JP3804442B2 - 重合性組成物及び光学用プラスチック部材 - Google Patents

重合性組成物及び光学用プラスチック部材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合して光学用部材、その中でも特にLCD基板、タッチパネルなどのディスプレイ用基板、及び光ディスク基板、太陽電池基板などの光学用基板として用いるに好適な重合性組成物、及びその重合物からなる光学用プラスチック部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来使用されているディスプレイ用基板はガラス板を基板とするものが主であるが、このような基板ではガラスの低密度化と機械的強度の向上に関して限界があるため現在要望されている軽量薄型化に対応できない。また生産性の向上に関しても成形性、加工性の観点から問題点が指摘されており、光学用プラスチックを用いたディスプレイ基板に注目が集まっている。しかしながら、プラスチック基板には次の様な問題点が挙げられている。
▲1▼耐熱性に劣る。
▲2▼低複屈折性に劣り光学的等方性に欠ける。
▲3▼吸水率が高い。
【0003】
耐熱性に関しては、ガラス板が200℃以上の光学用ディスプレイ製造工程に耐えるのに対し、プラスチック基板では150℃程度の低温製造工程を採用しても、耐熱性不足から反り等の変形が生じる問題が有る。低複屈折性に関しては、ガラス板の複屈折Δn・dが1nm以下であるのに対し、プラスチックでは数nm以上あるのが現状である。また、ガラス板では問題にならない吸水率に関しても、プラスチック基板ではディスプレイ製造工程中の水洗浄の際に寸法変形を引き起こしたり、基板自体が吸湿変形し表示不能を引き起こすという問題がある。
【0004】
このようなディスプレイ用プラスチック基板として例えば、特開平9−152510等にはトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン骨格の3,8(又は3,9又は4,8)位置換ビス(メタ)アクリレート化合物とメルカプト化合物よりなる組成物を重合硬化させてなる樹脂からなる光学用プラスチック部材が提案されているが、この樹脂はガラス転移点温度が200℃以下であり、光学用ディスプレイ製造工程における耐熱性が不十分であるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の問題点を解決し、軽量で機械的強度に優れ、吸水率が低く、低複屈折かつ、高耐熱である光学用プラスチック部材を得ることができる重合性組成物、及びその重合物からなる光学用プラスチック部材を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を解決するため鋭意検討を行った結果、特定のビスメタクリレート化合物を特定量含有する重合性組成物を用いることにより上記課題が解決できることを見出し本発明に到った。すなわち、本発明の要旨は、下記成分(A)を全体の75重量%以上と、さらに下記成分(B)を含み、かつ、成分(A)を75〜99.9重量部、成分(B)を0.1〜25重量部の割合でそれぞれ含有することを特徴とする重合性組成物、及び、該重合性組成物を重合させた樹脂からなることを特徴とする光学用プラスチック部材に存する。
成分(A):次式[I] で示される脂環骨格ビスメタクリレートより選ばれる少なくとも1種のビスメタクリレート
【0007】
【化3】
Figure 0003804442
[式 [I] 中、A 1 およびA 2 はそれぞれ独立して、炭素数1〜4の分岐または直鎖のアルキレン基を示す。mおよびnはそれぞれ独立して0または1の整数を示す。]
成分(B):次式 [II] [III] 及び [IV] より選ばれる少なくとも1種のメルカプト化合物
【0008】
【化4】
Figure 0003804442
[式 [II] 中、R 1 は−CH 2 −又は、−CH 2 CH 2 −を示し、R 2 はエーテル酸素を含んでいてもよい炭素数2〜15の炭化水素残基を示し、aは2〜6の整数を示す。]
[式 [III] 中、XはHS−(CH 2 b −(CO)−(OCH 2 CH 2 d −(CH 2 c −を示し、b及びcはそれぞれ独立に1〜8の整数を示し、dは0〜2の整数を示す。]
[式 [IV] 中、R 3 およびR 4 はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキレン基を示し、eおよびfはそれぞれ独立に0又は1の整数を示し、gは1又は2の整数を示す。]
【0009】
【発明実施の形態】
本発明の重合性組成物は、次式[I]で示される脂環骨格ビスメタクリレートより選ばれる少なくとも1種以上のビスメタクリレートである成分(A)を全体の75重量%以上含んでいる。成分(A)が75重量%未満であると耐熱性、機械的強度が低下することがある。
【0010】
【化5】
Figure 0003804442
【0011】
式中、A1およびA2はそれぞれ独立して、炭素数1〜4の分岐または直鎖のアルキレン基を示し、mおよびnはそれぞれ独立して0または1の整数を示す。
式[I]で示される脂環骨格ビスメタクリレート化合物の具体例としては、3,4−ビス(オキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、3,4−ビス(オキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、3,4−ビス(オキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、3,4−ビス(オキシプロピル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート及びこれらの混合物がある。
【0012】
式[I]で示される脂環骨格ビスメタクリレート化合物は、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン骨格の3,4位置換ビスメタクリレート化合物であり、例えば、特開平9−152510号公報等に示されているトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン骨格の3,8(又は3,9又は4,8)位置換ビス(メタ)アクリレート化合物と比べて重合物の架橋点間距離が大幅に短い。おそらくそのことにより、本発明におけるビスメタクリレート化合物の硬化樹脂が本来持っているガラス転移点は、特開平9−152510号公報等に記載されたビス(メタ)アクリレート化合物の硬化樹脂が本来持っているガラス転移点よりも高くなる。従って、メルカプタン化合物を配合してもなお、本発明の重合性組成物のガラス転移点温度は200℃以上であり、高耐熱性を示すものと推察される。
【0013】
これらの脂環骨格ビスメタクリレート化合物を製造する方法については、特に限定されるものではなく、原料であるジオール体から、例えば、丸善刊、新実験化学講座、14、有機化合物の合成と反応(II)p.1002-1008、p.1017-1021 等に記載の一般的なエステル製造方法に準拠して行うことができる。ジオールとメタクリル酸とのエステル化反応は、ジオール1モルに対して、通常2.0〜2.6モルのメタクリル酸を用い、触媒として、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、フッ化硼素、P−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カチオン型イオン交換樹脂等を用い、通常トルエン、ベンゼン、ヘプタン、ヘキサン等の溶媒の存在下、反応により生成する水を留去しながら行うことができる。又、ジオールとメタクリル酸エステルとのエステル交換反応は、ジオール1モルに対して、一般的にはメタクリル酸メチルを通常2.0〜10.0モル用い、触媒として、例えば、硫酸、P−トルエンスルホン酸、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、カリウムブトキシド等を用い、通常トルエン、ベンゼン、ヘプタン、ヘキサン等の溶媒の存在下、反応により生成するメタノールを留去しながら行うことができる。この反応は、重合禁止剤として、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、銅塩等を用いることができる。
【0014】
本発明の重合性組成物は、分子内に2個以上のチオール基を有するメルカプト化合物[成分(B)]を配合することが好ましい。メルカプト化合物としては下記の式[II]、式[III]、式[IV]から選ばれる少なくとも1種が特に好ましく用いられる。メルカプト化合物はチオール基の持つ連鎖移動剤としての作用が大きく、ビスメタクリレート化合物により形成される3次元網目構造に入り込むので、メルカプト化合物を配合することにより硬化物に適度な靱性を付与することができる。分子内に2個以上のチオール基を有する多官能のメルカプト化合物、特に前記式[II]、式[III]、式[IV]はから選ばれる化合物は、得られる硬化物の耐熱性を大きく損なうことなく、機械強度等を向上することができるので好ましく用いられる。
【0015】
【化6】
Figure 0003804442
【0016】
[R1は−CH2−又は、―CH2CH2―を示し、R2はエーテル酸素を含んでいてもよい炭素数2〜15の炭化水素残基を示し、aは2〜6の整数を示す。]
式[II]で示されるメルカプト化合物は、2〜6価のチオグリコール酸エステル又はチオプロピオン酸エステルである。式[II]の化合物の具体例としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオグリコレート)、ジエチレングリコールビス(β−チオプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(β−チオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオグリコレート)などが挙げられる。
【0017】
【化7】
Figure 0003804442
【0018】
[XはHS−(CH2b−(CO)−(OCH2CH2d−(CH2c−を示し、bおよびcはそれぞれ独立に1〜8の整数を示し、dは0〜2の整数を示す。]
式[III]で示されるメルカプト化合物は、ω−SH基含有トリイソシアヌレートである。式[III]の化合物の具体例としては、例えば、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシ)プロピル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシ)プロピル]トリイソシアヌレート等が挙げられる。
【0019】
【化8】
Figure 0003804442
【0020】
[R3およびR4はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキレン基を示し、eおよびfはそれぞれ独立に0又は1の整数を示し、gは1又は2の整数を示す。]
式[IV]で示されるメルカプト化合物は、α,ω−SH基含有化合物である。式[IV]の化合物の具体例としては、例えばベンゼンジメルカプタン、キシリレンジメルカプタン、4、4’−ジメルカプトジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0021】
本発明において、成分(B)を使用する場合の成分(A)と成分(B)の配合割合は、成分(A)と成分(B)の合計を100重量部とした場合、成分(A)が通常75〜99.9重量部、好ましくは80〜99重量部、特に好ましくは85〜95重量部、成分(B)が通常0.1〜25重量部、好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは5〜15重量部の範囲である。成分(B)メルカプト化合物の割合が多すぎると硬化樹脂の耐熱性が低下するおそれがある。
【0022】
本発明の重合性組成物は、本発明の要旨を損なわない範囲で、成分(A)、成分(B)以外の補助成分を含んでもよい。補助成分としては、ラジカル重合可能な成分(A)以外の単量体、酸化防止剤、紫外線防止剤、染顔料、充填剤などが挙げられる。
ラジカル重合可能な成分(A)以外の単量体としては、例えばメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6―ヘキサンジオールジメタクリレート、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのメタクリレート化合物、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどのスチレン類化合物などが挙げられる。これらの中でも2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、およびこれらの混合物が特に好ましい。ラジカル重合可能な他の単量体は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、通常30重量部以下の割合で配合される。
【0023】
本発明の重合性組成物は、賦型された後、重合される。重合は、公知の方法で行うことができる。例えば、予め重合性組成物に加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤を添加しておき、加熱して重合させる方法(以下「熱重合」という場合がある。)、予め重合性組成物に紫外線等の活性エネルギー線によりラジカルを発生する光重合開始剤を添加しておき、活性エネルギー線を照射して重合させる方法(以下「光重合」という場合がある。)などが挙げられるが、複屈折を低減させるためには光重合が好ましい。
【0024】
熱重合開始剤の具体例としては、ベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等が挙げられる。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾフェノンである。
【0025】
これらの重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の添加量は、モノマー100重量部に対して、通常0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部である。光重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し複屈折の増大をもたらすだけでなく色相も悪化するおそれがある。一方、少なすぎると組成物が充分に重合しないおそれがある。
【0026】
照射する活性エネルギー線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生する範囲であれば任意であるが、極端に少ない場合は重合が不完全なため硬化物の耐熱性、機械特性が充分に発現されず、逆に極端に過剰な場合には硬化物の黄変等の光による劣化を生じるので、モノマーの組成および光開始剤の種類、量に合わせて、通常200〜400nmの紫外線を、好ましくは0.1〜200Jの範囲で照射する。使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ等を挙げることができる。
【0027】
重合による硬化をすみやかに完了させる目的で、光重合と熱重合を同時に行ってもよい。具体的には、活性エネルギー線照射と同時に重合性組成物並びに型全体を30〜300℃の範囲で加熱して硬化を行う。この場合、重合性組成物には、重合を完結させるために熱重合開始剤を添加しておいてもよいが、大量に添加すると硬化物の複屈折の増大と色相の悪化をもたらすので、熱重合開始剤の添加量は、モノマー100重量部に対して0.1〜2重量部、好ましくは0.3〜1重量部が用いられる。
【0028】
また、光重合後に、得られた硬化物を加熱してもよい。これにより重合反応の完結及び重合時に発生する内部歪みを低減することが可能である。加熱温度は、硬化物の組成やガラス転移温度に合わせて適宜選択されるが、通常、ガラス転移温度付近かそれ以下の温度が好ましい。加熱温度が高すぎると硬化物の色相悪化をもたらすおそれがある。
【0029】
本発明の硬化性組成物を硬化することにより得られた硬化物を、光学用途として、すなわち、光学用プラスチック部材として用いる場合、通常厚さ0.1〜4mm、好ましくは0.2〜2mmの厚さのフィルム状、シート状あるいは板状に成形される。フィルム状、シート状あるいは板状に成形された光学用プラスチック部材の少なくともその片面にガスバリアー層、硬化被膜層および導電膜からなる群から選ばれる1以上の層を必要に応じて設けることにより、各種基板、タッチパネル等のそれぞれの用途に適した光学用プラスチック部材とすることができる。
【0030】
本発明の硬化性組成物を硬化することにより得られた硬化物および光学用プラスチック部材は、透明性を示す指標である可視光領域の光透過率が通常80〜95%であり透明性に優れ、耐熱性を示す指標であるガラス転位点が通常200℃以上、好ましくは200〜250℃であり高耐熱性を示し、複屈折が通常0.1〜2nmであり低複屈折性を示し、JIS K5400による吸水率が1%以下、好ましくは0.5%以下であり低吸水率性を示す。本発明の硬化物はこれらの特徴を併せ持つので、LCD基板、タッチパネル、光ディスク基板、太陽電池基板などの多くの光学用途、例えば光学用プラスチック部材に好適に用いることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、軽量で機械的強度に優れ、吸水率が低く、低複屈折かつ、高耐熱である光学用プラスチック部材を得ることができる重合性組成物、及びその重合物からなる光学用プラスチック部材を得ることができる。
【0032】
【実施例】
以下に本発明の内容及び効果を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。以下において、「部」とあるのは「重量部」を表す。
実施例及び比較例で得られた板とプラスチック積層体は以下の方法で評価した。
(1)成形性:目視による。
(2)外観:目視による。
(3)耐熱性:4mm×4mm×1mm厚の試験片を用いて、ガラス転移点Tgを圧縮法TMAにて圧子断面積0.5mmΦ、荷重100g、昇温速度10℃/分で測定した。
(4)複屈折:1mm厚の試験片を用いて、複屈折測定装置(オーク社製)で測定した。
(5)硬度:JIS K5400に準拠して、硬化皮膜の鉛筆硬度を測定した。
(6)吸水率:JIS K7209に準じ、100mm×100mm×1mm厚の試験片を用いて、50℃、24hr乾燥後の試験片の23℃、24hr水浸漬後の吸水率を測定した。
(7)ガスバリアー性:1mm厚の試験片を用いて、オキシトラン社製酸素モコン測定器にて23℃湿度80%の条件下で酸素透過率を測定した。
(8)表面抵抗値:三菱化学(株)製の4端子法抵抗測定器(ロレスターMP)を用いて表面抵抗値を測定した。
【0033】
[実施例1]
3,4−ビス(オキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート100部、光重合開始剤として2,4,6ートリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)0.1部、ベンゾフェノン0.05部を均一に攪拌混合した後、脱泡して組成物を得た。この組成物をスペーサーとして厚さ1mmのシリコン板を用いた光学研磨ガラスの型に注液し、ガラス面より40cmで上下にある出力80W/cmのメタルハライドランプの間にて、5分間紫外線を照射した。紫外線照射後離型し、120℃で1時間加熱して硬化物を得た。硬化物の諸物性は表1に示す通りであった。
(ガスバリア膜の成膜)
得られた1mm厚の硬化物の片面に、スパッタ装置(徳田製作所:形式CFS−4ES)にてSiO2を200Å製膜した。得られたプラスチック積層体の酸素透過率は1cc/m2・24hr・atmであった。
【0034】
(硬化皮膜の製膜)
得られたガスバリア膜付きのプラスチック積層体のSiOx面上に、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート20部と2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド2部と溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート78部よりなる組成物をスピンコートした後、100℃で10分加熱して溶剤を乾燥し、出力80W/cmのメタルハライドランプにて5分間紫外線を照射した。得られた硬化皮膜の鉛筆硬度は4Hであった。
【0035】
(導電膜の製膜)
得られた1mm厚のプラスチック積層体のSiOx面上に、スパッタ装置(徳田製作所:形式CFS−4ES)にてITOを1500Å成膜した。得られた導電性シートの表面抵抗値は30Ω/□であった。
【0036】
[実施例2]
3,4−ビス(オキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート100部の代わりに、3,4−ビス(オキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート94部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)6部を用いた以外は実施例1と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物の諸物性は表1に示す通りであった。
【0037】
[実施例3]
3,4−ビス(オキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート100部の代わりに、3,4−ビス(オキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート90部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)10部を用いた以外は実施例1と同様にして硬化物を得た。得られた硬化物の諸物性は表1に示す通りであった。
【0038】
[実施例4]
ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)6部に替えて、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート6部を用いた以外は、実施例2と同様にして硬化物を得た。硬化物の諸特性は表1に示す通りであった。
【0039】
[比較例1]
3,4−ビス(オキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート100部の代わりに、3,4−ビス(オキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート70部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)30部を用いる以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。硬化物の諸特性は表1に示す通りであった。
【0040】
[比較例2]
3,4−ビス(オキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート100部の代わりに、3,8(又は3,9又は4,8)−ビス(オキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート94部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)6部を用いる以外は、実施例1と同様にして硬化物を得た。硬化物の諸物性は表1に示す通りであった。
【0041】
【表1】
Figure 0003804442

Claims (7)

  1. 下記成分(A)を全体の75重量%以上と、さらに下記成分(B)を含み、かつ、成分(A)を75〜99.9重量部、成分(B)を0.1〜25重量部の割合でそれぞれ含有することを特徴とする重合性組成物。
    成分(A):次式 [I] で示される脂環骨格ビスメタクリレートより選ばれる少なくとも1種のビスメタクリレート
    Figure 0003804442
    [式 [I] 中、A 1 およびA 2 はそれぞれ独立して、炭素数1〜4の分岐または直鎖のアルキレン基を示し、mおよびnはそれぞれ独立して0または1の整数を示す。]
    成分(B):次式[II]、[III] 及び[IV]より選ばれる少なくとも1種のメルカプト化合物
    Figure 0003804442
    [II] 中、1 は−CH2 −又は、−CH2 CH2 −を示し、R2 はエーテル酸素を含んでいてもよい炭素数2〜15の炭化水素残基を示し、aは2〜6の整数を示す。
    [III] 中、XはHS−(CH2 b −(CO)−(OCH2 CH2 d −(CH2 c −を示し、b及びcはそれぞれ独立に1〜8の整数を示し、dは0〜2の整数を示す。
    [IV] 中、3 およびR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキレン基を示し、eおよびfはそれぞれ独立に0又は1の整数を示し、gは1又は2の整数を示す。]
  2. 請求項1に記載の重合性組成物を重合させた樹脂からなることを特徴とする光学用プラスチック部材。
  3. 請求項1に記載の重合性組成物を賦形し、これをラジカル重合開始剤の存在下に活性エネルキー線を照射して光重合させてなる樹脂からなることを特徴とする光学用プラスチック部材。
  4. 光学用プラスチック部材の少なくとも片面にガスバリアー層、硬化被膜層および導電膜層からなる群から選ばれる1以上の層を設けてなることを特徴とする請求項又はに記載の光学用プラスチック部材。
  5. 光学用プラスチック部材のガラス転移点が200℃以上及び/又は光学用プラスチック部材のJIS K5400による吸水率が1%以下であることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の光学用プラスチック部材。
  6. 光学用プラスチック部材の複屈折が10nm以下である請求項ないしのいずれかに記載の光学用プラスチック部材。
  7. 光学用プラスチック部材が、ディスプレイ用基板であることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の光学用プラスチック部材。
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