JP2005296942A - 磁性複合粒子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract



【課題】 磁性を有する粒子とキトサンとの複合材料として、生理活性物質を高収率で固定化でき、かつこの固定化後の磁気による捕集性が高い複合材料を提供する。


【解決手段】 a)酸性にすることによりキトサンを水に溶解する工程と、b)このキトサン溶液に磁性を有する粒子を分散する工程と、c)この分散液を弱アルカリの塩基により徐々に中性にする工程とにより、磁性を有する粒子の表面にキトサン層を有する複合粒子であって、平均粒子サイズが0.01〜4μmの範囲にある磁性複合粒子、とくに磁性を有する粒子を核としキトサン層を殻とするコアシェル構造を有して、磁性を有する粒子とキトサン層との重量比が100:10〜100:90である上記構成の磁性複合粒子を製造する。


【選択図】 なし

Description

本発明は、生理活性物質を固定化するための磁性複合粒子、さらに詳しくは、診断薬担体、細菌分離担体、核酸分離精製担体、タンパク質精製担体、固定化酵素担体、抗体固定化担体などに有用な磁性複合粒子に関する。

キトサンは、従来より、種々の物質を吸着する性質を有することから、分離・精製など各種用途に使用されている。また、アミノ基を有することから、種々の官能基や物質を固定化することにより、様々な方面に応用が試みられている。

このキトサンの応用性を拡大するため、最近では、キトサンと磁性体を複合化し、磁場による分離、回収が容易な複合粒子とする試みがなされている。

たとえば、酸性にしてキトサンを溶解したキトサン溶液に磁性微粒子を分散したのち、強い塩基性物質を滴下したり、また強い塩基性物質に上記のキトサン溶液を滴下することにより、複合粒子を得る試みがある(特許文献1参照)。

この例では、架橋化キトサン粒状体は複数の磁性微粒子を内包した構造となっており、これは強い塩基性物質と接した瞬間に析出するキトサンが、周囲の磁性微粒子を巻き込んで固形化してしまうと考えられる。また、基本的に滴下の1滴が1複合粒子になるため、磁性微粒子に対して大きな複合粒子しか得ることができない。この種の複合粒子には、吸着効率などの複合粒子の特性を高めるために、粒子を微細化して表面積を大きくしたいという要求が多いが、これに対応するのは難しい。

上記の点を改善するため、キトサン溶液中に磁性微粒子を分散させた分散液をつくり、これを噴霧乾燥させる試みもなされている(特許文献2参照)。

しかしながら、この場合も、先の例よりは細かい複合粒子が得られるものの、製法上、複数の磁性微粒子を内包してしまうことに変わりはない。この例の実施例においても、磁性微粒子サイズ0.01〜0.5μmに対して、得られるキトサン複合粒子のサイズは、1〜10μmとかなり大きくなっている。

また、キトサン溶液中に磁性粒子を分散させた分散液を、これと混じり合わない溶剤中に乳化させ、さらに結晶化させることにより、複合粒子を得る試みもなされている(特許文献3参照)。同様に、キトサンを用いた実施例はないが、乳化後、架橋することにより複合粒子が得られることをゼラチンで示した例もある(特許文献4参照)。

しかし、これらの例では、磁性粒子が複合粒子に対して小さいため、1つの複合粒子中に複数個の磁性粒子が含まれることになる。また、複合粒子は球形となるため、磁性粒子間の隙間を考慮すると、磁性粒子以外のキトサンの比率を高くせざるを得ず、その結果、複合粒子としての磁化が小さくなり、磁場による捕集性が低くなってしまう。

上記の各例にみられるように1個の複合粒子中に複数の磁性粒子を含む構造では、キトサンの厚い部分と薄い部分とを生じてしまうのは自明である。複合粒子を得た段階から、あるいは上記薄い部分のキトサンが破れることにより、内部の磁性体が部分的に露出するおそれがある。このように磁性体の表面が露出すると、生理活性物質と意図しない反応を生じたりするなど、好ましくない場合が多い。

微粒子を得る試みとして、共沈あるいは後沈澱を用いる例もある(特許文献5参照)。この例の実施例では、超常磁性のマグネタイト分散液に対してキトサンの酸性溶液を加える、後沈殿の手法がとられている。この場合、キトサン溶液の添加後も、液は強い酸性となるため、キトサンの溶解性の高い状態での被覆形成となり、その結果、被覆層は1分子レベルのごく薄い層となるのは自明である。

もともと、この例はキトサン比率を低くしており、厚い被覆を形成することは想定していない。このように薄い被覆では、吸着分子鎖の隙間から内部の磁性体が露出したり、機械的な力などにより部分的に被覆が剥がれて内部の磁性体が露出するおそれがある。

同じような例として、反応性官能基を有するモノマーを共重合やシード重合させることにより、磁性粒子表面に反応性官能基を有する重合物層を形成し、この反応性官能基とキトサンを反応させる試みがある(特許文献6参照)。

この場合も、表面と反応する分子だけが表面を被覆するため、被覆層は1分子レベルのごく薄い層となるのは自明であり、先の重合物が露出するおそれがある。また、モノマーの重合段階で複数の磁性粒子を包含した粒子が形成されてしまい、最終的に複数の磁性粒子を包含した複合粒子が得られることになり、前記と同様の問題を生じる。

以上のような各種の手法を検討した学術文献もあり、(1)酸性にしてキトサンを溶解したキトサン溶液に磁性微粒子を分散したのち、強い塩基性物質を滴下する方法、(2)磁性粒子表面にシランカップリング剤により反応性官能基を導入し、この反応性官能基とキトサンを反応させる手法、(3)キトサン溶液に磁性粒子の原材料を混合し、強い塩基性物質を加えることにより、磁性粒子生成とキトサン析出を同時に行う共沈法について、7〜10nmの微小磁性粒子を用いて検討がなされている(非特許文献1参照)。

その結果は、前記のように、(1)では複数の磁性粒子を包含した巨大な複合粒子を生成しており、(2)では薄い被覆であることが磁性粒子径とキトサンの比率(アミノ基の量から計算)から推定され、また複数の磁性粒子が凝集した形態となっている。

また、(3)では、文献中に電子顕微鏡写真が示されているが、キトサンが表面を覆っているような形態は認められず、磁性微粒子とキトサン粒子が混合したような形態であるように観察される。実際、共沈法では磁性粒子の生成とキトサンの析出が同時に進行するため、磁性粒子が形成してその上にキトサンが析出する、といった層状構造が形成されるとは考えがたく、混合粒子が生成されていると推測される。

特公平6−51114号公報 特開平7−188062号公報 特表昭59−500399号公報 特表昭57−501411号公報 特表平10−506121号公報 特開2002−17400号公報 Journal of Fermentation and Bioengineering,Vol.86,No.2,191−196(1998)
本発明は、このような従来技術に照らし、磁性を有する粒子とキトサンとの複合材料として、生理活性物質を高収率で固定化できるとともに、この固定化後の磁気による捕集性が高い複合材料を提供することを目的としている。

本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、キトサン析出のための試剤として弱アルカリの塩基を使用し、これを徐々に加えて中性に移行させるという特定の手法を採用することにより、磁性を有する粒子の個々の粒子表面にキトサン層を有する複合磁性粒子を生成させることができ、この複合磁性粒子によれば、生理活性物質を高収率で固定化できるとともに、この固定化後の磁気による捕集性が高いことを見出し、本発明を完成するに至ったものである。

すなわち、本発明は、磁性を有する粒子の表面にキトサン層を有する複合粒子であって、平均粒子サイズが0.01〜4μmの範囲にあることを特徴とする磁性複合粒子、とくに磁性を有する粒子を核としキトサン層を殻とするコアシェル構造を有する上記構成の磁性複合粒子に係るものである。

また、本発明は、キトサン層が架橋されてなる上記構成の磁性複合粒子、キトサン層の架橋にアルデヒド基、エポキシ基、イソシアネート基の中から選ばれる官能基を2個以上有する架橋剤を用いた上記構成の磁性複合粒子、磁性を有する粒子が強磁性酸化鉄粒子である上記構成の磁性複合粒子、強磁性酸化鉄粒子がマグネタイト粒子、マグへマイト粒子、マグネタイト−マグヘマイト中間体粒子、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、マンガン亜鉛フェライト粒子、希土類鉄ガーネット粒子、ビスマス置換希土類鉄ガーネット粒子の中から選ばれる少なくとも1種である上記構成の磁性複合粒子、磁性を有する粒子が強磁性酸化鉄粒子にアニオン性の物質を被着した粒子である上記構成の磁性複合粒子、アニオン性の物質がシリカ、アニオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤の中から選ばれる少なくとも1種である上記構成の磁性複合粒子、アニオン性ポリマーがカルボン酸基、スルホン酸基および/またはリン酸基を有する重合体である上記構成の磁性複合粒子、アニオン性界面活性剤がカルボン酸基、スルホン酸基および/またはリン酸基を有する界面活性剤である上記構成の磁性複合粒子を提供できるものである。

さらに、本発明は、磁性を有する粒子とキトサン層との重量比が100:5〜100:300、とくに100:10〜100:90である上記構成の磁性複合粒子、キトサン層の最も薄い部分の厚さが5nm以上である上記構成の磁性複合粒子、磁性複合粒子の比表面積が1〜100m2 /gの範囲にある上記構成の磁性複合粒子、磁性複合粒子の保磁力が0.80〜15.92kA/m(10〜200エルステッド)の範囲にある上記構成の磁性複合粒子、磁性複合粒子の飽和磁化が5〜80A・m2 /kg(5〜80emu/g)の範囲にある上記構成の磁性複合粒子を提供できるものである。

また、本発明は、上記構成の磁性複合粒子の製造方法として、a)酸性にすることによりキトサンを水に溶解する工程と、b)このキトサン溶液に磁性を有する粒子を分散する工程と、c)この分散液を弱アルカリの塩基により徐々に中性にする工程とを有することを特徴とする磁性複合粒子の製造方法に係るものである。

さらに、本発明は、上記のa〜c工程のほかに、d)キトサンの架橋剤を添加、撹拌する工程を付加してなる上記構成の磁性複合粒子の製造方法と、上記のa〜c工程またはa〜d工程のほかに、e)c工程後の中性の分散液を弱アルカリの塩基により速やかにアルカリ性にする工程を付加してなる上記構成の磁性複合粒子の製造方法と、さらに、上記のc工程よりも前に、保護コロイドを系に加える上記構成の磁性複合粒子の製造方法とを、提供できるものである。

このように、本発明は、弱アルカリの塩基を用いた特定の手法により、磁性を有する粒子の個々の粒子表面にキトサン層を有する特定粒径の磁性複合粒子としたことにより、包含した磁性を有する粒子の露出を生じず、生理活性物質を高収率で固定化できるとともに、磁気による捕集性が良好である複合材料を提供することができる。

本発明においては、磁性を有する粒子の表面にキトサン層を有する磁性複合粒子としたことにより、生理活性物質を高収率で固定化できるとともに、磁気による捕集性が高いという効果を発揮する。ここで、「磁性を有する粒子の表面にキトサン層を有する」という形態は、磁性を有する粒子の粒子表面全体を磁性を有する粒子が露出することなく比較的均一な厚さでキトサンが覆っている形態を指している。

すなわち、本発明の磁性複合粒子は、キトサン層により表面が被覆されており、これによりキトサンとしての性質、たとえば、種々の物質を吸着して固定化する性質が発現される。また、表面にアミノ基が導入されるため、化学反応により種々の官能基や物質を結合して固定化することも可能になる。さらに、キトサンが均一な層状構造を有することにより、複合粒子表面の形状は、磁性を有する粒子の表面形状に近いものになるため、従来よりも表面積を大きくすることができ、したがって、吸着、分離、精製などの収率を大きくすることができる。また、均一な層状構造のために、キトサンは厚さむらが小さく、内部の磁性体が露出しにくいという特徴も有している。

本発明において、磁性を有する粒子の表面にキトサン層を有する磁性複合粒子の形態のさらに好ましい形態としては、磁性を有する粒子を核としキトサンを殻とするコアシェル構造を有する磁性複合粒子である。この形態は、基本的に、複合粒子1個に対して磁性を有する粒子が1個内包された、磁性微粒子のサイズに近い小さい複合粒子が得られるものであり、最も表面積を大きくすることができる。

既述のように、キトサンと磁性微粒子の複合粒子を製造する試みは、従来からなされてきた。しかるに、これら従来の方法では、本発明のような磁性微粒子をキトサンで均一な層状に被覆した磁性複合粒子を製造することは困難である。

これに対して、本発明者らは、鋭意検討の末、酸性にしてキトサンを溶解したキトサン溶液に磁性微粒子を分散させたのち、弱アルカリの塩基を滴下法などの手法により徐々に添加してpHを少しずつ高めていくと、均一な層状構造が得られることをはじめて見出した。しかも、pH6〜8の中性領域でも、十分に均一な層状構造が形成されることを見出した。さらに、キトサンを溶解するために用いられた酸を中和する点(通常pH7.2前後)を超えるとキトサンが結晶化するとみられ、磁性を有する粒子表面へのキトサンの固定化はより確実となる。したがって、最終的には上記中和点よりも高いpH、すなわち、アルカリ性寄りの中性〜アルカリ性(通常pH7.5以上)にすることが望ましい。

層状構造をより均一に形成させるためには、酸性からスタートしてpHを高めていく操作において、あらかじめ求めておいた中和点の前後でpH上昇速度を極めて遅くするのが効果的である。また、あらかじめ求めておいた中和点より少し下のpHに到達したのち、そのpHをしばらく維持し、その後再度pHを上昇させて中和点よりも高いpHにするのも効果がある。

また、逆に、弱アルカリの塩基水溶液に磁性微粒子を分散させたのち、酸性にしてキトサンを溶解したキトサン溶液を滴下法などの手法により徐々に添加してもよい。

既述した従来技術でも、塩基を加えて複合磁性粒子を得る手法が開示されているが、キトサンを溶解して磁性粒子を分散させた分散液に強塩基を滴下したり、上記分散液を強塩基に滴下しており、これにより局所的に高いpHとなり、それに伴って急激なキトサンの析出を生じる。一旦析出したキトサンは再溶解しにくいため、周囲の磁性微粒子を巻き込んだひとかたまりの複合粒子を形成し、均一な層状のキトサン被覆は生成しない。

これに対して、弱アルカリの塩基を用いると、局所的に高いpHとなるのが抑えられ、急激なキトサンの析出を生じず、磁性粒子の表面に徐々にキトサンが析出すると考えられる。従来技術にはこのような記述はなく、本発明の重要な要素である。

前述のように、均一な層状構造を得るには徐々にpHを高めていくのがよいが、キトサンを溶解するために用いられた酸を中和する点の前後で、キトサンを被覆した複合粒子の凝集を生じやすい。凝集を生じた場合は、強い撹拌や分散処理などを施すか、乾燥して乳鉢などで解砕するなど、凝集をほぐす処理を行えばよい。

また、本発明者らは、上記の凝集を抑えるには、中性領域からアルカリ領域まで短時間に移行させるのが効果的であることを見出した。この場合も、強塩基を用いると逆に強い凝集体を形成しやすくなるため、好ましくなく、弱アルカリの塩基を用いるのが好ましい。アルカリ領域に短時間で移行させるには、この弱アルカリの塩基を多量に速やかに加えて混合するか、弱アルカリの塩基の中に分散液を投入するのが効果的である。とくに後者の手法は複合粒子の凝集がより起こりにくく、好ましい。一方、磁性微粒子を分散させた弱アルカリの塩基水溶液にキトサン溶液を徐々に添加すると、上記のような凝集は起こりにくく、有効である。

以上の手法に用いる弱アルカリの塩基は、とくに限定されないが、pH7.4〜9.6のものが好ましい。これよりpHが低いと、キトサンを十分に析出させにくくなり、またこれよりpHが高いと、キトサンの急激な析出が起こりやすく、複合粒子の巨大化、不定形化、凝集などを生じることがある。pH7.7〜9.3がより好ましい。

代表的な弱アルカリの塩基には、炭酸水素ナトリウム水溶液、リン酸二水素アンモニウム溶液、リン酸二水素ナトリウム溶液、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na溶液、アンモニアガスなどが挙げられる。また、種々の緩衝液のうち、pHが上記範囲に入るものも用いることができる。弱アルカリの塩基の添加は、局所的なpHの上昇を抑えるため、水溶液として添加するのが好ましい。ただし、アンモニアのように塩基が気体の場合には、ガスのまま吹き込むのが効果的である。

弱アルカリの塩基の濃度は、塩基の種類やpHによっても異なるが、一般に1N以下とするのが好ましい。これより濃度が高くなると、急激なキトサンの析出を起こしやすい。0.7N以下とするのがより好ましい。とくに高いpHでは、濃度を低めに抑えた方が好ましい場合が多い。たとえば、pH9〜9.5の塩基では0.4N以下、pH9.5を超える塩基では0.2N以下、とするのが好ましい場合が多い。

一方、弱アルカリの塩基の濃度の下限は、工程上の制約により決まる。濃度を下げれば均一なキトサンをつくりやすくなるが、添加する塩基溶液の量が増えるため、キトサンおよび磁性を有する粒子の濃度が低下して、収率が下がる傾向になり、また溶剤量が増え、大きな容器が必要になるため、コスト的に不利である。一般には、0.001N以上とするのが好ましく、0.01N以上とするのがより好ましい。

本発明におけるキトサンとしては、とくに限定されず、キチンを脱アセチル化して得られる各種のものを使用できる。脱アセチル化した種々のキトサンも市販されており、用途に応じて適当なものを選択して用いればよい。また、必要に応じて、他の物質などを結合したキトサンを用いてもよい。ただし、前記の手法を用いて均一な層状構造を得るには、通常アルカリ性で水に不溶であることが必要である。

また、一般的に、キトサンは、中性やアルカリ性の水に対して不溶性であるため、被覆したキトサンは架橋していなくても広い範囲で使用可能である。しかし、酸性で使用する場合や、キトサンの溶解性を高めるような吸着、固定化、修飾などを行う場合には、キトサンが溶出しないように架橋するのが好ましい。

架橋反応は、キトサン層がある程度以上形成されたのちに、行うのが好ましい。キトサンが多く溶解している状態で架橋反応を行うと、分散液全体がゲル化してしまうおそれがある。具体的には、pH6以上で架橋反応を行うのが好ましい。

pH6以上であれば、酸性、中性、アルカリ性のいずれの状態で架橋反応を行ってもよく、酸性または中性で架橋反応を行うと、キトサン層内部まで架橋を生じやすく、アルカリ性で架橋反応を行うと、キトサン層表面を中心に架橋を生じやすい。用途に応じて、これらを選択すればよい。

キトサンを架橋する方法は、とくに限定されないが、キトサン中に含まれるアミノ基、水酸基、アセトアミド基の2個以上に反応する架橋剤を用いるのが効果的である。これらの官能基に反応可能な官能基の代表的なものとして、アルデヒド基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸無水物基、酸塩化物基などが挙げられ、これらの中から選択される官能基を2個以上有する架橋剤を用いるのが有効である。

とくに、アルデヒド基、エポキシ基、イソシアネート基は、比較的穏和な条件で架橋反応可能なため、好適に使用される。架橋剤中の2個以上の官能基は、同種でも異種でもよいが、異種の場合は分子内で容易に反応を起こさない組み合わせが望ましい。また、架橋剤は、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。

架橋反応においては、必要に応じて、触媒、反応基活性化物質、緩衝液などを用いてもよい。たとえば、アミノ基とエポキシ基との反応には3級アミンが、アミノ基とカルボキシル基との反応には脱水剤やカルボジイミドなどが、好適に使用される。また、反応に必要な温度に加熱して、架橋反応を行わせてもよい。

架橋剤の添加量は、用途に応じて選択できるが、キトサンが通常高分子量であるため、多くの場合、キトサンに対して0.1重量%以上添加すればよい。キトサンの強度や低膨潤性が必要な場合には、架橋剤の添加量を多めにするとよい。架橋をより確実にするためには、1重量%以上の添加とするのが好ましく、酸性物質へのキトサンの溶出を低く抑えるためには、3重量%以上の添加とするのが好ましい。

一方、アミノ基などの官能基が必要な場合、この官能基をすべて架橋反応させてはならず、架橋剤添加量をアミノ基などの官能基が残るように抑える必要がある。反応性、反応条件、粒子サイズ、キトサン/磁性を有する粒子の比率などにより、官能基残存率が変わるため、架橋剤添加量は、これらの条件を勘案して適宜決定する。

また、架橋密度を上げてかつアミノ基の量を多くするためには、加水分解しない架橋反応を行ったのちに、アセトアミド基を加水分解するのも有効である。アミノ基量をとくに多くしたい場合には、脱アセチル化度の低いキトサンまたはキチンを用いるとよい。脱アセチル化度が低すぎると、中性からアルカリ性でキトサンを析出させることが困難になるため、脱アセチル化度は70%以上であるのが望ましい。

従来技術には、複合粒子形成後に脱アセチル化を行う手法に言及したものはなく、本発明の独自の技術のひとつである。

脱アセチル化の方法は、とくに限定されず、アルカリ処理、酵素反応など、従来公知の手法を用いることができる。たとえば、アルカリ処理は、45%NaOHなどの濃アルカリ溶液の中で80〜120℃に加熱し、4〜5時間処理すればよい。この場合、架橋結合は脱アセチル化反応によって切断されないものであることが必要である。また、金属イオン錯体やシッフ塩基などの保護基によりアミノ基を保護して架橋反応を行い、架橋後に保護基を外すのも効果的である。

残存アミノ基の量は、滴定により求めることができる。代表的な滴定方法は、以下のとおりである。エタノール中に磁性複合粒子を入れ、これが十分に撹拌される回転速度でスターラチップを回転させる。電位が安定するまで待ったのち、滴定試薬として塩酸のエタノール溶液を用いて電位差滴定する。滴定は、少量の滴定試薬を注入したのち電位が安定するまで待って、つぎの滴定試薬を注入する間欠滴定を行うか、非常にゆっくりと行う。なお、製造時にpH調整や反応促進などのために酸や塩基を加えている場合には、十分に洗浄するか、イオン交換樹脂処理を行い、精製する必要がある。

ただし、この手法によれば、未架橋のキトサン鎖は溶出してしまうおそれがあるため、実際の使用時に効果を発現しない内部のアミノ基まで検出するおそれがある。十分に架橋を施した磁性複合粒子に適用するのが望ましい。また、塩酸により切断されない架橋結合であることが必要である。また、他の酸を選択してもよい。

以上のようにして得られる磁性複合粒子の残存アミノ基の量としては、磁性複合粒子1gあたり、0.1μmol以上であるのが好ましい。これより少ないと、生理活性物質の固定化効率が低くなる。より好ましくは、磁性複合粒子1gあたり、0.001mmol以上であり、0.005mmol以上がさらに好ましい。一方、残存アミノ基の上限としては、キトサン自身のアミノ基の量が5mmol/g程度であって、磁性を有する粒子を含有させるため、通常、5mmol/g以下である。

本発明においては、磁性を有する粒子を核として用いるが、これにより複合粒子に磁性を持たせることができ、この磁性粒子に生理活性物質を固定化したのちに磁石などを用いて容易に捕集できるという特徴を有している。磁性を有する粒子は、とくに限定されないが、強磁性酸化鉄粒子はすぐれた磁気特性を有しかつ極微細な粒子も製造可能なため、とくに微細な粒子が望まれる用途では好適に使用される。

強磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト(Fe3 4 )粒子、マグヘマイト(γ−Fe2 3 )粒子、マグネタイト−マグヘマイト中間酸化鉄粒子、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、マンガン亜鉛フェライト(MnZnFe2 4 )粒子、希土類鉄ガーネット粒子、ビスマス置換希土類鉄ガーネット粒子が、好ましい。とくに、マグネタイト粒子は、飽和磁化量が大きいため、磁石などで捕集する際の磁界感度が良好なため、最適である。

キトサンはカチオン性の物質であるため、キトサンで被覆する工程では磁性を有する粒子表面がアニオン性である方が、両者が引き寄せ合うために均一な被覆が得られやすい。したがって、上記の強磁性酸化鉄粒子の中でマグヘマイト等のアニオン性の強い粒子は、特に表面処理を施さなくても均一な被覆が得られやすい。一方、カチオン性の強い粒子は、アニオン性の物質を被着してからキトサンの被覆処理を行うと、均一な被覆が得られやすい。

強磁性酸化鉄粒子にあらかじめ被着するアニオン性の物質としては、シリカ、アニオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤等が挙げられる。

アニオン性ポリマーには、カルボン酸基、スルホン酸基および/またはリン酸基を有する重合体があり、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、マレイン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等を重合ないし共重合した合成ポリマー、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸等の半合成または天然ポリマー等が挙げられる。また、アニオン性界面活性剤には、カルボン酸基、スルホン酸基および/またはリン酸基を有する界面活性剤があり、具体的には、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。

強磁性酸化鉄粒子とキトサンとの重量比は、100:5〜100:300であるのが好ましい。100:300よりもキトサンの比率が高いと、磁性粒子の比率が低くなるため複合粒子としての磁気特性が弱くなるだけでなく、1個の複合粒子中に複数個の磁性粒子が内包されてしまうおそれが高くなる。100:200以下にキトサンが少ないのがより好ましく、100:90以下にキトサンが少ないのがさらに好ましい。100:40以下のキトサン量で多くの用途で十分の厚さのキトサン層が得られる。

一方、100:5よりもキトサンの比率が低いと、磁性を有する粒子の全体を覆うことが困難となる。また、100:5では被覆の厚さがなお薄く、磁性を有する粒子が露出しやすくなる場合があるため、100:10以上にキトサンが多いことがより好ましい。さらに、磁性を有する粒子の粒径に対しても、十分な厚さのキトサン層が得られる100:15以上にキトサンが多いことが最も好ましい。

内部の磁性を有する粒子が露出しないようにするためには、キトサン層の十分な厚さが必要である。層状構造を形成していても、層の厚さが薄いと、キトサン層の厚さのふらつき、磁性を有する粒子の表面の凹凸、擦れや衝突などの機械的な作用などにより、内部の磁性を有する粒子が露出するおそれがある。これらの露出に影響する因子を考慮すると、キトサン層の厚さは、薄い部分で5nm以上であることが望ましい。10nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。

なお、上記のキトサン層の薄い部分の厚さとしては、透過型電子顕微鏡写真上、約50個の粒子の中から、キトサン層の薄い部分を選んで厚さを計測し、最も薄い点から10点の平均を求めればよい。

キトサン層の厚さは、磁性を有する粒子の粒径と、強磁性酸化鉄粒子とキトサンとの重量比により、ほぼ決まるため、所望のキトサン層の厚さを得るには、使用する磁性を有する粒子に対し、強磁性酸化鉄粒子とキトサンとの重量比を調整すればよい。

一方、キトサン層を厚くすると複合粒子全体に対する磁性粒子の比率が低くなるため、複合粒子としての磁気特性が弱くなる。したがって、強磁性酸化鉄粒子とキトサンとの重量比の上限で得られる厚さまでに抑える必要がある。

磁性複合粒子の比表面積は、0.1〜100m2 /gの範囲にあるとき、生理活性物質の固定化量が大きくなるため、好適に使用される。比表面積が上記範囲よりも小さいと、磁性複合粒子の単位重量当たりに固定できる生理活性物質の量が少なくなり、生理活性物質の固定化効果を得るのに多量の磁性複合粒子が必要となり、効率が良くない。1m2 /g以上であるのがより好ましく、3m2 /g以上であるのがさらに好ましい。

また、上記の比表面積は、高い方が生理活性物質の固定化量が大きくなり好ましいが、比表面積が高くなると、通常粒子が小さくなって磁界による捕集性が低くなり、また一般に大きな生理活性物質が入りにくいか、入っても活性が発現しにくいような細孔が多くなる。このため、100m2 /g以下の比表面積であるのが好ましい。また、50m2 /g以下がより好ましく、20m2 /g以下がさらに好ましい。

均一な層状構造を形成したのちの磁性複合粒子の粒子サイズは、強磁性酸化鉄粒子のように微細な粒子を核として用いる場合、平均粒子サイズが0.01〜4μmの範囲であるのが好ましい。平均粒子サイズが上記範囲より小さいと、磁界による捕集性が低くなる傾向にある。また、平均粒子サイズが上記範囲より大きいと、液中に分散してもすぐに沈降してしまう。平均粒子サイズが0.03〜2μmであるのがより好ましく、0.1〜1μmであるのがさらに好ましい。磁性複合粒子の粒子サイズは、透過型電子顕微鏡写真上、約50個の粒子サイズを測定し、その平均粒子サイズから求めればよい。

つぎに、磁性複合粒子の保磁力であるが、一般に、保磁力が大きくなると、磁性粒子間の凝集力が大きくなり、分散性が低下する。その結果、生理活性物質と結合すべき活性点が減少し、生理活性物質の固定化効率が低下する傾向にある。

本発明の磁性複合粒子においては、磁性を有する粒子のひとつひとつの粒子に対して、キトサン被覆が形成されているため、磁性複合粒子の保磁力としては、磁性を有する粒子自体の保磁力によりほぼ決まるものである。

本発明者らは、生理活性物質の固定化特性に影響を与えない最適の保磁力の範囲について、鋭意検討した結果、0.80〜15.92kA/m(10〜200エルステッド)の範囲であれば、実用上問題がないことを見出した。

保磁力が15.92kA/mより大きくなると、磁性複合粒子の分散性が低下するが、15.92kA/m以下の保磁力であれば、実用上問題ないことがわかった。保磁力が低い分にはとくに問題とならないが、強磁性酸化鉄粒子を核として用いる場合、0.80kA/mより低くするには、強磁性酸化鉄粒子の粒子サイズを大きくするなど、強磁性酸化鉄粒子を本発明の目的に適さない形状や構造にする必要があり、好ましくない。

つぎに、磁性複合粒子の飽和磁化は、磁性を有する粒子の飽和磁化と被着形成するキトサン層の量により決まり、5A・m2 /kg(5emu/g)以上が好ましい。飽和磁化が5A・m2 /kgより小さいと、磁石による捕集が困難になる傾向にある。飽和磁化は20A・m2 /kg以上であると捕集性が高いためにより好ましく、40A・m2 /kg以上がさらに好ましい。上限はとくに限定されないが、磁性を有する粒子の飽和磁化により制限され、例えばマグネタイトを用いた場合には通常は80A・m2 /kg(80emu/g)以下である。

本発明における磁性を有する粒子は、針状、板状、球状、粒状、楕円状、立方形状などの各種の形状のものを使用できるが、均一な厚さの被覆が形成しやすい、球状、楕円状、粒状のものが、とくに好ましい。ここで、「球状」とはアスペクト比(あらゆる方向で測定した場合の最大長さと最小長さとの比)が1.0〜1.2の範囲内である形状を指し、また、「楕円状」とはアスペクト比が1.2〜1.5の範囲内である形状を指している。さらに、「粒状」とは球状のように粒子の長さが全方向で揃っているものや、楕円状のように一方向の長さのみ大きいもの以外に、方向による長さの差異はあるが、全体として形状にとくに異方性がない粒子を指している。

本発明において、上記磁性を有する粒子として使用する強磁性酸化鉄粒子の製造法は、とくに限定されない。一例として、マグネタイト粒子の製造法として、鉄塩の水溶液中の酸化反応を用いた合成法について、以下に、説明する。

まず、硫酸第一鉄(FeSO4 ・6H2 O)を溶解した2価のFeイオン水溶液にNaOH水溶液を滴下し、水酸化第一鉄〔Fe(OH)2 〕を析出させる。この水酸化第一鉄の懸濁液のpHを9〜10に調整し、空気を吹き込んで酸化して、マグネタイト粒子を成長させる。pHが上記範囲より小さいと、マグネタイトの析出が遅くなり、上記範囲より大きいと、ゲーサイト(α−FeOOH)が生成しやすくなる。

空気吹き込み速度と、懸濁液の保持温度は、マグネタイト粒子の粒子サイズに大きく影響する。空気吹き込み速度は100〜400リットル/時間に、懸濁液の保持温度は50〜90℃に調整するのがよい。空気吹き込み速度が大きいと、マグネタイトの結晶成長が速くなり、粒子サイズは小さくなる。空気吹き込み速度が小さすぎるか、あるいは大きすぎると、マグネタイト以外の物質が混在析出しやすくなる。保持温度が高くなるほど、マグネタイトが結晶成長しやすくなり、粒子サイズが大きくなる。保持温度が低すぎると、ゲーサイト(α−FeOOH)粒子が生成しやすくなる。

このような方法により、平均粒子サイズが0.01〜0.5μmのマグネタイト粒子を合成することができる。上記の平均粒子サイズは、走査型電子顕微鏡写真上で50個の粒子のサイズを測定し、その平均値から求められる。

本発明において、このような強磁性酸化鉄粒子などからなる磁性を有する粒子の表面にキトサンの均一な層状構造を有する磁性複合粒子を製造する方法は、とくに限定されないが、代表的な製造法を示すと、以下のとおりである。

キトサンは、通常、固体状であるため、キトサンを水に加えたのちに、撹拌しながら、塩酸、酢酸、ギ酸、乳酸などを添加するか、あらかじめ調製しておいたこれらの酸の水溶液にキトサンを加えて、撹拌することにより、キトサンを溶解する。不溶物が残る場合には、ろ過することが望ましい。キトサンの量は、溶解後の溶液粘度が十分撹拌可能な粘度となる量とするのが望ましく、通常のキトサンでは1重量%以下である。このキトサンに対して所望比率の磁性を有する粒子、たとえば前記の方法で合成したマグネタイト粒子などを添加し、十分に分散させて懸濁液を調製する。

つぎに、この懸濁液を撹拌しながら、0.001〜1NでpH7.4〜9.6である、炭酸水素ナトリウム水溶液、リン酸二水素アンモニウム溶液、リン酸二水素ナトリウム溶液、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na溶液、または前記pHの範囲に調製した緩衝液などの弱アルカリの塩基を滴下するか、またはアンモニアガスを吹き込み、徐々に懸濁液のpHを上昇させ、pH6からキトサンを溶解するために用いられた酸を中和する点(通常pH7.2前後)の中性とし、しばらく保持する。これにより、磁性を有する粒子の表面にキトサンを析出させる。

ここで、必要であれば、キトサンの架橋を行う。架橋方法には、たとえば、未架橋の複合粒子懸濁液に対して、グルタールアルデヒドや市販のエポキシ架橋剤などの希釈液を添加して撹拌すればよい。その際に、必要により、加熱したり、触媒の添加などを行ってもよい。なお、架橋反応が遅い場合、酸性または室温で架橋反応が進みにくい場合等では、架橋剤を前の段階で加えておいてもよい。

また、キトサンを析出させる反応よりも前に、保護コロイドを加えてもよい。これにより磁性を有する粒子、キトサンが被覆した粒子の分散安定性が向上し、粒子の凝集が抑えられ、キトサン被覆の均一性も得られやすい。

保護コロイドとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。

さらに、磁性を有する粒子表面へのキトサンの固定化をより確実とするために、分散液を、弱アルカリの塩基により、キトサンを溶解するために用いられた酸を中和する点(通常pH7.2前後)よりも高いpH、すなわち、アルカリ性寄りの中性〜アルカリ性(通常pH7.5以上)にする。

この際、中性から速やかにアルカリ性にすることで、複合粒子の凝集を抑えることができる。とくに弱アルカリの塩基中に分散液を滴下するのが、効果的である。この段階で、キトサンの架橋を行ってもよい。架橋方法は前述のとおりである。

このようにして得られる未架橋または架橋した磁性複合粒子は、洗浄などにより未被着物や未反応物などを除去し、必要により、濃縮、乾燥、溶媒置換、添加物混合、解砕などを行うことにより、本発明の目的とする磁性複合粒子とする。

以上、本発明の磁性複合粒子の特徴をまとめると、以下のとおりである。

(1)磁性を有する粒子の表面に、均一でかつ十分な厚みを持ったキトサン被覆層を有している。これにより表面積を大きくすることが可能になり、内部の磁性を有する粒子の比率を高くしてもその露出が抑えられる。

(2)上記(1)に示した形態を得るため、酸により溶解したキトサン溶液に磁性を有する粒子を分散し、弱アルカリの塩基を用いて徐々に中性にする。

(3)弱アルカリの塩基によるpH調整は、磁性を有する粒子表面へのキトサンの固定化をより確実とするために、最終的にはキトサンを溶解するために用いられた酸を中和する点(通常pH7.2前後)よりも高いpH、すなわちアルカリ性寄りの中性〜アルカリ性(通常pH7.5以上)にする。

(4)pH上昇時の複合粒子の凝集を抑えるには、弱アルカリの塩基により速やかにアルカリ性とするのが効果的である。分散液を弱アルカリの塩基に滴下するのがとくに効果的である。

(5)架橋を施す場合には、中性において架橋剤を添加して反応させると、キトサン層の架橋が内部までより均一に可能になる。

以下に、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。

<マグネタイト粒子の合成>
100gの硫酸第一鉄(FeSO4 ・7H2 O)を1,000ccの純水に溶解した。この硫酸第一鉄と等倍モルになるように、28.8gの水酸化ナトリウムを500ccの純水に溶解した。つぎに、硫酸第一鉄水溶液を攪拌しながら、1時間かけて水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、水酸化第一鉄の沈殿物を生成させた。滴下終了後、攪拌しながら、水酸化第一鉄の沈殿物を含む懸濁液の温度を75℃まで昇温した。懸濁液の温度が75℃に達したのち、250リットル/時間の速度で、エアーポンプを使用して空気を吹き込みながら、8時間酸化して、マグネタイト粒子を生成させた。

このようにして得られたマグネタイト粒子は、純水を使用して十分に水洗後、ろ過し、50℃で加熱減圧乾燥した。このマグネタイト粒子は、ほぼ球形であり、平均粒子サイズは約0.23μm、比表面積は7.0m2 /g、保磁力は5.2kA/m、飽和磁化は82.8A・m2 /kgであった。マグネタイト粒子の粒子サイズは、透過型電子顕微鏡写真上、約50個の粒子サイズを測定し、その平均粒子サイズから求めた。

<キトサンの被覆層の形成処理>
1,000gの純水にキトサン5gを分散し、5gの酢酸を徐々に滴下して、キトサン〔焼津水産化学工業(株)製の「PSH−80」、脱アセチル化度80%以上〕を溶解した。不溶物がある場合は、ろ過により、除去した。

このキトサン溶液201gに対し、前記のマグネタイト粒子20gを混合し、超音波分散した。この分散液を撹拌しながら、0.5Nの炭酸水素ナトリウム水溶液を徐々に滴下してpH7.1とし、その後、1時間撹拌を続けた。つぎに、0.1Nの炭酸水素ナトリウム水溶液を1滴ずつ滴下してPH約8とし、さらに1時間撹拌を行った。

このようにして得られた磁性複合粒子を純水を用いて十分に水洗したのち、ろ過し、40℃で加熱減圧乾燥を行い、乳鉢で解砕して、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

キトサンの被覆層の形成処理において、マグネタイト粒子の量を20gから9gに変更した以外は、実施例1と同様の処理を施すことにより、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

キトサンの被覆層の形成処理において、マグネタイト粒子の量を20gから5gに変更した以外は、実施例1と同様の処理を施すことにより、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

キトサンの被覆層の形成処理において、マグネタイト粒子の量を20gから1.2gに変更した以外は、実施例1と同様の処理を施すことにより、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

キトサンの被覆層の形成処理において、マグネタイト粒子の量を20gから0.5gに変更した以外は、実施例1と同様の処理を施すことにより、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

キトサンの被覆層の形成処理において、マグネタイト粒子の量を20gから0.25gに変更した以外は、実施例1と同様の処理を施すことにより、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

キトサンの被覆層の形成処理において、マグネタイト粒子の量を20gから9gに変更し、かつ水洗前に、キトサンに対して1%のグルタールアルデヒドの希薄水溶液を、分散液を撹拌しながら滴下し、その後、室温で1日反応させた以外は、実施例1と同様の処理を施して、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

キトサンの被覆層の形成処理において、マグネタイト粒子の量を20gから5gに変更し、かつpH7.1で1時間撹拌後の分散液を0.5Nの炭酸水素ナトリウム水溶液100mlに撹拌しながら滴下し、さらに1時間撹拌し、つぎに水洗以降の処理を行った以外は、実施例1と同様に、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

実施例1のマグネタイト粒子の合成で得られたマグネタイト粒子を、200℃で2時間熱処理することにより、平均粒子サイズが0.23μmのマグヘマイト粒子を得た。この粒子は、比表面積が6.9m2 /g、保磁力が5.2kA/m、飽和磁化が79.3A・m2 /kgであった。

つぎに、キトサンの被覆層の形成処理において、マグネタイト粒子20gに代えて、上記のマグヘマイト粒子9gを用いた以外は、実施例1と同様の処理を施すことにより、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

実施例1のマグネタイト粒子の合成で得られたマグネタイト粒子に、常法にしたがい、ゾルゲル法により10重量%(仕込値)のシリカ被着処理を行い、シリカ被着したマグネタイト粒子を得た。

つぎに、キトサンの被覆層の形成処理において、マグネタイト粒子20gに代えて、上記のシリカ被着したマグネタイト粒子9gを用いた以外は、実施例1と同様の処理を施すことにより、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

実施例1のマグネタイト粒子の合成で得られたマグネタイト粒子に、この粒子に対して2重量%のポリアクリル酸を溶解した水溶液中で攪拌する処理を行い、ポリアクリル酸が被着したマグネタイト粒子を得た。

つぎに、キトサンの被覆層の形成処理において、マグネタイト粒子20gに代えて、上記のポリアクリル酸が被着したマグネタイト粒子9gを用いた以外は、実施例1と同様の処理を施すことにより、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

実施例1のマグネタイト粒子の合成で得られたマグネタイト粒子に、この粒子に対して2重量%のオレイン酸を溶解した水溶液中で攪拌する処理を行い、オレイン酸が被着したマグネタイト粒子を得た。

つぎに、キトサンの被覆層の形成処理において、マグネタイト粒子20gに代えて、上記のオレイン酸が被着したマグネタイト粒子9gを用いた以外は、実施例1と同様の処理を施すことにより、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

キトサンの被覆層の形成処理において、キトサン溶液201gに対し、ポリビニルアルコール(クラレ社製のPVA−117)1gを溶解し、かつマグネタイト粒子の量を20gから9gに変更した以外は、実施例1と同様の処理を施すことにより、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

実施例1のマグネタイト粒子の合成において、合成条件を調整して、平均粒子サイズが約0.02μmのマグネタイト粒子を得た。この粒子は、比表面積が47m2 /g、保磁力が5.1kA/m、飽和磁化が73.7A・m2 /kgであった。

つぎに、このマグネタイト粒子に、常法にしたがい、ゾルゲル法により10重量%(仕込値)のシリカ被着処理を行い、平均粒子サイズが約0.02μmであるシリカ被着したマグネタイト粒子を得た。

ついで、実施例1で得たキトサン溶液201gに対し、上記のシリカ被着したマグネタイト粒子0.25gを混合して、超音波分散させた。この分散液をヘキサン中に乳化分散させたのち、この乳化分散液をメタノール中に投入することにより、キトサンの均一な被覆層が形成された磁性複合粒子を得た。

上記の実施例1〜14で得た磁性複合粒子に関して、キトサンの被覆層の形成処理に用いた磁性を有する粒子(マグネタイト粒子)、キトサンおよび水(純水)の各量、磁性を有する粒子(マグネタイト粒子)/キトサンの重量比率、ならびに架橋の有無について、表1にまとめて示した。

表1
┌────┬──────┬────┬───┬────────┬───┐
│ │磁性を有する│キトサン│純水 │磁性粒子/キトサ│架橋の│
│ │粒子(g) │ (g)│(g)│ンの重量比率 │有無 │
├────┼──────┼────┼───┼────────┼───┤
│ │ │ │ │ │ │
│実施例1│ 20 │ 1 │200│100/5 │無 し│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例2│ 9 │ 1 │200│100/11.1│無 し│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例3│ 5 │ 1 │200│100/20 │無 し│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例4│ 1.2 │ 1 │200│100/83.3│無 し│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例5│ 0.5 │ 1 │200│100/200 │無 し│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例6│ 0.25 │ 1 │200│100/400 │無 し│
│ │ │ │ │ │ │
├────┼──────┼────┼───┼────────┼───┤
│ │ │ │ │ │ │
│実施例7│ 9 │ 1 │200│100/11.1│有 り│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例8│ 5 │ 1 │200│100/20 │無 し│
│ │ │ │ │ │ │
├────┼──────┼────┼───┼────────┼───┤
│ │ │ │ │ │ │
│実施例9│ 9 │ 1 │200│100/11.1│無 し│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例10│ 9 │ 1 │200│100/11.1│無 し│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例11│ 9 │ 1 │200│100/11.1│無 し│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例12│ 9 │ 1 │200│100/11.1│無 し│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例13│ 9 │ 1 │200│100/11.1│無 し│
│ │ │ │ │ │ │
├────┼──────┼────┼───┼────────┼───┤
│ │ │ │ │ │ │
│実施例14│ 0.25 │ 1 │200│100/400 │無 し│
│ │ │ │ │ │ │
└────┴──────┴────┴───┴────────┴───┘

比較例1
実施例1と同様に、マグネタイト粒子分散キトサン水溶液を、マグネタイト粒子1.35g、キトサン0.15g、純水200gの比率(磁性粒子/キトサン=100/11.1)で調製し、これに1N水酸化ナトリウム水溶液10ml(pH=13.2)を徐々に滴下し、さらにエピクロルヒドリン0.086gを加えて加熱し、2時間煮沸還流した。得られた磁性複合粒子は純水を用いて十分に水洗したのち、ろ過し、40℃で加熱減圧乾燥を行って、キトサン−磁性体複合粒子を得た。

比較例2
1N水酸化ナトリウム水溶液10mlを1Nアンモニア水溶液10ml(pH=11.8)に変更した以外は、比較例1と同様に、キトサン−磁性体複合粒子を得た。

比較例3
1N水酸化ナトリウム水溶液10mlを1N炭酸ナトリウム水溶液10ml(pH=10.0)に変更した以外は、比較例1と同様に、キトサン−磁性体複合粒子を得た。

比較例4
キトサン100gを塩酸のエタノール溶液(濃塩酸/エタノール=1/9)1,000mlに添加し、撹拌しながら80℃で2時間還流させた。放冷、ろ過後、90体積%のエタノール1,000mlで洗浄し、再びろ過した。

ろ過により回収したキトサン粒子を、水酸化ナトリウムのエタノール溶液(4N水酸化ナトリウム/エタノール=1/9)1,000mlに加えて、室温で4時間撹拌した。前記の方法と同様にして、90体積%のエタノール1,000mlで洗浄、ろ過し、12時間減圧乾燥することにより、低分子化したキトサンを得た。

この低分子化したキトサン20gを、0.1N塩酸1,000mlに溶解させた。これに、実施例1で得たマグネタイト粒子2.78gを添加し(磁性粒子/キトサン=100/721)、超音波分散させた。この分散液を噴霧乾燥により造粒した。噴霧乾燥には、阪本技研製のスプレードライヤーを用い、アトマイザーディスク方式により、熱風温度:180℃、排風温度:85℃、原液供給速度:130ml/分、ディスク回転数:13,000rpmの条件で噴霧し、キトサン−磁性体複合粒子を得た。

このようにして得たキトサン−磁性体複合粒子2.0gを、水酸化ナトリウム0.4gを溶解した90体積%のエタノール200mlに添加して、超音波分散した。これに、クロロメチルオキシラン0.67mlを添加し、撹拌しながら80℃で2時間還流させた。放冷、ろ過後、90体積%のエタノール200mlで洗浄し、12時間減圧乾燥することにより、架橋したキトサン−磁性体複合粒子を得た。

比較例5
実施例1で得たマグネタイト粒子0.3gを、50mlの水に加えて超音波分散した。これに、キトサン0.03gを1%酢酸4.5mlに溶解したキトサン溶液を加えた。この分散液を再度超音波分散し、磁場により磁性複合粒子を集めたのち、上澄みをろ過し、12時間減圧乾燥することにより、キトサン−磁性体複合粒子を得た。

以上の実施例1〜14および比較例1〜5で得た各複合粒子につき、下記の方法により、平均粒子サイズ、保磁力、飽和磁化、比表面積、磁界捕集性、被覆の均一性、キトサン層の薄い部分の厚さを、測定、評価した。結果は、表2に示されるとおりであった。

<平均粒子サイズの測定>
複合粒子の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、この写真上で50個の粒子のサイズを測定し、その平均値を求めた。

<保磁力および飽和磁化の測定>
振動試料型磁力計(東英工業社製)を用いて、複合粒子の保磁力および飽和磁化を測定した。飽和磁化は、797kA/m(10キロエルステッド)の磁界を印加したときの磁化量から求めた。

<比表面積の測定>
比表面積・細孔分布測定装置(コールター社製の「SA3100」)を用いて、比表面積を測定した。

<磁界捕集性の評価>
複合粒子0.5gを水1.5g中に加えてよく撹拌したのち、フェライト磁石を容器側面に接触させ、複合粒子が磁石部に捕集されて液がほぼ透明になるまでの時間を調べた。10秒以内に透明になるものを◎、10〜30秒かかって透明になるものを○、30秒〜2分かかって透明になるものを△、さらに時間のかかるものを×とした。

<被覆の均一性の評価>
複合粒子を透過型電子顕微鏡(または走査透過型電子顕微鏡)で観察し、複合粒子表面上のキトサン被覆について、厚さが均一であるかどうか、厚さが十分であるかどうか、評価した。被覆の厚さがほぼ均一でかつ厚さが20nm以上であるものを◎、これらがほとんど満たされていないものを×、さらにこの間のものを○、△の2段階で評価した。

<キトサン層の薄い部分の厚さの測定>
複合粒子の透過型電子顕微鏡(または走査透過型電子顕微鏡)写真上、約50個の粒子の中からキトサン層の薄い部分を選んで厚さを計測し、最も薄い点から10点の平均を求めた。













































表2
┌────┬────┬────┬────┬────┬───┬───┬────┐
│ │平均粒子│保磁力 │飽和磁化│比表面積│磁界 │被覆の│キトサン│
│ │サイズ │ │ │ │捕集性│均一性│層の薄い│
│ │ │(kA │(Am2 │(m2 │ │ │部分厚さ│
│ │(μm)│ /m)│/kg)│ /g)│ │ │(nm)│
├────┼────┼────┼────┼────┼───┼───┼────┤
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例1│0.25│ 4.8│79.2│ 6.0│ ◎ │ △ │ 8│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例2│0.26│ 5.3│74.9│ 5.7│ ◎ │ ○ │ 17│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例3│0.29│ 5.0│69.5│ 5.1│ ◎ │ ◎ │ 46│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例4│0.40│ 5.1│46.7│ 3.9│ ◎ │ ◎ │ 129│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例5│0.51│ 4.9│29.8│ 2.8│ ○ │ ◎ │ 255│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例6│0.63│ 5.4│19.2│ 2.3│ △ │ ◎ │ 363│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例7│0.28│ 5.0│74.8│ 5.1│ ◎ │ ◎ │ 20│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例8│0.27│ 5.2│73.0│ 5.3│ ◎ │ ◎ │ 25│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例9│0.28│ 5.1│65.4│ 5.6│ ◎ │ ◎ │ 20│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例10│0.28│ 5.0│74.5│ 5.5│ ◎ │ ◎ │ 28│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例11│0.27│ 5.2│74.8│ 5.4│ ◎ │ ◎ │ 25│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例12│0.27│ 5.2│74.8│ 5.6│ ◎ │ ◎ │ 22│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例13│0.27│ 5.4│74.6│ 5.7│ ◎ │ ◎ │ 19│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例14│0.80│ 5.1│18.8│ 6.8│ △ │ △ │ 12│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
├────┼────┼────┼────┼────┼───┼───┼────┤
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│比較例1│1200│ 4.9│74.8│ ≒0 │ ◎ │ × │ 3│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│比較例2│1100│ 5.2│75.0│ ≒0 │ ◎ │ × │ 4│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│比較例3│ 900│ 5.1│75.4│ ≒0 │ ◎ │ × │ 4│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│比較例4│ 7.6│ 4.7│10.2│ 0.2│ × │ × │ 3│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│比較例5│0.25│ 5.3│82.3│ 6.6│ ◎ │ × │ ≒0│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
└────┴────┴────┴────┴────┴───┴───┴────┘

上記表2の結果から、本発明の実施例1〜14の各磁性複合粒子、とくに弱アルカリの塩基を添加して磁性を有する粒子の表面にキトサン層を形成した実施例1〜13の各磁性複合粒子は、強アルカリの塩基の滴下または噴霧乾燥により複数の磁性を有する粒子にキトサンを被覆させた比較例1〜4の各複合粒子に比べて、微小な粒子が得られており、比表面積を大きくできることがわかる。

また、実施例1〜14、とくに実施例1〜13の各磁性複合粒子は、比較例1〜4の各複合粒子および酸性溶液でキトサンを被覆させた比較例5の複合粒子に比べて、キトサンが層状構造を形成して被覆の厚さの均一性が高くかつ被覆の厚さが厚く、内包物(磁性を有する粒子)が露出しにくい構造を有しているものであることがわかる。

つぎに、これらの複合粒子について、酵素の固定化試験を行った。

まず、複合粒子の一定量を水に分散し、この分散液に酵素として一定量のペルオキシダーゼを添加、撹拌し、複合粒子にペルオキシダーゼを固定化した。固定化した酵素の量と活性を測定する方法として、TOOS−4−AA系の発色反応を使用した。

この発色反応は、ペルオキシダーゼで触媒される過酸化水素の還元により生成した酸素と、TOOS〔N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン〕および4−AA(4−アミノアンチピリン)の反応にて、波長546nmに吸収を有する色素が生成することを利用したもので、当業者間で公知の方法である。

まず、0.9重量%の過酸化水素を含有する水溶液0.1mlに対して、反応液〔50mM・トリス塩酸バッファー(pH7.5)、0.6mM・TOOS、0.5mM・4−AA〕を3ml添加して攪拌し、測定液を調製した。

つぎに、この測定液に、ペルオキシダーゼを固定化した複合粒子100mgを添加し、37℃で加温した。この溶液について、吸光度計により複合粒子の添加直後から5分間の吸光度(OD:546nm)を30秒間隔で測定して、上記試料中の過酸化水素の改質により生成した色素を比較した。

その結果、実施例1〜14の磁性複合粒子は、実施例1の複合粒子が若干酵素の活性が低めであったものの、比較例1の複合粒子に比べて、多量の酵素が固定化されており、またこの固定化された酵素は高い活性を示すものであることがわかった。

本発明の磁性複合粒子は、生理活性物質を固定化するための用途に利用可能である。たとえば、診断薬担体、細菌分離担体、核酸分離精製担体、タンパク質精製担体、固定化酵素担体、抗体固定化担体などに利用することができる。また、その特性上、造影剤や温熱療法などにも、広く利用可能である。

Claims (20)

  1. 磁性を有する粒子の表面にキトサン層を有する複合粒子であって、平均粒子サイズが、0.01〜4μmの範囲にあることを特徴とする磁性複合粒子。

  2. 磁性を有する粒子を核としキトサン層を殻とするコアシェル構造を有する請求項1に記載の磁性複合粒子。

  3. キトサン層が架橋されてなる請求項1または2に記載の磁性複合粒子。

  4. キトサン層の架橋に、アルデヒド基、エポキシ基、イソシアネート基の中から選ばれる官能基を2個以上有する架橋剤を用いた請求項3に記載の磁性複合粒子。

  5. 磁性を有する粒子が強磁性酸化鉄粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の磁性複合粒子。

  6. 強磁性酸化鉄粒子が、マグネタイト粒子、マグへマイト粒子、マグネタイト−マグヘマイト中間体粒子、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、マンガン亜鉛フェライト粒子、希土類鉄ガーネット粒子、ビスマス置換希土類鉄ガーネット粒子の中から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の磁性複合粒子。

  7. 磁性を有する粒子が、強磁性酸化鉄粒子にアニオン性の物質を被着した粒子である請求項5または6に記載の磁性複合粒子。

  8. アニオン性の物質が、シリカ、アニオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤の中から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の磁性複合粒子。

  9. アニオン性ポリマーが、カルボン酸基、スルホン酸基および/またはリン酸基を有する重合体である請求項8に記載の磁性複合粒子。

  10. アニオン性界面活性剤が、カルボン酸基、スルホン酸基および/またはリン酸基を有する界面活性剤である請求項8に記載の磁性複合粒子。

  11. 磁性を有する粒子とキトサン層との重量比が100:5〜100:300である請求項1〜10のいずれかに記載の磁性複合粒子。

  12. 磁性を有する粒子とキトサン層との重量比が100:10〜100:90である請求項1〜10のいずれかに記載の磁性複合粒子。

  13. キトサン層の最も薄い部分の厚さが5nm以上である請求項1〜12のいずれかに記載の磁性複合粒子。

  14. 磁性複合粒子の比表面積が1〜100m2 /gの範囲にある請求項1〜13のいずれかに記載の磁性複合粒子。

  15. 磁性複合粒子の保磁力が0.80〜15.92kA/m(10〜200エルステッド)の範囲にある請求項1〜14のいずれかに記載の磁性複合粒子。

  16. 磁性複合粒子の飽和磁化が5〜80A・m2 /kg(5〜80emu/g)の範囲にある請求項1〜15のいずれかに記載の磁性複合粒子。

  17. a)酸性にすることによりキトサンを水に溶解する工程と、b)このキトサン溶液に磁性を有する粒子を分散する工程と、c)この分散液を弱アルカリの塩基により徐々に中性にする工程とを有することを特徴とする磁性複合粒子の製造方法。

  18. a〜c工程のほかに、d)キトサンの架橋剤を添加、撹拌する工程を付加してなる請求項17に記載の磁性複合粒子の製造方法。

  19. a〜c工程またはa〜d工程のほかに、e)c工程後の中性の分散液を弱アルカリの塩基により速やかにアルカリ性にする工程を付加してなる請求項17または18に記載の磁性複合粒子の製造方法。

  20. c工程よりも前に、保護コロイドを系に加える請求項17〜19のいずれかに記載の磁性複合粒子の製造方法。


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