JP2008180754A - 光学シート、及び該光学シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 透明性や平滑性、光学特性に優れているうえ、曲げ性が良好で、さらなる軽量化や低コスト化が実現可能な光学シート、及び該光学シートの製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも、活性エネルギー線硬化性組成物8を架橋した(メタ)アクリレート樹脂層7と、無機質層9と、が積層されてなることを特徴とする。このとき、無機質層9が、ガラス繊維に活性エネルギー線組成物8を含浸させたものであることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、透明性や平滑性に優れているうえ、曲げ性が良好で、さらなる軽量化や低コスト化が実現可能な光学シート、及び該光学シートの製造方法に関する。
表示素子用(透明)基板としては、耐熱性や耐薬品性、表面硬度、光学的等方性、低吸水性などが要求されるため、従来、ガラス基板が用いられていた。
しかし、ガラスは、割れやすい、重い、薄型化困難などの欠点があるため、近年のディスプレイの薄型・軽量化やフレキシブルディスプレイのニーズに伴い、このガラスの代替として、薄型で且つ軽量の透明樹脂製の基板が多く用いられている。
しかしながら、一般的な樹脂材料はガラスに比べて線膨張係数が大きいため、表示素子製造におけるITO電極膜蒸着工程での寸法変化が大きく、そのような透明樹脂製の基板ではガラス代替としての使用に問題があった。
そこで、樹脂の線膨張係数を低減するために、樹脂にガラス繊維等を複合化することが提案されてきている。
例えば、特許第3728441号には、図2に示すような、透明樹脂(アクリレート樹脂またはエポキシ樹脂)28とガラスフィラー29とからなる透明複合体組成物2が提案されている。
しかし、該透明複合体組成物2を構成する透明樹脂28のガラス転移温度は150℃以上であり、またこの組成物2から得られる光学シートのガラス転移温度は200℃以上(実施例参照)であることから、脆く、曲げ性に問題があった。
また、特開2004−307851には、図3に示すような、透明樹脂及びガラス繊維からなるシートAの少なくとも片面に薄い有機コート層c(1〜30μm程度)を積層することでガラス繊維由来の表面凹凸を低減化した光学シート3が提案されている。
しかし、有機コート層cの積層には、シートAの表面上に塗布・成膜させる別工程を要し、この有機コート層cを構成する樹脂のガラス転移温度も150℃以上であることから、上記先提案と同様、脆さや曲げ性の問題を解決できるものではない。
特許第3728441号公報 特開2004−307851公報
本発明の目的は、透明性や平滑性、光学特性に優れているうえ、曲げ性が良好で、さらなる軽量化や低コスト化が実現可能な光学シート、及び該光学シートの製造方法を提供することにある。
本発明は、以下を要旨とする。
(1)少なくとも、活性エネルギー線硬化性組成物を架橋した(メタ)アクリレート樹脂層と、無機質層とが積層されてなることを特徴とする光学シート。
(2)無機質層が、ガラス繊維に活性エネルギー線硬化性組成物を含浸させたものであることを特徴とする前記(1)に記載の光学シート。
(3)前記(1)または(2)に記載の光学シートの製造方法であって、活性エネルギー線硬化性組成物を含浸させた無機質層と、活性エネルギー線硬化性組成物層とを積層し、該活性エネルギー線硬化性組成物層側から活性エネルギー線を照射することを特徴とする光学シートの製造方法。
本発明の光学シートは、活性エネルギー線による硬化が短時間で達成可能な活性エネルギー線硬化性組成物を架橋した透明(メタ)アクリレート樹脂層と薄い無機質層とからなる。この積層構成により、軽量で、曲げ性や透明性、平滑性に優れた光学シートを低コストで容易に製造することができる。
よって、このような光学シートを表示素子用樹脂基板などに応用することで、液晶表示素子等の製造工程の簡素化および歩留まり向上に貢献でき、産業上の利用価値は極めて大きい。
本発明の光学シートの一実施形態を、図1により説明する。
図1において、光学シート1は、少なくとも、活性エネルギー線硬化性組成物8を架橋した(メタ)アクリレート樹脂層7と、無機質層9と、が積層されてなる。
本実施形態では、無機質層9の両側に、活性エネルギー線硬化性組成物8を架橋した(メタ)アクリレート樹脂層7を積層させた場合を示しているが、無機質層9の片側のみに樹脂層7を積層させてもよいし、得られる光学シート1の実用的な厚みを超えない範囲で(メタ)アクリレート樹脂層と無機質層とを交互に何層か積層させてもよく、本発明の光学シートにおける積層形態に何ら制限はない。
本発明の光学シート1において、(メタ)アクリレート樹脂層7と無機質層9との層比は、9:1〜1:9が好ましく、特に、2:1〜5:1(すなわち、(メタ)アクリレート樹脂層7が無機質層9の2〜5倍の厚みをもつもの)が、曲げ性とガラス含有率とのバランスが取れているのでより好ましい。
このように、本発明の光学シート1は、極薄の無機質層9に軟質な樹脂層7を積層させる構成とすることで、先提案の光学シート(例えば、図2に示すような、得られるシート2と同じ厚みのガラス織布29に樹脂28を含浸させたもの;図3に示すような、シートAの表面に薄くガラス転移温度の高い樹脂層cをコーティングさせたもの等)に比べて、平滑性や曲げ性を向上できるうえ、しかも、光学シート中のガラス含有率を大幅に下げられるため、さらなる軽量化や低コスト化が実現できる。
無機質層9を構成する無機質材料としては、ガラス繊維(ガラス織布、ガラス不織布、ガラス編布など)、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ミドルガラスなどが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができ、これらガラスの種類としては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、石英ガラスなどが挙げられる。
上記の中でも、得られる光学シート1の薄肉化や軽量化、コスト削減の観点から、厚みが30μm以下、より好ましくは20μm以下のガラス織布、不織布、編布等のガラス繊維が適しており、このような織布、不織布、編布においては2枚以上積層して使用することもできる。
図1は、無機質層9を構成する無機質材料の全体に活性エネルギー線硬化性組成物8を含浸させた場合を示しているが、本発明では、無機質材料の少なくとも片面の表面近傍部に活性エネルギー線硬化性組成物8を含浸させてもよく、あるいは、無機質層9を無機質材料のみから構成してもよい。
図1に示される無機質層9は、(メタ)アクリレート樹脂層7との接着(密着)をよくするために、注型法、流延法、含浸法、塗工法等の従来公知の方法で、上記無機質材料間に(メタ)アクリレート樹脂層7と同種の活性エネルギー線硬化性組成物(樹脂液)8を存在させたものである。なお、該無機質材料の少なくとも片面の表面近傍部(または全体)に樹脂8を含浸させた無機質層9の厚みについても、30μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下である。
図1に示すような無機質層9を構成する無機質材料間に活性エネルギー線硬化性組成物8を存在させるには、例えば、ガラス繊維などの無機質材料からなる無機質層の少なくとも片面の表面近傍部(または全体)に、(メタ)アクリレート樹脂層7と同種の活性エネルギー線硬化性組成物8を含浸させたり、(メタ)アクリレート樹脂層7と同種の活性エネルギー線硬化性組成物8に、ガラスビーズやガラスパウダーなどを分散させて層形状にしてもよい。
このとき、含浸させる活性エネルギー線硬化性組成物8の量は、例えば、ガラス織布(不織布、編布)に対し90〜1重量%、好ましくは70〜30重量%であり、活性エネルギー線硬化性樹脂8に対するガラスビーズ(パウダー)の含有量は、1〜90重量%、好ましくは30〜70重量%である。
本発明の光学シート1を製造するには、図1に示す態様のような、活性エネルギー線硬化性組成物8を含浸させた無機質層9と、活性エネルギー線硬化性組成物層とを積層し、該活性エネルギー線硬化性組成物層側から活性エネルギー線を照射し、硬化させる方法が好適である。
無機質層の一部(または全体)に、(メタ)アクリレート樹脂層7と同種の活性エネルギー線硬化性組成物(樹脂液)8を存在(含浸)させたものは、樹脂の架橋(硬化)と積層一体化とを同時にかつ確実に達成できるため、製造コストの低下や、生産効率の向上、製造工程数の減少により成形体の歪発生等が抑制されて光学特性を向上させるなどの効果を得ることができる。すなわち、前述の従来方法(図3では、有機コート層cを積層するにあたり、シートAの表面上に塗布・成膜させる別工程を要する≪特許文献2参照≫)などに比べて、容易かつ低コストで光学シートを得ることができる。
本発明の光学シート1において、(メタ)アクリレート樹脂層7と無機質層9とを積層させる方法については、特に限定されないが、例えば、
ア)無機質層9上に、活性エネルギー線硬化性組成物8をダイコーター、ドクターナイフコーター、ロールコーターなどを用いた塗工法や押出し法にて積層させ、活性エネルギー線を照射し架橋させる、
イ)無機質層9上に、活性エネルギー線硬化性組成物8をキャスティング法や流延法にて積層させ、活性エネルギー線を照射し硬化させる、
ウ)活性エネルギー線硬化性組成物8のみを予め層とし、これを硬化(フィルム化)し(メタ)アクリレート樹脂層7を形成した後、該樹脂層(フィルム)7に無機質層9を積層させ、活性エネルギー線を照射し硬化させる、
等が挙げられる。
なお、無機質層9を無機質材のみから構成する場合では、樹脂層7と無機質層9との接着(密着)を向上させるために、接着剤などを樹脂層7と無機質層9との間に塗布してもよい。
上記の方法のうち、活性エネルギー線硬化性組成物8を予め層としたフィルムを用いる場合(ウ)において、フィルムの成形法については特に限定されないが、例えば、連続して定速駆動する工程用離型フィルム・ベルト・ロール上に十分混合分散した該組成物を定量供給して表面張力や加熱、加圧効果によりフィルム状に賦形し、活性エネルギー線を照射して硬化させ、離型フィルム・ベルト・ロールを剥離してフィルムを成形すればよい。
そして、本発明の光学シート1は、この得られたフィルムを片側もしくは両面に用いて、該組成物を含浸させた無機質層9をロール、プレス等で積層した後に、該フィルム側から活性エネルギー線を照射して硬化することにより形成される。
無機質層9の屈折率と(メタ)アクリレート樹脂層7の屈折率との差は、+0.01〜−0.01であることが好ましく、より好ましくは+0.005〜−0.005である。
屈折率差がこの範囲から外れると、得られる光学シート1の透明性が劣る傾向がある。
無機質層9の屈折率と(メタ)アクリレート樹脂層7の屈折率とを調整する方法としては、(i)活性エネルギー線硬化性組成物を構成する材料を調整して硬化物の屈折率を無機質層の屈折率に適合させる方法と、(ii)無機質層の屈折率を硬化物の屈折率に適合させる方法とがあるが、前者(i)のほうが調整の簡便さとコストの面から好ましく、具体的には、無機質層よりも屈折率の高い樹脂と無機質層よりも屈折率の低い樹脂を組み合わせることにより硬化物の屈折率をEガラスなどの汎用ガラスに適合させることができる。
このため、無機質層9の屈折率(nd 25)は、1.5〜1.6の範囲内が好ましい。
無機質層9の屈折率が1.5未満もしくは1.6より大きいと、(メタ)アクリレート樹脂層7の屈折率を無機質層の屈折率に適合させたときに、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化収縮率や硬化物の靱性、耐熱性等とのバランスをとるのが困難になる。
本発明の(メタ)アクリレート樹脂層7は、活性エネルギー線による硬化性をもつ汎用的なアクリレート樹脂を架橋したものであればよい。
活性エネルギー線による硬化性をもつ汎用的なアクリレート樹脂は比較的低屈折率であり、多くは1.53以下である。
前述のように、(メタ)アクリレート樹脂層7の屈折率と無機質層9の屈折率とを適合させる(すなわち、樹脂層7の屈折率を大きくする)ためには、樹脂層7を構成する化合物の分子容を小さくし、分子屈折を高める設計をすればよく、具体的な方策としては、芳香族、フッ素以外のハロゲン類、イオウ、脂環式構造、金属等を単独または組み合わせて分子中に導入する等の方法が挙げられる。そのような高屈折(メタ)アクリレート化合物としては、p-クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフト−1−オキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルバゾル−9−イルエチル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化o-フェニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF EO変性ジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス〔4−((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、p−クロロフェニル(メタ)アクリレート、p−ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、フェニルチオ(メタ)アクリレート、p-クロロフェニルチオ(メタ)アクリレート、p−ブロモフェニルチオ(メタ)アクリレート、p-(4-メトキシフェニルチオ)フェノキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン-2-チオ(メタ)アクリレート、ビス(4-(メタ)アクリロイルチオフェニル)サルファイド、ビス((メタ)アクリロイルチオエチル)-p-キシリルサルファイド、亜鉛含有ジアクリレート等を例示できる。分子末端の(メタ)アクリレート基はエポキシ(メタ)アクリレート基やウレタン(メタ)アクリレート基変性してもよい。これらのアクリレート化合物の中から1種類、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。上記の中でも、速硬化性、硬化物の透明性や耐熱性、コスト面においてバランスが良好で、硬化物に適度な硬度と靱性を付与出来ることから、ビスフェノールAエポキシアクリレート、ビスフェノールAエポキシジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
さらに、活性エネルギー線硬化性組成物の屈折率調整の他に、硬化性や粘度および硬化物の耐熱性、硬度など諸物性を調整するために、上記以外の(メタ)アクリレート化合物、すなわち、屈折率1.53以下の脂肪族、脂環族、芳香族などの(メタ)アクリレートモノマーや、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマーを任意で添加することができる。これらは1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
ただし、これらの屈折率1.53以下の(メタ)アクリレート化合物の使用に際しては、前述したように(メタ)アクリレート樹脂層7と無機質層9との屈折率差が±0.01以下、好ましくは±0.005以下を維持する範囲内で配合することが好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物8においては、(メタ)アクリレート化合物以外の成分として、他の光硬化性のオリゴマー・モノマーや光開始剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、熱可塑性樹脂等が硬化や透明性、耐熱性等の物性に効果的かつ支障とならない範囲で添加できる。
特に、活性エネルギー線として紫外線照射を応用する場合、光開始剤は必須であり、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系、及びパーオキシド系等が制限なく使用できる。この光開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等を例示することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
光開始剤の量は、組成物の硬化性等に応じて適宜調整されるが、典型的には本発明の活性エネルギー線硬化性組成物100質量部に対して、1〜10重量部である。
以上のような活性エネルギー線硬化性組成物8を架橋させ(メタ)アクリレート樹脂層7とする方法としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等の方法を単独もしくは組み合わせて用いることができるが、短時間かつ比較的容易に硬化達成可能なことから、紫外線硬化を用いることが好ましい。
また、活性エネルギー線硬化性組成物8を架橋させた(メタ)アクリレート樹脂層7のガラス転位温度については、60〜90℃であることが好ましい。
ガラス転位温度が低すぎると、硬化層が軟質すぎるため撓みが発生しやすく、当該(メタ)アクリレート樹脂層7を用いて成形した光学シート1の平坦性が損なわれやすい。高すぎると、光学シート1における樹脂層7と無機質層9との間で熱応力歪みによる剥離が生じやすくなるうえ、曲げ性が低下し脆くなりやすい。
本発明では、活性エネルギー線によるラジカル重合を行った後、硬化物を加熱することにより重合反応の完結及び重合時に発生する内部歪を低減することも可能である。加熱温度は、硬化物の組成やガラス転移温度に合わせて適宜選択されるが、過剰な加熱は硬化物の色相悪化をもたらすため、ガラス転移温度付近かそれ以下の温度が好ましい。
本発明の光学シート1を、表示素子用樹脂基板等の光学用途として用いる場合は、波長550nmの光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であるのがより好ましい。
光線透過率が低すぎると、光の利用効率が低下し光効率が重要な用途には好ましくない。
本発明の光学シート1を、表示素子用樹脂基板等の光学用途として用いる場合は、30〜150℃における平均線膨張係数が30ppm以下であることが好ましく、より好ましくは20ppm以下である。
この上限値を越えると、表示素子用樹脂基板の製造工程において反りや配線の断線などの問題が生じる恐れがある。
本発明の光学シート1の厚さは、用途に応じて適宜選定すればよいが、良好な光学特性を有する表示素子用樹脂基板などを、高い厚さ精度で得るためには、22.5μm以上とすればよい。
実施例1
ビスフェノールA エポキシアクリレート(硬化後の屈折率:1.572)50重量部、ビスフェノールF EO(2mol)変性ジアクリレート(硬化後の屈折率:1.566)30重量部、ヘキサンジオールジアクリレート(硬化後の屈折率:1.528)20重量部、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)1重量部を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性組成物(架橋後の屈折率:1.561)を調製した。
図4(A)に示すように、調製した硬化性組成物48を、巻物から巻き出された厚さ250μmの光学用の平滑性に優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム43面に、25℃の温度条件下、250mm幅のダイコーターにて85μmの厚さに塗布し、紫外線をメタルハライドランプで1J/cm2の照度で照射して硬化させて巻き取り、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム43を工程用離型フィルムとして積層したフィルム((メタ)アクリレート樹脂層)47を得た。
さらに、この(メタ)アクリレート樹脂層47上と、樹脂層47と同様にして得られた(メタ)アクリレート樹脂層47'上とに、それぞれダイコーターを用いて硬化性組成物48を10μmの厚さに塗工した。
次に、図4(B)に示すように、20μmのEガラス系ガラスクロス49(屈折率:1.56)を、硬化性組成物48を各々塗工した樹脂層47,47'で挟んでロールでニップした(なお、樹脂層47,47’上に10μmずつの厚さに塗工された硬化性組成物48,48のうち、各5μm程度がガラスクロス49に浸透されることとなる)。そして、工程用離型フィルム43,43’を介して両面から紫外線を高圧水銀ランプで1J/cm2の照度で照射し、硬化後、工程用離系フィルム43,43’を剥離して、厚さ200μmの光学シート4を得た。
実施例2
(メタ)アクリレート樹脂層47,47’の各厚みを30μmとした以外は、実施例1と同様にして、光学シートを得た。
比較例1
実施例1で調製した硬化性組成物、ガラスクロスを用いて、図2に示すような厚さ200μmの光学シートを得た。
比較例2
エポキシ樹脂からなる有機コート層と、実施例1で調製した硬化性組成物、ガラスクロスを用いて、図3に示すような厚さ200μmの光学シートを得た。
上記の実施例及び比較例にて作製した光学シートについて、下記の評価方法により各種の特性を測定した。この結果を表1に示す。
(評価方法)
<光線透過率>
得られた透明複合体の波長550nmにおける光線透過率を測定し、光線透過率80%以上を○、80%未満を×と評価した。
<平均線膨張係数>
セイコー電子(株)製 “TMA/SS120C型”熱応力歪測定装置を用いて、窒素の存在下、荷重を5gにし、引張モードにて得られた透明複合体を1分間に2℃の割合で温度を20℃から200℃まで上昇させて10分間保持した後、1分間に2℃の割合で温度を20℃まで冷却し、30℃〜150℃の時の値を測定して求めた。測定結果について、線膨張係数30ppm未満を○、30ppm以上を×と判定した。
<曲げ性>
作製したシートを5cm×15cmの試験片とし、対向する5cmの2辺を接触させたとき、シートにひびが生じるものを×、生じないものを○と判定した。
<平滑性>
作製したシートの表面形状について、表面粗さ測定器(小阪研究所製“サーフコーダET4000AK”)を用いて測定するとともに三次元表面粗さ形状解析ソフト“TDA−22”を用いて解析した。
表面形状の測定条件は、触針の送り速さを0.5mm/s、送りピッチを10μm、ライン数101、Z倍率を50000倍とした。この際、測定面の中心点平均粗さRaが10nm以下のものを○、10nmを超えるものを×と判定した。
Figure 2008180754
本発明の光学シートは、軽量で、透明性や光学特性に優れているうえ、平滑性や曲げ性が良好である。また、低コストで容易に製造できるものである。
このような本発明の光学シートは、表示素子用樹脂基板などの製品に好適に使用され得る。
本発明の光学シートの一実施形態を示す断面図であり、無機質層を構成する無機質材料に活性エネルギー線硬化性組成物を含浸させた場合を示す。 従来の光学シートの一実施形態を示す断面図である。 従来の光学シートの他の実施形態を示す断面図である。 本発明の光学シートの製造方法の一例についての説明図である。
符号の説明
1、4 本発明の光学シート
2、3 従来の光学シート
28 樹脂
29 ガラスフィラー
43、43’ 工程用離型フィルム
7、47、47’ (メタ)アクリレート樹脂層
8、48 活性エネルギー線硬化性組成物
9、49 無機質層
A 透明樹脂とガラス繊維からなるシート
c 有機コート層

Claims (3)

  1. 少なくとも、
    活性エネルギー線硬化性組成物を架橋した(メタ)アクリレート樹脂層と、
    無機質層と、
    が積層されてなることを特徴とする光学シート。
  2. 無機質層が、ガラス繊維に前記活性エネルギー線硬化性組成物を含浸させたものであることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
  3. 請求項1または2に記載の光学シートの製造方法であって、
    活性エネルギー線硬化性組成物を含浸させた無機質層と、活性エネルギー線硬化性組成物層とを積層し、該活性エネルギー線硬化性組成物層側から活性エネルギー線を照射することを特徴とする光学シートの製造方法。
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