JP2005296827A - コーティング方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 表面凹凸を有するベース基材に紫外線硬化性の樹脂組成物をコーティングする方法であって、コーティング時は液の温度制御によりレベリング性を向上させた状態で平滑塗工面を形成し、コーティング後は塗工面形状を維持して硬化させる冷却工程を含むコーティング方法。
Description
また、基材にプラスチックシートを用いる場合には高度な平滑面を有する転写材、例えば銅箔等の金属箔、平滑化処理した鋼板や金属製ロール等を用い、その平滑表面を基材表面に転写する加圧成型の作業が行われる。また、特許文献3および特許文献4に記載されているようなコーティングによる平滑化処理も一般的に行われている。コーティング方式は2種類に大別されるが、輪郭塗工方式においてはベース基材の凹凸をなぞるために下地凹凸を反映した表面凹凸を発生し、平滑塗工方式においてはベース基材の凹凸に起因した膜厚バラツキを生じるため硬化過程において収縮量差により表面凹凸を発生する問題があった。これら特許文献3および特許文献4に提案されるような平滑面形成のための塗工方式は、液状塗工膜での平滑面形成に関するシステムの提案であり、硬化後の表面平滑性にまで言及された提案はなされていないのが現状であった。
(1)表面凹凸を有するベース基材に紫外線硬化性の樹脂組成物をコーティングする方法であって、コーティング時は液の温度制御によりレベリング性を向上させた状態で平
滑塗工面を形成し、コーティング後は塗工面形状を維持して硬化させる冷却工程を含むコーティング方法。
(2)コーティング時の前記樹脂組成物の粘度が50cPs以下である(1)記載のコー
ティング方法。
(3)前記冷却処理後の前記樹脂組成物の粘度が3000cPs以上である(1)または(
2)記載のコーティング方法。
(4)前記ベース基材として樹脂組成物からなるプラスチックシートもしくは無機充填材と樹脂組成物からなる複合基材を用い、(1)〜(3)記載のコーティング方法によりコーティングされた平滑化シート。
(5)表面凹凸が最大表面粗さで200nm以下である(4)記載の平滑化シート。
(6)透明である(4)または(5)記載の平滑化シート。
(7)前記ベース基材としてガラスを用い、(1)〜(3)記載のコーティング方法によりコーティングされた平滑化ガラス。
(8)表面凹凸が最大表面粗さで200nm以下である(7)記載の平滑化ガラス
(9)透明である(7)または(8)記載の平滑化ガラス。
(10)前記ベース基材として金属板を用い、(1)〜(3)記載のコーティング方法によりコーティングされた平滑化金属板。
(11)表面凹凸が最大表面粗さで200nm以下である(10)記載の平滑化金属箔、平滑化金属シートもしくは平滑化金属板。
(12)(4)〜(11)記載の平滑化シート、平滑化ガラス、平滑化金属板を構成要素とした表示用デバイス。
である。
本発明のコーティング方法において、その対象となるベース基材は熱硬化性もしくは紫外線硬化性の樹脂を使用した樹脂シートおよび無機充填材と樹脂からなる複合シートもしくはガラス板、金属板である。これらの材料は回路基板、特に各種表示素子用の透明/不透明の基板における要求と合致しているものの、表面凹凸を有するために、高機能化に対応しきれなかったものである。
以下にベース基材としてプラスチックシートを用いる場合を主に記載するが特に限定されるものではなく、それ以外のガラス板、金属板等にも同様に適用される。また、用途についても回路基板を主に対象としているがそれ以外に適用しても問題はない。
流動性の高い低粘度の樹脂においてレベリング効果を期待し、平滑塗工面を形成する手法は比較的公知とされている。上述の特許文献3および特許文献4に記載されているように、平滑塗工面の形成法は塗工方式の特徴として記述されることが多いが、これらの評価基準は液状塗工表面に留まり、最終的な硬化後まで考慮に入れた提案はされていない。
コーティング液表面がレベリングするための推進力は液の表面張力と静水圧勾配であり、レベリング時に塗工膜内において発生する剪断応力が、式(1)に示される最大剪断応力を超えた場合には樹脂流動が停止するため、それ以降のレベリング効果は期待できない。低粘度の塗工液を用いた場合には発生する剪断応力が小さいため最大剪断応力に達することが少なく、それにより得られる高いレベリング性から平滑面を形成することが可能となる。一方、式(2)に示されるOrchardの理論により下地凹凸、コーティング液粘度、
塗工膜厚における塗工膜表面凹凸の経時変化挙動を把握することができる。塗工膜内において発生する剪断応力が最大剪断応力に達しない場合においても、高粘度になるに従いレベリング時間が必要であることがこの理論より容易に推測され、平滑面形成における低粘度の優位性が証明されている。
これらの事象を鑑みて、コーティング後に冷却処理を行うことにより生じる塗工膜の増粘効果を利用し、これを適切なタイミングで行うことによりレベリング速度と増粘速度のバランスを制御することによって、低粘度における高いレベリング性と高粘度における表面形状保持性を両立し、さらには温度影響のない紫外線照射により硬化を行うことで平坦な塗膜表面を形成し、且つ硬化後まで平滑面を保持することが可能となった。
金属プレートを対象としている。電解、圧延等、その製造方法については特に限定しない。ベース基材として最も好適に使用されるものとしてはガラスクロス、ガラス不織布、紙があげられる。
(実施例1)
(1)ワニスの調製
脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製 EHPE3150)100重量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化製リッカシドMH-700)75重量部、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業製TPP-PB)0.5重量部を、アセトン120重量部と混合してワニスAとした。
(2)ベース基材作製
以下の要領で複合シートを作製した。
厚さ80μmのEガラス系ガラスクロス(日東紡績製 WEA2319)にワニスAをディッピングにて含浸させた。ガラスクロス内にワニスが含浸するのに十分な時間浸漬した後、表面に
2〜3μmの樹脂厚が乗るよう引き上げ速度を調整しながら両面に樹脂を塗布した。含浸/
塗布完了後にオーブン内につるした状態で、120℃で5分間処理し、更に200℃で2時間処理することにより樹脂を硬化させた。その時の最大表面粗さは3240nmであった。
(3)コーティング樹脂の調製
以下の要領でコーティング樹脂を調製した。
ジシクロペンタジエニルアクリレート(東亞合成(株)製M-203)50重量部、ビス〔4-(アクリロイロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド(東亞合成(株)製 TO-2066)50重量部、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティケミ
カル製 イルガキュア184)0.5重量部を、80℃で溶融混合してコーティング用樹脂
とした。
コーティング液の粘性係数はパラレルプレート型の粘度計で昇温しながら計測を行った。室温25℃において3600cpsであったが、温度80℃においては30cpsに低下した。(4)コーティング処理
以下の条件にてコーティング処理を行った。
ダイレクトリバースグラビアコーターを利用して上記ベース基材表面にコーティング樹脂を塗工した。120メッシュのピラミッド形状を持つグラビアロールを使用し、グラビアロールおよび液槽バットは80℃に温度制御した。バックアップロールにはロータリージョイントで設置された水冷ロールを使用し、塗工直後の基材をバックアップロールに巻かせることで冷却処理を行った。バックアップロールは5℃のチラー水を流して温調制御し、グラビアロールの周速度とライン速度の比は1:1.5とした。ベース基材の片面を塗工した後、水銀ランプを用いて紫外線(500mJ/cm2)を照射してコーティング樹脂を硬化させた。
(5)測定結果
zygo社製光干渉式粗さ計を用いて塗工膜表面の最大表面粗さを測定した。最大表面粗さは127nmであった。
(1)ベース基材の作製
フロート製法で製造された非研磨ソーダライムガラス板をベース基材として用いた。ガラス板の最大表面粗さは425nmであった。
(2)コーティング処理
以下の条件にてコーティング処理を行った。
ダイレクトリバースグラビアコーターを利用して上記ベース基材表面に実施例1と同様のコーティング樹脂を塗工した。120メッシュのピラミッド形状を持つグラビアロールを使用し、グラビアロールおよび液槽バットは80℃に温度制御した。バックアップロールにはロータリージョイントで設置された水冷ロールを使用し、また塗工直後の基材は温度制御した金属プレート上にのるようにラインをコントロールした。バックアップロールおよび金属プレートは5℃のチラー水を流して温調制御し、グラビアロールの周速度とライン速度の比は1:1.5とした。ベース基材の片面を塗工した後、水銀ランプを用いて紫外線(500mJ/cm2)を照射してコーティング樹脂を硬化させた。
(3)測定結果
zygo社製光干渉式粗さ計を用いて塗工膜表面の最大表面粗さを測定した。最大表面粗さは27nmであった。
(1)ベース基材の作製
厚み18μmの電解銅箔をベース基材として用いた。銅箔の最大表面粗さは2389nmで
あった。
(2)コーティング処理
以下の条件にてコーティング処理を行った。
ダイレクトリバースグラビアコーターを利用して上記ベース基材表面にコーティング樹脂を塗工した。120メッシュのピラミッド形状を持つグラビアロールを使用し、グラビアロールおよび液槽バットは80℃に温度制御した。バックアップロールにはロータリージョイントで設置された水冷ロールを使用し、塗工直後の基材をバックアップロールに巻かせることで冷却処理を行った。バックアップロールは5℃のチラー水を流して温調制御し、グラビアロールの周速度とライン速度の比は1:1.5とした。ベース基材の片面を塗工した後、水銀ランプを用いて紫外線(500mJ/cm2)を照射してコーティング樹脂を硬化させた。
(3)測定結果
zygo社製光干渉式粗さ計を用いて塗工膜表面の最大表面粗さを測定した。最大表面粗さは89nmであった。
(1)ベース基材の作製
実施例1と同じ要領でベース基材を作製した。
(2)コーティング処理
以下の条件にてコーティング処理を行った。
ダイレクトリバースグラビアコーターを利用して上記ベース基材表面に実施例と同様のコーティング樹脂を塗工した。120メッシュのピラミッド形状を持つグラビアロールを使用し、グラビアロールおよび液槽バットは80℃に温度制御した。バックアップロールにはロータリージョイントで設置された水冷ロールを使用し、塗工直後の基材をバックアップロールに巻かせることで温度制御を行った。バックアップロールは80℃の温水を流して温調制御し、グラビアロールの周速度とライン速度の比は1:1.5とした。ベース基材の片面を塗工した後、水銀ランプを用いて紫外線(500mJ/cm2)を照射してコーティング樹脂を硬化させた。
(3)測定結果
zygo社製光干渉式粗さ計を用いて塗工膜表面の最大表面粗さを測定した。最大表面粗さは538nmであった。
(1)ベース基材の作製
実施例1と同じ要領でベース基材を作製した。
(2)コーティング処理
以下の条件にてコーティング処理を行った。
ダイレクトリバースグラビアコーターを利用して上記ベース基材表面に実施例と同様のコーティング樹脂を塗工した。120メッシュのピラミッド形状を持つグラビアロールを使用し、グラビアロールおよび液槽バットは80℃に温度制御した。グラビアロールの周速度とライン速度の比は1:1.5とし、塗工後の温度制御は特に行わなかった。ベース基板の片面を塗工した後、水銀ランプを用いて紫外線(500mJ/cm2)を照射してコーティング樹脂を硬化させた。
(3)測定結果
zygo社製光干渉式粗さ計を用いて塗工膜表面の最大表面粗さを測定した。最大表面粗さは399nmであった。
Claims (12)
- 表面凹凸を有するベース基材に紫外線硬化性の樹脂組成物をコーティングする方法であって、コーティング時は液の温度制御によりレベリング性を向上させた状態で平滑塗工面を形成し、コーティング後は塗工面形状を維持して硬化させる冷却工程を含むコーティング方法。
- コーティング時の前記樹脂組成物の粘度が50cPs以下である請求項1記載のコーティング
方法。 - 前記冷却処理後の前記樹脂組成物の粘度が3000cPs以上である請求項1または請求項2記
載のコーティング方法。 - 前記ベース基材として樹脂組成物からなるプラスチックシートもしくは無機充填材と樹脂組成物からなる複合基材を用い、請求項1〜3何れか一項記載のコーティング方法によりコーティングされた平滑化シート。
- 表面凹凸が最大表面粗さで200nm以下である請求項4記載の平滑化シート。
- 透明である請求項4または請求項5記載の平滑化シート。
- 前記ベース基材としてガラスを用い、請求項1〜3何れか一項記載のコーティング方法によりコーティングされた平滑化ガラス。
- 表面凹凸が最大表面粗さで200nm以下である請求項7記載の平滑化ガラス。
- 透明である請求項7または請求項8記載の平滑化ガラス。
- 前記ベース基材として金属を用い、請求項1〜3何れか一項記載のコーティング方法によりコーティングされた平滑化金属板。
- 表面凹凸が最大表面粗さで200nm以下である請求項10記載の平滑化金属板。
- 請求項4〜11何れか一項記載の平滑化シート、平滑化ガラス、または平滑化金属板を構成要素とした表示用デバイス。
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