の全重量の
関数として決定することができる。
窒化法の第二反応段階は、炉中の温度が予め定められた水準に到達した時に終
了する。これは、窒化法を終わらせるか、又は珪素と窒素の一層完全な反応を確
実に行わせるため、第二反応段階の後に、その方法が第三反応段階を有し、その
段階中に炉の温度を実質的に一定に維持し、窒素の流量を低下させるようにして
もよい。
前記窒化法の前に、前記前成形体を真空中で加熱し、存在する水蒸気及び他の
揮発性物質を除去するのが好ましい。前成形体は約800℃に加熱し、その温度
に約1時間約0.01トールの真空中で維持してもよく、好ましくは窒化法で用
いたのと同じ炉中で行うことができる。次に前成形体を冷却することなく、窒化
工程を開始させることができる。
エネルギー使用量及び必要な時間の両方を最小にするため、珪素を窒素と反応
させ、そのようにして形成された窒化珪素を同じ炉中で連続的操作で焼結するの
が好ましい。焼結には加熱及びガス圧力の適用が含まれる。
焼結中に到達する温度は、約1725℃であり、到達する圧力は5〜11バー
ル(500〜1100kN/m2)、例えば、約10バール(1000kN/m2
)である。
本発明は、本発明による方法により製造された焼結反応結合窒化珪素部品も与
える。その部品は、内燃機関のための弁機構部品、例えば、タペット・シム(tap
pet shim)、ローラー・フォロワー(roller follower)、又はロッカー・インサー
ト(rocker insert)の形をしていてもよい。
本発明による焼結反応結合窒化珪素部品を製造する方法の例を、図面を参照し
ながら読めるように詳細な記述を次に与える。
図中、
第1図は、例示した方法を遂行するのに用いられる装置の概略的図面であり、
そして
第2図は、例示した方法の窒化工程中の圧力、温度、及び窒素流量を示すグラ
フである。
例示した方法は、緻密な焼結反応結合窒化珪素部品を製造する方法である。部
品はタペット・シム、即ち、カムと嵌合するタペットの表面中に設定される円盤
状挿入物である。この方法は、実質的に純粋な珪素及び酸化物又は酸化物前駆物
質添加剤からなる粉末混合物を形成することを含んでいる。前記添加剤はアルミ
ナ及びカルシウム化合物、この場合には炭酸カルシウムからなり、炭酸カルシウ
ムは酸化カルシウムの前駆物質である。
平均粒径7μmの炭酸カルシウム粉末と、平均粒径0.5μmのαアルミナ粉
末とを1:1のモル比で水性分散物としてボールミルで混合することにより粉末
混合物を形成した。次に乾燥した添加剤混合物を、3%の特許有機結合剤を含む
平均粒径5μmの珪素粉末の充分分散させた70%固体水性懸濁物に添加し、混
合物を形成した。その混合物は窒化後、2.5重量%のCaO及び7.5重量%
のアルミナを含む窒化珪素組成物になる結果を与えた。そのようにして形成した
スラリーをスプレー乾燥し、主に50〜100μmの粒径範囲の自由流動性球状
粉末凝集物を与えた。
例示した方法は、前記粉末混合物から、一般に、必要な部品の形をした前成形
体を形成することも含んでいる。30mmの直径及び3mmの厚さを有する円盤
状の前成形体を形成するため、粉末混合物を5Tsi(77MN/m2)の圧力
を適用することにより理論密度の60%まで型プレスした。その前成形体を空気
循環炉中で350℃に加熱することにより取り外した。
例示した方法では炉10を用いた。炉10は最大圧力10バール、最高190
0℃までの温度で操作することができる真空炉であった。高温操作のための条件
を満たすために、炉を黒鉛抵抗体素子を用いて加熱し、水冷殻を保護するため炭
素絶縁体を取付けた。炉を用いて前成形体を乾燥し、その前成形体中の珪素と窒
素とを反応させて窒化珪素を形成した。炉は、窒化珪素を焼結するための熱及び
ガス過圧を適用するのにも用いた。
例示した方法では、前成形体は炉10中に入れ、連続的にポンプで0.01ト
ールの真空度で800℃の温度まで加熱し、その温度に1時間保持して水蒸気及
びこれらの条件で前成形体から揮発する全ての他の物質を除去することにより乾
燥した。この乾燥段階中、二酸化炭素が炭酸塩から発生した。
次に、例示した方法で、前成形体を炉10中で窒素雰囲気中で加熱することに
より、前成形体中の珪素を窒化珪素に転化した。この窒化工程中、炉10中の温
度は、検出器12を用い、その出力を制御器16へ供給し、その制御器が必要に
応じて炉10へ電力を適用することにより温度を監視して制御した。炉10中の
圧力も、出力を制御器16へ供給する検出器14によって監視した。また、この
窒化工程中、大気圧よりも13.8kN/m2(2psi)高く設定した低圧源
18から必要に応じて炉10中へ窒素(純度99.9%)を流入させた。炉10
中へ入った窒素は一方向流動制御弁20及び流量検出器22を通過し、その流量
検出器は炉10中への窒素の流量を監視し、その出力を制御器16へ供給した。
制御器16は、最大流量を限定するように弁20を操作することができた。
窒化工程は四つの段階からなっており、それらは予備反応加熱段階、第一反応
段階、第二反応段階、及び第三反応段階である。これらの段階は互いに直ぐに続
いており、予備反応加熱段階は上記乾燥段階に直ぐ続いている。これら段階中の
圧力、温度、及び窒素流量は、第2図に例示されている。
第2図は、X軸に時間(hr.)を示し、Y軸に温度(℃)を示している。Y
軸の目盛りは、炉10内の温度を示している破線Tだけに適用される。実線Fは
、炉10内へ入る窒素の流量を表し、点線Pは炉10内の圧力を表している。
予備反応加熱段階では、温度は、反応を開始させるまで上昇させた。窒素を炉
10内へ導入して、炉10内の圧力が源18の圧力で始まるようにした。この段
階中、炉内の圧力は源の圧力よりも高く上昇し、そのため炉中への窒素の流入は
なくなった。圧力は最初温度上昇のために、(線Pの「a」点で)源18に伴われ
た圧力解放弁(図示されていない)の作動を起こすまで上昇した。温度は、約4
00℃の開始点から上昇した(その温度まで、前の乾燥段階後の窒素導入中に温
度は低下していた)。温度は900℃に達するまで迅速に上昇し、その後ゆっく
りした速度で上昇した。窒素を使用して反応が開始されるため、圧力は低下し始
め、13.8kN/m2(2psi)で、窒素が炉中へ流入し始めた。次に流量
は0から急速に上昇し、流量は予め定められた第一の水準(点「b」で示されて
いる)に達した時、それは丁度10時間後に起きてたが、その予備反応段階が終
わり、第一反応段階が開始された。
第一反応段階中、炉10の温度を実質的に一定の水準に維持し、流量調節バル
ブ20を用いて窒素の流れを制御し、それが予め定められた最大速度を越えない
ようにした。この予め定められた最大値は、前成形体中の珪素の重量の線形関数
として決定されていた。炉10内の圧力は、置き換わった炉内への流量よりも多
くの窒素を反応が使用すると、13.8kN/m2(2psi)より低く低下し
た。反応により生じた熱は、炉の温度を維持するのに役立った。流量が予め定め
られた第二水準(点「c」によって示されている)より低く低下して、反応が遅く
なったことを示した時、第一反応段階が終わり、第二反応段階が開始された。
第二反応段階では、窒素の流量を予め定められた上限(線「d」によって示され
ている)と、予め定められた下限(線「e」によって示されている)との間に維持
した。これは、炉の温度を調節することによって達成された。特に、温度は、流
量が前記下限に達した時、5〜10℃/時の速度で上昇させ、流量が前記上限に
達した時、実質的に一定に維持した。このようにして、反応が低下し始めた時、
それを促進するようにし、反応の速度が上昇した時、その促進を止めるようにし
た。上限及び下限は、前成形体中の珪素の全重量の線形関数として決定された。
第二反応段階は、予め定められた温度に到達した時に終了し、第三反応段階を開
始した。
第三反応段階では、温度を実質的に一定に維持し、流量を低下させた。第三反
応段階は、流量が予め定められた最低値(点「f」で示されている)に到達した時
終了した。この遅い流量は、珪素の大部分が窒素と反応して窒化珪素を形成した
ことを示している。
第三反応段階が終わった直後に、例示した方法の焼結部分を開始した。即ち、
窒化された前成形体を冷却することなく開始した。焼結を開始するため、制御器
16によって窒素源18を分離し、高圧窒素源(図示されていない)を炉10へ
適用した。これによって炉10内の圧力が上昇した。同時に制御器16は炉内の
温度を600℃/時で上昇させた。10バール(1000kN/m2)の圧力及
び1725℃の温度に到達した時、これらの条件を2時間維持した。
例示した方法では、予備反応段階は約10時間継続し、第一反応段階は約6時
間継続し、第二反応段階は約13時間継続し、第三反応段階は約4時間継続し、
例示した方法の全時間は46時間であった。
例示した方法により製造されたタペット・シムは、3.10g/ccの密度及
び優れた表面仕上げを有することが判明した。そのシムは、前成形体から僅かな
線収縮(約9%)を示していた。500gの荷重によるその部品のビッカース硬
度は、1400kg/mm2であることが判明した。0.05μmRaの表面仕
上げまでダイヤモンド研磨した後、そのシムを内燃機関の弁機構で標準鋼シムと
比較して試験した。結果を表に示す。そのシムは鋼シムよりも軽く、静かであっ
た。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1996年1月8日
【補正内容】
請求の範囲
1.緻密な焼結反応結合窒化珪素部品を製造する方法において、実質的に純粋
な珪素、及びアルミナ及びカルシウム化合物を含む酸化物又は酸化物前駆物質添
加剤からなる粉末混合物を形成し、前記粉末混合物から一般に部品の形をしてい
る前成形体を形成し、前記前成形体中の珪素を窒素と反応させて窒化珪素を形成
し、前記窒化珪素を焼結することからなり、炉中の温度を調節しながら炉中窒素
雰囲気中で前成形体を加熱し、必要に応じて炉中へ窒素を流入させ、炉中へ入る
窒素の流量を監視することからなる窒化工程で珪素を窒素と反応させ、然も、前
記窒化工程が、次の段階:
予備反応段階で、その間に温度を反応が開始されるまで上昇させる予備反応段
階;
第一反応段階で、その間に炉中の温度を実質的に一定の水準に維持し、窒素の
流量を、それが予め定められた最大流量を越えないように調節し、然も、前記窒
素流量が予め定められた第一水準を越えた時前記第一反応段階を開始し、前記流
量が予め定められた第二水準より低く落ちた時停止する、第一反応段階;及び
第二反応段階で、その間に窒素の流量を予め定められた上限と下限との間に、
炉中の温度を調節することにより維持する、第二反応段階、
を有することを特徴とする、窒化珪素部品製造方法。
10.第二反応段階を、炉中の温度が予め定められた水準に到達した時、終了
する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
11.第二反応段階後、炉中の温度を実質的に一定に維持し、窒素流量を低下
させる段階を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
12.珪素を窒素と反応させ、そのようにして形成された窒化珪素を同じ炉中
で連続的操作で焼結する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
13.請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法により製造された焼結反応
結合窒化珪素部品。
14.内燃機関の弁機構部品の形をしている、請求項13に記載の部品。
15.部品が、タペット・シム、ローラー・フォロワー、又はロッカー・イン
サートである、請求項14に記載の部品。
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フロントページの続き
(72)発明者 バットラー,ニコラス ドミニク
イギリス国 シーブイ22 5アールゼット
ウォリックシャー,ラグビー,ブラフィ
ールド レイズ 16
(72)発明者 ヘプワース,マシュー アーノルド
イギリス国 エスケイ8 7キューエル
チェシャー,チードル ハルム,マルメス
ベリー ロード 98