JP2005304818A - 放射線撮像装置および放射線検出信号処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる信号レベル差を低減させる。
【解決手段】垂直方向に延びた境界を境にして右領域と左領域との間で信号レベル差が現れているとする。画素の一部を抽出するために、境界に接して画素を縦横にそれぞれ8個有した8×8領域を設定し(S1)、左右両領域の信号レベルの平均値を求めて、それらの平均値から信号レベル差を打ち消す値を求める(S2,S3)。この値を補正量として、信号レベル差を打ち消すように各画素の信号レベルにそれぞれ作用させる(S4)。各画素の並びで水平方向に現れる画素の信号レベル差は、画素の信号レベルの分布から発生する信号レベル差の一種でもあるので、その画素の信号レベルの分布に関する統計量として補正量を各画素の信号レベルにそれぞれ作用させて各画素を補正することで、各画素の並びで水平方向Hに現れる画素の信号レベル差を低減させることができる。
【選択図】図4
【解決手段】垂直方向に延びた境界を境にして右領域と左領域との間で信号レベル差が現れているとする。画素の一部を抽出するために、境界に接して画素を縦横にそれぞれ8個有した8×8領域を設定し(S1)、左右両領域の信号レベルの平均値を求めて、それらの平均値から信号レベル差を打ち消す値を求める(S2,S3)。この値を補正量として、信号レベル差を打ち消すように各画素の信号レベルにそれぞれ作用させる(S4)。各画素の並びで水平方向に現れる画素の信号レベル差は、画素の信号レベルの分布から発生する信号レベル差の一種でもあるので、その画素の信号レベルの分布に関する統計量として補正量を各画素の信号レベルにそれぞれ作用させて各画素を補正することで、各画素の並びで水平方向Hに現れる画素の信号レベル差を低減させることができる。
【選択図】図4
Description
この発明は、被検体を照射して検出された放射線検出信号に基づいて放射線画像を得る放射線撮像装置および放射線検出信号処理方法に係り、特に、画素を補正する技術に関する。
放射線撮像装置の例としてX線を検出してX線透視画像を得る撮像装置では、従来においてX線検出手段としてイメージインテンシファイア(I.I)が用いられていたが、近年において、フラットパネル型X線検出器(以下、『FPD』と略記する)が用いられている。
FPDは、感応膜が基板上に積層されて構成されており、その感応膜に入射した放射線を検出して、検出された放射線を電荷に変換して、2次元アレイ状に配置されたキャパシタに電荷を蓄積する。蓄積された電荷はスイッチング素子をONすることで読み出されて、放射線検出信号として画像処理部に送り込まれる。そして、画像処理部において放射線検出信号に基づく画素を有した画像が得られる。したがって、キャパシタやスイッチング素子を構成する検出素子ごとに蓄積される電荷の量にバラツキがあり、それによって検出素子ごとの放射線検出信号に基づく画素の信号レベルについてもバラツキがある。かかるバラツキを低減させるために、例えば検出素子ごとの増幅器(アンプ)のゲインをそれぞれ調節して出力側をそろえるキャリブレーション(校正)を行う。
しかしながら、このようなキャリブレーションを行っても画素の信号レベルのバラツキ、すなわち信号レベル差を解消することができない場合がある。画像は、図7に示すように、各画素を2次元状に配置することで構成されている。この画像において、図7(a)に示すように、各画素の並びで水平方向Hに画素の信号レベル差が現れる。具体的に説明すると、ある垂直方向に延びた境界BVを境にして図7(a)の右領域Rと左領域Lとの間で信号レベル差が現れる。この信号レベル差が現れる原因は、主に検出器の構成上の特徴、例えばセンサ面内の領域を複数の電源が分担して電圧供給していることなどによる。もし、上下に分かれた2つの領域を2つの電源が分担している場合には、図7(b)に示すように、各画素の並びで垂直方向Vに画素の信号レベル差が、ある水平方向に延びた境界BHを境にして、上領域Uと下領域Dとの間で現れる。また、上下左右の4つの領域をそれぞれ異なった電源が分担している場合には、図7(c)に示すように水平方向H、垂直方向Vの双方に現れる。本明細書では、図7(c)に示す信号レベル差のノイズを、『十字ノイズ』と呼ぶ。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる画素の信号レベル差を低減させることができる放射線撮像装置および放射線検出信号処理方法を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、被検体に向けて放射線を照射する放射線照射手段と、被検体を透過した放射線を検出する放射線検出手段とを備え、放射線検出手段から検出された放射線検出信号に基づいて放射線画像を得る放射線撮像装置であって、検出された放射線検出信号に基づく画素の信号レベルの分布に関する統計量を算出する統計量算出手段と、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる信号レベル差を打ち消すように前記統計量を各画素の信号レベルに作用させて、前記信号レベル差を低減させて各画素を補正する画素補正手段とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、統計量算出手段は、検出された放射線検出信号に基づく画素の信号レベルの分布に関する統計量を算出し、画素補正手段は、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる信号レベル差を打ち消すように統計量を各画素の信号レベルに作用させている。各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる画素の信号レベル差は、画素の信号レベルの分布から発生する信号レベル差の一種でもあるので、その画素の信号レベルの分布に関する統計量を各画素の信号レベルに作用させて各画素を補正することで、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる画素の信号レベル差を低減させることができる。
また、請求項2に記載の発明は、被検体を照射して検出された放射線検出信号に基づいて放射線画像を得る信号処理を行う放射線検出信号処理方法であって、検出された放射線検出信号に基づく画素の信号レベルの分布に関する統計量を算出し、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる画素の信号レベル差を打ち消すように前記統計量を各画素の信号レベルに作用させて、前記信号レベル差を低減させて各画素を補正することを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項2に記載の発明によれば、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる画素の信号レベル差は、画素の信号レベルの分布から発生する信号レベル差の一種でもあるので、画素の信号レベルの分布に関する統計量を各画素の信号レベルに作用させて各画素を補正することで、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる画素の信号レベル差を低減させることができる。
上述した発明において、統計量の一例は、画素の少なくとも一部を抽出した信号レベルの平均値である(請求項3に記載の発明)。また、通常用いられる統計量であれば、平均値に限定されず、例えば信号レベルの中央値であってもよい。
また上述した発明において、信号レベル差が現れる境界から画素までの距離が長くなるのにしたがって重み付けを小さくして統計量を各画素の信号レベル差に作用させて各画素を補正するのが好ましい(請求項4に記載の発明)。境界付近では信号レベル差が顕著に現れ、境界付近から遠ざかるのにしたがって、すなわち境界から画素までの距離が長くなるのにしたがってその画素の信号レベルは信号レベル差による影響が小さくなる。したがって、境界から画素までの距離が長くなるのにしたがって重み付けを小さくして統計量を各画素の信号レベルに作用させて各画素を補正することで、画素の信号レベル差をより一層低減させることができる。
この発明に係る放射線撮像装置および放射線検出信号処理方法によれば、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる画素の信号レベル差は、画素の信号レベルの分布から発生する信号レベル差の一種でもあるので、画素の信号レベルの分布に関する統計量を各画素の信号レベルに作用させて各画素を補正することで、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる画素の信号レベル差を低減させることができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係るX線透視撮影装置のブロック図であり、図2は、X線透視撮影装置に用いられている側面視したフラットパネル型X線検出器の等価回路であり、図3は、平面視したフラットパネル型X線検出器の等価回路である。本実施例では、放射線検出手段としてフラットパネル型X線検出器(以下、適宜「FPD」という)を例に採るとともに、放射線撮像装置としてX線透視撮影装置を例に採って説明する。
本実施例に係るX線透視撮影装置は、図1に示すように、被検体Mを載置する天板1と、その被検体Mに向けてX線を照射するX線管2と、被検体Mを透過したX線を検出するFPD3とを備えている。X線管2は、この発明における放射線照射手段に相当し、FPD3はこの発明における放射線検出手段に相当する。
X線透視撮影装置は、他に、天板1の昇降および水平移動を制御する天板制御部4や、FPD3の走査を制御するFPD制御部5や、X線管2の管電圧や管電流を発生させる高電圧発生部6を有するX線管制御部7や、FPD3から電荷信号であるX線検出信号をディジタル化して取り出すA/D変換器8や、A/D変換器8から出力されたX線検出信号に基づいて種々の処理を行う画像処理部9や、これらの各構成部を統括するコントローラ10や、処理された画像などを記憶するメモリ部11や、オペレータが入力設定を行う入力部12や、処理された画像などを表示するモニタ13などを備えている。
天板制御部4は、天板1を水平移動させて被検体Mを撮像位置にまで収容したり、昇降、回転および水平移動させて被検体Mを所望の位置に設定したり、水平移動させながら撮像を行ったり、撮像終了後に水平移動させて撮像位置から退避させる制御などを行う。FPD制御部5は、FPD3を水平移動させたり、被検体Mの体軸の軸心周りに回転移動させることによる走査に関する制御などを行う。高電圧発生部6は、X線を照射させるための管電圧や管電流を発生してX線管2に与え、X線管制御部7は、X線管2を水平移動させたり、被検体Mの体軸の軸心周りに回転移動させるによる走査に関する制御や、X線管3側のコリメータ(図示省略)の照視野の設定の制御などを行う。なお、X線管2やFPD3の走査の際には、X線管2から照射されたX線をFPD3が検出できるようにX線管2およびFPD3が互いに対向しながらそれぞれの移動を行う。
コントローラ10は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されており、メモリ部11は、ROM(Read-only Memory)やRAM(Random-Access Memory)などに代表される記憶媒体などで構成されている。また、入力部12は、マウスやキーボードやジョイスティックやトラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスで構成されている。X線透視撮影装置では、被検体Mを透過したX線をFPD3が検出して、検出されたX線に基づいて画像処理部9で画像処理を行うことで被検体Mの撮像を行う。
なお、画像処理部9は、画素の信号レベルの分布に関する統計量として後述する補正量を求める統計量算出部9aと、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる画素の信号レベル差を打ち消すように補正量を各画素の信号レベルに作用させて各画素を補正する画素補正部9bを備えている。統計量算出部9aや画素補正部9bも、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。統計量算出部9aや画素補正部9bの具体的な機能については図4のフローチャートや図5の説明図で後述する。統計量算出部9aは、この発明における統計量算出手段に相当し、画素補正部9bは、この発明における画素補正手段に相当する。
FPD3は、図2に示すように、ガラス基板31と、ガラス基板31上に形成された薄膜トランジスタTFTとから構成されている。薄膜トランジスタTFTについては、図2、図3に示すように、縦・横式2次元マトリクス状配列でスイッチング素子32が多数個(例えば、1024個×1024個)形成されており、キャリア収集電極33ごとにスイッチング素子32が互いに分離形成されている。すなわち、FPD3は、2次元アレイ放射線検出器でもある。
図2に示すようにキャリア収集電極33の上にはX線感応型半導体34が積層形成されており、図2、図3に示すようにキャリア収集電極33は、スイッチング素子32のソースSに接続されている。ゲートドライバ35からは複数本のゲートバスライン36が接続されているとともに、各ゲートバスライン36はスイッチング素子32のゲートGに接続されている。一方、図3に示すように、電荷信号を収集して1つに出力するマルチプレクサ37には増幅器38を介して複数本のデータバスライン39が接続されているとともに、図2、図3に示すように各データバスライン39はスイッチング素子32のドレインDに接続されている。
図示を省略する共通電極にバイアス電圧を印加した状態で、ゲートバスライン36の電圧を印加(または0Vに)することでスイッチング素子32のゲートがONされて、キャリア収集電極33は、検出面側で入射したX線からX線感応型半導体34を介して変換された電荷信号(キャリア)を、スイッチング素子32のソースSとドレインDとを介してデータバスライン39に読み出す。なお、スイッチング素子がONされるまでは、電荷信号はキャパシタ(図示省略)で暫定的に蓄積されて記憶される。各データバスライン39に読み出された電荷信号を増幅器38で増幅して、マルチプレクサ37で1つの電荷信号にまとめて出力する。出力された電荷信号をA/D変換器8でディジタル化してX線検出信号として出力する。
次に、本実施例装置における統計量算出部9aや画素補正部9bによる一連の信号処理について、図4のフローチャートおよび図5の説明図を参照して説明する。なお、この処理では、図5に示すように、各画素の並びで水平方向Hに画素の信号レベル差が現れたときの補正を例に採って説明する。
画素が、図5に示すように2次元状にm列(mは自然数)の画素列、n行(nは自然数)の画素行で配置されている。ある垂直方向に延びた境界BVを境にして図4の右領域Rと左領域Lとの間で信号レベル差が現れているとする。また、iは1≦i≦mを満たすとともに、jは1≦j≦nを満たすとする。
(ステップS1)8×8領域を設定する
i番目の画素列とj番目の画素行とが交差した画素Pijについて着目してみる。j番目の画素行を含み、かつ境界BVに接する領域であって、画素を縦横にそれぞれ8個有した領域(以下、この領域を『8×8領域』と呼ぶ)を設定する。図5中の符号TRは、右領域R側にある8×8領域を示し、符号TLは、左領域L側にある8×8領域を示す。なお、領域内の画素数は8×8に限定されず、例えば4×4であってもよいし、2×8や8×2であってもよい。
i番目の画素列とj番目の画素行とが交差した画素Pijについて着目してみる。j番目の画素行を含み、かつ境界BVに接する領域であって、画素を縦横にそれぞれ8個有した領域(以下、この領域を『8×8領域』と呼ぶ)を設定する。図5中の符号TRは、右領域R側にある8×8領域を示し、符号TLは、左領域L側にある8×8領域を示す。なお、領域内の画素数は8×8に限定されず、例えば4×4であってもよいし、2×8や8×2であってもよい。
(ステップS2)左右の両領域の平均値を求める
次に、右領域R側にある8×8領域TRおよび左領域L側にある8×8領域TLにおける画素の信号レベルの平均値を統計量算出部9a(図1を参照)がそれぞれ求める。右領域R側にある8×8領域TRにおける画素の信号レベルの平均値をXRとし、左領域L側にある8×8領域TLにおける画素の信号レベルの平均値をXLとする。なお、平均値は、各領域TR,TL内の全画素の信号レベルの加算平均であってもよいし、各領域TR,TL内の全画素の信号レベルの加乗平均であってもよい。
次に、右領域R側にある8×8領域TRおよび左領域L側にある8×8領域TLにおける画素の信号レベルの平均値を統計量算出部9a(図1を参照)がそれぞれ求める。右領域R側にある8×8領域TRにおける画素の信号レベルの平均値をXRとし、左領域L側にある8×8領域TLにおける画素の信号レベルの平均値をXLとする。なお、平均値は、各領域TR,TL内の全画素の信号レベルの加算平均であってもよいし、各領域TR,TL内の全画素の信号レベルの加乗平均であってもよい。
(ステップS3)両領域に基づく補正量を求める
そして、右領域R側にある8×8領域TRにおける画素の信号レベルの平均値XRと、左領域L側にある8×8領域TLにおける画素の信号レベルの平均値XLとに基づいて、水平方向Hに現れる信号レベル差を打ち消す値を統計量算出部9a(図1を参照)が求める。この値を補正量Xとすると、補正量Xは下記(1)式により求まる。
そして、右領域R側にある8×8領域TRにおける画素の信号レベルの平均値XRと、左領域L側にある8×8領域TLにおける画素の信号レベルの平均値XLとに基づいて、水平方向Hに現れる信号レベル差を打ち消す値を統計量算出部9a(図1を参照)が求める。この値を補正量Xとすると、補正量Xは下記(1)式により求まる。
X=(XL−XR)/2 …(1)
ステップS2で求められた平均値XR,XLやステップS3で求められた補正量Xは、この発明における画素の信号レベルの分布に関する統計量に相当する。
ステップS2で求められた平均値XR,XLやステップS3で求められた補正量Xは、この発明における画素の信号レベルの分布に関する統計量に相当する。
(ステップS4)補正量を信号レベルに作用させる
水平方向Hに現れる信号レベル差を打ち消すように、ステップS3で求められた補正量Xをj番目の画素行にある各画素[P1j,P2j,…,Pij,…,P(m-1)j,Pmj]の信号レベルに、i=1,2,…,m−1,mの順に作用させる。この作用の際には、以下の条件で行う。
水平方向Hに現れる信号レベル差を打ち消すように、ステップS3で求められた補正量Xをj番目の画素行にある各画素[P1j,P2j,…,Pij,…,P(m-1)j,Pmj]の信号レベルに、i=1,2,…,m−1,mの順に作用させる。この作用の際には、以下の条件で行う。
j番目の画素行にある画素が左領域Lに属して、その画素の信号レベルに補正量Xを作用させる場合には、その画素の信号レベルから補正量Xを減算する(Pij−X)。j番目の画素行にある画素が右領域Rに属して、その画素の信号レベルに補正量Xを作用させる場合には、その画素の信号レベルに補正量Xを加算する(Pij+X)。
(ステップS5)i=mになったか?
各画素の信号レベルについてi=1,2,…,m−1,mの順に作用させるたびに、i=mになったか否かを画素補正部9b(図1を参照)が判断する。i<mであればステップS4に戻り、i=mになるまで、ステップS4,S5の処理をループする。i=mになれば、補正量Xを作用させることで、j番目の画素行にある各画素[P1j,P2j,…,Pij,…,P(m-1)j,Pmj]の信号レベルが全て補正されたとして、次のステップS6に移行する。
各画素の信号レベルについてi=1,2,…,m−1,mの順に作用させるたびに、i=mになったか否かを画素補正部9b(図1を参照)が判断する。i<mであればステップS4に戻り、i=mになるまで、ステップS4,S5の処理をループする。i=mになれば、補正量Xを作用させることで、j番目の画素行にある各画素[P1j,P2j,…,Pij,…,P(m-1)j,Pmj]の信号レベルが全て補正されたとして、次のステップS6に移行する。
(ステップS6)jの値を1ずつ繰り上げる
上述したステップS1〜S5を、各画素行[Pi1,Pi2,…,Pij,…,Pi(n-1),Pin]の信号レベルについても、j=1,2,…,n−1,nの順に行う。つまり、ステップS1〜S5でのjの値を1ずつ繰り上げる。
上述したステップS1〜S5を、各画素行[Pi1,Pi2,…,Pij,…,Pi(n-1),Pin]の信号レベルについても、j=1,2,…,n−1,nの順に行う。つまり、ステップS1〜S5でのjの値を1ずつ繰り上げる。
(ステップS7)j=nになったか?
そして、各画素行の信号レベルについてj=1,2,…,n−1,nの順に行うたびに、j=nになったか否かを画素補正部9b(図1を参照)が判断する。j<nであればステップS1に戻り、j=nになるまで、ステップS1からの処理をループする。j=nになれば、画像内の画素が全て補正されたとして、一連の信号処理を終了する。
そして、各画素行の信号レベルについてj=1,2,…,n−1,nの順に行うたびに、j=nになったか否かを画素補正部9b(図1を参照)が判断する。j<nであればステップS1に戻り、j=nになるまで、ステップS1からの処理をループする。j=nになれば、画像内の画素が全て補正されたとして、一連の信号処理を終了する。
以上のように構成された本実施例装置によれば、統計量算出部9aは、検出されたX線検出信号に基づく画素の信号レベルの分布に関する統計量として補正量Xを求め、画素補正部9bは、各画素の並びで水平方向Hに現れる信号レベル差を打ち消すように補正量Xを各画素の信号レベルに作用させている。各画素の並びで水平方向Hに現れる画素の信号レベル差は、画素の信号レベルの分布から発生する信号レベル差の一種でもあるので、その画素の信号レベルの分布に関する統計量として補正量Xを各画素の信号レベルに作用させて各画素を補正することで、各画素の並びで水平方向Hに現れる画素の信号レベル差を低減させることができる。
本実施例は、補正量Xは、画素の一部を抽出した右,左領域R,Lにある8×8領域TR,TLの各信号レベルの平均値に基づいて上記(1)式で求められた、信号レベル差を打ち消す値である。
なお、垂直方向についても、図4のフローチャートにおいて水平方向を垂直方向に置き換えて、水平方向に延びた境界に接する8×8領域を設定して補正量を求め、その補正量を各画素の信号レベルにそれぞれ作用させることで、同様の作用・効果を奏する。さらに、十字ノイズの場合には、水平方向および垂直方向の両方向についても、同様の補正を行うことで、十字ノイズを消すことができる。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、図1に示すようなX線透視撮影装置を例に採って説明したが、この発明は、例えばC型アームに配設されたX線透視撮影装置にも適用してもよい。また、この発明は、X線CT装置にも適用してもよい。
(2)上述した実施例では、フラットパネル型X線検出器(FPD)3を例に採って説明したが、画素を区画する2次元マトリクス状で配列された検出素子から構成されるX線検出器であれば、この発明は適用することができる。
(3)上述した実施例では、X線を検出するX線検出器を例に採って説明したが、この発明は、ECT(Emission Computed Tomography)装置のように放射性同位元素(RI)を投与された被検体から放射されるγ線を検出するγ線検出器に例示されるように、放射線を検出する放射線検出器であれば特に限定されない。同様に、この発明は、上述したECT装置に例示されるように、放射線を検出して撮像を行う装置であれば特に限定されない。
(4)上述した実施例では、FPD3は、放射線(実施例ではX線)感応型の半導体を備え、入射した放射線を放射線感応型の半導体で直接的に電荷信号に変換する直接変換型の検出器であったが、放射線感応型の替わりに光感応型の半導体を備えるとともにシンチレータを備え、入射した放射線をシンチレータで光に変換し、変換された光を光感応型の半導体で電荷信号に変換する間接変換型の検出器であってもよい。
(5)上述した実施例では、上記(1)式(X=(XL−XR)/2)から補正量Xを求めて、j番目の画素行にある画素が左領域Lに属して、その画素の信号レベルに補正量Xを作用させる場合には、その画素の信号レベルから補正量Xを減算する処理(Pij−X)を行い、j番目の画素行にある画素が右領域Rに属して、その画素の信号レベルに補正量Xを作用させる場合には、その画素の信号レベルに補正量Xを加算する処理(Pij+X)を行ったが、下記(2)式のように補正量を求めてから補正量X´を各画素の信号レベルに作用させてもよい。
X´=(XR−XL)/2 …(2)
そして、上記(2)式から求まった補正量X´では、j番目の画素行にある画素が左領域Lに属して、その画素の信号レベルに補正量X´を作用させる場合には、その画素の信号レベルに補正量X´を加算する処理(Pij+X´)を行い、j番目の画素行にある画素が右領域Rに属して、その画素の信号レベルに補正量X´を作用させる場合には、その画素の信号レベルから補正量X´を減算する処理(Pij−X´)を行う。垂直方向についても同様の補正を行うことができる。
そして、上記(2)式から求まった補正量X´では、j番目の画素行にある画素が左領域Lに属して、その画素の信号レベルに補正量X´を作用させる場合には、その画素の信号レベルに補正量X´を加算する処理(Pij+X´)を行い、j番目の画素行にある画素が右領域Rに属して、その画素の信号レベルに補正量X´を作用させる場合には、その画素の信号レベルから補正量X´を減算する処理(Pij−X´)を行う。垂直方向についても同様の補正を行うことができる。
(6)上述した実施例では、上記(1)式(X=(XL−XR)/2)から補正量Xを求めて、その補正量Xを各画素の信号レベルに作用させて補正を行ったが、過補正になる場合がある。そこで、下記(3)式のように一定の割合αを補正量Xに乗じて小さくしてもよい。ここでαは1未満である。
Y=α・X=α・(XL−XR)/2 …(3)
そして、この補正量Yを各画素の信号レベルに作用させて補正を行えばよい。なお、実験では、αは0.7程度のときに好適な補正が行えることが確認されている。垂直方向についても同様の補正を行うことができる。
そして、この補正量Yを各画素の信号レベルに作用させて補正を行えばよい。なお、実験では、αは0.7程度のときに好適な補正が行えることが確認されている。垂直方向についても同様の補正を行うことができる。
(7)上述した実施例では、上記(1)式(X=(XL−XR)/2)から補正量Xを求めて、その補正量Xを各画素の信号レベルにそれぞれ作用させて補正を行ったが、境界付近では信号レベル差が顕著に現れ、境界付近から遠ざかるのにしたがって、すなわち境界から画素までの距離が長くなるのにしたがってその画素の信号レベルは信号レベル差による影響が小さくなることから、重み付けを行うことで補正を行ってもよい。
すなわち、図6に示すように、境界BVから画素までの距離(ここでは画素数)をtとしたときに、下記(4)式のように、境界BVから画素までの距離tが長くなるのにしたがって重み付けを小さくして平均値などに代表される統計量を各画素の信号レベル作用させて各画素を補正すればよい。
Y´=α・X/(t−α) …(4)
そして、上記(4)式で求まった補正量Y´を各画素の信号レベルに作用させて各画素を補正することで、画素の信号レベル差をより一層低減させることができる。実験では、αは0.02〜0.05程度のときに好適な補正が行えることが確認されている。垂直方向についても同様の補正を行うことができる。
そして、上記(4)式で求まった補正量Y´を各画素の信号レベルに作用させて各画素を補正することで、画素の信号レベル差をより一層低減させることができる。実験では、αは0.02〜0.05程度のときに好適な補正が行えることが確認されている。垂直方向についても同様の補正を行うことができる。
なお、距離tは画素数に限定されず、画素数に比例した値あるいは画素数に所定の数を加算した値を距離tにしてもよい。また、上記(4)式に限定されず、上記(4)式中の分母を距離tのみにしてもよいし、距離tで除算せずに距離tで減算した値を補正量Y´としてもよい。つまり、境界BVから画素までの距離tが長くなるのにしたがって重み付けを小さくして平均値などに代表される統計量を各画素の信号レベルに作用させて各画素を補正するのであれば、上記(4)式に限定されない。
(8)上述した実施例では、平均値は、画素の一部を抽出した右,左領域R,Lにある8×8領域TR,TLの各信号レベルの平均値であったが、全画素の信号レベルを抽出した平均値であってもよい。つまり、画素の少なくとも一部を抽出した信号レベルの平均値であれば特に限定されない。垂直方向についても同様の補正を行うことができる。
(9)上述した実施例では、画素の信号レベルの分布に関する統計量の一例は平均値であったが、通常用いられる統計量であれば、平均値に限定されず、例えば信号レベルの中央値であってもよい。また、平均値と中央値との双方を組み合わせるなど、互いに異なる統計量を2つ以上組み合わせてもよい。
2 … X線管
3 … フラットパネル型X線検出器(FPD)
9a … 統計量算出部
9b … 画素補正部
X … 補正量
M … 被検体
3 … フラットパネル型X線検出器(FPD)
9a … 統計量算出部
9b … 画素補正部
X … 補正量
M … 被検体
Claims (4)
- 被検体に向けて放射線を照射する放射線照射手段と、被検体を透過した放射線を検出する放射線検出手段とを備え、放射線検出手段から検出された放射線検出信号に基づいて放射線画像を得る放射線撮像装置であって、検出された放射線検出信号に基づく画素の信号レベルの分布に関する統計量を算出する統計量算出手段と、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる信号レベル差を打ち消すように前記統計量を各画素の信号レベルに作用させて、前記信号レベル差を低減させて各画素を補正する画素補正手段とを備えることを特徴とする放射線撮像装置。
- 被検体を照射して検出された放射線検出信号に基づいて放射線画像を得る信号処理を行う放射線検出信号処理方法であって、検出された放射線検出信号に基づく画素の信号レベルの分布に関する統計量を算出し、各画素の並びで水平方向あるいは垂直方向に現れる画素の信号レベル差を打ち消すように前記統計量を各画素の信号レベルに作用させて、前記信号レベル差を低減させて各画素を補正することを特徴とする放射線検出信号処理方法。
- 請求項2に記載の放射線検出信号処理方法において、前記統計量は、前記画素の少なくとも一部を抽出した信号レベルの平均値であることを特徴とする放射線検出信号処理方法。
- 請求項3に記載の放射線検出信号処理方法において、前記信号レベル差が現れる境界から画素までの距離が長くなるのにしたがって重み付けを小さくして前記統計量を各画素の信号レベルに作用させて各画素を補正することを特徴とする放射線検出信号処理方法。
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