JP7148237B2 - アルマイト材の代替材料に用いることができる表面被覆基材、その基板表面にトップコート層を形成するための塗料組成物 - Google Patents
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基板材料が(アルミニウム材等)素材メーカーから加工メーカーに供給され、続いて、加工メーカーにおいて陽極酸化処理(アルマイト)された(必要に応じて形状加工も付与された)アルマイト材が製造メーカーに供給される。アルマイトを前提とした場合、加工メーカーに依拠する形となるため、サプライチェーンのカスタマイズが容易ではない。このような事情から、アルマイト材の市場において、アルマイト材に変わる新たな代替材料が要望されている。
本発明者はさらに検討したところ、金属アルコキシドおよび溶媒を含む塗料組成物において、塗膜構造の緻密度については鉛筆硬度を指標とすることにより安定的に評価することができ、基板に対する密着性・濡れ性については接触角を指標とすることにより安定的に評価できることを見出した。このような知見に基づいて鋭意検討した結果、鉛筆硬度を所定値以上とし、接触角を所定値以下とすることにより、アルマイト材と同等以上の耐食性を有する塗膜をトップコート層として用いることを見出し、本発明を完成するに至った。
Al系材料を含む金属基板の表面にトップコート層を形成するために用いる塗料組成物であって、
金属アルコキシドと、
溶媒と、
シリコン系表面調整剤と、を含み、
下記の手順Aに従って測定される当該塗料組成物の接触角が24°以下であり、下記の手順Bに従って測定される当該塗料組成物からなる塗膜の鉛筆硬度が7H以上である、塗料組成物が提供される。
(手順A)
液体試料として当該塗料組成物50μlを、評価基板である溶融亜鉛めっき鋼板の表面に滴下し、室温25°で滴下後1秒後において、前記液体試料の静的接触角(°)を測定する。前記静的接触角を上記の接触角とする。
(手順B)
当該塗料組成物を、前記Al系材料を含む金属基板に塗装し、塗膜を形成する。
JIS K 5600-5-4に準拠した鉛筆法により、前記塗膜の鉛筆硬度を測定する。
基板と、前記基板の表面にトップコート層と、を備えており、
前記トップコート層が、上記塗料組成物からなる塗膜で構成される、表面被覆基材が提供される。
また、本発明によれば、高絶縁性および高耐食性を兼ね備えており、硬度と柔軟性のバランスに優れた塗膜を実現できる塗料組成物を提供することができる。
本実施形態の塗料組成物は、基板の表面にトップコート層を形成するために用いる塗料組成物である。この塗料組成物は、金属アルコキシドと、溶媒と、を含むことができる。当該塗料組成物を測定基板に対して滴下したとき接触角を24°以下とすることができる。また当該塗料組成物からなる塗膜の鉛筆硬度を5H以上とすることができる。
本発明者による鋭意検討の結果、金属アルコキシドおよび溶媒を含む塗料組成物において、塗膜構造の緻密度については鉛筆硬度を指標とすることにより安定的に評価することができ、基板に対する密着性や濡れ性については接触角(表面張力)を指標とすることにより安定的に評価できることを見出した。このような知見に基づいて鋭意検討した結果、鉛筆硬度を所定値以上とし、接触角を所定値以下とすることにより、アルマイト材と同等以上の耐食性等の塗膜特性を有する塗膜をトップコート層として用いることが見出された。
以上より、本実施形態の塗料組成物からなる塗膜をトップコート層として備える表面被覆基材は、アルマイト材の代替材料として有効であり、多種多様な用途に展開することが可能である。
また、本実施形態の塗料組成物の塗膜形成プロセス(塗工処理)は、アルマイト(陽極酸化処理)と比べて簡単なプロセスとすることができる。このため、サプライチェーンの設計自由度をさらに高めることが可能である。
本実施形態の塗料組成物は、結合剤を含むことができる。この結合剤としては、金属アルコキシドを含むことができる。
上記シリコンアルコキシドは、ケイ素原子に直接結合するアルコキシ基を有するものであり、公知のシリコンアルコキシドを使用することができる。シリコンアルコキシドは、加水分解および重縮合することにより、ポリシロキサンになる。
上記ポリシロキサンとしては、上記シリコンアルコキシド由来の構造単位を有することができ、例えば、ポリジメチルシロキサンやポリフェニルシロキサン等のオルガノポリシロキサンを用いてもよい。
なお、シリコンアルコキシドを、予め酸またはアルカリの存在下もしくは非存在下で加水分解した加水分解物、該加水分解物をさらに熟成して重縮合した部分縮合物を使用することもできる。
上記金属微粒子は、例えば、微粒子状アルミナであり、精製アルミニウム塩の高温加水分解法で製造されたアルミナを用いることができる。微粒子状アルミナは、pH2~6の酸性水性分散液としたものを用いることもできる。
コロイド状アルミナ(金属コロイド)や微粒子状アルミナ(金属微粒子)は、例えば、平均粒径が5~200nm、好ましくは5~100nm、より好ましくは5~50nmのものである。
本実施形態の塗料組成物中において、上記固形物の含有量は、固形分換算で、例えば、10~50重量%、好ましくは20~40重量%である。
また塗膜中において、Al2O3成分の含有量は、固形物全体に対して、固形分換算で、例えば、10~45重量%、好ましくは15~40重量%とすることができる。
この中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含有するシリコン系表面調整剤を使用することができる。この上記シリコン系表面調整剤はn-オクタノール等の脂肪族アルコール(例えば、炭素数が6~20の脂肪族アルコール)を含有してもよい。
上記低沸点溶媒としては、例えば、メチルアルコール(64.7°C)、エチルアルコール(78.37℃)、イソプロピルアルコール(沸点82.4℃)などの低分子量アルコールが挙げられる。これにより、より低温環境下や乾燥環境下において塗膜を成膜することが可能になる。
本実施形態の補修方法は、基板の表面に対して、上記塗料組成物を用いて補修する補修工程を含むことができる。補修工程の実施前に、基板の表面を洗浄してもよい。塗膜を形成する方法は、上述の施工方法を利用することができる。たとえば、スプレー塗装を用いることにより、より簡便に補修を行うことが可能である。これにより、表面被覆基材の耐食性を維持することができる。
本実施形態の表面被覆基材は、図1(a)に示すように、基板10と、基板10の表面に形成された、塗料組成物からなる塗膜(トップコート層20)と、を備えることができる。
また、基板10の表面には、図1(b)に示すように、表面処理等によりベース層30が形成されていてもよい。ベース層30としては、例えば、防食皮膜を用いることができる。上記防食皮膜は、アルミニウムを含むAl製犠牲皮膜で構成されていてもよい。
このような場合、塗膜は、単層でもよく、異なる配合で形成された層が積層した多層でもよい。
本実施形態における鉛筆硬度は、たとえば、鉛筆法により測定することができる。
本実施形態の塗料組成物からなる塗膜において、繰り返し絶縁破壊試験を実施した後も、耐電圧機能が発揮されること、すなわち、繰り返しの絶縁破壊時における絶縁回復性(絶縁耐久性)という新規の塗膜特性が見出された。このような絶縁回復性は、アルマイト材には見られない特性である。細なメカニズムは定かでないが、塗膜中において、電圧終了後に電子分布の再配列が生じるために、絶縁破壊後に絶縁性が回復すると考えられる。
上記塗料組成物からなる塗膜に対して交流電圧を印加し、放電が生じた時の電圧を測定する耐電圧試験を5回繰り返し行い、1回目の絶縁破壊電圧をAとし、5回目の絶縁破壊電圧をBとしたとき、絶縁破壊電圧比率B/Aは、たとえば、0.5以上1.1以下であり、好ましくは0.6以上1.09以下であり、より好ましくは0.7以上1.08以下であり、さらに好ましくは0.8以上1.05以下である。これにより、絶縁回復性に優れた塗膜を実現することが可能である。
本実施形態におけるビッカース硬さは、たとえば、JIS B 7725に準拠し、マイクロビッカース試験機を用いて測定することができる。
上記金属基板としては、特に限定されないが、例えば、Al系材料、Mg系材料、Fe系材料、Ni系材料、Co系材料、Ti系材料、Cu系材料からなる群から選択される一種以上を含むことができる。また、上記セラミック基板として、セラミックス基複合材を用いてもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Fe系材料としては、各種の鉄鋼材料および鉄基合金を用いることができ、例えば、炭素鋼、合金鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、マンガン鋼、工具鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼、窒化鋼、肌焼鋼などが挙げられる。
Ni系材料としては、例えば、Ni基合金を用いることができる。
Co系材料としては、例えば、Co基合金を用いることができる。
上記のNi基合金、Co基合金、Fe基合金などの超合金や他の金属材料を用いる場合、これらは、公知の添加元素を1種または2種以上含有してもよい。
なお、セラミックス基複合材としては、SiC系やAl2O3系等のセラミックス基複合材が挙げられる。
このアルミニウム含有マグネシウム合金基材としては、マグネシウムを主成分とする合金であり、アルミニウムおよびその他の成分を含有することができる。このアルミニウム含有マグネシウム合金基材におけるマグネシウム(主成分)の含有率は、例えば、50質量%以上であり、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、一層好ましくは90質量%以上であり、一方、99質量%以下でもよく、95質量%以下でもよく、93質量%以下でもよい。これにより、軽量化、比強度、比剛性、振動吸収性、切削性、耐くぼみ性、寸法変化耐性、またはリサイクル性に優れた表面被覆基材が得られる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 基板の表面にトップコート層を形成するために用いる塗料組成物であって、
金属アルコキシドと、
溶媒と、を含み、
当該塗料組成物の接触角が24°以下であり、当該塗料組成物からなる塗膜の鉛筆硬度が5H以上である、塗料組成物。
2. 1.に記載の塗料組成物であって、
当該塗料組成物からなる塗膜に対して交流電圧を印加し、放電が生じた時の電圧を測定する耐電圧試験を5回繰り返し行い、1回目の絶縁破壊電圧をAとし、5回目の絶縁破壊電圧をBとしたとき、絶縁破壊電圧比率B/Aが0.5以上1.1以下である、塗料組成物。
3. 1.または2.に記載の塗料組成物であって、
当該塗料組成物からなる塗膜のビッカース硬さが、15Hv以上200Hv以下である、塗料組成物。
4. 1.から3.のいずれか1つに記載の塗料組成物であって、
前記塗料組成物が界面活性剤をさらに含む、塗料組成物。
5. 4.に記載の塗料組成物であって、
前記界面活性剤がシリコン系界面活性剤を含む、塗料組成物。
6. 1.から5.のいずれか1つに記載の塗料組成物であって、
前記塗料組成物が無機微粒子をさらに含む、塗料組成物。
7. 6.に記載の塗料組成物であって、
前記無機微粒子が、アルミナ、窒化ホウ素、ジルコニア、マイカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、シリカ、コージライトおよび無機顔料からなる群から選択される一種以上を含む、塗料組成物。
8. 1.から7.のいずれか1つに記載の塗料組成物であって、
前記金属アルコキシドが、シリコン、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムからなる群から選択される一種以上を含む、塗料組成物。
9. 1.から8.のいずれか1つに記載の塗料組成物であって、
クロムを含有しない、塗料組成物。
10. 1.から9.のいずれか1つに記載の塗料組成物であって、
前記基板は、金属基板を含む、塗料組成物。
11. 10.に記載の塗料組成物であって、
前記金属基板は、Al系材料、Mg系材料、Fe系材料、Ni系材料、Co系材料、Ti系材料、Cu系材料からなる群から選択される一種以上で構成される、塗料組成物。
12. 基板と、前記基板の表面にトップコート層と、を備えており、
前記トップコート層が、1.から11.のいずれか1つに記載の塗料組成物からなる塗膜で構成される、表面被覆基材。
[実施例1]
結合剤として、60gのバインダ液(日研株式会社製、セラミカG-92-6:ポリシリコンアルコキシドを主成分とする2液タイプのバインダ液。主剤:3に対し、硬化剤:2の割合で混合し、乾燥固化すると約20重量%の固化物になり、固化物はガラス質で、約20重量%のアルミナを含む。)に対して、無機微粒子として、40gの下記の白スラリー1(スラリー濃度25重量%)および、シリコン系表面調整剤として、0.5gのBYK-345を加え、約1分間混合して、塗料組成物を得た。
白スラリー1:無機微粒子(アルミナ、平均粒径D50:0.02μm、真球状)25重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、沸点121℃)73.5重量部、および分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk-111)1.5重量部を混合し、ボールミルで分散処理し、白スラリー1(スラリー濃度25重量%)を得た。
シリコン系表面調整剤を使用しない以外は、実施例1と同様にして、塗料組成物を得た。
実施例、比較例において得られた塗料組成物を、下記の基板1にスプレー塗装して(塗装ブース内の気温は20℃で湿度は55%)、塗布膜を得た。続いて、塗布膜に対して、150℃で30分加熱処理を実施して、基板1の表面に、トップコート層である塗膜(シリカ皮膜、膜厚:10μm)を形成して、表面被覆基材を得た。
基板1:アルミニウム合金板(パルテック製、1mm厚、70mm×150mm、製品名:A6061P、Al-Mg-Si系)
比較例2の表面被覆基材として、アルミニウム基板の表面に陽極酸化処理して陽極酸化皮膜(アルマイト皮膜)を形成したアルマイト材(パルテック製、1mm厚、70mm×150mm、製品名:A6061P(アルマイト有り)、Al-Mg-Si)を使用した。
アセトンによって表面を洗浄した後、溶融亜鉛めっき鋼板(SGCC材)の表面上に、50μlの得られた塗料組成物(液体試料)を滴下し、室温25℃で滴下後1秒後における、その側面から液体試料の接触角を観察し、静的接触角(接触角)を測定した。単位は°である。
実施例1は20°、比較例1は25°であった。
JIS K 5600-5-4に準拠した鉛筆法により、表面被覆基材における塗膜の鉛筆硬度を測定した。
実施例1は8H、比較例1は8H、比較例2(アルマイト材)は9Hであった。
準備した表面被覆基材について、JIS Z2371に準拠し、24h~1008hまで連続塩水噴霧試験を実施した。下記の基準に基づいて評価を実施した。
○:腐食が無く、良好である。
△:変色やわずかな腐食があるが、実用上は問題がない程度のレベルである。
×:腐食面積が1%以上であり、実用上の問題がある。
下記の板状の試験片を平行平板電極(真鍮製平板電極)間に配置し、耐圧試験器(HIOKI社製、耐圧試験器3158)を用い、交流電圧源(50Hz)の電圧を印加し、試験片の表面で放電が生じた時の電圧(実行値)を、絶縁破壊電圧として測定した(耐電圧試験)。同じ試験片に対して、繰り返し5回の耐電圧試験を行い、各回の絶縁破壊電圧(kV)を測定した。
なお、1回目の絶縁破壊電圧をA(kV)とし、5回目の絶縁破壊電圧をB(kV)としたとき、絶縁破壊電圧比率B/Aとする。
また、得られた塗料組成物を基板にスプレー塗装して、20μm、40μm、60μmの所定膜厚を備える塗膜を作成し、かかる塗膜のそれぞれを板状の試験片として使用した。比較例2のアルマイト材を板状の試験片として使用した。
評価結果を図2に示す。図2中、横軸は測定回数、縦軸は絶縁破壊電圧(kV)を表す。
準備した表面被覆基材の表面に対して、JIS B 7725に準拠し、マイクロビッカース試験機(明石社製、製品名:マイクロビッカース硬度計)を用いて、荷重0.01、0.025、0.05、0.1、0.2、0.5、1kg、加重時間30秒の条件にて、四角錐形状の圧子を荷重することで圧痕をつけ、該圧痕の表面積(mm2)で試験荷重(kg)を割ることにより、ビッカース硬さ(Hv)を算出した。下記のビッカース硬さ(Hv)は、荷重0.01、0.025、0.05、0.1、0.2、0.5、1kgの各々で算出された値の平均値とした。
また、光学顕微鏡を用いて圧痕の外観を観察した。
ビッカース硬さの算出式=1.854×F/(d1×d2)
F:試験荷重(kg)
d1、d2:圧痕の四角錐形状における2つの対角線長さ(mm)
比較例2のアルマイト材において、ビッカース硬さは140Hvであったが、圧痕の周囲にひび割れが発生し、圧子の引き抜き時に圧痕が変化しないことが観察された。
このため、実施例1の塗料組成物は、比較的に硬い塗膜構造ながらも、ひび割れが発生せず柔軟性に優れた塗膜構造、すなわち硬度と柔軟性のバランスに優れた塗膜構造を実現できることが判明した。したがって、実施例1の塗料組成物は、耐変形性塗料組成物として好適に用いることができる。
準備した表面被覆基材に対して、JIS K 7350-2 1995に規定の暴露試験方法に準拠し、水冷式キセノンアークランプ式耐候性試験機(スガ試験機社製、製品名:低温サイクルキセノン・サンシャインロングライフウェザーメーター)を用い、照射照度60±3W/m2、ブラックパネル温度63℃、噴霧水量3150±150ml/min、噴霧圧0.8~1.2kgf/cm2の条件にて、促進耐候性試験を実施した。基材表面の塗膜の目視で観察し、耐候性を評価した。
準備した表面被覆基材(試料寸法:100mm×100mm角、試料膜厚:10μm)に対して、テーバー摩耗試験機(東洋精機製作所社製、製品名:TABER型)を用いて、摩耗輪:CS-10、回転速度:60rpm、回転数:1000回、荷重:0.25kf、または0.5kfの条件にて、摩耗量(mg)を測定した。
試験サンプルは、次のようにして準備した。縦×横×厚み:150mm×70mm×1mmの鋼板(評価用TP)に対して、実施例1と同様にして表面に皮膜(シリカ皮膜)を形成したもの(試験サンプル1)を作製した。試験サンプル2として、比較例2のアルマイト材を使用した。
(1)噴霧試験
試験サンプル1、2の表面の3カ所の各々に、液濃度が異なる1M、2M、3Mの溶液の蒸気を6時間曝露し、外観を観察した。この噴霧試験を、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウムのそれぞれの溶液を使用して実施した。
比較例2の試験サンプル2において、1Mの塩酸:わずかな変色あり、2M、3Mの塩酸:乾燥しない油状の生成物が発生した、1Mの硝酸:変色なし、2M、3Mの硝酸:広範囲で変色あり、1M、2M、3Mの水酸化ナトリウム:変化なし、の結果を示した。
試験サンプル1、2の表面の3カ所の各々に、液濃度が異なる1M、2M、3Mの溶液の液滴50μlを滴下し、乾燥させた後、外観を観察した。この噴霧試験を、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウムのそれぞれの溶液を使用して実施した。
比較例2の試験サンプル2において、1M、2M、3Mの塩酸:広範囲で変色した、1M、2M、3Mの硝酸:液滴が簡単に広がり、広範囲で変色し、油状の生成物が発生した、1M、2M、3Mの水酸化ナトリウム:液滴が簡単に広がり、広い範囲で変色し、白粉状の生成物が発生した、の結果を示した。
20 トップコート層
30 ベース層
Claims (10)
- Al系材料を含む金属基板の表面にトップコート層を形成するために用いる塗料組成物であって、
金属アルコキシドと、
溶媒と、
シリコン系表面調整剤と、を含み、
下記の手順Aに従って測定される当該塗料組成物の接触角が24°以下であり、下記の手順Bに従って測定される当該塗料組成物からなる塗膜の鉛筆硬度が7H以上である、塗料組成物。
(手順A)
液体試料として当該塗料組成物50μlを、評価基板である溶融亜鉛めっき鋼板の表面に滴下し、室温25°で滴下後1秒後において、前記液体試料の静的接触角(°)を測定する。前記静的接触角を上記の接触角とする。
(手順B)
当該塗料組成物を、前記Al系材料を含む金属基板に塗装し、塗膜を形成する。
JIS K 5600-5-4に準拠した鉛筆法により、前記塗膜の鉛筆硬度を測定する。 - 請求項1に記載の塗料組成物であって、
下記の手順に従って測定される、1回目の絶縁破壊電圧をAとし、5回目の絶縁破壊電圧をBとしたとき、絶縁破壊電圧比率B/Aが0.5以上1.1以下である、塗料組成物。
(手順)
当該塗料組成物を基板に塗装し、所定膜厚の塗膜を作成し、これを板状の試験片として使用する。
前記板状の試験片を、平行平板電極間に配置し、耐圧試験器を用い、交流電圧源(50Hz)の電圧を印加し、前記板状の試験片の表面で放電が生じた時の電圧を、絶縁破壊電圧として測定する。
同じ前記板状の試験片に対して、繰り返し5回の耐電圧試験を行い、上記1回目の絶縁破壊電圧および上記5回目の絶縁破壊電圧(kV)を測定する。 - 請求項1または2に記載の塗料組成物であって、
当該塗料組成物からなる塗膜のビッカース硬さが、15Hv以上200Hv以下である、塗料組成物。 - 請求項1~3のいずれか一項に記載の塗料組成物であって、
前記シリコン系表面調整剤が、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、および/または脂肪族アルコールを含有する、塗料組成物。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の塗料組成物であって、
前記塗料組成物が無機微粒子をさらに含む、塗料組成物。 - 請求項5に記載の塗料組成物であって、
前記無機微粒子が、アルミナ、窒化ホウ素、ジルコニア、マイカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、シリカ、コージライトおよび無機顔料からなる群から選択される一種以上を含む、塗料組成物。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の塗料組成物であって、
前記金属アルコキシドが、シリコン、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムからなる群から選択される一種以上を含む、塗料組成物。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の塗料組成物であって、
クロムを含有しない、塗料組成物。 - 基板と、前記基板の表面にトップコート層と、を備えており、
前記トップコート層が、請求項1から8のいずれか1項に記載の塗料組成物からなる塗膜で構成される、表面被覆基材。 - 請求項1~8のいずれか一項に記載の塗料組成物を、Al系材料を含む金属基板の表面に塗布する工程を含む、施工方法。
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