JP6179211B2 - 透明基板用積層フィルム及びこれを用いたディスプレイパネル - Google Patents
透明基板用積層フィルム及びこれを用いたディスプレイパネル Download PDFInfo
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Description
そのため、ガラスに代わる代替材料として、薄型でかつ軽量の透明樹脂製のフィルム状基板が検討されている。
しかし、従来の通常のポリエステルフィルムなどは、150℃以上(具体的には150℃〜200℃)の高温雰囲気下における熱寸法安定性が不十分であった。
そのため、近年、ガスバリア加工用フィルムや、フレキシブルディスプレイ基板用フィルムとして、高い熱寸法安定性を有する樹脂フィルムが求められている。
また、特許文献2及び3には、通常の工程によって製造したフィルムの表面に各種塗膜を形成する方法が開示されている。
そのため、製造工程が複雑になり、フィルム自体の製造コストが高くなってしまうという課題を抱えていた。
そこで本発明の目的は、従来技術の問題を鑑み、透明性及び高温(例えば200℃以上)における熱寸法安定性に優れる、新たな透明積層フィルムを提供することにある。
よって、本発明が提案する透明基板用積層フィルムは、液晶表示素子基板、カラーフィルター基板、有機EL表示基板、太陽電池基板及びタッチパネル基板に好適に使用することができる。
本発明の実施形態の一例に係る透明基板用積層フィルム(以下、「本積層フィルム」と称する。)は、基材フィルムの表裏両側に硬化層を有する透明積層フィルムである。
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏両面に硬化層を直接重ねて積層してもよいし、また、基材フィルムと当該硬化層との間に他の層が介在させてもよい。例えば、基材フィルムと当該硬化層との間にアンカーコート層などを介在させることができる。
硬化層は、少なくとも、光重合性化合物(A)、微粒子(B)及び光重合開始剤(C)を含有する硬化性組成物を用いて形成された層であり、光重合性化合物(A)の分子量が215〜4000の範囲にあって、かつ組成物全体に対して、微粒子(B)の含有量は50質量%以上である。
なお、本積層フィルムの「硬化層」は、基材フィルムの表裏両側に、硬化性組成物を塗布し、“硬化”させて形成するのが通常であるため、“硬化層”という名称とした。但し、硬化層の形成方法をそのような方法に限定するものではない。
本発明者らは、この際に、使用する光重合性化合物の分子量を選択することで、微粒子同士が凝集してしまうことなく、微粒子を高濃度で分散でき、硬化層が基材フィルムの高温時の収縮を抑え込むとともに、塗膜のひび割れ、白化を防ぐことを見出した。かかる観点から、光重合性化合物(A)の分子量は、215〜4000の範囲にあることを要し、250〜3000の範囲にあることがより好ましく、300〜2000の範囲にあることが更に好ましい。このような分子量範囲の光重合性化合物(A)を用いることで、分子量が低すぎて、乾燥工程などでモノマーが無機微粒子へ吸着されてしまうなどの虞がなく、また分子量が高すぎて、硬化性樹脂組成物の粘度が過度に大きくなり、微粒子の分散が抑制され、微粒子同士が凝集してしまうなどの問題がなく、結果として、硬化層が基材フィルムの高温時の収縮を効果的に抑え込むことができる。なお、本明細書において、光重合性化合物(A)の分子量が1500を超える場合には、重量平均分子量(Mw)としての分子量を表すものとする。
(光重合性化合物(A))
上記光重合性化合物(A)としては、分子量が215〜4000の範囲にある重合性不飽和結合を有する化合物、具体的にはエチレン性不飽和結合を有するモノマー又はオリゴマーを挙げることができ、より具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーのほか、単官能或いは多官能の(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーなどを挙げることができる。これらは、1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、本明細書において、モノマーとは、重合性官能基を有する構造単位の繰り返しがないものを表し、オリゴマーとは、重合性官能基を有する構造単位の繰り返し数が2以上であって、かつ末端に重合性官能基を有するものを表す。
上記光重合開始剤(B)としては、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系及びパーオキシド系等を挙げることができる。
上記の光重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ
−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等を例示することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
上記微粒子(C)としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ソーダガラス、ダイヤモンド等の透明性を有する無機微粒子を挙げることができる。これらの中でも、塗工適性及び価格等の点から、酸化ケイ素微粒子が好ましい。
酸化ケイ素微粒子は、表面修飾されたものが多数開発されており、表面収縮されたものを用いることで、硬化性組成物中での分散性が向上し、均一な硬化膜を形成することができる。酸化ケイ素微粒子の具体例としては、乾燥された粉末状の酸化ケイ素微粒子、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカ(シリカゾル)等を挙げることができる。これらの中でも、分散性の点で、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカ(シリカゾル)を用いるのが好ましい。
分散性を向上させる目的であれば、透明性、耐溶剤性、耐液晶性、耐熱性等の特性を極端に損なうことのない範囲で、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等によって表面処理された酸化ケイ素微粒子や、表面に対して易分散処理をされた酸化ケイ素微粒子であってもよい。
ここで「平均粒径」とは、数平均粒子径の意味であり、微粒子の形状が球状の場合には、「測定粒子の円相当径の総和/測定粒子の数」で算出することができ、また、微粒子の形状が球状でない場合には、「短径と長径の総和/測定粒子の数」で算出することができる。
また、2種類以上の微粒子を含有する場合には、それら混合粒子の平均粒径が前記の「平均粒径」となる。
中でも、透明性向上の観点から、硬化性組成物を重合・硬化した後の反応物である樹脂、特に主成分をなす樹脂と微粒子(フィラー)との屈折率差が0.2未満である微粒子を用いるのが好ましい。
上記の硬化性組成物は、上記以外の成分として、上記例示以外の他の光硬化性のオリゴマー・モノマーや光開始剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、熱可塑性樹脂等を、硬化性や透明性、吸水性等の物性に支障とならない範囲で含有することができる。
また上記硬化性組成物は、必要によって溶剤を添加して使用することができる。すなわち、上記硬化性組成物を含む溶液として使用することができ、この溶液を基材フィルムに塗布・硬化して硬化層を硬化塗布層として形成することができる。後述する種々のコーティング方式に応じて、溶剤の種類や添加量は適宜選択することができる。
上記硬化性組成物中に含まれる上記光重合性化合物(A)の含有量としては、硬化性組成物全体に対して、9〜45質量%とすることが好ましく、15〜45質量%とすることがより好ましく、19〜40質量%とすることが最も好ましい。光重合性(メタ)アクリレートモノマーの含有量が少ないと、微粒子の分散が困難になるため、微粒子同士の凝集が発生し、透明性が著しく悪化する。また、光重合性化合物(A)の含有量が多すぎないことで、フィルム全体の熱寸法安定性に対する微粒子の寄与が半減し、微粒子が有する優れた熱寸法安定性が発揮できなくなってしまう虞がない。
基材フィルムの表裏両側に設けられた硬化層の厚み合計は、基材フィルムの厚みの8%以上であることが好ましく、基材フィルムの厚みの10%以上であることがより好ましく、特に15%以上或いは50%以下であることがより一層好ましく、中でも特に20%以上或いは45%以下であることがさらに好ましい。
硬化層が薄いと、積層フィルム全体としての剛性が小さくなり、高温時の基材フィルムの収縮を抑制することが困難になる。一方、硬化層が過剰に厚いと、ひびや割れが発生しやすくなり好ましくない。
本積層フィルムに用いる基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、透明ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィンホモポリマー、環状オレフィンコポリマー等の環状オレフィン系樹脂などからなるフィルムを挙げることができる。これらは一種類または二種類以上の樹脂を組み合わせて含有するフィルムを使用することができる。
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏両側に所定の硬化層を設けることにより、基材フィルムに対してヒートセット処理を行わなくても、透明性及び高温(例えば200℃以上)における熱寸法安定性に優れた透明積層フィルムを得ることができる。しかしながら、収縮を緩和するためのヒートセット処理がなされたフィルムを使用することも可能である。
基材フィルム上に硬化性組成物を塗布する前に、予め基材フィルムにヒートセット処理を施すことにより、基材フィルム及び本積層フィルムの寸法安定性をさらに向上させることができる。
中でも、収縮を緩和するためのヒートセット処理がなされた2軸延伸ポリエステルフィルムは、基材フィルムとして好ましい一例である。
基材フィルムの厚みは、1μm〜200μm以下であるのが好ましく、5μm以上或いは100μm未満であることがより好ましく、5μm以上75μm以下であることがより好ましく、10μm以上50μm以下とすることが最も好ましい。このような範囲とすることで、光線透過率の向上、ハンドリング性能が高いなどの利点を得ることができる。
次に、本積層フィルムが備えることができる各種物性について説明する。
本積層フィルムは、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。本積層フィルムがかかる範囲の全光線透過率を有することで、照明やディスプレイ等では光の減衰を抑えることができ、より明るくなる。また、太陽電池部材としてはより多くの光を取り込めるなどの利点を得ることができる。なお、硬化層における樹脂の種類、微粒子の種類と粒径、微粒子の含有量などを調整することで、該光線透過率を調整することができる。
本積層フィルムは、200℃で10分間加熱した際の縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)のいずれか一方向の収縮率が、同条件で測定される基材フィルムの熱収縮率の70%以下であることを要する。
本積層フィルムがかかる範囲の収縮率を有することで、回路や素子を形成する際の寸法ズレを少なくし、また無機バリア層を積層させる際にもより高いバリア性を得られる利点を有する。
特に二軸延伸フィルムなどでは、製膜工程中に横方向の施緩処理によって収縮率を低減することが可能であるが、縦方向の施緩処理は別工程が必要である場合が多く、一般的に縦方向の収縮率が相対的に大きくなる。そのため、本発明では特に縦方向の収縮率を低減させることが好ましい。
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏両側に、硬化性組成物を塗布して硬化させて硬化層を形成することにより製造することができる。
紫外線により硬化させる場合、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整される。
また高圧水銀灯を使用する場合、80〜160W/cmの光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜60m/分で硬化させるのが好ましい。
一方、電子線により硬化させる場合、100〜500eVのエネルギーを有する電子線加速装置の使用が好ましい。
従来、ポリエステルフィルムをガスバアリア加工用フィルムとして用いた場合、ガスバリア層にひびが入ったり、シワが生じたりして、ガスバリア性を含む機能を十分に発現することができないなどの問題があった。これに対し、本バリアフィルムはこのような問題が無い点で優れている。
この際、ガスバリア性の高い材料としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、或いはこれらの酸化物、炭化物、窒化物、酸化炭化物、酸化窒化物、酸化炭化窒化物、ダイヤモンドライクカーボン又はこれらの混合物等が挙げられるが、太陽電池等に使用した場合に電流がリークする等の恐れがない点から、酸化珪素、酸化炭化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム及び酸化窒化アルミニウム等の無機酸化物、窒化珪素及び窒化アルミニウム等の窒化物、ダイヤモンドライクカーボン並びにこれらの混合物が好ましい。特に、酸化珪素、酸化炭化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化窒化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化アルミニウム及びこれらの混合物は、高いガスバリア性が安定に維持できる点で好ましい。
この蒸着法には、物理気相蒸着(PVD)、或いは化学気相蒸着(CVD)等の方法が含まれる。
物理気相蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられる。
化学気相蒸着法としては、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。
また、ガスバリア層は単層であっても多層であってもよい。ガスバリア層が多層の場合、各層は同じ材料からなっていても、異なる材料からなっていてもよい。
水蒸気透過率の測定方法は、JISZ0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じ、具体的には実施例に記載の方法で測定される。
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
(硬化性樹脂組成物1の調製)
分子量が226の光硬化性2官能アクリレートモノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−HD−N」)17.7質量%、分子量が578の光硬化性6官能アクリレートモノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DPH」)4.4質量%、シリカ微粒子(株式会社アドマテックス製、商品名「YA010C−SM1」)77.2質量%、光硬化剤A(BASF製、商品名「IRGACURE127」)0.6質量%、光硬化剤B(BASF製、商品名「IRGACURE184」)0.1質量%を、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル及びエチルメチルケトン)にて均一に希釈し、硬化層形成用の硬化性樹脂組成物(塗料A)を得た。
厚さ50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製、商品名「ダイアホイルT600E50」、下記記載の測定方法に準拠した熱収縮率:MD方向=1.51%、TD方向=0.31)の片面に、上記で調製した塗料Aを、硬化後の厚みが10μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、溶剤を乾燥、除去した。さらにフィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、窒素雰囲気下で塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射して、片面に光硬化性の硬化層を有するフィルムを得た。前記フィルムの当該硬化層が形成されていない面に対し、上記同様に塗料Aを塗布して硬化を行うことにより、両面に硬化層が形成された透明基板用積層フィルム1を得た。
透明基板用積層フィルム1を目視で観察し、ひび割れや白化の有無を以下の基準で評価した。
○:全体が透明でひびや白化などが全く確認されない
△:ひび、白化のいずれかが確認される
×:ひび、白化の両方が確認される。
得られたフィルムから縦方向及び横方向からそれぞれ長さ140mm×幅10mmの短冊状にフィルムを切り出し、その中間に長さ100mm間隔の標線を記入した試験片を、200℃に設定した恒温槽内で10分間無荷重の状態で懸垂し、取り出した後、室温で、15分以上放冷し、恒温槽に入れる前後の標線間の長さから熱収縮率を%値で求めた。なお、測定は各5回行い、その平均値を算出し、少数第三位を四捨五入した値を記載した。なお、熱収縮率は、フィルムの長手方向である縦方向(MD方向)と、これに直交する横方向(TD方向)の両方について測定した。得られた熱収縮率を表1に示す。
得られたフィルムの全光線透過率は、以下の装置を用い、JIS K7105に準拠する方法にて測定した。
反射・透過率計:株式会社村上色彩技術研究所「HR−100」
(透明基板用積層フィルム2の作製)
片面の硬化後の厚みが6μmになるように塗布した以外は実施例1と同様にして、両面に硬化層が形成された透明積層フィルム2を得た。熱収縮率及び全光線透過率の値は表1に示す。
(硬化性樹脂組成物2の調製)
分子量が537の光硬化性3官能アクリレートモノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−9300−1CL」)22.1質量%、シリカ微粒子(株式会社アドマテックス製、商品名「YA010C−SM1」)77.2質量%、光硬化剤A(BASF製、商品名「IRGACURE127」)0.6質量%、光硬化剤B(BASF製、商品名「IRGACURE184」)0.1質量%を、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル及びエチルメチルケトン)にて均一に希釈し、硬化層形成用の硬化性樹脂組成物(塗料B)を得た。
塗料Bを塗布した以外は実施例1と同様にして、両面に硬化層が形成された透明基板用積層フィルム3を得た。熱収縮率及び全光線透過率の値は表1に示す。
(透明基板用積層フィルム4の作製)
片面の硬化後の厚みが6μmになるように塗布した以外は実施例3と同様にして、両面に硬化層が形成された透明基板用積層フィルム4を得た。熱収縮率及び全光線透過率の値は表1に示す。
(硬化性樹脂組成物3の調製)
重量平均分子量(Mw)が1500の光硬化性多官能アクリレートオリゴマー(日本合成化学工業株式会社製、商品名「UV−7640B」)22.1質量%、シリカ微粒子(株式会社アドマテックス製、商品名「YA010C−SM1」)77.2質量%、光硬化剤A(BASF製、商品名「IRGACURE127」)0.6質量%、光硬化剤B(BASF製、商品名「IRGACURE184」)0.1質量%を、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル及びエチルメチルケトン)にて均一に希釈し、硬化層形成用の硬化性樹脂組成物(塗料C)を得た。
塗料Cを塗布した以外は実施例1と同様にして、両面に硬化層が形成された透明基板用積層フィルム5を得た。熱収縮率及び全光線透過率の値は表1に示す。
(硬化性樹脂組成物4の調製)
分子量が192の光硬化性単官能アクリレートモノマー(第一工業製薬株式会社製、商品名「PHE」)22.1質量%、シリカ微粒子(株式会社アドマテックス製、商品名「YA010C−SM1」)77.2質量%、光硬化剤A(BASF製、商品名「IRGACURE127」)0.6質量%、光硬化剤B(BASF製、商品名「IRGACURE184」)0.1質量%を、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル及びエチルメチルケトン)にて均一に希釈し、硬化層形成用の硬化性樹脂組成物(塗料D)を得た。
塗料Dを塗布した以外は実施例1と同様にして、両面に硬化層が形成された積層フィルム1を得た。得られたフィルムは溶剤乾燥後にひび割れ、及び白化が発生した。
(硬化性樹脂組成物5の調製)
分子量が204の光硬化性単官能アクリレートモノマー(日立化成工業株式会社製、商品名「FA−511AS」)22.1質量%、シリカ微粒子(株式会社アドマテックス製、商品名「YA010C−SM1」)77.2質量%、光硬化剤A(BASF製、商品名「IRGACURE127」)0.6質量%、光硬化剤B(BASF製、商品名「IRGACURE184」)0.1質量%を、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル及びエチルメチルケトン)にて均一に希釈し、硬化層形成用の硬化性樹脂組成物(塗料E)を得た。
塗料Eを塗布した以外は実施例1と同様にして、両面に硬化層が形成された積層フィルム2を得た。得られたフィルムは溶剤乾燥後にひび割れ、及び白化が発生した。
(硬化性樹脂組成物6の調製)
重量平均分子量(Mw)が5000の光硬化性2官能アクリレートオリゴマー(日本合成化学工業株式会社製、商品名「UV−3310B」、)22.1質量%、シリカ微粒子(株式会社アドマテックス製、商品名「YA010C−SM1」)77.2質量%、光硬化剤A(BASF製、商品名「IRGACURE127」)0.6質量%、光硬化剤B(BASF製、商品名「IRGACURE184」)0.1質量%を、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル及びエチルメチルケトン)にて均一に希釈し、硬化層形成用の硬化性樹脂組成物(塗料F)を得た。
塗料Fを塗布した以外は実施例1と同様にして、両面に硬化層が形成された積層フィルム3を得た。得られたフィルムは溶剤乾燥後にひび割れ、及び白化が発生した。
(硬化性樹脂組成物7の調製)
重量平均分子量(Mw)が14000の光硬化性多官能アクリレートオリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「バナレジンGH−1203」、)26.1質量%、シリカ微粒子(株式会社アドマテックス製、商品名「YA010C−SM1」)73.1質量%、光硬化剤A(BASF製、商品名「IRGACURE127」)0.7質量%、光硬化剤B(BASF製、商品名「IRGACURE184」)0.1質量%を、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル及びエチルメチルケトン)にて均一に希釈し、硬化層形成用の硬化性樹脂組成物(塗料G)を得た。
塗料Gを塗布した以外は実施例1と同様にして、両面に硬化層が形成された積層フィルム4を得た。得られたフィルムは溶剤乾燥後にひび割れ、及び白化が発生した。
上記実施例及び比較例の結果から、光重合性化合物(A)の分子量が215〜4000であることによって、無機微粒子の凝集、分離を抑制し、ひび割れ、及び白化の発生を生じずに高温時の寸法安定性の高い積層フィルムが得られることがわかった。
さらに、硬化層を所定の厚み以上に基材フィルムに配することによって、熱寸法安定性をさらに向上することが可能であることがわかった。
Claims (10)
- 基材フィルムの表裏両側に硬化層を有する積層フィルムであり、
硬化層が、分子量が215〜4000の範囲にある光重合性化合物(A)、光重合開始剤(B)及び微粒子(C)を含有する硬化性組成物を用いて形成され、かつ組成物全体に対して、少なくとも該微粒子(C)を50質量%以上含有し、
少なくとも一方向において、温度200℃で10分間加熱した際の積層フィルムの熱収縮率が、基材フィルムを同条件で加熱した際の熱収縮率の70%以下であり、かつ積層フィルムの全光線透過率が80%以上であり、
基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含有してなる2軸延伸フィルムであり、
基材フィルムの表裏両側に設けられた硬化層の厚み合計が、基材フィルムの厚みの20%以上、50%以下であることを特徴とする透明基板用積層フィルム。 - 基材フィルムの厚みが、100μm未満である、請求項1記載の透明基板用積層フィルム。
- 前記硬化性組成物が、組成物全体に対して、光重合性化合物(A)を9〜45質量%及び光重合開始剤(B)を0.1〜10質量%含有する、請求項1又は2記載の透明基板用積層フィルム。
- 前記硬化性組成物が、組成物全体に対して、光重合性化合物(A)を9〜44質量%、光重合開始剤(B)を0.1〜10質量%及び微粒子(C)を55〜90質量%含有する、請求項1〜3の何れか一項記載の透明基板用積層フィルム。
- 硬化層は、組成物全体に対して、光重合性化合物(A)を9〜44質量%、光重合開始剤(B)を0.1〜10質量%及び微粒子(C)を55〜90質量%含有してなる硬化性組成物の溶液を基材フィルムに塗布・硬化して形成された硬化塗布層である、請求項1〜3の何れか一項記載の透明基板用積層フィルム。
- 前記光重合性化合物(A)が、1分子内に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する光重合性(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーである、請求項1〜5の何れか一項記載の透明基板用積層フィルム。
- 微粒子(C)が、二酸化珪素である請求項1〜6の何れか一項記載の透明基板用積層フィルム。
- 少なくとも一方向において、温度200℃で10分間加熱した際の積層フィルムの熱収縮率が、基材フィルムを同条件で加熱した際の熱収縮率の40%以下である、請求項1〜7の何れか一項記載の透明基板用積層フィルム。
- 請求項1〜8の何れかに記載の透明基板用積層フィルムを、液晶表示素子基板、カラーフィルター基板、有機EL表示基板、太陽電池基板及びタッチパネル基板の何れかの透明基板として用いたディスプレイパネル。
- 基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレート樹脂を含有してなる2軸延伸フィルムを用い、
該基材フィルムの表裏両側に、分子量が215〜4000の範囲にある光重合性化合物(A)、光重合開始剤(B)及び微粒子(C)を含有し、少なくとも該微粒子(C)を50質量%以上含有する硬化性組成物を用いて硬化層を形成し、
該硬化層の厚み合計を、基材フィルムの厚みの20%以上、50%以下とすることにより、
少なくとも一方向において、温度200℃で10分間加熱した際の熱収縮率が、基材フィルムを同条件で加熱した際の熱収縮率の70%以下であり、かつ全光線透過率が80%以上である積層フィルムを得ることを特徴とする透明基板用積層フィルムの製造方法。
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