JP7075781B2 - 低面粗度の塗膜を実現できる高平滑性塗料組成物、この施工方法や補修方法、これらを用いて表面処理された圧縮機 - Google Patents
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Description
本発明者がこのような開発環境を踏まえて検討した結果、上記文献1に記載の塗料において、表面粗さRaが0.4以下の水準を実現するものは未だ見出されておらず、表面平滑性および耐熱性の点で改善の余地を有していることが判明した。
このような知見に基づいて本発明者が検討した結果、基板の表面粗さをRa1とし、基板の表面に形成された塗料組成物からなる塗膜(トップコート層)の表面粗さをRa2としたとき、Ra2/Ra1を指標とすることにより、トップコート層の下地である基板の表面形状を考慮した上で、その基板表面の凹凸中に対する塗料成分の埋め込み具合について安定的に評価できることを見出した。
このような指標Ra2/Ra1に基づいて鋭意検討した結果、Ra2/Ra1を所定値以下に制御することで、かかる塗料組成物からなるトップコート層において、表面平滑性とともに耐熱性を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
基板の表面にトップコート層を形成するために用いる塗料組成物であって、
結合剤およびフィラーを含み、
前記結合剤が、金属アルコキシドを含み、
前記フィラーが、粒径が0.1μm以上5μm以下の球状アルミナを含み、
前記基板が金属基板またはセラミック基板とし、前記基板の表面粗さをRa1とし、前記基板の表面に形成された当該塗料組成物からなる塗膜の表面粗さをRa2とし、Ra1が0.4μm以上2.5μm以下とし、前記塗膜の膜厚が1μm以上50μm以下としたとき、
Ra2/Ra1が0.4以下である、塗料組成物が提供される。
基板の表面にトップコート層を形成するための施工方法であって、
上記塗料組成物からなる塗膜を前記基板の表面に形成する塗膜形成工程を含む、施工方法が提供される。
ガスタービンの圧縮機のブレードの表面を洗浄する工程と、
前記ブレードの表面に、トップコート層として、上記塗料組成物からなる塗膜を形成する工程と、を含む、補修方法が提供される。
また、本実施形態の塗料組成物によれば、自動研磨機や熟練工による研磨手作業によって塗膜形成前に基板表面を研磨する工程が不要であり、この工程を行わない場合でも表面平滑性に優れたブレードを実現できるため、ブレードの製作費用の削減が可能になる。
また、本実施形態の塗料組成物によれば、ブレードを圧縮機に設置したままの現地施工が可能になるため、定期的なブレードのオーバーホール時においても、予備のローター(複数のブレードが取り付けられたローター)が不要になる。
また、オーバーホール時に本実施形態の塗料組成物を施工することにより、再度、ブレードの表面に表面粗さRaが0.4μm以下のトップコート層を実現できるため、長期に亘って圧縮機の特性を維持することが可能になる。
以上により、本実施形態の塗料組成物を圧縮機に利用することにより、大幅にコストの削減を実現できる。
上記低沸点溶媒としては、例えば、メチルアルコール(64.7°C)、エチルアルコール(78.37℃)、イソプロピルアルコール(沸点82.4℃)などの低分子量アルコールが挙げられる。これにより、より低温環境下や乾燥環境下において塗膜を成膜することが可能になる。
このオルガノアルコキシシランは、加水分解及び重縮合によって、高分子化したオルガノポリシロキサンになる。なお、オルガノアルコキシシランの他に、Ti、Al、Zr等の金属アルコキシドを使用してもよい。
金属コロイド(例えば、コロイド状のアルミナ)は、アルミナなどの無機酸化物を担体として、水および/または低級アルコール類を分散媒とする、pH2.5~6の金属酸化物ゾル(アルミナゾル)とすることができる。
この金属酸化物ゾルは、固形分換算で、例えば、5~50重量%、好ましくは5~25重量%含有してもよい。また、金属酸化物ゾルは、安定剤として硝酸、塩酸、酢酸などの酸を含有してもよい。
コロイド状アルミナ(金属コロイド)や微粒子状アルミナ(金属微粒子)は、例えば、平均粒径が5~200nm、好ましくは5~100nm、より好ましくは5~50nmのものである。
これに対して、本実施形態の塗料組成物においては、溶剤の沸点を適切に選択することにより、220℃以下の低温において、溶媒を乾燥させて、成膜させることが可能になる。したがって、圧縮機のブレードが高温加熱によって劣化してしまうことを抑制することができる。
従来、オーバーホール時にローターから分解されたブレードの1つ1つを、圧縮機の設置場所から別の場所にある加熱室まで搬送し、そこで再度、塗料を成膜することが行われていた。
これに対して、本実施形態の塗料組成物では、圧縮機に設置した状態のブレードに対して、現地施工が可能になる。すなわち、圧縮機の設置場所において、ブレードに対して本実施形態の塗料組成物の施工が可能になる。
本実施形態において、図1(a)に示すように、基板10の表面粗さをRa1とし、基板10の表面に形成された塗料組成物からなる塗膜(トップコート層20)の表面粗さをRa2とする。また、基板10の最大高さをRz1とし、基板10の表面に形成された塗料組成物からなる塗膜(トップコート層20)の最大高さをRz2とする。
なお、基板10の表面には、図1(b)に示すように、表面処理等によりベース層30が形成されていてもよい。
算術平均粗さRaおよび10点平均高さRzは、表面粗さ計を用いて測定できる。
膜厚は、膜厚計を用いて測定できる。
また、Ra2、Rz2は、当該塗料組成物を、基板に塗装(たとえば、スプレー塗装)を実施して塗布膜を得、得られた塗布膜に対して、例えば、150℃で30分の条件で加熱処理(乾燥処理)を実施して形成された塗膜(トップコート層)に対して測定することにより得られる。乾燥処理後の塗膜の測定を行う際、基板として、例えば、所定の縦横長さを有する上面視において四角形状の金属基板を用いる。
詳細なメカニズムは定かでないが、基板表面の凹凸に効率的に配置されたフィラー間の隙間を、結合剤中の非晶質部(SiO2成分およびAl2O3成分等)で充填することができるため、緻密に成膜された塗膜が得られることから、その塗膜において表面平滑性および耐熱性を向上させることができる、と考えられる。
基板10の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、Al系材料、Fe系材料、Ni系材料、Co系材料、セラミックス基複合材等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Al系材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられる。
Fe系材料としては、各種の鉄鋼材料および鉄基合金を用いることができ、例えば、炭素鋼、合金鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、マンガン鋼、工具鋼、ステンレス鋼(SUS)、耐熱鋼、窒化鋼、肌焼鋼などが挙げられる。
Ni系材料としては、例えば、Ni基合金を用いることができる。
Co系材料としては、例えば、Co基合金を用いることができる。
上記のNi基合金、Co基合金、Fe基合金などの超合金や他の金属材料を用いる場合、これらは、公知の添加元素を1種または2種以上含有してもよい。
なお、セラミックス基複合材としては、SiC系やAl2O3系等のセラミックス基複合材が挙げられる。
これに対して、本実施形態によれば、上記塗料組成物を施工することによって表面粗さRaが0.4μm以下の高平滑性を有するトップコート層をブレードの表面に形成できる。すなわち、本実施形態の塗料組成物によって表面処理を行うことにより、表面平滑性に優れたブレードを安定的に実現できる。このため、自動研磨機や熟練工による研磨手作業によって塗膜形成前に基板表面を研磨する工程が不要になり、ブレードの製作費用の削減を実現できる。
これに対して、本実施形態の塗料組成物の施工方法においては、例えば、簡易的なスプレー法を用いることができる。このため、圧縮機から取り外したブレードに対して施工してもよいが、圧縮機に設置したままの状態のブレードに対しても施工することが可能になる。このような、現地施工が可能であるため、ブレードのオーバーホール時においても、予備のローターを準備しておく必要がないため、発電コストを低減させることが可能になる。
本実施形態の補修方法は、例えば、ガスタービン等の圧縮機のブレードの表面を洗浄する工程と、当該ブレードの表面に、トップコート層として、本実施形態の塗料組成物からなる塗膜を形成する工程と、を含むことができる。塗膜を形成する方法は、上述の施工方法を利用することができる。
以上により、本実施形態の塗料組成物を圧縮機に利用することにより、大幅にコストの削減を実現できる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 基板の表面にトップコート層を形成するために用いる塗料組成物であって、
前記基板の表面粗さをRa1とし、前記基板の表面に形成された当該塗料組成物からなる塗膜の表面粗さをRa2としたとき、
Ra2/Ra1が0.4以下である、塗料組成物。
2. 1.に記載の塗料組成物であって、
前記Ra2が0.40μm以下である、塗料組成物。
3. 1.または2.に記載の塗料組成物であって、
前記基板の最大高さをRz1とし、前記基板の表面に形成された当該塗料組成物からなる塗膜の最大高さをRz2としたとき、
Rz2/Rz1が0.5以下である、塗料組成物。
4. 3.に記載の塗料組成物であって、
前記Rz2が3μm以下である、塗料組成物。
5. 1.から4.のいずれか1つに記載の塗料組成物であって、
結合剤およびフィラーを含む、塗料組成物。
6. 1.から5.のいずれか1つに記載の塗料組成物であって、
沸点が220℃以下の溶媒をさらに含む、塗料組成物。
7. 1.から6.のいずれか1つに記載の塗料組成物であって、
前記基板の表面には、防食皮膜またはブラスト処理面が形成されている、塗料組成物。
8. 7.に記載の塗料組成物であって、
前記防食皮膜はアルミニウムを含む、塗料組成物。
9. 1.から8.のいずれか1つに記載の塗料組成物であって、
前記基板は、金属基板を含む、塗料組成物。
10. 1.から9.のいずれか1つに記載の塗料組成物であって、
圧縮機に用いられる、塗料組成物。
11. 1.から10.のいずれか1つに記載の塗料組成物からなる塗膜。
12. 11.に記載の塗膜であって、
当該塗膜の膜厚が1μm以上50μm以下である、塗膜。
13. 11.または12.に記載の塗膜を備える、圧縮機。
14. 基板の表面にトップコート層を形成するための施工方法であって、
1.から10.のいずれか1つに記載の塗料組成物からなる塗膜を前記基板の表面に形成する塗膜形成工程を含む、施工方法。
15. 14.に記載の施工方法であって、
前記塗膜形成工程は、スプレーにより塗料組成物を前記基板に塗布する工程を含む、施工方法。
16. 14.または15.に記載の施工方法であって、
220℃以下の温度で前記塗膜を加熱乾燥する工程をさらに含む、施工方法。
17. 14.から16.のいずれか1つに記載の施工方法であって、
前記基板が、圧縮機のブレードである、施工方法。
18. 17.に記載の施工方法であって、
前記圧縮機が、ガスタービンである、施工方法。
19. ガスタービンの圧縮機のブレードの表面を洗浄する工程と、
前記ブレードの表面に、トップコート層として、1.から10.のいずれか1つに記載の塗料組成物からなる塗膜を形成する工程と、を含む、補修方法。
白スラリーA:フィラー(コージライト、平均粒径D50:1.7μm、粒状)50重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、沸点121℃)48.5重量部、および分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk-111)1.5重量部を混合し、ボールミルで分散処理し、白スラリーA(スラリー濃度50重量%)を得た。
白スラリーB:フィラー(アルミナ、平均粒径D50:0.7μm、球状)50重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、沸点121℃)48.5重量部、および分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk-111)1.5重量部を混合し、ボールミルで分散処理し、白スラリーB(スラリー濃度50重量%)を得た。
白スラリーC:フィラー(マイカ、平均粒径D50:5μm、板状)50重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、沸点121℃)48.5重量部、および分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk-111)1.5重量部を混合し、ボールミルで分散処理し、白スラリーC(スラリー濃度50重量%)を得た。
白スラリーD:フィラー(アルミナ、平均粒径D50:0.02μm、真球状)25重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、沸点121℃)73.5重量部、および分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk-111)1.5重量部を混合し、ボールミルで分散処理し、白スラリーD(スラリー濃度25重量%)を得た。
白スラリーE:フィラー(アルミナ、平均粒径D50:0.27μm、球状)50重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、沸点121℃)48.5重量部、および分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk-111)1.5重量部を混合し、ボールミルで分散処理し、白スラリーE(スラリー濃度50重量%)を得た。
白スラリーF:フィラー(アルミナ、ランダム状)20重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、沸点121℃)78.5重量部、および分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk-111)1.5重量部を混合し、ボールミルで分散処理し、白スラリーF(スラリー濃度20重量%)を得た。
白スラリーG:フィラー(アルミナ、平均粒径D50:0.03μm、真球状)50重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、沸点121℃)48.5重量部、および分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk-111)1.5重量部を混合し、ボールミルで分散処理し、白スラリーG(スラリー濃度50重量%)を得た。
茶スラリー:フィラー(窒化珪素、平均粒径D50:0.7μm、球状)50重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、沸点121℃)48.5重量部、および分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk-111)1.5重量部を混合し、ボールミルで分散処理し、茶スラリー(スラリー濃度50重量%)を得た。
バインダ液1:日研株式会社製、セラミカG-92-6
溶媒1:IPA(イソプロピルアルコール、沸点82.4℃)
基板1:ベース層付き鉄鋼板(Alフレーク犠牲防食塗料(主成分:アルミフレーク、防食性)で表面処理された30μm厚のアルミ犠牲皮膜付きSPCC鋼板、縦×横:50mm×100mm、2mm厚、Ra1:1.01μm、Rz1:6.58μm)
基板2:アルミニウム板(株式会社パルテック製、縦×横:70mm×150mm、1mm厚、A5052P、Ra1:0.72μm、Rz1:5.24μm)
基板3:表面にブラスト処理したSUS板(日本冶金工業株式会社製、縦×横:50mm×100mm、2mm厚、SUS304)
以下のようにして、各実施例、比較例および各参考例の塗料組成物を調製した。
結合剤として、60gのバインダ液1(日研株式会社製、セラミカG-92-6:ポリシリコンアルコキシドを主成分とする2液タイプのバインダ液。主剤3に対し硬化剤2の割合で混合し、乾燥固化すると約20重量%の固化物になり、固化物はガラス質で、約20重量%のアルミナを含む。)に対して、フィラーとして、40gの白スラリーB(スラリー濃度50重量%、フィラー分:20g)を加え、約1分間混合して、実施例1の塗料組成物を得た。
実施例1の白スラリーBに代えて、白スラリーE(スラリー濃度50重量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の塗料組成物を得た。
実施例1の40gの白スラリーBに代えて、20gの白スラリーBおよび20gの白スラリーEを併用した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の塗料組成物を得た。
実施例1の40gの白スラリーBに代えて、20gの白スラリーBおよび20gの溶媒1を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の塗料組成物を得た。
バインダ液1を60gから50gに変更し、白スラリーBを40gから50gに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の塗料組成物を得た。
実施例1の白スラリーBに代えて、それぞれ、参考例1:白スラリーA(スラリー濃度50重量%)、参考例2:白スラリーC(スラリー濃度50重量%)、参考例3:白スラリーD(スラリー濃度25重量%)、参考例4:白スラリーG(スラリー濃度50重量%)、参考例5:茶スラリー(スラリー濃度50重量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、参考例1~5の塗料組成物を得た。
上記実施例1~5、比較例1、参考例1~5で得られた塗料組成物を、基板1、基板2にそれぞれ、スプレー塗装を実施して(塗装ブース内の気温は20℃で湿度は55%)、塗布膜を得た。得られた塗布膜に対して、150℃で30分加熱処理(乾燥処理)を実施して、基板1および基板2の表面に塗膜(トップコート層)を形成した。乾燥処理後におけるトップコート層の算術平均粗さRa2、10点平均高さRz2および膜厚を測定した。
得られたトップコート層について、以下のような評価を行った。評価結果を以下に示す。
一方、比較例1の塗料組成物からなる塗膜(トップコート層)については、基板1および基板2のいずれにおいても、塗膜割れが生じたことから耐熱性が低いことが判明した。
以下の塗料組成物を準備した。
<実施例6>
上記実施例2と同様にして、実施例6の塗料組成物を得た。
<比較例2>
白スラリーE(スラリー濃度50重量%)を使用しない以外は、実施例2と同様にして、フィラーを含有しない比較例2の塗料組成物を得た。
<比較例3>
上記参考例2と同様にして、比較例3の塗料組成物を得た。
なお、実施例6と比較例2の基板3のブラスト処理は同じ条件で行い、比較例3の基板3のブラスト処理は、より粗くなる条件で行った。
測定結果は以下のとおり。
・実施例6:Ra1:0.50μm、Rz1:3.63μm、Ra2:0.15μm、Rz2:0.91μm、Ra2/Ra1:0.30、Rz2/Rz1:0.25、膜厚:12.84μm
・比較例2:Ra1:0.50μm、Rz1:3.63μm、Ra2:0.50μm、Rz2:2.41μm、Ra2/Ra1:0.99、Rz2/Rz1:0.66、膜厚:9.82μm
・比較例3:Ra1:0.71μm、Rz1:5.38μm、Ra2:0.53μm、Rz2:3.42μm、Ra2/Ra1:0.74、Rz2/Rz1:0.64、膜厚:18.97μm
測定結果は以下のとおり。
・実施例6:Ra3:0.16μm、Rz3:1.13μm、Ra3/Ra1:0.32、Rz3/Rz1:0.31
・比較例2:Ra3:0.73μm、Rz3:4.69μm、Ra3/Ra1:1.45、Rz3/Rz1:1.29
・比較例3:Ra3:測定不能、Rz3:測定不能
また、高温・長時間加熱処理後の塗膜を外観観察した。結果は次の通りである。実施例6では、塗膜に光沢がありクラックは観察されず、良好な表面平滑性を示した。一方、比較例2では、塗膜にクラックは観察されないものの、光沢はなく、表面平滑性も十分ではなかった。また、比較例3では、塗膜の全面に割れや剥離が生じていたため、RaやRzは測定できなかった。
以上より、実施例の塗料組成物は圧縮機の効率を高められるため圧縮機用途に適することが分かった。
20 トップコート層
30 ベース層
Claims (17)
- 基板の表面にトップコート層を形成するために用いる塗料組成物であって、
結合剤およびフィラーを含み、
前記結合剤が、金属アルコキシドを含み、
前記フィラーが、粒径が0.1μm以上5μm以下の球状アルミナを含み、
前記基板が金属基板またはセラミック基板とし、前記基板の表面粗さをRa1とし、前記基板の表面に形成された当該塗料組成物からなる塗膜の表面粗さをRa2とし、Ra1が0.4μm以上2.5μm以下とし、前記塗膜の膜厚が1μm以上50μm以下としたとき、
Ra2/Ra1が0.4以下である、塗料組成物。 - 請求項1に記載の塗料組成物であって、
前記Ra2が0.40μm以下である、塗料組成物。 - 請求項1または2に記載の塗料組成物であって、
前記基板の最大高さをRz1とし、前記基板の表面に形成された当該塗料組成物からなる塗膜の最大高さをRz2としたとき、
Rz2/Rz1が0.5以下である、塗料組成物。 - 請求項3に記載の塗料組成物であって、
前記Rz2が3μm以下である、塗料組成物。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の塗料組成物であって、
沸点が220℃以下の溶媒をさらに含む、塗料組成物。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の塗料組成物であって、
前記基板の表面には、防食皮膜またはブラスト処理面が形成されている、塗料組成物。 - 請求項6に記載の塗料組成物であって、
前記防食皮膜はアルミニウムを含む、塗料組成物。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の塗料組成物であって、
圧縮機に用いられる、塗料組成物。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の塗料組成物からなる塗膜。
- 請求項9に記載の塗膜であって、
当該塗膜の膜厚が1μm以上50μm以下である、塗膜。 - 請求項9または10に記載の塗膜を備える、圧縮機。
- 基板の表面にトップコート層を形成するための施工方法であって、
請求項1から8のいずれか1項に記載の塗料組成物からなる塗膜を前記基板の表面に形成する塗膜形成工程を含む、施工方法。 - 請求項12に記載の施工方法であって、
前記塗膜形成工程は、スプレーにより塗料組成物を前記基板に塗布する工程を含む、施工方法。 - 請求項12または13に記載の施工方法であって、
220℃以下の温度で前記塗膜を加熱乾燥する工程をさらに含む、施工方法。 - 請求項12から14のいずれか1項に記載の施工方法であって、
前記基板が、圧縮機のブレードである、施工方法。 - 請求項15に記載の施工方法であって、
前記圧縮機が、ガスタービンである、施工方法。 - ガスタービンの圧縮機のブレードの表面を洗浄する工程と、
前記ブレードの表面に、トップコート層として、請求項1から8のいずれか1項に記載の塗料組成物からなる塗膜を形成する工程と、を含む、補修方法。
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