JP2005307194A - 末端に水酸基を有するポリエステル化合物を含有する潤滑油 - Google Patents

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Abstract

【課題】生分解性に優れたポリエステル化合物を含有する生分解性に優れた潤滑油を提供する。
【解決手段】ポリエスエル化合物として、下記一般式(I)で表される化合物を潤滑油に用いる。
【化1】
Figure 2005307194

式(I)中、Rは、1分子中に1〜8個の水酸基を有するモノヒドロキシまたはポリヒドロキシ化合物から水酸基を除いた残りの基を表す。xは1〜8の整数を表す。Rは独立して炭素数2〜12のアルキレン基を表し、Rは独立して炭素数2〜4のアルキレン基を表す。mは独立して1〜500の整数、nは独立して3〜1000の整数を表す。(−OCOR−)・(−OR−)は、(−OCOR−)単位および(−OR−)単位からなるブロック重合鎖またはランダム共重合鎖を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造を有するポリエステル化合物を含有する潤滑油に関する。
機械部品間の摩擦防止等には潤滑油が用いられるが、この潤滑油には、一般に石油由来の鉱物油、ならびに化学合成されたポリオレフィン、ポリアルキレングリコール、脂肪酸エステル、リン酸エステル、シリコーン、およびポリフェニルエーテルなどからなる群から選ばれる化合物が用いられている。潤滑油はこれらの化合物を基油として含み、さらに所望する添加剤や希釈剤等を含む組成物が一般的である。
また、近年、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、バクテリアセルロース、ポリアミノ酸、ポリリンゴ酸、およびポリカプロラクトン等の重合体の開発が行われており、生分解性が優れた重合体として自然環境保全の観点からも注目されている(例えば、特許文献1および2参照。)。しかし、これまでに開発されたこれらの重合体は樹脂として用いる目的で開発されたものであり、室温下では固体である。したがって、使用条件下で液体であることが必要な潤滑油の基油として用いることは困難だった。
潤滑油の基油として用いられる上記化合物のうち、脂肪酸エステル以外は微生物による生分解性がほとんどないため、潤滑油が使用設備外に漏洩した場合に速やかに分解されることがない。また、脂肪酸エステルは、生分解性は優れるものの低分子の化合物以外は入手が困難であり、高粘度の製品がないために潤滑油としての用途がきわめて限られている。
そこで、アルカリ触媒を用いてカプロラクトンをアルキレンオキシドと共重合することにより粘度を低下させて常温で液体とした重合体を高粘度潤滑油の基油として使用することが提案された(特許文献3)。
特開平7−309938号公報 特開平8−295748号公報 米国特許5525702号明細書
しかし、これら重合体中には、製造するのに用いた、アルカリ触媒、すなわち、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性化合物が残存するため、潤滑油の潤滑性の低下を及ぼす問題がある。また、ポリエステル化合物の保存安定性、特に潤滑油に水が配合されている場合はポリエステル化合物自体の加水分解による性能低下の問題もある。しかし、これら強アルカリ化合物は重合体の加水分解を促し、その結果、重合体中に微量発生したカルボキシル基と反応するので、除去することは困難であり、結局、実用的ではなかった。
本発明は、ラクトンおよびアルキレンオキシドが共重合して得られるランダム共重合鎖を含むポリエステル化合物を含有する潤滑油であって生分解性に優れた潤滑油に関する。
本発明は、下記一般式(I)で表されるポリエステル化合物(I)を含有し、かつ金属水酸化物またはその塩を含まないことを特徴とする潤滑油である。
Figure 2005307194
式(I)中、Rは、1分子中にx個(1〜8個)の水酸基を有するモノヒドロキシまたはポリヒドロキシ化合物から水酸基を除いた残りの基を表す。xは1〜8の整数を表す。Rは独立して炭素数2〜12のアルキレン基を表し、Rは独立して炭素数2〜4のアルキレン基を表す。mは独立して1〜500の整数、nは独立して3〜1000の整数を表す。(−OCOR−)・(−OR−)は、(−OCOR−)単位および(−OR−)単位からなるランダム共重合鎖を表す。
また、上記ポリエステル化合物(I)は、融点が0℃以下であることが好ましい。さらに、上記ポリエステル化合物(I)は、40℃における動粘度が5〜100000mm/sであることが好ましい。本明細書における動粘度とは、JIS K−2283に準拠して測定された値をいう。本発明における上記ポリエステル化合物(I)の、OECD化学品テストガイドライン301Cの方法に準拠して測定される生分解度は28日以内で60%以上であることが好ましい。本発明の潤滑油は、上記ポリエステル化合物(I)を含有するとともにさらに水を含有してもよい。
本発明の潤滑油は、40℃における動粘度が5〜100000mm/sであることが好ましい。
本発明の潤滑油は、作動油、グリース、コンプレッサー油、圧延油、ギヤー油、金属加工油、トラクションドライブ油、土木掘削用潤滑油およびエンジン油からなる群から選ばれる用途に用いることができる。
本発明は、また、上記一般式(I)で表されるポリエステル化合物(I)であって、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒を用いてラクトンとアルキレンオキシドの混合物を開環付加重合させて得られるラクトンとアルキレンオキシドのランダム共重合鎖を有するポリエステル化合物(I)である。また、該ポリエステル化合物(I)を含有し、かつ金属水酸化物またはその塩を含まないことを特徴とする潤滑油である。
本発明の潤滑油は、優れた潤滑性とともに優れた生分解性も有する。したがって、潤滑油が万一使用時に環境中に漏洩した場合であっても環境に対する負荷が小さく、かつ使用後の廃油処理等の作業が軽減できる効果を有する。
以下、本発明におけるポリエステル化合物(I)の化学構造およびその製造方法について説明し、さらに本発明におけるポリエステル化合物(I)を含有する潤滑油について順に説明する。
〔ポリエステル化合物〕
本発明におけるポリエステル化合物は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2005307194
以下、本明細書中においては、上記一般式(I)で表されるポリエステル化合物を「ポリエステル化合物(I)」とも記す。
上記一般式(I)中、Rは、1分子中にx個(1〜8個)の水酸基を有するモノヒドロキシまたはポリヒドロキシ化合物から水酸基を除いた残りの基を表す。前記モノヒドロキシ化合物としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−エチルヘキサノール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデカノール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびオレイルアルコール等の1価アルコールを例示できる。また前記ポリヒドロキシ化合物としては、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、および1,4−シクロヘキサンジメタノール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、および1,2,6−ヘキサントリオール等の3価アルコール;ジグリセリンおよびペンタエリスリトール等の4価アルコール;トリグリセリン等の5価アルコール;ソルビトールおよびグルコース等の6価アルコール;ならびに、スクロースおよびマルトース等の8価アルコールが挙げられる。また、上記モノアルコール、上記ポリアルコール、例えばトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、および例えばエチレンジアミン等のポリアミンからなる群から選ばれる化合物にアルキレンオキシドを付加して得られる水酸基あたりの分子量が500以下のポリエーテル化合物も同様に前記モノヒドロキシまたは前記ポリヒドロキシ化合物(以下、あわせて「水酸基含有開始剤」とも記す。)として用いることができる。この水酸基含有開始剤にラクトンおよびアルキレンオキシドの共重合鎖を結合させてポリエステル化合物(I)が得られるが、それについては後述する。
最終的に得られる上記ポリエステル化合物(I)が優れた潤滑性を有するためには、上記水酸基含有開始剤として1〜3価のアルコール、または1〜3価のアルコールのアルキレンオキシド付加物を用いることが好ましい。後者を用いる場合は水酸基あたりの分子量が500以下であることが好ましく、400以下が特に好ましい。さらに、1〜2価のアルコールまたは1〜2価のアルコールのエチレンオキシド付加物であって水酸基あたりの分子量が500以下、特に400以下のものを用いることが最も好ましい。本発明においては、水酸基含有開始剤は1種類の化合物のみを用いても、2種類以上の化合物を併用してもよい。
また、上記一般式(I)中、xは1〜8の整数を表す。1〜3が好ましく、1〜2が特に好ましい。なお、xは使用した水酸基含有開始剤の水酸基の数に等しい。また、Rは独立して炭素数2〜12のアルキレン基を表し、融点が高くなりすぎないようにするために、特に炭素数2〜5の直鎖状の飽和炭化水素鎖が好ましい。また、Rは独立して炭素数2〜4のアルキレン基を表し、生分解性に優れることから特にエチレン基またはプロピレン基であることが好ましい。エチレン基とプロピレン基の組合せまたはエチレン基のみであることが特に好ましい。
さらに上記一般式(I)中、(−OCOR−)・(−OR−)は、(−OCOR−)単位および(−OR−)単位からなるランダム共重合鎖を表す。前記mは独立して1〜500の整数を表し、1〜200が好ましく、2〜200がより好ましく、2〜50がさらに好ましい。前記nは独立して1〜1000の整数を表し、2〜200が好ましく、2〜100がさらに好ましく、2〜50が最も好ましい。mおよびnを前記範囲内に調節することによって、潤滑油の基油として好ましい動粘度を有するポリエステル化合物(I)を得ることができる。また、m/n=4/1〜1/20であることが好ましく、2/1〜1/10であることがさらに好ましい。m/nを前記範囲内にすることによって、得られるポリエステル化合物(I)の融点を0℃以下にするとともに優れた生分解性を得ることができる。
また、本発明におけるポリエステル化合物(I)は、ラクトンとアルキレンオキシドとのランダム共重合鎖を有することから融点を低くできる。本発明においてポリエステル化合物(I)は、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒を用いてラクトンとアルキレンオキシドの混合物を開環付加重合させて得られるラクトンとアルキレンオキシドのランダム共重合鎖を有することが特に好ましい。
本発明において、ポリエステル化合物(I)は好ましくは、下記一般式(I’)で表されることが特に好ましい。
Figure 2005307194
式(I’)中、R10は、炭素数1〜20のx価(1〜8価)の炭化水素基を表し、R11は独立して炭素数2〜4のアルキレン基を表す。pは独立して0〜20の整数を表す。x、R、R、m、nは上記に同じである。(−OCOR−)・(−OR−)は、(−OCOR−)単位および(−OR−)単位からなるランダム共重合鎖を表す。
11は独立して炭素数2〜4のアルキレン基を表し、生分解性に優れることからエチレン基またはプロピレン基であることが好ましく、エチレン基とプロピレン基の組合せまたはエチレン基のみであることが特に好ましい。pは独立して0〜10の整数であることが好ましい。
本発明に用いるポリエステル化合物(I)の製造方法を説明する。水酸基含有開始剤の存在下、重合触媒を用い、ラクトンおよびアルキレンオキシドを開環付加重合して製造する方法が好ましい。
前記重合反応に用いるラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、およびε−カプロラクトンが好ましい化合物として挙げられる。得られる生成物の融点をあまり高くしないことから、特にδ−バレロラクトン、およびε−カプロラクトンが好ましい。これらのラクトンは1種類のみを用いても、2種類以上を併用してもよい。
また上記重合反応に用いるアルキレンオキシドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを用いることが好ましく、炭素数2〜3のアルキレンオキシドがさらに好ましく、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドが挙げられる。これらのアルキレンオキシドは1種類のみを用いても、2種類以上を併用してもよい。プロピレンオキシドとエチレンオキシドの組み合わせまたはエチレンオキシドのみであることが特に好ましい。
また、重合触媒としては複合金属シアン化物錯体触媒、ホスファゼン化合物触媒、ルイス酸触媒等が例示できる。これらは、重合体中に触媒残渣があっても、ポリエステル化合物(I)の安定性や潤滑性に悪影響を及ぼすことが少ない。これらの触媒は、ポリエステル化合物(I)製造後、除去してもしなくてもよい。
これらのうち、活性が高く比較的少量で重合体を合成でき、また、触媒残渣があってもポリエステル化合物(I)の安定性や潤滑性に悪影響を及ぼさない点で、複合金属シアン化物錯体触媒が特に好ましい。複合金属シアン化物錯体触媒を用いた場合は、重合体製造後は特に触媒残渣を除去する必要がない。また、複合金属シアン化物錯体触媒を用いることにより、分子量分布の狭い重合体が得られるので、低粘度化しやすく潤滑油として使用するのに有利であると考えられる。
複合金属シアン化物錯体触媒としては公知のものが使用できる。特に亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒に有機配位子が配位したものが好ましい。有機配位子としては水溶性のものが好ましく、具体例としてはtert−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、イソプロピルアルコール、1,4−ジオキサンおよび1,3−ジオキサン等の化合物が挙げられる。好ましい有機配位子はtert−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、グライムおよびエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルであり、tert−ブチルアルコールが特に好ましい。これらの有機配位子は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。
また、複合金属シアン化物錯体触媒を用いる場合は、重合反応開始までの時間を短くできることから、上記水酸基含有開始剤の水酸基の数が2以上のときは特に分子量400以上の水酸基含有開始剤であって、水酸基あたりの分子量が500以下のもの用いることが好ましく、水酸基あたりの分子量が200〜400の水酸基含有開始剤を用いることより好ましい。このような水酸基含有開始剤は多価アルコールにアルカリ触媒等を用いてエチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを開環付加重合させた後、アルカリ触媒を精製除去して得られる。
また、複合金属シアン化物錯体触媒を用いた反応においては触媒を活性化する誘導期間を設けることが好ましい。具体的には、ラクトンおよびアルキレンオキシドの混合物を反応させる前に少量のアルキレンオキシドを反応系に導入し、触媒を活性化させた後、ラクトンとアルキレンオキシドの混合物を反応系に導入して開環付加重合反応させることが好ましい。触媒の活性化に用いたアルキレンオキシドは開始剤に開環付加重合する。
なお、一般的に開環付加重合触媒として用いられる、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等の金属水酸化物は、重合後、触媒および触媒残渣を完全除去することが困難な上、それが潤滑性、保存安定性に悪影響を及ぼすので、ラクトンとアルキレンオキシドの混合物を開環付加重合させる際には使用しない。
当業者であれば、上記ポリエステル化合物(I)を製造するための共重合反応条件として、適宜好ましい条件を選択して重合反応を実施することができる。重合反応速度を高くできることから、高温加圧条件で重合反応を行うことが好ましい。ラクトンおよびアルキレンオキシドを重合反応容器内に同時に存在させることによってランダム共重合することができ、これによりランダム共重合鎖が得られる。重合反応後は、合成珪酸マグネシウム等を用いて、得られた生成物をさらに精製してもよい。重合触媒として複合金属シアン化物錯体触媒を用い、特に精製することなく製品として使用できる場合は、得られたポリエステル化合物を特に精製することなく潤滑油等の基油として用いることもできる。
本発明における上記ポリエステル化合物(I)は、種々の用途に用いることができるが、例えば潤滑油の基油として用いる場合に適することから、融点が0℃以下であることが好ましい。融点を0℃以下にすることによって、通常の使用条件下において、潤滑油の基油として好ましい液状を保つことができる。上記ポリエステル化合物(I)の融点は、開始剤の構造、前記開始剤に共重合させるラクトンおよびアルキレンオキシドのそれぞれの構造および重合量を調整することによって変えることができる。具体的には、例えば、ポリエステル化合物(I)全体に含まれるエステル結合の量が少なくなるように共重合に用いるラクトンおよびアルキレンオキシドの量を調節することにより、ポリエステル化合物(I)の融点を下げることができる。また、共重合時に用いるアルキレンオキシドとして、エチレンオキシドよりもプロピレンオキシドを多くすることにより、得られるポリエステル化合物(I)の融点を下げることができる。さらにラクトンとアルキレンオキシドをランダムに重合させることによりポリエステル化合物(I)の融点を下げることができる。
さらに、本発明におけるポリエステル化合物(I)は、潤滑油の基油としての適性から、40℃における動粘度が5〜100000mm/sであることが好ましい。前記ポリエステル化合物(I)の40℃における動粘度を5mm/s以上にすることによって高い潤滑性が得られ、また100000mm/s以下にすることによって、このポリエステル化合物(I)を含む潤滑油の広い用途に適した粘度のものにすることができる。
本発明におけるポリエステル化合物(I)の動粘度は、ポリエステル化合物(I)の製造時に用いる開始剤の構造、開始剤に共重合させるラクトンおよびアルキレンオキシドの構造、共重合させるラクトンおよびアルキレンオキシドの割合、得られるポリエステル化合物(I)の分子量および分子量分布などによって変化する。当業者はポリエステル化合物(I)の製造に用いる各原料の構造および比率、ならびにポリエステル化合物(I)の分子量を適宜調整することによって、得られるポリエステル化合物(I)の動粘度を調整することができる。一般には、ポリエステル化合物(I)の分子量を小さくすること、ポリエステル化合物(I)中に含まれるエステル結合の割合を少なくすること、一般式(I)におけるxの数を少なくすることなどによってポリエステル化合物(I)の動粘度を低くすることができ、当業者であればこのような調整は容易に行えるものである。ポリエステル化合物(I)の分子量は200〜50000が好ましく、200〜15000が好ましい。
本発明における上記ポリエステル化合物(I)を潤滑油の基油として用いる場合の適性から、(財)日本環境協会エコマーク事務局が定義している生分解性潤滑油の認定の基準にあるOECD(経済協力開発機構)化学品テストガイドライン301Cの方法に準拠して測定される生分解度が、28日以内で60%以上のポリエステル化合物(I)を潤滑油の基油として用いることが好ましい。
上述した生分解度を有するポリエステル化合物(I)は、ポリエステル化合物(I)の原料として用いる開始剤、ラクトン、およびアルキレンオキシドの構造、ならびにそれらの使用モル比等を調整することによって製造することができ、このような調整は当業者が容易に行えるものである。本発明者らは、本発明のポリエステル化合物(I)中に含まれるプロピレンオキシド由来のオキシアルキレン鎖の量が増加すると生分解性が低下する傾向を発見している。したがって、優れた生分解性を有するポリエステル化合物(I)を得るためには、ポリエステル化合物(I)中に含まれるプロピレンオキシド由来のオキシアルキレン鎖の質量をポリエステル化合物(I)の全質量中の15%以下にすることが好ましく、10%以下にすることが特に好ましい。
次に上記の生分解性に優れたポリエステル化合物(I)を基油として含む潤滑油について説明する。
〔潤滑油〕
本発明の潤滑油は上述したポリエステル化合物(I)を含むことを特徴とし、かつ金属水酸化物またはその塩を含まないことを特徴とする。上述したとおり、OECD化学品テストガイドライン301Cの方法に準拠して測定される生分解度が、28日以内で60%以上のポリエステル化合物(I)を基油として含むことが好ましい。
本発明の潤滑油は、ポリエステル化合物(I)のほか、適宜所望する材料を含めることができる。具体的には、潤滑油にポリエステル化合物(I)とともに水を含有させた水溶性組成物を、水溶性の潤滑油として用いることができる。この水溶性の潤滑油の用途としては、難燃性作動油および水溶性金属加工油が挙げられる。これらの用途に用いる場合、水溶性の潤滑油に用いられる水溶性組成物中に含まれる水の量は組成物全体中の5〜95質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。水溶性の潤滑油として用いられる組成物中の水の量を5質量%以上にすることによって難燃性を高めることができ、水の量を95質量%以下にすることによって優れた潤滑性を発現できる。またこのとき、ポリエステル化合物(I)の量は組成物全体の5〜95質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
本発明の潤滑油には、所望により各種添加剤をさらに用いることができる。添加剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンのpH調整剤;アルキルベンゾイミダゾール系金属防食剤;モルホリン等の気相防錆剤;オレイン酸、ラウリン酸、およびカプリン酸等の油性向上剤;二硫化モリブテン等の固体潤滑剤;リン酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、およびポリカルボン酸塩等の金属封鎖剤;ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;極圧剤;清浄分散剤;粘度指数向上剤;流動点降下剤;ならびに、シリコーン等の消泡剤からなる群から選ばれる材料を適宜選択して用いることができる。
本発明の潤滑油は、金属水酸化物またはその塩を含まないことを特徴とする。特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物またはこれらの塩を含まない。
本発明の潤滑油の40℃における動粘度は5〜100000mm/sが好ましく、10〜10000mm/sがさらに好ましく、20〜5000mm/sが特に好ましい。潤滑油に含める水の量、その他の添加剤の種類および量、ならびにポリエステル化合物(I)の化学構造および分子量などを適宜調整することによって、動粘度をこのような範囲に調節することができる。潤滑油の40℃における動粘度を5mm/s以上にすることによって潤滑油として高い潤滑性を得ることができ、100000mm/s以下にすることによって広い範囲の用途に使用できる潤滑油を得ることができる。
〔潤滑油の用途〕
本発明の潤滑油の好ましい用途としては、例えば、作動油、グリース、コンプレッサー油、圧延油、ギヤー油、金属加工油、トラクションドライブ油、土木掘削用潤滑油およびエンジン油を挙げることができるが、本発明の潤滑油の用途はこれらに限定されるものではなく、適宜好ましい用途に用いることができる。
以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、実施例で得られたポリエステル化合物(I)および潤滑油の融点の測定は、示差走査熱量計DSC6200(商品名、セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用い、温度による吸熱量変化に基づいて行った。また、ポリエステル化合物(I)の化学構造は、JNM−AL300 FT NMR SYSTEM(商品名、日本電子株式会社製)を用いて測定したC13−NMRスペクトルに基づいて決定した。また、水酸基価はJIS K1557 6.4に準拠して測定した値であり、ポリエステル化合物(I)の平均分子量は、水酸基価から計算した平均分子量である。水酸基価から計算した平均分子量とは、水酸基価(OHv、単位はmgKOH/g)およびポリエステル化合物(I)を製造するときに用いた開始剤の平均水酸基数xから、以下の式:
(56100/OHv)×(x)
を用いて計算した値である。
ポリエステル化合物(I)の製造例を以下に説明する。いずれの例においても容量5リットルの高圧用オートクレーブを反応容器として用いた。またEOはエチレンオキシド、CLはε−カプロラクトン、POはプロピレンオキシド、TBAはtert−ブチルアルコールを示す。
〔製造例1〕
ポリエチレングリコール(和光純薬工業社製、平均分子量400)を400g(1.0モル)、およびTBAを配位子として有する亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒0.4gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で140℃迄昇温した。初めにEOの44g(1.0モル)を反応容器内に投入して初期反応を行い、続いてCLの1200g(10.5モル)とEOの2360g(53.6モル)の混合物を反応容器内に10時間程かけて投入した。CLおよびEOの混合物を全て反応容器内に投入後、140℃でさらに5時間反応させ、その後、未反応のCLおよびEOが反応容器内に残存しないことを反応容器内圧の低下が止まったことによって確認した後、反応容器から生成物を抜き出し、目的とするポリエステル化合物(I−1)を得た。得られたポリエステル化合物(I−1)の水酸基価は28.0mgKOH/g(平均分子量 4000)であり、融点は−30℃だった。このポリエステル化合物(I−1)のC13−NMRスペクトルを測定したところ、CLとEOのランダム共重合鎖に由来する69.6ppmのピークが検出され、本例で製造したポリエステル化合物(I−1)がランダム共重合鎖を有する化合物であることがわかった。ポリエステル化合物(I−1)は、一般式(I)においてRがエチレングリコール1モルに平均8.7モルのEOが付加したジオールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=5.3、nの平均値=26.8、x=2、およびm/n=0.20の化合物である。
〔製造例2〕
オレイルアルコール(分子量268)を1340g(5.0モル)、およびイソブチルアルコールを配位子として有する亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒0.4gを反応容器に仕込み、窒素気流下で140℃迄昇温した。初めにEOの132g(3.0モル)を反応容器内に投入して初期反応を行い、続いてCLの1230g(10.8モル)とEOの1300g(29.5モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入した。前記混合物の投入後、140℃でさらに5時間反応させてから、未反応のCLおよびEOが反応容器内に残存しないことを、反応容器内圧の低下が止まったことによって確認してから、生成物を反応容器から抜き出し、目的とするポリエステル化合物(I−2)を得た。得られたポリエステル化合物(I−2)の水酸基価は70.0mgKOH/g(平均分子量 800)、融点は−40℃だった。C13−NMRスペクトルの測定によりこのポリエステル化合物(I−2)がCLとEOのランダム共重合鎖を有することがわかった。ポリエステル化合物(I−2)は、一般式(I)においてRがオレイルアルコール1モルに平均0.6モルのEOが付加したモノオールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=2.2、nの平均値=5.9、x=1、およびm/n=0.37の化合物である。
〔製造例3〕
ポリエチレングリコール(和光純薬工業社製、平均分子量400)を160g(0.4モル)、およびグライムを配位子として有する亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒1.0gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で140℃迄昇温した。初めにEOの18g(0.4モル)を反応容器内に投入して初期反応を行い、続いてCLの2170g(19.0モル)とEOの1670g(38.0モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入し、140℃でさらに5時間反応させた。その後、未反応のCLおよびEOが反応容器内に残存しないことを反応容器内圧の低下が止まったことによって確認し、反応容器から生成物を抜き出して目的とするポリエステル化合物(I−3)を得た。得られたポリエステル化合物(I−3)は、水酸基価が11.2mgKOH/g(平均分子量 10000)であり、融点が−20℃だった。C13−NMRスペクトルの測定によりこのポリエステル化合物(I−3)がCLとEOのランダム共重合鎖を有することがわかった。ポリエステル化合物(I−3)は、一般式(I)においてRがエチレングリコール1モルに平均8.7モルのEOが付加したジオールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=23.8、nの平均値=47.4、x=2、およびm/n=0.50の化合物である。
〔製造例4〕
グリセリンのEO付加物(水酸基価換算の平均分子量400)を480g(1.2モル)、およびエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルを配位子として有する亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒1.0gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で140℃迄昇温した。初めにPOの70g(1.2モル)を反応容器内に投入して初期反応を行い、続いてβ―プロピオラクトン1153g(16.0モル)とEOの1607g(35.5モル)とPO290g(5.0モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入してから、140℃でさらに5時間反応させた。その後、未反応のβ−プロピオラクトン、EOおよびPOが反応容器内に残存しないことを反応容器内圧の低下が止まったことによって確認し、反応容器から生成物を抜き出して目的とするポリエステル化合物(I−4)を得た。
得られたポリエステル化合物(I−4)は、水酸基価が56.0mgKOH/g(平均分子量 3000)であり、融点が−30℃だった。このポリエステル化合物(I−4)のC13−NMRスペクトルを測定したところ、β−プロピオラクトンとEOのランダム共重合鎖に由来する69.6ppmのピーク;β−プロピオラクトンとPOのランダム共重合鎖に由来する70.1ppm、71.5ppm、72.3ppm、および173.0ppmのピーク;ならびに、EOとPOのランダム共重合鎖に由来する69.2ppmのピークが観測され、本例で製造したポリエステル化合物(I−4)がランダム共重合鎖を有することがわかった。ポリエステル化合物(I−4)は、一般式(I)においてRがグリセリン1モルに平均7モルのEOおよび平均1モルのPOがこの順に付加したトリオールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=4.4、nの平均値=11.5、x=3、およびm/n=0.38の化合物である。
〔製造例5〕
デシルアルコール(分子量158)を316g(2.0モル)、およびグライムを配位子として有する亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒1.0gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で140℃迄昇温した。初めにEOの44g(1.0モル)を反応容器内に投入して初期反応を行い、続いてCLの3088g(27.1モル)とEOの556g(12.6モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入し、140℃でさらに5時間反応させた。その後、未反応のCLおよびEOが反応容器内に残存しないことを反応容器内の圧力の低下が止まったことによって確認してから、反応容器から生成物を抜き出して目的とするポリエステル化合物(I−5)を得た。得られたポリエステル化合物(I−5)の水酸基価は28.1mgKOH/g(平均分子量2000)であり、融点は−30℃だった。C13−NMRスペクトルの測定によりこのポリエステル化合物(I−5)がCLとEOのランダム共重合鎖を有することがわかった。ポリエステル化合物(I−5)は、一般式(I)においてRがデシルアルコール1モルに平均0.5モルのEOが付加したモノオールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=13.5、nの平均値=6.3、x=1、およびm/n=2.1の化合物である。
〔製造例6〕
ポリエチレングリコール(和光純薬工業社製、平均分子量600)を900g(1.5モル)、およびイソブチルアルコールを配位子として有する亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒1.0gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で140℃迄昇温した。初めにEOの88g(2.0モル)を反応容器内に投入して初期反応を行い、続いてCLの739g(6.5モル)とEOの2764g(62.8モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入し、140℃でさらに5時間反応させた。その後、未反応のCLおよびEOが反応容器内に残存しないことを反応容器内の圧力の低下が止まったことによって確認し、反応容器から生成物を抜き出して目的とするポリエステル化合物(I)を得た。得られたポリエステル化合物(I−6)の水酸基価は45.0mgKOH/g(平均分子量 2500)であり、融点は−35℃だった。C13−NMRスペクトルの測定によりこのポリエステル化合物(I−6)がCLとEOのランダム共重合鎖を有することがわかった。ポリエステル化合物(I−6)は、一般式(I)においてRがエチレングリコール1モルに平均13.5モルのEOが付加したジオールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=2.2、nの平均値=20.9、x=2、およびm/n=0.11の化合物である。
〔製造例7〕
n−ブチルアルコール(分子量74)を740g(10.0モル)、およびTBAを配位子として有する亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒0.4gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で140℃迄昇温した。初めにEOの220g(5.0モル)を反応容器内に投入して初期反応を行い、続いてγ−ブチロラクトン1117g(13.0モル)とEO923g(21.0モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入し、140℃でさらに5時間反応させた。その後、未反応のγ−ブチロラクトンおよびEOが反応容器内に残存しないことを反応容器内圧の低下が止まったことによって確認し、反応容器から生成物を抜き出して目的とするポリエステル化合物(I−7)を得た。得られたポリエステル化合物(I−7)の水酸基価は187mgKOH/g(平均分子量 300)であり、融点は−40℃だった。このポリエステル化合物(I−7)のC13−NMRスペクトルを測定したところ、γ−ブチロラクトンとEOのランダム共重合鎖に由来する69.6ppmのピークが観測され、本例で製造したポリエステル化合物(I−7)がγ−ブチロラクトンとEOのランダム共重合鎖を有することがわかった。ポリエステル化合物(I−7)は、一般式(I)においてRがn−ブチルアルコール1モルに平均0.5モルのEOが付加したモノオールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=1.3、nの平均値=2.1、x=1、およびm/n=0.62の化合物である。
〔製造例8〕
プロピレングリコール1モルにEOが平均10モル付加したジオール(水酸基換算の平均分子量516)を516g(1.0モル)、およびグライムを配位子として有する亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒1.0gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で140℃迄昇温した。初めにPOの116g(2.0モル)を反応容器内に投入して初期反応を行い、続いてCLの230g(2.0モル)とEOの230g(5.3モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入し、140℃でさらに5時間反応させた。その後、未反応のCLとEOが反応容器内に残存しないことを反応容器内の圧力の低下が止まったことによって確認してから、反応容器から生成物を抜き出して目的とするポリエステル化合物(I−8)を得た。得られたポリエステル化合物(I−8)の水酸基価は103mgKOH/g(平均分子量 1090)であり、融点は−35℃だった。C13−NMRスペクトルを測定したところ、このポリエステル化合物(I−8)がCLとEOのランダム共重合鎖を有することがわかった。ポリエステル化合物(I−8)は、一般式(I)においてRがプロピレングリコール1モルに平均10モルのEOおよび平均2モルのPOがこの順に付加したジオールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=1.0、nの平均値=2.6、x=2およびm/n=0.38の化合物である。
〔製造例9〕
2−エチルヘキシルアルコール(分子量130)を260g(2.0モル)、およびTBAを配位子として有する亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒0.5gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で140℃迄昇温した。初めにEOの88g(2.0モル)を反応容器内に投入して初期反応を行い、続いてCLの326g(2.9モル)とEOの326g(7.4モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入し、140℃でさらに5時間反応させた。その後、未反応のCLおよびEOが反応容器内に残存しないことを反応容器内の圧力の低下が止まったことによって確認してから、反応容器から生成物を抜き出して目的とするポリエステル化合物(I−9)を得た。得られたポリエステル化合物(I−9)の水酸基価は112mgKOH/g(平均分子量500)であり、融点は−40℃だった。C13−NMRスペクトルの測定により、ポリエステル化合物(I−9)がCLとEOのランダム共重合鎖を有することがわかった。ポリエステル化合物(I−9)は、一般式(I)においてRが2−エチルヘキシルアルコール1モルに平均1モルのEOが付加したモノオールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=1.4、nの平均値=3.7、x=1およびm/n=0.38の化合物である。
〔製造例10〕
ポリエチレングリコール(和光純薬工業社製、平均分子量600)を600g(1.0モル)、およびグライムを配位子として有する亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒1.0gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で140℃迄昇温した。初めにPOの58g(1.0モル)を反応容器内に投入して初期反応を行い、続いてCLの671g(5.9モル)とEOの671g(15.3モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入し、140℃でさらに5時間反応させた。その後、未反応のCLおよびEOが反応容器内に残存しないことを反応容器内の圧力の低下が止まったことによって確認してから、反応容器から生成物を抜き出して目的とするポリエステル化合物(I−10)を得た。得られたポリエステル化合物(I−10)の水酸基価は56mgKOH/g(平均分子量2000)であり、融点は−30℃だった。C13−NMRスペクトルの測定によりこのポリエステル化合物(I−10)がCLとEOのランダム共重合鎖を有することがわかった。ポリエステル化合物(I−10)は、一般式(I)においてRがエチレングリコール1モルに平均12.2モルのEOおよび平均1モルのPOがこの順に付加したジオールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=2.9、nの平均値=7.6、x=2およびm/n=0.38の化合物である。
〔製造例11〕
グリセリン1モルに平均13.8モルのEOを付加したトリオール(分子量700)を700g(1.0モル)、およびTBAを配位子として有する亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒1.0gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で140℃迄昇温した。初めにPO174g(3.0モル)を反応容器内に投入して初期反応を行い、続いてCLの363g(3.2モル)とEOの363g(8.3モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入し、140℃でさらに5時間反応させた。その後、未反応のCLおよびEOが反応容器内に残存しないことを反応容器内の圧力の低下が止まったことによって確認してから、反応容器から生成物を抜き出して目的とするポリエステル化合物(I−11)を得た。得られたポリエステル化合物(I−11)の水酸基価は105mgKOH/g(平均分子量1600)であり、融点は−30℃だった。C13−NMRスペクトルの測定によりポリエステル化合物(I−11)がCLとEOのランダム共重合鎖を有することがわかった。ポリエステル化合物(I−11)は、一般式(I)においてRがグリセリン1モルに平均13.8モルのEOおよび3モルのPOがこの順に付加したトリオールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=1.1、nの平均値=2.8、x=3およびm/n=0.39の化合物である。
〔比較製造例1〕
ドデカノールおよびテトラデカノールのモル比1/1の混合物に平均12モルのEOが付加したモノオール(日本触媒社製、商品名ソフタノール120、平均分子量711)を711g(1.0モル)、および水酸化カリウム12gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で130℃迄昇温した。次に、CLの294g(2.58モル)とPOの735g(12.7モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入した。130℃でさらに5時間反応を行った後、未反応のCLおよびPOが反応容器内に残存していないことを反応容器内圧の低下が止まったことによって確認してから、反応容器から生成物を抜き出した。ポリエステル化合物(K−1)を得た。一般式(I)においてRドデカノールまたはテトラデカノールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=2.6、nの平均値=12.7、x=1およびm/n=0.20の化合物である。
〔比較製造例2〕
プロピレングリコールを152g(2.0モル)、および水酸化カリウム12gを反応容器内に仕込み、窒素気流下で130℃迄昇温した。次に、CLの1924g(16.9モル)とPOの1924g(33.2モル)の混合物を反応容器内に約10時間かけて投入した。130℃でさらに5時間反応を行った後、未反応のCLおよびPOが反応容器内に残存していないことを反応容器内圧の低下が止まったことによって確認してから、反応容器から生成物を抜き出した。ポリエステル化合物(K−2)を得た。一般式(I)においてRがプロピレングリコールから水酸基を除いた残基であり、mの平均値=4.2、nの平均値=8.3、x=2およびm/n=0.51の化合物である。
次に、上記各製造例で合成したポリエステル化合物(I)の潤滑油用基油としての特性、およびポリエステル化合物(I)を含む潤滑油としての特性の評価を行なった。
潤滑油としては、上記製造例で得られたポリエステル化合物(I)のみを含むもの、またはポリエステル化合物(I)および水からなる組成物を用いた。表1中、潤滑油の組成の欄に、評価に用いたポリエステル化合物(I)の種類を示した。評価した潤滑油に含まれる原料の割合を質量%としてカッコ内に示した。例えば、実施例1として評価した潤滑油は、製造例1で製造したポリエステル化合物(I−1)のみ(質量100%)からなるものであり、また実施例5として評価した潤滑油は、製造例4で製造したポリエステル化合物(I−4)を30質量%、および水を70質量%含むものである。
動粘度の測定はJIS K−2283に準拠し、かつ40℃で行った。潤滑性の測定は、ASTM D−2783に規定される潤滑性シェル四球試験に準拠して行い、得られた結果を摩耗痕(単位:mm)で表した。この潤滑性の試験条件としては、荷重を392N、回転数を毎分1200回転、試験時間を60分とした。前記摩耗痕が1mm以下であれば、潤滑油として使用でき、0.5mm以下であれば潤滑性はさらに良好といえる。また、生分解性試験はOECD(経済協力開発機構)化学品テストガイドライン301Cに準拠して28日後の生分解度を測定した。生分解度が60%以上あれば生分解性が良好といえる。
潤滑油の安定性についてはポリエステル化合物(I)を含む潤滑油を60℃で2週間静置し、静置前後での動粘度の変化を確認した。静置前と静置後の動粘度に差がない方が、安定性が良好といえる。
以上の評価試験を行い、得られた結果を表1〜2に示した。表1が実施例、表2が比較例である。
Figure 2005307194
Figure 2005307194
表1に示したように組成中に金属水酸化物を含まない実施例1〜14の潤滑油は、潤滑油として好ましい融点および好ましい潤滑性を有している。また、水を含まない場合(実施例1〜3、6〜8、10〜14)は、シェル四球試験の摩耗量も0.40〜0.44mmと良好な値を示しており、生分解度も75〜88%と優れている。また、潤滑油の安定性も問題ない。
これに対して、組成中に金属水酸化物を含む比較例1〜3は安定性試験ではポリエステル化合物の分解による動粘度低下が見られ、潤滑油としては好ましくない。また、ポリプロピレングリコール(比較例4)は生分解性が小さく、ポリエチレングリコール(比較例5)およびポリカプロラクトン(比較例6)は、優れた生分解性を有するものの潤滑油が40℃でも固体であるため、潤滑油としては好ましくない。
本発明のポリエステル化合物(I)を含む潤滑油は、優れた潤滑性とともに優れた生分解性も有する。したがって、潤滑油が万一使用時に環境中に漏洩した場合でも環境に対する負荷が小さく、使用後の廃油処理等において環境に対する負荷が小さいという優れた特徴を有する。
本発明の潤滑油は、作動油、グリース、コンプレッサー油、圧延油、ギヤー油、金属加工油、トラクションドライブ油、土木掘削用潤滑油およびエンジン油からなる群から選ばれる用途に用いることができる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(I)で表される末端に水酸基を有するポリエステル化合物(I)を含有し、かつ金属水酸化物またはその塩を含まないことを特徴とする潤滑油。
    Figure 2005307194
    式(I)中、Rは、1分子中にx個(1〜8個)の水酸基を有するモノヒドロキシまたはポリヒドロキシ化合物から水酸基を除いた残りの基を表す。xは1〜8の整数を表す。Rは独立して炭素数2〜12のアルキレン基を表し、Rは独立して炭素数2〜4のアルキレン基を表す。mは独立して1〜500の整数、nは独立して1〜1000の整数を表す。(−OCOR−)・(−OR−)は、(−OCOR−)単位および(−OR−)単位からなるランダム共重合鎖を表す。
  2. 前記ポリエステル化合物(I)の融点が0℃以下である、請求項1に記載の潤滑油。
  3. 前記ポリエステル化合物(I)の40℃における動粘度が5〜100000mm/sである、請求項1または2に記載の潤滑油。
  4. 前記ポリエステル化合物(I)の、OECD化学品テストガイドライン301Cの方法に準拠して測定される生分解度が28日以内で60%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油。
  5. さらに、水を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油。
  6. 40℃における動粘度が5〜100000mm/sである請求項1〜5のいずれかに記載の潤滑油。
  7. 作動油、グリース、コンプレッサー油、圧延油、ギヤー油、金属加工油、トラクションドライブ油、土木掘削用潤滑油およびエンジン油からなる群から選ばれる用途に使用されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の潤滑油。
  8. 下記一般式(I)で表される末端に水酸基を有するポリエステル化合物(I)であって、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒を用いてラクトンとアルキレンオキシドの混合物を開環付加重合させて得られるラクトンとアルキレンオキシドのランダム共重合鎖を有するポリエステル化合物(I)。
    Figure 2005307194
    式(I)中、Rは、1分子中にx個(1〜8個)の水酸基を有するモノヒドロキシまたはポリヒドロキシ化合物から水酸基を除いた残りの基を表す。xは1〜8の整数を表す。Rは独立して炭素数2〜12のアルキレン基を表し、Rは独立して炭素数2〜4のアルキレン基を表す。mは独立して1〜500の整数、nは独立して1〜1000の整数を表す。(−OCOR−)・(−OR−)は、(−OCOR−)単位および(−OR−)単位からなるランダム共重合鎖を表す。
  9. 請求項8に記載のポリエステル化合物(I)を含有し、かつ金属水酸化物またはその塩を含まないことを特徴とする潤滑油。
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