JP2008150547A - 透明複合体、及びその製造方法、並びに該透明複合体からなる表示素子用樹脂基板 - Google Patents

透明複合体、及びその製造方法、並びに該透明複合体からなる表示素子用樹脂基板 Download PDF

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Abstract

【課題】 寸法変化や厚みムラが小さく、透明性や光学特性に優れているうえ、さらなる低コスト化が実現可能な透明複合体、及び該透明複合体を用いて形成された表示素子用樹脂基板を提供する。
【解決手段】 ビスフェノール骨格をもつアクリレートを含み、25℃における粘度が100,000cps以下、硬化収縮率が10%以下である活性エネルギー線硬化性組成物8と、無機質材9とからなる透明複合体1とし、この透明複合体1を用いて表示素子用樹脂基板とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、寸法変化や厚みムラが小さく、透明性に優れた透明複合体、及びその製造方法に関する。また、本発明は、このような透明複合体を用いて形成された表示素子用樹脂基板に関する。
表示素子用(透明)基板としては、耐熱性や耐薬品性、表面硬度、光学的等方性、低吸水性などが要求されるため、従来、ガラス基板が用いられていた。
しかし、ガラスは、割れやすい、重い、薄型化困難などの欠点があるため、近年のディスプレイの薄型・軽量化やフレキシブルディスプレイのニーズに伴い、このガラスの代替として、薄型で且つ軽量の透明樹脂製の基板が多く用いられている。
例えば、特開平7−52271号には、ビスフェノールA骨格を主成分として共重合させたポリカーボネート樹脂からなるディスプレイ用基板が記載されている。
また、特開平6−337408号には、エポキシ樹脂、酸無水物系硬化剤及び硬化触媒を含むエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化体からなる液晶表示素子用透明樹脂基板が記載されている。
しかしながら、キャスティング法によるポリカーボネートは、行程に手間がかかるうえ溶剤を多く必要とするためVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)放散の観点からも好ましくない。また、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂は、耐熱性を改良したものは脆く、自立したシートを得ることが困難になる。
しかも、押出し法による高耐熱性熱可塑性樹脂のシート成形では、成形温度が高く、連続的に生産すると厚みムラや光学的な歪みが起こり易いうえ、これら樹脂材料はガラスに比べて線膨張係数が大きいため、表示素子製造におけるITO電極膜蒸着行程での寸法変化が大きく、これら先提案の透明樹脂製の基板ではガラス代替としての使用に問題があった。
そこで、樹脂の線膨張係数を低減するために、樹脂にガラス繊維等を複合化することが提案されてきている。
例えば、特開平6−305077号には、環状オレフィン系樹脂とガラス繊維とからなる透明樹脂の積層体が記載されている。
しかし、該公報の実施例に記載されるような積層体の製造方法≪環状オレフィン系樹脂シートで、この環状オレフィン系樹脂の溶液を予め塗布(コーティング)したガラス織布をサンドイッチ状に挟み込み、再び高温でプレスする≫では、工程が煩雑なうえ低コストで生産することは困難であった。
特開平7−52271号公報 特開平6−337408号公報 特開平6−305077号公報
本発明の目的は、寸法変化や厚みムラが小さいうえ、線膨張係数が小さく、透明性や光学特性に優れた透明複合体、及び容易かつ低コストなその製造方法を提供することである。さらに、このような透明複合体を用いて形成された表示素子用樹脂基板を提供することである。
本発明は、以下を要旨とする。
(1)ビスフェノール骨格をもつアクリレートを含み、25℃における粘度が100,000cps以下、硬化収縮率が10%以下である活性エネルギー線硬化性組成物と、無機質材とからなる透明複合体。
(2)前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物のガラス転移温度が60〜90℃であることを特徴とする前記(1)に記載の透明複合体。
(3)前記無機質材が、厚さ30μm以下のガラス繊維であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の透明複合体。
(4)前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物と前記無機質材との屈折率差が+0.01〜−0.01であることを特徴とする前記(1)〜(3)の何れかに記載の透明複合体。
(5)波長550nmにおける光線透過率が80%以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の透明複合体。
(6)30〜150℃における線膨張係数が30ppm以下であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の透明複合体。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の透明複合体を製造する方法であって、活性エネルギー線硬化性組成物と無機質材との混合体に、活性エネルギー線を照射することを特徴とする透明複合体の製造方法。
(8)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の透明複合体を少なくとも1層積層して形成されてなることを特徴とする表示素子用樹脂基板。
本発明の透明複合体は、活性エネルギー線による硬化が短時間で達成可能な活性エネルギー線硬化性組成物と無機質材とからなり、寸法変化や厚みムラが小さく、透明性に優れたものである。
また、本発明の透明複合体は、低コストで容易に製造することができるため、 このような透明複合体を表示素子用樹脂基板などに応用することで、液晶表示素子等の製造行程の簡素化および歩留まり向上に貢献でき、産業上の利用価値は極めて大きい。
本発明の透明複合体の一実施形態を、図1に示す。
図1において、透明複合体1は、ビスフェノール骨格をもつアクリレートを含み、25℃における粘度が100,000cps以下、硬化収縮率が10%以下である活性エネルギー線硬化性組成物8と、無機質材9とからなる。
図1(A)は、無機質材9の両側に活性エネルギー線硬化性組成物8の層が存在する場合を示し、図1(B)は、無機質材9の片側のみに活性エネルギー線硬化性組成物8の層が存在する場合を示す。このように、得られる透明複合体1の実用的な厚みを超えない範囲であれば、硬化した活性エネルギー線硬化性組成物8が無機質材9の片側のみならず両側を覆う形態とすることができる。
図2は、本発明の透明複合体の他の実施形態を示す。
本実施形態では、図1に示した形態とは異なり、無機質材29に共存させる活性エネルギー線硬化性組成物28が無機質材29の厚みを超えない場合(単層構造)の透明複合体21を示している。
無機質材としては、ガラス繊維(ガラス織布、ガラス不織布、ガラス編布など)、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ミドルガラスなどが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができ、これらガラスの種類としては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、石英ガラスなどが挙げられる。
上記の中でも、得られる透明複合体の薄肉化、軽量化の観点から、厚みが30μm以下、より好ましくは20μm以下のガラス織布、不織布、編布等のガラス繊維が適しており、このような織布、不織布、編布においては2枚以上積層して使用することもできる。
本発明の透明複合体は、図1、図2いずれの態様においても、このような無機質材間に、注型法、流延法、含浸法、塗工法等の方法で、活性エネルギー線硬化性組成物(樹脂液)を存在させた後(以下、この無機質材間に樹脂を存在させることを「組成物と無機質材との複合化」とも言う)、硬化(架橋)することによって形成される。例えば、
α)ガラス織布やガラス不織布、あるいはガラス編布などに、活性エネルギー線硬化性組成物を含浸させた後、硬化したり、
β)活性エネルギー線硬化性組成物に、ガラスビーズやガラスパウダーなどを分散させ、キャストした後、硬化すればよい。
ちなみに、上記α)の場合、含浸させる活性エネルギー線硬化性組成物の量は、ガラス織布(不織布・編布)に対し90〜1重量%、好ましくは70〜30重量%であり、β)の場合、活性エネルギー線硬化性組成物に対するガラスビーズ(パウダー)の量は、1〜90重量%、好ましくは30〜70重量%である。
本発明では、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物の屈折率と無機質材の屈折率との差が、+0.01〜−0.01であることが好ましく、より好ましくは+0.005〜−0.005である。
屈折率差が+0.01より大きい場合や−0.01より大きい場合には、得られる透明複合体の透明性が劣る傾向がある。
無機質材の屈折率と該硬化物の屈折率とを調整する方法としては、(i)活性エネルギー線硬化性組成物を構成する材料を調整して硬化物の屈折率を無機質材の屈折率に適合させる方法と、(ii)無機質材の屈折率を硬化物の屈折率に適合させる方法とがあるが、前者(i)のほうが調整の簡便さとコストの面から好ましく、具体的には、無機質材よりも屈折率の高い樹脂と無機質材よりも屈折率の低い樹脂を組み合わせることにより硬化物の屈折率をEガラスなどの汎用ガラスに適合させることができる。
このため、無機質材の屈折率(nd 25)は、1.5〜1.6の範囲内が好ましい。
無機質材の屈折率が1.5未満もしくは1.6より大きいと、硬化物の屈折率を無機質材の屈折率に適合させたときに、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化収縮率や硬化物の靱性、耐熱性等とのバランスをとるのが困難になる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、ビスフェノール骨格をもつアクリレートを含み、25℃における粘度が100,000cps以下、硬化収縮率が10%以下であることが重要である。
ビスフェノール骨格をもつアクリレートとしては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF EO変性ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、分子末端の(メタ)アクリレート基は、エポキシ(メタ)アクリレート基やウレタン(メタ)アクリレート基変性してもよい。これらのアクリレート類の中から1種類、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
上記の中でも、速硬化性、硬化物の透明性や耐熱性、コスト面においてバランスが良好で、硬化物に適度な硬度と靱性を付与出来ることから、ビスフェノールAエポキシアクリレート、ビスフェノールAエポキシジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
ビスフェノール骨格をもつアクリレートの量は、組成物の硬化性等に応じて適宜調整されるが、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物100重量部に対して、10〜80重量部が好ましい。
このようなビスフェノール骨格をもつアクリレートを含む活性エネルギー線硬化性組成物は、室温(25℃)における粘度が100,000cps以下であり、好ましくは50,000cps以下、より好ましくは30,000cps以下である。
粘度が高すぎると、無機質材に該組成物(樹脂)を存在させる際に、無機質材料間に樹脂を行き渡らせ、かつ無機質材料間に入る気泡を取り除くのに手間がかかり、成型加工性に劣るため好ましくない。
本発明では、好適な粘度を得るために、該活性エネルギー線硬化性組成物にナノマイカなどを分散させてもよい。
また、該活性エネルギー線硬化性組成物(無機質材と複合化する前のもの)の硬化収縮率は、10%以下であることが好ましく、より好ましくは7%以下である。
硬化収縮率が高すぎるものでは、透明複合体の形成時の硬化収縮に伴う残留応力が大きくなり、このような複合体を表示素子用基板に応用したものは、反りや歪みが発生しやすくなる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物においては、25℃における粘度が100,000cps以下、硬化収縮率が10%以下であれば、前記ビスフェノール骨格をもつアクリレート以外の(メタ)アクリレート化合物を含むことができる。
しかしながら、活性エネルギー線による硬化性をもつ汎用的なアクリレート樹脂は比較的低屈折率であり、多くは1.53以下である。
前述のように、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物の屈折率と無機質材の屈折率とを適合させる(すなわち、硬化物の屈折率を大きくする)ためには、活性エネルギー線硬化性組成物を構成する化合物の分子容を小さくし、分子屈折を高める設計をすればよく、具体的な方策としては、芳香族、フッ素以外のハロゲン類、イオウ、脂環式構造、金属等を単独または組み合わせて分子中に導入する等の方法が挙げられる。そのような高屈折(メタ)アクリレート化合物としては、p-クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフト−1−オキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルバゾル−9−イルエチル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化o-フェニル(メタ)アクリレート、9,9−ビス〔4−((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、p−クロロフェニル(メタ)アクリレート、p−ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、フェニルチオ(メタ)アクリレート、p-クロロフェニルチオ(メタ)アクリレート、p−ブロモフェニルチオ(メタ)アクリレート、p-(4-メトキシフェニルチオ)フェノキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン-2-チオ(メタ)アクリレート、ビス(4-(メタ)アクリロイルチオフェニル)サルファイド、ビス((メタ)アクリロイルチオエチル)-p-キシリルサルファイド、亜鉛含有ジアクリレート等を例示できる。これらにおいても、分子末端の(メタ)アクリレート基はエポキシ(メタ)アクリレート基やウレタン(メタ)アクリレート基変性してもよい。
さらに、活性エネルギー線硬化性組成物の屈折率調整の他に、硬化性や粘度および硬化物の耐熱性、硬度など諸物性を調整するために、上記高屈折率のもの以外の(メタ)アクリレート化合物、すなわち、屈折率1.53以下の脂肪族、脂環族、芳香族などの(メタ)アクリレートモノマーや、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマーを任意で添加することができる。これらは1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
ただし、これらの屈折率1.53以下の(メタ)アクリレート化合物の使用に際しては、前述したように活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物と無機質材との屈折率差が±0.01以下、好ましくは±0.005以下を維持する範囲内で配合することが好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物においては、25℃における粘度が100,000cps以下、硬化収縮率が10%以下であれば、(メタ)アクリレート化合物以外の成分として、他の光硬化性のオリゴマー・モノマーや光開始剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、熱可塑性樹脂等が硬化や透明性、耐熱性等の物性に効果的かつ支障とならない範囲で添加できる。
特に、活性エネルギー線として紫外線照射を応用する場合、光開始剤は必須であり、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系、及びパーオキシド系等が制限なく使用できる。この光開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等を例示することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
光開始剤の量は、組成物の硬化性等に応じて適宜調整されるが、典型的には本発明の活性エネルギー線硬化性組成物100重量部に対して、1〜10重量部である。
以上のような活性エネルギー線硬化性組成物と無機質材とを複合化した後、硬化(架橋)させる方法としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等の方法を単独もしくは組み合わせて用いることができるが、短時間かつ比較的容易に硬化達成可能なことから、紫外線硬化を用いることが好ましい。
本発明では、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、ガラス転位温度が60〜90℃であることが好ましい。
ガラス転位温度が低すぎると、硬化物が軟質であるため、撓みが発生しやすく、得られる透明複合体の平坦性が損なわれやすくなり、また、高すぎると、複合体中における硬化物と無機質材との間で熱応力歪みによる剥離が生じやすい。
本発明の透明複合体の製造方法については、特に限定されないが、平滑な工程用基材上で活性エネルギー線硬化性組成物と無機質材とを複合化した後、活性エネルギー線を照射し、硬化させる方法が好適に用いられる。
なお、図1に示す態様においては、活性エネルギー線硬化性組成物のみを予め硬化(フィルム化)した後、このフィルム上に当該組成物(樹脂液)を含浸させた無機質材を載置して、活性エネルギー線を照射し、硬化させる方法を用いてもよい。
このような製造方法は、樹脂の架橋(硬化)と複合一体化とを同時にできるため、製造コストの低下や、生産効率の向上、製造工程数の減少により成形体の歪発生等が抑制されて光学特性を向上させるなどの効果を得ることができる。前述の従来方法(例えば、環状オレフィン系樹脂シートで、この環状オレフィン系樹脂の溶液を予め塗布したガラス織布をサンドイッチ状に挟み込み、再び高温でプレスする≪特許文献3参照≫)に比べて、容易かつ低コストで透明複合体を得ることができる。
平滑な工程用基材(以下、単に「基材」とも言う)上で成型する際には、例えば、基材にスペーサー等でキャビティを設け、このキャビティ内で無機質材間に樹脂液(組成物)を存在させた後、該基材とは反対面にも平滑な基材をセットすることで該組成物と無機質材との複合体を挟み込んで硬化させてもよいが、少なくとも一方の基材は、空気、ガラス、高透明樹脂など活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させるのに十分な活性エネルギー線が透過可能な透明性をもつ必要がある。
用いる基材については、硬化物の表面平滑性をもたせるために、平面性に優れ、かつ組成物を硬化させるための活性エネルギー線や硬化時に発生する熱等により容易に変形しない物質であるものが好ましく、例えば、研磨ガラス、鏡面処理金属等が挙げられる。
それら基材には、剥離剤等の塗布、又は剥離層を設けることで、硬化後に得られる透明複合体を成形型(キャビティ)より除去し易くする処理を行うこともできる。用いる剥離剤、剥離層、その塗布については特に限定するものではないが、活性エネルギー線の入射側に用いる場合は、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させるのに充分な活性エネルギー線の透過性を持つ物質であればよい。
本発明では、活性エネルギー線によるラジカル重合を行った後、硬化物を加熱することにより重合反応の完結及び重合時に発生する内部歪を低減することも可能である。加熱温度は、硬化物の組成やガラス転移温度に合わせて適宜選択されるが、過剰な加熱は硬化物の色相悪化をもたらすため、ガラス転移温度付近かそれ以下の温度が好ましい。
本発明の透明複合体を、表示素子用樹脂基板等の光学用途として用いる場合は、波長550nmの光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であるのがより好ましい。
光線透過率が低すぎると、光の利用効率が低下し光効率が重要な用途には好ましくない。
本発明の透明複合体を、表示素子用樹脂基板等の光学用途として用いる場合は、30〜150℃における平均線膨張係数が30ppm以下であることが好ましく、より好ましくは20ppm以下である。
この係数が高すぎると、表示素子用樹脂基板の製造工程において反りや配線の断線などの問題が生じる虞れがある。
本発明の透明複合体の厚さは、用途に応じて適宜選定すればよいが、良好な光学特性を有する表示素子用樹脂基板を高い厚さ精度で得るためには、22.5μm以上とすることが好ましい。
本発明の表示素子用樹脂基板は、以上のような透明複合体を少なくとも1層積層して形成されたものである。
この表示素子用樹脂基板の厚さとしては、75〜1000μmが好ましい。75μm未満では薄すぎて基板にこしがなく平坦性に劣り、1000μmを超えると軽量化の目的からはずれてしまう傾向がある。
また、本発明の基板は、位相差板および偏光板を貼り合わせて一体としても良いし、酸素および水蒸気等のセル内への進入を防ぐためのガスバリア−層および透明樹脂基板の保護のためのハ−ドコ−ト層等の機能膜を付与しても良い。
実施例1〜7、比較例1〜3
後述する原料を、表1に示す割合で均一に混合し、表1に示すような「組成物粘度」、「硬化収縮率」、「硬化後のガラス転移温度」、「屈折率」を有する活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。なお、紫外線はメタルハライドランプで1J/cm2の照度で照射した。
Figure 2008150547
・「組成物の粘度」については、東機産業社製 粘度測定装置“TVH−10”を用いて、25℃における活性エネルギー線硬化性組成物の粘度を測定し、10万CPS以下のものを○、10万CPSより大きいものを×と判定した。
・「硬化収縮率」については、紫外線照射前の組成物20mlを精密に秤量して重量を測定し、組成物の密度(d1)を求めた。JIS K7112に準じて紫外線照射後の硬化物の密度を求め(d2)、下記式に従い硬化収縮率を算出した。
硬化収縮率(%)=〔(d2 −d1 )/d2 〕×100
硬化収縮率が10%以下を○、10%より大きいものを×とした。
・「硬化後のガラス転位温度」については、アイティ計測制御社製“DVA-200”を用いて、10Hz、3℃/分の速度で−50℃から200℃まで昇温させ、tanδの最大値をガラス転位温度とし、ガラス転移温度が60〜90℃の範囲内にあるものを○、60℃未満および90℃より高いものを×とした。
・「硬化物の屈折率」については、アタゴ社製 アッベ屈折率計を用いて、活性エネルギー線硬化物の25℃、波長589nmにおける屈折率を測定した。併せて、下記の無機質材との屈折率差も算出し、この屈折率差が±0.01より小さいものを○、±0.01以上を×とする。
離型処理した工程用基材≪厚さ188μmの光学PET(東洋紡社製“コスモシャインA4100”)≫上の成形型内において、まず上記調製した各々の活性エネルギー線硬化性組成物のみを硬化させ、該硬化膜上にて、表1に示す厚みのEガラス(またはNEガラス)系ガラスクロスに各々の活性エネルギー線硬化性組成物を含浸させた。
前記基材とは反対面にも、同様の基材と活性エネルギー線硬化性組成物のみで硬化させた硬化膜とをセットした後、それら両面の基材を介して紫外線を高圧水銀ランプで1J/cm2の照度で照射し、透明複合体を得た。
なお、これら実施例および比較例に挙げた透明複合体の構成は、無機質材の両側に活性エネルギー線硬化性組成物の層が存在する形態(図1(A)参照)であり、それぞれの総厚みについては、表1に示すとおりである。
(使用原料)
≪硬化性組成物≫表1中の数字は重量部を示す。
・高屈折率材料
1)ビスフェノールA エポキシアクリレート(硬化後の屈折率:1.571)
2)ビスフェノールA エポキシアクリレート3量体(硬化後の屈折率:1.574)
3)ビスフェノールF EO(2mol)変性ジアクリレート(硬化後の屈折率:1.566)
4)亜鉛含有ポリエステルアクリレート(硬化後の屈折率:1.667)
・低屈折率材料
1)2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(硬化後の屈折率:1.520)
2)グリセリンジグリシジルエーテルジアクリレート(硬化後の屈折率:1.520)
3)ヘキサンジオールジアクリレート(硬化後の屈折率:1.528)
4)ウレタンアクリレート(硬化後の屈折率:1.503)
・光重合開始剤
1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン
≪無機質材≫
Eガラス系ガラスクロス
NEガラス系ガラスクロス
比較例4
表1の比較例4に示す硬化性組成物を離型処理した工程用基材上の成形型内に注ぎ、該基材とは反対面にも同様の基材をセットし、両面から紫外線を高圧水銀ランプで1J/cm2の照度で照射し、厚さ200μmの透明シートを得た。
上記の実施例及び比較例にて作製した透明複合体(シート)について、下記の評価方法により各特性を測定した。この結果を表1に併せて示す。
(評価方法)
<シート厚み>
(株)アンリツ製 接触式連続厚み計を使用して、作製した透明複合体(シート)の厚さを測定した。
<シート平坦性>
表面粗さ計を用いて、100mm四方の膜厚ムラを測定し、うねりが10μm以内のものを○、10μmより大きいものを×と判定した。
<光線透過率>
得られた透明複合体の波長550nmにおける光線透過率を測定し、光線透過率80%以上を○、80%未満を×と評価した。
<平均線膨張係数>
セイコー電子(株)製 “TMA/SS120C型”熱応力歪測定装置を用いて、窒素の存在下、荷重を5gにし、引張モードにて得られた透明複合体を1分間に2℃の割合で温度を20℃から200℃まで上昇させて10分間保持した後、1分間に2℃の割合で温度を20℃まで冷却し、30℃〜150℃の時の値を測定して求めた。測定結果について、線膨張係数30ppm未満を○、30ppm以上を×と判定した。
本発明の透明複合体は、寸法変化や厚みムラが小さく(線膨張係数が小さく)、透明性や光学特性に優れているうえ、また、低コストで容易に製造できるものである。
したがって、本発明による透明複合体は、表示素子用樹脂基板などに好適に使用され得る。
本発明の透明複合体の一実施形態を示す断面図であり、(A)は無機質材の両側に活性エネルギー線硬化性組成物が存在する形態であり、(B)は、無機質材の片側のみに活性エネルギー線硬化性組成物が存在する形態である。 本発明の透明複合体の他の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1、21 透明複合体
8、28 活性エネルギー線硬化性組成物
9、29 無機質材

Claims (8)

  1. ビスフェノール骨格をもつアクリレートを含み、25℃における粘度が100,000cps以下、硬化収縮率が10%以下である活性エネルギー線硬化性組成物と、無機質材とからなる透明複合体。
  2. 前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物のガラス転移温度が60〜90℃であることを特徴とする請求項1に記載の透明複合体。
  3. 前記無機質材が、厚さ30μm以下のガラス繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明複合体。
  4. 前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物と前記無機質材との屈折率差が+0.01〜−0.01であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明複合体。
  5. 波長550nmにおける光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明複合体。
  6. 30〜150℃における線膨張係数が30ppm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明複合体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明複合体を製造する方法であって、
    活性エネルギー線硬化性組成物と無機質材との混合体に、活性エネルギー線を照射することを特徴とする透明複合体の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明複合体を少なくとも1層積層して形成されてなることを特徴とする表示素子用樹脂基板。
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KR20180030316A (ko) * 2016-09-13 2018-03-22 한국세라믹기술원 글라스 섬유 직조체/폴리머 투명 복합체 시트 및 그 제조방법

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