JP2005194672A - 剥離紙原紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 塗工性に優れ、かつ有機溶剤に対するバリヤー性と耐水性に優れた剥離紙原紙を提供すること。
【解決手段】 特定のシリル基を有する単量体単位を含有するビニルエステル系重合体をけん化することによって得られるビニルアルコール系重合体であって、下記式(I)を満足し、かつビニルアルコール系重合体の中で、その重合度が重量平均重合度の3倍を超える重合体の重量分率が25重量%以下であることを特徴とするビニルアルコール系重合体からなる塗工層を、剥離紙基材の少なくとも1面に有する剥離紙原紙とする。
20<Pw×S<460 ・・・(I)
Pw:ビニルアルコール系重合体の重量平均重合度
S:一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体単位の含有量(モル%)
【選択図】 なし

Description

本発明は剥離紙原紙に関する。より詳しくは、特定の分子量分布を有し、シリル基を含有するビニルアルコール系重合体からなる塗工層を、剥離紙基材の少なくとも1面に有する、バリヤー性及び耐水性に優れた剥離紙原紙に関する。
塗膜が撥水性及び撥油性を有するシリコーン樹脂および溶剤(トルエンなど)などを含有する油性ワニスを紙に塗工して表面に剥離性能を付与した剥離紙は、粘着ラベル、粘着テープ、工業用粘着紙を得るための基材として、また離型紙などとして用いられている。しかしながら、紙は、それを構成する主成分であるパルプ繊維間などに多くの空隙を有し、浸透性や透気性が高いため、紙の表面に直接上記ワニスを塗工するとワニスは紙の中に浸透してしまい、充分な剥離性能を有する剥離紙が得られないばかりか、不経済である。
上記の問題に対して、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)の優れた被膜形成能と耐油性を利用してPVA水溶液を紙表面に塗工する方法が一般的に用いられている。中でも部分けん化PVAが、その優れたバリヤー性の為、好んで用いられている。しかしながら、部分けん化PVAは、油性ワニスおよびそれに含まれる溶剤に対するバリヤー性は優れるものの、耐水性に劣っており、粘着加工工程等での加湿によりポリビニルアルコールが溶出し、ブロッキングするという問題がある。さらには、後加工工程で水分散性ワニスが使用できないという問題点があった。例えば、剥離紙原紙の目止め剤として使用する際には、剥離剤として使用するエマルジョンタイプのシリコーンに対する耐水性、さらにはそれに引き続く粘着加工工程でのエマルジョンタイプの粘着剤に対する耐水性が不足するという問題点があった。
特開昭58−214596号公報(特許文献1)には、ビニルエステルと分子内にケイ素を含む不飽和単量体との共重合体のけん化物である変性ポリビニルアルコール(シリル基含有PVA)を原紙に被覆することを特徴とする加工紙原紙の製造方法が記載されている。ここで製造される加工紙原紙は、シリコーン加工される剥離紙用原紙として好適に使用され、無変性のPVAに比べて、有機溶剤あるいは剥離剤に対する浸透防止効果、すなわちバリヤー性に優れているとされている。
しかしながら、一般にシリル基含有PVAは、紙に塗工するための水溶液を調製する際に、水酸化ナトリウムなどのアルカリまたは酸を添加しなければ、水に溶解させることができない場合があった。また、シリル基含有PVAの水溶液の粘度安定性が不十分で、塗工に供するための水溶液の粘度が変動してしまう場合もあった。また、シリル基含有PVAの水溶液から得られる塗膜の耐水性が十分ではなく、その結果カレンダー処理の際にカレンダーに汚れが発生する場合もあり、生産性良く製造する上で障害となっていた。さらに、得られた塗膜の有機溶剤に対するバリヤー性が不十分であるために、加工のために塗布される有機溶剤を含む塗工液が容易に紙中に吸収され、表面への歩留まりが低下するという問題もあった。
特開昭58−214596号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、塗工性に優れ、かつ有機溶剤に対するバリヤー性と耐水性に優れた剥離紙原紙を提供することを目的とするものである。
上記課題は、下記の一般式(1)
Figure 2005194672
(Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数である。)
で示されるシリル基を有する単量体単位を含有するビニルエステル系重合体をけん化することによって得られるビニルアルコール系重合体であって、下記式(I)を満足し、かつビニルアルコール系重合体の中で、その重合度が重量平均重合度の3倍を超える重合体の重量分率が25重量%以下であることを特徴とするビニルアルコール系重合体からなる塗工層を、剥離紙基材の少なくとも1面に有する剥離紙原紙を提供することによって達成される。
20<Pw×S<460 ・・・(I)
Pw:ビニルアルコール系重合体の重量平均重合度
S:一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体単位の含有量(モル%)
このとき、前記ビニルアルコール系重合体の中で、その重合度が重量平均重合度の1/2倍よりも小さい重合体の重量分率が12重量%以下であることが好適である。また、前記ビニルアルコール系重合体が、下記式(II)を満足し、かつその4%水溶液のpHが4〜8であることも好適である。
0.1/100≦(A−B)/(B)≦50/100 ・・・(II)
A:ビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
B:水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄し、次いでメタノールによるソックスレー抽出により洗浄したビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
ここで、AおよびBは、それぞれ測定試料を灰化した後、ICP発光分析法により測定される。
好適な実施態様では、前記シリル基を有する単量体が下記の一般式(2)
Figure 2005194672
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数であり、nは0〜4の整数である。)
または下記の一般式(3)
Figure 2005194672
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であるか、または酸素原子もしくは窒素原子を含む2価の炭化水素基であり、mは0〜2の整数である。)
で示される単量体である。
本発明の剥離紙原紙は、有機溶剤に対するバリヤー性に優れており、加工のために塗布される有機溶剤を含む塗工液が容易に紙中に吸収されるのを効果的に防止することができる。また、塗膜の耐水性に優れており、その結果カレンダー処理の際にカレンダーに汚れが発生しにくく、生産性良く製造することができる。さらに、塗工液の粘度安定性にも優れており、アルカリや酸を添加しなくても塗工液を調整することができる。
本発明で使用するビニルアルコール系重合体は、上記したように、下記の一般式(1)
Figure 2005194672
(Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数である。)
で示されるシリル基を有する単量体単位を含有するビニルエステル系重合体をけん化することによって得られるビニルアルコール系重合体であって、下記式(I)を満足し、かつビニルアルコール系重合体の中で、その重合度が重量平均重合度の3倍を超える重合体の重量分率が25重量%以下であることが必要である。
20<Pw×S<460 ・・・(I)
Pw:ビニルアルコール系重合体の重量平均重合度
S:一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体単位の含有量(モル%)
本発明で使用するビニルアルコール系重合体は、ビニルアルコール系重合体の重量平均重合度(Pw)とシリル基を有する単量体単位の含有量(S)の積(Pw×S)が20<Pw×S<460の関係を満足する必要がある。Pw×Sは、好ましくは50<Pw×S<420、さらに好ましくは100<Pw×S<390の関係を満足するのがよい。Pw×Sが20以下の場合には、シリル基含有PVAの水溶液から形成させた皮膜の耐水性が十分でなく、Pw×Sが460以上の場合には、アルカリなどを添加しなければシリル基含有PVAを水に溶解させることができない場合がある。
ビニルアルコール系重合体の中で、その重合度が重量平均重合度Pwの3倍を超える重合体の重量分率が25重量%を超える場合には、ビニルアルコール系重合体の水溶液の粘度安定性が低下する。
ビニルアルコール系重合体の中で、その重合度が重量平均重合度Pwの3倍を超える重合体の重量分率が25重量%を超える場合に、ビニルアルコール系重合体の水溶液の粘度安定性が低下する理由は、以下のように考えられる。
シリル基を有する重合体に含まれる全ての単量体単位の中で、シリル基を有する単量体単位は一様に存在しているため、重合体の重合度が大きいほど、重合体1分子に含まれるシリル基を有する単量体単位の数が多くなる。そして、重合体1分子に含まれるシリル基を有する単量体単位の数が多いほど、その重合体はシリル基の影響を受けやすくなる。すなわち、重合度が大きい重合体の方が、重合度が小さい重合体よりもシリル基の影響を受けやすい。従って、高重合度成分を多く含むビニルアルコール系重合体は、シリル基の影響を受けやすい重合体を多く含んでいることになり、そのため、その水溶液の粘度安定性が低下すると考えられる。
これに対して、重合体の重合度が小さいほど、重合体1分子に含まれるシリル基を有する単量体単位の数が少なくなる。そして、重合体1分子に含まれるシリル基を有する単量体単位の数が少ないほど、その重合体はシリル基の影響を受けにくくなる。すなわち、重合度が小さい重合体の方が、重合度が大きい重合体よりもシリル基の効果が現れにくい。従って、低重合度成分を多く含むビニルアルコール系重合体は、シリル基の効果が小さい重合体を多く含んでいることになる。
本発明で使用するビニルアルコール系重合体は、その重合度が重量平均重合度Pwの1/2倍よりも小さい重合体の重量分率が12重量%以下であることが好ましい。ビニルアルコール系重合体の中で、その重合度が重量平均重合度の1/2倍よりも小さい重合体の重量分率が12重量%を超える場合には、シリル基の効果が小さい低重合度成分が多く含まれているため、皮膜の耐水性および有機溶剤バリヤー性が低下する場合がある。
ビニルアルコール系重合体の重量平均重合度(Pw)および重合度分布は、例えば、GPC−LALLS測定によって求めることができる。すなわち、シリル基含有PVAをけん化度99.5モル%以上に再けん化し、精製した後、GPC−LALLS測定によって求められた重量平均分子量をビニルアルコール単量体単位の式量44で割ることにより、重量平均重合度が求められる。また、GPC−LALLS測定から得られる積分重合度分布より、重合度が特定の範囲内にある重合体の重量分率を求めることができる。
本発明で使用するビニルアルコール系重合体において、シリル基を有する単量体単位の含有量S(モル%)は、けん化する前のビニルエステル系重合体のプロトンNMRから求められる。ここでけん化する前のビニルエステル系重合体のプロトンNMRを測定するに際しては、該ビニルエステル系重合体をヘキサン−アセトンにより再沈精製して重合体中から未反応のシリル基を有する単量体を完全に取り除き、次いで90℃減圧乾燥を2日間行った後、CDCl溶媒に溶解して分析に供する。
本発明で使用するビニルアルコール系重合体は下記式(II)を満足することが好ましい。
0.1/100≦(A−B)/(B)≦50/100 ・・・(II)
A:ビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
B:水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄し、次いでメタノールによるソックスレー抽出により洗浄したビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
ここで、AおよびBは、それぞれ測定試料を灰化した後、ICP発光分析法により測定される。
ここで、上記ケイ素原子の含有量(B)を求めるにあたり、ビニルアルコール系重合体の標準的な洗浄方法は、まず、水酸化ナトリウムを含有するメタノールによる洗浄操作(ビニルアルコール系重合体1重量部に対して、ビニルアルコール系重合体のビニルアルコール単量体単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.01となるように、水酸化ナトリウムを含有するメタノール溶液を10重量部添加し、得られた混合物を1時間煮沸した後、重合体をろ別する操作)を5回繰り返し、次いで、メタノールによるソックスレー抽出を1週間行う方法である。上記洗浄方法において、水酸化ナトリウムを含有するメタノールによる洗浄操作およびメタノールによるソックスレー抽出は、ビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量がほぼ変化しなくなるまで行われるものであり、この条件が満たされる範囲において、水酸化ナトリウムを含有するメタノールによる洗浄操作回数およびメタノールによるソックスレー抽出期間は適宜増減してもよい。
上記ビニルアルコール系重合体のケイ素原子の含有量(A)は、ビニルアルコール系重合体中に含まれる全てのケイ素原子の含有量を示すと考えられる。また、水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄し、次いでメタノールによるソックスレー抽出により洗浄したビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(B)は、ビニルアルコール系重合体の主鎖に直接組み込まれたシリル基含有単量体に由来するケイ素原子の含有量を示すと考えられる。
ケイ素原子の含有量(B)を求めるに当たり、ビニルアルコール系重合体は水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄され、その際にシロキサン結合(−Si−O−Si−)が切断される。このとき、ビニルアルコール系重合体の主鎖に直接組み込まれておらず、シロキサン結合を介してビニルアルコール系重合体の主鎖と結合していたシリル基含有単量体は、ビニルアルコール系重合体から切り離され、重合体中から取り除かれる。そのため、ケイ素原子の含有量(B)は、ビニルアルコール系重合体の主鎖に直接組み込まれていないシリル基含有単量体が取り除かれた状態でのケイ素原子の含有量を示していると考えられる。したがって、上記の関係式0.1/100≦(A−B)/(B)≦50/100における(A−B)は、ビニルアルコール系重合体の主鎖に直接導入されていないシリル基を有する単量体単位に由来するシリル基の含有量を示していると考えられる。
ビニルアルコール系重合体における(A−B)/(B)の値が大きい場合には、ビニルアルコール系重合体に余剰のシリル基を有する単量体単位が多く含まれていることを意味しており、ビニルアルコール系重合体における(A−B)/(B)の値が小さい場合には、ビニルアルコール系重合体の主鎖に直接導入されていない、余剰のシリル基を有する単量体単位の量が少ないことを意味している。
(A−B)/(B)の好ましい範囲は0.1/100〜50/100であり、さらに好ましい範囲は0.3/100〜25/100であり、特に好ましい範囲は0.4/100〜20/100である。(A−B)/(B)が50/100を超えると、余剰のシリル基を含有する単量体単位と、主鎖に組み込まれたシリル基含有単量体単位との間でシロキサン結合(−Si−O−Si−)が多数形成されるために、ビニルアルコール系重合体の分子の運動性が制限されて、ビニルアルコール系重合体の水溶液の粘度安定性が低下したり、有機溶剤バリヤー性が低下する場合があると考えられる。一方、(A−B)/(B)が0.1/100に満たない場合には、余剰のシリル基を含有する単量体単位と、主鎖に組み込まれたシリル基含有単量体単位との間で形成されるシロキサン結合(−Si−O−Si−)の割合が少ないために、ビニルアルコール系重合体に含まれるシリル基の量が低下して、有機溶剤バリヤー性が低下すると考えられる。さらに(A−B)/(B)が0.1/100に満たないビニルアルコール系重合体は、その製造の際の洗浄にコストがかかるため現実的ではない。
さらに、本発明で使用するビニルアルコール系重合体は、その4%水溶液のpHが4〜8であることが好ましい。その4%水溶液のpHのさらに好ましい範囲は4.5〜7であり、特に好ましい範囲は5〜6.5である。4%水溶液のpHが4に満たない場合には、ビニルアルコール系重合体水溶液の粘度安定性が低下することがあり、有機溶媒バリヤー性が低下することもある。一方、4%水溶液のpHが8を超える場合には、皮膜の耐水性が低下して、塗工操作時にカレンダー汚れが発生することがあるとともに、有機溶媒バリヤー性が低下するため好ましくない。
本発明で使用するビニルアルコール系重合体に含まれるシリル基を表す一般式(1)において、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数である。
ここで、Rで表される炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基などが挙げられる。Rで表されるアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシロキシ基、オクチロキシ基、ラウリロキシ基、オレイロキシ基などが挙げられ、また、アシロキシル基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基などが挙げられる。これらのアルコキシル基またはアシロキシル基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、その置換基の例として、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシル基を挙げることができる。
本発明で使用するビニルアルコール系重合体は、ビニルエステル単量体と一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体とを共重合させ、得られるビニルエステル系重合体をけん化することにより製造することができる。
また、本発明のビニルアルコール系重合体は、ビニルエステル単量体と一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体とを2−メルカプトエタノール、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で共重合させ、得られるビニルエステル系重合体をけん化することによっても製造することができる。この方法により、チオール化合物に由来する官能基が末端に導入されたビニルアルコール系重合体が得られる。
このようなビニルアルコール系重合体の製造に用いられるビニルエステル単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられ、とりわけ酢酸ビニルが好ましい。
ビニルエステル単量体とのラジカル共重合に用いられる一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体として、下記の一般式(2)
Figure 2005194672
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数であり、nは0〜4の整数である。)
または下記の一般式(3)
Figure 2005194672
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であるかまたは酸素原子もしくは窒素原子を含む2価の炭化水素基であり、mは0〜2の整数である。)
で示される化合物を挙げることができる。
上記一般式(2)および一般式(3)において、Rで表される炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基などが挙げられる。Rで表されるアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシロキシ基、オクチロキシ基、ラウリロキシ基、オレイロキシ基などが挙げられ、また、アシロキシル基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基などが挙げられる。これらのアルコキシル基またはアシロキシル基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、その置換基の例として、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシル基を挙げることができる。また、Rで表される炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基などが挙げられる。Rで表される炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ジメチルエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などが挙げられ、また、酸素原子または窒素原子を含む2価の炭化水素基としては、−CHCHNHCHCHCH−、−CHCHNHCHCH−、−CHCHNHCH−、−CHCHN(CH)CHCH−、−CHCHN(CH)CH−、−CHCHOCHCHCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCH−などが挙げられる。
上記式(2)で示される単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジブトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシランなどが挙げられる。
上記式(2)においてnが1以上のシリル基を有する単量体とビニルエステル単量体を共重合させる場合には、得られるビニルエステル系重合体の重合度が低下する傾向がある。その点、ビニルトリメトキシシランは、ビニルエステル単量体と共重合させた場合に、得られるビニルエステル系重合体の重合度の低下を抑えることができるうえ、工業的な製造が容易で安価に入手できることから好ましく用いることができる。
また、上記式(3)で示される単量体としては、例えば、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、2−(メタ)アクリルアミド−エチルトリメトキシシラン、1−(メタ)アクリルアミド−メチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−イソプロピルトリメトキシシラン、N−(2−(メタ)アクリルアミド−エチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、(3−(メタ)アクリルアミド−プロピル)−オキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリアセトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−エチルトリアセトキシシラン、4−(メタ)アクリルアミド−ブチルトリアセトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリプロピオニルオキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリアセトキシシラン、N−(2−(メタ)アクリルアミド−エチル)−アミノプロピルトリアセトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルイソブチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−エチルジメチルメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルメチルジアセトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルハイドロジェンジメトキシシラン、3−(N−メチル−(メタ)アクリルアミド)−プロピルトリメトキシシラン、2−(N−エチル−(メタ)アクリルアミド)−エチルトリアセトキシシランなどが挙げられる。
これらの単量体の中でも、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシランおよび3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリアセトキシシランは、工業的な製造が比較的容易で安価に入手できることから好ましく用いることができ、また2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシランおよび2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリアセトキシシランはアミド結合が酸またはアルカリに対して著しく安定であることから、好ましく用いることができる。
シリル基を有する単量体とビニルエステル単量体とを共重合させる方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その方法の中でも、無溶媒で行う塊状重合法、またはアルコールなどの溶媒を用いて行う溶液重合法が通常採用される。塊状重合法や溶液重合法で重合するにあたって、その重合度が重量平均重合度Pwの3倍を超える重合体の重量分率が25重量%以下であり、好ましくは、その重合度が重量平均重合度Pwの1/2倍より小さい重合体の重量分率が12重量%以下である本発明のビニルアルコール系重合体を得る重合方法については、重合条件等により一概に限定はできないが、高重合度成分および低重合度成分の比率を抑える観点から、連続重合方式が最も好ましい。連続重合方式としては、例えば1〜2槽連続重合方式が好ましく、1槽連続重合方式がさらに好ましい。また、回分方式の場合、ビニルエステル単量体の重合率などにより、高重合度成分および低重合度成分の比率が変化し、重合率の上昇に伴い、高重合度成分および低重合度成分の比率は増加するため、比較的低重合率で重合する方が好ましい。回分方式での好適な重合率は、重合条件などにより異なるため一概に規定はできないが、ビニルエステル単量体の重合率として、10〜80%が好ましく、15〜50%がさらに好ましい。溶液重合法を採用して共重合反応を行う際に、溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合反応に使用される開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)などのアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。共重合反応を行う際の重合温度については特に制限はないが、50〜180℃の範囲が適当である。
シリル基を有する単量体とビニルエステル単量体とをラジカル共重合させる際には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、必要に応じて、共重合可能な単量体を共重合させることができる。このような単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸またはその誘導体;アクリル酸またはその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸またはその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有ビニルエーテル類;アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類;オキシアルキレン基を有する単量体;酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等のカチオン基を有する単量体などが挙げられる。これらのシリル基を有する単量体およびビニルエステル単量体と共重合可能な単量体の使用量は、その使用される目的および用途等によっても異なるが、通常、共重合に用いられる全ての単量体を基準にした割合で20モル%以下、好ましくは10モル%以下である。
シリル基を有する単量体とビニルエステル単量体とを共重合させることによって得られたビニルエステル系重合体は、次いで、公知の方法にしたがって溶媒中でけん化され、ビニルアルコール系重合体へと導かれる。
ビニルエステル系重合体のけん化反応の触媒としては通常、アルカリ性物質が用いられ、その例として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、およびナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。アルカリ性物質の使用量は、ビニルエステル系重合体中のビニルエステル単量体単位を基準にしたモル比で0.004〜0.5の範囲内であることが好ましく、0.005〜0.05の範囲内であることが特に好ましい。けん化触媒は、けん化反応の初期に一括して添加しても良いし、あるいはけん化反応の初期に一部を添加し、残りをけん化反応の途中で追加して添加しても良い。
けん化反応に用いることができる溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒の中でもメタノールが好ましく用いられ、その使用にあたり、メタノールの含水率が好ましくは0.001〜1重量%、より好ましくは0.003〜0.9重量%、特に好ましくは0.005〜0.8重量%に調整されているのがよい。
けん化反応は、好ましくは5〜80℃、より好ましくは20〜70℃の温度で行われる。けん化反応に必要とされる時間は、好ましくは5分〜10時間、より好ましくは10分〜5時間である。けん化反応は、バッチ法および連続法のいずれの方式にても実施可能である。けん化反応の終了後に、必要に応じて、残存するけん化触媒を中和しても良く、使用可能な中和剤として、酢酸、乳酸などの有機酸、および酢酸メチルなどのエステル化合物などを挙げることができる。
本発明で使用するビニルアルコール系重合体のけん化度について特に制限はないが、けん化度は好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。そして、皮膜の耐水性を良好にして、塗工操作時のカレンダー汚れを抑制するという観点から、ビニルアルコール系重合体の最適のけん化度は95モル%以上である。
けん化反応により得られたビニルアルコール系重合体は、必要に応じて、洗浄することができ、この操作は、前述したビニルアルコール系重合体における(A−B)/(B)の値を調整する手段として有用である。使用可能な洗浄液としては、メタノールなどの低級アルコール、酢酸メチルなどの低級脂肪酸エステル、およびそれらの混合物などを挙げることができ、これらの洗浄液には、少量の水、またはアルカリもしくは酸が添加されていても良い。
ビニルアルコール系重合体を洗浄するのに採用される方法は、ビニルエステル単量体とシリル基を有する単量体とを共重合させる際の重合率、共重合によって得られるビニルエステル系重合体の重合度、ビニルエステル系重合体をけん化することによって得られるビニルアルコール系重合体のけん化度等により異なり、これを一律に規定するのは困難である。その方法の一つとして、例えば、ビニルエステル単量体とシリル基を有する単量体との共重合体(ビニルエステル系重合体)をアルコール溶液中でけん化することによって得られる、乾燥する前のアルコールなどが含浸された湿潤状態のビニルアルコール系重合体の重量に対して1〜20倍量のメタノールなどの低級アルコール、酢酸メチルなどの低級脂肪酸エステル、またはそれらの混合物を洗浄液として用い、20℃〜洗浄液の沸点の温度条件にて30分〜10時間程度洗浄するという方法を挙げることができる。
本発明で使用するビニルアルコール系重合体は粉末の状態で保存および輸送することが可能であり、また、使用に際しては、粉末の状態のままで、あるいは液体に分散させた状態で使用することができる。ビニルアルコール系重合体を水に溶解させて、水溶液として使用することもでき、この場合には、ビニルアルコール系重合体を水に分散させた後、攪拌しながら加温することにより均一な水溶液とすることができる。なお、この場合には、水に対して水酸化ナトリウムなどのアルカリを特に添加しなくとも均一な水溶液を得ることができる。
本発明で使用するビニルアルコール系重合体は、水酸化ナトリウムなどのアルカリまたは酸を添加しなくても、水に溶解させて水溶液を調製することが可能である;その水溶液が優れた粘度安定性を有する;その水溶液から得られる皮膜が耐水性に優れている;無機物との混合物から得られる皮膜が耐水性に優れている、などの特徴を備えており、その特性を生かして、紙への塗工液として用いることができる。
以上説明したシリル基含有PVAを塗工層に用いる際、これらの塗工液に、本発明の目的が阻害されない範囲で、各種高分子(水溶性高分子または高分子エマルジョンまたはラテックス等)、充填剤、界面活性剤(ノニオン性、アニオン性)、滑剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、pH調節剤、紫外線吸収剤を、用途または性能に応じて適宜配合することができる。
水溶性高分子または高分子分散体としては、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、アラビヤゴム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸のアルカリ塩(ソーダ塩等)、アクリル酸(またはメタクリル酸)エステル共重合体のアルカリ塩(ソーダ塩等)、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド(またはメタクリルアミド)/アクリル酸(またはメタクリル酸)エステル共重合体、アクリルアミド(またはメタアクリルアミド)/アクリル酸エステル(またはメタアクリル酸エステル)/アクリル酸(またはメタアクリル酸)三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩(ソーダ塩)、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩(ソーダ塩等)、ジイソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩(ソーダ塩等)、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン、スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックス等が挙げられる。
充填剤としては、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、焼成クレー、酸化チタン、ケイソウ土、シリカ、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸マグネシウム、ポリスチレン微粒子、ポリ酢酸ビニル系微粒子、尿素−ホルマリン樹脂微粒子、小麦粉等が挙げられる。
また、必要に応じてグリオキザール、尿素樹脂、メラミン樹脂、多価金属塩、水溶性ポリアミド樹脂等の耐水化剤を添加することもできる。
本発明において、シリル基含有PVAの濃度は特に制限はなく、塗工量(塗工により生じた紙の乾燥重量の増加)、塗工に使用する装置、操作条件などに応じて任意に選択されるが、通常1〜15重量%が用いられている。塗工設備としては、2−ロールサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、メタリングサイズプレス、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター等がある。そして、塗工量は紙の性状に応じて任意に選択することが出来るが、通常紙の片面当たり0.3〜3g/m程度が特に優れて用いられている。また、塗工液は水溶液であることが好適であり、その水溶液粘度は50℃において10〜3000cps程度で用いられる事が多い。塗工液には水以外の他の溶剤の使用を妨げるものではない。
塗工紙の乾燥は、例えば熱風、赤外線、加熱シリンダーやこれらを組み合わせた方法により行うことができ、乾燥した塗工紙は、調湿及びカレンダー処理、特にスーパーカレンダー処理することにより、バリヤー性を更に向上させることが出来る。調湿条件としては、紙中水分率を10〜30重量%とするのが望ましい。また、カレンダー処理条件としては、ロール温度が常温〜200℃、ロール線圧20〜350kg/cmが好ましい。
本発明における塗工紙のスーパーカレンダー処理前の紙含水率は、10〜30重量%が好ましく、13〜25重量%がより好ましく、15〜20重量%が特に好ましい。スーパーカレンダー処理前の紙含水率が、10重量%未満の場合は、十分な透気度およびトルエンバリヤー性能が得られない場合があり、30重量%を超える場合は、カレンダー汚れが生じやすくなる。
本発明で得られる剥離紙原紙の透気度としては1万秒以上であれば本発明の目的は達成できるが、なかでも3万秒以上であることが好ましく、さらには5万秒以上であることが好ましい。透気度が1万秒未満の場合には、剥離紙原紙への上塗り塗工剤に対する目止め効果が十分でなく不経済である。これら上塗り塗工剤としては剥離層と粘着層がある。剥離層に用いられる剥離剤としては溶剤系のシリコーン、非溶剤系(エマルジョン系、オリゴマー系)のシリコーンがある。また、剥離層の上塗り層に用いられる粘着剤としては、溶剤系の粘着剤、エマルジョン系の粘着剤がある。いずれの場合に於いても、溶剤系を使用する場合には、それに含まれる溶剤(トルエンなど)に対するバリヤー性が必要となり、エマルジョン系を使用する場合には水に対するバリヤー性と耐水性、とりわけ耐水性が必要となる。
本発明で使用する剥離紙基材としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ等の化学パルプ、GP、RGP、TMP等の機械パルプを原料として用い、長網抄紙機、長網ヤンキー型抄紙機、あるいは丸網抄紙機等で抄紙される上質紙、中質紙、アルカリ性紙を包含するものである。原紙中には、有機および無機の顔料、並びに紙力増強剤、サイズ剤、歩留まり向上剤等の抄紙補助薬品が含まれても良い。なお坪量としては好適には10〜100g/m2の範囲から選ばれる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。
まず、下記の方法によりPVAを製造し、そのけん化度、シリル基を有する単量体単位の含有量、重量平均重合度、およびケイ素原子の含有量を求めた。
[PVAのけん化度]
PVAのけん化度は、JIS K6726に記載の方法により求めた。
[PVAに含まれるシリル基を有する単量体単位の含有量]
けん化する前のビニルエステル系重合体をヘキサン−アセトンにより再沈精製して、重合体中から未反応のシリル基を有する単量体を完全に取り除き、次いで90℃減圧乾燥を2日間行った後、CDCl溶媒に溶解したものを測定試料とし、500MHzのプロトンNMR測定装置(JEOL GX−500)によりPVAに含まれるシリル基を有する単量体単位の含有量を求めた。
[PVAの重量平均重合度]
PVAをけん化度99.5モル%以上までけん化したものを試料として用い、LALLS(低角度レーザー光散乱光度計)法により重量平均分子量を求めた。カラムとしてTSK−gel−GMPWxL(東ソー製)3本を接続したGPC224型ゲル浸透クロマトグラフ(Waters)を用いて、23℃にて測定を行った。なお、測定にあたり、溶媒として0.08Mのトリス緩衝液(pH7.9)を用い、検出器にはR−401型示差屈折率計、8X(Waters)を用いた。試料の絶対分子量を求めるため、KMX−6型低角度レーザー光散乱光度計(Chromatix)を接続して測定を行い、測定の結果得られた重量平均分子量をビニルアルコール単量体単位の式量44で割った値を重量平均重合度とした。また、重合度が重量平均重合度の3倍を超える重合体の重量分率、および重合度が重量平均重合度の1/2倍よりも小さい重合体の重量分率は、上記の測定により得られた積分重合度分布から求めた。
[PVAに含まれるケイ素原子の含有量]
PVAに含まれるケイ素原子の含有量は、前述した方法にしたがって、ジャーレルアッシュ社製ICP発光分析装置IRIS APを用いて求めた。
PVA1
攪拌機、温度センサー、薬液添加ライン、重合液取り出しラインおよび還流冷却管を備え付けた重合槽に酢酸ビニル2500部、メタノール1656部、ビニルトリメトキシシラン(VMS)を2重量%含有するメタノール溶液752部を仕込み、攪拌下に系内を窒素置換した後、内温を60℃まで上げた。この系に2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメトキシバレロニトリル)(AMV)を0.1部含有するメタノール20部を添加し、重合反応を開始した。重合開始時点より、VMSを2重量%含有するメタノール溶液100部を添加しながら重合を実施した。また同時に、AMVを0.13重量%含有するメタノール溶液を23部/時間の割合で系内に添加し、系内の固形分濃度が25%になるまで4時間重合反応を行った。系内における固形分の濃度が25%に到達した時点から、酢酸ビニル625部/時間、メタノール414部/時間、VMSを2%含有するメタノール溶液188部/時間、およびAMVを0.13%含有するメタノール溶液を23部/時間の割合でそれぞれ系内に添加する一方で、重合槽内の液面が一定になるように系内から重合液を連続的に取り出しながら重合反応を行い、溶液の添加開始から4時間を経過した時点で重合液を回収した。回収した液にメタノール蒸気を導入することで未反応の酢酸ビニル単量体を追い出し、ビニルエステル系重合体を40%含むメタノール溶液を得た。なお、重合液の回収を始めた時点の系内の固形分濃度は25%であった。
このビニルエステル系重合体を40%含有するメタノール溶液に対して、ビニルエステル系重合体の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.02、ビニルエステル系重合体の固形分濃度が35重量%となるように、メタノール、および水酸化ナトリウムを10重量%含有するメタノール溶液をこの順序で攪拌下に加え、40℃でけん化反応を開始した。
けん化反応の進行に伴ってゲル化物が生成した直後にこれを反応系から取り出して粉砕し、次いで、この粉砕物に対して、けん化反応の開始から1時間が経過した時点で酢酸メチルを添加することで中和し、メタノールで膨潤したPVAを得た。このメタノールで膨潤したPVAに対して重量基準で6倍量(浴比6倍)のメタノールを加え、還流下に1時間洗浄し、次いで65℃で16時間乾燥してPVAを得た。
得られたPVAにおけるビニルトリメチルシラン単位の含有量は0.50モル%、けん化度は98.5モル%、重量平均重合度は580であった。また、上記したPVAに含まれるケイ素原子含有量の分析方法に従って求められた(A−B)/(B)の値は10.9/100であり、4%PVA水溶液のpHは6.0であった。
PVA2
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、シリル基を有する単量体の仕込み量、重合開始剤の使用量、重合反応の条件等を表1に示すように変化させた以外はPVA1と同様の方法によりPVA2を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA3
攪拌機、温度センサー、薬液添加ライン、重合液取り出しラインおよび還流冷却管を備え付けた重合槽1、ならびに同様の装備をした重合槽2に、それぞれ酢酸ビニル2000部、メタノール2352部、ビニルトリメトキシシラン(VMS)を2重量%含有するメタノール溶液600部を仕込み、攪拌下に系内を窒素置換した後、内温を60℃まで上げた。重合槽1および重合槽2に、それぞれ2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメトキシバレロニトリル)(AMV)0.05部を含有するメタノール溶液20部を添加し、重合反応を開始した。それぞれの重合槽に、重合開始時点よりVMS2重量%を含有するメタノール溶液80部を150部/時間の割合で添加しながら重合を実施した。また同時に、AMV0.13重量%を含有するメタノール溶液を4部/時間の割合で重合槽1および重合槽2に添加し、系内における固形分の濃度が10%になるまで4時間重合反応を行った。その後、重合槽1に酢酸ビニル500部/時間、メタノール588部/時間、VMSを2%含有するメタノール溶液150部/時間、およびAMVを0.13%含有するメタノール溶液を4部/時間の割合でそれぞれ系内に添加する一方で、重合槽内の液面が一定になるように重合槽1から重合液を連続的に取り出してこれを重合槽2へフィードし、重合槽2についても重合槽内の液面が一定になるように重合液を連続的に取り出しながら重合反応を行った。なお、重合槽1から取り出した重合液を重合槽2へフィードする際に、AMVを0.13%含有するメタノールを8部/時間の割合で添加した。
フィード開始から4時間が経過して重合槽1での固形分の濃度が10%、重合槽2での固形分の濃度が24%となった時点で重合槽2より重合液を回収し、回収した液にメタノール蒸気を導入することで未反応の酢酸ビニル単量体を追い出し、ビニルエステル系重合体を40%含むメタノール溶液を得た。
このビニルエステル系重合体を40%含有するメタノール溶液に対して、ビニルエステル系重合体の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.02、ビニルエステル系重合体の固形分濃度が35重量%となるように、メタノール、および水酸化ナトリウムを10重量%含有するメタノール溶液をこの順序で攪拌下に加え、40℃でけん化反応を開始した。
けん化反応の進行に伴ってゲル化物が生成した直後にこれを反応系から取り出して粉砕し、次いで、この粉砕物に対して、けん化反応の開始から1時間が経過した時点で酢酸メチルを添加することで中和し、メタノールで膨潤したPVAを得た。このメタノールで膨潤したPVAに対して重量基準で6倍量(浴比6倍)のメタノールを加え、還流下に1時間洗浄し、次いで65℃で16時間乾燥してPVAを得た。
得られたPVAにおけるビニルトリメチルシランの含有量は0.50モル%、けん化度は98.2モル%、重量平均重合度は590であった。また、上記したPVAに含まれるケイ素原子含有量の分析方法に従って求められた(A−B)/(B)の値は9.6/100であり、4%PVA水溶液のpHは6.0であった。
PVA4
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、シリル基を有する単量体の仕込み量、重合開始剤の使用量、重合反応の条件、けん化反応の条件等を表2に示すように変化させた以外はPVA3と同様の方法によりPVA4を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA5
攪拌機、温度センサー、滴下漏斗および還流冷却管を備え付けた6Lセパラブルフラスコに酢酸ビニル1050部、メタノール2056部、ビニルトリメトキシシランを2重量%含有するメタノール溶液394部を仕込み、攪拌下に系内を窒素置換した後、内温を60℃まで上げた。この系に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.3部を含有するメタノール20部を添加し、重合反応を開始させた。重合開始時点よりビニルトリメトキシシランを2重量%含有するメタノール溶液30部を系内に添加しながら4時間重合反応を行い、その時点で重合反応を停止した。重合反応を停止した時点における系内の固形分濃度は15.2%であった。次いで、系内にメタノール蒸気を導入することで未反応の酢酸ビニル単量体を追い出し、ビニルエステル系重合体を40%含むメタノール溶液を得た。
このビニルエステル系重合体を40%含有するメタノール溶液に対して、ビニルエステル系重合体の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.02、ビニルエステル系重合体の固形分濃度が35重量%となるように、メタノール、および水酸化ナトリウムを10重量%含有するメタノール溶液をこの順序で攪拌下に加え、40℃でけん化反応を開始した。
けん化反応の進行に伴ってゲル化物が生成した直後にこれを反応系から取り出して粉砕し、次いで、この粉砕物に対して、けん化反応の開始から1時間が経過した時点で酢酸メチルを添加することで中和し、メタノールで膨潤したPVAを得た。このメタノールで膨潤したPVAに対して重量基準で6倍量(浴比6倍)のメタノールを加え、還流下に1時間洗浄し、次いで65℃で16時間乾燥してPVAを得た。
得られたPVAにおけるビニルトリメチルシランの含有量は0.50モル%、けん化度は98.5モル%、重量平均重合度は560であった。また、上記したPVAに含まれるケイ素原子含有量の分析方法に従って求められた(A−B)/(B)の値は10.9/100であり、4%PVA水溶液のpHは6.0であった。
PVA6〜9
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、シリル基を有する単量体の種類および仕込み量、重合開始剤の使用量、重合反応の条件、けん化反応の条件等を表3に示すように変化させた以外はPVA5と同様の方法により各種のPVA(PVA6〜9)を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA10
ビニルエステル系重合体に対して、ビニルエステル系重合体の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.01となるように、水酸化ナトリウムを10重量%含有するメタノール溶液を添加してけん化反応を行った以外は、PVA1と同様にしてPVA10を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA11
ビニルエステル系重合体に対して、ビニルエステル系重合体の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.01となるように、水酸化ナトリウムを10重量%含有するメタノール溶液を添加してけん化反応を行った以外は、PVA2と同様にしてPVA11を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA12
メタノールによる洗浄の操作を省略した以外はPVA2と同様の方法によりPVA12を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA13
けん化反応で得られたPVAを酢酸メチルで中和する前に、メタノールを用いたソックスレー抽出による洗浄の操作を加えた以外は、PVA2と同様にしてPVA13を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA14
酢酸メチルの代わりに、けん化反応に用いた水酸化ナトリウムの5倍のモル数の酢酸を用いて中和を行い、さらにメタノールによる洗浄(浴比6倍)を室温で1時間行った以外はPVA2と同様の方法によりPVA14を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA15
酢酸メチルによる中和を行わず、さらにメタノールによる洗浄(浴比6倍)を室温で1時間行った以外はPVA2と同様の方法によりPVA15を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA16および17
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、シリル基を有する単量体の仕込み量、重合開始剤の使用量、重合反応の条件等を表1に示すように変化させた以外はPVA1と同様の方法によりPVA16および17を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA18および19
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、シリル基を有する単量体の仕込み量、重合開始剤の使用量、重合反応の条件、けん化反応の条件等を表2に示すように変化させた以外はPVA3と同様の方法によりPVA18および19を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA20および21
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、シリル基を有する単量体の種類および仕込み量、重合開始剤の使用量、重合反応の条件、けん化反応の条件等を表3に示すように変化させた以外はPVA5と同様の方法によりPVA20および21を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA22
ビニルエステル系重合体に対して、ビニルエステル系重合体の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.01となるように、水酸化ナトリウムを10重量%含有するメタノール溶液を添加してけん化反応を行った以外は、PVA16と同様にしてPVA22を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
PVA23
ビニルエステル系重合体に対して、ビニルエステル系重合体の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.01となるように、水酸化ナトリウムを10重量%含有するメタノール溶液を添加してけん化反応を行った以外は、PVA17と同様にしてPVA23を合成した。得られたPVAについて分析した結果を表4に示す。
実施例1
PVA1を用いて、下記の評価方法によりPVA水溶液の粘度安定性及び皮膜の耐水性を評価した。また、PVA水溶液を表5に示す条件で塗工処理して、下記の評価に供した。それらの結果をまとめて表5に示す。
(1)PVA水溶液の粘度安定性
濃度9%のPVA水溶液を調製して10℃恒温槽中に放置し、該PVA水溶液の温度が10℃になった直後の粘度と7日後の粘度を測定した。PVA水溶液の温度が10℃になった直後の粘度で7日後の粘度を除した値(7日後/直後)を求め、以下の基準にしたがって判定した。
A:2.5倍未満。
B:2.5倍以上3.5倍未満。
C:3.5倍以上。
(2)皮膜の耐水性
濃度8%のPVA水溶液を調製してこれを20℃で流延し、厚み40μmの皮膜を得た。得られた皮膜を120℃で10分間熱処理した後、縦10cm、横10cmの大きさに切り出し、試験片を作製した。この試験片を20℃の蒸留水に30分間浸漬した後、取り出し(回収し)、表面に付着した水分をガーゼで拭き取り、水膨潤時の重量を測定した。水膨潤時の重量を測定した試験片を105℃で16時間乾燥した後、乾燥時の重量を測定した。ここで水膨潤時の重量を乾燥時の重量で除した値を求めてこれを膨潤度(倍)とし、以下の基準にしたがって判定した。
A:4.0倍未満。
B:4.0倍以上5.0倍未満。
C:5.0倍以上であるか、または浸漬した試験片を回収することができない。
(3)塗工液の塗工および乾燥
PVA1の濃度11wt%水溶液を調整し、試験用2−ロールサイズプレス機(熊谷理機工業製)を用いて、坪量80g/m2のグラシン紙(カナディアンスタンダードフリーネス:200ml)に塗工した。塗工は50℃にて100m/分の条件で行った後、110℃で1分間乾燥させ、塗工紙を得た。塗工液の固形分換算の塗工量は1.8g/m2であった。
(4)塗工紙のカレンダー処理
上記工程(3)にて得られた塗工紙を、恒温恒湿機にて72時間調湿し、含水率を17wt%に調整した(含水率の測定はJIS P8127に準拠して行った)。その後、スーパーカレンダー処理(150℃、250kg/cm、10m/min.1回処理)しサンプルとした。このサンプルの物性を測定した。
(5)カレンダー汚れの評価
上記工程(4)にて調湿後の塗工紙をスーパーカレンダーに通紙後の、塗工紙が接触した部分のチルドロールの汚れを下記の基準により目視判定した。
基準 ◎−チルドロールの表面に付着物なし
○−チルドロールの表面の部分的(半分以下)に付着物あり
△−チルドロールの表面の半分程度に付着物あり
×−チルドロールの表面全体に付着物あり
(6)トルエンバリヤー性
塗工紙の塗工面上に着色トルエン(赤)を塗布(5×5cm)後、裏面(未塗工面)への裏抜け(小さな赤色の斑点ないし塗布面の全面着色)の度合いを下記の基準により判定した。
基準 ◎−裏面に斑点なし
○−斑点が多数発生(トルエン塗布面の約10〜20%程度)
△−塗布面の約50%が着色
×−塗布面全体が着色
(7)塗工紙の透気度
JIS P8117に準じ王研式滑度透気度試験器を用いて測定した。
実施例2〜15
PVA2〜PVA15を用いて、実施例1と同様にしてPVA水溶液の粘度安定性及び皮膜の耐水性を評価した。また、PVA水溶液を表5に示す条件で塗工処理して、実施例1と同様に評価した。それらの結果をまとめて表5に示す。
比較例1〜8
PVA16〜PVA23を用いて、実施例1と同様にしてPVA水溶液の粘度安定性及び皮膜の耐水性を評価した。また、PVA水溶液を表5に示す条件で塗工処理して、実施例1と同様に評価した。それらの結果をまとめて表5に示す。
実施例16〜19
PVA2を用いて、カレンダー処理時の紙の含水率を表5に示すように変えた以外は実施例1と同様にして塗工処理を行い、実施例1と同様に評価した。それらの結果をまとめて表5に示す。
Figure 2005194672
Figure 2005194672
Figure 2005194672
Figure 2005194672
Figure 2005194672
表5の結果から、実施例1〜19で使用したPVA水溶液は粘度安定性および皮膜の耐水性に優れていることがわかる。このようなPVA水溶液を用いることによってカレンダー汚れの少ない塗工操作が可能である。また、得られた剥離紙原紙は、透気度が高く、しかもトルエンバリヤー性に優れることがわかった。特に、ビニルアルコール系重合体が前述の式(II)[0.1/100≦(A−B)/(B)≦50/100]を満足し、ビニルアルコール系重合体の4%水溶液のpHが4〜8の条件を満たし、かつ、ビニルアルコール系重合体の中で、その重合度が重量平均重合度Pwの1/2倍よりも小さい重合体の重量分率が12重量%以下であり、かつけん化度が95モル%以上である場合(実施例1〜6)には、さらにバランス良く優れたものとなることがわかる。
しかしながら、Pw(ビニルアルコール系重合体の重量平均重合度)×S(シリル基を有する単量体単位の含有量)が20以下のビニルアルコール系重合体は、耐水性及び透気度が低下し、トルエンバリヤー性も不十分であった(比較例6)。一方、Pw×Sが460以上のビニルアルコール系重合体は、水に完全に溶解しないことから、評価することができなかった(比較例5)。
ビニルアルコール系重合体の中で、重合度が重量平均重合度Pwの3倍を超える重合体の重量分率が25重量%を超えるビニルアルコール系重合体は、水溶液の粘度安定性、皮膜の耐水性、透気度およびトルエンバリヤー性が十分ではないことが分かる(比較例3および4)。
シリル基含有単量体を全く含まないビニルアルコール系重合体は、皮膜の耐水性、透気度およびトルエンバリヤー性が十分ではないことが分かる(比較例1、2、7および8)。
また、実施例2、16〜19を比較すればわかるように、カレンダー処理前の含水率が高くなりすぎるとカレンダーの汚れが増加する傾向が認められる。ただし、一般に含水率が高いほど紙がよくつぶれて、目止め効果が大きくなることもあり、含水率が17%の時(実施例2)に最良の結果が得られた。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(1)
    Figure 2005194672
    (Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数である。)
    で示されるシリル基を有する単量体単位を含有するビニルエステル系重合体をけん化することによって得られるビニルアルコール系重合体であって、下記式(I)を満足し、かつビニルアルコール系重合体の中で、その重合度が重量平均重合度の3倍を超える重合体の重量分率が25重量%以下であることを特徴とするビニルアルコール系重合体からなる塗工層を、剥離紙基材の少なくとも1面に有する剥離紙原紙。
    20<Pw×S<460 ・・・(I)
    Pw:ビニルアルコール系重合体の重量平均重合度
    S:一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体単位の含有量(モル%)
  2. 前記ビニルアルコール系重合体の中で、その重合度が重量平均重合度の1/2倍よりも小さい重合体の重量分率が12重量%以下である請求項1記載の剥離紙原紙。
  3. 前記ビニルアルコール系重合体が、下記式(II)を満足し、かつその4%水溶液のpHが4〜8である請求項1または2記載の剥離紙原紙。
    0.1/100≦(A−B)/(B)≦50/100 ・・・(II)
    A:ビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
    B:水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄し、次いでメタノールによるソックスレー抽出により洗浄したビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
    ここで、AおよびBは、それぞれ測定試料を灰化した後、ICP発光分析法により測定される。
  4. 前記シリル基を有する単量体が下記の一般式(2)
    Figure 2005194672
    (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数であり、nは0〜4の整数である。)
    または下記の一般式(3)
    Figure 2005194672
    (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であるか、または酸素原子もしくは窒素原子を含む2価の炭化水素基であり、mは0〜2の整数である。)
    で示される単量体である請求項1〜3のいずれか記載の剥離紙原紙。
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